JP2004304869A - インバータ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インバータ装置の共振負荷回路に注入する有効電力をより広範囲に調整する。
【解決手段】電力調整回路(23)の調整出力を受信して制御パルス信号(V)の周波数(f)を決定する周波数制御信号をPFM回路(42)により発生し、PFM回路(42)の周波数制御信号をPWM回路(24)に付与する。PWM回路(24)は、PFM回路(42)が決定した周波数(f)での制御パルス信号(V)の時比率(λ)を決定する。PFM回路(42)は、電力調整回路(23)の調整出力により最適の周波数出力を発生し、PWM回路(24)は、PFM回路(42)から発生する周波数出力のパルス幅を重畳して制御するので、PWM回路(24)とPFM回路(42)とを個別に制御する切替回路を必要とせず、回路構成を簡素化することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ装置、特に周波数とパルス幅とを重畳して制御した所望の高周波電力を共振負荷回路に供給するインバータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4に示す従来のインバータ装置は、直流電源(1)と、直流電源(1)から供給される直流電力を高周波交流電力に変換するスイッチング動作を行うスイッチング回路(13)を有する交流変換回路(2)と、交流変換回路(2)の出力端子に接続された共振負荷回路(3)と、交流変換回路(2)のスイッチング回路(13)にスイッチング動作を行わせる制御パルス信号(V)を出力して、共振負荷回路(3)に高周波電力を供給する制御回路(4)とを備えている。
【0003】
直流電源(1)は、商用電源等の交流電源(10)と、ダイオードをブリッジ接続して構成されて交流電源(10)の交流電力を直流電力に変換する整流回路(11)と、整流回路(11)の出力を平滑するコンデンサ(12)とを備えている。スイッチング回路(13)は、整流回路(11)の正側端子と負側端子とに直列に接続されたそれぞれIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)型の第1のスイッチング素子(13a)と第2のスイッチング素子(13b)と、第1のスイッチング素子(13a)と第2のスイッチング素子(13b)にそれぞれ逆並列に接続されたスナバダイオード(13c,13d)とを有する。第2のスイッチング素子(13b)に対し並列に接続される共振負荷回路(3)は、交流変換回路(2)から供給される高周波電力により鉄等の金属から成る被加熱物を誘導加熱する加熱コイル(3a)と、加熱コイル(3a)に直列に接続された共振用コンデンサ(3b)とを備えている。
【0004】
制御回路(4)は、共振負荷回路(3)への基準電力値を表す出力を発生する電力設定回路(21)と、交流変換回路(2)から共振負荷回路(3)に供給される有効電力値を検出する電力検出回路(22)と、電力検出回路(22)が検出した有効電力値と電力設定回路(21)の基準電力値とから偏差を演算して、調整出力を発生する電力調整回路(23)と、電力調整回路(23)の調整出力に従って偏差を減少する制御パルス信号(V)のパルス周波数を決定する制御信号を発生するPFM回路(42)と、PFM回路(42)の制御信号を受信して、交流変換回路(2)のスイッチング回路(13)をスイッチング動作させる制御パルス信号(V)を出力する駆動回路(25)とを備えている。
【0005】
電力検出回路(22)は、交流変換回路(2)に入力されるコンデンサ(12)の両端電圧を検出する電圧検出回路(14)と、直流電源(1)から交流変換回路(2)への経路に流れる電流を検出する電流検出回路(15)とに接続される。電力検出回路(22)は、電圧検出回路(14)の検出電圧値と電流検出回路(15)の検出電流値との乗算値を有効電力の検出値として電力調整回路(23)に出力する図示しない乗算回路を備えている。
【0006】
図4に示すインバータ装置(2)は、ハーフブリッジ方式の電圧形インバータ装置と称され、駆動回路(25)の制御パルス信号(V)により、IGBTとダイオードとの逆並列回路で構成された第1のスイッチング素子(13a)と第2のスイッチング素子(13b)を交互にオン・オフさせる。その際に、共振負荷回路(3)の加熱コイル(3a)と共振用コンデンサ(3b)とから導出される共振周波数(f)の周期に等しい周波数より高い周期で論理「H」レベルと論理「L」レベルとを繰り返すパルス信号をPFM回路(42)から生成する。このとき、共振周波数(f)に近い周波数でスイッチング動作を反復させて電力を共振負荷回路(3)に供給し、更に共振周波数(f)より高い周波数でオン・オフを反復させて制御することにより、加熱コイル(3a)内の図示しない被加熱物を誘導加熱すると共に、共振負荷回路(3)に供給される有効電力を基準電力値に調整する。
