JP2004308828A - カムフォロア - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を増やすことなく、カムフォロアの低トルク化を図る。
【解決手段】互いに間隔をおいて対向する一対の側壁3,4を有する胴体2と、両側壁3,4間に架設される支軸5と、この支軸5に対してころ7を介して回転自在に設けられるローラ6とを備え、ローラ6の軸方向両端部に、それぞれ径方向内方に延出する鍔部6c,6dが一体に設けられている。鍔部6c,6dは、ころ7の軸方向端面と側壁3,4の内面との間に介在して、前記両面が直接的に摺接することを回避することで、摩擦が低減されるようにしている。鍔部6c,6dは、ローラ6の円筒部6bと一体に成形される場合もあるし、別体に構成された上で、円筒部6bに取着される場合もある。
【選択図】 図1
【解決手段】互いに間隔をおいて対向する一対の側壁3,4を有する胴体2と、両側壁3,4間に架設される支軸5と、この支軸5に対してころ7を介して回転自在に設けられるローラ6とを備え、ローラ6の軸方向両端部に、それぞれ径方向内方に延出する鍔部6c,6dが一体に設けられている。鍔部6c,6dは、ころ7の軸方向端面と側壁3,4の内面との間に介在して、前記両面が直接的に摺接することを回避することで、摩擦が低減されるようにしている。鍔部6c,6dは、ローラ6の円筒部6bと一体に成形される場合もあるし、別体に構成された上で、円筒部6bに取着される場合もある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロッカアーム等に設けられるカムフォロアに関する。
【0002】
【従来の技術】
カムフォロアは、例えば、自動車等のエンジンの動弁機構や、その他の各種カム機構等に用いられている。このカムフォロアは、胴体に互いに対向する一対の側壁を有しており、これら両側壁間に架設された支軸に対して、外部の部材であるカムに当接するローラが回転自在に設けられた構成となっている。従来のカムフォロアでは、支軸の外周面とローラの内周面との間に、針状ころのような複数のころを介在させているものが多い。
【0003】
前記のように、支軸とローラとの間にころを介在させたカムフォロアでは、従来、ころの軸方向端面と側壁の内面との間に、ワッシャ状の薄板材が介装されているものがある(特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
実開平1−8510号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、自動車関連部品において、燃費の改善を図るべく、エンジン各部の低摩擦化、低トルク化が必要となってきている。その結果、エンジンの動弁機構に用いられているカムフォロアにおいても、さらに低トルク化を進めていかなければならない。
【0006】
従来のカムフォロアでは、低トルク化のために種々の手段が講じられているが、本件発明者がこれまで実施してきた試験の結果では、カムフォロアにおいて摺動、摩耗の激しい部分での摩擦低減の対策が充分ではなかった。
【0007】
すなわち、支軸とローラとの間にころが介在しているタイプのカムフォロアにおいては、ころはその軸心周りに自転しながら支軸の周りを公転する。ころのスキューが発生する等して、ころの軸方向位置が一方に変位した場合、ころの軸方向端面は、自転と公転とが合成された運動をしながら、その両側にある側壁の一方の内面と擦れ合う。そのため、ころの軸方向端面と側壁の内面との間に、激しい摩擦が生じる。
【0008】
これに対して、特許文献2に記載のカムフォロアでは、ころの軸方向端面と側壁との間に、ワッシャ状の薄板材が介在するので、ころの軸方向端面と側壁との直接的な接触は避けられる。しかし、このようにワッシャ状の薄板材が設けられた構成では、部品点数が増えてそれだけ組み立てが面倒になるほか、動作の面で種々の不具合が引き起こされるおそれがある。
【0009】
たとえば、ワッシャ状の薄板材は支軸に対して傾き、倒れが生じやすく、傾斜した姿勢で、側壁内面を傷つけたり、ころやローラの移動幅を狭くして、ローラの回転を阻害したりする。また、ワッシャ状の薄板材が支軸に対して径方向のがたつきがある場合は、その外周部が、ローラと側壁との間の隙間に入り込んで、ローラの回転を阻害することもある。
【0010】
本発明は、上記従来の問題に対処したもので、部品点数を増やすことなく、ころの軸方向端面と、側壁の内面との摩擦を低減して、カムフォロアの低トルク化を図ることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を達成するために、互いに間隔をおいて対向する一対の側壁を有する胴体と、前記両側壁間に架設される支軸と、この支軸に対して所要の環状空間を存して回転自在に設けられ外周面にカムが当接するローラと、ローラと支軸との間の環状空間に介装される複数のころとを備え、前記ローラの軸方向両端部に、それぞれ径方向内方に延出して前記ころの軸方向端面と前記側壁の内面との間に位置する鍔部が一体に設けられているカムフォロアを構成している。
【0012】
上記構成によれば、カムの回転に伴い、ローラが回転している状態のもとで、ころのスキューが発生する等して、ころの軸方向位置が一方に変位することがあっても、ころの軸方向端面と側壁との間には、ローラの鍔部が介在するので、ころの軸方向端面と側壁の内面との直接的な接触は避けられる。
【0013】
