JP2004308204A - 改修用二重床構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】改修後の新設床部から下階へと伝達される重量衝撃振動を軽減させ、重量衝撃音遮音性能を向上させることができる改修用二重床構造を提供することを目的としている。
【解決手段】既存梁4および既存スラブ6を有する既存構造物内に形成され、既存スラブ6上方に隙間をあけて敷設される新設床部20と新設床部20を支持する新設支持部9とから構成されている改修用二重床構造において、新設支持部9は既存梁4上面に配設されている。
【選択図】 図1
【解決手段】既存梁4および既存スラブ6を有する既存構造物内に形成され、既存スラブ6上方に隙間をあけて敷設される新設床部20と新設床部20を支持する新設支持部9とから構成されている改修用二重床構造において、新設支持部9は既存梁4上面に配設されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存構造物改修後の居室内の床を形成する改修用二重床構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、事務所ビルを改修して集合住宅へ用途変更する計画が多数立案されているが、通常、事務所ビルとして設計施工された建物の多くは、スラブ厚さが12cm程度に設計されているか、或いはU型のデッキスラブからスラブが形成されている。この場合、直床や通常の二重床により居室内の床を形成すると上階の床衝撃による振動は下階にそのまま伝達されるため、床を形成する床基材と床基材を支持する根太との間に弾性シートを介在させる方法が提案されている。これによって、弾性シートが上階の床衝撃による振動を吸収して、下階への床重量衝撃音を軽減することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−88320号公報 (第3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の方法では、弾性シートにより吸収し切れなかった床重量衝撃音は根太からスラブ上に立設された支持脚を介してスラブに伝達され、スラブから下階に伝達される。このため、既存スラブの遮音性能が低い場合には、集合住宅に必要な床衝撃音遮音性能が確保できない場合があるという問題が存在する。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、遮音性能の低い既存スラブの場合にも、改修後の新設床部から下階へと伝達される重量衝撃振動を軽減させ、重量衝撃音遮音性能を向上させることができる改修用二重床構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、既存梁および既存スラブを有する既存構造物内に形成され、該既存スラブ上方に隙間をあけて敷設される新設床部と該新設床部を支持する新設支持部とから構成されている改修用二重床構造において、前記新設支持部は、前記既存梁の上面に配設されていることを特徴としている。
【0007】
このような特徴により、上階の床衝撃による振動は、新設床部から新設支持部を介して既存梁に伝達され、既存梁から既存スラブに伝達されるため、既存スラブに直接振動が伝達されない。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の改修用二重床構造において、前記既存梁の上面に配設される前記新設支持部の位置は、前記既存梁の端部に配置されていることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、新設床部、新設支持部、新設床部上の人および載置物の重量は既存梁の端部に作用する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の改修用二重床構造において、前記新設支持部には、前記床部から伝達される振動を吸収する弾性材が備えられていることを特徴としている。
【0011】
このような特徴により、上階の床衝撃による振動は弾性材に吸収され、既存梁に伝達される振動は軽減される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る改修用二重床構造の実施の形態について、図面に基づいて説明する。本実施の形態は事務所として設計された既存建物1を集合住宅に改修する場合であり、図1は既存建物1に住宅用の新たな床を形成する改修用二重床2が設けられた状態を表す断面図であり、図2は改修用二重床2を既存建物1内に配設する状態を表す平面図であり、図3は図2に示す改修用二重床2のA−A断面の部分断面図である。なお、図2における左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とする。
【0013】