【0007】
図5は、有効電力値が基準電力値を超えるときにPWM制御に切り換えると共に、有効電力値が基準電力値に満たないときにPFM制御に切り換える切替回路(41)を備え、共振負荷回路(3)への出力電力をより広範囲に制御する下記特許文献1に開示された従来の他のインバータ装置を示す。
【0008】
図5に示すインバータ装置では、切替回路(41)とPWM回路(24)とが図4のインバータ装置に付加される。電力調整回路(23)では、電力設定回路(21)の基準電力値と電力検出回路(22)の有効電力値との偏差を零にすべく比例−積分(PI)演算を行う。演算された有効電力値がPWM回路(24)での時比率λ値を0.1以下にするとき、有効電力値が時比率λ=0.1にする値を基準電力値として、λ<0.1に対応する有効電力値をPFM回路(42)へ別途入力するように切替回路(41)によりPWM回路(24)からPFM回路(42)に切り換える。
【0009】
PFM回路(42)では入力された有効電力値に基づき周波数変調(PFM)演算を行い、演算された周波数の論理「H」レベルと論理「L」レベルとにより構成されるパルス信号を駆動回路(25)へ出力する。このとき、PFM回路(42)での時比率λはインバータ装置が安定に動作する任意の値とし、共振負荷回路(3)の加熱コイル(3a)と共振用コンデンサ(3b)とから導出される共振周波数(fc)の周期より小さい方向にパルス信号の反復周期を変更することにより、インバータ装置の安定動作領域で共振負荷回路(3)に供給する有効電力をより広い範囲で減少させることができる。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−128462(図1、第3頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示すインバータ装置では、例えば、共振周波数(fc)より大幅に上昇する周波数に出力高周波電力を調整する必要があるが、スイッチング素子(13a, 13b)を構成するIGBTはスイッチングスピードが遅く、周波数を高くすると十分追従動作することができず、スイッチング回路(13)の動作が不安定になる恐れがある。その結果、インバータ装置の必要な高周波電力、即ち、共振負荷回路(3)に注入できる有効電力を広範囲に調整できない難点があった。
【0012】
その対策として、図5では、切替回路(41)により有効電力値が基準電力値を超えるときPWM制御に切り換え、有効電力値が基準電力値に満たないときPFM制御に切り換えて、共振負荷回路(3)への出力電力をより広範囲に制御するが、共振周波数(fc)近傍でPWM制御により時比率λを絞り込むとき、周波数制御が不能となり、時比率を過度に小さくすると共振負荷回路(3)との整合が取れず、共振はずれを発生し、最低時比率の制御に限界があり、スイッチング素子が破損する重大な難点があった。
本発明は、共振負荷回路に注入する有効電力をより広い範囲で調整できるインバータ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によるインバータ装置は、直流電源(1)と、直流電源(1)から供給される直流電力を高周波交流電力に変換するスイッチング動作を行うスイッチング回路(13)を有する交流変換回路(2)と、交流変換回路(2)の出力端子に接続された共振負荷回路(3)と、交流変換回路(2)のスイッチング回路(13)にスイッチング動作を行わせる制御パルス信号(V)を出力して、共振負荷回路(3)に高周波電力を供給する制御回路(4)とを備えている。制御回路(4)は、基準電力値を表す出力を発生する電力設定回路(21)と、交流変換回路(2)から共振負荷回路(3)に供給される有効電力値を検出する電力検出回路(22)と、電力検出回路(22)が検出した有効電力値と電力設定回路(21)の基準電力値とから偏差を演算して、調整出力を発生する電力調整回路(23)と、電力調整回路(23)の調整出力に従って偏差を減少する制御パルス信号(V)のパルス幅を決定する制御信号を発生するPWM回路(24)と、PWM回路(24)の制御信号を受信して、交流変換回路(2)のスイッチング回路(13)をスイッチング動作させる制御パルス信号(V)を出力する駆動回路(25)とを備えている。電力調整回路(23)の調整出力を受信して制御パルス信号(V)の周波数(f)を決定する周波数制御信号をPFM回路(42)により発生し、PFM回路(42)の周波数制御信号をPWM回路(24)に付与する。PWM回路(24)は、PFM回路(42)が決定した周波数(f)での制御パルス信号(V)の時比率(λ)を決定する。