JP2004309652A - 高濃度の液体現像剤を用いた湿式電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固形分濃度を高めた現像剤を使用する湿式電子写真装置において、リブ、リビングまたはリビュレット等と称されている濃淡ムラのない高品質な画像を得る。
【解決手段】本発明は、感光ドラム上に形成された静電潜像を、現像ローラを介して供給される高濃度の液体現像剤を用いて現像し、印刷媒体へ転写する。この現像ローラを感光ドラムに対して弾性的に当接させ、感光ドラムに接触するように配置し、かつ、その回転方向を、感光ドラムに対しリバース方向としている。現像ローラ上には、トナー凝集用のブレードを備えて、これにバイアス電圧を印加することにより、感光ドラムと現像ローラの間のニップ間に供給される現像剤層を二層とし、感光ドラム側の表層を比較的低濃度に、かつ現像ローラ側の内層を比較的高濃度にしたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、感光ドラム上に形成された静電潜像を、現像ローラを介して供給される高濃度の液体現像剤を用いて現像し、印刷媒体へ転写する。この現像ローラを感光ドラムに対して弾性的に当接させ、感光ドラムに接触するように配置し、かつ、その回転方向を、感光ドラムに対しリバース方向としている。現像ローラ上には、トナー凝集用のブレードを備えて、これにバイアス電圧を印加することにより、感光ドラムと現像ローラの間のニップ間に供給される現像剤層を二層とし、感光ドラム側の表層を比較的低濃度に、かつ現像ローラ側の内層を比較的高濃度にしたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光体上に形成された静電潜像を、現像剤支持部材を介して供給される高濃度の液体現像剤を用いて現像し、印刷媒体へ転写する湿式電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7に、従来技術による代表的な湿式電子写真装置の概略を示す。例示の湿式電子写真装置は、露光により、電気抵抗が低下する絶縁体膜によって構成される感光ドラム、感光ドラムへの帯電手段としての帯電器、感光ドラムへの露光手段としての露光LED、現像器、媒体への転写手段としての転写ローラ等によって構成されている。現像器は、現像剤を供給する供給ローラ、バイアス電圧Vdを印加して現像をするための現像ローラ、余剰現像剤の回収手段などから構成される。
【0003】
感光ドラムは、帯電器により帯電させられた後、露光LEDによって選択的に画像部の電位を帯電電位から露光電位に変化させられる。これによって、感光ドラム上には、静電潜像が形成される。また、感光ドラムと現像剤の組み合わせ次第では選択的に非画像部を露光することもできる。このようにして形成された静電潜像は、現像器で現像された後、転写ローラによって媒体(印刷用紙など)に転写される。
【0004】
現像器は、現像剤の供給手段と回収手段、バイアス印加手段から構成されている。従来の湿式現像器の場合、過剰な現像剤を現像ポイント(現像電界が作用しているポイント)に供給し、電気泳動にて現像している。この場合、現像剤のモビリティー(移動度)が低いため、現像剤の濃度を1〜2%と低くする必要がある。このため、現像により濃度を確保するために必要な固形分を約1マイクロメートル程度と仮定すると、現像ニップでは、断面を通過して供給される液量は、約100マイクロメートルに達する。これを達成するため、現像ニップでは、50〜100マイクロメートルのギャップを形成させ、現像ローラに周速差をもたせるなどして、濃度を確保するために十分な液量を確保している。現像後の現像剤層の厚さは約100マイクロメートルの厚さになる。転写部では、媒体へ接触して転写するため、接触させる圧力が必要であり、そのような圧力のかかった部分を100マイクロメートル程度の厚さの液がスムーズに通過することは困難であり、液層が乱され、結果として何らかの画像の乱れを生じる。これを防ぐため、通常は、転写前に現像剤に含まれる余分なキャリア液を取り除く「スクイーズローラ」と呼ばれるローラによるキャリア液除去工程が存在し、画像部から余分なキャリアを除去する。
【0005】
このような目的を達成するための別の方法としては、図8に示すような、スクイーズローラ側に現像作用を持たせたものもある。図8は、従来技術による別の湿式電子写真装置の例を示す。例示の装置において、除去効率を高めるために、現像ローラ及びスクイーズローラは、感光ドラムに対して通常リバース回転している。
【0006】