図1、図2、図3に示すように、既存建物1は、均等に間隔をあけて立設された既存柱3と、隣り合う既存柱3の間に架設されてX方向およびY方向にそれぞれ延在する既存大梁4と、対向する既存大梁4の中間部の間に架設されてX方向およびY方向にそれぞれ延在する既存小梁5と、既存大梁4および既存小梁5で囲まれた範囲に形成される既存スラブ6とから構成されている。図2における下側の既存建物1内にはバルコニー7が形成され、図2における上側の既存建物1内には共用廊下8が形成されている。
【0014】
バルコニー7側のY方向に延在する既存大梁4の端部上面、共用廊下8側のY方向に延在する既存大梁4の中間部上面、およびY方向に延在する既存小梁5が接合されるX方向に延在する既存大梁4の仕口部上面には、矩形盤状の新設支持部9がそれぞれ設けられている。新設支持部9は厚さ20mm程度の板状防振ゴム等の弾性材10から構成されており、弾性材10と既存大梁4との間には厚さ10mm程度の均しモルタル11が介在されている。新設支持部9は既存大梁4の上面にのみ配設されており、既存スラブ6上には配設されていない。
【0015】
Y方向に延在する既存大梁4およびY方向に延在する既存小梁5の上方には、Y方向に延在するH型鋼からなる大引き材12が隙間をあけてそれぞれ配置されている。大引き材12はそれぞれ弾性材10(新設支持部9)によって支持されており、大引き材12の下フランジ部12a下面と弾性材10上面とは接合されている。弾性材10の四隅には図示せぬ貫通孔がそれぞれ形成されており、この貫通孔にはアンカーボルト13がそれぞれ挿通されている。アンカーボルト13の下端は既存大梁4内に定着されており、上端は大引き材12の下フランジ部12aに形成された図示せぬ貫通孔に挿通されている。アンカーボルト13の上端にはナット14が螺合されており、ナット14はワッシャ15を介して下フランジ部12a上方に固定されている。
【0016】
平行する複数の大引き材12の間には、X方向に延在するC型チャンネルからなる根太材16が既存スラブ6と隙間をあけて複数架設されている。複数の根太材16は例えば600mm程度の一定の間隔をあけて配列されており、根太材16の両端面は大引き材12のウェブ部12bに対向されている。根太材16が接合される大引き材12のウェブ部12bには、X方向に張り出すブラケット部17が形成されており、ブラケット部17の先端に根太材16の端部がボルト固定により継手されている。また、平行する複数の根太材16の間には、Y方向に延在する棒状の合板受け材18が複数架設されている。複数の合板受け材18は間隔をあけて配列されており、合板受けの上方にはフローリング板からなる床基材19が敷設されている。なお、上記した大引き材12、根太材16、合板受け材18および床基材19によって、既存スラブ6に隙間をあけて敷設される新設床部20は構成されている。
【0017】
次に、上記した改修用二重床2を既存建物1に設置して、集合住宅の新たな床を形成する方法について説明する。
【0018】
まず、図3に示すように、新設支持部9(弾性材10)が形成される複数の既存大梁4上面にアンカーボルト13を二列4本づつそれぞれ打ち込み、既存大梁4上面に複数のアンカーボルト13を立設する。アンカーボルト13は下端が100mm以上定着するとともに上端が十分に(60mm程度)突出する深さまで打ち込み、接着剤によってアンカーボルト13下端と既存大梁4のコンクリート躯体とを強固に固定する。
【0019】
次に、弾性材10の四隅に形成された図示せぬ貫通孔に既存大梁4上面から突設したアンカーボルト13の上端をそれぞれ挿通させ、既存大梁4の上方に弾性材10を10mm程度の隙間をあけて設置して新設支持部9を形成する。次に、大引き材12に形成された図示せぬ貫通孔にアンカーボルト13の上端をそれぞれ挿通させ、大引き材12を新設支持部9(弾性材10)上に架設させる。そして、大引き材12の下フランジ部12a上に突設したアンカーボルト13の上端にワッシャ15を嵌め込み、その上からナット14を螺合させて大引き材12を新設支持部9に固定する。
【0020】
次に、アンカーボルト13が立設された複数の既存大梁4上面にモルタル注入口が設けられた図示せぬ枠をそれぞれ形成する。図示せぬ枠は既存大梁4と弾性材10との隙間を囲うように配置し、モルタル注入口から既存大梁4と弾性材10との間に無収縮を流し込む。適当な養生期間をおき、均しモルタル11が固化した後に図示せぬ枠を脱型し、均しモルタル11を形成する。
【0021】
次に、平行する大引き材12の間に複数の根太材16をそれぞれ架設させる。複数の根太材16を間隔をあけて配置し、複数の根太材16の両端部を大引き材12のブラケット部17にそれぞれボルト固定する。次に、根太材16上にY方向に延在する合板受け材18を間隔をあけて架設し、合板受け材18上に床基材19を敷設する。合板受け材18は根太材16上面に固定し、床基材19は合板受け材18上面に固定する。
【0022】
