JP2004304545A - 赤外線カメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを備える必要が無く、試験調整の工数を削減し低コストな赤外線カメラを得る。
【解決手段】キャリブレーション時に赤外線撮像素子の受光面を構成する各検知素子に等しい強度の校正用赤外線を入射する校正用赤外線入射手段、校正用赤外線の入射時に時間的に変化するバイアス電圧を赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧調整回路、校正用赤外線の入射時の赤外線撮像素子からの出力電圧を平均化する素子出力レベル検出回路を備え、バイアス電圧調整回路は、平均化された出力電圧レベルが目標値に到達した時点でのバイアス電圧値を記憶し、記憶したバイアス電圧値に基づいて校正用赤外線の入射解除後の出力オフセットレベルを設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】キャリブレーション時に赤外線撮像素子の受光面を構成する各検知素子に等しい強度の校正用赤外線を入射する校正用赤外線入射手段、校正用赤外線の入射時に時間的に変化するバイアス電圧を赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧調整回路、校正用赤外線の入射時の赤外線撮像素子からの出力電圧を平均化する素子出力レベル検出回路を備え、バイアス電圧調整回路は、平均化された出力電圧レベルが目標値に到達した時点でのバイアス電圧値を記憶し、記憶したバイアス電圧値に基づいて校正用赤外線の入射解除後の出力オフセットレベルを設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は赤外線カメラ、特にボロメータアレイ等の常温で動作する熱型の赤外線撮像素子を用いた非冷却型の赤外線カメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の赤外線カメラは、赤外線撮像素子の動作温度を、電源投入直後における周囲温度に所望のオフセット量を加算した温度に維持して撮像を行なうことにより、低消費電力化と立ち上げ時間の短縮を図っている(例えば、特許文献1参照。)。この技術においては、赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係を各動作温度の関数として用いているが、この関数データは赤外線カメラ内に設けたデータテーブルに予め記憶しておく。電源投入時にこのデータテーブルを参照することにより、赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧を調整して出力オフセット電圧を動作温度によらず一定に維持し、後段の電子回路の飽和を回避して撮像するようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−122472号公報(第4頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の赤外線カメラは、以上のように構成されているが、バイアス電圧と出力オフセット電圧との関係は、使用される赤外線撮像素子によって異なる場合が多い。そのため、上記データテーブルとしては、個々の赤外線撮像素子に対してそれぞれ固有の値に決めたものを準備することが必要となる。したがって、試験調整時のデータ取得作業がカメラ1つ1つについて要求されるので、生産効率上好ましくなく、製造コストが高い要因となるなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを備える必要が無く、試験調整の工数を削減し低コストな赤外線カメラを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る赤外線カメラは、赤外線撮像素子の視野を覆う位置に設置され、赤外線撮像素子を構成する検知素子の各出力オフセットのばらつきに対する校正を行なうためのキャリブレーションデータ取得時に検知素子の各々に対して等しい強度の校正用赤外線を入射する校正用赤外線入射手段と、校正用赤外線の入射時に時間的に増加または減少するバイアス電圧を赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧調整回路と、校正用赤外線の入射時のバイアス電圧の変化に応答して増加または減少する検知素子の各出力電圧を平均化し検出する素子出力レベル検出回路とを備え、バイアス電圧調整回路は、素子出力レベル検出回路の出力電圧レベルを目標値と比較し、当該出力電圧レベルが目標値を中心とした規定の範囲に到達した時点でのバイアス電圧の値を記憶し、当該記憶した値のバイアス電圧を撮像素子に印加してキャリブレーションデータの取得と校正用赤外線の入射解除後の撮像を行なうようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の各実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。