このように、低濃度の現像剤を用いる湿式電子写真装置において、現像口−ラを感光ドラムに対してリバース回転させることが知られており、現像行為が実質的には現像ローラとスクイーズローラとで行われていることから考えると、低濃度の現像剤を用いる湿式現像においては、一般的なものであると言うことができる。
【0007】
一方、最近の開発によれば、図7及び図8に例示した装置とは異なった現像方式が提案されている。特許文献1に開示の技術は、環境に配慮し、現像剤に含まれるキャリア液の量を少なくして固形分濃度を高めた現像剤(例えば、5〜30%)を使用する。これにより、少ない現像剤量でも十分な濃度を確保することができるため、現像剤の断面を通過する量は4〜20マイクロメートルで十分である。このような現像方式の一例を示したものが図9である。この方式では、現像ギャップは10マイクロメートル以下が要求されるため、ローラとして弾性体ローラを用い、通常回転方向は順回転方向にとる。
【0008】
また、この方法の類似例として、特許文献2には、グラビアロール(例えば、アニロックスローラ)を用いた場合の現像方法が開示されている。この例を、図10に基づき説明する。アニロックスローラをトナーに浸し、アニロックスローラ表面の過剰トナーをブレードでかきとることで、アニロックスローラ上にはアニロックスパターンサイズや形状に応じた一定量のトナーを搬送することができる。そして現像ローラと当接させることで、現像ローラ上に厚みが均一かつ平滑なトナー層を形成させることができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−65293号公報
【特許文献2】
特開2001−34073号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、固形分濃度を高めた現像剤を使用する湿式電子写真装置において、10μm以下の現像ギャップを常時確保するには、非常に高度な現像ローラの加工精度やギャップ保証構造が要求され、実現するのは困難である。そのため、現像ローラを弾性体とし、感光体と接触させて動的にギャップを形成させている。
【0011】
つまり、従来の現像ローラは感光体と同周速で回転しており、同方向に当接することで現像する。そのときトナー粒子には主に次の力が作用すると考えられる。
(1)現像ローラと感光体間の電界の力
(2)トナー粒子間の粘性の力
理想的には(1)の電界の力だけによる現像が望ましいが、現実は(2)の粘性の力のためにニップ出口でトナー層の破壊分離が発生し、非画像部(かぶり)、画像部のいずれにもリビュレット状の濃淡ムラが発生し画像品質が劣ってしまう。本発明者は、鋭意実験を重ね、画像上問題のないレベルで現像ローラをリバース回転させて画質を改善した現像器を実現することができた。
【0012】
本発明は、固形分濃度を高めた現像剤を使用する湿式電子写真装置(プリンタ、複写機など)において、リブ、リビングまたはリビュレット等と称されている濃淡ムラのない高品質な画像を得ることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の湿式電子写真装置は、感光体上に形成された静電潜像を、現像剤支持部材を介して供給される高濃度の液体現像剤を用いて現像し、印刷媒体へ転写する。この現像剤支持部材を感光体に対して弾性的に当接させ、感光体に接触するように配置し、かつ、その回転方向を、感光体に対しリバース方向としている。そして、感光体と現像剤支持部材の間のニップ間に供給される現像剤層を二層とし、感光体側の表層を比較的低濃度に、かつ現像剤支持部材側の内層を比較的高濃度にしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、例示により本発明を説明する。本発明は、固形分濃度を高めた現像剤を使用する湿式電子写真装置に用いられる現像器の構成に特徴を有している。本発明を具体化する湿式電子写真装置自体は、現像器の構成を除いて、図9に例示したような通常の湿式電子写真装置の構成にすることができる。図1は、このような高濃度の現像剤を使用する本発明の湿式電子写真装置に用いることのできる現像器を例示する図である。
【0015】
本発明の特徴とする現像ローラは、図1に示すように、供給ローラから供給された現像剤を、凝集用ブレード等を用いて二層化し、この現像ローラを感光体に対してリバース方向の回転にして現像を行う(本明細書において、リバース回転とは、当接して回転する両ローラの表面がリバース方向(逆方向)に移動することを意味する用語として用いる。)。但し、本発明は、現像ローラに代えて、それ自体周知の現像ベルトを用いることは可能である。本発明は、このような現像ローラや現像ベルトなどの現像剤支持部材を、感光ドラムに対して弾性的に当接させ、感光ドラムに接触するように配置した上で、回転方向を、感光ドラムに対しリバース方向にしている。図示の例において、現像ローラに現像剤を供給するローラは、図10を参照して説明したようなアニロックスローラとして例示している。アニロックスローラを現像剤に浸し、アニロックスローラ表面の過剰トナーをブレードでかきとることで、アニロックスローラ上にはアニロックスパターンサイズや形状に応じた一定量のトナーを搬送することができる。そして現像ローラと当接させることで、現像ローラ上に厚みが均一かつ平滑なトナー層を形成させることができるという効果を有するものの、本発明は、これに限定されるものではない。
