JP2004306550A - 筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク収納管内圧が外圧より相対的に高くなっている状況下でも、インクよりも空気が優先して排出されるように構成することで、インクの漏れ出し、吹き出しを減少させた筆記具を提供する。
【解決手段】筆記先端15と、前記筆記先端15に供給される低粘度で水性のインクを内部に収納したインク収納管20とを備えた筆記具10であって、前記インク収納管20の内部には、該インク収納管20を前後に二分割して前方インク収納部21及び後方インク収納部22とする仕切部30が設けられ、前記仕切部30には、前記前方インク収納部21と前記後方インク収納部22との間でインク及び空気の流通が可能な開口部である第1流通孔40及び第2流通孔45が設けられ、前記第1流通孔40には、前記筆記先端15が上向きの状態で同第1流通孔40を開放するとともに、同筆記先端15が下向きの状態で同第1流通孔40を閉鎖する弁手段50が設けられている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記先端を有する筆記具に関するものである。特に、航空機内など、温度変化や圧力変化が想定される状況での使用に適する筆記具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、いわゆる直液式筆記具というものが知られている。この直液式筆記具は、低粘度の水性インクを、繊維性のインク吸蔵体などに含浸させず、インク収納管に直接収納したものである。インクの粘度が低粘度であるため、大きな筆圧をかけないでも筆記先端からインクが吐出され、また、インクを完全に消費するまでインク吐出量も安定しているなどの特徴を有している。この直液式筆記具は、インク吐出量が油性ボールペンなどと比較して多いため、インクの搭載量が多くなっており、通常は1〜3cm程度搭載されている。インクを消費していくと、インク収納管の内部圧力が負圧となってしまい、筆記不能となってしまうことから、インク収納管内部に空気を流入させ圧力が極端な負圧にならないようにコントロールしている。
【0003】
直液式筆記具の欠点として、温度変化や圧力変化によるインクの漏れ出し、吹き出しなどが知られている。上述のとおり、直液式筆記具のインク収納管の内部には、筆記による空気の流入により空気が存在することになるが、筆記具周辺の温度変化や圧力変化によりこの空気が膨張し、その結果、この膨張した空気がインク収納管内部のインクを外部に押し出してしまうという現象が見られる。押し出されたインクは、筆記先端から液滴となって漏れ出したり、空気口から吹き出したりし、最悪の場合、衣服などを汚損してしまうという問題が発生する。
【0004】
この問題を防止するため、弁体を筆記先端付近に設け筆記時のみこの弁体を解放させるものや、複数枚の板状部材が軸方向に平行に配され、該板状部材間にインクを保留するインク保溜体を設けたものが知られている。
しかし、前者の弁体を設けたとしてもインク収納管内部の圧力が外部に対して相対的に高まった状態で弁体を解放してしまうと、筆記先端からインクが漏れ出してしまうという欠点を依然として有している。
【0005】
また、後者のインク保溜体を設けた場合には、最大の空気膨張量を計算してインク保溜体を設計してあるのが通常であるが、インク保溜体のインクがインク収納管に完全に戻らずに、インク保溜体にインクが次第に蓄積されてしまうという現象もみられる。この現象は、例えばいわゆるポンピング現象によって発生する。ポンピング現象とは、キャップの抜き差しによって、インク収納管内の内圧に影響を与える結果、インクがインク保溜体に蓄積してしまう現象をいう。インク保溜体にインクが蓄積されていくと、圧力変化などによるインク収納管内部の空気膨張があった場合に、この空気膨張により外部へ漏れだそうとするインクを十分に保留できず、外部にインクが漏れ出してしまう、という現象がみられる。
【0006】
また、大気圧の状態でキャップをし、その後、航空機に搭乗し航空機内の減圧された状態でキャップをとった場合のように、急激にインク収納管内部の空気の膨張があった場合、膨張した空気により押し出されるインクは、インク保溜体に十分に保留されず、一気に噴流となってペン先や空気口などから漏れ出すという問題も見られる。
【0007】
上記の漏れ出し、吹き出しの問題を解決するために、下記の特許文献1及び特許文献2のような先行技術が存在する。
