JP2004306136A - セラミック素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スルーホールを介してセラミック層の一端面側と他端面側との間の電気的な接続が確実になされたセラミック素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 チタン酸ジルコン酸鉛を含むグリーンシート34に対し、YAGレーザの第3次高調波をQスイッチングにより繰り返し発振させたレーザ光Lを照射する。これにより、グリーンシート34におけるレーザ光Lの照射部位を溶融・蒸発させてスルーホール13を形成することができ、しかも、スルーホール13周辺への飛散物の堆積を防止することができる。このように、飛散物によるスルーホール13の目詰まりが防止されるため、スルーホール13内に対し導電ペーストの充填スクリーン印刷を行うことで、スルーホール13内に導電部材を確実に形成することが可能となる。
【選択図】 図8

Description

本発明は、積層型圧電素子や圧電センサ、積層型コンデンサ等のセラミック素子の製造方法に関し、より詳細には、スルーホールを介してセラミック層の一端面側と他端面側との間の電気的な接続がなされたセラミック素子の製造方法に関する。
近年、セラミック素子の1つである積層型圧電素子の技術開発が盛んに行われている。この種の積層型圧電素子は、例えば、下記の特許文献1に開示されている。
この特許文献1記載の積層型圧電素子は、多数の個別電極をパターン形成した圧電体層と、コモン電極をパターン形成した圧電体層とを交互に積層し、積層型圧電素子の厚さ方向に整列した各個別電極を、圧電体層に形成したスルーホールを介して導電部材により接続したものである。このような積層型圧電素子においては、所定の個別電極とコモン電極との間に電圧を印加することで、圧電体層において当該所定の個別電極に対応する活性部(圧電効果により歪みが生じる部分)を選択的に変位させることができる。
特開2002−254634号公報
上述したような積層型圧電素子をはじめとするセラミック素子においては、素子自体の小型化や素子に形成される電極等の高集積化に伴い、セラミック層の一端面側と他端面側との間においてスルーホールを介した電気的な接続を確実に達成し得る技術が望まれていた。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スルーホールを介してセラミック層の一端面側と他端面側との間の電気的な接続が確実になされたセラミック素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るセラミック素子の製造方法は、セラミック層に形成されたスルーホールを介してセラミック層の一端面側と他端面側との間の電気的な接続がなされたセラミック素子の製造方法であって、鉛を含有する化合物を含み且つセラミック層となるセラミック素材に対してYAGレーザの第2次高調波又は第3次高調波のレーザ光を照射することで、セラミック素材にスルーホールを形成する工程を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るセラミック素子の製造方法は、セラミック層に形成されたスルーホールを介してセラミック層の一端面側と他端面側との間の電気的な接続がなされたセラミック素子の製造方法であって、粉体密度が5000kg/m以上で且つセラミック層となるセラミック素材に対し、YAGレーザの第2次高調波又は第3次高調波のレーザ光を照射することで、セラミック素材にスルーホールを形成する工程を備えることを特徴とする。
本発明者は、鉛を含有する化合物(チタン酸鉛やチタン酸ジルコン酸鉛等)を含むセラミック素材、又は粉体密度が5000kg/m以上のセラミック素材に対してYAGレーザの第2次高調波又は第3次高調波のレーザ光を照射することで、次のような良好なスルーホールを形成し得ることを見出した。すなわち、従来一般的であるCOレーザによるレーザ光照射を行うと、スルーホール周辺に飛散物が大量に堆積するのに対し、YAGレーザの第2次高調波又は第3次高調波のレーザ光照射を行うと、スルーホール周辺への飛散物の堆積をほとんど無くすことができる。これにより、飛散物によるスルーホールの目詰まりが防止されるため、例えば、スルーホール内に対し導電ペーストの充填スクリーン印刷を行うことで、スルーホール内に導電部材を確実に形成することが可能となる。したがって、セラミック層の一端面側と他端面側との間の電気的な接続を、スルーホールを介して確実に行うことができる。
