JP2004311066A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】平行平板型の対向電極を備えたプラズマ処理装置において、対向電極間への基材の配置/取り出し作業、及び、電極の取り付け/取り外し作業を容易にする。
【解決手段】プラズマを発生させる平行平板型の対向電極1のいずれか一方の電極(上部電極2)を他方の電極(下部電極3)に対して平行移動する移動機構7を設け、その移動機構7の水平フレーム71に電極(上部電極2)を締結手段(例えば固定ボルト等)により着脱自在に固定する。また、対向電極1の電極間距離を調整するための調整手段(例えば隙間調整用ねじ等)を設ける。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、液晶用ガラスの洗浄工程、フレキシブル基板のデスミヤ工程、印刷用ゴム面の表面処理工程などに使用されるプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放電プラズマを用いて基材の表面処理を行う装置として、上下一対の電極からなる平行平板型の対向電極を略常圧下に配置し、その対向電極の下側の電極上に基材を配置した状態で、対向電極間に処理ガスを導入するとともに、対向電極間に電界を印加することにより放電プラズマを発生させ、その発生プラズマにて基材の表面処理を行うプラズマ処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなプラズマ処理装置として、上下の電極のうち、上側の電極を上下動可能とし、その上側の電極を上方に離した状態で下側の電極に基材をセットしたり、処理後の基材を取り出すように構成された装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、プラズマ処理装置において、電極を交換できるようにした構造が提案されている。例えば、円形の電極板に座くり部を設けて嵌め込み構造とすることにより、電極の取り付け/取り外しを比較的容易に行えるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3040358号公報
【特許文献2】
特開2002−126675号公報
【特許文献3】
特開2000−12297号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した特許文献1に記載のプラズマ処理装置によれば、上下一対の電極はいずれも固定されているので、電極間距離を狭く設定すればするほど、下側の電極への基材配置が困難になる。一方、特許文献2に記載のプラズマ処理装置では、上側の電極は上下動可能であるものの、上側の電極を持ち上げるのに多くの力を要する。また、上側の電極が下降するときに電極間に誤って指を置いていると挟まれるおそれがある。
【0007】
なお、特許文献3記載の技術では、ガスの吹き出し穴と電極の結合を嵌め込み構造にしているが、電極の交換を狭い空間で行う必要がある上、電極の固定をねじ締めにて行う必要があるので、電極の交換はさほど簡単ではない。また、電極を移動させる構造とする場合、対象とする装置がCVD装置などの低真空で使用する装置であると、移動部分にシールを設置する必要がある上、平行移動あるいは回転によりシール部のシール材が損傷するおそれがある。
【0008】
本発明は、そのような問題点を解消するためになされたもので、平行平板型の対向電極間への基材の配置/取り出し作業、及び、電極の取り付け/取り外し作業を容易に行うことが可能なプラズマ処理装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマ処理装置は、一定の間隔をあけて互いに対向する一対の電極からなる平行平板型の対向電極と、その対向電極間に電界を印加する電源とを有し、前記対向電極間に電界を印加することにより発生するプラズマを用いて基材の処理を行うプラズマ処理装置において、前記一対の電極のいずれか一方の電極を他方の電極に対して平行移動(スライド移動)する移動機構を備えているとともに、前記移動機構に電極が締結手段により着脱自在に固定されていることを特徴としている。より具体的には、移動機構がスライド移動する水平フレームを有し、その水平フレームに電極が着脱自在に固定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のプラズマ処理装置によれば、対向電極を構成する一対の電極の電極間が狭くても、一方の電極(例えば上側の電極)をスライド移動させて、他方の電極(下側の電極)とは干渉しない位置(退避位置)に配置することにより、基材のセットや取り出し作業を容易に行うことができる。また、電極に付着した異物の除去等の掃除も簡単になる。
