前述したように、入力された画像データを予め登録してある特定のマーク(パターンデータ)とパターンマッチング法で比較し、合致した場合に複写を禁止することで、紙幣や有価証券等の特殊原稿の複写を防止することができる。しかしながら、このような手法によって複写を禁止するとなると、複写を禁止したい原稿のパターンデータを全て予め登録しておかなければならない。したがって、紙幣や有価証券等の特殊原稿に対しては有効であるとしても、不特定多数の一般原稿、例えば機密文書に対して適用することは極めて困難である。
また、前述したように、マル秘マーク等のような機密文書であることを示すマークを検出したときに複写を禁止することで、機密文書の複写を防止することができる。しかしながら、この場合には、マル秘マーク等のような機密文書であることを示すマークの部分を紙などで覆い隠して画像読み取り動作が実行された場合には、当然のことながら機密文書であることを示すマークの存在を判定することができず、よって、複写を禁止すべき機密文書であってもその複写を防止することができないという問題がある。
さらに、前述したように、例えば機密文書については背景に地紋パターンを埋め込んだ原稿画像として生成し、そのような機密文書が複写されると地紋パターンの一部が浮かび上がるようにした場合には、心理的に、複写に対する規制力を生じさせることができる。しかしながら、このような地紋パターンによる手法では、複写抑制効果が得られるに過ぎず、複写行為そのものを規制することができるわけではない。このため、地紋パターンが浮き上がることを気にしない者にとっては、機密文書の複写が可能になってしまうという問題がある。
このようなことから、機密文書であっても複写が事実上可能であり、機密文書が複写された場合に、どの機密文書が複写されたのかということや、そのような機密文書を誰が複写したのかを特定することができないという問題がある。
本発明の目的は、機密文書が画像読み取りされた場合に、その行為の追跡を可能とすることである。
請求項1記載の画像処理装置の発明は、画像読み取りされた原稿画像の画像データに含まれる背景画像に埋め込まれたドットパターンを前記画像データから検出する手段と、検出したドットパターンを、記憶領域に記憶されている出力を禁止するドットパターンと比較し、その同一性を判定する手段と、前記同一性を判定する手段による判定結果を特定の者が使用するコンピュータに向けて送信する手段と、を具備する。これにより、その特定の者、多くの場合管理者に、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。ここで、「ドットパターン」というのは、原稿画像の画像データに含まれるドットによって形成された何らかのパターンを意味する。この場合、パターン自体がドットのパターンである必要はない。例えば、ドットの集合により形成される細線パターンや特定の模様パターン等もドットパターンになり得る。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定する手段が判定した場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データに識別コードを割当てて前記画像蓄積部に蓄積する手段を更に具備する。これにより、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされた場合には、識別コードに基づいて、どの原稿画像が不正に画像読み取りされたのかの追跡が可能となる。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定する手段が判定した場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データを暗号化する手段を更に具備し、前記送信する手段は、その暗号化された前記画像データを前記判定結果に伴わせて送信する。これにより、その特定の者、多くの場合管理者に、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。しかも、特定の者が使用するコンピュータには暗号化された画像データも送信されるため、そのコンピュータにおいてその暗号化を復号化する手段を備えていれば、出力を禁止すべきドットパターンを有する画像データの閲覧等が可能となる。
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の画像処理装置において、前記判断結果の送信は、電子メールを用いて行なわれる。これにより、電子メールによって、出力が禁止されたドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。
請求項5記載の画像処理方法の発明は、画像読み取りされた原稿画像の画像データに含まれる背景画像に埋め込まれたドットパターンを前記画像データから検出するステップと、検出したドットパターンを、記憶領域に記憶されている出力を禁止するドットパターンと比較し、その同一性を判定するステップと、前記同一性を判定する手段による判定結果を特定の者が使用するコンピュータに向けて送信するステップと、をハードウェア資源を用いて実行する。これにより、その特定の者、多くの場合管理者に、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。ここで、「ドットパターン」というのは、原稿画像の画像データに含まれるドットによって形成された何らかのパターンを意味する。この場合、パターン自体がドットのパターンである必要はない。例えば、ドットの集合により形成される細線パターンや特定の模様パターン等もドットパターンになり得る。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像処理方法において、ハードウェア資源を用いて、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定するステップで判定された場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データに識別コードを割当てて前記画像蓄積部に蓄積するステップを更に実行する。これにより、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされた場合には、識別コードに基づいて、どの原稿画像が不正に画像読み取りされたのかの追跡が可能となる。
請求項7記載の発明は、請求項5記載の画像処理方法において、ハードウェア資源を用いて、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定するステップで判定された場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データを暗号化するステップを更に実行し、前記送信するステップは、その暗号化された前記画像データを前記判定結果に伴わせて送信する。これにより、その特定の者、多くの場合管理者に、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。しかも、特定の者が使用するコンピュータには暗号化された画像データも送信されるため、そのコンピュータにおいてその暗号化を復号化する手段を備えていれば、出力を禁止すべきドットパターンを有する画像データの閲覧等が可能となる。
請求項8記載の発明は、請求項5、6又は7記載の画像処理方法において、前記判断結果の送信は、電子メールを用いて行なわれる。これにより、電子メールによって、出力が禁止されたドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。