下記特許文献1では、いわゆるコレクター式筆記具と称されるものが開示されている。更に、インクタンクの内部に短繊維や長繊維などの中綿をインク収納管の内部に収納し、この中綿によりインク収納管内部の空気の膨張空間を減少させ、インクの吹き出し、漏れ出しを現象させようとするものである。
【0008】
下記特許文献2では、中綿(インク吸蔵体)に加えシュノーケルを設けてある。シュノーケルが設けられているために、インク収納管内部に膨張空気をインクよりも先に筆記具外部に排出させ、インクの漏れ出し、吹き出しをより効果的に防止しようとするものである。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−314489号公報
【特許文献2】
特開2001―171283号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の先行技術では、確かにインクの漏れ出し、吹き出しを減少させることができる。しかし、中綿に含浸されたインクの残量を明確に把握できないという問題を有している。更に、中綿の毛細管力を適切に設定しないと、中綿がインクを保持するようになってしまうため、中綿から筆記先端にインクが十分供給されず、筆記不良を引き起こす可能性も有している。
【0011】
また、上記特許文献2に記載の先行技術では、中綿が存在するために、上記と同様の問題、即ちインク残量を明確に把握できない、筆記不良を引き起こす可能性がある、などの問題が存在する。また、形状も複雑であり、部品点数もやや多く組立やコストの面でより簡易なものが望まれる。
上記の問題点、不具合に鑑み、本発明は、インク収納管内圧が外圧より相対的に高くなっている状況下でも、インク収納管の空気が排出されるように構成することで、インクの漏れ出し、吹き出しを減少させた筆記具を提供することを第1の課題とする。
【0012】
また、本発明は、上記第1の課題に加え、筆記先端を上向きから下向きに転じた場合でもインク収納管の先端寄りに空気が滞留している可能性を増すことで、空気の排出の可能性をより高めることを第2の課題とする。
また、本発明は、上記第1又は第2の課題に加え、筆記先端を上向きから下向きに転じた場合の空気の移動速度を、筆記先端を下向きから上向きに転じた場合のそれよりも遅延させることで、空気の排出の可能性をより高めることを第3の課題とする。
【0013】
さらに、本発明は、上記第1、第2又は第3の課題に加え、漏れ出したり吹き出したりしようとしているインクを保留する手段を設けることで、インクの漏れ出し、吹き出しの可能性をさらに減少させることを第4の課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
(1)第1の発明
上記第1の課題を解決するために、本発明のうちの第1の発明は、筆記先端15と、前記筆記先端15に供給される低粘度で水性のインクを内部に収納したインク収納管20とを備えた筆記具10であって、前記インク収納管20の内部には、該インク収納管20を前後に二分割して前方インク収納部21及び後方インク収納部22とする仕切部30が設けられ、前記仕切部30には、前記前方インク収納部21と前記後方インク収納部22との間でインク及び空気の流通が可能な開口部である第1流通孔40及び第2流通孔45が設けられ、前記第1流通孔40には、前記筆記先端15が上向きの状態で同第1流通孔40を開放するとともに、同筆記先端15が下向きの状態で同第1流通孔40を閉鎖する弁手段50が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明で使用される「低粘度で水性のインク」とは、水性インクのうち、筆記具10の上下転換により、インク収納管20内圧を速やかに移動可能な程度の粘度を有するものをいう。この程度の粘度であれば、具体的な数値は特に限定する必要はないが、2〜100mPa・sであることが望ましい。
本発明における「筆記先端15」の種類は、特に限定されない。例えば、ボールペン先、サインペンのような繊維状ペン先、細管式筆記具の細管、などをこの筆記先端15とすることができる。
【0016】
また、ここでいう「前方」とは、筆記具10において筆記先端15が位置する方の側をいい、「後方」とはその反対側をいう。
「仕切部30」の具体例としては、たとえば、インク収納管20を前後に仕切る板状の部材が考えられる。この仕切部30には、その前後を交通する開口部が少なくとも2個所に設けられ、そのうちの1つが「第1流通孔40」であり、また他の1つが「第2流通孔45」である。第1流通孔40には、これを通したインク及び空気の流通を調節するための「弁手段50」が設けられる。一方、第2流通孔45には、このような手段は設けられない。言い換えると、第1流通孔40とは、弁手段50による閉鎖が可能な孔をいい、一方、第2流通孔45とは、弁手段50による閉鎖が不可能な孔をいう。