【0011】
さらに、一方の電極を移動機構にてスライド移動させるので、電極を移動させる際に要する力が小さくて済む。また、一方の電極の処理位置への移動の際に、他方の電極上に誤って指や手などを置いていたとしても、電極間に挟まれないようにすることができ、安全性を高めることができる。しかも、電極を移動機構に対して着脱自在に固定する構造であるので、電極の取り付け/取り外し作業も容易に行うことができる。
【0012】
本発明のプラズマ処理装置において、対向電極を構成する一対の電極の電極間距離を調整するための調整手段を設けておいてもよい。このような調整手段を設けておくと、処理を行う基材の形態(種類・厚さ等)により、電極間距離を変更する必要がある場合に、その調整作業を容易に行うことができる。
【0013】
次に、本発明を更に詳しく説明する。
【0014】
まず、本発明で言う略常圧下とは、1.333×10〜10.664×10Paの圧力下を指す。中でも、圧力調整が容易で、装置構成が簡便になる9.331×10〜10.397×10Paの範囲が好ましい。
【0015】
本発明において、対向電極を構成する電極(電極本体)の材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合金あるいは金属間化合物などが挙げられる。対向電極を構成する一対の電極の形態は、電界集中によるアーク放電の発生を避けるために、対向電極間(プラズマ空間)の距離が一定となる構造であることが好ましい。
【0016】
本発明において、対向電極間には固体誘電体が配置されている必要がある。具体的には、対向電極を構成する一対の電極のうち、少なくとも一方の対向面に固体誘電体が配置されていればよい。この際、固体誘電体と設置される側の電極が密着し、かつ、接する電極の対向面を完全に覆うようにすることが好ましい。固体誘電体によって覆われずに電極同士が直接対向する部位があると、そこからアーク放電が生じやすくなる。
【0017】
前記固体誘電体の形状は、シート状もしくはフィルム状のいずれであってもよい。固体誘電体の厚みは、0.01〜4mmであることが好ましい。固体誘電体の厚みが厚すぎると放電プラズマを発生するのに高電圧を要することがあり、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こり、アーク放電が発生することがある。なお、固体誘電体は溶射法にて電極表面にコーティングされた膜であってもよい。
【0018】
上記固体誘電体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0019】
また、固体誘電体は、比誘電率が2以上(25℃環境下、以下同じ)であることが好ましい。比誘電率が2以上の固体誘電体の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化膜等を挙げることができる。さらに高密度の放電プラズマを安定して発生させるためには、比誘電率が10以上の固体誘電体を用いることが好ましい。比誘電率の上限は特に限定されるものではないが、現実の材料では18,500程度のものが知られている。上記比誘電率が10以上である固体誘電体としては、例えば、酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜、または、酸化ジルコニウムを含有する金属酸化物被膜からなるものを挙げることができる。
【0020】
本発明に用いる対向電極の電極間距離は、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して適宜決定されるが、0.1〜5mmであることが好ましい。電極間距離が0.1mm未満であると、一対の電極を電極間距離を置いて設置するのに十分でないことがあり、一方、5mmを超えると、均一な放電プラズマを発生させにくい。さらに好ましい電極間距離は、放電が安定しやすい0.5〜3mmである。
【0021】
