JP2004310962A - 情報編集方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスク記録媒体上のMPEGトランスポートデータをユーザが編集する際に、セクタ境界とトランスポートパケット境界のアライメント問題を解決し、結合編集を容易に行えるようにする。
【解決手段】ディスク記録媒体上のファイルFILE0001の後にファイルFILE0002を結合して新たにファイルFILE0003を作成する際に、ファイルFILE0001の実効的なAVデータパケット終端より前方の、セクタ境界とトランスポートストリームパケット境界を共に満たす共通境界位置を算出する。また、ファイルFILE0003を管理するファイルシステム情報を、ファイルFILE0001の開始位置から共通境界位置まで及びファイルFILE0002の開始位置から終端位置までとする。
【選択図】 図2
【解決手段】ディスク記録媒体上のファイルFILE0001の後にファイルFILE0002を結合して新たにファイルFILE0003を作成する際に、ファイルFILE0001の実効的なAVデータパケット終端より前方の、セクタ境界とトランスポートストリームパケット境界を共に満たす共通境界位置を算出する。また、ファイルFILE0003を管理するファイルシステム情報を、ファイルFILE0001の開始位置から共通境界位置まで及びファイルFILE0002の開始位置から終端位置までとする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録媒体上のディジタル動画音声圧縮技術規格(Moving Picture Experts Group:以下MPEG)を用いたMPEG2トランスポートストリームデータを編集する情報編集方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、日本国内及び欧米における衛星ディジタル放送や地上波ディジタル放送等においての映像及び音声信号を伝送するデータ方式として、IEC/ISO13818において規定されるMPEG2トランスポートストリーム(以下:MPEG−2 TSと呼称)が適用されている。
【0003】
MPEG−2 TSは放送されるプログラムの映像や音声それぞれに対応する情報データを持つ188バイト固定長のMPEG−2TSパケットと呼ばれる単位で時分割多重化される。
【0004】
このように放送プログラムに対応するMPEG−2 TSを、受信側において送信側と同じ情報圧縮されたディジタル信号の状態のままで、例えば、ハードディスクや光ディスク等のランダムアクセス可能なディスク状記録媒体に書き込み記録やデータファイルとして保存することができれば、画質や音質をまったく劣化させることなく、高品質のAVプログラムを随時繰り返して視聴することや、即応性が高いランダムアクセス再生及び自由度の高いプログラム編集が可能となり得る。
【0005】
図6(a)は上述した技術を用いた場合の従来例として、ディスク記録媒体に記録されたMPEG−2 TSのデータ構造、図6(b)はディスク上のデータファイルを管理するファイルシステム情報の例を示す。図中100はハードディスクや光ディスク等のディスク記録媒体、A、B1、B2、C1、C2はそれぞれデータファイルを示す。
【0006】
MPEG−2 TSデータをディスク記録媒体100上に記録書き込みを行う場合には、図6(a)に示すようにセクタと呼ばれる論理ブロック毎に連続的、或いは連続した未記録セクタ領域が足りない時には離散的にディスク記録媒体100上に記録される。なお、ここでは1セクタのサイズは、例えば、2048バイトとする。
【0007】
ここで、従来、ハードディスクや光ディスク等のランダムアクセス可能なディスク記録媒体上に存在するデータファイルを管理する方式として、File Allocation Table(以下:FATという)やUniversal Disk Format(以下:UDFという)等のファイルシステムがあるが、これらのファイルシステムの仕様としては、
(1)記録書き込みを開始するデータの位置は必ずセクタの先頭から開始しなければならない。
(2)データファイルの終端が存在するセクタ以外でセクタの途中でデータが途切れてはならない。
(3)異なるデータファイルが重複するセクタ領域を有してはいけない。
という規定がなされている。そのため、MPEG−2 TSの記録書き込みや編集処理についてもこの仕様に準拠しなければならない。
【0008】
このようにディスク記録媒体上に記録されたMPEG−2 TSデータをデータファイルとして管理し、後の編集処理を簡易に行うためユーザインターフェースを構築する方法として、図6(b)に示すように対象となるMPEG−2 TSデータファイル名(ユーザによる任意定義可能)、データファイルが実際にディスクのどこから記録されているかを示す開始セクタ番号、このセクタから開始するデータサイズ等、ファイル名とディスク記録媒体上の位置情報を関連付けるためのテーブルが設けられている。