【0017】
「弁手段50」の作動は、これを構成する部材の自重による落下運動又は回動運動などによりなされることが望ましい。
上記弁手段50は、筆記先端15が下向きの状態で第1流通孔40を閉鎖するが、この閉鎖とは、インク及び空気の流通を完璧に遮断することまでは要しない。
上記構成により、本発明は以下のように作用する。
【0018】
インク収納管20は、仕切部30により前方インク収納部21及び後方インク収納部22に二分割されている。この仕切部30に設けられた第1流通孔40及び第2流通孔45を通じて、前方インク収納部21と後方インク収納部22との間でインク及び空気が流通可能である。また、第1流通孔40には、弁手段50が設けられている。
筆記先端15を下向きから上向きに転じた状態では、弁手段50の作動により、第1流通孔40が開放することとなる。この状態では、前方インク収納部21に存在していたインクは第1流通孔40及び第2流通孔45を通じて、下方に位置する後方インク収納部22へ移動する。同時に、後方インク収納部22に存在していた空気は第1流通孔40及び第2流通孔45を通じて、上方に位置する前方インク収納部21へ移動する。すなわち、第1流通孔40と第2流通孔45との両方が開放していることにより、インクと空気との位置転換は速やかに行われることとなる。
【0019】
一方、筆記先端15を上向きから下向きに転じた状態では、弁手段50の作動により、第2流通孔45が閉鎖することとなる。この状態では、後方インク収納部22に存在していたインクは第2流通孔45を通じて、下方に位置する前方インク収納部21へ移動する。この移動の速度、すなわち、インク収納管20内部におけるインクと空気との位置転換の速度は、筆記先端15を下向きから上向きに転じる場合よりも遅くなる。したがって、たとえば、インク収納管20の内圧が外圧に比べ高くなっていた環境下で、筆記先端15を上向きから下向きへ転じつつ筆記具10のキャップ11を外した場合であっても、前方インク収納部21に空気が存在する可能性が高くなり、それによりこの空気を排出できる可能性が高まり、結果としてインクが筆記先端15から噴出する可能性を減少させることができる。
【0020】
上記により、インク収納管20内圧が外圧より相対的に高くなっている状況下でも、インク収納管20の空気が排出されるように構成することで、インクの漏れ出し、吹き出しを減少させた筆記具10を提供することが可能となっている。
(2)第2の発明
前記第2の課題を解決するために、本発明のうちの第2の発明は、前記前方インク収納部21のインク収納体積は、後方インク収納部22のインク収納体積よりも小さいことを特徴とする。
【0021】
こうすることで、筆記先端15が上向きの状態において後方インク収納部22により多くのインクを蓄えることができるとともに、前方インク収納部21に占める空気の割合を高めることができる。また、筆記先端15が上向きの状態から筆記先端15を下向きに転じた瞬間には、前方インク収納部21内にはより多くの空気を蓄えておくことができる。したがって、インク収納管20内圧が外圧より相対的に高い状態において、筆記先端15を下向きに転じつつキャップ11が外された場合、この前方インク収納部21に位置している空気を外部へ排出することができる。
【0022】
上記により、筆記先15を上向きから下向きに転じた場合でもインク収納管20の先端寄りに空気が滞留している可能性を増すことで、空気の排出の可能性をより高めることが可能となっている。
(3)第3の発明
前記第3の課題を解決するために、本発明のうちの第3の発明は、前記第1又は第2の発明の特徴に加え、前記第1流通孔40の大きさは、前記第2流通孔45の大きさよりも大きいことを特徴とする。
【0023】
第1流通孔40の大きさが第2流通孔45の大きさよりも大きい場合には、その逆の場合に比べ、筆記先端15を下向きから上向きへ転じた際の空気の移動速度と、上向きから下向きへ転じた際の空気の移動速度との差をより大きくすることができる。すなわち、上向きから下向きへ転じた際に、弁手段50により大きさのより大きい第1流通光40が閉鎖されることで、後方インク収納部22から前方インク収納部21へのインクの移動が十分に規制されることとなる。
【0024】
上記構成により、筆記先端を上向きから下向きに転じた場合の空気の移動速度を、筆記先端を下向きから上向きに転じた場合のそれよりも遅延させることで、空気の排出の可能性をより高めることとなっている。
(4)第4の発明