請求項9記載の機械読み取り可能な画像処理プログラムの発明は、画像処理装置が備えるコンピュータにインストールされ、このコンピュータに、画像読み取りされた原稿画像の画像データに含まれる背景画像に埋め込まれたドットパターンを前記画像データから検出する機能と、検出したドットパターンを、記憶領域に記憶されている出力を禁止するドットパターンと比較し、その同一性を判定する機能と、前記同一性を判定する手段による判定結果を特定の者が使用するコンピュータに向けて送信する機能と、を実行させる。これにより、その特定の者、多くの場合管理者に、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。ここで、「ドットパターン」というのは、原稿画像の画像データに含まれるドットによって形成された何らかのパターンを意味する。この場合、パターン自体がドットのパターンである必要はない。例えば、ドットの集合により形成される細線パターンや特定の模様パターン等もドットパターンになり得る。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の画像処理プログラムにおいて、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定する機能が判定した場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データに識別コードを割当てて前記画像蓄積部に蓄積する機能を更に実行する。これにより、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされた場合には、識別コードに基づいて、どの原稿画像が不正に画像読み取りされたのかの追跡が可能となる。
請求項11記載の発明は、請求項9記載の画像処理プログラムにおいて、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定する機能が判定した場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データを暗号化する機能を更に実行し、前記送信する機能は、その暗号化された前記画像データを前記判定結果に伴わせて送信する。これにより、その特定の者、多くの場合管理者に、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。しかも、特定の者が使用するコンピュータには暗号化された画像データも送信されるため、そのコンピュータにおいてその暗号化を復号化する手段を備えていれば、出力を禁止すべきドットパターンを有する画像データの閲覧等が可能となる。
請求項12記載の発明は、請求項9、10又は11記載の画像処理プログラムにおいて、前記判断結果の送信は、電子メールを用いて行なわれる。これにより、電子メールによって、出力が禁止されたドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。
請求項1記載の画像処理装置の発明は、画像読み取りされた原稿画像の画像データに含まれる背景画像に埋め込まれたドットパターンを前記画像データから検出する手段と、検出したドットパターンを、記憶領域に記憶されている出力を禁止するドットパターンと比較し、その同一性を判定する手段と、前記同一性を判定する手段による判定結果を特定の者が使用するコンピュータに向けて送信する手段と、を具備するので、その特定の者、多くの場合管理者に、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることができ、これにより、原稿画像が不正に画像読み取りされたことを追跡するきっかけを作ることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定する手段が判定した場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データに識別コードを割当てて前記画像蓄積部に蓄積する手段を更に具備するので、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされた場合には、そのような原稿画像の画像データに識別コードを割当てて画像蓄積部に蓄積することができ、これにより、識別コードに基づいて、どの原稿画像が不正に画像読み取りされたのかの追跡に役立てることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定する手段が判定した場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データを暗号化する手段を更に具備し、前記送信する手段は、その暗号化された前記画像データを前記判定結果に伴わせて送信するので、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされた場合には、そのことを示す判断結果を特定の者、多くの場合管理者に知らせることができ、また、出力を禁止すべきドットパターンを有する画像データをそのような特定の者に閲覧させ、これによってそのような不正行為がなされた原稿画像の判別を容易にすることができる。
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の画像処理装置において、前記判断結果の送信は、電子メールを用いて行なわれるので、電子メールによって、出力が禁止されたドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを電子メールという簡便な手法を用いて知らせることができる。
請求項5記載の画像処理方法の発明は、画像読み取りされた原稿画像の画像データに含まれる背景画像に埋め込まれたドットパターンを前記画像データから検出するステップと、検出したドットパターンを、記憶領域に記憶されている出力を禁止するドットパターンと比較し、その同一性を判定するステップと、前記同一性を判定する手段による判定結果を特定の者が使用するコンピュータに向けて送信するステップと、をハードウェア資源を用いて実行するので、その特定の者、多くの場合管理者に、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることができ、これにより、原稿画像が不正に画像読み取りされたことを追跡するきっかけを作ることができる。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像処理方法において、ハードウェア資源を用いて、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定するステップで判定された場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データに識別コードを割当てて前記画像蓄積部に蓄積するステップを更に実行するので、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされた場合には、そのような原稿画像の画像データに識別コードを割当てて画像蓄積部に蓄積することができ、これにより、識別コードに基づいて、どの原稿画像が不正に画像読み取りされたのかの追跡に役立てることができる。
請求項7記載の発明は、請求項5記載の画像処理方法において、ハードウェア資源を用いて、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定するステップで判定された場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データを暗号化するステップを更に実行し、前記送信するステップは、その暗号化された前記画像データを前記判定結果に伴わせて送信するので、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされた場合には、そのことを示す判断結果を特定の者、多くの場合管理者に知らせることができ、また、出力を禁止すべきドットパターンを有する画像データをそのような特定の者に閲覧させ、これによってそのような不正行為がなされた原稿画像の判別を容易にすることができる。
請求項8記載の発明、請求項5、6又は7記載の画像処理方法において、前記判断結果の送信は、電子メールを用いて行なわれるので、電子メールによって、出力が禁止されたドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを電子メールという簡便な手法を用いて知らせることができる。