【0016】
現像ローラをリバース回転させることにより、トナー層間に強いせん断力が発生する。そのため、画像部では現像ローラ上のトナー層を感光ドラムが掻き取るかのように振る舞い、ニップ出口での破壊分離が抑えられリビュレットのない画像を得ることができる。
【0017】
図2は、リバース回転の現像ローラの作用を説明する図である。塗料等のコーティング分野ではリバース回転ローラによるコーティング技術が用いられている。これを現像プロセスに当てはめると、トナー進入側のローラを現像ローラ、トナー掻き取り側のローラを感光体と置き換えて考えることができる。
【0018】
Qo :進入流量(現像ローラ上進入現像剤量)
Qd :通過流量
Qpc :掻き取り流量(感光体掻き取り現像剤量)
To :進入膜厚
Td :通過膜厚
Tpc :掻き取り膜厚
Vd :進入、通過周速度(現像ローラ周速度)
Vpc :掻き取り周速度(感光体周速度)
λ :比例定数(1.2<λ<1.4)
H :ローラ間ギャップ
とすると、
Qd=Td.Vd=λ・H(Vd−Vpc)/2
なる関係がある。ここでローラ間ギャップH=進入膜厚Toとすれば、
Qpc/Qo=1−λ・(1−Vpc/Vd)/2
となる。これはリバース現像ローラの感光体との速度比と、感光体の掻き取り比(進入流量に対する掻き取り流量の比)の関係を表していることになる。これを図3に示す。
【0019】
ニップ間のトナーには次の力の関係がある。
画像部 :リバース掻き取り力+電界(現像電位−露光電位)の力
非画像部:リバース掻き取り力+電界(現像電位−帯電電位)の力
図4に示すように、画像部には電界の力に加え、掻き取り力もプラス方向に加わるので問題ない。しかし、図5に示すように、非画像部ではせん断力(掻き取り力)に打ち勝つだけの大きな電界の力を与えなければならない。図3から、現像ローラの周速度を大きくする方が感光体への掻き取り量は減少し、非画像部でのかぶりを抑えやすくなる。速度比が1以下では100%の掻き取りとなり、電界の力でかぶりを抑えるのは困難になる。速度比は1より大きいことが望ましい。但し、周速度を4以上に現像ローラの周速度を大きくしても、掻き取り比が略一定となる。この掻き取り比が一定の範囲では、現像ローラの速度は遅いほど機構的に望ましい。即ち、速度比は1以上4以下が望ましい。
【0020】
図1に例示の現像ローラは、トナー凝集用のブレードを備えている。このトナー凝集用ブレードにバイアス電圧Vbを印加することにより、表層を比較的低濃度にし、内層を比較的高濃度にするトナー層を形成できることが知られている。このトナー凝集用ブレードを用いて、図6に示すように、ニップ間のトナー層を二層とし、表層(感光体側)を比較的低濃度に、内層(現像ローラ側)を比較的高濃度にすることができ、これにより、非画像部でのかぶりの抑えを確実にすることが可能となる。
【0021】
また、感光ドラムや印刷媒体上の画像部濃度や非画像部濃度(かぶり)を検出する装置(濃度センサなど)もしくはトナー温度を検出する装置を備えることができる。このような検出装置からの出力に応じて、現像ローラ速度や凝集手段による凝集レベルを制御することが可能となる。
【0022】
このように、感光ドラムに直接接触するトナー層は低濃度の部分とした上で、現像ローラをリバース回転させることにより、かぶりを効率的に抑えることができる。表層を比較的低濃度にし、内層を比較的高濃度にするトナー層を形成するには、上述のトナー凝集用ブレードを用いる以外にも、例えば、予め感光ドラムをキャリアオイルでぬらしておくこと(プリウェット)によっても可能である。これは、感光ドラム上で現像部より上流に設けたプリウェット手段によって行うことができる。
【0023】
