JP2004307249A - 水素または二酸化炭素の製造装置および方法並びに二酸化炭素の分離方法 - Google Patents

水素または二酸化炭素の製造装置および方法並びに二酸化炭素の分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水素の生成反応場から二酸化炭素を分離する。
【解決手段】炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて水素と二酸化炭素を生成する反応器2に、アルカリ金属系複合酸化物ABOを材料とする二酸化炭素分離膜5を備えて、反応器2と隔てて設けられる二酸化炭素分離室6へ二酸化炭素を選択的に移動させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素または二酸化炭素の製造装置および方法並びに二酸化炭素の分離方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、水素生成反応場から二酸化炭素を分離する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素は燃焼時に二酸化炭素などの温室効果ガスを発生しないクリーンなエネルギーである。近年、水素を燃料とする燃料電池自動車の開発が進み、その実用化が議論されるようになってきた。そのため、国内外で水素エネルギー関連技術に対する関心が高まっている。
【0003】
水素は、(1)水の電気分解、(2)石炭の酸化・水蒸気分解、(3)ナフサの水蒸気改質、(4)天然ガスの水蒸気改質で製造できるが、そのほとんどは天然ガスの水蒸気改質方式によって製造されている。
【0004】
天然ガスの水蒸気改質のプロセスは、次のように行なわれる。先ず、天然ガス(主成分:メタン(CH))と水蒸気(HO)を約800℃まで加熱し、ニッケル等の触媒下で反応させ、一酸化炭素(CO)と水素(H)に変化させる(数式1参照)。この反応は、吸熱反応(ΔH=250kJ/mol)である。
【0005】
【数1】
Figure 2004307249
【0006】
数式1の反応が終了した後、改質ガスを約350〜500℃(第1段反応)、約200〜250℃(第2段反応)、と2段階で冷却および転化反応させて、鉄−クロム(第1段反応)や銅−亜鉛(第2段反応)等の触媒下で、改質ガス中の一酸化炭素(CO)と水蒸気(HO)を二酸化炭素(CO)と水素(H)に変成させる(数式2参照)。この反応は発熱反応である(ΔH=−41.1kJ/mol)。
【0007】
【数2】
Figure 2004307249
【0008】
そして、数式2の反応で生成した二酸化炭素と水素を分離して水素ガスを得る。従来、水素と二酸化炭素の混合ガスから二酸化炭素を分離する方法として、一旦室温付近まで混合ガスを冷却するアミン法や炭酸カリ法などがある。また、水素と二酸化炭素の混合ガスから水素を分離する方法として、やはり一旦室温付近まで混合ガスを冷却してセルロースアセテートやポリスルホン多孔膜シリコンコート等で分離するものがある。例えば、炭酸カリ水溶液を用いた化学吸着分離法では、数式2の反応で生成した二酸化炭素と水素を室温(常温)まで冷却した後、二酸化炭素を炭酸カリ(KCO)水溶液により吸収させ、水素ガスを得るようにしている(数式3参照)。
【0009】
【数3】
Figure 2004307249
【0010】
水素を分離した後、反応生成物である2KHCOは、加熱されることで、二酸化炭素と水を放出し、KCOに再生される(数式4参照)。この再生工程により、CO吸収剤である炭酸カリ水溶液を繰り返し使用することができる。
【0011】
【数4】
Figure 2004307249
【0012】
また、近年、高温下で水素と二酸化炭素の混合ガスから水素を分離する膜として、パラジウム−銀合金膜が研究されており、一部実用化されている。例えば、非特許文献1には、500〜550℃で数式1および数式2の水蒸気改質工程を同時に行うとともに(数式5参照)、パラジウム−銀合金膜を用いて水素を分離し、高純度水素を製造するメンブレンリアクタ(膜反応器)型水素製造装置が開示されている。パラジウム−銀合金膜は、水素生成反応場の水素分圧が透過側の水素分圧よりも高くなるようにして、当該水素分圧差を水素透過の駆動力として用いられる。
【0013】
【数5】
Figure 2004307249
【0014】
【非特許文献1】
藤本芳正、小林一登、平野昌宏、安田勇、白崎義則、「メンブレンリアクタ型水素製造装置の開発、Vol.38, No.5 p.246−249 (2001).」