PFM回路(42)は、電力調整回路(23)の調整出力により最適の周波数出力を発生し、PWM回路(24)は、PFM回路(42)から発生する周波数出力のパルス幅を重畳して制御するので、PWM回路(24)とPFM回路(42)とを個別に制御する切替回路を必要とせず、切替損失を回避すると共に、回路構成を簡素化することができる。また、共振負荷回路(3)の共振周波数(f)を常時最適値に設定すると共に、広範囲且つ連続的に供給電力を調整し、共振負荷回路(3)に電力を効率よく供給することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるインバータ装置の実施の形態を図1〜図3について説明する。図1では、図4及び図5に示す箇所と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図1に示すように、本発明では、予め設定された上限周波数(fMAX)を記憶し、制御パルス信号(V)の周波数(f)が上限周波数(fMAX)に達したときにPFM回路(42)に保持信号を出力する周波数設定回路(43)と、電力調整回路(23)の調整出力を受信して制御パルス信号(V)の周波数(f)を決定する周波数制御信号を発生するPFM回路(42)と、PFM回路(42)の周波数制御信号が付与されてPFM回路(42)が決定した周波数(f)での制御パルス信号(V)の時比率(λ)を決定するPWM回路(24)とをインバータ装置に設ける。
【0015】
周波数設定回路(43)の保持信号を受信したとき、PFM回路(42)は、制御パルス信号(V)の周波数(f)を上限周波数(fMAX)に保持する。PWM回路(24)は、PFM回路(42)から受信した周波数と電力調整回路(23)から受信した電力調整信号からパルス幅信号を決定する出力を形成して、駆動回路(25)に出力を付与する。PFM回路(42)は、電力調整回路(23)の調整出力により最適の周波数出力を発生し、PWM回路(24)は、PFM回路(42)から発生する周波数にパルス幅を重畳して制御するので、PWM回路(24)とPFM回路(42)とを個別に制御する切替回路を必要とせず、切替損失を回避すると共に、回路構成を簡素化することができる。また、共振負荷回路(3)の共振周波数(f)を常時最適値に設定すると共に、広範囲且つ連続的に供給電力を調整し、共振負荷回路(3)に電力を効率よく供給することが可能となる。
【0016】
PFM回路(42)により制御される制御パルス信号(V)の周波数(f)が上限周波数(fMAX)に達したときに、制御パルス信号(V)の周波数(f)を上限周波数(fMAX)に保持して、PWM回路(24)により制御パルス信号(V)の時比率(λ)を制御するので、共振負荷回路(3)の共振周波数(f)よりも十分に高い上限周波数(fMAX)でも制御パルス信号(V)の時比率(λ)を絞り込むことができる。また、制御パルス信号(V)の周波数(f)が上限周波数(fMAX)以上に上昇せずに、制御パルス信号(V)の時比率(λ)を広い範囲で制御することができる。例えば電磁調理器等として使用される鉄鍋等の被加熱物を誘導加熱する際に、加熱コイル(3a)に供給される高周波電力のレベル及び周波数並びに被加熱物への加熱量をより広範囲に調整することができる。
【0017】
電力調整回路(23)では、基準電力値と有効電力検出値との偏差を零にすべく比例−積分(PI)演算を行い、この演算結果としてのインバータ装置(4)の有効電力値がPFM回路(24)の周波数を可変するが、PFM回路(24)の周波数が周波数設定回路(43)の予め設定された任意の最高周波数に達すると、それ以上の周波数上昇を阻止し、代わりにPWM回路(24)の時比率λ(1周期中のオン期間比率)を調整し、基準電力値になるよう動作する。PWM回路(24)では入力された有効電力値に基づきパルス幅変調(PWM)演算を行い、この演算結果のパルス信号を駆動回路(25)へ出力する。このとき、パルス周波数変調(PFM)の発振周波数(上限周波数(fMAX))は共振負荷回路(3)の共振周波数(f)より十分に高い。PWM回路(24)でパルス幅変調を行うことにより、インバータ装置(4)の動作が安定な領域で共振負荷回路(3)に注入する有効電力をより広い範囲で電力制御を行うことができる。
【0018】
図2は、図1に示すインバータ装置の動作特性を示すグラフである。図2の横軸はスイッチング回路(13)への出力電圧設定値となる電力調整回路(23)の出力を示し、縦軸は、PFM回路(42)又はPWM回路(24)の出力であるパルス信号の周波数や時比率λ値を示し、最大負荷時は共振周波数(f)近傍の周波数を出力し、出力電力の大きいときは周波数制御を行い、軽負荷になるほど周波数が上昇する。
【0019】