前記第4の課題を解決するために、本発明のうちの第4の発明は、前記第1、第2又は第3の発明の特徴に加え、前記筆記先端15と前記インク収納管20との間に、複数枚の板状部材61が軸方向に平行に配され、同板状部材61間にインクを保留可能なインク保溜体60が設けられたことを特徴とする。
【0025】
インクの漏れ出しや吹き出しを抑制する手段には、例えば、筆記先端15近傍にバルブを設けたり、インク保溜体60を設けたりする手段がある。また、インク保溜体60には、複数枚の板状部材61が軸方向に平行に配され、該板状部材61間にインクを保留するタイプや、スポンジ状部材で形成され該スポンジ内インクを保留するタイプがある。これらインクの漏れ出しや吹き出しを抑制する手段のうちでも複数枚の板状部材61が軸方向に平行に配され、該板状部材61間にインクを保留するタイプのものが安定してインクを吐出可能であり、このため、このような板状部材61を用いたものを用いることが望ましい。
【0026】
上記により、漏れ出したり吹き出したりしようとしているインクを保留する手段を設けることで、インクの漏れ出し、吹き出しの可能性がさらに減少することとなっている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
(1)第1の実施の形態
図1から図4までは、本発明の第1の実施の形態を示したものである。なお、図1は、本実施の形態に係る筆記具10の全体を縦断面図で示したものである。図2及び図3は、本実施の形態に係る筆記具10の要部を縦断面図で示したものである。図4は、図2のA−A断面図を示したものである。
【0028】
第1の実施の形態に係る筆記具10は、図1に示すように、ボールペンとして形成されている。この筆記具10は、インク70を収納するインク収納管20と、このインク収納管20内部の先端側に位置するインク保溜体60と、このインク保溜体60の軸心部に位置し、筆記先端15としてのボールペンチップへ毛細管力によりインク70を誘導するインク誘導芯62とを備える。インク保溜体60は、複数枚の板状部材61が軸方向に平行に配された形状を呈している。そして、この板状部材61間にインク70を保留することが可能となっている。また、このインク保溜体60を通じて、外界の空気75がインク収納管20内に流入することが可能となっている。さらに、インク収容管20の先端側には、クリップ12を備えたキャップ11が着脱可能に装着される。
【0029】
インク収納管20内部には、仕切部30が装着されている。この仕切部30によりインク収納管20内部は前方インク収納部21と後方インク収納部22とに分割されている。後方インク収納部22の容積は、前方インク収納部21の容積より大きくなるように、この仕切部30は装着される。
仕切部30には、図2から図4までに示すように、筆記具10軸心部に位置する第1流通孔40と、辺縁部に位置する第2流通孔45との、2個の開口部が設けられている。第1流通孔40内側面には、図4に示すように、円周を四等分する位置から中心方向へ向かうストッパー突起41が突設されている。
【0030】
また、第1流通孔40には、図2及び図3に示すように、弁手段50が装着されている。弁手段50は、以下の部材から構成される。第1の部材は、第1流通孔40の直径より大径の円盤状部材で、第1流通孔40の後方に位置する後方部材51である。第2の部材は、第1流通孔40の直径より小径で、かつ、前記4個のストッパー突起41の内接円の直径よりは大径の円盤状部材で、第1流通孔40の前方に位置する前方部材52である。第3の部材は、前方部材52より小径の円柱状部材で、前方部材52及び後方部材51を軸心同一に連結する中間部材53である。
【0031】
図2では、筆記先端15が上向きの状態を示している。この状態では、弁手段50は自重により下方へ移動するが、前方部材52がストッパー突起41に引っかかることで、それ以上の落下が阻止される。この状態では、第1流通孔40は開放状態を保っている。たとえば、筆記先端15を下向きにした状態からこの図2の状態へ転じた場合には、前方インク収納部21にあったインク70の大部分は、開放した第1流通孔40及び第2流通孔45の両方を通り後方インク収納部22に移動する。同時に、後方インク収納部22にあった空気75は第1流通孔40及び第2流通孔45の両方を通り前方インク収納部21に移動する。
【0032】
この図2に示す状態で、キャップ11が取り外されている場合には、外部環境の減圧又は温度上昇などによりインク収納管20の内部の空気75が膨張したとしても、上方に位置している空気75が排出されるのみで、インク70の吹き出しや漏れ出しは発生しない。