しかも、従来であれば、ころの軸方向端面と、固定側の部材である側壁の内面との間に生じた激しい擦れ合いが、側壁内面に対する鍔部外面のローラ回転に伴う擦れ合いと、鍔部内面に対するころの自転に伴う擦れ合いとに分かれる。側壁の内面と鍔部の外面との間では、接触面積が広くて接触面圧が低いので、両面間に生じる摩擦は小さい。また、鍔部は、ローラの回転に伴いころの公転方向に回転するので、この鍔部の内面ところの軸方向端面との間では、ころの公転方向の擦れ合いは僅かしか生じない。そのため、本発明の上記構成では、従来のように激しく擦れ合う個所がなくなり、全体として摩擦抵抗が小さくなり、トルクが減少する。
【0014】
さらに、側壁の内面は、従来のようにころの軸方向端面が直接的に擦れ合うことがないので、摩耗が少ない。そのため、側壁やこの側壁を含む胴体に、たとえばアルミニウムのような軽量の金属の使用が可能となり、カムフォロアの軽量化を図ることができる。
【0015】
また、鍔部はローラに一体に設けられるので、部品点数が増えず、組み立てが容易であり、構造が複雑化しないので、動作面の不具合が生じない。
【0016】
上記構成において、両鍔部とローラの円筒部とは、同一の素材で一体に成形されていてもよいし、鍔部の一方もしくは両方が、円筒部とは別体に構成された上で、円筒部に一体に取着されていてもよい。両鍔部とローラの円筒部とが一体に成形されている場合、別体に構成された鍔部が円筒部に取着されている場合のように、鍔部と円筒部との継ぎ目を有しないから、ローラの外周面や、ローラの軸方向端面を含む鍔部外面をそれぞれ平滑に保つことができ、カムとの接触抵抗や、鍔部外面と側壁内面との摩擦を増大させることがない。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明すると、図1は本発明の第1実施形態に係るカムフォロアの縦断面図である。図1において、符号1はカムフォロアの全体を示し、2はその胴体、3,4は、前記胴体2の一部である側壁、5は支軸、6はローラ、7はころである。
【0018】
側壁3,4は、2つ一対で、互いに間隔をおいて平行に対向している。支軸5は、通常、焼き入れ、浸炭、窒化等の硬化処理を施した鋼材で構成されるもので、一対の側壁3,4間に架橋状に取り付けられる。この支軸5は、たとえば側壁3,4の取り付け孔に挿入した後、かしめにより側壁3,4に固定されるか、あるいは取り付け孔に圧入することで、側壁3,4に固定されている。
【0019】
ローラ6は、一対の側壁3,4の対向間隔内で、前記支軸5に対して所要の環状空間を存して回転自在に設けられるもので、その外周面には外部の部材であるカム8が当接するようになっている。このローラ6と前記支軸5との間の環状空間内に、ころ7が複数が設けられている。ころ7は、支軸5の外周面ともローラ6の内周面6aとも転がり接触するもので、通常、焼き入れ、浸炭、窒化等の硬化処理を施した鋼材で構成されるが、他の金属材料、もしくはセラミック材料で構成されたものでもよい。
【0020】
ローラ6の軸方向両端部には、それぞれ径方向内方に延出する鍔部6c,6dが一体に設けられている。これら鍔部6c,6dは、ころ7の軸方向端面と側壁3,4の内面との間に介在して、前記両面の直接的な接触を回避するためのものである。
【0021】
これら鍔部6c,6dと、ローラ6の本体部分である円筒部6bとは、同一の素材で一体に成形されていてもよいし、鍔部6c,6dが、円筒部6bとは別体に成形された上で、円筒部6bの軸方向端部に一体に取着されていてもよいが、本実施形態では、両鍔部6c,6dのうち、一方の(図1で左側の)鍔部6cが、ローラ6の円筒部6bとは別体に環状の板体として形成された上で、円筒部6bの軸方向端部に熱圧着、圧入、溶接等の手段により一体に取着されている。
【0022】
この一方の鍔部6cは、ローラ6の円筒部6bの外径より小径で、円筒部6bの内径より大径の環状の板体である。そして、この鍔部6cは、円筒部6bの軸方向端部に形成された環状の段落部6e内に嵌め込まれており、鍔部6cの外面と円筒部6bの軸方向端面とは、面一となっている。他方の(図1で右側の)鍔部6dは、円筒部6bとは同一の素材からなり、この鍔部6dと円筒部6bとは、鍛造、研削、もしくはこれらの組み合わせ等の手段により、一体に成形されていている。
【0023】
さらに、両鍔部6c,6dの外面は(一方の鍔部6cの外面では、それと面一である円筒部6bの軸方向端面とともに)、全面がその軸心と直交する面に沿うよう平坦に仕上げられていて、ローラ6が支軸5と同軸の状態では、鍔部6c,6dの外面と側壁3,4の内面との対向面が全面的に接触しうるようになっている。また、各鍔部6c,6dの内周縁と支軸5の外周面との間には隙間9が形成されていて、この隙間9を通じて潤滑油がころ7の側に流入しうるようになっている。
【0024】
上記構成によれば、カム8の接触回転に伴い、ローラ6が回転すると、ころ7は、支軸5とローラろの円筒部6bとの間で、自転しながら支軸5の周りを公転する。この状態のもとで、スキュー等によりころ7の軸方向位置が一方に変位することがあっても、ころ7の軸方向端面と側壁3,4内面との間には、ローラ6の鍔部6c,6dが介在するので、ころ7の軸方向端面と側壁3,4の内面との直接的な接触は避けられる。
【0025】
しかも、この場合、固定側の部材である側壁3,4の内面には、鍔部6c,6dの外面が摺接するが、両者の摺接は、広い接触面を介しての摺接であるから、接触面圧が低く、それだけ摩擦が小さい。また、鍔部6c,6dの内面には、ころ7の軸方向端面が摺接するが、鍔部6c,6dはローラ6と一体に回転していて、ころ7の公転方向に移動しているから、鍔部6c,6dの内面ところ7の軸方向端面との間の摩擦は、ほとんどころ7の自転に伴う摩擦で、ころ7の公転に伴う摩擦は少ない。そのため、ころ7と鍔部6c,6dと側壁3,4との三者間には、激しく擦れ合う個所がなく、前記の三者間に生じる摩擦は、従来、ころの軸方向端面が直接、側壁内面に摺接する場合に生じる摩擦より少なく、カムフォロア1全体のトルクが減少する。
