JP2004307523A - 温度応答性生分解性ゲル - Google Patents

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Abstract

【課題】ドラッグデリバリーシステムなどの医用材料や、環境適合性材料などに用いられ、温度変化に対応して膨潤/収縮の変化を示し、良好な生分解性を有する温度応答性生分解性ゲル及びその構成化合物(架橋体)を提供することである。
【解決手段】N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体と安全で生分解性を有するポリ酸性アミノ酸又はこの混合物、及び/又はその塩とを両者のカルボキシ同士をエポキシ化合物などの架橋剤によって架橋した架橋体及びこれを水に浸漬し温度応答性生分解性ゲルを得る。
【選択図】なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドラッグデリバリーシステムなどの医用材料や、環境適合性材料などに用いられる温度応答性生分解性ゲルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医療分野で行なわれている薬物治療は、経口からの服用や静脈注射するのみならず様々な薬物投与方法が行なわれている。その中の一つとして薬物送達法(ドラッグデリバリーシステム:DDS)があげられる。この分野においては物理的あるいは化学的な変化による信号に応答してシステムが構造、機能を変化させ、薬物の放出や透過性を変化させ、薬物濃度の制御を行うなどの技術が各種知られている。特開平3−32729号公報は、DDSに用いるポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)が温度応答性高分子であり、この物質は下限臨界溶液温度とよばれる相分離温度を示すことを開示している。即ち、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)から構成されるゲルは下限臨界溶液温度以下の温度では水和し膨潤状態となるが、下限臨界溶液温度以上では水を吐き出し収縮する。この挙動を利用して薬物をゲル内に埋包させ、温度変化させたときの薬物の放出制御などに応用している。N−イソプロピルアクリルアミドは単独では温度応答性ではないが、これを重合した高分子が温度応答性を有する。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)で構成されるゲルは生分解性を有しておらず、膨潤/収縮の変化も小さく、温度変化に対する応答速度が遅いなどの問題が指摘されている。機能性高分子ゲルと最新の応用動向を窺う一つとして、第30回医用高分子シンポジウム講演要旨集(35ページ)にはポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)ゲルの架橋剤としてペプチド鎖を用いることで温度応答性ゲルを合成する方法が記載されているものの、そのゲルは通常のゲルよりも柔らかく形状保持能力の点で劣り、かつ酵素による分解性は悪く、生分解性は不十分であった。バイオミメティックスハンドブック((株)エヌティエス)には温度応答性と生分解性を有するゲルの研究例が紹介されている。タンパク質で構成されるゲルが温度変化に伴いゾル−ゲル転移する例が示されているが、ゾル−ゲル転移の現象が記載されているのみで、性能に関する具体的記載はなされていない。
【0003】
特開平11−322941号公報は水溶性高分子であり、3次元網目構造であって、生体内分解性高分子あるいは分子中に生体内分解部位を有する高分子を開示し、これには温度応答性高分子がグラフト鎖として導入されている。該高分子としてはポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)やポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)とポリエチレングリコールとのブロック共重合体が開示されている。一方、3次元網目を構成している生体内分解高分子は両末端などの一部がオリゴペプチドあるいはオリゴ糖であり、グルタミン酸を含む各種アミノ酸が単独あるいは複数からなるオリゴペプチドも含むことが開示されているもののポリ−α−グルタミン酸、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α−アスパラギン酸、ポリ−β−アスパラギン酸単独やこれらの混合物で使用することの具体的な記載はない。物性については図2に膨潤度と温度との関係が開示されておるが、図2で見る限り膨潤度は10〜45℃の範囲は一定であり温度応答性が見られない。化学大辞典(昭和35年3月30日発行 共立出版(株)によれば2〜10個のアミノ酸からなるペプチドをオリゴペプチド、10〜100個のアミノ酸から成るものをポリペプチド、それ以上長いペプチドをマクロペプチドと3大別することが記載されている。化学大辞典にはポリ−D−グルタミン酸(ポリ−γ―グルタミン酸)の分子量に関して分子量は菌種により差があり、約6000から10万〜18万のものまで知られていると記載がある。
