JP2004307733A - 土中から掘り起こされた廃棄プラスチックを油化するための前処理装置及び前処理方法 - Google Patents
土中から掘り起こされた廃棄プラスチックを油化するための前処理装置及び前処理方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを油化処理できるように前処理する前処理装置、前処理方法を提供する。
【解決手段】土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除く土砂除去手段(110)と、廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除く金属屑除去手段(120,130)と、廃棄プラスチックを粉砕する粉砕手段(140)と、廃棄プラスチックの中から塩素を含有する含塩素プラスチックを分離するプラスチック分離手段(150)と、廃棄プラスチックを乾燥する乾燥手段(160)とを備えて前処理装置(100)を構成し、前処理を行なう。
【選択図】 図3
【解決手段】土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除く土砂除去手段(110)と、廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除く金属屑除去手段(120,130)と、廃棄プラスチックを粉砕する粉砕手段(140)と、廃棄プラスチックの中から塩素を含有する含塩素プラスチックを分離するプラスチック分離手段(150)と、廃棄プラスチックを乾燥する乾燥手段(160)とを備えて前処理装置(100)を構成し、前処理を行なう。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを加熱して解重合させて油を採取する油化処理をするために、当該油化処理に先立って行なわれる前処理に用いる前処理装置、及び前処理方法に関する。より詳しくは、土中から掘り起こされて土砂等が付着した廃棄プラスチックを油化処理するために、当該油化処理に先立って当該廃棄プラスチックから土砂等を除去する前処理装置、及び前処理方法に関する。
【0002】
なお、本明細書において、廃棄プラスチックとは、1)土砂及び廃棄プラスチック等が混入した状態の廃棄プラスチックの意味で用いられる場合と、2)土砂や、廃棄プラスチック等が取り除かれた状態の廃棄プラスチックの意味で用いられる場合がある。即ち、例えば、「土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出す」というときの廃棄プラスチックは前者の意味で用いられ、例えば、「土砂が取り除かれた廃棄プラスチック」、「前処理された廃棄プラスチック」というときの廃棄プラスチックは後者の意味で用いられる。
【0003】
【従来の技術】
従来から、廃棄プラスチック等の産業廃棄物を土中に埋設して処理することが行なわれているが、近年の廃棄物量の増加に伴い、埋設する処分場が不足する等の問題が生じている。
【0004】
このような背景から、処分場に埋設された廃棄物の減容処理を行なう技術が開発されている。例えば、最終処理場から廃棄物を掘り起こし、この掘り起こした廃棄物を、加熱処理炉で加熱処理し、この加熱処理炉で処理した処理済み残渣をさらに溶融処理炉にて溶融処理し、最後に残った溶融スラグを改めて別の場所に埋め立て処理するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この廃棄物の再処理方法によれば、最終処理場の許容処分量をことさら増大することなく、より多くの廃棄物を処分できる。
【特許文献1】
特開2001−232325号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この廃棄物の再処理方法により廃棄物の再処理を行なう場合においても、溶融スラグを埋め立てる場所が必要であり、また、廃棄物の再利用(リサイクル)という点では充分ではない。
【0007】
ところで、廃棄プラスチックを再利用(リサイクル)するためプラスチックから油を生成するプラスチック油化装置がある。これは、例えば、プラスチックを加熱により解重合させた後に冷却して油として抽出するものである(例えば、特開2000−016774号公報参照。)。
【0008】
そして、最終処分所の土中に埋設された廃棄プラスチックを当該プラスチック油化装置で油化することを考えた場合、単純に土中から掘り出した廃棄プラスチックをプラスチック油化装置で処理することは困難である。即ち、土中に埋設された廃棄プラスチックには多量の土砂が付着し、また、他の廃棄物も混入しており、これらがプラスチック油化装置内に持ち込まれると、油化装置が正常に運転できず、また、得られる油の純度が落ち、さらには油化自体ができなくなってしまう。
【0009】
本発明はかかる問題に鑑み為されたもので、その目的とするところは、土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを油化処理できるように前処理する前処理装置、及び前処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の前処理装置は、土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを加熱して解重合させて油を採取する油化処理をするために、当該油化処理に先立って行なわれる前処理に用いる前処理装置であって、土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除く土砂除去手段と、土砂が取り除かれた廃棄プラスチックを乾燥する乾燥手段と、を備えて構成される(請求項1)。
【0011】
これに拠れば、先ず、土砂除去手段で土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に土砂を大量に持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、乾燥手段で廃棄プラスチックを乾燥させるので、廃棄プラスチックを解重合させるため高温に保たれた雰囲気内に水分が持ち込まれるのを防止できる。従って、水蒸気爆発を生じさせることがない。
【0012】
また、この前処理装置において、土砂を取り除かれた後、乾燥される前又は後の廃棄プラスチックを粉砕する粉砕手段を備えると良い(請求項2)。
【0013】
これに拠れば、粉砕手段で廃棄プラスチックをチップ状に粉砕するので、当該チップ状に粉砕された廃棄プラスチックは油化処理での溶融の際に効率よく溶融される。
【0014】
更に、この前処理装置において、土砂が取り除かれた後、粉砕される前の廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除く金属屑除去手段を備えると良い(請求項3)。
【0015】
これに拠れば、金属屑除去手段で廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に金属屑を持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、廃棄プラスチックを粉砕する前に金属屑を取り除くので、粉砕手段を破損させたり、粉砕効率を低下させたりすることがない。
【0016】
また、これらの前処理装置において、粉砕された廃棄プラスチックの中から塩素を含有する含塩素プラスチックを分離するプラスチック分離手段を備えると良い(請求項4)。
【0017】
これに拠れば、油化処理での溶融時に塩化水素ガスを発生する含塩素プラスチックを予め分離するので、塩化水素ガス発生の問題を解決することができる。なお、含塩素プラスチックは、溶融時に塩化水素ガスを発生するプラスチックであり、その代表は塩化ビニルである。
【0018】
更に、以上の前処理装置において、土砂除去手段では水洗浄により廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くことが良い(請求項5)。
【0019】
これに拠れば、廃棄プラスチックに付着した土砂を水洗浄により確実に取り除くことができる。なお、単に廃棄プラスチックを水中に浸漬させて水洗浄を行なっても良いが、揺動機能を備えて廃棄プラスチックを揺動させながら水洗浄を行ない、またシャワーによる水圧を利用して水洗浄を行なうことにより、洗浄効率を一層向上することができる。
【0020】