【0026】
さらに、側壁3,4の内面は、従来のようにころの軸方向端面が直接的に擦れ合うことがないので、摩耗が少ない。そのため、側壁3,4やこの側壁3,4を含む胴体2に、たとえばアルミニウムのような軽量の金属を支障なく使用することができ、カムフォロア1の軽量化を図ることができる。
【0027】
また、鍔部6c,6dはローラ6に一体に設けられているので、部品点数が増えず、組み立てが容易であり、構造が複雑化しないので、動作面での不具合が生じない。
【0028】
なお、ローラ6の円筒部6bとは別体に構成された鍔部6cが、図1に図示のように、円筒部6bの端部に形成された環状の段落部6e内に嵌め込まれている場合は、鍔部6cと円筒部6bとの継ぎ目がローラ6の外周面に現れない。これにより、ローラ6外周面が平滑に保たれ、カム8との接触抵抗が増大することがない。
【0029】
このほか、一方の鍔部6cのみがローラ円筒部6bと同一の素材で一体に成形されるローラ6では、その製作が容易に、かつ精度よく行える。すなわち、ローラ6の製作に当たっては、まず、円筒部6bおよび一方の鍔部6cが一体となった、ほぼ円筒状の素体が成形され、他方の鍔部6dは、環状の板体として、前記素体とは別体に造られる。こののち、円筒部6bと一方の鍔部6cとを含む素体に対しては、ころ7の転動面となる円筒部内周面6aを研削もしくは研磨する必要があるが、この場合、素体の内径は、鍔部の無い側(図1では左側)に向かって段階的に大きくなっているから、この素体の円筒内部には、鍔部が無い側から工具を挿入して研削もしくは研磨すればよく、精度のよいローラが容易に製作することができる。
【0030】
〔他の実施形態〕
図2は本発明の第2実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。この第2実施形態のカムフォロア12では、ローラ62の円筒部62bと両鍔部62c,62dとは、同一の素材で一体に成形されている。両鍔部62c,62dが連成されたローラ62は、たとえば、鍛造等により短筒状の素体を成形した上で、その素体に、ころ7の転動面となる円筒部内周面62aを研削により形成することで、製作される。
【0031】
上記のように、両鍔部62c,62dが連成されたローラ62では、円筒部62bと鍔部62c,62dとは連続しており、別体に構成された鍔部が円筒部に取着されている場合のように、鍔部62c,62dと円筒部62bとの継ぎ目がなく、このような継ぎ目により、ローラ6の外周面や、ローラ6の軸方向端面を含む鍔部62c,62d外面のそれぞれの平滑度が損なわれることがない。そのため、ローラ6外周面とカム8との接触抵抗や、鍔部62c,62d外面と側壁3,4内面との摩擦が増大しない。
【0032】
図3は本発明の第3実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。この第3実施形態のカムフォロア13では、ローラ63は、シェル形針状ころ軸受の外輪のように、一枚の鋼板からプレス加工を含む工程で製作されており、ローラ63の円筒部63bと両鍔部63c,63dとは、同一の鋼板で一体に成形されている。
【0033】
この場合、円筒部63bと両鍔部63c,63dとは、同じ板厚でもよいが、図示のものでは、円筒部63bと一方の(図3で左側の)鍔部63cとがほぼ同じ板厚に形成され、他方の鍔部63dの板厚は、円筒部63b等より薄い板厚となっている。複数のころ7に対しては、保持器を設けて、ころ7,7間の間隔が一定に保たれるようにしてもよい。上記の構成では、ローラ63の外周面や、鍔部63c,63dの外面は、それぞれ平滑に保たれる。なお、図3中、符号63aは、円筒部63bの内周面である。
【0034】
図4は本発明の第4実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。この第4実施形態のカムフォロア14では、両鍔部64c,64dが、ローラ64の円筒部64bとは別体に環状の板体として形成された上で、円筒部64bの軸方向端部に熱圧着、圧入、溶接等の手段により一体に取着されている。各鍔部64c,64dは、円筒部64bの外径より小さく、円筒部64bの内径より大径の環状の板体で、円筒部64bの軸方向端部にその端面と面一となる状態で取着されている。
【0035】
この構成では、ローラ64の製作の際、円筒部64bとなる素体は、内径側への突出部がない円筒体であるから、ころ7の転動面となる円筒部内周面64aを研削もしくは研磨する場合、素体のいずれかの側からも、障害なく工具を挿入することができ、精度のよいローラを容易に製作することができる。
【0036】
なお、上記の第2以降の各実施形態において、ローラ62(第3および第4実施形態での該当する部品番号は省略する。以下同じ)の両鍔部62c,62dの外面が(第4実施形態では、円筒部64bの軸方向端面とともに)、対向面である側壁3,4内面と全面的に接触しうるよう、平坦に仕上げられている点、また、鍔部62c,62dの内周縁と支軸5の外周面との間には潤滑油が流通しうる程度の隙間9が形成されている点は、図1の第1実施形態のカムフォロア1と同じである。その他の部分も、第1実施形態のカムフォロア1と同じでよいので、図1と共通する部分には、同一の符号を付してその説明を省略している。
【0037】