ここで、セラミック素子とは、セラミック材料により形成されたセラミック層を有する素子を意味し、積層型圧電素子、圧電センサ、コンデンサ、インダクタ、トランス、及びフィルタ、並びにこれらを複合形成したもの等がある。
また、例えばレーザ光をQスイッチングにより繰り返し発振させるなど、レーザ光をパルス発振させることが好ましい。一般的に、レーザ光照射によってスルーホールを形成する場合、パルス発振(例えばQスイッチングによる繰り返しの発振)でない場合は、加工の管理が難しくスルーホールの形状がレーザ光入射面側に末広がりのテーパー状となり、また、加工により発生する飛散物が飛散せず加工屑となってスルーホール周辺に堆積する。しかしながら、例えばレーザ光をQスイッチングにより繰り返し発振させるなど、レーザ光をパルス発振させることにより、大きな尖頭出力を容易に得ることが可能となり、スルーホール形状がテーパー状に広がることや飛散物が堆積することを抑制することができる。これにより、例えば、セラミック素材の一端面側からレーザ光を照射してスルーホールを形成し、このスルーホールを含むように一端面に電極をパターン形成するような場合に、当該電極に対するスルーホールの相対的なサイズを小さくすることができる。したがって、電極をより微細化することが可能になり、ひいては、電極の高集積化或いはセラミック素子の小型化を図ることができる。
本発明によれば、スルーホールを介してセラミック素材の一端面側と他端面側との間の電気的な接続が確実になされたセラミック素子を製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。最初に、本実施形態に係るセラミック素子の製造方法によって製造されるセラミック素子について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るセラミック素子は積層型圧電素子1であり、この積層型圧電素子1は、個別電極2が形成された圧電体層(セラミック層)3と、コモン電極4が形成された圧電体層(セラミック層)5とを4枚ずつ交互に積層し、さらに、端子電極が形成される圧電体層7とベースとなる圧電体層9とで上下から挟み込むようにして構成されている。
なお、各圧電体層3,5,7,9は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とし且つ粉体密度が8000kg/mの圧電材料からなり、「10mm×30mm,厚さ30μm」の長方形薄板状に形成されている。また、個別電極2及びコモン電極4は、銀及びパラジウムを主成分とし、スクリーン印刷によりパターン形成されたものである。これは、以下に述べる各電極についても同様である。
各圧電体層3の上面には、多数の個別電極2がマトリックス状に配置されている。各個別電極2は、互いに所定の間隔がとられることで、電気的な独立が達成され、且つ互いの振動による影響が防止されている。そして、各個別電極2は、その外方側端部の直下において圧電体層3に形成されたスルーホール13内の導電部材に接続されている(最も下側の圧電体層3を除く)。
さらに、圧電体層3の上面の縁部には、上下に位置する圧電体層5のコモン電極4,4を電気的に接続するための中間電極6が形成されている。この中間電極6は、その直下において圧電体層3に形成されたスルーホール8内の導電部材に接続されている。
また、各圧電体層5の上面には、積層型圧電素子1の厚さ方向において圧電体層3の各個別電極2の外方側端部に対向するように中間電極16が形成されている(以下、「積層型圧電素子1の厚さ方向」、すなわち「圧電体層3,5の厚さ方向」を単に「厚さ方向」という)。各中間電極16は、その直下において圧電体層5に形成されたスルーホール13内の導電部材に接続されている。
さらに、圧電体層5の上面には、長方形状のコモン電極4が形成されている。このコモン電極4は、厚さ方向から見て、圧電体層3における各個別電極2の外方側端部以外の部分と重なるように、ベタ状に形成されている。なお、コモン電極4は、厚さ方向において圧電体層3の中間電極6に対向するよう圧電体層5に形成されたスルーホール8内の導電部材に接続されている。