上記の課題を解決するため、本発明の前処理方法は、土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを加熱して解重合させて油を採取する油化処理をするために、当該油化処理に先立って行なわれる前処理方法であって、土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除く土砂除去工程と、土砂が取り除かれた廃棄プラスチックを乾燥する乾燥工程と、を含んで構成される(請求項6)。
【0021】
これに拠れば、先ず、土砂除去工程で土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に土砂を大量に持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、乾燥工程で廃棄プラスチックを乾燥させるので、廃棄プラスチックを解重合させるため高温に保たれた雰囲気内に水分が持ち込まれるのを防止できる。従って、水蒸気爆発を生じさせることがない。
【0022】
また、この前処理方法において、土砂を取り除かれた後、乾燥される前又は後の廃棄プラスチックを粉砕する粉砕工程を含むと良い(請求項7)。
【0023】
これに拠れば、粉砕工程で廃棄プラスチックをチップ状に粉砕するので、当該チップ状に粉砕された廃棄プラスチックは油化処理での溶融の際に効率よく溶融される。
【0024】
更に、この前処理方法において、土砂が取り除かれた後、粉砕される前の廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除く金属屑除去工程を含むと良い(請求項8)。
【0025】
これに拠れば、金属屑除去工程で廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に金属屑を持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、廃棄プラスチックを粉砕する前に金属屑を取り除くので、粉砕工程で用いる粉砕手段を破損させたり、粉砕効率を低下させたりすることがない。
【0026】
また、これらの前処理方法において、粉砕された廃棄プラスチックの中から塩素を含有する含塩素プラスチックを分離するプラスチック分離工程を含むと良い(請求項9)。
【0027】
これに拠れば、油化処理での溶融時に塩化水素ガスを発生する含塩素プラスチックを予め分離するので、塩化水素ガス発生の問題を解決することができる。
【0028】
更に、以上の前処理方法において、土砂除去工程では水洗浄により廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くことが良い(請求項10)。
【0029】
これに拠れば、廃棄プラスチックに付着した土砂を水洗浄により確実に取り除くことができる。なお、単に廃棄プラスチックを水中に浸漬させて水洗浄を行なっても良いが、廃棄プラスチックを揺動させながら水洗浄を行ない、またシャワーによる水圧を利用して水洗浄を行なうことにより、洗浄効率を一層向上することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照して説明する。
【0031】
本実施形態では、先ず、(1)埋め立てにより土中に埋設された廃棄物を掘り起こし、次いで、(2)廃棄物に含まれる廃棄プラスチックをプラスチック油化装置に供給できるように前処理を行ない、最後に、(3)プラスチック油化装置で廃棄プラスチックを油化する。
【0032】
以下、(1)廃棄物の掘り出し、(2)前処理、(3)プラスチックの油化、の順に詳細に説明する。
【0033】
(1)廃棄物の掘り出し
図1は、廃棄物埋立処理場における廃棄物の埋立状態を示すの断面図である。
【0034】
図1に示すように、廃棄物埋立処理場1には、廃棄プラスチックを含む廃棄物2と、廃棄物2を覆うための覆土3と、が交互に埋め立てられている。
【0035】
廃棄物埋立処理場1から廃棄物2を掘り出すに先立って、先ず、油圧ショベルP等の掘削用重機で覆土3を掘り出す。掘り出した覆土3は、再び覆土3として用いても良いし、粒度毎に選別して石製品としてリサイクルしても良い。
【0036】
次いで、図2に示すように、覆土2が取り除かれて表面に露出した廃棄物2を、バケットを備えた油圧ショベルP等の掘削用重機で掘り起こし、更に、フォークを備えた油圧ショベルQ等の引上用重機を用いて引上げる。このように、先ず、掘削用重機で廃棄物2を掘り起こすので、長年の間に押し固められた状態となっている廃棄物2をほぐすことができ、次いで、ほぐされた廃棄物2を引上用重機のフォーク(ブラップルともいう)を構成する複数の爪状の把持部Rで把持して引上げるので、土砂を極力混入させずに廃棄物2を掘り出すことができる。
【0037】
このように土中から掘り出された廃棄物2は、後述する前処理装置に送られて前処理される。
【0038】
(2)前処理
図3は、本発明の実施形態に係る前処理装置の全体構成を示す模式図である。図3に示すように、前処理装置100は、廃棄プラスチックに付着する土砂等を水洗浄により取り除く洗浄装置110と、廃棄プラスチックに混入する鉄屑を取り除く磁選機120と、廃棄プラスチックに混入する非鉄屑を取り除く非鉄金属選別装置130と、廃棄プラスチックを粉砕する粉砕装置140と、廃棄プラスチックを塩化ビニルと他のプラスチックとに選別するプラスチック選別装置150と、廃棄プラスチックを乾燥する乾燥機160と、各装置間を廃棄プラスチックを搬送するための搬送装置170とで構成される。
【0039】
なお、洗浄装置110は土砂除去手段を、磁選機120及び非鉄金属選別装置130は金属屑除去手段を、粉砕装置140は粉砕手段を、選別装置150はプラスチック分離手段を、乾燥機160は乾燥手段を、それぞれ構成する。
【0040】
(2−1)洗浄装置
図4は、洗浄装置110の構成例を示す模式図である。図4に示すように、洗浄装置110は、廃棄プラスチックを搬送する第1コンベア111と、第1コンベア111の上下に設けられて第1コンベア111上の廃棄プラスチックに向かって水を噴射するシャワー装置112と、シャワー装置112からの水の噴射によって洗い流された土砂を受け止めて搬送する第2コンベア113と、シャワー装置112から噴射される水を受け止め貯留する貯水タンク114と、貯水タンク114内の水をシャワー装置112に供給する水配管115と、水配管115の途中に設けられて水をシャワー装置112側に送り出すポンプ116とで構成される。
【0041】
第1コンベア111は、廃棄プラスチックを載置でき(即ち、廃棄プラスチックを通過させず)、且つ、洗い流された土砂を通過させるような大き目の網目状に形成された搬送ベルト111aと、搬送ベルト111aを駆動させる2本の駆動軸111bとで構成される(図5(A))。一方、第2コンベア113は、洗い流された土砂を通過させず、且つ、水を通過させるよう微細な網目状に形成された搬送ベルト113aと、搬送ベルト113aを駆動させる2本の駆動軸113bとで構成される(図5(B))。
【0042】
シャワー装置112は第1コンベア111を挟んで上下に複数のノズル112aを備えており、其々のノズル112aは第1コンベア111上に載置されて搬送される廃棄プラスチックに水を噴射するように調整される。各ノズル112aからの水の噴射量は、第1コンベア111上に載置される廃棄プラスチックを吹き飛ばすことなく、しかも廃棄プラスチックに付着した土砂を充分に洗い流せるように調整される。例えば、搬送方向の上流に位置するノズル112aでは低い水圧で水量を多めに噴射し、搬送方向の下流に位置するノズル112aでは高い水圧で噴射するようにすればよい。これに拠れば、先ず、搬送方向上流で廃棄プラスチックに付着する土砂に水を充分に含ませることができ、次いで、搬送方向下流で充分に水を含んで軟らかくなった土砂を高水圧により確実に廃棄プラスチックから取り除くことができる。
【0043】
また、このようなシャワー噴射による洗浄装置110に替えて、バッチ式の洗浄装置を用いることもできる。図6は、バッチ式の洗浄装置の構成例を示す模式図である。図6に示すように、バッチ式の洗浄装置110’は、廃棄プラスチックに付着した土砂を洗浄するための水を溜めた洗浄容器117と、廃棄プラスチックを載置でき、且つ、洗い流された土砂を通過させるような大き目の網目状に形成された洗浄網118と、洗い流された土砂を通過させず、且つ、水を通過させるよう微細な網目状に形成された土砂受網119とで構成される。また、洗浄装置110’は、他に、洗浄容器117に対して洗浄網118及び土砂受網119を出し入れするためのクレーン(図示せず)や、土砂の洗浄効果を向上するため洗浄網118を揺動させる揺動装置(図示せず)等を備える。