又、ポリ−γ―グルタミン酸は納豆菌から生産される粘性のある物質であり、その用途はトイレタリー、化粧料、食品等幅広く用いられ、以下のことも知られている。ポリ−γ―グルタミン酸は化学合成、酵素合成の他、納豆菌等のバチルス属の菌体を用いた培養により製造することができる。納豆菌等を用いた場合には、納豆の粘質物中に含まれるポリ−γ−グルタミン酸を抽出することや、菌体が菌体外に分泌するポリ−γ−グルタミン酸を用いることができる。一般に納豆粘質物中のポリ−γ−グルタミン酸やバチルス属が通常の培養条件で分泌するポリ−γ−グルタミン酸は、高分子量体であり非常に粘性が高いため、用途に応じて、酸や酵素による低分子化処理をすることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−32729号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平11−322941号公報
【0006】
【非特許文献1】
岡野光夫(Okano Teruo)ら、第30回医用高分子シンポジウム講演要旨集(35ページ)
【0007】
【非特許文献2】
編集代表 長田義仁(Osada yoshihito)、バイオミメティックスハンドブック(820ページ) (株)エヌティエス)
【0008】
【非特許文献3】
化学大辞典 昭和35年3月30日発行 共立出版(株)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決する課題は、ドラッグデリバリーシステムなどの医用材料や、環境適合性材料などに用いられる温度変化に対応し膨潤/収縮の変化を示し、優れた生分解性を有する温度応答性生分解性ゲル及びゲルを構成する高分子架橋体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基とポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基とを架橋剤により架橋した架橋体が温度応答性生分解性であること、さらにこれを主成分とするゲルが温度応答性生分解性良好であることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明の第1は請求項1記載のN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基と分子量10,000乃至300,000のポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基とが架橋された架橋体に水分及び/又は有効成分を含有し、かつ3次元網目構造を有する温度応答性生分解性ゲル、本発明の第2は請求項2記載のポリ酸性アミノ酸がポリ−α−グルタミン酸、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α―アスパラギン酸、ポリ−β―アスパラギン酸及びこれらの混合物から選ばれた少なくとも一つである請求項1記載の温度応答性生分解性ゲル、本発明の第3は請求項3記載の架橋体がエポキシ化合物又はイソシアネート化合物から選ばれた少なくとも一つの架橋剤により架橋されている請求項1乃至2記載の温度応答性生分解性ゲル、本発明の第4は請求項4記載の架橋体中のN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基/ポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基の比の値が1/15〜1/80である請求項1乃至3記載の温度応答性生分解性ゲル、本発明の第5は請求項5記載の有効物質が医薬、農薬、無機物、植物成長促進剤または肥料である請求項1乃至4記載の温度応答性生分解性ゲル、本発明の第6は請求項6記載のN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基と分子量10,000乃至300,000のポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基とが架橋された架橋体、本発明の第7は請求項7記載のポリ酸性アミノ酸がポリ−α−グルタミン酸、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α―アスパラギン酸、ポリ−β―アスパラギン酸及びこれらの混合物から選ばれた少なくとも一つである請求項6記載の架橋体、本発明の第8は請求項8記載の架橋がエポキシ化合物又はイソシアネート化合物から選ばれた少なくとも一つの架橋剤による架橋である請求項6乃至7記載の架橋体及び本発明の第9は請求項9記載の架橋体中のN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基/ポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基の比の値が1/15〜1/80である請求項6乃至8記載の架橋体である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を具体的に説明する。本発明の温度応答性生分解性ゲルはN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基とポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基とを架橋剤で架橋して得られる。これは従来その性質が知られていたポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と比較しても温度応答の温度幅があり、これらを用いたゲルの吐水量を比較すると本願発明の温度応答性生分解性ゲルがはるかに優れている。