また、かぶりを抑えるには現像ローラと感光ドラムの接触圧力はできる限り小さく、かつ安定にするのが望ましい。現像ローラと感光ドラム間ギャップをトナー層厚未満にするのが望ましい。例えば10μmのトナー層厚の場合、ギャップは0〜10μmにするのが良いが、ローラの振れ精度などから実質的には困難である。現像ローラを弾性ローラとし、感光ドラムと接触させる方法が現実的である。現像ローラは、ゴム硬度JIS−A 10度〜50度、望ましくはJIS−A 40度以下、感光体と現像ローラの付き当て量を50〜300μmであれば、接触していても動的にはギャップが発生し、トナーは通過することができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、現像ローラを感光体に対して弾性的に当接させ、感光体に接触するように配置し、かつ、その回転方向を、感光体に対しリバース方向とし、そして、感光体と現像ローラの間のニップ間に供給される現像剤層を二層とし、感光体側の表層を比較的低濃度に、かつ現像ローラ側の内層を比較的高濃度にしたことにより、固形分濃度を高めた現像剤を使用する湿式電子写真装置において、濃淡ムラのない高品質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高濃度の現像剤を使用する本発明の湿式電子写真装置に用いることのできる現像器を例示する図である。
【図2】リバース回転の現像ローラの作用を説明する図である。
【図3】リバース現像ローラの感光体との速度比と、感光体の掻き取り比の関係を表す図である。
【図4】画像部におけるトナーに加わる力を説明する図である。
【図5】非画像部におけるトナーに加わる力を説明する図である。
【図6】現像ローラ上のトナーの二層化を説明する図である。
【図7】従来技術による代表的な湿式電子写真装置の概略を示す図である。
【図8】従来技術による別の湿式電子写真装置の例を示す図である。
【図9】特許文献1に開示の従来技術を示す図である。
【図10】特許文献2に開示の従来技術を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光体上に形成された静電潜像を、現像剤支持部材を介して供給される高濃度の液体現像剤を用いて現像し、印刷媒体へ転写する湿式電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7に、従来技術による代表的な湿式電子写真装置の概略を示す。例示の湿式電子写真装置は、露光により、電気抵抗が低下する絶縁体膜によって構成される感光ドラム、感光ドラムへの帯電手段としての帯電器、感光ドラムへの露光手段としての露光LED、現像器、媒体への転写手段としての転写ローラ等によって構成されている。現像器は、現像剤を供給する供給ローラ、バイアス電圧Vdを印加して現像をするための現像ローラ、余剰現像剤の回収手段などから構成される。
【0003】
感光ドラムは、帯電器により帯電させられた後、露光LEDによって選択的に画像部の電位を帯電電位から露光電位に変化させられる。これによって、感光ドラム上には、静電潜像が形成される。また、感光ドラムと現像剤の組み合わせ次第では選択的に非画像部を露光することもできる。このようにして形成された静電潜像は、現像器で現像された後、転写ローラによって媒体(印刷用紙など)に転写される。
【0004】
現像器は、現像剤の供給手段と回収手段、バイアス印加手段から構成されている。従来の湿式現像器の場合、過剰な現像剤を現像ポイント(現像電界が作用しているポイント)に供給し、電気泳動にて現像している。この場合、現像剤のモビリティー(移動度)が低いため、現像剤の濃度を1〜2%と低くする必要がある。このため、現像により濃度を確保するために必要な固形分を約1マイクロメートル程度と仮定すると、現像ニップでは、断面を通過して供給される液量は、約100マイクロメートルに達する。これを達成するため、現像ニップでは、50〜100マイクロメートルのギャップを形成させ、現像ローラに周速差をもたせるなどして、濃度を確保するために十分な液量を確保している。現像後の現像剤層の厚さは約100マイクロメートルの厚さになる。転写部では、媒体へ接触して転写するため、接触させる圧力が必要であり、そのような圧力のかかった部分を100マイクロメートル程度の厚さの液がスムーズに通過することは困難であり、液層が乱され、結果として何らかの画像の乱れを生じる。これを防ぐため、通常は、転写前に現像剤に含まれる余分なキャリア液を取り除く「スクイーズローラ」と呼ばれるローラによるキャリア液除去工程が存在し、画像部から余分なキャリアを除去する。
【0005】
このような目的を達成するための別の方法としては、図8に示すような、スクイーズローラ側に現像作用を持たせたものもある。図8は、従来技術による別の湿式電子写真装置の例を示す。例示の装置において、除去効率を高めるために、現像ローラ及びスクイーズローラは、感光ドラムに対して通常リバース回転している。
【0006】
このように、低濃度の現像剤を用いる湿式電子写真装置において、現像口−ラを感光ドラムに対してリバース回転させることが知られており、現像行為が実質的には現像ローラとスクイーズローラとで行われていることから考えると、低濃度の現像剤を用いる湿式現像においては、一般的なものであると言うことができる。