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アミンや炭酸カリにより水素と二酸化炭素の混合ガスから二酸化炭素を分離する方法、セルロースアセテートやポリスルホン多孔膜シリコンコートにより水素と二酸化炭素の混合ガスから水素を分離する方法では、混合ガスを常温まで冷却する必要がある。さらに、炭酸カリ等を繰り返し使用するためには、再生処理を施す必要がある。これらの冷却工程では熱交換損失が生じ、再生工程では多くのエネルギーが消費されるため、エネルギー効率の大幅な低下につながっており、水素製造設備の大型化やコスト高の要因にもなっている。このため、改質ガスなどの冷却工程やCO吸収剤の再生工程を必要としない水素分離法や二酸化炭素分離法が望まれる。
【0016】
また、パラジウム−銀合金膜では、メタンの水蒸気改質の反応場のような高温での使用が可能であり、且つ水素を選択的に分離できるので高純度の水素を得ることができるが、この膜を用いた従来のメンブレンリアクタでは単位面積当り及び1時間あたりの水素透過速度が、4.2Nm/(hour・m)程度(水素透過側圧力:0.1MPa、Nmは、0℃、1気圧での体積を示す)と低い値に留まっている。
【0017】
また、従来のメンブレンリアクタでは、以下に述べる理由から数式5の平衡反応の右側への進行が遅く、時間あたりに製造される水素量が少ないと考えられる。反応速度論から、数式5の平衡反応定数(K)は、次式で表すことができる。
【0018】
【数6】
Figure 2004307249
但し、
K:平衡反応定数
CO2:二酸化炭素の分圧
H2:水素の分圧
CH4:メタンの分圧
H2O:水蒸気の分圧
【0019】
平衡反応定数(K)は各温度に対して一定の値をとる。ル・シャトリエ−ブラウンの法則で知られているように、数式5の平衡反応では、水蒸気改質の反応場(例えば反応器内)の圧力が高圧になるに従い、式の左側方向に反応が進行するため、発生する水素の分圧が小さくなる。このため、水素分圧差を水素透過の駆動力とするパラジウム−銀合金膜では、水素透過速度が遅くなる。また、数式1の反応には800℃以上の高温場が必要なことから、反応場が800℃以下の温度域である場合、高性能触媒を用いたとしても、数式1の反応が含まれる数式5の平衡反応の右側方向への進行は、かなり遅いと考えられる。さらに、反応器からは水素しか分離されないため、二酸化炭素が反応器中に残留し続けることとなる。平衡反応は、反応生成物を除去することで平衡を移動させることができるから、二酸化炭素が反応器に残留していると数式5の平衡反応を右側方向へ速やかに進行させることができない。また、反応器内の二酸化炭素濃度が高くなってくると、反応器内の水素分圧が低くなり水素が分離できないため、折角製造した水素を二酸化炭素と一緒に反応器から排出しなければならなくなり、効率が極めて悪くなる。このため、水蒸気改質の反応場から二酸化炭素を除去する技術が望まれる。また、地球温暖化防止の観点からも二酸化炭素の回収技術を備えた水素製造装置が望まれる。ところが、上述したように従来の二酸化炭素の分離方法では混合ガスを常温程度まで冷却する必要がある。
【0020】
そこで本発明は、水素の生成反応場から二酸化炭素を分離できる水素または二酸化炭素の製造装置および方法並びに二酸化炭素の分離方法を提供すること目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の水素と二酸化炭素の製造装置は、炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて主として水素と二酸化炭素を生成する反応器に、前記反応器と隔てて設けられる二酸化炭素分離室へ二酸化炭素を選択的に移動させる二酸化炭素分離膜を備えるようにしている。
【0022】
また、請求項6記載の水素と二酸化炭素の製造方法は、炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて主として水素と二酸化炭素を生成する反応器に、前記反応器と隔てて設けられる二酸化炭素分離室へ二酸化炭素を選択的に移動させる二酸化炭素分離手段と、前記反応器と隔てて設けられる水素分離室へ水素を選択的に移動させる水素分離手段とを備え、前記反応器から水素と二酸化炭素を同時に且つ連続的に分離するようにしている。
【0023】
したがって、反応器から水素を分離すると同時に二酸化炭素も分離できるので、水素だけを分離する場合よりも、水素の生成反応を速やかに進行させることができる。また、反応器内に二酸化炭素が残留しないため、折角製造した水素を二酸化炭素と一緒に反応器から排出する必要が無い。従って、より多くの水素を効率的に得ることができる。
【0024】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の水素と二酸化炭素の製造装置において、前記二酸化炭素分離膜の材料に、アルカリ金属系複合酸化物ABO(Aは1種または複数種のアルカリ金属元素、Bは1種または複数種のチタン族元素)またはアルカリ金属系オルソシリケートの一方または双方を少なくとも用い、前記二酸化炭素分離室の二酸化炭素分圧を前記反応器内の二酸化炭素分圧よりも低くなるようにしている。
【0025】