周波数設定回路(43)に予め設定された任意の最高周波数以上になると、それ以降の周波数上昇は抑制され、代わりにPWM回路の時比率λ(1周期中でのオン期間比率)を調整し、基準電力値に向かって動作する。出力が減少するにしたがって、最高周波数を維持する状態で、時比率λは減少する。
【0020】
逆に、最小出力時は、図3(c)に示すように、PFM回路(42)出力は最高周波数で、PWM回路(24)の出力の時比率λは最小値となる。図3(b)に示すように、出力の増大に伴いPFM回路(42)の出力は最高周波数を維持し、PWM回路(24)の出力の時比率λは増大する。時比率λが最大値となると、図3(a)に示すように、それ以降の出力に対し時比率λを最大値に固定し、PFM回路(42)の出力する周波数を共振周波数(f)に近づける。最大負荷時は共振周波数(f)近傍の周波数まで出力周波数を低下する。
【0021】
前記のように調整することにより、共振負荷回路(3)に供給される有効電力をより広い範囲で調整でき、PWM回路(24)とPFM回路(42)との連続制御動作時にスイッチング回路(13)を円滑に動作させることができる。
【0022】
図1〜図3に示す実施の形態の説明では、ハーフブリッジ方式の電圧形インバータ装置について説明したが、フルブリッジ方式の電圧形インバータ装置、ハーフブリッジ方式で共振用コンデンサを2個用いた電圧形インバータ装置でも、本発明の制御方法を実施することができる。本発明によるインバータ装置では、加熱電力をより広い範囲で調整して被加熱物を誘導加熱することができるので、例えば、被加熱物が多彩で、その加熱電力も広範囲にわたる電磁調理器のインバータ装置として好適である。
【0023】
【発明の効果】
前記の通り、本発明では、PWM回路とPFM回路とを個別に制御する切替回路を必要とせず、切替損失を回避すると共に、回路構成を簡素化することができる。また、共振負荷回路の共振周波数を常時最適値に設定すると共に、広範囲且つ連続的に供給電力を調整し、最適の周波数出力で電力を効率よく共振負荷回路に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態を示すインバータ装置の回路図
【図2】図1に示すインバータ装置の動作特性を示すグラフ
【図3】図1に示すインバータ装置の各モード時のタイムチャート
【図4】従来のインバータ装置を示す回路図
【図5】従来の他のインバータ装置を示す回路図
【符号の説明】
(1)・・直流電源、 (2)・・交流変換回路、 (3)・・共振負荷回路、(4)・・制御回路、 (13)・・スイッチング回路、 (21)・・電力設定回路、 (22)・・電力検出回路、 (23)・・電力調整回路、 (24)・・PWM回路、 (25)・・駆動回路、 (42)・・PFM回路、 (43)・・周波数設定回路、

Claims (3)

  1. 直流電源と、該直流電源から供給される直流電力を高周波交流電力に変換するスイッチング動作を行うスイッチング回路を有する交流変換回路と、該交流変換回路の出力端子に接続された共振負荷回路と、前記交流変換回路のスイッチング回路にスイッチング動作を行わせる制御パルス信号を出力して、前記共振負荷回路に高周波電力を供給する制御回路とを備え、
    該制御回路は、基準電力値を表す出力を発生する電力設定回路と、前記交流変換回路から前記共振負荷回路に供給される有効電力値を検出する電力検出回路と、前記電力検出回路が検出した有効電力値と前記電力設定回路の基準電力値とから偏差を演算して、調整出力を発生する電力調整回路と、該電力調整回路の調整出力に従って前記偏差を減少する前記制御パルス信号のパルス幅を決定する制御信号を発生するPWM回路と、該PWM回路の制御信号を受信して、前記交流変換回路のスイッチング回路をスイッチング動作させる制御パルス信号を出力する駆動回路とを備えたインバータ装置において、
    前記電力調整回路の調整出力を受信して前記制御パルス信号の周波数を決定する周波数制御信号をPFM回路により発生し、
    該PFM回路の周波数制御信号を前記PWM回路に付与し、
    前記PWM回路は、前記PFM回路が決定した周波数での前記制御パルス信号の時比率を決定することを特徴とするインバータ装置。
  2. 予め設定された上限周波数を記憶し、前記制御パルス信号の周波数が上限周波数に達したときに前記PFM回路に保持信号を出力する周波数設定回路を備え、
    前記PFM回路は、前記周波数設定回路の保持信号を受信したとき、前記制御パルス信号の周波数を前記上限周波数に保持する請求項1に記載のインバータ装置。
  3. 前記PWM回路は、前記PFM回路から受信した周波数を表す出力からパルス幅信号を決定する出力を形成して、前記駆動回路に出力を付与する請求項1又は2に記載のインバータ装置。
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