請求項9記載の機械読み取り可能な画像処理プログラムの発明は、画像処理装置が備えるコンピュータにインストールされ、このコンピュータに、画像読み取りされた原稿画像の画像データに含まれる背景画像に埋め込まれたドットパターンを前記画像データから検出する機能と、検出したドットパターンを、記憶領域に記憶されている出力を禁止するドットパターンと比較し、その同一性を判定する機能と、前記同一性を判定する手段による判定結果を特定の者が使用するコンピュータに向けて送信する機能と、を実行させるので、その特定の者、多くの場合管理者に、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることができ、これにより、原稿画像が不正に画像読み取りされたことを追跡するきっかけを作ることができる。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の画像処理プログラムにおいて、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定する機能が判定した場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データに識別コードを割当てて前記画像蓄積部に蓄積する機能を更に実行するので、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされた場合には、そのような原稿画像の画像データに識別コードを割当てて画像蓄積部に蓄積することができ、これにより、識別コードに基づいて、どの原稿画像が不正に画像読み取りされたのかの追跡に役立てることができる。
請求項11記載の発明は、請求項9記載の画像処理プログラムにおいて、検出したドットパターンと出力を禁止するドットパターンとが同一であると前記同一性を判定する機能が判定した場合に、検出したドットパターンを有する前記画像データを暗号化する機能を更に実行し、前記送信する機能は、その暗号化された前記画像データを前記判定結果に伴わせて送信するので、出力を禁止すべきドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされた場合には、そのことを示す判断結果を特定の者、多くの場合管理者に知らせることができ、また、出力を禁止すべきドットパターンを有する画像データをそのような特定の者に閲覧させ、これによってそのような不正行為がなされた原稿画像の判別を容易にすることができる。
請求項12記載の発明は、請求項9、10又は11記載の画像処理プログラムにおいて、前記判断結果の送信は、電子メールを用いて行なわれるので、電子メールによって、出力が禁止されたドットパターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを電子メールという簡便な手法を用いて知らせることができる。
本発明の実施の形態を図1ないし図13に基づいて説明する。
1.原稿画像
まず、本実施の形態における画像処理装置、画像処理方法等に用いられる原稿画像について図1ないし図5を参照しながら説明する。
図1は、原稿画像を例示する正面図である。図2は、原稿画像に埋め込まれた地紋パターン(ドットパターン)が浮き上がって見えている原稿画像の複写物の一例を示す模式図である。図3は、原稿画像に埋め込まれた地紋パターンが浮き上がって見えている原稿画像の複写物の別の一例を示す模式図である。図4は、図3に例示する地紋パターンを拡大して示す模式図である。図5は、図2に例示する地紋パターンを拡大して示す模式図である。
原稿画像101、図1に示す例では契約書である原稿画像101を作成する原稿用紙102として、背景に地紋パターン103が埋め込まれた原稿用紙102が用いられている。もっとも、別の実施の形態として、地紋パターン103が形成されていない原稿用紙102を用い、契約書である原稿画像101を作成するに際して同時に地紋パターン103を形成するようにしても良い。つまり、地紋パターン103は、原稿用紙102に予め印刷形成されていても良く、原稿用紙102に文字や図形等を画像形成するに際して同時に画像形成するようにしても良い。
地紋パターン103は、ベース領域104とメッセージ領域105とを含んでいる。ベース領域104は、原稿用紙102の大部分を占める地部分の領域である。メッセージ領域105は、そのようなベース領域104中に分散されたメッセージを表現する領域である。これらのベース領域104とメッセージ領域105とは、地紋パターン103それ自体の基本的な構成そのものを異にするわけではなく、地紋パターン103に対する人間の価値判断としてベース領域104とメッセージ領域105とに分かれているに過ぎない。本実施の形態において、メッセージ領域105は「複写禁止」という文字から構成されている。このようなメッセージ領域105を構成する文字としては、「複写禁止」の他、いかなる文字や記号その他のものをも用い得る。
このような原稿用紙102を用いて作成された原稿画像101は、この原稿画像101が複写等されると、地紋パターン103の一部が浮かび上がる。この場合、図2に例示する原稿画像101では、「複写禁止」という文字で表現されたメッセージ領域105が浮かび上がり、図3に例示する原稿画像101では、ベース領域104が浮かび上がる。
このように、地紋パターン103が埋め込まれた原稿画像101が複写されると、地紋パターン103においてメッセージ領域105とベース領域104との何れか一方が浮かび上がるのは、他方の領域104又は105が複写(再現)されにくいからである。換言すると、浮かび上がらない方の領域104又は105が消えることによって、残った方の領域104又は105が浮かび上がって見えるわけである。
このような現象を生じさせる地紋パターン103は、例えば、図4及び図5に例示するように、大きさが異なる二種類のドット106の集合によって構成されている。つまり、これらの二種類のドット106のうち、小さなドット106bは複写(再現)されにくく、大きなドット106aは複写(再現)される。そこで、複写後にメッセージ領域105が浮き上がる図2に例示する地紋パターン103では、図5に示すように、ベース領域104を構成する方に小さなドット106bが用いられ、メッセージ領域105を構成する方に大きなドット106aが用いられている。反対に、複写後にベース領域104が浮き上がる図3に例示する地紋パターン103では、図4に示すように、メッセージ領域105を構成する方に小さなドット106bが用いられ、ベース領域104を構成する方に大きなドット106aが用いられている。
地紋パターン103の他の構成例として、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104は、ドットに限らず、細線パターンや特定の模様パターン等によっても構成可能である。
ここで、本実施の形態では、メッセージ領域105又はベース領域104を特徴量として扱う。例えば、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104がドット106で構成されているとすると、そのサイズや密度(単位面積当たりにおけるドット数)を、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104が細線パターンで構成されているとすると、その線の幅を、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104が特定の模様パターンで構成されているとすると、その模様の特徴等を、それぞれ特徴量として用いることができる。