【0009】
この方法によって、ユーザはディスクのどの位置にどのデータが存在するかを意識せずに、ファイル名を指定するだけで、所望のデータにアクセスすることが可能となる。
【0010】
次に、図6に示すようにMPEG−2 TSデータが記録され、このデータに関連付けられたファイルシステム情報を持つディスク記録再生装置のデータ結合処理例について説明する。図7はデータの結合処理手順を示すフローチャート、図8〜図13はディスク記録媒体上に記録されたトランスポートデータと結合処理によるディスク上のデータ構造の変遷を示す。なお、図7のステップ番号と図8〜13のステップ番号は対応している。
【0011】
まず、図8に示すようにディスク記録媒体上に二つのMPEG−2 TSファイルFILE0001(アクセス開始セクタN、データサイズ188×n1)とFILE0002(アクセス開始セクタK、データサイズ188×n2)があり、これらのデータファイルを結合する処理要求が発生したものとする(図7のS701)。なお、図8には結合前のファイルシステム情報(ファイル名、開始セクタ番号、データサイズ)を併せて示す。
【0012】
以下、この2つのデータファイルを結合して新たにデータファイルFILE0003を作成する場合の編集処理について説明する。この処理は、例えば、ディスク記録再生装置内のアプリケーションがホストコンピュータ等からの要求に応じて行うものとする。但し、以下に説明する#N、#Nend、n1、n2はすべて0以上の整数である。
【0013】
この処理要求が発生すると、アプリケーションは図9(a)に示すようにディスク記録媒体上のデータファイルFILE0001のデータ終端、セクタ#Nから188×n1バイト目の次に連続するセクタまでのオフセット値Lを次式(1)より算出する(S702)。
【0014】
L=2048−((188×n1)mod2048) …(1)
また、図9(b)に示すようにFILE0001のデータ終端が存在するセクタ番号#Nendを次式(2)より算出する(S703)。
【0015】
#Nend=#N+(188×n1)/2048 …(2)
次に、図10に示すように式(2)より求めたセクタ#Nendのセクタデータ2048−Lバイトを、ランダムアクセスメモリ等のバッファ(図示せず)に読み込み、読み込んだセクタデータ終端位置から、Lバイト分のダミーTSパケットデータの付加処理を行う(S704)。
【0016】
次いで、図11(a)に示すようにセクタ#NendにダミーTSパケット情報を付加したセクタデータ2048バイトを上書き記録し(S705)、図11(b)に示すようにファイルシステム上で結合後に生成するFILE0003の情報についてアクセス開始セクタ#N、アクセスサイズ188×n1+Lと更新する(S706)。ファイルFILE0003の情報はメモリ上で更新しても、ディスク上に書き込んでもどちらでもよい。
【0017】
続いて、図11(c)に示すようにS704でLバイト分のダミーTSパケットデータを付加した際に188バイトのTSパケット単位から溢れてしまうデータサイズMを次式(3)より算出する(S707)。即ち、1セクタは2048バイト、ダミーTSパケットデータは188バイト単位であるから、図11(a)に示すようにセクタ終端における188バイトのダミーTSパケットデータの余剰分Mを算出する。
【0018】
M=188−(Lmod188) …(3)
また、図12(a)に示すようにこのMを元に次式(4)を用いてセクタ境界とTSパケット境界のアライメント調整のために追加必要なダミーTSパケット数nNULLを算出する(S708)。
【0019】
(M+188×nNULL)mod2048=0となるnNULL …(4)
次に、図12(b)に示すようにディスク記録媒体上の未記録セクタ領域(開始セクタ番号#X)を検索後、式(3)で算出したTSパケット境界から溢れてしまったダミーデータ分Mと、式(4)で算出したnNULL分のダミーTSパケットの記録書き込みを行う(S709)。
【0020】
また、図12(c)に示すようにファイルシステム上のFILE0003についてアクセス開始セクタ#X、データサイズ188×nNULL+Mバイトの情報を追加更新する(S710)。
【0021】
最後に、図13に示すように結合元となるFILE0002のファイルシステム情報、アクセス開始セクタ#K、アクセスデータサイズ188×n2バイトをFILE0003のファイルシステム情報に登録し、結合処理を終了する(S711)。上記処理によりFILE0003はセクタ#Nから188×n1+Lバイトのデータ、セクタ#X、データサイズ188×nNULL+Mバイトのデータ、セクタ#Kから188×n2バイトのデータを合わせたものとして認識される。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