上記対向電極の電極間には、高周波、パルス波、マイクロ波等の電界が印加され、プラズマを発生させるが、パルス電界を印加することが好ましく、特に、電界の立ち上がり及び/または立ち下がり時間が10μs以下であるパルス電界が好ましい。10μsを超えると放電状態がアークに移行しやすく不安定なものとなり、パルス電界による高密度プラズマ状態を保持しにくくなる。また、立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行われるが、40ns未満の立ち上がり時間のパルス電界を実現することは、実際には困難である。立ち上がり時間及び立ち下がり時間のより好ましい範囲は50ns〜5μsである。なお、ここでいう立ち上がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して増加する時間、立ち下がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して減少する時間を指すものとする。
【0022】
上記パルス電界の電界強度は、1〜1000kV/cmであり、好ましくは20〜300kV/cmである。電界強度が1kV/cm未満であると処理に時間がかかりすぎ、1000kV/cmを超えるとアーク放電が発生しやすくなる。
【0023】
上記パルス電界の周波数は、0.5kHz以上であることが好ましい。0.5kHz未満であるとプラズマ密度が低いため処理に時間がかかりすぎる。上限は特に限定されないが、常用されている13.56MHz、試験的に使用されている500MHzといった高周波帯でも構わない。負荷との整合性のとり易さや取扱い性を考慮すると、500kHz以下が好ましい。このようなパルス電界を印加することにより、処理速度を大きく向上させることができる。
【0024】
また、上記パルス電界における1つのパルス継続時間は、200μs以下であることが好ましく、より好ましくは3〜200μsである。200μsを超えるとアーク放電に移行しやすくなる。ここで、1つのパルス継続時間とは、ON/OFFの繰り返しからなるパルス電界における、1つのパルスの連続するON時間を言う。
【0025】
本発明において処理できる基材(基板)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂等のプラスチック、ガラス、セラミック、金属、シリコンウェハー等が挙げられる。基材の形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特にこれらに限定されない。本発明によれば、様々な形状を有する基材の処理に容易に対応することができる。
【0026】
本発明に用いる処理ガスとしては、電界を印加することによってプラズマを発生するガスであれば、特に限定されず、基材処理の目的に応じて種々のガスを使用できる。また、常温状態で液体あっても、処理系内で気化できる物質であれば使用可能である。処理ガスとしては、例えば、空気、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、CF等のフッ素ガス、アルコール等の有機物質、TEOM[テトラエトキシシラン:Si(OC]、チタンテトライソプロポキシド等の金属酸化物の原料(前駆体)となるアルコキシドなどが挙げられる。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0027】
なお、本発明のプラズマ処理装置によれば、プラズマ発生空間中に存在する気体の種類を問わずグロー放電プラズマを発生させることが可能である。また、特定のガス雰囲気下の大気圧プラズマ処理においては、外気から遮断された密閉容器内で処理を行うことが必須であったが、本発明のプラズマ処理装置においては、開放系、あるいは、気体の自由な流失を防ぐ程度の低気密系での処理が可能となる。
【0028】
本発明のプラズマ処理装置では、対向電極間において直接大気圧下で放電を生じさせることが可能であり、より単純化された電極構造、放電手順による大気圧プラズマ装置、及び処理手法でかつ高速処理を実現することができる。また、印加電界の周波数、電圧、電極間隔等のパラメータにより処理に関するパラメータも調整できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は本発明のプラズマ処理装置の実施形態を模式的に示す正面図(A)及び平面図(B)である。
【0031】
図1のプラズマ処理装置は、上部電極2及び下部電極3からなる平行平板型の対向電極1、電源4、処理ガス供給源5、メインベース6、及び、移動機構7などを備えている。
【0032】
対向電極1の上部電極2と下部電極3とは所定の距離(電極間距離)をあけて対向配置されており、この上部電極2と下部電極3との間に放電空間(プラズマ空間)10が形成される。
【0033】
上部電極2は、導電性材料製の電極本体21と絶縁性材料製の電極ホルダ22とからなり、電極本体21の下面(電極対向面)に誘電体プレート23(図2)が配置されている。上部電極2の電極ホルダ22には、後述する水平フレーム71の貫通穴71a‥71aに対応する位置にそれぞれ雌ねじ穴22a(図2)が加工されている。なお、上部電極2は電圧印加側の電極であり、電源4が接続されている。