以上の例では、浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104についての特徴量について限定したが、このような特徴量として、浮かび上がらないベース領域104又はメッセージ領域105、あるいは浮かび上がるメッセージ領域105又はベース領域104と浮かび上がらないベース領域104又はメッセージ領域105との双方について、それぞれの特徴量を求めても良い。要は、地紋パターン103が埋め込まれた画像データが記録された原稿画像101が読み取られた際にそのベース領域104又はメッセージ領域105の何れか一方又は両方がデータとして判読できるものであれば、それを特徴量として扱うことが可能である。又は、データの形態で存在する地紋パターン103が埋め込まれた画像データにおいて、その地紋パターン103を構成するベース領域104又はメッセージ領域105の何れか一方又は両方がデータとして判読できるものであれば、それを特徴量として扱うことが可能である。
別の実施の形態としては、前述した通り、ドットパターンとして、図14及び図15に例示するように、ベース領域104及びメッセージ領域105を有する地紋パターン103ではないパターンを持ち得る。図14は、図1ないし図5を参照して説明したものとは別の実施の形態として、原稿画像とそのドットパターンとを例示する正面図、図15は図14とは異なる原稿画像とそのドットパターンとを例示する正面図である。図14及び図15に例示するドットパターン103´は、単一の大きさのドット106から構成されている。このような図14及び図15に例示するドットパターン103´は、いわば、図2ないし図5に例示する地紋パターン103におけるベース領域104のみに相当するパターン、メッセージ領域105のみに相当するパターンと同様のものとして把握することが可能である。つまり、ベース領域104に相当するドットパターン103´又はメッセージ領域105に相当するドットパターン103´であっても、そのようなドットパターン103´を有する原稿画像101が読み取られた際にそのドットパターン103´がデータとして判読できれば、それを特徴量として扱うことが可能である。
図14に例示するドットパターン103´は、原稿用紙102に描画された原稿画像101の背景画像として構成されている。この意味で、図2ないし図5に例示する地紋パターン103と同様に、背景ドットパターンとなる。これに対して、図15に例示するドットパターン103´は、原稿用紙102に描画された原稿画像101の上に描画されている。したがって、図15に例示するドットパターン103´は、背景ドットパターンではなく、いわば前面ドットパターンである。
2.画像処理方法
本実施の形態の画像処理方法では、デジタル回路やコンピュータ等のようなハードウェア資源を用いて、画像読み取りされた原稿画像を画像蓄積部(例えば後述する画像蓄積部212(あるいはHDD213))に蓄積し(蓄積するステップの一部)、原稿画像101に基づく画像データに含まれる背景画像に埋め込まれた地紋パターン103(ベース領域104又はメッセージ領域105の何れか一方又は両方)を画像データから検出する(検出するステップ)。この検出するステップは、前述した地紋パターン103の特徴量、例えば、ドット106のサイズや密度、線の幅、模様の特徴を検出することにより実行される。そして、検出するステップの後に、ハードウェア資源を用いて、検出した地紋パターン103を、図示しない記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターンと比較し、その同一性を判定する(同一性を判定するステップ)。
この際、同一性の判定は、検出された地紋パターン103と記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターンとの特徴量の差、一例としてドット密度の差がある閾値よりも小さいかどうかをもってなされる。つまり、そのような差がある閾値よりも小さければ同一であると判定する。
そこで、本実施の形態の画像処理方法によれば、出力を禁止する地紋パターンが記憶領域に記憶されていれば、原稿画像101の種類を問わず、検出した地紋パターン103と記憶領域に記憶されている地紋パターン103との同一性を確認することで、原稿画像101の画像データがその出力を禁止すべき画像データなのかどうかを判定することが可能となる。
その後、本実施の形態の画像処理方法では、検出された地紋パターン103と記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターンとが同一であると判定された場合には、画像蓄積部212(あるいはHDD213)に蓄積した画像データに識別コードを割当てる(蓄積するステップの他の一部)。これにより、出力を禁止すべき地紋パターンを有する原稿画像101が画像読み取りされた場合には、不正読み取りされた原稿画像の画像データに割当てられた識別コードに基づいて、どの原稿画像が不正に画像読み取りされたのかを追跡することができる。
また、本実施の形態の画像処理方法では、検出された地紋パターン103と記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターンとが同一であると判定された場合には、検出した地紋パターン103を有する画像蓄積部212(あるいはHDD213)に蓄積された画像データを暗号化し、その判断結果を識別コード及び暗号化された画像データと共に特定の者が使用するコンピュータ、例えば管理者のコンピュータに送信する(送信するステップ)。この送信は、例えば電子メールによって実行される。これにより、その特定の者、例えば管理者に、出力を禁止すべき地紋パターンを有する原稿画像が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。しかも、特定の者が使用するコンピュータには暗号化された画像データも送信されるため、そのコンピュータにおいてその暗号化を復号化する手段を備えていれば、出力を禁止すべき地紋パターンを有する画像データの閲覧等が可能となる。
さらに、デジタル回路やコンピュータ等のようなハードウェア資源、一例として画像処理装置では、識別コードの入力を受付け(識別コードの入力を受付けるステップ)、識別コードが入力された場合にこの識別コードが割当てられた画像データを出力する(画像データを出力するステップ)。これにより、識別コードによって特定された原稿画像、つまり画像読み取りされた出力を禁止すべき地紋パターンを有する原稿画像の画像データが出力される。出力は、例えばプリントアウトという形態で実行される。この際、デジタル回路やコンピュータ等のようなハードウェア資源、一例として画像処理装置で、管理者コードの入力を受付け(管理者コードの入力を受付けるステップ)、入力された管理者コードに管理者権限が認められるかどうかを判定し(管理者権限が認められるかどうかを判定するステップ)、入力された管理者コードに管理者権限が認められることを画像出力の条件としても良い。
3.画像処理システム
本実施の形態の画像処理装置は、図6に例示するような画像処理システムに組み込まれている。図6は、画像処理システム全体のシステム構成例を示すブロック図である。
つまり、画像処理システムは、サーバPC1と複数台のクライアントPC2(クライアントPC1〜n)とが例えばLANやWAN等のネットワーク通信網3を介して接続されたサーバクライアントシステム4として構築されている。PCはパーソナルコンピュータの略称である。クライアントPC2のうちの1台(例えばクライアントPC1)ないし数台は、管理者コンピュータとして機能している。つまり、管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2は、管理者がユーザとなっている。このようなサーバクライアントシステム4には、MFPとして構成された画像処理装置5(MFP1〜n)が接続されている。
図7は、画像処理システムに含まれているクライアントPC(パーソナルコンピュータ)におけるハードウェア資源を示すブロック図である。
クライアントPC2は、各部を集中的に制御するCPU11を備えており、このCPU11には、BIOSなどを記憶した読出し専用メモリであるROM12と、各種データを書換え可能に記憶してCPU11の作業エリア等として機能するRAM13とがバス14で接続されており、マイクロコンピュータを構成している。さらに、バス14には、画像処理プログラムであるコンピュータプログラムがインストールされたHDD15と、CD−ROM16に記録されたデータを読み取るCD−ROMドライブ17と、外部機器との通信を司るインターフェース18とが接続されている。