したがって、反応器側の二酸化炭素分離膜の表面では、ABOが二酸化炭素(CO)と反応してACOとBOとなる。当該反応により生じたACOまたはCO 2−は、二酸化炭素分離膜中を二酸化炭素分離室側に拡散する。そして、二酸化炭素分離室側の二酸化炭素分離膜の表面では、ACOまたはCO 2−が解離して二酸化炭素(CO)を二酸化炭素分離室に放出する。当該解離により生じたAOは二酸化炭素分離膜中を反応器側に逆拡散する。当該逆拡散したAOは、BOと反応してABOに戻り、反応器側の二酸化炭素分離膜の表面で二酸化炭素(CO)と反応して、再びACOまたはCO 2−となって、二酸化炭素分離膜中を二酸化炭素分離室側に拡散する。これにより、物質移動のサイクルが実現され、反応器側での二酸化炭素の吸収および二酸化炭素分離室側での二酸化炭素の放出が連続的に行なわれる。
【0026】
SiOの場合も同様の原理で反応器から二酸化炭素分離室へ二酸化炭素を分離できる。即ち、反応器側の二酸化炭素分離膜の表面では、ASiOが二酸化炭素(CO)と反応してACOとASiOとなる。当該反応により生じたACOまたはCO 2−は、二酸化炭素分離膜中を二酸化炭素分離室側に拡散する。そして、二酸化炭素分離室側の二酸化炭素分離膜の表面では、ACOまたはCO 2−が解離して二酸化炭素(CO)を二酸化炭素分離室に放出する。当該解離により生じたAOは二酸化炭素分離膜中を反応器側に逆拡散する。当該逆拡散したAOは、ASiOと反応してASiOに戻り、反応器側の二酸化炭素分離膜の表面で二酸化炭素(CO)と反応して、再びACOまたはCO 2−となって、二酸化炭素分離膜中を二酸化炭素分離室側に拡散する。これにより、物質移動のサイクルが実現され、反応器側での二酸化炭素の吸収および二酸化炭素分離室側での二酸化炭素の放出が連続的に行なわれる。
【0027】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の水素と二酸化炭素の製造装置において、前記二酸化炭素分離膜の材料に、アルカリ金属系炭酸塩をドープするようにしている。この場合、炭酸塩の種類やドープする量によって、二酸化炭素分離膜の作動温度を調整することができる。
【0028】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の水素と二酸化炭素の製造装置において、前記反応器と隔てて設けられる水素分離室へ水素を選択的に移動させる水素分離膜を前記反応器に更に備え、且つ前記水素分離膜の材料にパラジウムと銀の合金を用い、前記水素分離室の水素分圧を前記反応器内の水素分圧よりも低くなるようにしている。パラジウム−銀合金膜は水素を選択的に分離できる膜として知られており、高純度の水素ガスを得ることができる。
【0029】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の水素と二酸化炭素の製造装置において、前記反応器と隔てて設けられる水素分離室へ水素を選択的に移動させる水素分離手段を前記反応器に更に備え、且つ前記水素分離手段は、前記反応器に備えられるカソードと、前記水素分離室に備えられるアノードと、前記カソードと前記アノードとを接続して水素イオンが移動する電解質としての溶融硫酸水素塩と、前記カソードと前記アノードに電気を供給する電源とを有するようにしている。この場合、通電する電流の大きさや通電時間によって水素分離手段を透過する水素透過量を制御することができ、水素を大量生産することが可能となる。
【0030】
また、請求項7記載の二酸化炭素の製造装置は、二酸化炭素が生成される反応器に、前記反応器と隔てて設けられる二酸化炭素分離室へ二酸化炭素を選択的に移動させる二酸化炭素分離膜を備え、且つ前記二酸化炭素分離膜の材料に、アルカリ金属系複合酸化物ABO(Aは1種または複数種のアルカリ金属元素、Bは1種または複数種のチタン族元素)またはアルカリ金属系オルソシリケートの一方または双方を少なくとも用い、前記二酸化炭素分離室の二酸化炭素分圧を前記反応器内の二酸化炭素分圧よりも低くなるようにしている。この場合、二酸化炭素分離膜が備えられる反応器は、炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて水素と二酸化炭素を主として生成するものには必ずしも限られない。
【0031】