【0012】
本発明の温度応答性生分解性ゲルに用いるN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体(「ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)」と記すこともある)は以下の通り合成することができる。 Transport Processes in Pharmaceutical Systems (Marcel Dekker, New York 473−493, 2000) に記載された公知の方法に従い、N−イソプロピルアクリルアミドとメタクリル酸をペルオキソ二硫酸アンモニウムなどの過酸化物をラジカル重合開始剤として重合反応を行い、透析による精製を行った後、凍結乾燥してポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)を合成する。N−イソプロピルアクリルアミドとメタクリル酸の構成比率は生成するポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)が温度応答性を示す範囲であれば任意に設定することができるが、温度応答性の観点から99/1〜50/50、好ましくは95/5〜80/20である。
【0013】
本発明で使用するポリ酸性アミノ酸及び/又はその塩は酸性アミノ酸が重合したものであれば特に制限はない。ポリ酸性アミノ酸を例示するならばポリ−α−グルタミン酸、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α―アスパラギン酸、ポリ−β―アスパラギン酸である。本発明に用いるポリ酸性アミノ酸は遊離であっても塩を形成してもよい。ポリ酸性アミノ酸塩はポリ酸性アミノ酸と塩基性化合物を反応させることによって製造することができる。このとき、塩基性化合物としては生体適合性があれば問題なく使用できるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属など用いることが好ましい。ポリ酸性アミノ酸は分子量が10,000乃至300,000、好ましくは10,000乃至50,000、さらに好ましい範囲は20,000乃至50,000である。ポリグルタミン酸の分子量が大きくなればそれだけ保水量を増加させることができるので、これを用いて得られた温度応答性生分解性ゲルに有効成分をより多く含有させることができる。この観点からポリグルタミン酸の分子量は少なくとも10,000は必要である。一方、製造上の観点から見れば分子量を大きくするとゲルを製造する際、水溶液の粘度が上昇するので攪拌操作等の作業性が落ちる。従ってポリグルタミン酸の分子量の上限は300,000程度が望ましい。 またポリ酸性アミノ酸を構成するアミノ酸はD体、L体またはDL体の混合物であってもよい。ポリ酸性アミノ酸は上記のポリアミノ酸単独であっても,又これらの混合物で構成されていても良い。具体例で示すならポリ−α,β―アスパラギン酸でも良いし、又ポリ−α−グルタミン酸とポリ−α,β―アスパラギン酸との混合物で構成されていても良い。
【0014】
ポリ−α−グルタミン酸はカップリング法、NCA法など化学合成法や酵素法等によって製造することができる。工業的製造方法としてはNCA法が広く知られている。ポリ−γ―グルタミン酸は化学合成、酵素合成の他、納豆菌等のバチルス属の菌体を用いた培養により製造することができる。納豆菌等を用いた場合には、納豆の粘質物中に含まれるポリ−γ−グルタミン酸を抽出することや、菌体が菌体外に分泌するポリ−γ−グルタミン酸を用いることができる。一般に納豆粘質物中のポリ−γ−グルタミン酸やバチルス属が通常の培養条件で分泌するポリ−γ−グルタミン酸は、高分子量体であり非常に粘性が高いため、用途に応じて、酸や酵素による低分子化処理をすることができる。
【0015】
一方、ポリアスパラギン酸はポリ−α―アスパラギン酸又はポリ−β―アスパラギン酸を単独で得ることは通常の生産方法では得られない。通常ではポリ−α,β―アスパラギン酸が得られる。これはアスパラギン酸を加熱脱水縮合した後、加水分解することにより製造する方法や、無水マレイン酸とアンモニアを加熱反応させマレイミドを経て得られる重合物を加水分解することにより製造することができる。ポリ−α,β―アスパラギン酸及び/又はそれらの塩は水溶性でもあり、分子量も10,000〜300,000を得ることができ、物性はポリグルタミン酸とも良く似ている。アスパラギン酸のα位又はβ位のカルボキシル基はポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)とアクリル酸及び/又はメタクリル酸のカルボキシル基とで架橋剤により架橋することができる。この架橋体は水を含みゲルを形成する。得られたゲルは温度応答性生分解性を有する。