図3では、筆記先端15が下向きの状態を示している。この状態では、弁手段50は自重により下方へ移動するが、後方部材51が仕切部30後面に引っかかることで、それ以上の落下が阻止される。この状態では、第1流通孔40は弁手段50の後方部材51により閉鎖されることとなる。たとえば、図2の状態から筆記先端15を反転してこの図3の状態へ転じた直後では、第1流通孔40は閉鎖している。このためこの第1流通孔40を通じたインク70及び空気75の流通はほとんどない。したがって、前方インク収納部21にあった空気75は、第2流通孔45を通じて後方インク収納部22へ移動する。
【0033】
インク70も第2流通孔45を通じて前方インク収納部21へ移動するものの、この移動の速度は、下向きから上向きへ転じた場合には及ばない。すなわち、前方インク収納部21にインク70が移動しきるにはある程度の時間を要する。この間に外部環境の減圧又は温度上昇などによりインク収納管20の内部の空気75が膨張したとしても、前方インク収納部21に残っている空気75を排出することができる。よって、このような仕切部30を備えない筆記具10に比べ、インク70の漏れ出し、吹き出しを抑えることが可能となっている。
【0034】
たとえば、本実施の形態に係る筆記具10を用いて、常温常圧の状態である程度筆記をしてからキャップ11を装着したとすると、インク収納管20の内圧は、ほぼ大気圧の状態で保たれると考えられる。この状態で、筆記先端15を上向きにして胸ポケットなどにクリップ12で止めてから、使用者が航空機に搭乗した場合を想定する。
【0035】
離陸後、安定飛行に入った状態では、筆記具10の外部環境は、インク収納管20の内圧に対し負圧となっていると考えられる。この場合、図2に示すように筆記先端15を上向きにした状態でキャップ11を外したとしても、前方インク収納部21にある空気75が排出されるため、インク70の漏れ出しや吹き出しは生じない。
また、図3に示すように、筆記先端15を下向きに転じつつ、又は、下向きに転じた直後にキャップ11を外した場合であっても、インク70の前方インク収納部21への移動が規制され、インクのみではなく、前方インク収納部21の空気75も排出されるため、インク70の漏れ出しや吹き出しの可能性は低い。
【0036】
(2)第2の実施の形態
図5から図7までは、本発明の第2の実施の形態を模式的に示したものである。なお、図5及び図6は、本実施の形態に係る筆記具の要部を縦断面図で示したものである。図7は、図5のB−B断面図を示したものである。
第2の実施の形態においては、仕切部30及び弁手段50の構造のみが、前記第1の実施の形態と異なることとなっている。すなわち、仕切部30に設けられる第1流通孔40は、後方から前方にかけて縮径する漏斗状に形成されている(図5及び6参照)。そして、第1流通孔40の後端には、中心方向へ突出する2個の舌片43を備えたストッパーリング42が装着されている(図7参照)。また、第1流通孔40の内部には、ストッパーリング42の舌片43部分を除いた部分の直径よりは小径で、かつ、第1流通孔40の先端側内径よりは大径の球形に形成された弁手段50が設けられている。
【0037】
そして、筆記先端15を上向きにした場合には、図5に示すように、弁手段50は下方へ移動するものの、ストッパーリング42の舌片43に引っかかりそれ以上の落下は阻止される。この状態では、ストッパーリング42と弁手段50との間には間隙が存在するため、この間隙を通じたインク70及び空気75の流通は十分可能となっている。
【0038】
一方、筆記先端15を下向きにした場合には、図6に示すように、弁手段50は下方へ移動し、漏斗状の第1流通孔40を塞栓することとなる。これにより、第1流通孔40を通じたインク70及び空気75の流通は困難となる。
上記構成により、本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を生ずることとなる。
【0039】
(3)第3の実施の形態
図8及び図9は、本発明の第3の実施の形態を模式的に示したものである。なお、図8及び図9は、本実施の形態に係る筆記具の要部を縦断面図で示したものである。
第3の実施の形態では、仕切部30及び弁手段50の構造のみが、前記第1の実施の形態と異なることとなっている。すなわち、仕切部30に設けられる第1流通孔40は、単純な円形の孔として形成される。また、弁手段50は、仕切部30後面に接して設けられる軸受け部54と、この軸受けに支持される回動軸55と、この回動軸55により回動可能な回動板56とにより構成されている。この回動板56は、第1流通孔40を塞ぐに十分な大きさを有している。
【0040】