上記の第2以降の実施形態のカムフォロア12では、ころ7の軸方向端面と側壁3,4との間に、ローラ62の鍔部62c,62dが介在することで、ころ7の軸方向端面と側壁3,4の内面との直接的な接触は避けられるほか、ころ7と鍔部62c,62dと側壁3,4との三者間に生じる摩擦は、従来、ころの軸方向端面が直接、側壁内面に摺接する場合に生じる摩擦より少ないので、トルクが減少する点は、第1実施形態のカムフォロア1と同じである。
【0038】
〔カムフォロアを含む機構の実施形態〕
次に、本発明のカムフォロアを含む機構について述べる。図5は、本発明のカムフォロアを含む機構の一実施形態の一部破断して示した側面図で、同図には、OHC型式エンジンの動弁機構に用いられるエンドピボット型のロッカアームを例示している。図5において、符号20は、エンドピボット型のロッカアームの全体を示し、21はカム、22は、傾動支持部となるラッシュアジャスタ、23はバルブのステムである。
【0039】
ロッカアーム20は、互いに間隔をおいて対向する一対の側壁3,4(但し、一方の側壁4は図5に現われていない)を含む胴体24を備えている。胴体24の長手方向一端部には、ラッシュアジャスタ22の上端部に嵌合するピボット部25が設けられ、長手方向他端部には、バルブのステム23に当接されるバルブ係合部26が設けられている。そして、胴体24の長手方向中間部に、図1に示したカムフォロア1が設けられており、このカムフォロア1のローラ6の外周面が、前記のカム21に転接するようになっている。
【0040】
このロッカアーム20では、カム21の回転に伴い、ピボット部25が支点となって胴体24が傾動されて、バルブ係合部26がバルブのステム23に対して上下方向に反復変位させられることで、バルブを開閉動作させる。
【0041】
この動作中、ころ7が軸方向の一方に変位すると、このころ7の軸方向端面と変位側の側壁3(4)の内面との間には、ローラ6の一方の鍔部6cもしくは6d(なお、一方の鍔部6dは、図5に図示されていない)が介在しているから、ころ7の軸方向端面は、鍔部6c(6d)の内面に接触し、鍔部6c(6d)の外面が側壁3(4)の内面に接触する。ころ7と鍔部6c(6d)との擦れ合い、および鍔部6c(6d)と側壁3(4)との擦れ合いは、ころの軸方向端面が直接的に側壁の内面に擦れ合う場合に比べ、摩擦の度合いが低いから、ころ7と鍔部6c,6dと側壁3,4との三者間に生じる摩擦抵抗は、小さな値に抑えられる。これで、ロッカアーム20全体の低トルク化が可能になる。
【0042】
図6は、本発明のカムフォロアを含む機構の他の一実施形態の一部破断して示した側面図で、同図には、センタピボット型のロッカアームを例示している。図6において、符号30は、センタピボット型のロッカアームの全体を示し、31はカム、32は、シリンダヘッドに設置されるバルブのステムである。
【0043】
このロッカアーム30では、一対の側壁3,4(図6には、一方の側壁4は現れていない)を有する胴体33を備え、この胴体33の長手方向一端に、図1に示したカムフォロア1が設けられ、長手方向中間に傾動支点となるロッカシャフト34が貫通され、長手方向他端にアジャストスクリュー35が螺合装着されている。アジャストスクリュー35には、前記したバルブのステム32の端部が当接される。
【0044】
このロッカアーム30では、カム31の回転に伴い、ロッカシャフト34が支点となって胴体33が傾動されて、アジャストスクリュー35が上下方向に反復変位させられることで、バルブを開閉動作させる。
【0045】
この動作中、カムフォロア1ではローラ6が回転するが、ころ7(図6では図示省略)が軸方向の一方に変位すると、変位側の側壁3,4の内面との間には、鍔部6cもしくは6d(一方の鍔部6dは図6に図示されていない)が介在しているから、この鍔部6c(6d)の作用により、ころ7と鍔部6c,6dと側壁3,4との三者間に生じる摩擦抵抗は、ころの軸方向端面が直接的に側壁の内面に擦れ合う場合に比べ、小さな値に抑えられる。これで、ロッカアーム30全体の低トルク化が可能になる。
【0046】
なお、図5および図6に示したロッカアームに、第2ないし第4実施形態のいずれかのカムフォロア12,13,14を用いてもよいことは、言うまでもない。このほか、本発明のカムフォロアは、OHV型式エンジンの動弁機構において、ロッカアームの傾動により上下するプッシュロッドの先端のラッシュアジャスタに設けてもよく、使用個所は、上記実施形態のものに限定されない。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、ローラに設けられた鍔部により、ころの軸方向端面と側壁の内面との直接的な接触が避けられるばかりでなく、ころと鍔部と側壁との三者間に生じる摩擦抵抗を、ころの軸方向端面が直接的に側壁の内面に擦れ合う場合に比べ、小さな値に抑えることができ、カムフォロア全体の低トルク化が可能になる。
【0048】
さらに、側壁の内面は、従来のようにころの軸方向端面が直接的に擦れ合うことがないので、側壁の摩耗が少なく、側壁やこの側壁を含む胴体に、たとえばアルミニウムのような軽量の金属を支障なく使用することができ、カムフォロアの軽量化を図ることができる。
【0049】
また、鍔部はローラに一体に設けられているので、部品点数が増えず、組み立てが容易であり、構造が複雑化しないので、動作面での不具合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカムフォロアの縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。
【図5】本発明のカムフォロアを含む機構の一実施形態の一部破断して示した側面図で、エンドピボット型のロッカアームを示している。