このようにディスク上に記録されたMPEG2データファイルをユーザが結合編集処理を行う場合には、MPEG−2 TSデータ単位となる188バイトのTSパケット境界と、編集処理を行ったデータをファイルとしてファイルシステム上で認識するためのセクタ境界を共に満たすデータ構造でアライメント調整を行わなければならない。
【0023】
そのため、編集処理に伴うディスクへのアクセスが生じ、ディスクに記録されているデータの位置やサイズ等のファイルシステム情報を大きく更新する必要があり、編集処理の完了までに時間がかかってしまう。
【0024】
また、このような編集処理によって新規に作成されたMPEG−2 TSデータファイルを再生する際においても、共通境界位置を満たすために記録されたNULLパケットデータセクタ領域と実際の映像及び音声信号をもつTSパケットが記録されているセクタ位置がディスク上で物理的に大きく離れてしまい、所望の再生アクセス位置までのヘッドシーク回数が多くなり、シーク距離が長くなってシームレス再生ができない可能性があった。
【0025】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、編集処理を短時間で行うことができ、シームレス再生も可能な情報編集方法及び装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、情報記録媒体上のMPEG−2トランスポートストリームデータをデータファイルの開始位置を示す情報及びデータサイズ情報を含むファイルシステム情報によって管理する方法において、前記記録媒体上の第1のデータファイルの後に第2のデータファイルを結合して新たに第3のデータファイルを作成する場合には、前記第1のデータファイルの実効的なAVデータパケット終端より前方の、セクタ境界とトランスポートストリームパケット境界を共に満たす共通境界位置を算出し、前記第3のデータファイルを管理するファイルシステム情報のデータサイズ情報を、前記第1のデータファイルの開始位置から前記共通境界位置まで、及び第2のデータファイルの開始位置から終端位置までとすることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態を示すブロック図、図2は本実施形態のデータ結合処理を示すフローチャートである。また、図3〜図5はデータ結合処理時の各処理を説明するための図である。なお、図2のステップ番号は図3〜図5のステップ番号と対応している。
【0028】
まず、本実施形態では、図1に示すようにホストコンピュータ等の上位制御装置101にディスク記録再生装置102が接続され、ディスク記録再生装置102は上位制御装置101からの要求に応じてディスク記録媒体100にMPEG−2 TSトランスポートストリームデータの記録或いはその記録データの再生を行う。ディスク記録媒体100としては、例えば、ハードディスクや光ディスク等が用いられる。
【0029】
また、ディスク記録再生装置102は上位制御装置101の要求に応じてファイルデータの結合処理等の編集処理を行う。ディスク記録再生装置内にはCPU(中央演算装置)103が設けられ、このCPU103は装置内の各部の制御を行い、上位制御装置101の要求に応じてディスク記録媒体100にデータの記録/再生、或いはファイルデータの結合処理等の編集処理の制御を行う。ディスク記録再生装置102の構成は周知であるので詳しい説明は省略する。
【0030】
なお、本発明は、この構成に限ることなく、ディスク記録再生装置だけでユーザの指示によってデータの記録/再生或いはデータの結合編集等の編集処理を行う場合にも使用可能である。
【0031】
ここで、本実施形態では、図3に示すようにディスク記録媒体上に二つのMPEG−2 TSファイルFILE0001(アクセス開始セクタ番号N、データサイズ188×n1)とFILE0002(アクセス開始セクタ番号K、データサイズ188×n2)が記録されており、ファイルFILE0001の後にファイルFILE0002を結合して新規にデータファイルFILE0003を作成する処理要求が上位制御装置101から発行されたものとする(図2のS201)。
【0032】
この処理要求が発生すると、まず、ディスク記録再生装置102は図4(a)に示すようにFILE0001のデータ終端から前のセクタまでのオフセットLを次の式(5)を用いて算出する(S202)。1セクタのサイズは、例えば、2048バイトとする。
【0033】
L=(188×n1)mod2048 …(5)
次に、図4(b)に示すようにFILE0001のデータ終端から先端に向かってTSパケット境界とセクタ境界とが合うまでの長さを次の式(6)を用いて算出する(S203)。
【0034】
(188×nMATCH−L)mod2048=0となるnMATCH …(6)