一例として、HDD15にインストールされている各種のコンピュータプログラムは、CD−ROM16に元々記録されており、CPU11によって、そのコンピュータプログラムがCD−ROMドライブ17で読み取られ、HDD15にインストールされたものである。そして、HDD15にインストールされたそのコンピュータプログラムが起動されると、そのコンピュータプログラムは、HDD15からRAM13にコピーされ、CPU11とRAM13とによって実行される。この意味で、RAM13、HDD15又はCD−ROM16は、コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体として機能することになる。
もっとも、コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体としては、CD−ROM16のみならず、DVDなどの各種の光ディスク、各種光磁気ディスク、フレキシブルディスクなどの各種磁気ディスク、半導体メモリ等、各種方式のメディアを用いることができる。また、インターネットなどのネットワークからコンピュータプログラムをダウンロードし、HDD15にインストールするようにしても良い。この場合に、送信側のサーバでコンピュータプログラムを記憶している記憶装置も、本発明における記憶媒体である。なお、プログラムは、所定のOS(Operating System)上で動作するものであっても良いし、その場合に後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであっても良いし、ワープロソフトなど所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであっても良い。
次いで、MFPとして構成された本実施の形態の画像処理装置5について説明する。ここでは、それぞれ異なるハードウェア資源を備えた2種類の画像処理装置5を紹介する。
(1)画像処理装置におけるハードウェア資源の第1の形態
本発明の画像処理装置5におけるハードウェア資源の第1の形態を図8及び図9に基づいて説明する。
図8は、画像処理装置5のハードウェア資源を示すブロック図である。図9は、図8中に示されている地紋パターン検出部のブロック図である。
図8に示すように、本実施の形態の画像処理装置5は、画像読取装置としてのスキャナ201、デジタル回路構成の画像処理部202、及びプロッタ203をシステムコントローラ204で制御するデジタル複写機構成のMFPとされている。システムコントローラ204は、内蔵するCPU(Central Processing Unit)204a、ROM(Read Only Memory)204b、及びRAM(Random Access Memory)204cから構築されるコンピュータ機能を活用し、操作表示部205からの指示に応じてスキャナ201、画像処理部202、及びプロッタ203を制御し、必要な情報を操作表示部205に返して表示させる。
画像処理部202は、フィルタ処理部206、変倍処理部207、γ処理部208、及び階調処理部209を含んでいる。これらの各部206、207、208及び209は、一般的なデジタル複写機が備える同等の回路構成と異なる点はないため、その説明は省略する。
これに対して、本実施の形態の画像処理部202は、地紋パターン検出部210、複写禁止文書判定部211、及び画像蓄積部212を具備する。これらの地紋パターン検出部210及び複写禁止文書判定部211は、機密文書のような複写禁止文書の画像読み取りを検出判定し、複写禁止文書が画像読み取りされた場合に識別コードを割当てて画像蓄積部212に蓄積保存するデジタル回路構成のハードウェアである。また、画像蓄積部212は、画像メモリである。
画像処理部202は、スキャナ201で画像読み取りされた画像の画像データを、例えばシェーディング補正処理や地肌除去補正処理を実行する前処理部215を経て画像蓄積部212に蓄積する。前処理部215での処理は、必要に応じて省略しても良い。画像蓄積部212に蓄積された画像データは、後述する処理によって出力を禁止する画像データであると判断されなければ、必要に応じて、フィルタ処理部206、変倍処理部207、γ処理部208、及び階調処理部209を経て出力される。
地紋パターン検出部210は、図9に例示するハードウェア構成を有する。つまり、スキャナ201によって読み取られた原稿画像101に基づく画像データからドット検出部251によってドット106を検出する。この場合の検出手法としては、デジタル回路によって画像パターンを検出する従来の各種の手法、例えばパターンマッチングを用い得る。次いで、ドット密度判定部252は、ドット検出部251で検出されたドット106におけるある面積内でのドット密度を計算する。このような計算処理は、デジタル回路構成のカウンタや加算器等によって実行される。
ここで、地紋パターン検出部210は、ドット密度判定部252の後段に、ベース領域判断部253とメッセージ領域判断部254とを有する。これらのベース領域判断部253とメッセージ領域判断部254とは、それぞれ図示しない記憶領域を有する。ベース領域判断部253は、ドット密度判定部252でのドット密度計算の基準となるある面積内における出力を禁止する地紋パターン103のベース領域104のドット密度に対する同一性判断の許容値となる閾値と、一つの原稿用紙102が含んでいる出力を禁止する地紋パターン103のベース領域104のドット数に対する同一性判断の許容値となる閾値とを記憶保存している。メッセージ領域判断部254は、ドット密度判定部252でのドット密度計算の基準となるある面積内における出力を禁止する地紋パターン103のメッセージ領域105のドット密度に対する同一性判断の許容値となる閾値と、一つの原稿用紙102が含んでいる出力を禁止する地紋パターン103のメッセージ領域105のドット数に対する同一性判断の許容値となる閾値とを記憶保存している。
そこで、ベース領域判断部253は、ドット密度判定部252で計算されたドット106の密度が、図示しない記憶領域に記憶保存されているドット密度に関する閾値内に含まれていると判定した場合、ドット検出部251で検出された同一サイズのドット106のドット数を例えばカウンタに累積する。そして、累積したドットの数が、図示しない記憶領域に記憶保存されているドット数に関する閾値内に含まれている場合、出力が禁止される地紋パターン103のベース領域104が存在すると判断し、その判断結果を複写禁止文書判定部211へ出力する。
一方、メッセージ領域判断部254は、ドット密度判定部252で計算されたドット106の密度が、図示しない記憶領域に記憶保存されているドット密度に関する閾値内に含まれていると判定した場合、ドット検出部251で検出された同一サイズのドット106のドット数を例えばカウンタに累積する。そして、累積したドットの数が、図示しない記憶領域に記憶保存されているドット数に関する閾値内に含まれている場合、出力が禁止される地紋パターン103のメッセージ領域105が存在すると判断し、その判断結果を複写禁止文書判定部211へ出力する。
複写禁止文書判定部211は、地紋パターン検出部210の処理結果を受け、複写禁止文書の判断処理を、予め設定した判断基準によって実行する。この判断基準は、例えば、複写禁止文書判定部211が備える図示しない記憶領域にパラメータとして保存しても良く、操作表示部205からの入力によってそのような記憶領域に設定されていても良い。例えば、複写禁止文書判定部211は、スキャナ201で読み取った原稿画像101中に、地紋パターン103のベース領域104とメッセージ領域105との一方が存在する場合に、機密文書のような複写禁止文書であると判断する。あるいは、複写禁止文書判定部211は、スキャナ201で読み取った原稿画像101中に、地紋パターン103のベース領域104とメッセージ領域105との双方が存在する場合に、機密文書のような複写禁止文書であると判断する。複写禁止文書判定部211が地紋パターン103のベース領域104のみの判定に利用される場合には、メッセージ領域ドット判定部254を省略しても良い。同様に、複写禁止文書判定部211が地紋パターン103のメッセージ領域105のみの判定に利用される場合には、ベース領域ドット判定部253を省略しても良い。