【図6】本発明のカムフォロアを含む機構の他の一実施形態の一部破断して示した側面図で、センタピボット型のロッカアームを示している。
【符号の説明】
1 カムフォロア
2 胴体
3,4 側壁
5 支軸
6 ローラ
6b 円筒部
6c,6d 鍔部
7 ころ
8 カム
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロッカアーム等に設けられるカムフォロアに関する。
【0002】
【従来の技術】
カムフォロアは、例えば、自動車等のエンジンの動弁機構や、その他の各種カム機構等に用いられている。このカムフォロアは、胴体に互いに対向する一対の側壁を有しており、これら両側壁間に架設された支軸に対して、外部の部材であるカムに当接するローラが回転自在に設けられた構成となっている。従来のカムフォロアでは、支軸の外周面とローラの内周面との間に、針状ころのような複数のころを介在させているものが多い。
【0003】
前記のように、支軸とローラとの間にころを介在させたカムフォロアでは、従来、ころの軸方向端面と側壁の内面との間に、ワッシャ状の薄板材が介装されているものがある(特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
実開平1−8510号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、自動車関連部品において、燃費の改善を図るべく、エンジン各部の低摩擦化、低トルク化が必要となってきている。その結果、エンジンの動弁機構に用いられているカムフォロアにおいても、さらに低トルク化を進めていかなければならない。
【0006】
従来のカムフォロアでは、低トルク化のために種々の手段が講じられているが、本件発明者がこれまで実施してきた試験の結果では、カムフォロアにおいて摺動、摩耗の激しい部分での摩擦低減の対策が充分ではなかった。
【0007】
すなわち、支軸とローラとの間にころが介在しているタイプのカムフォロアにおいては、ころはその軸心周りに自転しながら支軸の周りを公転する。ころのスキューが発生する等して、ころの軸方向位置が一方に変位した場合、ころの軸方向端面は、自転と公転とが合成された運動をしながら、その両側にある側壁の一方の内面と擦れ合う。そのため、ころの軸方向端面と側壁の内面との間に、激しい摩擦が生じる。
【0008】
これに対して、特許文献2に記載のカムフォロアでは、ころの軸方向端面と側壁との間に、ワッシャ状の薄板材が介在するので、ころの軸方向端面と側壁との直接的な接触は避けられる。しかし、このようにワッシャ状の薄板材が設けられた構成では、部品点数が増えてそれだけ組み立てが面倒になるほか、動作の面で種々の不具合が引き起こされるおそれがある。
【0009】
たとえば、ワッシャ状の薄板材は支軸に対して傾き、倒れが生じやすく、傾斜した姿勢で、側壁内面を傷つけたり、ころやローラの移動幅を狭くして、ローラの回転を阻害したりする。また、ワッシャ状の薄板材が支軸に対して径方向のがたつきがある場合は、その外周部が、ローラと側壁との間の隙間に入り込んで、ローラの回転を阻害することもある。
【0010】
本発明は、上記従来の問題に対処したもので、部品点数を増やすことなく、ころの軸方向端面と、側壁の内面との摩擦を低減して、カムフォロアの低トルク化を図ることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を達成するために、互いに間隔をおいて対向する一対の側壁を有する胴体と、前記両側壁間に架設される支軸と、この支軸に対して所要の環状空間を存して回転自在に設けられ外周面にカムが当接するローラと、ローラと支軸との間の環状空間に介装される複数のころとを備え、前記ローラの軸方向両端部に、それぞれ径方向内方に延出して前記ころの軸方向端面と前記側壁の内面との間に位置する鍔部が一体に設けられているカムフォロアを構成している。
【0012】
上記構成によれば、カムの回転に伴い、ローラが回転している状態のもとで、ころのスキューが発生する等して、ころの軸方向位置が一方に変位することがあっても、ころの軸方向端面と側壁との間には、ローラの鍔部が介在するので、ころの軸方向端面と側壁の内面との直接的な接触は避けられる。
【0013】
しかも、従来であれば、ころの軸方向端面と、固定側の部材である側壁の内面との間に生じた激しい擦れ合いが、側壁内面に対する鍔部外面のローラ回転に伴う擦れ合いと、鍔部内面に対するころの自転に伴う擦れ合いとに分かれる。側壁の内面と鍔部の外面との間では、接触面積が広くて接触面圧が低いので、両面間に生じる摩擦は小さい。また、鍔部は、ローラの回転に伴いころの公転方向に回転するので、この鍔部の内面ところの軸方向端面との間では、ころの公転方向の擦れ合いは僅かしか生じない。そのため、本発明の上記構成では、従来のように激しく擦れ合う個所がなくなり、全体として摩擦抵抗が小さくなり、トルクが減少する。
【0014】
さらに、側壁の内面は、従来のようにころの軸方向端面が直接的に擦れ合うことがないので、摩耗が少ない。そのため、側壁やこの側壁を含む胴体に、たとえばアルミニウムのような軽量の金属の使用が可能となり、カムフォロアの軽量化を図ることができる。
【0015】
また、鍔部はローラに一体に設けられるので、部品点数が増えず、組み立てが容易であり、構造が複雑化しないので、動作面の不具合が生じない。
【0016】