【0016】
本発明で使用する架橋剤としてはエポキシ化合物、イソシアネートから選ばれた少なくとも一種を用いることができる。具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのポリエポキシ化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネートなどが使用できる。反応性の観点ではポリエポキシ化合物が好ましく、生分解性または、分解後の安全性の観点では、グリセリン誘導体、エチレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール誘導体が好ましい。
【0017】
本発明の温度応答性生分解性ゲルのゲルを構成する架橋体はN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基とポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基を前述の架橋剤で架橋して得られる。架橋後は未反応のカルボキシル基がない状態の架橋体を得ることもできる。しかしながらこのようにして得られた架橋体は必ずしも温度応答性が良いわけではない。通常前者と後者の各々の重合体は重合度、反応比率が異なるのでカルボキシル基は両者で通常1対1では対応しない。また前者の共重合体を得る場合には、N−イソプロピルアクリルアミド(A)/アクリル酸又はメタクリル酸(B)の反応比は、モル比でA/Bが99/1〜50/50、好ましくは95/5〜80/20である。この場合アクリル酸及びメタクリル酸を混合して用いても差し支えなく、この時のA/Bも同様な値となる。架橋体を得るには、前者の共重合体と後者のポリ酸性アミノ酸との反応比率は、比の値で前者の共重合体のカルボキシル基/ポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基が1/15〜1/80の範囲内が好ましい。1/15より大きいと柔らかいゲルとなり有効成分を保有し難くなる。又1/80より小さいと硬いゲルとなり温度応答性が不十分になる。架橋剤を反応させる比率としては架橋剤とN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基とポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基の合計との比が1/4〜3/5の範囲であることが好ましい。1/4より小さい場合には柔らかいゲルとなり有効成分を保有し難くなる。3/5より大きい場合には硬いゲルとなり温度応答性が不十分になる。又未反応のカルボキシル基がそのまま又は塩として部分的に残留することは本願発明に何ら影響を与えない。反応溶媒は原料の溶解性、反応を妨げない範囲で選択することができるが、水を用いることが好ましい。反応容器に関しては温度応答性生分解性ゲルを使用する目的に応じて選択することができる。例えばゴムシートで隔てた2枚のガラス板の間に注入するなどの方法を用いてゲルを得ることができる。架橋反応温度については、室温〜100℃の範囲で設定できるが、好ましくは30〜60℃の範囲である。反応時間についてはゲル強度が一定になる時点で反応を終了とすればよい。反応温度によって異なるが12時間から72時間の間で設定することができる。また、未反応の原料および低分子不純物については蒸留水中に浸漬することで除去することができる。
【0018】
温度応答性生分解性ゲルから放出される薬剤としては水に可溶であれば特に制限されない。例えば医薬ではテトラサイクリン、ペニシリン等の抗生物質、塩化ベンザルコニウム等の抗菌剤、インドメタシン等の消炎鎮痛剤、アミノアセトフェノン等の感冒薬、ニトログリセリン等の抗狭心剤、抗高血圧剤、抗癌剤、農薬では殺虫剤、植物生育調整剤、防腐剤、無機イオンを含む植物栄養剤等が挙げられる。これらの有効成分を本願発明のゲルに収納する際、水に加え、使用目的を損なわない範囲内で有効成分を溶解するアルコール等の溶解補助剤を存在させることは一向に差し支えない。
【0019】
温度応答性並びに生分解性の評価方法について説明する。温度応答性については本発明の温度応答性生分解性ゲルの膨潤/収縮率W/Woを算出することで評価した。具体的には本発明の温度応答性生分解性ゲルを、10℃において重量が一定となるまで蒸留水中に浸漬した。ゲルの重量(W)は、ゲルを水から分離した後にゲル表面の余分な水分をウエスでふき取った後の秤量値。重量測定後、再びゲルを異なる温度の蒸留水中に浸漬し、重量が一定となるまで放置した。この手順を繰り返し、ゲル重量の平衡値を約10℃間隔で昇温しながら10℃から60℃までの範囲で測定した。すべての重量測定が終了した後に乾燥し、ゲルの乾燥重量(Wo)を測定した。生分解性は、生体内条件を考慮して 0.03 M NaHCO, 0.002 M KHPO, 0.12 M NaCl 及び0.003 M KClの水溶液の組成の模擬体液を使用し37℃の条件下での in vitro における酵素分解性として検査した。