また、請求項8記載の二酸化炭素の分離方法は、二酸化炭素が生成される反応器と二酸化炭素分離室とを、アルカリ金属系複合酸化物ABO(Aは1種または複数種のアルカリ金属元素、Bは1種または複数種のチタン族元素)またはアルカリ金属系オルソシリケートの一方または双方を少なくとも組成に有する二酸化炭素分離膜で仕切り、前記二酸化炭素分離室の二酸化炭素分圧を前記反応器内の二酸化炭素分圧よりも低くなるようにし、前記二酸化炭素分離膜の前記反応器側で二酸化炭素を吸収させ、当該吸収した二酸化炭素を前記二酸化炭素分離室側で放出するようにしている。この場合、二酸化炭素分離膜が備えられる反応器は、炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて水素と二酸化炭素を主として生成するものには必ずしも限られない。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1から図4に本発明の水素または二酸化炭素の製造装置および方法並びに二酸化炭素の分離方法の実施の一形態を示す。この水素と二酸化炭素の製造装置1は、炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて主として水素と二酸化炭素を生成する反応器2に、反応器2と隔てて設けられる二酸化炭素分離室6へ二酸化炭素を選択的に移動させる二酸化炭素分離手段5としての二酸化炭素分離膜を備えるようにしている。
【0034】
また、本実施形態の水素と二酸化炭素の製造方法では、反応器2に、二酸化炭素分離手段5と、反応器2と隔てて設けられる水素分離室4へ水素を選択的に移動させる水素分離手段3とを備えるようにし、反応器2から水素と二酸化炭素を同時に且つ連続的に分離するようにしている。
【0035】
尚、例えば本実施形態では、説明の便宜上、製造装置1における主たる製造目的の物質を水素とし、製造装置1を水素製造装置と呼ぶ。但し、二酸化炭素が主たる製造目的の物質であっても良く、或いは水素と二酸化炭素の双方が主たる製造目的の物質であっても良いのは勿論である。二酸化炭素が主たる製造目的の物質であれば、製造装置1は二酸化炭素製造装置ともなる。
【0036】
本実施形態では、反応器2において、炭化水素系燃料(例えばメタン(CH))と水蒸気(HO)とを反応させて主として水素(H)と二酸化炭素(CO)を生成する数式5の反応を起こさせるようにしている。尚、反応器2内のガスは、実際には、水蒸気(HO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、水素(H)等の混合気体となるため、「主として水素と二酸化炭素を生成する」と表現している。反応器2には、数式5の反応を起こさせるための触媒12が設けられている。この触媒12としては、例えば金属ニッケルのようなニッケル系触媒、あるいはニッケル系触媒におけるガス流方向の後部に酸化鉄や鉄−クロム複合酸化物のような鉄系酸化物を混合したものなど、数式5の反応を起こさせる場合に用いられる既知の触媒を利用して良い。
【0037】
二酸化炭素分離膜5は、反応器2と二酸化炭素分離室6との仕切り(隔壁)となるように設けられる。例えば本実施形態では、二酸化炭素分離膜5の材料に、アルカリ金属系複合酸化物ABO(A=Li,Na,K等のアルカリ金属元素、B=Ti,Zr等のチタン族元素、但し、AまたはBに該当する元素は一種類だけでなく複数種の元素であっても良く、例えば、LiKZrO、LiZr0.5Ti0.5でも良い。)またはアルカリ金属系オルソシリケートASiO(A=Li,Na,K等のアルカリ金属元素、但し、Aに該当する元素は一種類だけでなく複数種の元素であっても良く、例えば、LiSiOでも良い。)の一方または双方を少なくとも用いるようにしている。そして、二酸化炭素分離室6の二酸化炭素分圧を、反応器2内の二酸化炭素分圧よりも低くなるように、圧力差を設けるようにしている。このため、例えば吸気装置などを用いて二酸化炭素分離室6の二酸化炭素分圧を負圧(例えば大気圧以下)の状態となるようにしている。
【0038】
二酸化炭素分離膜5の作用を、ABOを例に挙げ、図1を用いて説明する。反応器2側の二酸化炭素分離膜5の表面では、ABOが二酸化炭素(CO)と反応してACOとBOとなる(即ち、数式7の反応が進む)。
【0039】
【数7】
Figure 2004307249
【数8】
Figure 2004307249
【数9】
Figure 2004307249
【0040】
当該反応により生じたACOまたはCO 2−は溶融状態となり、二酸化炭素分離膜5中を二酸化炭素分離室6側に拡散する。そして、二酸化炭素分離室6側の二酸化炭素分離膜5の表面では、ACOが解離して二酸化炭素(CO)を二酸化炭素分離室6に放出する(即ち、数式8の反応が進む)。またはCO 2−が解離して二酸化炭素(CO)を二酸化炭素分離室6に放出する。当該解離により生じたAOは二酸化炭素分離膜5中を反応器2側に逆拡散する。当該逆拡散したAOは、BOと反応してABOに戻り(即ち、数式9の反応が進む)、反応器2側の二酸化炭素分離膜5の表面で二酸化炭素(CO)と反応して、再び溶融状態のACOまたはCO 2−となって、二酸化炭素分離膜5中を二酸化炭素分離室6側に拡散する。これにより、物質移動のサイクルが実現され、反応器2側での二酸化炭素の吸収および二酸化炭素分離室6側での二酸化炭素の放出が連続的に行なわれる。
【0041】
SiOの場合も同様の原理で反応器2から二酸化炭素分離室6へ二酸化炭素を分離できる。即ち、反応器2側の二酸化炭素分離膜5の表面では、ASiOが二酸化炭素(CO)と反応してACOとASiOとなる(即ち、数式10の反応が進む)。