【0007】
一方、最近の開発によれば、図7及び図8に例示した装置とは異なった現像方式が提案されている。特許文献1に開示の技術は、環境に配慮し、現像剤に含まれるキャリア液の量を少なくして固形分濃度を高めた現像剤(例えば、5〜30%)を使用する。これにより、少ない現像剤量でも十分な濃度を確保することができるため、現像剤の断面を通過する量は4〜20マイクロメートルで十分である。このような現像方式の一例を示したものが図9である。この方式では、現像ギャップは10マイクロメートル以下が要求されるため、ローラとして弾性体ローラを用い、通常回転方向は順回転方向にとる。
【0008】
また、この方法の類似例として、特許文献2には、グラビアロール(例えば、アニロックスローラ)を用いた場合の現像方法が開示されている。この例を、図10に基づき説明する。アニロックスローラをトナーに浸し、アニロックスローラ表面の過剰トナーをブレードでかきとることで、アニロックスローラ上にはアニロックスパターンサイズや形状に応じた一定量のトナーを搬送することができる。そして現像ローラと当接させることで、現像ローラ上に厚みが均一かつ平滑なトナー層を形成させることができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−65293号公報
【特許文献2】
特開2001−34073号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、固形分濃度を高めた現像剤を使用する湿式電子写真装置において、10μm以下の現像ギャップを常時確保するには、非常に高度な現像ローラの加工精度やギャップ保証構造が要求され、実現するのは困難である。そのため、現像ローラを弾性体とし、感光体と接触させて動的にギャップを形成させている。
【0011】
つまり、従来の現像ローラは感光体と同周速で回転しており、同方向に当接することで現像する。そのときトナー粒子には主に次の力が作用すると考えられる。
(1)現像ローラと感光体間の電界の力
(2)トナー粒子間の粘性の力
理想的には(1)の電界の力だけによる現像が望ましいが、現実は(2)の粘性の力のためにニップ出口でトナー層の破壊分離が発生し、非画像部(かぶり)、画像部のいずれにもリビュレット状の濃淡ムラが発生し画像品質が劣ってしまう。本発明者は、鋭意実験を重ね、画像上問題のないレベルで現像ローラをリバース回転させて画質を改善した現像器を実現することができた。
【0012】
本発明は、固形分濃度を高めた現像剤を使用する湿式電子写真装置(プリンタ、複写機など)において、リブ、リビングまたはリビュレット等と称されている濃淡ムラのない高品質な画像を得ることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の湿式電子写真装置は、感光体上に形成された静電潜像を、現像剤支持部材を介して供給される高濃度の液体現像剤を用いて現像し、印刷媒体へ転写する。この現像剤支持部材を感光体に対して弾性的に当接させ、感光体に接触するように配置し、かつ、その回転方向を、感光体に対しリバース方向としている。そして、感光体と現像剤支持部材の間のニップ間に供給される現像剤層を二層とし、感光体側の表層を比較的低濃度に、かつ現像剤支持部材側の内層を比較的高濃度にしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、例示により本発明を説明する。本発明は、固形分濃度を高めた現像剤を使用する湿式電子写真装置に用いられる現像器の構成に特徴を有している。本発明を具体化する湿式電子写真装置自体は、現像器の構成を除いて、図9に例示したような通常の湿式電子写真装置の構成にすることができる。図1は、このような高濃度の現像剤を使用する本発明の湿式電子写真装置に用いることのできる現像器を例示する図である。
【0015】
本発明の特徴とする現像ローラは、図1に示すように、供給ローラから供給された現像剤を、凝集用ブレード等を用いて二層化し、この現像ローラを感光体に対してリバース方向の回転にして現像を行う(本明細書において、リバース回転とは、当接して回転する両ローラの表面がリバース方向(逆方向)に移動することを意味する用語として用いる。)。但し、本発明は、現像ローラに代えて、それ自体周知の現像ベルトを用いることは可能である。本発明は、このような現像ローラや現像ベルトなどの現像剤支持部材を、感光ドラムに対して弾性的に当接させ、感光ドラムに接触するように配置した上で、回転方向を、感光ドラムに対しリバース方向にしている。図示の例において、現像ローラに現像剤を供給するローラは、図10を参照して説明したようなアニロックスローラとして例示している。アニロックスローラを現像剤に浸し、アニロックスローラ表面の過剰トナーをブレードでかきとることで、アニロックスローラ上にはアニロックスパターンサイズや形状に応じた一定量のトナーを搬送することができる。そして現像ローラと当接させることで、現像ローラ上に厚みが均一かつ平滑なトナー層を形成させることができるという効果を有するものの、本発明は、これに限定されるものではない。