上記した構成からなる改修用二重床構造によれば、新設支持部9は既存大梁4上面に設けられているため、改修用二重床2が形成された上階の床衝撃による振動は、床基材19から合板受け材18を介して根太材16に伝達され、根太材16からブラケット部17を介して大引き材12に伝達され、大引き材12から新設支持部9を介して既存大梁4に伝達され、既存大梁4から既存スラブ6に伝達される。このため、既存スラブ6に直接振動が伝達されず、改修用二重床2からなる新設の床の重量衝撃音遮音性能を向上させることができる。
【0023】
また、バルコニー7側の既存大梁4の端部上面に新設支持部9が形成されているため、新設床部20、新設支持部9、新設床部20上の人および載置物の重量は既存梁の端部に作用する。このため、既存大梁4中間部に新設支持部9を設ける場合に比べて既存大梁4にかかるモーメントは軽減され、既存大梁4にかかる負担は軽減することができる。また、新設支持部9から伝達される振動は既存梁の端部から既存スラブ6の出隅部分に伝達されるため、既存スラブ6に伝達される振動は低減され、下階に伝わる重量衝撃音を軽減することができる。
【0024】
また、新設支持部9は弾性材10から構成されているため、上階の床衝撃による振動は弾性材10に吸収され、既存大梁4に伝達される振動は軽減される。これによって、下階に伝わる重量衝撃音を軽減することができる。
【0025】
以上、本発明に係る改修用二重床構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では新設床部20を大引き材12と根太材16と合板受け材18と床基材19とから構成されているが、本発明は上記した構成以外からなる新設床部20でもよく、根太材16に直接床基材19を張り付ける構成のものでもよく、所定の強度を有する1枚のパネル材からなる構成でもよい。
【0026】
また、上記した実施の形態では、既存大梁4に定着したアンカーボルト13によって、既存大梁4と新設支持部9とを固定するとともに、新設支持部9と大引き材12とを固定しているが、本発明は、既存大梁4と新設支持部9との間および新設支持部9と大引き材12(新設床材)との間に接着剤を塗布して固定してもよく、アンカーボルト13と接着剤とを併用してもよい。また、上記した実施の形態では新設支持部9は既存大梁4の上面にのみ配設されているが、本発明は新設支持部9を既存小梁5の上面に配設させてもよく、また複数の新設支持部9のうち何本かの新設支持部9を既存スラブ上に配置させてもよい。
【0027】
さらに、上記した実施の形態では、新設支持部9は弾性材10から構成されているが、本発明は、大引き材12(新設床材)と接合される新設支持部9の上端部に弾性材10を形成してもよく、また既存大梁4の上面と接合する新設支持部9の下端部に弾性材10を形成してもよく、または新設支持部9の中間部に弾性材10を介在させてもよい。さらに、新設支持部9の上端部および下端部および中間部の全てに弾性材10を形成させてもよく、つまり、新設支持部9の上端部と下端部と中間部との何れか一箇所に弾性材10を形成してもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のとおり説明した本発明に係る改修用二重床構造によれば、上階の床衝撃による振動は、新設床部から新設支持部を介して既存梁に伝達され、既存梁から既存スラブに伝達されるため、既存スラブに直接振動が伝達されない。これによって、既存スラブに伝達される振動は低減され、新たに形成される新設の床の重量衝撃音遮音性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る改修用二重床構造を説明するための断面図である。
【図2】本発明に係る改修用二重床構造を説明するための平面図である。
【図3】本発明に係る改修用二重床構造を説明するための図2に示すA−A断面の部分断面図である。
【符号の説明】
1 既存建物(既存構造物)
2 改修用二重床
4 既存大梁(既存梁)
5 既存小梁(既存梁)
6 既存スラブ
9 新設支持部
10 弾性材
20 新設床部
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存構造物改修後の居室内の床を形成する改修用二重床構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、事務所ビルを改修して集合住宅へ用途変更する計画が多数立案されているが、通常、事務所ビルとして設計施工された建物の多くは、スラブ厚さが12cm程度に設計されているか、或いはU型のデッキスラブからスラブが形成されている。この場合、直床や通常の二重床により居室内の床を形成すると上階の床衝撃による振動は下階にそのまま伝達されるため、床を形成する床基材と床基材を支持する根太との間に弾性シートを介在させる方法が提案されている。