【0042】
【数10】
Figure 2004307249
【数11】
Figure 2004307249
【数12】
Figure 2004307249
【0043】
当該反応により生じたACOまたはCO 2−は溶融状態となり、二酸化炭素分離膜5中を二酸化炭素分離室6側に拡散する。そして、二酸化炭素分離室6側の二酸化炭素分離膜5の表面では、ACOが解離して二酸化炭素(CO)を二酸化炭素分離室6に放出する(即ち、数式11の反応が進む)。またはCO 2−が解離して二酸化炭素(CO)を二酸化炭素分離室6に放出する。当該解離により生じたAOは二酸化炭素分離膜5中を反応器2側に逆拡散する。当該逆拡散したAOは、ASiOと反応してASiOに戻り(即ち、数式12の反応が進む)、反応器2側の二酸化炭素分離膜5の表面で二酸化炭素(CO)と反応して、再び溶融状態のACOまたはCO 2−となって、二酸化炭素分離膜5中を二酸化炭素分離室6側に拡散する。これにより、物質移動のサイクルが実現され、反応器2側での二酸化炭素の吸収および二酸化炭素分離室6側での二酸化炭素の放出が連続的に行なわれる。
【0044】
LiZrOを例に挙げて、二酸化炭素分離膜5の作用を更に詳細に説明する。図2にLiZrOのCO吸収および放出特性を示す。図2の縦軸は、CO雰囲気下にあるLiZrOのCO吸収による重量変化率(100×(同図中横軸の各温度で測定した重量−測定前の初期重量)/(測定前の初期重量)[%])、つまりLiZrOのCO吸収量を示す。同図中の符号Aで示すグラフは二酸化炭素分圧が0.7MPaの場合を、図中の符号Bで示すグラフは二酸化炭素分圧が0.1MPaの場合を示す。CO雰囲気下、約460℃程度以上となると、LiZrOはCOを吸収して、LiCOとZrOに変化する(即ち、数式13の反応が進む)。さらに高温(例えば約900℃程度)となると、LiCOはCOを放出して、LiZrOに戻る(即ち、数式14および数式15の反応が進む)。
【0045】
【数13】
Figure 2004307249
【数14】
Figure 2004307249
【数15】
Figure 2004307249
【0046】
図2に示すように、二酸化炭素分圧が高い方が、二酸化炭素分圧が低い場合と比べて、COの吸収量が多く、また吸収したCOを放出するようになるまでの温度が高くなる。このため、ある一定の温度範囲(図2の例では600℃〜800℃程度、より好ましくは750℃付近)において、二酸化炭素分離膜5を挟んで二酸化炭素の分圧差を設ければ、二酸化炭素分離膜5は高圧側でCOを吸収し低圧側でCOを放出するようになる。上記一定の温度範囲は、二酸化炭素分離膜5の作動温度となる。
【0047】
従って、高圧側(反応器2側)では、数式13の反応が進行し、LiZrOがCOと反応して、溶融状態のLiCOと固体のZrOが生じる。溶融状態のLiCOまたはCO 2−は二酸化炭素分離膜5中を低圧側(二酸化炭素分離室6側)に拡散する。低圧側では、数式14の反応が進行し、LiCOまたはCO 2−がCOを放出して、LiOとなり、逆に高圧側に拡散する。高圧側に拡散したLiOは、ZrOと反応してLiZrOに戻り、再びCOと反応して溶融状態のLiCOまたはCO 2−となり、二酸化炭素分離膜5中を低圧側に拡散する。これにより、COを連続的に反応器2から二酸化炭素分離室6へと分離することが可能となる。
【0048】
尚、例えば本実施形態では、薄膜状の二酸化炭素分離膜5を多孔質膜29で支持するようにしている。この多孔質膜29の材料としては、例えばアルミナやイットリアなどの希土類元素で安定化したジルコニアなどが好適である。また、例えば本実施形態では、ABOやBOなどの粒成長を妨げる粒子であって粒径がナノオーダの粒子(不活性ナノ粒子)30を、二酸化炭素分離膜5の材料に添加するようにしている。不活性ナノ粒子30としては、例えばアルミナなどが好適である。尚、図8中の符号31はABO(例えばLiZrO)粒子を示し、符号32はBO(例えばZrO)粒子を示し、符号33は溶融状態のACO(例えばLiCO)を示す。
【0049】
ここで、CO分離を連続的に行なうためには、二酸化炭素分離膜5中の円滑な物質移動が必要となるため、高圧側のCO吸収反応により生成されて低圧側でCOを放出する機能を担う物質(例えばLiCOなど)は、溶融状態であることが望ましい。そこで、上記物質の融点を調整することで、二酸化炭素分離膜5の作動温度(即ち、高圧側でCOを吸収し尚且つ低圧側でCOを放出する温度)を制御できると考えられる。例えばアルカリ金属系炭酸塩を膜材料にドープ(添加)することで、上記物質の融点を下げることができる。
【0050】