【0044】
また、シャワー式の洗浄装置110と、バッチ式の洗浄装置110’を併用してもよい。これに拠れば、廃棄プラスチックに付着した土砂を一層確実に除去することができる。
【0045】
(2−2)磁選機、非鉄金属選別装置
磁選機120は、公知の磁選機であり、例えば、磁力を利用して廃棄プラスチックに混入する磁性物(主に鉄)を除去、回収する装置である。磁選機120で除去された磁性物は、磁性物BOXで回収されリサイクルにまわされる。
【0046】
非鉄金属選別装置130は、公知の非鉄金属選別装置であり、例えば、渦電流を利用して廃棄プラスチックに混入する非鉄金属を除去、回収する装置である。非鉄金属選別装置130で除去された非鉄金属は、非鉄金属BOXで回収されリサイクルにまわされる。
【0047】
(2−3)粉砕機
粉砕機140は、廃棄プラスチックを1mm〜30mm角程度のチップ状に粉砕する装置であり、公知の粉砕機を用いることができる。
【0048】
(2−4)プラスチック選別装置
図7は、プラスチック選別装置150の構成例を示す模式図である。図7に示すように、プラスチック選別装置150は、廃棄プラスチックを搬入する搬入コンベア151と、水を貯留する選別容器152と、選別容器152に貯留された水の上層部に浮遊するプラスチックを搬出する上部コンベア153と、選別容器152に貯留された水の下層部に沈下したプラスチックを搬出する下部コンベア154と、水の上層部に浮遊するプラスチックを上部コンベア153の方向(図7の矢印の方向)に移動させるために水流を生じさせる水流発生装置155と、で構成される。
【0049】
以上のように構成されたプラスチック選別装置150は、先ず、搬入コンベア151により搬入されるプラスチックを、選別容器152内の水に投入して、水の上層部に浮遊する比重の小さいプラスチックと、水の下層部に沈下する比重の大きいプラスチックとに分離させる。次いで、上層部に浮遊する比重の小さいプラスチックを、水流発生装置155で生じさせた水流により上部コンベア153の方向(図7の矢印の方向)に移動させ、上部コンベア153で搬出する。一方、下層部に沈下す比重の大きいプラスチックを、下部コンベア154で搬出する。これに拠れば、比重の大きい含塩素プラスチックと、それ以外プラスチックを容易に選別することができる。
【0050】
なお、プラスチック選別装置150は、水の上層部に浮遊するプラスチックと水の下層部に沈下するプラスチックを分離できるものであれば、上述した構成に特に限定されるものではなく、例えば、網を用いて上層部に浮遊するプラスチックを取り出すような構成であってもよい。また、遠心分離により、比重の大きいプラスチックと比重の小さいプラスチックを選別するものであってもよい。
【0051】
(2−5)乾燥機
乾燥機160は、ハウジング161と、ハウジング161内に熱風を送り込む熱風配管162と、プラスチックを搬送する搬送コンベア163とで構成される。
【0052】
なお、熱風配管162は、ボイラー(図示せず)から直接に熱風の供給を受けても良いが、後述するプラスチック油化装置の溶融部及び分解部の加熱に用いた熱風を再利用するようにしてもよい。すなわち、溶融部及び分解部の加熱温度は乾燥機160の加熱温度より高いので、溶融部及び分解部の加熱に用いた後に排気口から排気される熱風を用いて、乾燥機160を所定温度に加熱することができる。これに拠れば、全体として省エネルギーを達成できる。
【0053】
また、プラスチックを乾燥することにより発生する異臭を取り除くため、ハウジング161に設けた排気口161aから排気される異臭を伴う空気を燃焼させて脱臭してもよい。この場合、排気口161aから排気される異臭を伴う空気を、後述するプラスチック油化装置のボイラーで燃焼させて脱臭するとよい。これに拠れば、脱臭用の燃焼装置をわざわざ設ける必要が無く、省エネルギーを達成できる。
【0054】
以上のように構成された乾燥機160は、搬送コンベア163で搬送されるプラスチックを熱風配管162から供給される熱風により乾燥する。
【0055】
(3)廃棄プラスチックの油化
前処理装置100により前処理された廃棄プラスチックは、プラスチック油化装置に供給され油化される。以下、プラスチック油化装置の一例について説明する。
【0056】
図8は、プラスチック油化装置の全体構成を示す模式図である。図8に示すように、プラスチック油化装置201は、前処理されたチップ状の廃棄プラスチックを貯留して溶融部203へ供給する供給部202と、供給された廃棄プラスチックを溶融する溶融部203と、溶融された廃棄プラスチックを加熱により解重合させて分解ガスを生成する分解部204と、生成された分解ガスを冷却して油として回収する油回収部205と、分解部204で分解されなかったプラスチック残渣を回収する残渣回収部206とで構成される。
【0057】
(3−1)供給部
供給部202は、前処理されたチップ状の廃棄プラスチックが投入され当該プラスチックを一時的に貯留するホッパー221と、ホッパー221内に投入されたプラスチックを溶融部203側に送り出すリードスクリュー222と、リードスクリュー222を回転させるモータ223とで構成される。
【0058】
このように構成された供給部202は、先ずホッパー221の投入口(図示せず)から廃棄プラスチックが投入され、次いで当該廃棄プラスチックをモータ223により回転されるリードスクリュー222で送り出すように溶融部203へ供給する。
【0059】
(3−2)溶融部
溶融部203は、プラスチックを収容する溶融筒231と、溶融筒231の外部に設けられる外筒232と、溶融筒231と外筒232との間に形成され溶融筒231の内部を加熱するための熱風を収容する熱風空間233と、ボイラーBで生成した熱風を熱風空間233に供給する熱風配管234と、熱風空間233内の熱風を循環させる循環配管235と、循環配管235の途中に設けられ熱風を溶融部203の上流側(図8の左側)から取り出して下流側(図8の右側)へ押し込む方向に循環させるブロワー236と、溶融筒231内のプラスチックを上流側から下流側に向けて搬送するリードスクリュー237と、リードスクリュー237を回転させるモータ238とで構成される。
【0060】
このように構成された溶融部203は、供給部202から供給された廃棄プラスチックを、リードスクリュー237の回転により、溶融筒231内の上流から下流に向かって搬送する。このとき、溶融筒231内は熱風空間233を循環する熱風によって加熱されるので、廃棄プラスチックは溶融筒231の下流に搬送されるまでに溶解され、更に、溶融されたプラスチックの表面には泡状のプラスチックが生じる。なお、溶融筒231内の温度は上流から下流にかけて徐々に高温となるように、200〜350℃に制御される。
【0061】
(3−3)分解部
分解部204は、第1分解部204aと第2分解部204bとで2段に形成される。第1分解部204a及び第2分解部204bは、終端を鉛直方向の上方に位置させるように斜めに配置されプラスチックを収容する分解筒241と、分解筒241の外部に設けられる外筒242と、分解筒241と外筒242との間に形成され分解筒241の内部を加熱するための熱風を収容する熱風空間243と、ボイラーBで生成した熱風を熱風空間243に供給する熱風配管244と、熱風空間243内の熱風を循環させる循環配管245と、循環配管245の途中に設けられ熱風を分解部204の上流側(図8の左側)から取り出して下流側(図8の右側)へ押し込む方向に循環させるブロワー236と、分解筒241内のプラスチックを上流側から下流側に向けて搬送するリードスクリュー247と、リードスクリュー247を回転させるモータ248とで構成される。また、第1分解部204aと第2分解部204bは、連結管249で連結される。
【0062】
このように構成された分解部204は、溶融されたプラスチックの表面に生じた泡状のプラスチックをリードスクリュー247の回転により分解筒241内の上流から下流に向かって搬送する。このとき、分解筒241内は熱風空間243を循環する熱風によって溶解部203の温度より更に高い温度に加熱されるので、泡状のプラスチックは加熱により解重合されて分解ガスとなる。プラスチックは泡状であり接触面積が大きいので、確実に解重合されて分解ガスとなる。このようにプラスチックを解重合させて分解ガスとするために、分解筒241内の温度は上流から下流にかけて徐々に高温となるように300〜600℃に制御される。