また、最上層の圧電体層7の上面には、厚さ方向において圧電体層5の各中間電極16に対向するよう外部電極17が形成され、厚さ方向において圧電体層3の中間電極6に対向するよう外部電極18が形成されている。そして、各外部電極17は、その直下において圧電体層7に形成されたスルーホール13内の導電部材に接続され、外部電極18は、その直下において圧電体層7に形成されたスルーホール8内の導電部材に接続されている。また、最下層の圧電体層9の上面には、長方形状のコモン電極19が、圧電体層9の外周部から所定の間隔をとってベタ状に形成されている。
なお、最上層の各外部電極17,18は、駆動電源に電気的に接続するためのリード線を取り付けるべく銀の焼付電極が施され、積層型圧電素子1の端子電極として機能する。
以上のような電極パターンが形成された圧電体層3,5,7,9を積層することで、最上層の各外部電極17に対しては、厚さ方向において4つの個別電極2が中間電極16を介在させて整列し、整列した各電極2,16,17は、スルーホール13内の導電部材により電気的に接続されることになる。より詳細には、図2に示すように、厚さ方向において互いに隣り合う個別電極2,2は、中間電極16を介在させてスルーホール13内の導電部材14により電気的に接続されることになる。
一方、最上層の外部電極18に対しては、厚さ方向において4つのコモン電極4と最下層のコモン電極19とが中間電極6を介在させて整列し、整列した各電極4,6,18,19は、スルーホール8内の導電部材14により電気的に接続されることになる。
このような積層型圧電素子1における電気的接続により、所定の外部電極17と外部電極18との間に電圧を印加すると、所定の外部電極17下に整列する個別電極2とコモン電極4,19との間に電圧が印加されることになる。これにより、圧電体層3,5においては、図2に示すように、個別電極2の外方側端部以外の部分とコモン電極4,19とで挟まれる部分に電界が生じ、当該部分が活性部21として変位することになる。したがって、電圧を印加する外部電極17を選択することで、マトリックス状に配置された個別電極2に対応する活性部21のうち、選択した外部電極17下に整列する活性部21を厚さ方向に変位させることができる。このような積層型圧電素子1は、マイクロポンプの弁制御等、微小変位を必要とする種々の装置の駆動源に適用される。
次に、本実施形態に係るセラミック素子の製造方法として、上述した積層型圧電素子1の製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とし且つ粉体密度が8000kg/mの圧電材料に有機バインダ、有機溶剤等を混合してペーストを作製し、このペーストをタンク31内に貯留する。そして、キャリアフィルム(保持部材)32をリール33から他のリール33へと巻き取る間に、ドクターブレード法によって、圧電体層3,5,7,9となるグリーンシート(セラミック素材)34をキャリアフィルム32の上面に形成する(シート成形工程)。なお、キャリアフィルム32としては、厚さ54μm,幅100mmの透明PETフィルムを用いた。また、キャリアフィルム32の上面に形成されたグリーンシート34の厚さは40μmである。
シート成形工程の後、図4に示すように、グリーンシート34が形成されたキャリアフィルム32をリール33から他のリール33へと巻き取る間に、加熱炉36を用いてキャリアフィルム32及びグリーンシート34を加熱し、これらを強制収縮させる(熱処理工程)。これにより、次工程以降におけるキャリアフィルム32及びグリーンシート34の熱収縮を防止することができ、スルーホールの形成や電極のパターン形成を位置精度良く行うことが可能になる。
熱処理工程の後、図5に示すように、グリーンシート34が形成されたキャリアフィルム32をリール33から他のリール33へと巻き取りつつ、パンチング装置37を用いて位置基準穴を形成し、この位置基準穴を基準としてグリーンシート34の所定の位置にレーザ加工装置38を用いてスルーホール8,13(図示なし)を形成する(スルーホール形成工程)。なお、位置基準穴は、後の切断工程にて残材となるグリーンシート34の外縁部に形成したり、キャリアフィルム32の外縁部にグリーンシート34が形成されない余白部がある場合には当該余白部に形成したりすればよい。