図において、赤外線撮像素子1は、赤外窓2および素子パッケージ3により形成された真空槽の中で赤外光学系4の結像面に実装されている。この実装方法としては、例えば特開平7−508384に記載のような方法が用いられている。赤外線撮像素子1には、定電圧源5、ドライバ回路6、増幅・表示処理回路7、素子出力レベル検出回路8およびバイアス電圧調整回路9が電気的に接続している。素子出力レベル検出回路8は、AD変換回路10と平均化回路11から構成される。バイアス電圧調整回路9は、目標値12、比較回路13、ランプ波形出力回路14、メモリ15、スイッチ16およびDA変換回路17から構成される。校正用赤外線入射手段18は、赤外線撮像素子1の視野を覆う位置で、かつ赤外光学系4と赤外窓2との間に設置されている。この実施の形態1ではシャッタを念頭において説明を行なうが、校正用赤外線入射手段18としては、図2に示すように赤外線撮像素子1の受光面に配置された検知素子22〜25の各々に対して等しい強度の赤外線を入射できる手段であれば、デフォーカス板等他の手段であってもよい。タイミング発生回路19および電源回路20は、定電圧源5、ドライバ回路6、増幅・表示処理回路7、素子出力レベル検出回路8、バイアス電圧調整回路9、校正用赤外線入射手段18等の構成要素に必要な駆動クロックと電力を供給している。上記説明した各構成要素はカメラ筐体21内に収納されている。
【0008】
図2は赤外線撮像素子1の回路構成を示しており、説明を簡素化するために、2×2画素のものを例示した。赤外線撮像素子1は、検知素子22〜25、ダイオード26〜29、トランジスタ30〜34、水平走査回路35、および垂直走査回路36から構成される。検知素子22〜25は、例えば特表平7−509057に記載されている中空断熱構造を有するマイクロボロメータが用いられる。
【0009】
図3は実施の形態1に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートで、このフローチャートに沿って動作を説明する。
電源が投入されると(ステップST1)、電源回路20から各部に電力が供給される(ステップST2)。次に、タイミング発生回路19で素子駆動クロックが発生し、ドライバ回路6を通して赤外線撮像素子1内の水平走査回路35と垂直走査回路36に印加される(ステップST3)。上記動作によりトランジスタ30〜33を順次導通状態にし、定電圧源5から印加される直流電圧とトランジスタ34の特性により決まる電流がバイアス電圧調整回路9から検知素子22〜25に順次供給される。このことにより、検知素子22〜25はフレーム毎に繰り返して、抵抗値に応じた各画像電圧信号を増幅・表示処理回路7と素子出力レベル検出回路8へ出力する(ステップST4)。
【0010】
次に、タイミング発生回路19がキャリブレーション実行信号を発生し(ステップST5)、これによってシャッタ(校正用赤外線入射手段)18を閉じて(ステップST6)、各検知素子22〜25に対し等しい強度の赤外線を入射する。この状態で、スイッチ16の接続先が図示されたように設定されていると、ランプ波形出力回路14からは、時間的に増加または減少するバイアス電圧データ(デジタル値)がDA変換回路17に出力され、アナログ電圧に変換される(ステップST7)。この動作により、トランジスタ34へ印加するバイアス電圧は、時間的に増加または減少し、検知素子22〜25の出力も増加または減少する。
【0011】
次に、増加または減少する検知素子22〜25の各出力電圧は、素子出力レベル検出回路8内のAD変換回路10でデジタル値に変換され、さらに平均化回路11で平均化処理される。平均化回路11の出力は、比較回路13において目標値12と比較され、平均化回路11の出力が目標値を中心とした規定の範囲に到達した時点で、ランプ波形出力回路14の出力はメモリ15に記憶される(ステップST8)。またこの時、スイッチ16はメモリ15の出力がDA変換回路17に入力されるように切り替えられ、メモリ15に記憶されたデータに基づいて赤外線撮像素子1の出力オフセットレベルは赤外線撮像素子1の動作温度における目標値に設定される(ステップST9)。
【0012】
次に、シャッタ(校正用赤外線入射手段)18が閉じたままの状態で、検知素子22〜25個々の出力が増幅・表示処理回路7において取得され、検知素子22〜25個々の抵抗値(各出力オフセット)のばらつきを補正するためのキャリブレーションデータとして増幅・表示処理回路7に記憶される(ステップST10)。次に、シャッタ(校正用赤外線入射手段)18を開くと(ステップST11)、被写体が放射する赤外線は赤外光学系4により集光して、赤外窓2を通して検知素子22〜25に結像する。シャッタ開時の検知素子22〜25個々の出力から上記取得したキャリブレーションデータを検知素子毎に差し引くことにより、各検知素子で放射赤外線の吸収により生じる数mK程度の微少な温度上昇に起因する抵抗値の変化による電気信号の変化が画像表示のためのビデオ信号として出力される(ステップST12)。