【0034】
下部電極3は、導電性材料製の電極本体31と絶縁性材料製の電極ホルダ32とからなり、電極本体31の上面(電極対向面)に誘電体プレート(図示せず)が配置されている。下部電極3はメインベース6に固定されている。なお、下部電極3は接地に置かれている。
【0035】
そして、以上の構造のプラズマ処理装置において、対向電極1を略常圧下(大気圧近傍の圧力下)に配置するとともに、下部電極3上に基材Sを配置する。次に、上部電極2と下部電極3との間に、処理ガス供給源5から処理ガス(例えば乾燥空気など)を供給するとともに、ガス排気部(図示せず)にて排気を行い略常圧下の状態にして、上部電極2と下部電極3との間に電源4からの電界(例えば高電圧パルス電界)を印加する。この電界印加により、上部電極2と下部電極3との間に形成される放電空間10にグロー放電プラズマが発生し、そのプラズマが基材Sの表面に接触することにより、基材Sの表面処理(例えば洗浄、デスミア等の処理)が施される。
【0036】
−移動機構の説明−
次に、本発明の特徴部分である電極の移動機構7について説明する。
【0037】
移動機構7は、図1に示すように、前後一対の水平フレーム71,71、その各水平フレーム71,71の両端を支持するスライドフレーム72‥72、2本のリニアガイド73,73などを備えており、全体としてガントリー型に構成されている。
【0038】
リニアガイド73は、メインベース6の前後方向に延びる部材で、下部電極3の両側に配置されている。スライドフレーム72は、メインベース6に対して略垂直(略鉛直)に配置された部材で、リニアガイド73に沿って処理位置P1と退避位置P2との間においてスライド移動が可能となっている。これらスライドフレーム72‥72の上端部に各水平フレーム71,71の両端部がそれぞれ固定されている。
【0039】
各水平フレーム71,71には、それぞれボルト貫通用の貫通穴71a(図2)が2箇所(中心振り分け)に設けられており、その各貫通穴71aを利用して前後一対の水平フレーム71,71に上部電極2を着脱自在に固定することができる。具体的には、図2に示すように、水平フレーム71の下方側に上部電極2を配置し、その水平フレーム71の貫通穴71aと上部電極2(電極ホルダ22)の雌ねじ穴22aとの位置合わせを行った状態で(図2(A))、水平フレーム71の貫通穴71aに固定ボルト8を上方から挿入し、電極ホルダ22の雌ねじ穴22aに固定ボルト8をねじ込むことにより、上部電極2を水平フレーム71,71に固定することができる(図2(B))。なお、リニアガイド73に替えて、例えばリニアシャフトなどの他のガイド手段を用いてもよい。
【0040】
以上の構造の移動機構7を設けることにより、水平フレーム71,71に固定している上部電極2を前後方向にスライド移動して、処理位置P1または退避位置P2のいずれか一方の位置に選択的に配置することができる。従って、処理を開始する前において、基材Sを下部電極3上に配置するにあたり、上部電極2を退避位置P2に配置しておくことにより、基材Sのセットを容易に行うことができる。
【0041】
また、処理が完了した後、上部電極2を処理位置P1から退避位置P2に移動させることにより、処理後の基材Sの取り出し作業も容易に行うことができる。さらに、上部電極2や下部電極3に異物等が付着しても、上部電極2を退避位置P2に移動させることにより、付着物などの洗浄も容易に行うことができる。
【0042】
しかも、上部電極2を移動機構7の水平フレーム71,71に対して着脱可能としているので、上部電極2を退避位置P2において水平フレーム71,71から簡単に取り外すことができ、上部電極2(下部電極3も含む)の交換作業を容易に行うことができる。
【0043】
なお、以上の実施形態では、上部電極2の締結手段として、固定ボルト8及び雌ねじ穴72aを用いているが、本発明はこれに限られることなく、上部電極2を水平フレーム71に着脱自在に固定することができるのであれば、他の任意の締結手段を用いてもよい。その一例を図3に示す。
【0044】
図3に示す締結手段は、略円筒形状の頭部81及び挿入部82からなるロック部材80、上部電極2の電極ホルダ22に設けた係止穴90によって構成されている。ロック部材80の頭部81には、ドライバ等の工具を差し込む溝81aが加工されている。また、ロック部材80の下端部には係止ピン83が設けられている。
【0045】