これによって、弾性シートが上階の床衝撃による振動を吸収して、下階への床重量衝撃音を軽減することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−88320号公報 (第3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の方法では、弾性シートにより吸収し切れなかった床重量衝撃音は根太からスラブ上に立設された支持脚を介してスラブに伝達され、スラブから下階に伝達される。このため、既存スラブの遮音性能が低い場合には、集合住宅に必要な床衝撃音遮音性能が確保できない場合があるという問題が存在する。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、遮音性能の低い既存スラブの場合にも、改修後の新設床部から下階へと伝達される重量衝撃振動を軽減させ、重量衝撃音遮音性能を向上させることができる改修用二重床構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、既存梁および既存スラブを有する既存構造物内に形成され、該既存スラブ上方に隙間をあけて敷設される新設床部と該新設床部を支持する新設支持部とから構成されている改修用二重床構造において、前記新設支持部は、前記既存梁の上面に配設されていることを特徴としている。
【0007】
このような特徴により、上階の床衝撃による振動は、新設床部から新設支持部を介して既存梁に伝達され、既存梁から既存スラブに伝達されるため、既存スラブに直接振動が伝達されない。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の改修用二重床構造において、前記既存梁の上面に配設される前記新設支持部の位置は、前記既存梁の端部に配置されていることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、新設床部、新設支持部、新設床部上の人および載置物の重量は既存梁の端部に作用する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の改修用二重床構造において、前記新設支持部には、前記床部から伝達される振動を吸収する弾性材が備えられていることを特徴としている。
【0011】
このような特徴により、上階の床衝撃による振動は弾性材に吸収され、既存梁に伝達される振動は軽減される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る改修用二重床構造の実施の形態について、図面に基づいて説明する。本実施の形態は事務所として設計された既存建物1を集合住宅に改修する場合であり、図1は既存建物1に住宅用の新たな床を形成する改修用二重床2が設けられた状態を表す断面図であり、図2は改修用二重床2を既存建物1内に配設する状態を表す平面図であり、図3は図2に示す改修用二重床2のA−A断面の部分断面図である。なお、図2における左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とする。
【0013】
図1、図2、図3に示すように、既存建物1は、均等に間隔をあけて立設された既存柱3と、隣り合う既存柱3の間に架設されてX方向およびY方向にそれぞれ延在する既存大梁4と、対向する既存大梁4の中間部の間に架設されてX方向およびY方向にそれぞれ延在する既存小梁5と、既存大梁4および既存小梁5で囲まれた範囲に形成される既存スラブ6とから構成されている。図2における下側の既存建物1内にはバルコニー7が形成され、図2における上側の既存建物1内には共用廊下8が形成されている。
【0014】
バルコニー7側のY方向に延在する既存大梁4の端部上面、共用廊下8側のY方向に延在する既存大梁4の中間部上面、およびY方向に延在する既存小梁5が接合されるX方向に延在する既存大梁4の仕口部上面には、矩形盤状の新設支持部9がそれぞれ設けられている。新設支持部9は厚さ20mm程度の板状防振ゴム等の弾性材10から構成されており、弾性材10と既存大梁4との間には厚さ10mm程度の均しモルタル11が介在されている。新設支持部9は既存大梁4の上面にのみ配設されており、既存スラブ6上には配設されていない。
【0015】
Y方向に延在する既存大梁4およびY方向に延在する既存小梁5の上方には、Y方向に延在するH型鋼からなる大引き材12が隙間をあけてそれぞれ配置されている。大引き材12はそれぞれ弾性材10(新設支持部9)によって支持されており、大引き材12の下フランジ部12a下面と弾性材10上面とは接合されている。弾性材10の四隅には図示せぬ貫通孔がそれぞれ形成されており、この貫通孔にはアンカーボルト13がそれぞれ挿通されている。アンカーボルト13の下端は既存大梁4内に定着されており、上端は大引き材12の下フランジ部12aに形成された図示せぬ貫通孔に挿通されている。アンカーボルト13の上端にはナット14が螺合されており、ナット14はワッシャ15を介して下フランジ部12a上方に固定されている。