【0063】
なお、分解部204を一段で形成してもよく、また、複数段で形成することも可能である。
【0064】
(3−4)油回収部
油回収部205は、第1分解部204a及び第2分解部204bの分解筒241の終端側上部に接続され分解ガスを搬送する回収配管251と、回収配管251の中間部に配設されて分解ガス中の塩素を取り除くための脱塩素装置252と、脱塩素された分解ガスを冷却して油とするコンデンサー253と、油を回収する油回収タンク254とを備えて構成される。
【0065】
脱塩素装置252は、分解ガスに含まれる塩化水素ガスを除去するためのもので、例えば、分解ガスに苛性ソーダ等のアルカリ性の溶液をシャワーして中和により塩化水素ガスを除去回収する装置など公知の脱塩素装置を用いることができる。更に、塩化水素ガスを吸収捕捉する炭素浸透液等を使用することも可能である。
【0066】
コンデンサー253は、高温の分解ガスを冷却により液化して油化させるもので、公知のコンデンサーを用いることができる。
【0067】
以上のように構成された油回収部205では、先ず、回収配管251で分解筒241の終端付近に滞留する分解ガスが取り出され、次いで、この分解ガスは脱塩素装置252で含有する塩化水素が除去された後に、コンデンサー253で冷却されて油となり、油回収タンク254で回収される。
【0068】
(3−5)残渣回収部
残渣回収部206は、第2分解部204bの分解筒241の終端側下方に接続されてガス化されなかったプラスチック残渣を取り出して搬送する残渣回収配管261と、プラスチック残渣を回収する残渣タンク262と、残渣回収配管261の途中に設けられたバルブ263と、を備えて構成される。
【0069】
残渣タンク262は、プラスチック残渣を回収するためのタンクであり、内部に水がはってあり、当該水中にプラスチック残渣を回収する網が設置されている。なお、残渣回収配管261の終端は、水上に位置させている。これによれば、水面に浮遊しているプラスチック残渣によって残渣回収配管261の終端部を詰まらせることはない。
【0070】
バルブ263は、分解ガスが残渣タンク262側に流出するのを防止するためのバルブであり、プラスチック残渣を残渣タンク262側に送り出す時のみ「開」とされる。
【0071】
以上のように構成された残渣回収部206は、分解部204のリードスクリュー247で分解筒241の終端まで搬送されたプラスチック残渣を残渣回収配管261で取り出して、残渣タンク262で回収する。
【0072】
(3−6)他の構成
油回収タンク254で回収された油の一部は、フィルター(図示せず)で異物が取り除かれた後に、別系統で設けられた水タンク(図示せず)に貯留された水と混合機(図示せず)で混合される。そして、水と混合された油の一部と廃棄物掘り出しの際に駆動する掘削用重機、引上用重機等の燃料として用い、他の一部をボイラーの燃料として用いればよい。このように水が混合された油は、炭酸ガスの発生が減少し、黒煙の発生が少なく、また、単位燃料当たりのコストが低いという利点がある。油に対する水の混合割合を増せば、一層これらの効果が顕著になるが、通常の混合割合は20%程度である。なお、特殊な混合機を用いれば30%程度まで水を混合することができる。
【0073】
(4)他の実施形態
以上では、図9(A)に示す手順で前処理を行なう例を示したが、これに限られることなく、例えば、図9(B)〜(D)に示す手順で前処理を行なうこともできる。
【0074】
図9(B)は鉄屑及び非鉄屑を取り除いた後に土砂を洗浄する場合、図9(C)は土砂を洗浄した後に乾燥し、その後に鉄屑及び非鉄屑を取り除く場合、図9(D)はプラスチックの選別をした後に乾燥し、その後に粉砕をする場合の手順を示す。このように、図9(B)〜(D)に示す手順で前処理を行なう場合には、洗浄装置110、磁選機120、非鉄金属選別装置130、粉砕装置140、選別装置150、乾燥機160を其々の手順に従い並べ替えて前処理装置100を構成すると良い。なお、図9(C)における土砂洗浄後の乾燥、及び図9(D)におけるプラスチック選別後の乾燥には、乾燥機160と同様の乾燥機を用いれば良い。更に、図9(A)の手順に、図9(B)〜(D)の手順における変更点を相互に組み合せる変更をして、前処理を行なうことも可能である。
【0075】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、様々に変形又は変更することが可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の前処理装置及び前処理方法によれば、先ず、土砂除去手段(工程)で土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に土砂を大量に持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、乾燥手段(工程)で廃棄プラスチックを乾燥させるので、廃棄プラスチックを解重合させるため高温に保たれた雰囲気内に水分が持ち込まれるのを防止できる。従って、水蒸気爆発を生じさせることがない(請求項1,6)。
【0077】
また、粉砕手段(工程)で廃棄プラスチックをチップ状に粉砕するので、当該チップ状に粉砕された廃棄プラスチックは油化処理での溶融の際に効率よく溶融される(請求項2,7)。
【0078】
また、金属屑除去手段(工程)で廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に金属屑を持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、廃棄プラスチックを粉砕する前に金属屑を取り除くので、粉砕手段を破損させたり、粉砕効率を低下させたりすることがない(請求項3,8)。
【0079】
また、油化処理(工程)での溶融時に塩化水素ガスを発生する含塩素プラスチックを予め分離するので、塩化水素ガス発生の問題を解決することができる(請求項4,9)。
【0080】
更に、廃棄プラスチックに付着する土砂を水洗浄により取り除くことにより、廃棄プラスチックに付着した土砂を水洗浄により確実に取り除くことができる(請求項5,10)。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る廃棄物埋立処理場における廃棄物の埋立状態を示すの断面図である。
【図2】実施形態に係る表面にある覆土を掘り出した後の埋立状態を示すの断面図である。
【図3】実施形態に係る前処理装置の全体構成を示す模式図である。
【図4】実施形態に係る洗浄装置の構成例を示す模式図である。
【図5】(A)は図4の洗浄装置の第1コンベアの構成を示す模式図であり、(B)は図4の洗浄装置の第2コンベアの構成を示す模式図である。
【図6】実施形態に係るバッチ式の洗浄装置の構成例を示す模式図である。
【図7】実施形態に係るプラスチック選別装置の構成例を示す模式図である。
【図8】実施形態に係るプラスチック油化装置の全体構成を示す模式図である。
【図9】(A)は実施形態に係る前処理の手順を示すフロー図であり、(B)〜(C)は他の実施形態に係る前処理の手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 最終処理場
2 廃棄物
3 覆土
100 前処理装置
110 洗浄装置
120 磁選機
130 非鉄金属選別装置
140 粉砕機
150 プラスチック選別装置
160 乾燥機
170 搬送装置
201 油化装置
202 供給部
203 溶融部
204 分解部
205 油回収部
206 残渣回収部
【発明の属する技術分野】
土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを加熱して解重合させて油を採取する油化処理をするために、当該油化処理に先立って行なわれる前処理に用いる前処理装置、及び前処理方法に関する。より詳しくは、土中から掘り起こされて土砂等が付着した廃棄プラスチックを油化処理するために、当該油化処理に先立って当該廃棄プラスチックから土砂等を除去する前処理装置、及び前処理方法に関する。
【0002】
なお、本明細書において、廃棄プラスチックとは、1)土砂及び廃棄プラスチック等が混入した状態の廃棄プラスチックの意味で用いられる場合と、2)土砂や、廃棄プラスチック等が取り除かれた状態の廃棄プラスチックの意味で用いられる場合がある。即ち、例えば、「土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出す」というときの廃棄プラスチックは前者の意味で用いられ、例えば、「土砂が取り除かれた廃棄プラスチック」、「前処理された廃棄プラスチック」というときの廃棄プラスチックは後者の意味で用いられる。