具体的には、タンパク質加水分解酵素を用いて本発明の温度応答性生分解性ゲルの分解試験を行う。炎症部位で産生されるペプチド分解酵素には、cathepsin Bなどのエンドペプチダーゼとcarboxypeptidaseなどのエキソペプチダーゼに分類される。本発明では、cathepsin Bと類似のポリアミノ酸加水分解挙動を示すエンドペプチダーゼの例としてパパインを用いて、0.01 M L−システイン及び0.02 M エチレンジアミン四酢酸を含む模擬体液中で生体条件下(37℃, pH7.4)で試験を行った。まずはじめにゲルを凍結乾燥し乾燥重量(Wo)を測定した。このゲル(乾燥重量約40mg)をパパイン(40 units/ml)を含む模擬体液 5mlに浸漬し攪拌した。一定時間後に、この反応容器内の残存物をNo.5Cろ紙を用いてろ過し、固形分乾燥重量(W)をろ紙を乾燥して求めた。ゲルの存在重量をW/Woとして算出した。酵素溶液への浸漬時間を変えて同様の測定を繰り返した。更に、酵素未添加での分解挙動、0.01M NaOH水溶液にゲルを浸漬した場合のアルカリ加水分解によるゲルの分解挙動を検査した。
【0020】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。分子量の測定はゲルろ過―光散乱法(GPC−MALLS法:Wyatt Technology社製 DawnDPS)で測定した重量平均分子量である。
【0021】
【実施例1】
N−イソプロピルアクリルアミド1.02g、メタクリル酸 0.087gを蒸留水に溶解し20mlの溶液を調製した。10分間窒素曝気した後に、氷浴中で 50 g/l ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン溶液を各0.2 ml加え、30℃で24時間重合しポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)を重合し、共重合体を得た。このポリマーを透析膜(三光純薬製セルロースチューブ)を用いて蒸留水中で透析した。透析後、ポリマーを凍結乾燥し、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)共重合体の粉末を得た。
バチルス属の納豆菌の培養液から単離精製したポリ−γ−グルタミン酸(平均分子量22,000)400mgと上記ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)粉末 90 mg を蒸留水 4mlに室温で溶解した。そこに架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(アルドリッチ製、平均分子量526)を0.4 ml加えた。この溶液を厚さ1.5 mmのゴムシートで隔てた2枚のガラス板の間に注入した。30℃で48時間架橋反応を行い、ポリ−γ−グルタミン酸と、N−イソプロピルアクリルアミドとメタクリル酸との共重合体とにより得られた架橋体のゲル(ポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋ゲルと記すこともある。)を得た。前者の共重合体のカルボキシル基/ポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基の比の値は1/33であった。得られた水分を含んだゲルの物性はやや硬いゲルであった。ゲルを蒸留水中に浸漬することで残留する不純物を除去した。
【0022】
【実施例2】
N−イソプロピルアクリルアミドとメタクリル酸 を用い、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)共重合体の粉末を製造し、この共重合体60mg(カルボキシル基0.055mmol)とポリ酸性アミノ酸としてポリ−γ−グルタミン酸(平均分子量22,000)500mg(カルボキシ基3.46mmol)を用い、そこに架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(アルドリッチ製、平均分子量526)を0.8 mlを加え、ポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋ゲルを実施例1に準拠し製造し、得られたゲルの物性を評価した。前者の共重合体のカルボキシル基/ポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基の比の値は1/63であった。得られた水分を含んだゲルの物性はやや硬いゲルであった。
【0023】
【実施例3】