一方、係止穴90は、ロック部材80の挿入部82及び係止ピン83の通過が可能な断面形状の挿通部91(図4(A))と、その挿通部91を通じて挿入された係止ピン83を係止する係止部92を有する。係止部92の係止面92aは螺旋状に傾斜する傾斜面である。
【0046】
なお、係止穴90の挿通部91の断面形状(図3のX−X断面)及び係止部92の断面形状(図3のY−Y断面)をそれぞれ図4(A)及び(B)に示す。また、水平フレーム71に形成する貫通穴71bの断面形状も、電極ホルダ22の係止穴90の挿通部91の断面形状(図4(A))と同じである。
【0047】
そして、この図3の締結手段においては、水平フレーム71の貫通穴71bと上部電極2(電極ホルダ22)の係止穴90との位置合わせを行った状態で、水平フレーム71の貫通穴71bにロック部材80を上方から挿入して電極ホルダ22の係止穴90内に差し入れ、次いで、ロック部材80の頭部81の下面を水平フレーム71の上面に当てた状態で、ロック部材80をドライバ等により回転させる。このロック部材80の回転により、先端の係止ピン83が係止穴90の下部の係止面(螺旋面)92aに当接するとともに、係止ピン83が係止面92aにて押されてロック部材80が電極ホルダ22に向けて押圧され、この押圧力にて上部電極2が水平フレーム71に固定される。
【0048】
また、このような固定状態から、ロック部材80を上記とは逆向きに回転させると、係止ピン83が係止面92aから外れ、上部電極2を水平フレーム71から取り外すことができる。
【0049】
−電極間距離の調整機構の説明−
まず、プラズマ処理装置において対向電極の下部電極上に基材を配置して処理を行う場合、処理を行う基材の形態(種類・厚さ等)により、対向電極の電極間距離を変更する必要がある。その調整機構の具体的な例を図5及び図6に示す。
【0050】
図5の調整機構は、上部電極2を保持する水平フレーム71をスライドフレーム72に連結ボルト101にて連結する構造とするとともに、その水平フレーム71をスライドフレーム72との連結部に隙間調整用ねじ102を設けた点に特徴がある。
【0051】
この図5に示す調整機構においては、▲1▼連結ボルト101を緩めて水平フレーム71をスライドフレーム72に対して上下方向に移動可能な状態にする。▲2▼隙間調整用ねじ102を操作して水平フレーム71とスライドフレーム72との間の隙間つまり上部電極2と下部電極3との間の電極間距離を調整する。▲3▼連結ボルト101を締め付けて水平フレーム71をスライドフレーム72に固定する、という手順で電極間距離の調整を行うことができる。
【0052】
図6の調整機構は、上部電極2を保持する水平フレーム71をスライドフレーム72に連結ボルト101にて連結する構造とするとともに、その水平フレーム71の下面とスライドフレーム72の上端面との間に隙間調整用のスペーサ(厚さ一定)103を配置する点に特徴がある。
【0053】
この図6に示す調整機構においては、▲1▼連結ボルト101を緩めて水平フレーム71をスライドフレーム72に対して上下方向に移動可能な状態にする。▲2▼水平フレーム71の下面とスライドフレーム72の上端面との間にスペーサ103を挟み込む。▲3▼連結ボルト101を締め付けて水平フレーム71をスライドフレーム72にスペーサ103を挟み込んだ状態で固定する、という手順で電極間距離の調整を行うことができる。
【0054】
−自動移動機構の説明−
上部電極2の移動を自動的に行うための構造を図7及び図8に示す。
【0055】
図7の自動移動機構は、図1に示す構成において、下部電極3の両側に配置したリニアガイド73,73のうち、いずれか一方のリニアガイド73(図7では右側のリニアガイド)に替えてボールねじ202を配置するとともに、そのボールねじ202を、スライドフレーム72,72に設けた各雌ねじ穴72aにねじ込んでいる。さらに、ボールねじ202にモータ201をカップリング203を介して連結している。
【0056】
そして、この例の自動移動機構においては、モータ201を駆動してボールねじ202を回転させることにより、水平フレーム71に固定された上部電極2を前後方向に移動させることができ、処理位置P1または退避位置P2のいずれか一方の位置に上部電極2を選択的に配置することができる。なお、モータ201の駆動/停止及び回転向き(上部電極2を前後方向)は操作盤200にて操作することができる。
【0057】