上記構成において、両鍔部とローラの円筒部とは、同一の素材で一体に成形されていてもよいし、鍔部の一方もしくは両方が、円筒部とは別体に構成された上で、円筒部に一体に取着されていてもよい。両鍔部とローラの円筒部とが一体に成形されている場合、別体に構成された鍔部が円筒部に取着されている場合のように、鍔部と円筒部との継ぎ目を有しないから、ローラの外周面や、ローラの軸方向端面を含む鍔部外面をそれぞれ平滑に保つことができ、カムとの接触抵抗や、鍔部外面と側壁内面との摩擦を増大させることがない。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明すると、図1は本発明の第1実施形態に係るカムフォロアの縦断面図である。図1において、符号1はカムフォロアの全体を示し、2はその胴体、3,4は、前記胴体2の一部である側壁、5は支軸、6はローラ、7はころである。
【0018】
側壁3,4は、2つ一対で、互いに間隔をおいて平行に対向している。支軸5は、通常、焼き入れ、浸炭、窒化等の硬化処理を施した鋼材で構成されるもので、一対の側壁3,4間に架橋状に取り付けられる。この支軸5は、たとえば側壁3,4の取り付け孔に挿入した後、かしめにより側壁3,4に固定されるか、あるいは取り付け孔に圧入することで、側壁3,4に固定されている。
【0019】
ローラ6は、一対の側壁3,4の対向間隔内で、前記支軸5に対して所要の環状空間を存して回転自在に設けられるもので、その外周面には外部の部材であるカム8が当接するようになっている。このローラ6と前記支軸5との間の環状空間内に、ころ7が複数が設けられている。ころ7は、支軸5の外周面ともローラ6の内周面6aとも転がり接触するもので、通常、焼き入れ、浸炭、窒化等の硬化処理を施した鋼材で構成されるが、他の金属材料、もしくはセラミック材料で構成されたものでもよい。
【0020】
ローラ6の軸方向両端部には、それぞれ径方向内方に延出する鍔部6c,6dが一体に設けられている。これら鍔部6c,6dは、ころ7の軸方向端面と側壁3,4の内面との間に介在して、前記両面の直接的な接触を回避するためのものである。
【0021】
これら鍔部6c,6dと、ローラ6の本体部分である円筒部6bとは、同一の素材で一体に成形されていてもよいし、鍔部6c,6dが、円筒部6bとは別体に成形された上で、円筒部6bの軸方向端部に一体に取着されていてもよいが、本実施形態では、両鍔部6c,6dのうち、一方の(図1で左側の)鍔部6cが、ローラ6の円筒部6bとは別体に環状の板体として形成された上で、円筒部6bの軸方向端部に熱圧着、圧入、溶接等の手段により一体に取着されている。
【0022】
この一方の鍔部6cは、ローラ6の円筒部6bの外径より小径で、円筒部6bの内径より大径の環状の板体である。そして、この鍔部6cは、円筒部6bの軸方向端部に形成された環状の段落部6e内に嵌め込まれており、鍔部6cの外面と円筒部6bの軸方向端面とは、面一となっている。他方の(図1で右側の)鍔部6dは、円筒部6bとは同一の素材からなり、この鍔部6dと円筒部6bとは、鍛造、研削、もしくはこれらの組み合わせ等の手段により、一体に成形されていている。
【0023】
さらに、両鍔部6c,6dの外面は(一方の鍔部6cの外面では、それと面一である円筒部6bの軸方向端面とともに)、全面がその軸心と直交する面に沿うよう平坦に仕上げられていて、ローラ6が支軸5と同軸の状態では、鍔部6c,6dの外面と側壁3,4の内面との対向面が全面的に接触しうるようになっている。また、各鍔部6c,6dの内周縁と支軸5の外周面との間には隙間9が形成されていて、この隙間9を通じて潤滑油がころ7の側に流入しうるようになっている。
【0024】
上記構成によれば、カム8の接触回転に伴い、ローラ6が回転すると、ころ7は、支軸5とローラろの円筒部6bとの間で、自転しながら支軸5の周りを公転する。この状態のもとで、スキュー等によりころ7の軸方向位置が一方に変位することがあっても、ころ7の軸方向端面と側壁3,4内面との間には、ローラ6の鍔部6c,6dが介在するので、ころ7の軸方向端面と側壁3,4の内面との直接的な接触は避けられる。
【0025】
しかも、この場合、固定側の部材である側壁3,4の内面には、鍔部6c,6dの外面が摺接するが、両者の摺接は、広い接触面を介しての摺接であるから、接触面圧が低く、それだけ摩擦が小さい。また、鍔部6c,6dの内面には、ころ7の軸方向端面が摺接するが、鍔部6c,6dはローラ6と一体に回転していて、ころ7の公転方向に移動しているから、鍔部6c,6dの内面ところ7の軸方向端面との間の摩擦は、ほとんどころ7の自転に伴う摩擦で、ころ7の公転に伴う摩擦は少ない。そのため、ころ7と鍔部6c,6dと側壁3,4との三者間には、激しく擦れ合う個所がなく、前記の三者間に生じる摩擦は、従来、ころの軸方向端面が直接、側壁内面に摺接する場合に生じる摩擦より少なく、カムフォロア1全体のトルクが減少する。
【0026】
さらに、側壁3,4の内面は、従来のようにころの軸方向端面が直接的に擦れ合うことがないので、摩耗が少ない。そのため、側壁3,4やこの側壁3,4を含む胴体2に、たとえばアルミニウムのような軽量の金属を支障なく使用することができ、カムフォロア1の軽量化を図ることができる。
【0027】
また、鍔部6c,6dはローラ6に一体に設けられているので、部品点数が増えず、組み立てが容易であり、構造が複雑化しないので、動作面での不具合が生じない。
【0028】
なお、ローラ6の円筒部6bとは別体に構成された鍔部6cが、図1に図示のように、円筒部6bの端部に形成された環状の段落部6e内に嵌め込まれている場合は、鍔部6cと円筒部6bとの継ぎ目がローラ6の外周面に現れない。これにより、ローラ6外周面が平滑に保たれ、カム8との接触抵抗が増大することがない。
【0029】