LiCOの融点は732℃であるが、LiCOとKCOの混合物の融点は500℃以下となることが知られている(例えば図3(A)参照)。さらに、LiCOとKCOとNaCOの混合物の融点は400℃以下となることが知られている(例えば図3(B)参照)。従って、例えばKCOとNaCOの一方または双方を膜材料LiZrOに添加し且つその添加量を調整することで、二酸化炭素分離膜5の作動温度を約400〜700℃の範囲内で制御することが可能となる。例えばKCOとNaCOの一方または双方を、膜材料LiZrOに添加し、Li2−xNaZrOまたはLi2−xZrOあるいはLi2−x−yNaZrOとする。CO吸収反応によりLiCOまたはLi2−xNaCOまたはLi2−xCOまたはLi2−x−yNaCOが生成されるが、これら生成物が目的とする温度域で溶融状態となるようにする。これにより、これらの物質が二酸化炭素分離膜5中で良好に拡散し、CO分離が連続的に行なわれる。
【0051】
二酸化炭素分離膜5の作動温度は、水素製造装置1における温度調整を容易とする観点から、数式5の反応を起こさせる水蒸気改質触媒12、水素分離手段3の作動温度に合わせることが好ましい。また、反応器2内の温度は、例えば400℃〜900℃程度であることが好ましい。LiCOとKCOとNaCOの混合物の共晶温度が400℃未満には下がらないため、400℃未満の温度域では二酸化炭素分離膜5の作動が困難と考えられるからである。また、900℃を超えるとLiZrOが二酸化炭素を吸収しなくなることから、やはり二酸化炭素分離膜5の作動が困難と考えられるからである。
【0052】
本実施形態の水素分離手段3は、例えばパラジウムと銀の合金を材料として作製される水素分離膜としている。水素分離膜3は、反応器2と水素分離室4との仕切りとなる。そして、水素分離室4の水素分圧を反応器2内の水素分圧よりも低くなるようにしている。このため、例えば吸気装置などを用いて水素分離室4の水素分圧を負圧(例えば大気圧以下)の状態となるようにしている。尚、パラジウム−銀合金の組成は、例えば銀が20〜30重量%で、残がパラジウムであるものが好ましい。また、実用的な水素の透過速度を得るために、400〜600℃程度の温度域での使用が望ましい。パラジウム−銀合金膜は水素を選択的に分離できる膜として知られており、高純度の水素ガスを得ることができる。
【0053】
水素製造装置1は、例えば次のように動作する。数式5の反応に必要な炭化水素系燃料は炭化水素系燃料供給手段(例えばメタンを主成分とする天然ガスが充填されたタンク)28より供給され、必要な水は水供給手段(例えば給水タンク)26より供給され、必要な熱は熱供給手段(例えばヒータや熱交換器)27により供給される。例えば、燃料供給手段28より供給される高圧の天然ガスと水供給手段26より供給される水とは、混合され、共に熱供給手段27により例えば400℃〜750℃の高温とされた後に、反応器2に供給される。
【0054】
反応器2では、触媒12のもとでメタンと水蒸気が反応し主として水素と二酸化炭素が生成される。そして、反応器2に備えられた二酸化炭素分離膜5を介して、二酸化炭素分圧の高い反応器2側から二酸化炭素分圧の低い二酸化炭素分離室6へと二酸化炭素が移動すると共に、やはり反応器2に備えられた水素分離膜3を介して、水素分圧の高い反応器2側から水素分圧の低い水素分離室4へと水素が移動する。即ち、二酸化炭素分離膜5により二酸化炭素が選択的且つ連続的に二酸化炭素分離室6に分離されると共に、水素分離膜3により水素が選択的且つ連続的に水素分離室4に分離される。本実施形態の反応器2は、水素分離膜3と二酸化炭素分離膜5との2つの分離膜を備えるデュアルメンブレンリアクタとなる。
【0055】
尚、図4の矢印A,B,Cに示すように、反応器2から排出されるガス(未反応のメタンや分離されずに残った水素などを含み、図4中の矢印Aで示す)と、空気(図4中の矢印Bで示す)とを混合させて、燃焼反応を起こさせ、当該燃焼反応で生じた熱と水とを反応器2に供給するようにしても良い(図4中の矢印Cで示す)。この場合、水素製造装置1における熱効率を高めることができる。
【0056】
以上のように構成される水素製造装置1では、二酸化炭素分離膜5が数式5の反応場のような高温で機能するので、反応器2内の混合ガスを冷却する工程は不要となる。さらに、この二酸化炭素分離膜5では、二酸化炭素の吸収と放出が連続的に行なわれるので、吸収剤などの再生工程は不要である。従って、多くのエネルギーが消費される冷却工程や再生工程が不要となり、エネルギー効率を大幅に向上させることができる。また、原理としては、二酸化炭素しか二酸化炭素分離膜5を透過できないため、純度の高い二酸化炭素が回収できる。二酸化炭素の回収により、地球温暖化防止にも寄与できる。さらに、水素製造装置1では、反応器2から水素を分離すると同時に二酸化炭素も分離するので、水素だけを分離する場合よりも、数式5の平衡反応を右側へ速やかに進行させることができる。また、反応器2内に二酸化炭素が残留しないため、折角製造した水素を二酸化炭素と一緒に反応器2から排出する必要が無い。従って、より多くの水素を効率的に得ることができる。加えて、メタン、水蒸気、水素、二酸化炭素を含む反応器2内の混合ガスから二酸化炭素が分離されるため、水素だけを分離する場合よりも反応器2内の水素分圧を高くできる。従って、水素分圧差を水素透過の駆動力としている水素分離膜3の水素透過速度を速くできる効果も得られる。