【0016】
平行する複数の大引き材12の間には、X方向に延在するC型チャンネルからなる根太材16が既存スラブ6と隙間をあけて複数架設されている。複数の根太材16は例えば600mm程度の一定の間隔をあけて配列されており、根太材16の両端面は大引き材12のウェブ部12bに対向されている。根太材16が接合される大引き材12のウェブ部12bには、X方向に張り出すブラケット部17が形成されており、ブラケット部17の先端に根太材16の端部がボルト固定により継手されている。また、平行する複数の根太材16の間には、Y方向に延在する棒状の合板受け材18が複数架設されている。複数の合板受け材18は間隔をあけて配列されており、合板受けの上方にはフローリング板からなる床基材19が敷設されている。なお、上記した大引き材12、根太材16、合板受け材18および床基材19によって、既存スラブ6に隙間をあけて敷設される新設床部20は構成されている。
【0017】
次に、上記した改修用二重床2を既存建物1に設置して、集合住宅の新たな床を形成する方法について説明する。
【0018】
まず、図3に示すように、新設支持部9(弾性材10)が形成される複数の既存大梁4上面にアンカーボルト13を二列4本づつそれぞれ打ち込み、既存大梁4上面に複数のアンカーボルト13を立設する。アンカーボルト13は下端が100mm以上定着するとともに上端が十分に(60mm程度)突出する深さまで打ち込み、接着剤によってアンカーボルト13下端と既存大梁4のコンクリート躯体とを強固に固定する。
【0019】
次に、弾性材10の四隅に形成された図示せぬ貫通孔に既存大梁4上面から突設したアンカーボルト13の上端をそれぞれ挿通させ、既存大梁4の上方に弾性材10を10mm程度の隙間をあけて設置して新設支持部9を形成する。次に、大引き材12に形成された図示せぬ貫通孔にアンカーボルト13の上端をそれぞれ挿通させ、大引き材12を新設支持部9(弾性材10)上に架設させる。そして、大引き材12の下フランジ部12a上に突設したアンカーボルト13の上端にワッシャ15を嵌め込み、その上からナット14を螺合させて大引き材12を新設支持部9に固定する。
【0020】
次に、アンカーボルト13が立設された複数の既存大梁4上面にモルタル注入口が設けられた図示せぬ枠をそれぞれ形成する。図示せぬ枠は既存大梁4と弾性材10との隙間を囲うように配置し、モルタル注入口から既存大梁4と弾性材10との間に無収縮を流し込む。適当な養生期間をおき、均しモルタル11が固化した後に図示せぬ枠を脱型し、均しモルタル11を形成する。
【0021】
次に、平行する大引き材12の間に複数の根太材16をそれぞれ架設させる。複数の根太材16を間隔をあけて配置し、複数の根太材16の両端部を大引き材12のブラケット部17にそれぞれボルト固定する。次に、根太材16上にY方向に延在する合板受け材18を間隔をあけて架設し、合板受け材18上に床基材19を敷設する。合板受け材18は根太材16上面に固定し、床基材19は合板受け材18上面に固定する。
【0022】
上記した構成からなる改修用二重床構造によれば、新設支持部9は既存大梁4上面に設けられているため、改修用二重床2が形成された上階の床衝撃による振動は、床基材19から合板受け材18を介して根太材16に伝達され、根太材16からブラケット部17を介して大引き材12に伝達され、大引き材12から新設支持部9を介して既存大梁4に伝達され、既存大梁4から既存スラブ6に伝達される。このため、既存スラブ6に直接振動が伝達されず、改修用二重床2からなる新設の床の重量衝撃音遮音性能を向上させることができる。
【0023】
また、バルコニー7側の既存大梁4の端部上面に新設支持部9が形成されているため、新設床部20、新設支持部9、新設床部20上の人および載置物の重量は既存梁の端部に作用する。このため、既存大梁4中間部に新設支持部9を設ける場合に比べて既存大梁4にかかるモーメントは軽減され、既存大梁4にかかる負担は軽減することができる。また、新設支持部9から伝達される振動は既存梁の端部から既存スラブ6の出隅部分に伝達されるため、既存スラブ6に伝達される振動は低減され、下階に伝わる重量衝撃音を軽減することができる。
【0024】
また、新設支持部9は弾性材10から構成されているため、上階の床衝撃による振動は弾性材10に吸収され、既存大梁4に伝達される振動は軽減される。これによって、下階に伝わる重量衝撃音を軽減することができる。
【0025】
以上、本発明に係る改修用二重床構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では新設床部20を大引き材12と根太材16と合板受け材18と床基材19とから構成されているが、本発明は上記した構成以外からなる新設床部20でもよく、根太材16に直接床基材19を張り付ける構成のものでもよく、所定の強度を有する1枚のパネル材からなる構成でもよい。