また、図5(a)に示すように得られたnMATCHに基づいてファイルシステム情報内のFILE0001のデータサイズ部分を(188×n1−188×nMATCH)と修正して更新する(S204)。この場合、元のファイルFILE0001のファイルシステム情報は残しておく。
【0035】
次いで、結合後のファイルFILE0003のファイルシステム情報を作成する(S205)。具体的には、図5(b)に示すようにファイルFILE0003の開始セクタ番号を第一アクセス開始セクタ番号#N、データサイズ(188×n1−188×nMATCH)、第二アクセス開始セクタ番号#K、データサイズ(188×n2)とする。
【0036】
この時、図5(b)に示すようにファイルFILE0001の終端(188×nMATCH)から前方に向かって(188×nMATCH)の位置は前述のようにTSパケット境界とセクタ境界とが一致する共通境界位置である。本実施形態では、このように結合後の新たなファイルFILE0003のファイルシステム情報を作成するだけでファイルデータの結合処理を終了する。
【0037】
ここで、ファイルFILE0003を再生する場合には、図5(b)に示すようにFILE0001の共通境界位置から後方にあるデータ(188×nMATCHの部分)は再生されない。この部分はサイズが最大で2048と188の最小公倍数94Kバイトとなるが、ディジタルテレビ放送において適用されるMPEG−2 TSのデータ転送レートは一秒間に付き26Mビットと非常に高速であり、最大94Kバイト分はユーザにとって約0.00036秒と瞬時であるため、再生されなくとも視聴覚的に違和感を覚えることはない。
【0038】
次に、本発明の実施態様を以下に列挙する。
【0039】
(実施態様1) 情報記録媒体上のMPEG−2トランスポートストリームデータをデータファイルの開始位置を示す情報及びデータサイズ情報を含むファイルシステム情報によって管理する方法において、前記記録媒体上の第1のデータファイルの後に第2のデータファイルを結合して新たに第3のデータファイルを作成する場合には、前記第1のデータファイルの実効的なAVデータパケット終端より前方の、セクタ境界とトランスポートストリームパケット境界を共に満たす共通境界位置を算出し、前記第3のデータファイルを管理するファイルシステム情報のデータサイズ情報を、前記第1のデータファイルの開始位置から前記共通境界位置まで、及び第2のデータファイルの開始位置から終端位置までとすることを特徴とする情報編集方法。
【0040】
(実施態様2) 情報記録媒体上のMPEG−2トランスポートストリームデータをデータファイルの開始位置を示す情報及びデータサイズ情報を含むファイルシステム情報によって管理する装置において、前記記録媒体上の第1のデータファイルの後に第2のデータファイルを結合して新たに第3のデータファイルを作成する場合、前記第1のデータファイルの実効的なAVデータパケット終端より前方の、セクタ境界とトランスポートストリームパケット境界を共に満たす共通境界位置を算出する手段と、前記第3のデータファイルを管理するファイルシステム情報のデータサイズ情報を、前記第1のデータファイルの開始位置から前記共通境界位置まで、及び第2のデータファイルの開始位置から終端位置までとする手段とを備えたことを特徴とする情報編集装置。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、情報記録媒体上のデータファイルを結合編集する際に、編集処理に伴うディスクアクセスの必要が全くなくなり、ファイルシステム情報を作成するだけでファイル結合編集処理を行うことができるので、ファイル結合編集処理を飛躍的に高速化及び簡便化でき、また、シームレス再生を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態のデータ結合処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の結合処理を説明するための図である。
【図4】図2の結合処理を説明するための図である。
【図5】図2の結合処理を説明するための図である。
【図6】ディスク上記録媒体に記録されたMPEG−2 TSデータのデータ構造及びファイルシステム情報の例を示す図である。
【図7】従来例のMPEG−2 TSデータの結合処理を示すフローチャートである。
【図8】図7の結合処理を説明するための図である。
【図9】図7の結合処理を説明するための図である。
【図10】図7の結合処理を説明するための図である。
【図11】図7の結合処理を説明するための図である。
【図12】図7の結合処理を説明するための図である。
【図13】図7の結合処理を説明するための図である。
【符号の説明】
100 ディスク記録媒体
101 上位制御装置(ホストコンピュータ)
102 ディスク記録再生装置
103 CPU