スルーホール形成工程の後、図6に示すように、スクリーン印刷装置39を用いて、スルーホール8,13内に対してグリーンシート34の上面側から導電ペーストの充填スクリーン印刷を行う(第1の印刷工程)。続いて、スルーホール8,13内において導電ペーストを乾燥・固化させて導電部材14を形成すべく、キャリアフィルム32及びグリーンシート34を乾燥機に入れるが(第1の乾燥工程)、この第1の乾燥工程の前に、その乾燥温度より低い温度にてキャリアフィルム32及びグリーンシート34を所定時間加熱する(加熱工程)。この加熱により導電ペーストが軟化し、スルーホール8,13内の下端部まで導電ペーストが確実に行き渡る。
第1の乾燥工程の後、グリーンシート34上面の所定の位置に対し導電ペーストのスクリーン印刷を行う(第2の印刷工程)。続いて、キャリアフィルム32及びグリーンシート34を乾燥機に入れ、導電ペーストを乾燥・固化させて各電極2,4,17,19等を形成する(第2の乾燥工程)。なお、第1及び第2の印刷工程にて用いた導電ペーストは、所定比率の銀とパラジウムとからなる金属材料に有機バインダ、有機溶剤等を混合して作製した。
第2の乾燥工程の後、図7に示すように、ピックアップ装置41を用いてキャリアフィルム32から所定の長さのグリーンシート34aを剥離させ、上述した積層型圧電素子1と同じ積層順序となるようにグリーンシート34aを積層し、仮圧着する(積層工程)。
積層工程の後、加熱しながら積層方向にプレスすることで、各グリーンシート34aを熱圧着し、積層体グリーンを作製する。続いて、この積層体グリーンから所定の寸法の積層体グリーン素子を複数切り出し、切り出した積層体グリーン素子を脱脂・焼成した後、端子電極の形成・分極処理等を経て積層型圧電素子1を完成させる。
次に、上述したスルーホール形成工程について、さらに詳細に説明する。
図8に示すように、スルーホール形成工程においては、グリーンシート34が形成されたキャリアフィルム32が、リール33,33間に配置されたステージ43上に真空吸着される。ステージ43上にキャリアフィルム32及びグリーンシート34が吸着固定されると、レーザ加工装置38によって、グリーンシート34の所定の位置にレーザ光Lの集光点Pが合わせられ、グリーンシート34の上面側からレーザ光Lが照射される。
このとき、グリーンシート34に対する集光点Pの位置は、パンチング装置37により形成された複数の位置基準穴(位置基準部)をCCDカメラ(撮像手段)で撮像し、その画像データに基づいて位置基準穴に対する所定の位置に位置決めされる。
また、レーザ光Lは、Nd:YAGレーザの第3次高調波をパルス発振させたレーザ光(例えばQスイッチングにより繰り返し発振させたレーザ光)であり、繰り返し周波数30kHz,パルス幅210nsec,出力5Wの条件で照射される。そして、グリーンシート34にスルーホール13が形成され、且つ溶融等によりキャリアフィルム32に形成される穴が所定の深さ以下となるように、グリーンシート34の厚さや組成等に応じて、グリーンシート34の所定の位置に照射されるショット回数(すなわち、照射されるパルスの回数(Qスイッチングによる繰り返しの発振の場合、レーザ光Lの繰り返しの照射回数))が設定される。本実施形態では、厚さが40μmであって、(Pb0.97 Sr0.03)[Ti0.465 Zr0.535]O3を主成分とし、副成分としてNb2O5を主成分1モルに対して0.5質量%添加した組成を有するグリーンシート34に対し、ショット回数を30回に設定してレーザ光Lの照射を行った。
このようなレーザ光Lの照射によって、図9に示すように、グリーンシート34におけるレーザ光Lの照射部位が溶融・蒸発してスルーホール13が形成されるが、スルーホール13周辺への飛散物の堆積はほとんど無かった。したがって、飛散物によるスルーホール13の目詰まりが防止されるため、スルーホール13内に対し導電ペーストの充填スクリーン印刷を行うことで、スルーホール13内に導電部材14を確実に形成することが可能になる。