【0026】
また、上記した実施の形態では、既存大梁4に定着したアンカーボルト13によって、既存大梁4と新設支持部9とを固定するとともに、新設支持部9と大引き材12とを固定しているが、本発明は、既存大梁4と新設支持部9との間および新設支持部9と大引き材12(新設床材)との間に接着剤を塗布して固定してもよく、アンカーボルト13と接着剤とを併用してもよい。また、上記した実施の形態では新設支持部9は既存大梁4の上面にのみ配設されているが、本発明は新設支持部9を既存小梁5の上面に配設させてもよく、また複数の新設支持部9のうち何本かの新設支持部9を既存スラブ上に配置させてもよい。
【0027】
さらに、上記した実施の形態では、新設支持部9は弾性材10から構成されているが、本発明は、大引き材12(新設床材)と接合される新設支持部9の上端部に弾性材10を形成してもよく、また既存大梁4の上面と接合する新設支持部9の下端部に弾性材10を形成してもよく、または新設支持部9の中間部に弾性材10を介在させてもよい。さらに、新設支持部9の上端部および下端部および中間部の全てに弾性材10を形成させてもよく、つまり、新設支持部9の上端部と下端部と中間部との何れか一箇所に弾性材10を形成してもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のとおり説明した本発明に係る改修用二重床構造によれば、上階の床衝撃による振動は、新設床部から新設支持部を介して既存梁に伝達され、既存梁から既存スラブに伝達されるため、既存スラブに直接振動が伝達されない。これによって、既存スラブに伝達される振動は低減され、新たに形成される新設の床の重量衝撃音遮音性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る改修用二重床構造を説明するための断面図である。
【図2】本発明に係る改修用二重床構造を説明するための平面図である。
【図3】本発明に係る改修用二重床構造を説明するための図2に示すA−A断面の部分断面図である。
【符号の説明】
1 既存建物(既存構造物)
2 改修用二重床
4 既存大梁(既存梁)
5 既存小梁(既存梁)
6 既存スラブ
9 新設支持部
10 弾性材
20 新設床部
Claims (3)
- 既存梁および既存スラブを有する既存構造物内に形成され、該既存スラブ上方に隙間をあけて敷設される新設床部と該新設床部を支持する新設支持部とから構成されている改修用二重床構造において、
前記新設支持部は、前記既存梁の上面に配設されていることを特徴とする改修用二重床構造。 - 請求項1記載の改修用二重床構造において、
前記既存梁の上面に配設される前記新設支持部の位置は、前記既存梁の端部に配置されていることを特徴とする改修用二重床構造。 - 請求項1または2記載の改修用二重床構造において、
前記新設支持部には、前記床部から伝達される振動を吸収する弾性材が備えられていることを特徴とする改修用二重床構造。
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JP2003101830A JP2004308204A (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | 改修用二重床構造 |
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JP2003101830A JP2004308204A (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | 改修用二重床構造 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108678417A (zh) * | 2018-07-31 | 2018-10-19 | 天津市建筑设计院 | 一种钢结构楼板改造节点 |
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2003
- 2003-04-04 JP JP2003101830A patent/JP2004308204A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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CN108678417A (zh) * | 2018-07-31 | 2018-10-19 | 天津市建筑设计院 | 一种钢结构楼板改造节点 |
CN108678417B (zh) * | 2018-07-31 | 2023-07-21 | 天津市建筑设计院 | 一种钢结构楼板改造节点 |
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