【0016】
現像ローラをリバース回転させることにより、トナー層間に強いせん断力が発生する。そのため、画像部では現像ローラ上のトナー層を感光ドラムが掻き取るかのように振る舞い、ニップ出口での破壊分離が抑えられリビュレットのない画像を得ることができる。
【0017】
図2は、リバース回転の現像ローラの作用を説明する図である。塗料等のコーティング分野ではリバース回転ローラによるコーティング技術が用いられている。これを現像プロセスに当てはめると、トナー進入側のローラを現像ローラ、トナー掻き取り側のローラを感光体と置き換えて考えることができる。
【0018】
Qo :進入流量(現像ローラ上進入現像剤量)
Qd :通過流量
Qpc :掻き取り流量(感光体掻き取り現像剤量)
To :進入膜厚
Td :通過膜厚
Tpc :掻き取り膜厚
Vd :進入、通過周速度(現像ローラ周速度)
Vpc :掻き取り周速度(感光体周速度)
λ :比例定数(1.2<λ<1.4)
H :ローラ間ギャップ
とすると、
Qd=Td.Vd=λ・H(Vd−Vpc)/2
なる関係がある。ここでローラ間ギャップH=進入膜厚Toとすれば、
Qpc/Qo=1−λ・(1−Vpc/Vd)/2
となる。これはリバース現像ローラの感光体との速度比と、感光体の掻き取り比(進入流量に対する掻き取り流量の比)の関係を表していることになる。これを図3に示す。
【0019】
ニップ間のトナーには次の力の関係がある。
画像部 :リバース掻き取り力+電界(現像電位−露光電位)の力
非画像部:リバース掻き取り力+電界(現像電位−帯電電位)の力
図4に示すように、画像部には電界の力に加え、掻き取り力もプラス方向に加わるので問題ない。しかし、図5に示すように、非画像部ではせん断力(掻き取り力)に打ち勝つだけの大きな電界の力を与えなければならない。図3から、現像ローラの周速度を大きくする方が感光体への掻き取り量は減少し、非画像部でのかぶりを抑えやすくなる。速度比が1以下では100%の掻き取りとなり、電界の力でかぶりを抑えるのは困難になる。速度比は1より大きいことが望ましい。但し、周速度を4以上に現像ローラの周速度を大きくしても、掻き取り比が略一定となる。この掻き取り比が一定の範囲では、現像ローラの速度は遅いほど機構的に望ましい。即ち、速度比は1以上4以下が望ましい。
【0020】
図1に例示の現像ローラは、トナー凝集用のブレードを備えている。このトナー凝集用ブレードにバイアス電圧Vbを印加することにより、表層を比較的低濃度にし、内層を比較的高濃度にするトナー層を形成できることが知られている。このトナー凝集用ブレードを用いて、図6に示すように、ニップ間のトナー層を二層とし、表層(感光体側)を比較的低濃度に、内層(現像ローラ側)を比較的高濃度にすることができ、これにより、非画像部でのかぶりの抑えを確実にすることが可能となる。
【0021】
また、感光ドラムや印刷媒体上の画像部濃度や非画像部濃度(かぶり)を検出する装置(濃度センサなど)もしくはトナー温度を検出する装置を備えることができる。このような検出装置からの出力に応じて、現像ローラ速度や凝集手段による凝集レベルを制御することが可能となる。
【0022】
このように、感光ドラムに直接接触するトナー層は低濃度の部分とした上で、現像ローラをリバース回転させることにより、かぶりを効率的に抑えることができる。表層を比較的低濃度にし、内層を比較的高濃度にするトナー層を形成するには、上述のトナー凝集用ブレードを用いる以外にも、例えば、予め感光ドラムをキャリアオイルでぬらしておくこと(プリウェット)によっても可能である。これは、感光ドラム上で現像部より上流に設けたプリウェット手段によって行うことができる。
【0023】