また、一般的に、レーザ光照射によってスルーホールの形成を行うと、スルーホールの形状はレーザ光入射面側に末広がりのテーパー状となるが、例えばレーザ光LをQスイッチングにより繰り返し発振させるなど、レーザ光Lをパルス発振させることで、スルーホールがテーパー状に広がるのを抑制することができる。本実施形態では、スルーホール13の下面側の径が40μmであるのに対して上面側の径が約50μmというように、スルーホール13の上面側での広がりが抑制された。
これにより、当該スルーホール13を含むように上面に形成される個別電極2をより細い形状とすることが可能になり、ひいては、個別電極2の高集積化或いは積層型圧電素子1の小型化を図ることができる。しかも、グリーンシート34の上面側からスルーホール13内に充填された導電ペーストが下面側に流動し易くなり、スルーホール13内の下端部まで導電ペーストを確実に行き渡らせることができる。
また、上述したようにショット回数を設定してレーザ光Lの照射を行うことで、図9に示すように、キャリアフィルム32が損傷するのを防止することができる。本実施形態では、キャリアフィルム32の損傷の深さは18μm以下に抑えられた。
これにより、スルーホール13内に充填された導電ペーストが、グリーンシート34とキャリアフィルム32との間からグリーンシート34の下面に滲み出すようなことを防止することができる。しかも、キャリアフィルム32の損傷が極めて小さいことから、スルーホール形成工程以降の他の工程において、キャリアフィルム32を確実に真空吸着することができ、また、この真空吸着によってキャリアフィルム32が破損し穴が空くというような事態を防止することができる。
そして、「10mm×30mm,厚さ30μm」の圧電体層3の上面に個別電極2が300個(4行75列)形成された積層型圧電素子1を作製し、その歩留まりを算出すると、次のような結果が得られた。すなわち、レーザ光照射によってキャリアフィルム32に貫通穴が空いた場合の歩留まりは20%未満であり、キャリアフィルム32の損傷の深さが18〜48μmの場合の歩留まりは50%程度であった。これらに対し、キャリアフィルム32の損傷の深さが0〜18μmの場合の歩留まりは90%を超えた。なお、140個の積層型圧電素子1を試験対象とし、個別電極2に対応する300箇所の静電容量がすべて正常に得られる場合のみを良品として歩留まりを算出した。
次に、上述したスルーホール形成工程におけるレーザ光照射と、他のレーザ光照射との比較結果について説明する。
図10に示すように、COレーザ(波長10.6μm)の場合には、レーザ光照射による飛散物がスルーホール周辺に大量に堆積してしまった。また、YAGレーザの基本波(波長1064nm)を連続(CW)発振させた場合には、スルーホールがレーザ光入射面側で大きく広がってしまった。さらに、YAGレーザの基本波(波長1064nm)をQスイッチングにより繰り返し発振させた場合には、熱影響が大きく、スルーホールの径制御が極めて困難であり、また、加工堆積物も多い状態であった。
これらに対し、YAGレーザの第3次高調波(波長355nm)をQスイッチングにより繰り返し発振させた場合(本実施形態)には、スルーホール周辺への飛散物の堆積はほとんど無く、スルーホールのレーザ光入射面側での広がりも抑制された。また、YAGレーザの第2次高調波(波長532nm)をQスイッチングにより繰り返し発振させた場合にも、YAGレーザの第3次高調波をパルス発振させた場合と同様の効果が得られた。以上の比較結果により、YAGレーザから発振されるレーザ光であって、その波長が532nm以下の波長に変換されたレーザ光が好ましいといえる。
以上説明したように、本実施形態に係るセラミック素子の製造方法によれば、スルーホール形成工程においてグリーンシート34に良好なスルーホール8,13を形成することができるため、スルーホール8,13内に導電部材14を確実に形成することが可能となる。これにより、例えば、各圧電体層3においては、上面側の個別電極2と下面側の中間電極16とをスルーホール13内の導電部材14によって確実に接続することができる。また、各圧電体層5においては、上面側のコモン電極4と下面側の個別電極2とをスルーホール8内の導電部材14によって確実に接続することができる。したがって、スルーホール8,13を介して圧電体層3,5の上面側と下面側との間の電気的な接続が確実になされた積層型圧電素子1を製造することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、粉体密度が5000kg/m以上のグリーンシート(セラミック素材)に対し、YAGレーザの第2次高調波又は第3次高調波のレーザ光を照射することで、グリーンシートにスルーホールを形成してもよい。