【0003】
【従来の技術】
従来から、廃棄プラスチック等の産業廃棄物を土中に埋設して処理することが行なわれているが、近年の廃棄物量の増加に伴い、埋設する処分場が不足する等の問題が生じている。
【0004】
このような背景から、処分場に埋設された廃棄物の減容処理を行なう技術が開発されている。例えば、最終処理場から廃棄物を掘り起こし、この掘り起こした廃棄物を、加熱処理炉で加熱処理し、この加熱処理炉で処理した処理済み残渣をさらに溶融処理炉にて溶融処理し、最後に残った溶融スラグを改めて別の場所に埋め立て処理するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この廃棄物の再処理方法によれば、最終処理場の許容処分量をことさら増大することなく、より多くの廃棄物を処分できる。
【特許文献1】
特開2001−232325号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この廃棄物の再処理方法により廃棄物の再処理を行なう場合においても、溶融スラグを埋め立てる場所が必要であり、また、廃棄物の再利用(リサイクル)という点では充分ではない。
【0007】
ところで、廃棄プラスチックを再利用(リサイクル)するためプラスチックから油を生成するプラスチック油化装置がある。これは、例えば、プラスチックを加熱により解重合させた後に冷却して油として抽出するものである(例えば、特開2000−016774号公報参照。)。
【0008】
そして、最終処分所の土中に埋設された廃棄プラスチックを当該プラスチック油化装置で油化することを考えた場合、単純に土中から掘り出した廃棄プラスチックをプラスチック油化装置で処理することは困難である。即ち、土中に埋設された廃棄プラスチックには多量の土砂が付着し、また、他の廃棄物も混入しており、これらがプラスチック油化装置内に持ち込まれると、油化装置が正常に運転できず、また、得られる油の純度が落ち、さらには油化自体ができなくなってしまう。
【0009】
本発明はかかる問題に鑑み為されたもので、その目的とするところは、土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを油化処理できるように前処理する前処理装置、及び前処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の前処理装置は、土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを加熱して解重合させて油を採取する油化処理をするために、当該油化処理に先立って行なわれる前処理に用いる前処理装置であって、土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除く土砂除去手段と、土砂が取り除かれた廃棄プラスチックを乾燥する乾燥手段と、を備えて構成される(請求項1)。
【0011】
これに拠れば、先ず、土砂除去手段で土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に土砂を大量に持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、乾燥手段で廃棄プラスチックを乾燥させるので、廃棄プラスチックを解重合させるため高温に保たれた雰囲気内に水分が持ち込まれるのを防止できる。従って、水蒸気爆発を生じさせることがない。
【0012】
また、この前処理装置において、土砂を取り除かれた後、乾燥される前又は後の廃棄プラスチックを粉砕する粉砕手段を備えると良い(請求項2)。
【0013】
これに拠れば、粉砕手段で廃棄プラスチックをチップ状に粉砕するので、当該チップ状に粉砕された廃棄プラスチックは油化処理での溶融の際に効率よく溶融される。
【0014】
更に、この前処理装置において、土砂が取り除かれた後、粉砕される前の廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除く金属屑除去手段を備えると良い(請求項3)。
【0015】
これに拠れば、金属屑除去手段で廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に金属屑を持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、廃棄プラスチックを粉砕する前に金属屑を取り除くので、粉砕手段を破損させたり、粉砕効率を低下させたりすることがない。
【0016】
また、これらの前処理装置において、粉砕された廃棄プラスチックの中から塩素を含有する含塩素プラスチックを分離するプラスチック分離手段を備えると良い(請求項4)。
【0017】
これに拠れば、油化処理での溶融時に塩化水素ガスを発生する含塩素プラスチックを予め分離するので、塩化水素ガス発生の問題を解決することができる。なお、含塩素プラスチックは、溶融時に塩化水素ガスを発生するプラスチックであり、その代表は塩化ビニルである。
【0018】
更に、以上の前処理装置において、土砂除去手段では水洗浄により廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くことが良い(請求項5)。
【0019】
これに拠れば、廃棄プラスチックに付着した土砂を水洗浄により確実に取り除くことができる。なお、単に廃棄プラスチックを水中に浸漬させて水洗浄を行なっても良いが、揺動機能を備えて廃棄プラスチックを揺動させながら水洗浄を行ない、またシャワーによる水圧を利用して水洗浄を行なうことにより、洗浄効率を一層向上することができる。
【0020】
上記の課題を解決するため、本発明の前処理方法は、土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを加熱して解重合させて油を採取する油化処理をするために、当該油化処理に先立って行なわれる前処理方法であって、土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除く土砂除去工程と、土砂が取り除かれた廃棄プラスチックを乾燥する乾燥工程と、を含んで構成される(請求項6)。
【0021】
これに拠れば、先ず、土砂除去工程で土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に土砂を大量に持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、乾燥工程で廃棄プラスチックを乾燥させるので、廃棄プラスチックを解重合させるため高温に保たれた雰囲気内に水分が持ち込まれるのを防止できる。従って、水蒸気爆発を生じさせることがない。
【0022】
また、この前処理方法において、土砂を取り除かれた後、乾燥される前又は後の廃棄プラスチックを粉砕する粉砕工程を含むと良い(請求項7)。
【0023】
これに拠れば、粉砕工程で廃棄プラスチックをチップ状に粉砕するので、当該チップ状に粉砕された廃棄プラスチックは油化処理での溶融の際に効率よく溶融される。
【0024】
更に、この前処理方法において、土砂が取り除かれた後、粉砕される前の廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除く金属屑除去工程を含むと良い(請求項8)。
【0025】
これに拠れば、金属屑除去工程で廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に金属屑を持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、廃棄プラスチックを粉砕する前に金属屑を取り除くので、粉砕工程で用いる粉砕手段を破損させたり、粉砕効率を低下させたりすることがない。
【0026】
また、これらの前処理方法において、粉砕された廃棄プラスチックの中から塩素を含有する含塩素プラスチックを分離するプラスチック分離工程を含むと良い(請求項9)。
【0027】
これに拠れば、油化処理での溶融時に塩化水素ガスを発生する含塩素プラスチックを予め分離するので、塩化水素ガス発生の問題を解決することができる。
【0028】
更に、以上の前処理方法において、土砂除去工程では水洗浄により廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くことが良い(請求項10)。