N−イソプロピルアクリルアミドとメタクリル酸 を用い、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)共重合体の粉末を製造し、この共重合体90mg(カルボキシル基0.083mmol)とポリ酸性アミノ酸としてポリ−γ−グルタミン酸(平均分子量22,000)400mg(カルボキシ基2.77mmol)を用い、そこに架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(アルドリッチ製、平均分子量526)を0.6 mlを加え、ポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋ゲルを実施例1に準拠し製造し、得られたゲルの物性を評価した。前者の共重合体のカルボキシル基/ポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基の比の値は1/33であった。得られた水分を含んだゲルの物性は程よく硬いゲルであった。
【0024】
【実施例4】
N−イソプロピルアクリルアミドとメタクリル酸 を用い、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)共重合体の粉末を製造し、この共重合体120mg(カルボキシル基0.111mmol)とポリ酸性アミノ酸としてポリ−γ−グルタミン酸(平均分子量22,000)400mg(カルボキシ基2.77mmol)を用い、そこに架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(アルドリッチ製、平均分子量526)を0.4 mlを加え、ポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋ゲルを実施例1に準拠し製造し、得られたゲルの物性を評価した。前者の共重合体のカルボキシル基/ポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基の比の値は1/25であった。得られた水分を含んだゲルの物性は柔らかいゲルであった。
【0025】
【比較例1】
<ポリ−γ−グルタミン酸単独ゲルの合成> 以下の方法で合成した。バチルス属の納豆菌の培養液から単離精製したポリ−γ−グルタミン酸(平均分子量22,000)400mgを蒸留水4 mlに溶解した。そこに架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(アルドリッチ製、平均分子量526)を1 ml加えた。この溶液を厚さ1.5 mmのゴムシートで隔てた2枚のガラス板の間に注入した。30℃で48時間重合反応を行い、ポリ−γ−グルタミン酸単独ゲルを得た。蒸留水に浸漬することでゲル内に残留する不純物を除去した。
【0026】
【比較例2】
<ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)単独ゲルの合成> 以下の方法で合成した。N−イソプロピルアクリルアミド 1.13g、N,N’−メチレンビスアクリルアミド 62 mgを蒸留水に溶解し10 mlの水溶液を調製した。10分間窒素曝気した後に、氷浴中で 50 g/l ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン溶液を各0.1 ml加え、厚さ1.5 mmのゴムシートで隔てた2枚のガラス板の間に注入した。22℃で24時間重合しポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)単独ゲルを合成した。蒸留水に浸漬することでゲル内に残留する不純物を除去した。
【0027】
【比較例3】
N−イソプロピルアクリルアミドとメタクリル酸 を用い、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)共重合体の粉末を製造し、この共重合体200mg(カルボキシル基0.184mmol)とポリ酸性アミノ酸としてポリ−γ−グルタミン酸(平均分子量22,000)200mg(カルボキシ基1.38mmol)を用い、そこに架橋剤としてポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(アルドリッチ製、平均分子量526)を0.2mlを加え、ポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋ゲルを実施例1に準拠し製造し、得られたゲルの物性を評価した。前者の共重合体のカルボキシル基/ポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基の比の値は1/8であった。ゲルは形成できなかった。
【0028】
【実施例5】
<温度応答性試験> 実施例1で合成したポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋ゲルを、10℃において重量が一定となるま蒸留水中に浸漬した。ゲルの重量(W)は、ゲルを水から分離した後にゲル表面の余分な水分をキムワイプ(クレシア製実験用ティッシュペーパ)でふき取った後に電子天秤を用いて測定した。重量測定後、再びゲルを異なる温度の蒸留水中に浸漬し、重量が一定となるまで放置した。この手順を繰り返し、ゲル重量の平衡値を約10℃間隔で昇温しながら10℃から60℃までの範囲で測定した。すべての重量測定が終了した後に乾燥し、ゲルの乾燥重量(Wo)を測定した。ゲル重量の温度依存性は膨潤/収縮率W/Woを算出することで評価した。同様に比較例1、2のゲルについても膨潤/収縮率を算出した。