そして、複写禁止文書判定部211は、スキャナ201で読み取った原稿画像101が複写禁止文書であると判定した場合、画像処理部202の画像蓄積部212に蓄積されたその原稿画像の画像データに識別コードを割当てる。この場合の識別コードとしては、例えば、画像処理装置5における時系列的な一意の番号や、画像処理装置5が管理されるネットワーク通信網3におけるネットワーク環境下で割り振られる一意な番号等を用いることができる。
以上、画像処理装置におけるハードウェア資源の第1の形態として、デジタル回路構成によるものを説明した。これに対して、別の実施の形態として、図8中に示す地紋パターン検出部210及び複写禁止文書判定部211を画像処理プロセッサ(図示せず)によって構成することが可能である。この場合、画像処理プロセッサには、機密文書のような複写禁止文書を検出判定し、そのような複写禁止文書の画像データに識別コードを割当てる処理のためのコンピュータプログラムをロードする必要がある。このような画像処理プロセッサの上で動作するコンピュータプログラムは、一例として、システムコントローラ204に設けられているROM204b又はRAM204c、あるいはHDD等の図示しない記憶領域に予め記憶されており、起動時に画像処理プロセッサにロードされる。
(2)画像処理装置におけるハードウェア資源の第2の形態
本発明の画像処理装置5におけるハードウェア資源の第2の形態を図10に基づいて説明する。
図10は、画像処理装置のハードウェア資源を示すブロック図である。
第1の形態として示した画像処理装置のハードウェア資源では、機密文書のような複写禁止文書を検出判定し、そのような複写禁止文書の画像データに識別コードを割当てる処理が、デジタル回路構成のハードウェア資源によって実行される例を示した。これに対して、本ハードウェア資源形態では、そのような機密文書のような複写禁止文書を検出判定し、そのような複写禁止文書の画像データに識別コードを割当てる処理を、画像処理装置のハードウェア資源にインストールされたコンピュータプログラムによって実行する例を説明する。
本ハードウェア資源形態では、画像処理部202に、地紋パターン検出部210、複写禁止文書判定部211、及び画像蓄積部212が設けられておらず、システムコントローラ204のROM204bに、機密文書のような複写禁止文書を検出判定し、そのような複写禁止文書の画像データに識別コードを割当てる処理のためのコンピュータプログラムがファームウェアとして記憶保存され、画像蓄積部212の機能がHDD213に割当てられる。別の実施の形態としては、システムコントローラ204内に設けられたCPU204a、ROM204b、及びRAM204cから構築されるマイクロコンピュータにバス接続されたHDD213に機密文書のような複写禁止文書を検出判定し、そのような複写禁止文書の画像データに識別コードを割当てる処理のためのコンピュータプログラムをインストールしておき、そのようなコンピュータプログラムが画像処理装置の起動時にRAM204cに書き込まれて実行される構成であっても良い。いずれにしても、機密文書のような複写禁止文書を検出判定し、そのような複写禁止文書の画像データに識別コードを割当てる処理は、コンピュータであるシステムコントローラ204がコンピュータプログラムに従い実行することになる。この意味で、RAM204c又はHDD213は、画像処理プログラムであるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体として機能する。
(3)画像処理の内容
ここで、第1の形態として例示した図8及び図9のハードウェア資源を有する画像処理装置5及び第2の形態として例示した図10のハードウェア資源を有する画像処理装置5における画像処理の詳細を図11及び図12のフローチャートを参照して説明する。
図11は、画像処理装置5のハードウェア資源によって実行される処理の基本的な流れを示すフローチャートである。図12は、画像処理装置のハードウェア資源によって実行される複写禁止原稿判別処理の流れを示すフローチャートである。
まず、基本的な画像処理について図11を参照して説明する。本実施の形態の画像処理装置5では、スキャナ201による原稿画像101の画像読み取りがなされると(ステップS101)、その原稿画像の画像データを画像蓄積部212(あるいはHDD213)に蓄積保存する(ステップS102)。
その後、画像蓄積部212(あるいはHDD213)に蓄積された画像データが読み出され(ステップS103)、地紋パターンの判定、つまり複写禁止原稿判別処理がなされる(ステップS104)。このステップS104での複写禁止原稿判別処理については、後に詳述する。
そして、その判定の結果に応じて、判定後の処理が実行される(ステップS105)。ステップS105での判定後の処理としては、検出された地紋パターン103と記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターンとが同一であると判定された場合、つまりスキャナ201で画像読み取りした原稿画像101が複写禁止原稿である場合には、画像蓄積部212(あるいはHDD213)に蓄積した画像データに識別コードを割当てる(蓄積する手段、蓄積するステップ、蓄積する機能)。これにより、出力を禁止すべき地紋パターンを有する原稿画像101が画像読み取りされた場合には、不正読み取りされた原稿画像101の画像データに割当てられた識別コードに基づいて、どの原稿画像101が不正に画像読み取りされたのかを追跡することができる。
また、ステップS105での判定後の処理としては、検出された地紋パターン103と記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターンとが同一であると判定された場合、その判断結果を識別コードと共に管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2に向けて送信する(送信する手段、送信するステップ、送信する機能)。ここでのデータ送信は、例えば、第1の形態として例示する画像処理装置5ではシステムコントローラ204にインストールされた電子メールソフトウェアによって、第2の形態として例示する画像処理装置5ではHDD213にインストールされた電子メールソフトウェアによって、通信インターフェースである外部通信部214を介して実行される。これにより、管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2のユーザである管理者に、出力を禁止すべき地紋パターンを有する原稿画像101が画像読み取りされたことを知らせることが可能となる。
別の実施の形態として、ステップS105での判定後の処理では、検出された地紋パターン103と記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターンとが同一であると判定された場合、検出した地紋パターン103を有する画像蓄積部212(あるいはHDD213)に蓄積された画像データを暗号化し(暗号化する手段、暗号化するステップ、暗号化する機能)、その判断結果を識別コード及び暗号化された画像データと共に管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2に向けて送信しても良い(送信する手段、送信するステップ、送信する機能)。画像データの暗号化は、本出願時において知られている画像データを暗号化するあらゆる手法を用いて実行することができる。これにより、管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2には、暗号化された画像データも送信されるため、そのコンピュータにおいてその暗号化を復号化する手段を備えていれば、出力を禁止すべき地紋パターンを有する画像データの閲覧等が可能となる。これにより、管理者は、どの原稿画像101が不正に画像読み取りされたものであるのかを容易に認識することができる。