【0029】
これに拠れば、廃棄プラスチックに付着した土砂を水洗浄により確実に取り除くことができる。なお、単に廃棄プラスチックを水中に浸漬させて水洗浄を行なっても良いが、廃棄プラスチックを揺動させながら水洗浄を行ない、またシャワーによる水圧を利用して水洗浄を行なうことにより、洗浄効率を一層向上することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照して説明する。
【0031】
本実施形態では、先ず、(1)埋め立てにより土中に埋設された廃棄物を掘り起こし、次いで、(2)廃棄物に含まれる廃棄プラスチックをプラスチック油化装置に供給できるように前処理を行ない、最後に、(3)プラスチック油化装置で廃棄プラスチックを油化する。
【0032】
以下、(1)廃棄物の掘り出し、(2)前処理、(3)プラスチックの油化、の順に詳細に説明する。
【0033】
(1)廃棄物の掘り出し
図1は、廃棄物埋立処理場における廃棄物の埋立状態を示すの断面図である。
【0034】
図1に示すように、廃棄物埋立処理場1には、廃棄プラスチックを含む廃棄物2と、廃棄物2を覆うための覆土3と、が交互に埋め立てられている。
【0035】
廃棄物埋立処理場1から廃棄物2を掘り出すに先立って、先ず、油圧ショベルP等の掘削用重機で覆土3を掘り出す。掘り出した覆土3は、再び覆土3として用いても良いし、粒度毎に選別して石製品としてリサイクルしても良い。
【0036】
次いで、図2に示すように、覆土2が取り除かれて表面に露出した廃棄物2を、バケットを備えた油圧ショベルP等の掘削用重機で掘り起こし、更に、フォークを備えた油圧ショベルQ等の引上用重機を用いて引上げる。このように、先ず、掘削用重機で廃棄物2を掘り起こすので、長年の間に押し固められた状態となっている廃棄物2をほぐすことができ、次いで、ほぐされた廃棄物2を引上用重機のフォーク(ブラップルともいう)を構成する複数の爪状の把持部Rで把持して引上げるので、土砂を極力混入させずに廃棄物2を掘り出すことができる。
【0037】
このように土中から掘り出された廃棄物2は、後述する前処理装置に送られて前処理される。
【0038】
(2)前処理
図3は、本発明の実施形態に係る前処理装置の全体構成を示す模式図である。図3に示すように、前処理装置100は、廃棄プラスチックに付着する土砂等を水洗浄により取り除く洗浄装置110と、廃棄プラスチックに混入する鉄屑を取り除く磁選機120と、廃棄プラスチックに混入する非鉄屑を取り除く非鉄金属選別装置130と、廃棄プラスチックを粉砕する粉砕装置140と、廃棄プラスチックを塩化ビニルと他のプラスチックとに選別するプラスチック選別装置150と、廃棄プラスチックを乾燥する乾燥機160と、各装置間を廃棄プラスチックを搬送するための搬送装置170とで構成される。
【0039】
なお、洗浄装置110は土砂除去手段を、磁選機120及び非鉄金属選別装置130は金属屑除去手段を、粉砕装置140は粉砕手段を、選別装置150はプラスチック分離手段を、乾燥機160は乾燥手段を、それぞれ構成する。
【0040】
(2−1)洗浄装置
図4は、洗浄装置110の構成例を示す模式図である。図4に示すように、洗浄装置110は、廃棄プラスチックを搬送する第1コンベア111と、第1コンベア111の上下に設けられて第1コンベア111上の廃棄プラスチックに向かって水を噴射するシャワー装置112と、シャワー装置112からの水の噴射によって洗い流された土砂を受け止めて搬送する第2コンベア113と、シャワー装置112から噴射される水を受け止め貯留する貯水タンク114と、貯水タンク114内の水をシャワー装置112に供給する水配管115と、水配管115の途中に設けられて水をシャワー装置112側に送り出すポンプ116とで構成される。
【0041】
第1コンベア111は、廃棄プラスチックを載置でき(即ち、廃棄プラスチックを通過させず)、且つ、洗い流された土砂を通過させるような大き目の網目状に形成された搬送ベルト111aと、搬送ベルト111aを駆動させる2本の駆動軸111bとで構成される(図5(A))。一方、第2コンベア113は、洗い流された土砂を通過させず、且つ、水を通過させるよう微細な網目状に形成された搬送ベルト113aと、搬送ベルト113aを駆動させる2本の駆動軸113bとで構成される(図5(B))。
【0042】
シャワー装置112は第1コンベア111を挟んで上下に複数のノズル112aを備えており、其々のノズル112aは第1コンベア111上に載置されて搬送される廃棄プラスチックに水を噴射するように調整される。各ノズル112aからの水の噴射量は、第1コンベア111上に載置される廃棄プラスチックを吹き飛ばすことなく、しかも廃棄プラスチックに付着した土砂を充分に洗い流せるように調整される。例えば、搬送方向の上流に位置するノズル112aでは低い水圧で水量を多めに噴射し、搬送方向の下流に位置するノズル112aでは高い水圧で噴射するようにすればよい。これに拠れば、先ず、搬送方向上流で廃棄プラスチックに付着する土砂に水を充分に含ませることができ、次いで、搬送方向下流で充分に水を含んで軟らかくなった土砂を高水圧により確実に廃棄プラスチックから取り除くことができる。
【0043】
また、このようなシャワー噴射による洗浄装置110に替えて、バッチ式の洗浄装置を用いることもできる。図6は、バッチ式の洗浄装置の構成例を示す模式図である。図6に示すように、バッチ式の洗浄装置110’は、廃棄プラスチックに付着した土砂を洗浄するための水を溜めた洗浄容器117と、廃棄プラスチックを載置でき、且つ、洗い流された土砂を通過させるような大き目の網目状に形成された洗浄網118と、洗い流された土砂を通過させず、且つ、水を通過させるよう微細な網目状に形成された土砂受網119とで構成される。また、洗浄装置110’は、他に、洗浄容器117に対して洗浄網118及び土砂受網119を出し入れするためのクレーン(図示せず)や、土砂の洗浄効果を向上するため洗浄網118を揺動させる揺動装置(図示せず)等を備える。
【0044】
また、シャワー式の洗浄装置110と、バッチ式の洗浄装置110’を併用してもよい。これに拠れば、廃棄プラスチックに付着した土砂を一層確実に除去することができる。
【0045】
(2−2)磁選機、非鉄金属選別装置
磁選機120は、公知の磁選機であり、例えば、磁力を利用して廃棄プラスチックに混入する磁性物(主に鉄)を除去、回収する装置である。磁選機120で除去された磁性物は、磁性物BOXで回収されリサイクルにまわされる。
【0046】
非鉄金属選別装置130は、公知の非鉄金属選別装置であり、例えば、渦電流を利用して廃棄プラスチックに混入する非鉄金属を除去、回収する装置である。非鉄金属選別装置130で除去された非鉄金属は、非鉄金属BOXで回収されリサイクルにまわされる。
【0047】
(2−3)粉砕機
粉砕機140は、廃棄プラスチックを1mm〜30mm角程度のチップ状に粉砕する装置であり、公知の粉砕機を用いることができる。
【0048】
(2−4)プラスチック選別装置
図7は、プラスチック選別装置150の構成例を示す模式図である。図7に示すように、プラスチック選別装置150は、廃棄プラスチックを搬入する搬入コンベア151と、水を貯留する選別容器152と、選別容器152に貯留された水の上層部に浮遊するプラスチックを搬出する上部コンベア153と、選別容器152に貯留された水の下層部に沈下したプラスチックを搬出する下部コンベア154と、水の上層部に浮遊するプラスチックを上部コンベア153の方向(図7の矢印の方向)に移動させるために水流を生じさせる水流発生装置155と、で構成される。
【0049】
以上のように構成されたプラスチック選別装置150は、先ず、搬入コンベア151により搬入されるプラスチックを、選別容器152内の水に投入して、水の上層部に浮遊する比重の小さいプラスチックと、水の下層部に沈下する比重の大きいプラスチックとに分離させる。次いで、上層部に浮遊する比重の小さいプラスチックを、水流発生装置155で生じさせた水流により上部コンベア153の方向(図7の矢印の方向)に移動させ、上部コンベア153で搬出する。一方、下層部に沈下す比重の大きいプラスチックを、下部コンベア154で搬出する。これに拠れば、比重の大きい含塩素プラスチックと、それ以外プラスチックを容易に選別することができる。
【0050】