そして、筆記先端15を上向きにした場合には、図8に示すように、回動板56は回動軸55を中心に下方へ回動し、第1流通孔40は開放状態となる。よって、この第1流通孔40を通じたインク70及び空気75の流通は可能となっている。
一方、筆記先端15を下向きにした場合には、図9に示すように、回動板56は回動軸55を中心に下方へ回動し、第1流通孔40を塞ぐ。これにより、第1流通孔40を通じたインク70及び空気75の流通は困難となる。
【0041】
上記構成により、本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を生ずることとなる。
(4)第4の実施の形態
図10から図12までは、本発明の第4の実施の形態を模式的に示したものである。なお、図10及び図11は、本実施の形態に係る筆記具の要部を縦断面図で示したものである。図12は、図10のC−C断面図を示したものである。
【0042】
第4の実施の形態においては、弁手段50の構造は前記第1の実施の形態と同様であるが、第1流通孔40及び第2流通孔45の構造が異なる。すなわち、第2流通孔45が、第1流通孔40と融合している。
すなわち、仕切部には、図10から図12までに示すように、筆記具10軸心部に位置する第1流通孔40が設けられている。この第1流通孔40の一部が周方向へ膨らんでおり、この部分が第2流通孔45として機能することとなっている。
【0043】
第1流通孔40内側面には、図12に示すように、3方から軸心方向へ向かうストッパー突起41が突設されている。
弁手段50は、前記第1の実施の形態と同様、後方部材51、中間部材53及び前方部材52により構成されている。
図10では、筆記先端15が上向きの状態を示している。この状態では、弁手段50は自重により下方へ移動するが、前方部材52がストッパー突起41に引っかかることで、それ以上の落下が阻止される。この状態では、第1流通孔40は開放状態を保っている。たとえば、筆記先端15を下向きにした状態からこの図2の状態へ転じた場合には、前方インク収納部21にあったインク70の大部分は、開放した第1流通孔40及びその側方の第2流通孔45の両方を通り後方インク収納部22に移動する。同時に、後方インク収納部22にあった空気75は第1流通孔40及びその側方の第2流通孔45の両方を通り前方インク収納部21に移動する。
【0044】
この図10に示す状態で、キャップ11が取り外されている場合には、外部環境の減圧又は温度上昇などによりインク収納管20の内部の空気75が膨張したとしても、上方に位置している空気75が排出されるのみで、インク70の吹き出しや漏れ出しは発生しない。
図11では、筆記先端15が下向きの状態を示している。この状態では、弁手段50は自重により下方へ移動するが、後方部材51が仕切部30後面に引っかかることで、それ以上の落下が阻止される。この状態では、第1流通孔40は弁手段50の後方部材51により閉鎖されることとなる。たとえば、図10の状態から筆記先端15を反転してこの図11の状態へ転じた直後では、第1流通孔40は閉鎖している。このためこの第1流通孔40を通じたインク70及び空気75の流通はほとんどない。したがって、前方インク収納部21にあった空気75は、断面三日月状の第2流通孔45(図12参照)を通じて後方インク収納部22へ移動する。
【0045】
インク70も第2流通孔45を通じて前方インク収納部21へ移動するものの、この移動の速度は、下向きから上向きへ転じた場合には及ばない。すなわち、前方インク収納部21にインク70が移動しきるにはある程度の時間を要する。この間に外部環境の減圧又は温度上昇などによりインク収納管20の内部の空気75が膨張したとしても、前方インク収納部21に残っている空気75を排出することができる。よって、このような仕切部30を備えない筆記具10に比べ、インク70の漏れ出し、吹き出しを抑えることが可能となっている。
【0046】
上記構成により、本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を生ずることとなる。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成されているので、以下に記す効果を奏する。
すなわち、本発明のうち第1の発明によると、インク収納管内圧が外圧より相対的に高くなっている状況下でも、インクよりも空気が優先して排出されるように筆記具が構成されることで、インクの漏れ出し、吹き出しを減少させることが可能となる。
【0048】
また、本発明のうち第2の発明によると、上記第1の発明の効果に加え、筆記先端を上向きから下向きに転じた場合でもインク収納管の先端寄りに空気が滞留している可能性を増すことで、空気の排出の可能性をより高めることが可能となる。