ここでは、組成が(Na0.25 K0.25 Bi0.5)[Ti0.97 In0.01 Nb0.02]O8で且つ粉体密度が5500kg/mの圧電材料からなるグリーンシートに対し、Nd:YAGレーザの第3次高調波をQスイッチングにより繰り返し発振させたレーザ光を照射して、スルーホールを形成した。このとき、レーザ光の照射条件は、繰り返し周波数30kHz,パルス幅210nsec,出力5W,ショット回数20回であった。そして、上記実施形態と同様の製造方法により、上記実施形態と同様の構成を有する積層型圧電素子を作製した(ただし、内部電極及び導電部材の材料には白金を用いた)。
このようにして作製した積層型圧電素子の歩留まりを算出すると、キャリアフィルムの損傷の深さが0〜18μmの場合の歩留まりは90%を超えた。また、Nd:YAGレーザの第2次高調波又は第3次高調波をQスイッチングにより繰り返し発振させたレーザ光を照射することでスルーホールを形成した場合には、スルーホール周辺への飛散物の堆積はほとんど無く、スルーホールのレーザ光入射面側での広がりも抑制され、当該スルーホールは所望の品質を満たす状態であった。
なお、粉体密度は、例えば、いわゆる気相置換法により測定される。すなわち、グリーンシート化するための塗料にする前のセラミックの微粉砕粉を測定対象とし、ボイルの法則により一定温度で気体(例えばHeガス)の体積及び圧力を変化させて、測定対象の体積を求める。そして、測定対象の体積を求めた後、重量を計量して測定対象の密度を求める。
本実施形態の積層型圧電素子の分解斜視図である。 図1に示す積層型圧電素子の長手方向に直交する方向から見た拡大断面図である。 本実施形態のシート成形工程を示す概念図である。 本実施形態の熱処理工程を示す概念図である。 本実施形態のスルーホール形成工程を示す概念図である。 本実施形態の第1の印刷工程を示す概念図である。 本実施形態の積層工程を示す概念図である。 本実施形態のスルーホール形成工程におけるレーザ光照射中の状態を示す概念図である。 本実施形態のスルーホール形成工程におけるレーザ光照射後の状態を示す概念図である。 レーザ光照射によるスルーホール形成状態の比較結果を示す図である。
符号の説明
1…積層型圧電素子(セラミック素子)、3,5…圧電体層(セラミック層)、8,13…スルーホール、34…グリーンシート(セラミック素材)、L…レーザ光。

Claims (5)

  1. セラミック層に形成されたスルーホールを介して前記セラミック層の一端面側と他端面側との間の電気的な接続がなされたセラミック素子の製造方法であって、
    鉛を含有する化合物を含み且つ前記セラミック層となるセラミック素材に対し、YAGレーザの第2次高調波又は第3次高調波のレーザ光を照射することで、前記セラミック素材にスルーホールを形成する工程を備えることを特徴とするセラミック素子の製造方法。
  2. セラミック層に形成されたスルーホールを介して前記セラミック層の一端面側と他端面側との間の電気的な接続がなされたセラミック素子の製造方法であって、
    粉体密度が5000kg/m以上で且つ前記セラミック層となるセラミック素材に対し、YAGレーザの第2次高調波又は第3次高調波のレーザ光を照射することで、前記セラミック素材にスルーホールを形成する工程を備えることを特徴とするセラミック素子の製造方法。
  3. 前記化合物はチタン酸ジルコン酸鉛であることを特徴とする請求項1記載のセラミック素子の製造方法。
  4. 前記レーザ光をパルス発振させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のセラミック素子の製造方法。
  5. 前記レーザ光をQスイッチングにより繰り返し発振させることを特徴とする請求項4記載のセラミック素子の製造方法。
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