なお、プラスチック選別装置150は、水の上層部に浮遊するプラスチックと水の下層部に沈下するプラスチックを分離できるものであれば、上述した構成に特に限定されるものではなく、例えば、網を用いて上層部に浮遊するプラスチックを取り出すような構成であってもよい。また、遠心分離により、比重の大きいプラスチックと比重の小さいプラスチックを選別するものであってもよい。
【0051】
(2−5)乾燥機
乾燥機160は、ハウジング161と、ハウジング161内に熱風を送り込む熱風配管162と、プラスチックを搬送する搬送コンベア163とで構成される。
【0052】
なお、熱風配管162は、ボイラー(図示せず)から直接に熱風の供給を受けても良いが、後述するプラスチック油化装置の溶融部及び分解部の加熱に用いた熱風を再利用するようにしてもよい。すなわち、溶融部及び分解部の加熱温度は乾燥機160の加熱温度より高いので、溶融部及び分解部の加熱に用いた後に排気口から排気される熱風を用いて、乾燥機160を所定温度に加熱することができる。これに拠れば、全体として省エネルギーを達成できる。
【0053】
また、プラスチックを乾燥することにより発生する異臭を取り除くため、ハウジング161に設けた排気口161aから排気される異臭を伴う空気を燃焼させて脱臭してもよい。この場合、排気口161aから排気される異臭を伴う空気を、後述するプラスチック油化装置のボイラーで燃焼させて脱臭するとよい。これに拠れば、脱臭用の燃焼装置をわざわざ設ける必要が無く、省エネルギーを達成できる。
【0054】
以上のように構成された乾燥機160は、搬送コンベア163で搬送されるプラスチックを熱風配管162から供給される熱風により乾燥する。
【0055】
(3)廃棄プラスチックの油化
前処理装置100により前処理された廃棄プラスチックは、プラスチック油化装置に供給され油化される。以下、プラスチック油化装置の一例について説明する。
【0056】
図8は、プラスチック油化装置の全体構成を示す模式図である。図8に示すように、プラスチック油化装置201は、前処理されたチップ状の廃棄プラスチックを貯留して溶融部203へ供給する供給部202と、供給された廃棄プラスチックを溶融する溶融部203と、溶融された廃棄プラスチックを加熱により解重合させて分解ガスを生成する分解部204と、生成された分解ガスを冷却して油として回収する油回収部205と、分解部204で分解されなかったプラスチック残渣を回収する残渣回収部206とで構成される。
【0057】
(3−1)供給部
供給部202は、前処理されたチップ状の廃棄プラスチックが投入され当該プラスチックを一時的に貯留するホッパー221と、ホッパー221内に投入されたプラスチックを溶融部203側に送り出すリードスクリュー222と、リードスクリュー222を回転させるモータ223とで構成される。
【0058】
このように構成された供給部202は、先ずホッパー221の投入口(図示せず)から廃棄プラスチックが投入され、次いで当該廃棄プラスチックをモータ223により回転されるリードスクリュー222で送り出すように溶融部203へ供給する。
【0059】
(3−2)溶融部
溶融部203は、プラスチックを収容する溶融筒231と、溶融筒231の外部に設けられる外筒232と、溶融筒231と外筒232との間に形成され溶融筒231の内部を加熱するための熱風を収容する熱風空間233と、ボイラーBで生成した熱風を熱風空間233に供給する熱風配管234と、熱風空間233内の熱風を循環させる循環配管235と、循環配管235の途中に設けられ熱風を溶融部203の上流側(図8の左側)から取り出して下流側(図8の右側)へ押し込む方向に循環させるブロワー236と、溶融筒231内のプラスチックを上流側から下流側に向けて搬送するリードスクリュー237と、リードスクリュー237を回転させるモータ238とで構成される。
【0060】
このように構成された溶融部203は、供給部202から供給された廃棄プラスチックを、リードスクリュー237の回転により、溶融筒231内の上流から下流に向かって搬送する。このとき、溶融筒231内は熱風空間233を循環する熱風によって加熱されるので、廃棄プラスチックは溶融筒231の下流に搬送されるまでに溶解され、更に、溶融されたプラスチックの表面には泡状のプラスチックが生じる。なお、溶融筒231内の温度は上流から下流にかけて徐々に高温となるように、200〜350℃に制御される。
【0061】
(3−3)分解部
分解部204は、第1分解部204aと第2分解部204bとで2段に形成される。第1分解部204a及び第2分解部204bは、終端を鉛直方向の上方に位置させるように斜めに配置されプラスチックを収容する分解筒241と、分解筒241の外部に設けられる外筒242と、分解筒241と外筒242との間に形成され分解筒241の内部を加熱するための熱風を収容する熱風空間243と、ボイラーBで生成した熱風を熱風空間243に供給する熱風配管244と、熱風空間243内の熱風を循環させる循環配管245と、循環配管245の途中に設けられ熱風を分解部204の上流側(図8の左側)から取り出して下流側(図8の右側)へ押し込む方向に循環させるブロワー236と、分解筒241内のプラスチックを上流側から下流側に向けて搬送するリードスクリュー247と、リードスクリュー247を回転させるモータ248とで構成される。また、第1分解部204aと第2分解部204bは、連結管249で連結される。
【0062】
このように構成された分解部204は、溶融されたプラスチックの表面に生じた泡状のプラスチックをリードスクリュー247の回転により分解筒241内の上流から下流に向かって搬送する。このとき、分解筒241内は熱風空間243を循環する熱風によって溶解部203の温度より更に高い温度に加熱されるので、泡状のプラスチックは加熱により解重合されて分解ガスとなる。プラスチックは泡状であり接触面積が大きいので、確実に解重合されて分解ガスとなる。このようにプラスチックを解重合させて分解ガスとするために、分解筒241内の温度は上流から下流にかけて徐々に高温となるように300〜600℃に制御される。
【0063】
なお、分解部204を一段で形成してもよく、また、複数段で形成することも可能である。
【0064】
(3−4)油回収部
油回収部205は、第1分解部204a及び第2分解部204bの分解筒241の終端側上部に接続され分解ガスを搬送する回収配管251と、回収配管251の中間部に配設されて分解ガス中の塩素を取り除くための脱塩素装置252と、脱塩素された分解ガスを冷却して油とするコンデンサー253と、油を回収する油回収タンク254とを備えて構成される。
【0065】
脱塩素装置252は、分解ガスに含まれる塩化水素ガスを除去するためのもので、例えば、分解ガスに苛性ソーダ等のアルカリ性の溶液をシャワーして中和により塩化水素ガスを除去回収する装置など公知の脱塩素装置を用いることができる。更に、塩化水素ガスを吸収捕捉する炭素浸透液等を使用することも可能である。
【0066】
コンデンサー253は、高温の分解ガスを冷却により液化して油化させるもので、公知のコンデンサーを用いることができる。
【0067】
以上のように構成された油回収部205では、先ず、回収配管251で分解筒241の終端付近に滞留する分解ガスが取り出され、次いで、この分解ガスは脱塩素装置252で含有する塩化水素が除去された後に、コンデンサー253で冷却されて油となり、油回収タンク254で回収される。
【0068】
(3−5)残渣回収部
残渣回収部206は、第2分解部204bの分解筒241の終端側下方に接続されてガス化されなかったプラスチック残渣を取り出して搬送する残渣回収配管261と、プラスチック残渣を回収する残渣タンク262と、残渣回収配管261の途中に設けられたバルブ263と、を備えて構成される。
【0069】
残渣タンク262は、プラスチック残渣を回収するためのタンクであり、内部に水がはってあり、当該水中にプラスチック残渣を回収する網が設置されている。なお、残渣回収配管261の終端は、水上に位置させている。これによれば、水面に浮遊しているプラスチック残渣によって残渣回収配管261の終端部を詰まらせることはない。
【0070】
バルブ263は、分解ガスが残渣タンク262側に流出するのを防止するためのバルブであり、プラスチック残渣を残渣タンク262側に送り出す時のみ「開」とされる。
【0071】
以上のように構成された残渣回収部206は、分解部204のリードスクリュー247で分解筒241の終端まで搬送されたプラスチック残渣を残渣回収配管261で取り出して、残渣タンク262で回収する。
【0072】
(3−6)他の構成