結果を図1に示す。図中、曲線I(黒丸)はポリ−γ−グルタミン酸と、N−イソプロピルアクリルアミドとメタクリル酸との共重合体とにより得られた架橋体のゲル、曲線II(白抜き丸)はポリ−γ−グルタミン酸単独のゲル、曲線III(白抜き三角)はポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)単独のゲルを示す。実施例1で合成したゲル(曲線I)は温度応答性があり、加熱によりゲルは脱水し重量減少することが示された。10℃から60℃の範囲で比較すると、比較例2で合成したポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)ゲルでは膨潤/収縮率変化(W/Wo)が約10であるのに対し、実施例1のポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋体で構成される温度応答性生分解性ゲルでは膨潤/収縮率変化(W/Wo)が約25となり膨潤/収縮の変化が大きい。一方、温度応答性高分子を含まないポリ−γ−グルタミン酸単独ゲル(曲線II/比較例1)では、10−60℃の温度範囲では温度応答性を示さない。
【0029】
【実施例6】
<生分解性試験>実施例1で合成したポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋ゲルの分解試験を行った。 架橋ゲルの生分解性試験は、生体内条件を考慮して 0.03 M NaHCO, 0.002 M KHPO, 0.12 M NaCl 及び0.003 M KClの水溶液の組成の模擬体液を使用し37℃の条件下での in vitro における酵素分解性として検査した。炎症部位で産生されるペプチド分解酵素には、cathepsin Bなどのエンドペプチダーゼとcarboxypeptidaseなどのエキソペプチダーゼに分類される。本実施例では、cathepsin Bと類似のポリアミノ酸加水分解挙動を示すエンドペプチダーゼの例としてパパインを用いて、0.01 M L−システイン及び0.02 M エチレンジアミン四酢酸を含む模擬体液中で生体条件下(37℃, pH7.4)で試験を行った。ゲルを凍結乾燥し乾燥重量(Wo)を測定した。このゲル(乾燥重量約40mg)をパパイン(40 units/ml)を含む模擬体液 5mlに浸漬し攪拌した。一定時間後に、この反応容器内の残存物をNo.5Cろ紙を用いてろ過し、固形分乾燥重量(W)をろ紙を乾燥して求めた。ゲルの存在重量をW/Woとして算出した。酵素溶液への浸漬時間を変えて同様の測定を繰り返した。更に、酵素未添加での分解挙動、0.01M NaOH水溶液にゲルを浸漬した場合のアルカリ加水分解によるゲルの分解挙動を検査した。結果を図2に示す。図2中パパインが共存する(曲線I/白抜き丸)場合には、時間経過と共にゲルの残存量は減少し、約40時間でゲルは消失した。それに対し、パパイン未添加でのゲル(曲線II/黒丸)の重量減少は遅く40時間後でも90%以上の重量が残った。また、NaOH水溶液中(黒三角)ではゲルの架橋点であるエステル結合がアルカリ加水分解を受けるために、酵素での分解よりも速い。
【0030】
【実施例7】
<円筒状ポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋ゲルと凍結乾燥物及びこれの膨潤ゲル化物の製造>
実施例1と準拠し、ポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋ゲルを直径2mm、長さ20mmのガラス管中で製造した。この架橋ゲルをガラス管中より取り出し、ナス型フラスコに入れ、−20℃にて2時間凍結させた。その後東京理化(株)製凍結乾燥機FD−1を用い24時間凍結乾燥を行ったところ、棒状の架橋ゲルの乾燥物が得られ、その一部を写真模式図の図3のaに示した。このものをそのまま立てても折り曲がったりせず、指で押しても形状を維持できる程度の硬度を有していた。さらにこの凍結乾燥品を22℃の水に浸漬し、10分経過したところ円柱形を維持したまま再びゲルとなり、その直径約4mmに膨潤した。これを写真模式図の図3のbに示した。さらに浸漬を続けると10時間後には直径10mmにさらに膨潤し、この写真模式図の図3のcに示した。このときの膨潤ゲル化物の重量は凍結乾燥品の約100倍の重量であった。
【0031】
【実施例8】
<赤外吸収スペクトル測定によるエステル化合物生成の確認>