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録媒体上のディジタル動画音声圧縮技術規格(Moving Picture Experts Group:以下MPEG)を用いたMPEG2トランスポートストリームデータを編集する情報編集方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、日本国内及び欧米における衛星ディジタル放送や地上波ディジタル放送等においての映像及び音声信号を伝送するデータ方式として、IEC/ISO13818において規定されるMPEG2トランスポートストリーム(以下:MPEG−2 TSと呼称)が適用されている。
【0003】
MPEG−2 TSは放送されるプログラムの映像や音声それぞれに対応する情報データを持つ188バイト固定長のMPEG−2TSパケットと呼ばれる単位で時分割多重化される。
【0004】
このように放送プログラムに対応するMPEG−2 TSを、受信側において送信側と同じ情報圧縮されたディジタル信号の状態のままで、例えば、ハードディスクや光ディスク等のランダムアクセス可能なディスク状記録媒体に書き込み記録やデータファイルとして保存することができれば、画質や音質をまったく劣化させることなく、高品質のAVプログラムを随時繰り返して視聴することや、即応性が高いランダムアクセス再生及び自由度の高いプログラム編集が可能となり得る。
【0005】
図6(a)は上述した技術を用いた場合の従来例として、ディスク記録媒体に記録されたMPEG−2 TSのデータ構造、図6(b)はディスク上のデータファイルを管理するファイルシステム情報の例を示す。図中100はハードディスクや光ディスク等のディスク記録媒体、A、B1、B2、C1、C2はそれぞれデータファイルを示す。
【0006】
MPEG−2 TSデータをディスク記録媒体100上に記録書き込みを行う場合には、図6(a)に示すようにセクタと呼ばれる論理ブロック毎に連続的、或いは連続した未記録セクタ領域が足りない時には離散的にディスク記録媒体100上に記録される。なお、ここでは1セクタのサイズは、例えば、2048バイトとする。
【0007】
ここで、従来、ハードディスクや光ディスク等のランダムアクセス可能なディスク記録媒体上に存在するデータファイルを管理する方式として、File Allocation Table(以下:FATという)やUniversal Disk Format(以下:UDFという)等のファイルシステムがあるが、これらのファイルシステムの仕様としては、
(1)記録書き込みを開始するデータの位置は必ずセクタの先頭から開始しなければならない。
(2)データファイルの終端が存在するセクタ以外でセクタの途中でデータが途切れてはならない。
(3)異なるデータファイルが重複するセクタ領域を有してはいけない。
という規定がなされている。そのため、MPEG−2 TSの記録書き込みや編集処理についてもこの仕様に準拠しなければならない。
【0008】
このようにディスク記録媒体上に記録されたMPEG−2 TSデータをデータファイルとして管理し、後の編集処理を簡易に行うためユーザインターフェースを構築する方法として、図6(b)に示すように対象となるMPEG−2 TSデータファイル名(ユーザによる任意定義可能)、データファイルが実際にディスクのどこから記録されているかを示す開始セクタ番号、このセクタから開始するデータサイズ等、ファイル名とディスク記録媒体上の位置情報を関連付けるためのテーブルが設けられている。
【0009】
この方法によって、ユーザはディスクのどの位置にどのデータが存在するかを意識せずに、ファイル名を指定するだけで、所望のデータにアクセスすることが可能となる。
【0010】
次に、図6に示すようにMPEG−2 TSデータが記録され、このデータに関連付けられたファイルシステム情報を持つディスク記録再生装置のデータ結合処理例について説明する。図7はデータの結合処理手順を示すフローチャート、図8〜図13はディスク記録媒体上に記録されたトランスポートデータと結合処理によるディスク上のデータ構造の変遷を示す。なお、図7のステップ番号と図8〜13のステップ番号は対応している。
【0011】
まず、図8に示すようにディスク記録媒体上に二つのMPEG−2 TSファイルFILE0001(アクセス開始セクタN、データサイズ188×n1)とFILE0002(アクセス開始セクタK、データサイズ188×n2)があり、これらのデータファイルを結合する処理要求が発生したものとする(図7のS701)。なお、図8には結合前のファイルシステム情報(ファイル名、開始セクタ番号、データサイズ)を併せて示す。
【0012】
以下、この2つのデータファイルを結合して新たにデータファイルFILE0003を作成する場合の編集処理について説明する。この処理は、例えば、ディスク記録再生装置内のアプリケーションがホストコンピュータ等からの要求に応じて行うものとする。但し、以下に説明する#N、#Nend、n1、n2はすべて0以上の整数である。
【0013】