また、かぶりを抑えるには現像ローラと感光ドラムの接触圧力はできる限り小さく、かつ安定にするのが望ましい。現像ローラと感光ドラム間ギャップをトナー層厚未満にするのが望ましい。例えば10μmのトナー層厚の場合、ギャップは0〜10μmにするのが良いが、ローラの振れ精度などから実質的には困難である。現像ローラを弾性ローラとし、感光ドラムと接触させる方法が現実的である。現像ローラは、ゴム硬度JIS−A 10度〜50度、望ましくはJIS−A 40度以下、感光体と現像ローラの付き当て量を50〜300μmであれば、接触していても動的にはギャップが発生し、トナーは通過することができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、現像ローラを感光体に対して弾性的に当接させ、感光体に接触するように配置し、かつ、その回転方向を、感光体に対しリバース方向とし、そして、感光体と現像ローラの間のニップ間に供給される現像剤層を二層とし、感光体側の表層を比較的低濃度に、かつ現像ローラ側の内層を比較的高濃度にしたことにより、固形分濃度を高めた現像剤を使用する湿式電子写真装置において、濃淡ムラのない高品質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高濃度の現像剤を使用する本発明の湿式電子写真装置に用いることのできる現像器を例示する図である。
【図2】リバース回転の現像ローラの作用を説明する図である。
【図3】リバース現像ローラの感光体との速度比と、感光体の掻き取り比の関係を表す図である。
【図4】画像部におけるトナーに加わる力を説明する図である。
【図5】非画像部におけるトナーに加わる力を説明する図である。
【図6】現像ローラ上のトナーの二層化を説明する図である。
【図7】従来技術による代表的な湿式電子写真装置の概略を示す図である。
【図8】従来技術による別の湿式電子写真装置の例を示す図である。
【図9】特許文献1に開示の従来技術を示す図である。
【図10】特許文献2に開示の従来技術を示す図である。
Claims (6)
- 感光体上に形成された静電潜像を、現像剤支持部材を介して供給される高濃度の液体現像剤を用いて現像して、印刷媒体へ転写する湿式電子写真装置において、
前記現像剤支持部材を感光体に対して弾性的に当接させ、感光体に接触するように配置し、かつ、その回転方向を、感光体に対しリバース方向とし、
前記感光体と前記現像剤支持部材の間のニップ間に供給される現像剤層を二層とし、感光体側の表層を比較的低濃度に、かつ現像剤支持部材側の内層を比較的高濃度にした、
ことから成る湿式電子写真装置。 - 前記現像剤支持部材がゴム硬度JIS−A 10度〜50度としたローラ構成の弾性ローラであり、該弾性ローラと感光体の付き当て量を50〜300μmとした請求項1に記載の湿式電子写真装置。
- 前記現像剤支持部材の周速度の絶対値を感光体の周速度より大きくした請求項1に記載の湿式電子写真装置。
- 前記現像剤層を二層にする手段が、前記現像剤支持部材上の現像剤層を現像前に凝集させる手段から構成される請求項1に記載の湿式電子写真装置。
- 感光体或いは印刷媒体上の画像部濃度や非画像部濃度を検出する装置もしくはトナー温度を検出する装置を備え、この検出出力に応じて現像剤支持部材速度或いは凝集手段による凝集レベルを制御する請求項4に記載の湿式電子写真装置。
- 前記現像剤層を二層にする手段が、感光体上で現像部より上流に設けたプリウェット手段によって構成される請求項1に記載の湿式電子写真装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003100581A JP2004309652A (ja) | 2003-04-03 | 2003-04-03 | 高濃度の液体現像剤を用いた湿式電子写真装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003100581A JP2004309652A (ja) | 2003-04-03 | 2003-04-03 | 高濃度の液体現像剤を用いた湿式電子写真装置 |
Publications (1)
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JP2004309652A true JP2004309652A (ja) | 2004-11-04 |
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ID=33464674
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009042396A (ja) * | 2007-08-07 | 2009-02-26 | Kyocera Mita Corp | 現像装置及び画像形成装置 |
JP2011048263A (ja) * | 2009-08-28 | 2011-03-10 | Kyocera Mita Corp | 現像装置及び該装置を搭載した画像形成装置 |
-
2003
- 2003-04-03 JP JP2003100581A patent/JP2004309652A/ja not_active Withdrawn
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