このほか、一方の鍔部6cのみがローラ円筒部6bと同一の素材で一体に成形されるローラ6では、その製作が容易に、かつ精度よく行える。すなわち、ローラ6の製作に当たっては、まず、円筒部6bおよび一方の鍔部6cが一体となった、ほぼ円筒状の素体が成形され、他方の鍔部6dは、環状の板体として、前記素体とは別体に造られる。こののち、円筒部6bと一方の鍔部6cとを含む素体に対しては、ころ7の転動面となる円筒部内周面6aを研削もしくは研磨する必要があるが、この場合、素体の内径は、鍔部の無い側(図1では左側)に向かって段階的に大きくなっているから、この素体の円筒内部には、鍔部が無い側から工具を挿入して研削もしくは研磨すればよく、精度のよいローラが容易に製作することができる。
【0030】
〔他の実施形態〕
図2は本発明の第2実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。この第2実施形態のカムフォロア12では、ローラ62の円筒部62bと両鍔部62c,62dとは、同一の素材で一体に成形されている。両鍔部62c,62dが連成されたローラ62は、たとえば、鍛造等により短筒状の素体を成形した上で、その素体に、ころ7の転動面となる円筒部内周面62aを研削により形成することで、製作される。
【0031】
上記のように、両鍔部62c,62dが連成されたローラ62では、円筒部62bと鍔部62c,62dとは連続しており、別体に構成された鍔部が円筒部に取着されている場合のように、鍔部62c,62dと円筒部62bとの継ぎ目がなく、このような継ぎ目により、ローラ6の外周面や、ローラ6の軸方向端面を含む鍔部62c,62d外面のそれぞれの平滑度が損なわれることがない。そのため、ローラ6外周面とカム8との接触抵抗や、鍔部62c,62d外面と側壁3,4内面との摩擦が増大しない。
【0032】
図3は本発明の第3実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。この第3実施形態のカムフォロア13では、ローラ63は、シェル形針状ころ軸受の外輪のように、一枚の鋼板からプレス加工を含む工程で製作されており、ローラ63の円筒部63bと両鍔部63c,63dとは、同一の鋼板で一体に成形されている。
【0033】
この場合、円筒部63bと両鍔部63c,63dとは、同じ板厚でもよいが、図示のものでは、円筒部63bと一方の(図3で左側の)鍔部63cとがほぼ同じ板厚に形成され、他方の鍔部63dの板厚は、円筒部63b等より薄い板厚となっている。複数のころ7に対しては、保持器を設けて、ころ7,7間の間隔が一定に保たれるようにしてもよい。上記の構成では、ローラ63の外周面や、鍔部63c,63dの外面は、それぞれ平滑に保たれる。なお、図3中、符号63aは、円筒部63bの内周面である。
【0034】
図4は本発明の第4実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。この第4実施形態のカムフォロア14では、両鍔部64c,64dが、ローラ64の円筒部64bとは別体に環状の板体として形成された上で、円筒部64bの軸方向端部に熱圧着、圧入、溶接等の手段により一体に取着されている。各鍔部64c,64dは、円筒部64bの外径より小さく、円筒部64bの内径より大径の環状の板体で、円筒部64bの軸方向端部にその端面と面一となる状態で取着されている。
【0035】
この構成では、ローラ64の製作の際、円筒部64bとなる素体は、内径側への突出部がない円筒体であるから、ころ7の転動面となる円筒部内周面64aを研削もしくは研磨する場合、素体のいずれかの側からも、障害なく工具を挿入することができ、精度のよいローラを容易に製作することができる。
【0036】
なお、上記の第2以降の各実施形態において、ローラ62(第3および第4実施形態での該当する部品番号は省略する。以下同じ)の両鍔部62c,62dの外面が(第4実施形態では、円筒部64bの軸方向端面とともに)、対向面である側壁3,4内面と全面的に接触しうるよう、平坦に仕上げられている点、また、鍔部62c,62dの内周縁と支軸5の外周面との間には潤滑油が流通しうる程度の隙間9が形成されている点は、図1の第1実施形態のカムフォロア1と同じである。その他の部分も、第1実施形態のカムフォロア1と同じでよいので、図1と共通する部分には、同一の符号を付してその説明を省略している。
【0037】
上記の第2以降の実施形態のカムフォロア12では、ころ7の軸方向端面と側壁3,4との間に、ローラ62の鍔部62c,62dが介在することで、ころ7の軸方向端面と側壁3,4の内面との直接的な接触は避けられるほか、ころ7と鍔部62c,62dと側壁3,4との三者間に生じる摩擦は、従来、ころの軸方向端面が直接、側壁内面に摺接する場合に生じる摩擦より少ないので、トルクが減少する点は、第1実施形態のカムフォロア1と同じである。
【0038】
〔カムフォロアを含む機構の実施形態〕
次に、本発明のカムフォロアを含む機構について述べる。図5は、本発明のカムフォロアを含む機構の一実施形態の一部破断して示した側面図で、同図には、OHC型式エンジンの動弁機構に用いられるエンドピボット型のロッカアームを例示している。図5において、符号20は、エンドピボット型のロッカアームの全体を示し、21はカム、22は、傾動支持部となるラッシュアジャスタ、23はバルブのステムである。
【0039】
ロッカアーム20は、互いに間隔をおいて対向する一対の側壁3,4(但し、一方の側壁4は図5に現われていない)を含む胴体24を備えている。胴体24の長手方向一端部には、ラッシュアジャスタ22の上端部に嵌合するピボット部25が設けられ、長手方向他端部には、バルブのステム23に当接されるバルブ係合部26が設けられている。そして、胴体24の長手方向中間部に、図1に示したカムフォロア1が設けられており、このカムフォロア1のローラ6の外周面が、前記のカム21に転接するようになっている。