【0057】
次に、本発明の水素または二酸化炭素の製造装置および方法並びに二酸化炭素の分離方法の第二の実施形態について、図5を用いて説明する。尚、第二の実施形態では、水素分離手段のみが上述の実施形態と異なっており、上述の実施形態と同じ他の構成要素については、同一符号を用いて詳細な説明を省略する。この水素製造装置1’の水素分離手段3’は、反応器2に備えられるカソード8と、水素分離室4に備えられるアノード9と、カソード8とアノード9とを接続して水素イオンが移動する電解質10としての溶融硫酸水素塩と、カソード8とアノード9に電気エネルギーを供給する電源11とを有するようにしている。
【0058】
電解質10としては、プロトン導電性を有する物質、例えば硫酸水素カリウム(KHSO)または硫酸水素ナトリウム(NaHSO)の少なくとも一方を含む混合溶融塩の利用が好ましい。また、電極(カソード8とアノード9)は、例えば銅やコバルトなど用いて多孔質膜とすることが好適である。
【0059】
従って、反応器2中の水素分子(水素ガス)Hは、カソード8に電子(e)を渡して水素イオン(プロトン)Hとなり、この水素イオンHは、カソード8とアノード9の間の電位差により電解質10を介してアノード9に移動し、アノード9から電子(e)を受け取って、再び水素分子(水素ガス)Hとなって水素分離室4に放出される。即ち、電源11により電極(カソード8とアノード9)に電圧を加え、カソード8側からアノード9側に外部回路を通して電子を流し、水素イオンを電解質10中で移動させる。
【0060】
この水素分離手段3’では、通電する電流の大きさや通電時間によって水素の透過量を制御することができる。このため、水素分圧差を水素透過の駆動力とするパラジウム−銀合金膜よりも、水素を大量生産することが容易となる。逆に、パラジウム−銀合金膜を用いる上述の実施形態では電源11が不要であるため、本実施形態と比べて省エネルギーといえる。
【0061】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、二酸化炭素分離膜5が備えられる反応器は、必ずしも炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて水素と二酸化炭素を生成するものには限られない。二酸化炭素を生成する反応場が形成され、且つ当該反応場の温度域で二酸化炭素分離膜5が作動可能であれば、そのような反応器に上述した二酸化炭素分離膜5を設けるようにしても良い。また、反応器での反応が水素を生成しないものである場合、または二酸化炭素が主たる製造目的の物質である場合、水素分離手段3は設けなくても良い。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の水素と二酸化炭素の製造装置および請求項6記載の水素と二酸化炭素の製造方法によれば、反応器から水素を分離すると同時に二酸化炭素も分離できるので、水素だけを分離する場合よりも、水素の生成反応を速やかに進行させることができる。また、反応器内に二酸化炭素が残留しないため、折角製造した水素を二酸化炭素と一緒に反応器から排出する必要が無い。従って、より多くの水素を効率的に得ることができる。
【0063】
さらに、請求項2記載の水素と二酸化炭素の製造装置および請求項7記載の二酸化炭素の製造装置および請求項8記載の二酸化炭素の分離方法によれば、二酸化炭素分離膜が数式5の反応場のような高温で機能するので、反応器内の混合ガスを冷却する工程は不要となる。さらに、この二酸化炭素分離膜では、二酸化炭素の吸収と放出が連続的に行なわれるので、吸収剤などの再生工程は不要である。従って、多くのエネルギーが消費される冷却工程や再生工程が不要となり、エネルギー効率を大幅に向上させることができる。また、原理としては、二酸化炭素しか二酸化炭素分離膜を透過できないため、純度の高い二酸化炭素が回収できる。二酸化炭素の回収により、地球温暖化防止にも寄与できる。
【0064】
さらに、請求項3記載の水素と二酸化炭素の製造装置によれば、二酸化炭素分離膜の材料に、アルカリ金属系炭酸塩をドープするようにしているので、二酸化炭素分離膜の作動温度域を、例えば反応器内の触媒や水素分離膜の作動温度域と合わせるように、調整することができる。
【0065】
さらに、請求項4記載の水素と二酸化炭素の製造装置によれば、パラジウム−銀合金膜により、高純度の水素ガスを得ることができる。また、反応器内の混合ガスから二酸化炭素が分離されるため、水素だけを分離する場合よりも反応器内の水素分圧を高くでき、水素分圧差を水素透過の駆動力とするパラジウム−銀合金膜の水素透過速度を速くできる効果も得られる。また、水素分離のための電源は不要であるため省エネルギーとなる。