図8の自動移動機構は、図1に示す構成に加えて、下部電極3の両側に配置したリニアガイド73,73のうち、いずれか一方のリニアガイド73(図8では右側のリニアガイド)の側方に配置された前後一対のタイミングプーリ204,205、これらタイミングプーリ204,205に掛け回された無端状のタイミングベルト206、タイミングベルト206に水平フレーム71を固定する固定ジグ207、及び、後側のタイミングプーリ205に回転を与えるモータ201などを備えている。
【0058】
そして、この例の自動移動機構においては、モータ201を駆動してタイミングベルト206に回転駆動することにより、水平フレーム71に固定された上部電極2を前後方向に移動させることができ、処理位置P1または退避位置P2のいずれか一方の位置に上部電極2を選択的に配置することができる。なお、この例においても、モータ201の駆動/停止及び回転向き(上部電極2を前後方向)は操作盤(図示せず)にて操作することができる。
【0059】
ここで、以上のような自動移動機構に用いる操作盤は、プラズマ処理装置に設けられるシーケンサーなどに繋がれて、装置全体の自動化がはかられる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプラズマ処理装置によれば、対向電極を構成する一対の電極の電極間が狭くても、一方の電極をスライド移動させて、他方の電極とは干渉しない退避位置に配置することにより、基材のセットや取り出し作業を容易に行うことができるとともに、電極に付着した異物の除去等の掃除も簡単になる。しかも、一方の電極を移動させる際に要する力が小さくて済む。また、一方の電極の処理位置への移動の際に、他方の電極上に誤って指や手などを置いていたとしても、電極間に挟まれないようにすることができ、安全性を高めることができる。しかも、電極を移動機構の水平フレームに対して着脱自在に固定しているので、電極の取り付け/取り外し作業も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を模式的に示す正面図(A)及び平面図(B)を併記して示す図である。
【図2】本発明の実施形態に用いる締結手段の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】締結手段の他の例を模式的に示す断面図である。
【図4】図3のX−X断面図(A)及びY−Y断面図(B)を併記して示す図である。
【図5】本発明の実施形態に用いる調整機構の構成を模式的に示す図である。
【図6】調整機構の他の例を模式的に示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態の構成を模式的に示す正面図(A)及び平面図(B)を併記して示す図である。
【図8】本発明の別の実施形態の構成を模式的に示す正面図(A)、平面図(B)及び側面図(C)を併記して示す図である。
【符号の説明】
1 対向電極
10 放電空間(プラズマ空間)
2 上部電極
21 電極本体
22 電極ホルダ
22a 雌ねじ穴
23 誘電体プレート
3 下部電極
31 電極本体
32 電極ホルダ
4 電源
5 処理ガス供給源
6 メインベース
7 移動機構
71 水平フレーム
71a,71b 貫通穴
72 スライドフレーム
72a 雌ねじ穴
73 リニアガイド
8 固定ボルト
80 ロック部材
81 頭部
82 挿入部
83 係止ピン
90 係止穴
91 挿通部
92 係止部
92a 係止面
101 連結ボルト
102 隙間調整用ねじ
103 スペーサ
200 操作盤
201 モータ
202 ボールねじ
203 カップリング
204,205 タイミングプーリ
206 タイミングベルト
207 固定ジグ
P1 処理位置
P2 退避位置
S 基材

Claims (3)

  1. 一定の間隔をあけて互いに対向する一対の電極からなる平行平板型の対向電極と、その対向電極間に電界を印加する電源とを有し、前記対向電極間に電界を印加することにより発生するプラズマを用いて基材の処理を行うプラズマ処理装置において、前記一対の電極のいずれか一方の電極を他方の電極に対して平行移動する移動機構を備えているとともに、前記移動機構に電極が締結手段により着脱自在に固定されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記一対の電極の電極間距離を調整するための調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記移動機構はスライド移動する水平フレームを有し、その水平フレームに電極が着脱自在に固定されていることを特徴とする請求項1または2記載のプラズマ処理装置。
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