この処理要求が発生すると、アプリケーションは図9(a)に示すようにディスク記録媒体上のデータファイルFILE0001のデータ終端、セクタ#Nから188×n1バイト目の次に連続するセクタまでのオフセット値Lを次式(1)より算出する(S702)。
【0014】
L=2048−((188×n1)mod2048) …(1)
また、図9(b)に示すようにFILE0001のデータ終端が存在するセクタ番号#Nendを次式(2)より算出する(S703)。
【0015】
#Nend=#N+(188×n1)/2048 …(2)
次に、図10に示すように式(2)より求めたセクタ#Nendのセクタデータ2048−Lバイトを、ランダムアクセスメモリ等のバッファ(図示せず)に読み込み、読み込んだセクタデータ終端位置から、Lバイト分のダミーTSパケットデータの付加処理を行う(S704)。
【0016】
次いで、図11(a)に示すようにセクタ#NendにダミーTSパケット情報を付加したセクタデータ2048バイトを上書き記録し(S705)、図11(b)に示すようにファイルシステム上で結合後に生成するFILE0003の情報についてアクセス開始セクタ#N、アクセスサイズ188×n1+Lと更新する(S706)。ファイルFILE0003の情報はメモリ上で更新しても、ディスク上に書き込んでもどちらでもよい。
【0017】
続いて、図11(c)に示すようにS704でLバイト分のダミーTSパケットデータを付加した際に188バイトのTSパケット単位から溢れてしまうデータサイズMを次式(3)より算出する(S707)。即ち、1セクタは2048バイト、ダミーTSパケットデータは188バイト単位であるから、図11(a)に示すようにセクタ終端における188バイトのダミーTSパケットデータの余剰分Mを算出する。
【0018】
M=188−(Lmod188) …(3)
また、図12(a)に示すようにこのMを元に次式(4)を用いてセクタ境界とTSパケット境界のアライメント調整のために追加必要なダミーTSパケット数nNULLを算出する(S708)。
【0019】
(M+188×nNULL)mod2048=0となるnNULL …(4)
次に、図12(b)に示すようにディスク記録媒体上の未記録セクタ領域(開始セクタ番号#X)を検索後、式(3)で算出したTSパケット境界から溢れてしまったダミーデータ分Mと、式(4)で算出したnNULL分のダミーTSパケットの記録書き込みを行う(S709)。
【0020】
また、図12(c)に示すようにファイルシステム上のFILE0003についてアクセス開始セクタ#X、データサイズ188×nNULL+Mバイトの情報を追加更新する(S710)。
【0021】
最後に、図13に示すように結合元となるFILE0002のファイルシステム情報、アクセス開始セクタ#K、アクセスデータサイズ188×n2バイトをFILE0003のファイルシステム情報に登録し、結合処理を終了する(S711)。上記処理によりFILE0003はセクタ#Nから188×n1+Lバイトのデータ、セクタ#X、データサイズ188×nNULL+Mバイトのデータ、セクタ#Kから188×n2バイトのデータを合わせたものとして認識される。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
このようにディスク上に記録されたMPEG2データファイルをユーザが結合編集処理を行う場合には、MPEG−2 TSデータ単位となる188バイトのTSパケット境界と、編集処理を行ったデータをファイルとしてファイルシステム上で認識するためのセクタ境界を共に満たすデータ構造でアライメント調整を行わなければならない。
【0023】
そのため、編集処理に伴うディスクへのアクセスが生じ、ディスクに記録されているデータの位置やサイズ等のファイルシステム情報を大きく更新する必要があり、編集処理の完了までに時間がかかってしまう。
【0024】
また、このような編集処理によって新規に作成されたMPEG−2 TSデータファイルを再生する際においても、共通境界位置を満たすために記録されたNULLパケットデータセクタ領域と実際の映像及び音声信号をもつTSパケットが記録されているセクタ位置がディスク上で物理的に大きく離れてしまい、所望の再生アクセス位置までのヘッドシーク回数が多くなり、シーク距離が長くなってシームレス再生ができない可能性があった。