ここで、送信する手段、送信するステップ、送信する機能が実行される際、本実施の形態では、ステップS105での判定後の処理として、検出された地紋パターン103と記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターンとが同一であると判定された場合、その判断結果等を管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2に向けて送信することを例示した。この場合、判断結果等を送信する送信先であるクライアントPCは、一例としてIPアドレスで特定される。しかしながら、ここでは、判断結果等を管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2に向けて送信すること自体を目的としているわけではなく、判断結果等を管理者に知らせることを目的としている。そこで、実施に当っては、特定の者、ここでは管理者が使用するコンピュータに向けて判断結果等を送信することができれば、如何なる手法を採用しても良い。例えば、IPアドレスを指定して判断結果等を送信するだけでなく、そのデータ送信の形態としては、インターネットや専用回線等を利用する電子メールアドレスを用いた電子メールの形態を採用しても良く、携帯電話やPHS等を利用する電子メールアドレスを用いた電子メールの形態を採用しても良い。
次いで、ステップS104での複写禁止原稿判別処理について図12を参照しながら詳細に述べる。図12は、画像処理装置のハードウェア資源にインストールされたコンピュータプログラムによって実行される複写禁止原稿判別処理の流れを示すフローチャートである。
まず、スキャナ201によって原稿画像101が読み取られて画像蓄積部212(あるいはHDD213)に蓄積保存されると、画像蓄積部212(あるいはHDD213)に蓄積保存された画像データからドット106を検出する(ステップS201)。この場合の検出手法としては、コンピュータ処理によって画像パターンを検出する従来の各種の手法、例えばパターンマッチングを用い得る。
次いで、CPU204aの演算機能によって、検出されたドット106におけるある面積内でのドット密度が計算される(ステップS202)。
ここで、本実施の形態においては、RAM204cという包括概念で示されるメモリが有する不揮発性のメモリやバッテリバックアップメモリ(記憶領域)等に、ドット密度計算の基準となるある面積内における出力を禁止する地紋パターン103のベース領域104のドット密度に対する同一性判断の許容値となる閾値と、一つの原稿用紙102が含んでいる出力を禁止する地紋パターン103のベース領域104のドット数に対する同一性判断の許容値となる閾値とが記憶保存されている。また、RAM204cという包括概念で示されるメモリが有する不揮発性のメモリやバッテリバックアップメモリ(記憶領域)等に、ドット密度計算の基準となるある面積内における出力を禁止する地紋パターン103のメッセージ領域105のドット密度に対する同一性判断の許容値となる閾値と、一つの原稿用紙102が含んでいる出力を禁止する地紋パターン103のメッセージ領域105のドット数に対する同一性判断の許容値となる閾値とが記憶保存されている。
もっとも、画像処理装置におけるハードウェア資源の第1の形態中の別の実施の形態として紹介した画像処理プロセッサによって地紋パターン検出部210及び複写禁止文書判定部211を構成した場合には、上記各閾値は、RAM204cに記憶されたままとなっていても、画像処理プロセッサの上で動作するコンピュータプログラムと共に画像処理プログラムにロードされても、いずれでも良い。上記各閾値がRAM204cに記憶されたままとなっている場合には、必要に応じて画像処理プロセッサがそれらの各閾値を参照する。上記各閾値がRAM204cから画像処理プロセッサにロードされている場合には、画像処理プロセッサはロードされた上記各閾値を参照する。
続くステップS203では、ステップS202で算出された検出ドット106のある面積内でのドット密度が、RAM204c(記憶領域)に記憶保存されている地紋パターン103のベース領域104におけるドット密度に関する閾値内に含まれているかどうかが判定される。そして、ステップS203で、含まれていないと判定された場合には、ステップS104で算出された検出ドット106のある面積内でのドット密度が、RAM204c(記憶領域)に記憶保存されている地紋パターン103のメッセージ領域105におけるドット密度に関する閾値内に含まれているかどうかが判定される(ステップS207)。
ここで、ステップS203での判定の結果、ステップS202で算出された検出ドット106のある面積内でのドット密度が、RAM204c(記憶領域)に記憶保存されている地紋パターン103のベース領域104におけるドット密度に関する閾値内に含まれていると判定された場合には(ステップS205のY)、デジタル演算機能(画像処理装置5の第1のハードウェア資源形態)やCPU204aの演算処理(画像処理装置5の第2のハードウェア資源形態)によって、検出ドット106のドット数が累積されて例えばレジスト領域に一時記憶され(ステップS204)、一時記憶された累積ドット数がRAM204c(記憶領域)に記憶保存されている地紋パターン103のベース領域104におけるドット数に関する閾値内に含まれているかどうか判定される(ステップS205)。そして、一時記憶された累積ドット数がRAM204c(記憶領域)に記憶保存されている地紋パターン103のベース領域104におけるドット数に関する閾値内に含まれていると判定された場合には(ステップS205のY)、出力が禁止される地紋パターン103のベース領域104が存在すると判断し(ステップS206)、その判断結果を複写禁止文書判断処理(ステップS211)に渡す。
これに対して、一時記憶された累積ドット数がRAM204c(記憶領域)に記憶保存されている地紋パターン103のベース領域104におけるドット数に関する閾値内に含まれていないと判定された場合には(ステップS205のN)、処理を終了する。
一方、ステップS207での判定の結果、ステップS202で算出された検出ドット106のある面積内でのドット密度が、RAM204c(記憶領域)に記憶保存されている地紋パターン103のメッセージ領域105におけるドット密度に関する閾値内に含まれていると判定された場合には(ステップS207のY)、デジタル演算機能(画像処理装置5の第1のハードウェア資源形態)やCPU204aの演算処理(画像処理装置5の第2のハードウェア資源形態)によって、検出ドット106のドット数が累積されて例えばレジスト領域に一時記憶され(ステップS208)、一時記憶された累積ドット数がRAM204c(記憶領域)に記憶保存されている地紋パターン103のメッセージ領域105におけるドット数に関する閾値内に含まれているかどうか判定される(ステップS209)。そして、一時記憶された累積ドット数がRAM204c(記憶領域)に記憶保存されている地紋パターン103のメッセージ領域105におけるドット数に関する閾値内に含まれていると判定された場合には(ステップS209のY)、出力が禁止される地紋パターン103のメッセージ領域105が存在すると判断し(ステップS210)、その判断結果を複写禁止文書判断処理(ステップS211)に渡す。
これに対して、ステップS207での判定が否定的である場合(ステップS207のN)又はステップS209での判定が否定的である場合(ステップS209のN)には、いずれの場合も処理を終了する。