【0040】
このロッカアーム20では、カム21の回転に伴い、ピボット部25が支点となって胴体24が傾動されて、バルブ係合部26がバルブのステム23に対して上下方向に反復変位させられることで、バルブを開閉動作させる。
【0041】
この動作中、ころ7が軸方向の一方に変位すると、このころ7の軸方向端面と変位側の側壁3(4)の内面との間には、ローラ6の一方の鍔部6cもしくは6d(なお、一方の鍔部6dは、図5に図示されていない)が介在しているから、ころ7の軸方向端面は、鍔部6c(6d)の内面に接触し、鍔部6c(6d)の外面が側壁3(4)の内面に接触する。ころ7と鍔部6c(6d)との擦れ合い、および鍔部6c(6d)と側壁3(4)との擦れ合いは、ころの軸方向端面が直接的に側壁の内面に擦れ合う場合に比べ、摩擦の度合いが低いから、ころ7と鍔部6c,6dと側壁3,4との三者間に生じる摩擦抵抗は、小さな値に抑えられる。これで、ロッカアーム20全体の低トルク化が可能になる。
【0042】
図6は、本発明のカムフォロアを含む機構の他の一実施形態の一部破断して示した側面図で、同図には、センタピボット型のロッカアームを例示している。図6において、符号30は、センタピボット型のロッカアームの全体を示し、31はカム、32は、シリンダヘッドに設置されるバルブのステムである。
【0043】
このロッカアーム30では、一対の側壁3,4(図6には、一方の側壁4は現れていない)を有する胴体33を備え、この胴体33の長手方向一端に、図1に示したカムフォロア1が設けられ、長手方向中間に傾動支点となるロッカシャフト34が貫通され、長手方向他端にアジャストスクリュー35が螺合装着されている。アジャストスクリュー35には、前記したバルブのステム32の端部が当接される。
【0044】
このロッカアーム30では、カム31の回転に伴い、ロッカシャフト34が支点となって胴体33が傾動されて、アジャストスクリュー35が上下方向に反復変位させられることで、バルブを開閉動作させる。
【0045】
この動作中、カムフォロア1ではローラ6が回転するが、ころ7(図6では図示省略)が軸方向の一方に変位すると、変位側の側壁3,4の内面との間には、鍔部6cもしくは6d(一方の鍔部6dは図6に図示されていない)が介在しているから、この鍔部6c(6d)の作用により、ころ7と鍔部6c,6dと側壁3,4との三者間に生じる摩擦抵抗は、ころの軸方向端面が直接的に側壁の内面に擦れ合う場合に比べ、小さな値に抑えられる。これで、ロッカアーム30全体の低トルク化が可能になる。
【0046】
なお、図5および図6に示したロッカアームに、第2ないし第4実施形態のいずれかのカムフォロア12,13,14を用いてもよいことは、言うまでもない。このほか、本発明のカムフォロアは、OHV型式エンジンの動弁機構において、ロッカアームの傾動により上下するプッシュロッドの先端のラッシュアジャスタに設けてもよく、使用個所は、上記実施形態のものに限定されない。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、ローラに設けられた鍔部により、ころの軸方向端面と側壁の内面との直接的な接触が避けられるばかりでなく、ころと鍔部と側壁との三者間に生じる摩擦抵抗を、ころの軸方向端面が直接的に側壁の内面に擦れ合う場合に比べ、小さな値に抑えることができ、カムフォロア全体の低トルク化が可能になる。
【0048】
さらに、側壁の内面は、従来のようにころの軸方向端面が直接的に擦れ合うことがないので、側壁の摩耗が少なく、側壁やこの側壁を含む胴体に、たとえばアルミニウムのような軽量の金属を支障なく使用することができ、カムフォロアの軽量化を図ることができる。
【0049】
また、鍔部はローラに一体に設けられているので、部品点数が増えず、組み立てが容易であり、構造が複雑化しないので、動作面での不具合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカムフォロアの縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係るカムフォロアの半部の縦断面図である。
【図5】本発明のカムフォロアを含む機構の一実施形態の一部破断して示した側面図で、エンドピボット型のロッカアームを示している。
【図6】本発明のカムフォロアを含む機構の他の一実施形態の一部破断して示した側面図で、センタピボット型のロッカアームを示している。
【符号の説明】
1 カムフォロア
2 胴体
3,4 側壁
5 支軸
6 ローラ
6b 円筒部
6c,6d 鍔部
7 ころ
8 カム
Claims (1)
- 互いに間隔をおいて対向する一対の側壁を有する胴体と、前記両側壁間に架設される支軸と、この支軸に対して所要の環状空間を存して回転自在に設けられ外周面にカムが当接するローラと、ローラと支軸との間の環状空間に介装される複数のころとを備え、
前記ローラの軸方向両端部に、それぞれ径方向内方に延出して前記ころの軸方向端面と前記側壁の内面との間に位置する鍔部が一体に設けられていることを特徴とするカムフォロア。
Priority Applications (1)
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- 2003-04-09 JP JP2003104972A patent/JP2004308828A/ja active Pending
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