実施例1で合成したポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)の架橋ゲル(以下「PGA− poly(NIPA/MA)架橋ゲル」と記すこともある)を105℃の乾燥機中で4時間乾燥し、更に室温で真空乾燥を48時間行った。乾燥したPGA− poly(NIPA/MA)架橋ゲルを粉砕し、KBr錠剤法を用いて日本分光(株)製 FT−IR−430型赤外スペクトル測定装置で赤外スペクトルを測定した。結果を図4に示した。同様に、比較例1で得たポリ−γ−グルタミン酸単独ゲル(以下「PGA単独架橋ゲル」と記すこともある)を実施例1と同様の方法で乾燥した。乾燥したPGA単独架橋ゲルを粉砕し、KBr錠剤法を用いてそれぞれの赤外スペクトルを測定した。結果を図5に示した。図4に示すように実施例1で得たPGA− poly(NIPA/MA)架橋ゲルのIR吸収は3465 cm−1 −CONH− アミド、1734,1742,1748 cm−1 −COOR エステル、1653, 1640 cm−1 アミドI (−CONH− 単量体)、1558及び1540 cm−1 アミドII(−CONH− 二量体)であり、数種類のエステル結合を有する化合物である。図5に示すように比較例1で得たPGA単独架橋ゲルの乾燥物のIR吸収スペクトルは3416 cm−1 −CONH− アミド、1741 cm−1 −COOR エステル、1650 cm−1 アミドI (−CONH− 単量体)及び1540 cm−1 アミドII (−CONH−二量体)が観測され、エステルの吸収は1741 cm−1 の単一吸収であった。以上のようにPGA− poly(NIPA/MA)架橋ゲルの乾燥物のIR吸収には、PGA単独架橋ゲルの乾燥物のIR吸収とは異なる吸収の存在がエステル領域に確認されたことは、ポリ−γ−グルタミン酸とポリ(N−イソプロピルアクリルアミド/メタクリル酸)との間に新規な架橋が生成したことを裏付けるものである。
【0032】
【発明の効果】
本発明はN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体と安全で生分解性を有するポリグルタミン酸及び/又はポリアスパラギン酸、並びにこれらの塩を含むこともできる物質をエポキシ化合物などの架橋剤によって架橋することにより得られる温度応答性生分解性ゲルである。本発明によりドラッグデリバリーシステムなどの医用材料や、環境適合性材料などに用いられる温度変化に対応して膨潤/収縮の変化を示し、良好な生分解性を有する温度応答性生分解性ゲル材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本願発明の温度応答性生分解性ゲルの温度依存性を示す図である。
【図2】は温度応答性生分解性ゲルの生分解性を示す図である。
【図3】のaはPGA− poly(NIPA/MA)架橋ゲル乾燥物、bはこの乾燥物を10分間水に浸漬し得られたゲル、cは該乾燥物を水に浸漬して10時間後に得られたゲルの写真の模式図である。
【図4】はPGA− poly(NIPA/MA)架橋ゲル乾燥物のIR吸収スペクトルである。
【図5】はポリ−γ−グルタミン酸単独ゲルの乾燥物のIR吸収スペクトルである。

Claims (9)

  1. N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基と分子量10,000乃至300,000のポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基とが架橋された架橋体に水分及び/又は有効成分を含有し、かつ3次元網目構造を有する温度応答性生分解性ゲル。
  2. ポリ酸性アミノ酸がポリ−α−グルタミン酸、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α―アスパラギン酸、ポリ−β―アスパラギン酸及びこれらの混合物から選ばれた少なくとも一つである請求項1記載の温度応答性生分解性ゲル。
  3. 架橋体がエポキシ化合物又はイソシアネート化合物から選ばれた少なくとも一つの架橋剤により架橋されている請求項1乃至2記載の温度応答性生分解性ゲル。
  4. 架橋体中のN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基/ポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基の比の値が1/15〜1/80である請求項1乃至3記載の温度応答性生分解性ゲル。
  5. 有効物質が医薬、農薬、無機物、植物成長促進剤または肥料である請求項1乃至4記載の温度応答性生分解性ゲル。
  6. N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基と分子量10,000乃至300,000のポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基とが架橋された架橋体。
  7. ポリ酸性アミノ酸がポリ−α−グルタミン酸、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α―アスパラギン酸、ポリ−β―アスパラギン酸及びこれらの混合物から選ばれた少なくとも一つである請求項6記載の架橋体。
  8. 架橋がエポキシ化合物又はイソシアネート化合物から選ばれた少なくとも一つの架橋剤による架橋である請求項6乃至7記載の架橋体。
  9. 架橋体中のN−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体のカルボキシル基/ポリ酸性アミノ酸のカルボキシル基の比の値が1/15〜1/80である請求項6乃至8記載の架橋体。
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