また、本発明のうち第3の発明によると、上記第1又は第2の発明の効果に加え、筆記先端を上向きから下向きに転じた場合の空気の移動速度を、筆記先端を下向きから上向きに転じた場合のそれよりも遅延させることで、空気の排出の可能性をより高めることとなる。
【0049】
さらに、本発明のうち第4の発明によると、上記第1、第2又は第3の発明の効果に加え、漏れ出したり吹き出したりしようとしているインクを保留する手段を設けることで、インクの漏れ出し、吹き出しの可能性をさらに減少させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る筆記具の全体を縦断面図で示したものである。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る筆記具の要部を、筆記先端を上向きにした状態で縦断面図で示したものである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る筆記具の要部を、筆記先端を下向きにした状態で縦断面図で示したものである。
【図4】図2のA−A断面図を示したものである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る筆記具の要部を、筆記先端を上向きにした状態で縦断面図で示したものである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る筆記具の要部を、筆記先端を下向きにした状態で縦断面図で示したものである。
【図7】図5のB−B断面図を示したものである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る筆記具の要部を、筆記先端を上向きにした状態で縦断面図で示したものである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る筆記具の要部を、筆記先端を下向きにした状態で縦断面図で示したものである。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る筆記具の要部を、筆記先端を上向きにした状態で縦断面図で示したものである。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る筆記具の要部を、筆記先端を下向きにした状態で縦断面図で示したものである。
【図12】図10のC−C断面図を示したものである。
【符号の説明】
10 筆記具 11 キャップ
12 クリップ 15 筆記先端
20 インク収納管 21 前方インク収納部
22 後方インク収納部 30 仕切部
40 第1流通孔 41 ストッパー突起
42 ストッパーリング 43 舌片
45 第2流通孔
50 弁手段 51 後方部材
52 前方部材 53 中間部材
54 軸受け部 55 回動軸
56 回動板
60 インク保溜体 61 板状部材
62 インク誘導芯
70 インク 75 空気

Claims (4)

  1. 筆記先端と、前記筆記先端に供給される低粘度で水性のインクを内部に収納したインク収納管とを備えた筆記具であって、
    前記インク収納管の内部には、該インク収納管を前後に二分割して前方インク収納部及び後方インク収納部とする仕切部が設けられ、
    前記仕切部には、前記前方インク収納部と前記後方インク収納部との間でインク及び空気の流通が可能な開口部である第1流通孔及び第2流通孔が設けられ、
    前記第1流通孔には、前記筆記先端が上向きの状態で同第1流通孔を開放するとともに、同筆記先端が下向きの状態で同第1流通孔を閉鎖する弁手段が設けられていることを特徴とする筆記具。
  2. 前記前方インク収納部のインク収納体積は、後方インク収納部のインク収納体積よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の筆記具。
  3. 前記第1流通孔の大きさは、前記第2流通孔の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具。
  4. 前記筆記先端と前記インク収納管との間に、複数枚の板状部材が軸方向に平行に配され、同板状部材間にインクを保留可能なインク保溜体が設けられたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の筆記具。
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