撮像開始後時間が経過すると、赤外線撮像素子1の動作温度の変化に伴い、固定パターンノイズの増加による画像劣化が生じる。このときには再度キャリブレーションを実行するが、ステップST9でキャリブレーションデータ取得前にバイアス電圧調整回路9から赤外線撮像素子1に印加するバイアス電圧の再調整を行なう。
【0013】
以上のように、この実施の形態1によれば、赤外窓2の前面で赤外線撮像素子1の視野を覆う位置に設置された校正用赤外線入射手段18により、キャリブレーション実行時に赤外線撮像素子1の受光面を構成する検知素子の各々に対して等しい強度の校正用赤外線を入射し、バイアス電圧調整回路9が、校正用赤外線の入射時に時間的に増加または減少するバイアス電圧を赤外線撮像素子1に印加し、素子出力レベル検出回路8が、校正用赤外線の入射時の赤外線撮像素子1からバイアス電圧の変化に応答して増加または減少する検知素子の各出力電圧を取り出しAD変換して平均化し、バイアス電圧調整回路9が、素子出力レベル検出回路8の平均化された出力電圧レベルを目標値と比較し、当該出力電圧レベルが目標値を中心とした規定の範囲に到達した時点でのバイアス電圧の値を記憶し、当該記憶したバイアス電圧の値に基づいて校正用赤外線の入射解除後の画像を入手するための出力オフセットレベルを設定するようにしたので、赤外線撮像素子1に供給するバイアス電圧を自動調整でき、そのために赤外線撮像素子1の各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを予め取得する必要が無く、試験調整を簡素化できる効果が得られる。
【0014】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。また、赤外線撮像素子1の構成は、図2と同じものである。図4において、図1と同じまたは相当する構成要素については同一符号を付して示す。図4では、新たな構成として、赤外窓2と素子パッケージ3で構成される真空槽内で、赤外線撮像素子1に対しそれぞれ熱的に接続される熱電素子37と素子温度センサ38が新たに設置されている。素子温度センサ38は、素子動作温度設定回路39と熱電素子駆動回路40に接続され、熱電素子駆動回路40の出力は熱電素子37に接続している。素子動作温度設定回路39は、信号の入力から出力に向かって、AD変換回路41、オフセット量加算回路42、メモリ43、DA変換回路44から構成される。
【0015】
図5はこの実施の形態2に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートで、このフローチャートに沿って動作を説明する。
電源が投入されると(ステップST21)、定電圧源5、ドライバ回路6、バイアス電圧調整回路9から赤外線撮像素子1への信号印加、および熱電素子駆動回路40から熱電素子37への電力供給が開始されるが、これらの動作の立ち上り前に、直ちに次の動作が行われる。素子温度センサ38の検出電圧がAD変換回路41でAD変換され、オフセット量加算回路42においてその値に所定のオフセット値が加算され、メモリ43に記憶される。立ち上げ時間を最短にするという観点からは、このオフセット値は、零が望ましいが、一般的な監視用や携帯用のカメラでは動作開始後の低消費電力化を考慮して、カメラ筐体21内の上昇温度に相当する10℃程度の正の値とする。次に、メモリ43から読み出したオフセット値加算後の電圧はDA変換回路44でDA変換されて熱電素子駆動回路40に伝達される。熱電素子駆動回路40は、オフセット値加算後の電圧と素子温度センサの検出電圧に基づいて、赤外線撮像素子1をオフセット値加算後の電圧により設定される温度にするように熱電素子37に対し電力を供給する(ステップST22)。このステップST22の間に、赤外線撮像素子1に定電圧源5から直流電圧が印加され(ステップST23)、またドライバ回路6から素子駆動クロックが印加されるようになる(ステップST24)。このようにして赤外線撮像素子1は、素子温度センサ38の電源投入直後の温度に所望のオフセット値を加算した温度に加熱され安定化する。
【0016】
赤外線撮像素子1から画像電圧信号が出力した後は実施の形態1と同様に動作する。素子動作温度設定回路39で設定した赤外線撮像素子1の動作温度において、バイアス電圧調整回路9が、キャリブレーション実行信号に基づき、出力オフセットレベルが目標値になるようなバイアス電圧値を自動設定して赤外線撮像素子1に供給し、キャリブレーションデータ取得を行ない、画像を表示する。熱電素子37を用いて一定温度に温度制御しているため、赤外線撮像素子1の動作温度は一旦動作を開始した後は実施の形態1と比較して遥かに安定してはいるものの、撮像開始後時間が経過すると赤外線撮像素子1の動作温度は数mKオーダのレベルでは微少な変化が生じ、これに伴い固定パターンノイズ増加による画像劣化が生じる。このときには再度キャリブレーションを実行するが、ステップST9に示すようにキャリブレーションデータ取得前にバイアス電圧調整回路9から赤外線撮像素子1に印加するバイアス電圧の再調整を行なう。
【0017】