ステップS211の複写禁止文書判断処理では、複写禁止文書の判断処理を、予め設定した判断基準によって実行する。この判断基準は、例えば、RAM204cという包括概念で示されるメモリが有する不揮発性のメモリやバッテリバックアップメモリ(記憶領域)等にパラメータとして保存しても良く、操作表示部205から入力によってそのようなRAM204c(記憶領域)に一時設定されても良い。こうして、ステップS211の複写禁止文書判断処理では、一例として、スキャナ201で読み取った原稿画像101中に、地紋パターン103のベース領域104とメッセージ領域105との一方が存在する場合に、機密文書のような複写禁止文書であると判断する。あるいは、別の一例として、スキャナ201で読み取った原稿画像101中に、地紋パターン103のベース領域104とメッセージ領域105との双方が存在する場合に、機密文書のような複写禁止文書であると判断する。
こうして、原稿画像101の画像データに含まれる背景画像に埋め込まれた地紋パターン103を画像データから検出する手段(ステップ、機能)と、検出した地紋パターンを、記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターンと比較し、その同一性を判定する手段(ステップ、機能)とが実行されることになる。これにより、本実施の形態では、原稿画像の種類を問わず、検出した地紋パターン103と記憶領域に記憶されている地紋パターン103との同一性を確認することで、スキャナ201によって画像読み取りされた原稿画像101の画像データがその出力を禁止すべきものであるかどうかを判定することが可能となる。
ここに、図11に示したステップS104での複写禁止原稿判別処理が実行される。
ここで、本実施の形態では、スキャナ201によって画像読み取りされた地紋パターン103と出力が禁止される地紋パターン103との一致不一致を、ドット密度によって判定している(図12中のステップS203〜205、ステップS207〜209)。これに対して、別の実施の形態として、出力が禁止される地紋パターン103等のドットパターンの形状を別のパターン形状から識別される特有のパターン形状にし、読み取られたドットパターンの形状をその特有のパターン形状とパターンマッチングの手法を用いて比較するようにしても良い。この場合、ドットパターンそれ自体、あるいはそのようなドットパターンの集合は、特徴量を持つ。ドットパターンの集合に特徴量を持たせる手法としては、一例として、あるドットパターンの単位面積当りの密度を採用し得る。
(4)画像出力処理
図11に例示するステップS105での判定後の処理としては、前述したように、検出された地紋パターン103と記憶領域に記憶されている出力を禁止する地紋パターンとが同一であると判定された場合、その判断結果を管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2に向けて電子メール送信する(送信する手段、送信するステップ、送信する機能)。この場合、本実施の形態では、二種類の実施態様を例示した。つまり、判断結果を識別コードと共に管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2に向けて電子メール送信する態様と、検出した地紋パターン103を有する画像蓄積部212(あるいはHDD213)に蓄積された画像データを暗号化し、判断結果を暗号化された画像データと共に管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2に向けて電子メール送信する態様との二種類である。
これらの二種類の態様のうち、画像データを暗号化して管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2に向けて電子メール送信する場合には、そのクライアントPC2において暗号化された画像データを復号化するソフトウェアがインストールされていることを前提として、その暗号化された画像データを閲覧することができる。これにより、管理者は、どの原稿画像101が不正に画像読み取りされたものであるのかを容易に認識することができる。
これに対して、判断結果を識別コードと共に管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2に向けて電子メール送信する場合には、管理者は、画像処理装置5から送信された電子メールを通じて、不正に画像読み取りされた原稿画像101について、その識別コードを知ることができる。そこで、その識別コードが割当てられた画像データがいかなる画像データであるのかを知ることができれば、不正行為に対する追及が容易となる。そこで、本実施の形態では、画像処理装置5に、識別コードが割当てられた画像データを出力する複写禁止原稿出力機能(出力する手段、出力するステップ、出力する機能)が提供されている。ここでは、このような複写禁止原稿出力機能についての二つの態様を図13に基づいて説明する。
図13は、画像処理装置のハードウェア資源によって実行される複写禁止原稿出力処理の流れを示すフローチャートである。
まず、最初の態様として、管理者は、その管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2によって画像処理装置5に複写禁止原稿の出力処理を指示する。この場合、画像処理装置5は、管理者コンピュータとして機能するクライアントPC2に対して、管理者の同一性を示す管理者コードと、電子メールにて送信された不正に画像読み取りされた原稿画像101に関する識別コードとの入力を求める。
そこで、管理者がこれらのコードを画像処理装置5に送信すると、画像処理装置5はユーザ指示入力を認識する(ステップS301)。ここに、識別コードの入力を受付ける手段、ステップ、機能と管理者コードの入力を受付ける手段、ステップ、機能とが実行される。そして、ユーザ指示の照会、つまり、送信された管理者コードと識別コードとを照会する(ステップS302)。ここに、管理者権限が認められるかどうかを判定する手段、ステップ、機能が実行される。その結果、管理者コードが適正なものであり、識別コードが存在する場合には、その識別コードが割当てられた画像データを画像蓄積部212(あるいはHDD213)から読み出し(ステップS303)、その画像データに基づく出力処理が実行される(ステップS304)。これにより、管理者が識別コードで指定した画像データがプリントアウトされる。ここに、画像データを出力する手段、ステップ、機能が実行される。
以上の処理により、管理者は、電子メールを通じて送信されてきた識別コードが割当てられた画像データがいかなる画像データであるのかを知ることができ、これによって容易に不正行為に対する追及を行なうことができる。
次いで、二つ目の態様として、管理者は、画像処理装置5から送信された電子メールを通じて、不正に画像読み取りされた原稿画像101の存在を知ることができる。そこで、管理者は、その不正に画像読み取りされた原稿画像101の内容を見ようとする場合には、画像処理装置5まで赴き、画像処理装置5の例えば図示しない入力パネルを通じて複写禁止原稿の出力処理を指示する。すると、画像処理装置5は、管理者の同一性を示す管理者コードと、電子メールにて送信された不正に画像読み取りされた原稿画像101に関する識別コードとの入力を求める。
そこで、管理者がこれらのコードを画像処理装置5の例えば図示しない入力パネルを通じて入力すると、画像処理装置5はユーザ指示入力を認識する(ステップS301)。ここに、識別コードの入力を受付ける手段、ステップ、機能と管理者コードの入力を受付ける手段、ステップ、機能とが実行される。そして、ユーザ指示の照会、つまり、入力された管理者コードと識別コードとを照会する(ステップS302)。ここに、管理者権限が認められるかどうかを判定する手段、ステップ、機能が実行される。その結果、管理者コードが適正なものであり、識別コードが存在する場合には、その識別コードが割当てられた画像データを画像蓄積部212(あるいはHDD213)から読み出し(ステップS303)、その画像データに基づく出力処理を実行する(ステップS304)。これにより、管理者が識別コードで指定した画像データがプリントアウトされる。ここに、画像データを出力する手段、ステップ、機能が実行される。
以上の処理により、管理者は、電子メールを通じて送信されてきた識別コードが割当てられた画像データがいかなる画像データであるのかを知ることができ、これによって容易に不正行為に対する追及を行なうことができる。