【0025】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、編集処理を短時間で行うことができ、シームレス再生も可能な情報編集方法及び装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、情報記録媒体上のMPEG−2トランスポートストリームデータをデータファイルの開始位置を示す情報及びデータサイズ情報を含むファイルシステム情報によって管理する方法において、前記記録媒体上の第1のデータファイルの後に第2のデータファイルを結合して新たに第3のデータファイルを作成する場合には、前記第1のデータファイルの実効的なAVデータパケット終端より前方の、セクタ境界とトランスポートストリームパケット境界を共に満たす共通境界位置を算出し、前記第3のデータファイルを管理するファイルシステム情報のデータサイズ情報を、前記第1のデータファイルの開始位置から前記共通境界位置まで、及び第2のデータファイルの開始位置から終端位置までとすることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態を示すブロック図、図2は本実施形態のデータ結合処理を示すフローチャートである。また、図3〜図5はデータ結合処理時の各処理を説明するための図である。なお、図2のステップ番号は図3〜図5のステップ番号と対応している。
【0028】
まず、本実施形態では、図1に示すようにホストコンピュータ等の上位制御装置101にディスク記録再生装置102が接続され、ディスク記録再生装置102は上位制御装置101からの要求に応じてディスク記録媒体100にMPEG−2 TSトランスポートストリームデータの記録或いはその記録データの再生を行う。ディスク記録媒体100としては、例えば、ハードディスクや光ディスク等が用いられる。
【0029】
また、ディスク記録再生装置102は上位制御装置101の要求に応じてファイルデータの結合処理等の編集処理を行う。ディスク記録再生装置内にはCPU(中央演算装置)103が設けられ、このCPU103は装置内の各部の制御を行い、上位制御装置101の要求に応じてディスク記録媒体100にデータの記録/再生、或いはファイルデータの結合処理等の編集処理の制御を行う。ディスク記録再生装置102の構成は周知であるので詳しい説明は省略する。
【0030】
なお、本発明は、この構成に限ることなく、ディスク記録再生装置だけでユーザの指示によってデータの記録/再生或いはデータの結合編集等の編集処理を行う場合にも使用可能である。
【0031】
ここで、本実施形態では、図3に示すようにディスク記録媒体上に二つのMPEG−2 TSファイルFILE0001(アクセス開始セクタ番号N、データサイズ188×n1)とFILE0002(アクセス開始セクタ番号K、データサイズ188×n2)が記録されており、ファイルFILE0001の後にファイルFILE0002を結合して新規にデータファイルFILE0003を作成する処理要求が上位制御装置101から発行されたものとする(図2のS201)。
【0032】
この処理要求が発生すると、まず、ディスク記録再生装置102は図4(a)に示すようにFILE0001のデータ終端から前のセクタまでのオフセットLを次の式(5)を用いて算出する(S202)。1セクタのサイズは、例えば、2048バイトとする。
【0033】
L=(188×n1)mod2048 …(5)
次に、図4(b)に示すようにFILE0001のデータ終端から先端に向かってTSパケット境界とセクタ境界とが合うまでの長さを次の式(6)を用いて算出する(S203)。
【0034】
(188×nMATCH−L)mod2048=0となるnMATCH …(6)
また、図5(a)に示すように得られたnMATCHに基づいてファイルシステム情報内のFILE0001のデータサイズ部分を(188×n1−188×nMATCH)と修正して更新する(S204)。この場合、元のファイルFILE0001のファイルシステム情報は残しておく。
【0035】
次いで、結合後のファイルFILE0003のファイルシステム情報を作成する(S205)。具体的には、図5(b)に示すようにファイルFILE0003の開始セクタ番号を第一アクセス開始セクタ番号#N、データサイズ(188×n1−188×nMATCH)、第二アクセス開始セクタ番号#K、データサイズ(188×n2)とする。
【0036】
この時、図5(b)に示すようにファイルFILE0001の終端(188×nMATCH)から前方に向かって(188×nMATCH)の位置は前述のようにTSパケット境界とセクタ境界とが一致する共通境界位置である。本実施形態では、このように結合後の新たなファイルFILE0003のファイルシステム情報を作成するだけでファイルデータの結合処理を終了する。
【0037】
ここで、ファイルFILE0003を再生する場合には、図5(b)に示すようにFILE0001の共通境界位置から後方にあるデータ(188×nMATCHの部分)は再生されない。この部分はサイズが最大で2048と188の最小公倍数94Kバイトとなるが、ディジタルテレビ放送において適用されるMPEG−2 TSのデータ転送レートは一秒間に付き26Mビットと非常に高速であり、最大94Kバイト分はユーザにとって約0.00036秒と瞬時であるため、再生されなくとも視聴覚的に違和感を覚えることはない。
【0038】
次に、本発明の実施態様を以下に列挙する。
【0039】