油回収タンク254で回収された油の一部は、フィルター(図示せず)で異物が取り除かれた後に、別系統で設けられた水タンク(図示せず)に貯留された水と混合機(図示せず)で混合される。そして、水と混合された油の一部と廃棄物掘り出しの際に駆動する掘削用重機、引上用重機等の燃料として用い、他の一部をボイラーの燃料として用いればよい。このように水が混合された油は、炭酸ガスの発生が減少し、黒煙の発生が少なく、また、単位燃料当たりのコストが低いという利点がある。油に対する水の混合割合を増せば、一層これらの効果が顕著になるが、通常の混合割合は20%程度である。なお、特殊な混合機を用いれば30%程度まで水を混合することができる。
【0073】
(4)他の実施形態
以上では、図9(A)に示す手順で前処理を行なう例を示したが、これに限られることなく、例えば、図9(B)〜(D)に示す手順で前処理を行なうこともできる。
【0074】
図9(B)は鉄屑及び非鉄屑を取り除いた後に土砂を洗浄する場合、図9(C)は土砂を洗浄した後に乾燥し、その後に鉄屑及び非鉄屑を取り除く場合、図9(D)はプラスチックの選別をした後に乾燥し、その後に粉砕をする場合の手順を示す。このように、図9(B)〜(D)に示す手順で前処理を行なう場合には、洗浄装置110、磁選機120、非鉄金属選別装置130、粉砕装置140、選別装置150、乾燥機160を其々の手順に従い並べ替えて前処理装置100を構成すると良い。なお、図9(C)における土砂洗浄後の乾燥、及び図9(D)におけるプラスチック選別後の乾燥には、乾燥機160と同様の乾燥機を用いれば良い。更に、図9(A)の手順に、図9(B)〜(D)の手順における変更点を相互に組み合せる変更をして、前処理を行なうことも可能である。
【0075】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、様々に変形又は変更することが可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の前処理装置及び前処理方法によれば、先ず、土砂除去手段(工程)で土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に土砂を大量に持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、乾燥手段(工程)で廃棄プラスチックを乾燥させるので、廃棄プラスチックを解重合させるため高温に保たれた雰囲気内に水分が持ち込まれるのを防止できる。従って、水蒸気爆発を生じさせることがない(請求項1,6)。
【0077】
また、粉砕手段(工程)で廃棄プラスチックをチップ状に粉砕するので、当該チップ状に粉砕された廃棄プラスチックは油化処理での溶融の際に効率よく溶融される(請求項2,7)。
【0078】
また、金属屑除去手段(工程)で廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除くので、油化処理を行なう油化装置内に金属屑を持ち込んで油化装置の稼動効率を低下させ、ひいては稼動不能にさせることを防止することができる。また、廃棄プラスチックを粉砕する前に金属屑を取り除くので、粉砕手段を破損させたり、粉砕効率を低下させたりすることがない(請求項3,8)。
【0079】
また、油化処理(工程)での溶融時に塩化水素ガスを発生する含塩素プラスチックを予め分離するので、塩化水素ガス発生の問題を解決することができる(請求項4,9)。
【0080】
更に、廃棄プラスチックに付着する土砂を水洗浄により取り除くことにより、廃棄プラスチックに付着した土砂を水洗浄により確実に取り除くことができる(請求項5,10)。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る廃棄物埋立処理場における廃棄物の埋立状態を示すの断面図である。
【図2】実施形態に係る表面にある覆土を掘り出した後の埋立状態を示すの断面図である。
【図3】実施形態に係る前処理装置の全体構成を示す模式図である。
【図4】実施形態に係る洗浄装置の構成例を示す模式図である。
【図5】(A)は図4の洗浄装置の第1コンベアの構成を示す模式図であり、(B)は図4の洗浄装置の第2コンベアの構成を示す模式図である。
【図6】実施形態に係るバッチ式の洗浄装置の構成例を示す模式図である。
【図7】実施形態に係るプラスチック選別装置の構成例を示す模式図である。
【図8】実施形態に係るプラスチック油化装置の全体構成を示す模式図である。
【図9】(A)は実施形態に係る前処理の手順を示すフロー図であり、(B)〜(C)は他の実施形態に係る前処理の手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 最終処理場
2 廃棄物
3 覆土
100 前処理装置
110 洗浄装置
120 磁選機
130 非鉄金属選別装置
140 粉砕機
150 プラスチック選別装置
160 乾燥機
170 搬送装置
201 油化装置
202 供給部
203 溶融部
204 分解部
205 油回収部
206 残渣回収部
Claims (10)
- 土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを加熱して解重合させて油を採取する油化処理をするために、当該油化処理に先立って行なわれる前処理に用いる前処理装置であって、
前記土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除く土砂除去手段と、
前記土砂が取り除かれた廃棄プラスチックを乾燥する乾燥手段と、
を備える前処理装置。 - 請求項1に記載の前処理装置において、
前記土砂を取り除かれた後、乾燥される前又は後の廃棄プラスチックを粉砕する粉砕手段を備える前処理装置。 - 請求項2に記載の前処理装置において、
前記土砂が取り除かれた後、粉砕される前の廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除く金属屑除去手段を備える前処理装置。 - 請求項2又は3に記載の前処理装置において、
前記粉砕された廃棄プラスチックの中から塩素を含有する含塩素プラスチックを分離するプラスチック分離手段を備える前処理装置。 - 請求項1乃至4の何れか一項に記載の前処理装置において、
前記土砂除去手段では水洗浄により前記廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くことを特徴とする前処理装置。 - 土中に埋設された廃棄プラスチックを掘り出した後、当該廃棄プラスチックを加熱して解重合させて油を採取する油化処理をするために、当該油化処理に先立って行なわれる前処理方法であって、
前記土中から掘り起こされた廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除く土砂除去工程と、
前記土砂が取り除かれた廃棄プラスチックを乾燥する乾燥工程と、
を含む前処理方法。 - 請求項6に記載の前処理方法において、
前記土砂を取り除かれた後、乾燥される前又は後の廃棄プラスチックを粉砕する粉砕工程を含む前処理方法。 - 請求項7に記載の前処理方法において、
前記土砂が取り除かれた後、粉砕される前の廃棄プラスチックに含まれる金属屑を取り除く金属屑除去工程を含む前処理方法。 - 請求項7又は8に記載の前処理方法において、
前記粉砕された廃棄プラスチックの中から塩素を含有する含塩素プラスチックを分離するプラスチック分離工程を含む前処理方法。 - 請求項6乃至9の何れか一項に記載の前処理方法において、
前記土砂除去工程では水洗浄により前記廃棄プラスチックに付着する土砂を取り除くことを特徴とする前処理方法。
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JP2019522576A (ja) * | 2016-06-06 | 2019-08-15 | プレビエロ エンネ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ | プラスチック材料からなるシートを洗浄する方法及び装置 |
WO2024154531A1 (ja) * | 2023-01-18 | 2024-07-25 | 住友化学株式会社 | 熱分解装置 |
-
2003
- 2003-04-10 JP JP2003106046A patent/JP2004307733A/ja not_active Withdrawn
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