【0066】
さらに、請求項5記載の水素と二酸化炭素の製造装置によれば、通電する電流の大きさや通電時間によって水素分離手段を透過する水素透過量を制御することができ、水素を大量生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る二酸化炭素分離の原理を示す概念図である。
【図2】LiZrOのCO吸収および放出特性を示すグラフであり、横軸は温度[℃]を、縦軸はCO吸収によるLiZrOの重量変化率(100×(横軸の各温度で測定した重量−測定前の初期重量)/(測定前の初期重量)[%])を示す。
【図3】(A)はLiCOとKCOの相図を示し、(B)はLiCOとKCOとNaCOの相図を示す。
【図4】本発明の水素と二酸化炭素の製造装置の実施の一形態を示す概略構成図である。
【図5】本発明の水素と二酸化炭素の製造装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 水素製造装置(水素と二酸化炭素の製造装置)
2 反応器
3 水素分離膜(水素分離手段)
4 水素分離室
5 二酸化炭素分離膜(二酸化炭素分離手段)
6 二酸化炭素分離室
8 カソード
9 アノード
10 電解質
11 電源

Claims (8)

  1. 炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて主として水素と二酸化炭素を生成する反応器に、前記反応器と隔てて設けられる二酸化炭素分離室へ二酸化炭素を選択的に移動させる二酸化炭素分離膜を備えたことを特徴とする水素と二酸化炭素の製造装置。
  2. 前記二酸化炭素分離膜の材料に、アルカリ金属系複合酸化物ABO(Aは1種または複数種のアルカリ金属元素、Bは1種または複数種のチタン族元素)またはアルカリ金属系オルソシリケートの一方または双方を少なくとも用い、前記二酸化炭素分離室の二酸化炭素分圧を前記反応器内の二酸化炭素分圧よりも低くなるようにしたことを特徴とする請求項1記載の水素と二酸化炭素の製造装置。
  3. 前記二酸化炭素分離膜の材料に、アルカリ金属系炭酸塩をドープしたことを特徴とする請求項2記載の水素と二酸化炭素の製造装置。
  4. 前記反応器と隔てて設けられる水素分離室へ水素を選択的に移動させる水素分離膜を前記反応器に更に備え、且つ前記水素分離膜の材料にパラジウムと銀の合金を用い、前記水素分離室の水素分圧を前記反応器内の水素分圧よりも低くなるようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水素と二酸化炭素の製造装置。
  5. 前記反応器と隔てて設けられる水素分離室へ水素を選択的に移動させる水素分離手段を前記反応器に更に備え、且つ前記水素分離手段は、前記反応器に備えられるカソードと、前記水素分離室に備えられるアノードと、前記カソードと前記アノードとを接続して水素イオンが移動する電解質としての溶融硫酸水素塩と、前記カソードと前記アノードに電気を供給する電源とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水素と二酸化炭素の製造装置。
  6. 炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて主として水素と二酸化炭素を生成する反応器に、前記反応器と隔てて設けられる二酸化炭素分離室へ二酸化炭素を選択的に移動させる二酸化炭素分離手段と、前記反応器と隔てて設けられる水素分離室へ水素を選択的に移動させる水素分離手段とを備え、前記反応器から水素と二酸化炭素を同時に且つ連続的に分離することを特徴とする水素と二酸化炭素の製造方法。
  7. 二酸化炭素が生成される反応器に、前記反応器と隔てて設けられる二酸化炭素分離室へ二酸化炭素を選択的に移動させる二酸化炭素分離膜を備え、且つ前記二酸化炭素分離膜の材料に、アルカリ金属系複合酸化物ABO(Aは1種または複数種のアルカリ金属元素、Bは1種または複数種のチタン族元素)またはアルカリ金属系オルソシリケートの一方または双方を少なくとも用い、前記二酸化炭素分離室の二酸化炭素分圧を前記反応器内の二酸化炭素分圧よりも低くなるようにしたことを特徴とする二酸化炭素の製造装置。
  8. 二酸化炭素が生成される反応器と二酸化炭素分離室とを、アルカリ金属系複合酸化物ABO(Aは1種または複数種のアルカリ金属元素、Bは1種または複数種のチタン族元素)またはアルカリ金属系オルソシリケートの一方または双方を少なくとも組成に有する二酸化炭素分離膜で仕切り、前記二酸化炭素分離室の二酸化炭素分圧を前記反応器内の二酸化炭素分圧よりも低くなるようにし、前記二酸化炭素分離膜の前記反応器側で二酸化炭素を吸収させ、当該吸収した二酸化炭素を前記二酸化炭素分離室側で放出するようにしたことを特徴とする二酸化炭素の分離方法。
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