(実施態様1) 情報記録媒体上のMPEG−2トランスポートストリームデータをデータファイルの開始位置を示す情報及びデータサイズ情報を含むファイルシステム情報によって管理する方法において、前記記録媒体上の第1のデータファイルの後に第2のデータファイルを結合して新たに第3のデータファイルを作成する場合には、前記第1のデータファイルの実効的なAVデータパケット終端より前方の、セクタ境界とトランスポートストリームパケット境界を共に満たす共通境界位置を算出し、前記第3のデータファイルを管理するファイルシステム情報のデータサイズ情報を、前記第1のデータファイルの開始位置から前記共通境界位置まで、及び第2のデータファイルの開始位置から終端位置までとすることを特徴とする情報編集方法。
【0040】
(実施態様2) 情報記録媒体上のMPEG−2トランスポートストリームデータをデータファイルの開始位置を示す情報及びデータサイズ情報を含むファイルシステム情報によって管理する装置において、前記記録媒体上の第1のデータファイルの後に第2のデータファイルを結合して新たに第3のデータファイルを作成する場合、前記第1のデータファイルの実効的なAVデータパケット終端より前方の、セクタ境界とトランスポートストリームパケット境界を共に満たす共通境界位置を算出する手段と、前記第3のデータファイルを管理するファイルシステム情報のデータサイズ情報を、前記第1のデータファイルの開始位置から前記共通境界位置まで、及び第2のデータファイルの開始位置から終端位置までとする手段とを備えたことを特徴とする情報編集装置。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、情報記録媒体上のデータファイルを結合編集する際に、編集処理に伴うディスクアクセスの必要が全くなくなり、ファイルシステム情報を作成するだけでファイル結合編集処理を行うことができるので、ファイル結合編集処理を飛躍的に高速化及び簡便化でき、また、シームレス再生を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態のデータ結合処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の結合処理を説明するための図である。
【図4】図2の結合処理を説明するための図である。
【図5】図2の結合処理を説明するための図である。
【図6】ディスク上記録媒体に記録されたMPEG−2 TSデータのデータ構造及びファイルシステム情報の例を示す図である。
【図7】従来例のMPEG−2 TSデータの結合処理を示すフローチャートである。
【図8】図7の結合処理を説明するための図である。
【図9】図7の結合処理を説明するための図である。
【図10】図7の結合処理を説明するための図である。
【図11】図7の結合処理を説明するための図である。
【図12】図7の結合処理を説明するための図である。
【図13】図7の結合処理を説明するための図である。
【符号の説明】
100 ディスク記録媒体
101 上位制御装置(ホストコンピュータ)
102 ディスク記録再生装置
103 CPU
Claims (1)
- 情報記録媒体上のMPEG−2トランスポートストリームデータをデータファイルの開始位置を示す情報及びデータサイズ情報を含むファイルシステム情報によって管理する方法において、前記記録媒体上の第1のデータファイルの後に第2のデータファイルを結合して新たに第3のデータファイルを作成する場合には、前記第1のデータファイルの実効的なAVデータパケット終端より前方の、セクタ境界とトランスポートストリームパケット境界を共に満たす共通境界位置を算出し、前記第3のデータファイルを管理するファイルシステム情報のデータサイズ情報を、前記第1のデータファイルの開始位置から前記共通境界位置まで、及び第2のデータファイルの開始位置から終端位置までとすることを特徴とする情報編集方法。
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007037286A1 (ja) * | 2005-09-27 | 2007-04-05 | Pioneer Corporation | 複数の層を有する情報記録媒体に対し情報を記録する記録装置および記録方法 |
-
2003
- 2003-04-10 JP JP2003106578A patent/JP2004310962A/ja active Pending
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WO2007037286A1 (ja) * | 2005-09-27 | 2007-04-05 | Pioneer Corporation | 複数の層を有する情報記録媒体に対し情報を記録する記録装置および記録方法 |
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