以上のように、この実施の形態2は、上記実施の形態1に加え、素子温度センサ38により赤外線撮像素子1の温度を検出し、素子動作温度設定回路39が、電源投入直後における素子温度センサ38の検出電圧に所定のオフセット値を加算して記憶し、記憶したオフセット値加算後の電圧を取り出し、熱電素子駆動回路40が、オフセット値加算後の電圧と素子温度センサ38の検出電圧に基づいて、赤外線撮像素子1をオフセット値加算後の電圧により設定される温度にするように熱電素子37に対し電力を供給するようにしたものである。したがって、赤外線撮像素子1に供給するバイアス電圧を自動調整することにより赤外線撮像素子1の各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを予め取得する必要が無く試験調整を簡素化できることに加え、電源投入直後の赤外線撮像素子1の動作温度の変動量を実施の形態1よりも小さく設定できるため、動作温度の変化に起因する固定パターンノイズの発生が少なく、キャリブレーション実施の頻度の少ない赤外線カメラが得られる効果がある。なお、前記オフセット値を零にすれば、撮像素子1の動作温度を整定温度にするまでの時間が最短となり、赤外線カメラの立ち上げ時間を最短にすることが出来る。
【0018】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。また、赤外線撮像素子1の構成は、図2と同じものである。図6において、図1および図4と同じまたは相当する構成要素にはそれぞれ同一符号を付して示す。図6では、新たな構成として筐体温度センサ48が筐体21内に設置されている。素子動作温度設定回路39のAD変換回路41には、実施の形態3の場合、筐体温度センサ48の検出電圧が入力されるようになっている。
【0019】
図7はこの実施の形態3に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートである。
電源が投入されると(ステップST31)、定電圧源5、ドライバ回路6、バイアス電圧調整回路9から赤外線撮像素子1への信号印加、および熱電素子駆動回路40から熱電素子37への電力供給が開始されるが、その立ち上り前に、直ちに次の動作が行われる。筐体温度センサ48によりカメラ筐体21の内部温度が検出される。その検出電圧はAD変換回路41でAD変換され、オフセット量加算回路42に与えられる。オフセット量加算回路42において、検出電圧のデジタル値には所定のオフセット値が加算され、メモリ43に記憶される。次に、メモリ43からオフセット値加算後の電圧データが読み出され、DA変換回路44でDA変換されて熱電素子駆動回路40に伝達される。熱電素子駆動回路40は、入力されるオフセット値加算後の電圧と素子温度センサ38の検出電圧に基づいて、赤外線撮像素子1をオフセット値加算後の電圧により設定される温度にするように熱電素子37に対し電力を供給する(ステップST32)。このステップST32の間に、赤外線撮像素子1に定電圧源5から直流電圧が印加され(ステップST33)、またドライバ回路6から素子駆動クロックが印加されるようになる(ステップST34)。このようにして赤外線撮像素子1は、筐体温度センサ48の電源投入直後の温度に所定のオフセット値を加算した温度に加熱され安定化する。その後は実施の形態1および実施の形態2と同様に動作するので説明を省略する。
このように電源投入直後の筐体温度センサ48の温度に応じて赤外線撮像素子1の動作温度を設定するようにした。このことにより、短い時間間隔で繰り返し電源をオン、オフした場合でも赤外線撮像素子1の動作温度を必要以上に高く設定することなく、低消費電力が維持される。なお、加算される所定のオフセット値を、実施の形態2で説明したように、同様に零に設定してもよい。
【0020】
以上のように、この実施の形態3によれば、上記実施の形態2に加え、素子温度センサ38により赤外線撮像素子の温度を検出し、また筐体温度センサ48によりカメラ筐体21内の温度を検出し、素子動作温度設定回路39が、電源投入直後における筐体温度センサ48の検出電圧に所定のオフセット値を加算して記憶し、記憶したオフセット値加算後の電圧を取り出し、熱電素子駆動回路40が、オフセット値加算後の電圧と素子温度センサ38の検出電圧に基づいて、赤外線撮像素子1をオフセット値加算後の電圧により設定される温度にするように熱電素子37に対し電力を供給するようにしたものである。したがって、赤外線撮像素子1に供給するバイアス電圧を自動調整することにより赤外線撮像素子1の各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを予め取得する必要が無く試験調整を簡素化できることに加え、赤外線撮像素子1の動作温度の変動量を実施の形態1よりも小さくできるため、動作温度の変化に起因する固定パターンノイズの発生が少なく、キャリブレーションデータ取得頻度の少ない赤外線カメラが得られる効果がある。また、電源投入直後の筐体温度センサ48の温度に応じて赤外線撮像素子1の動作温度を設定するようにしているので、上記実施の形態2と比較すると、短い時間間隔で繰り返し電源をオン、オフした場合でもオフセット加算量がオン、オフの回数に応じて重畳されることがないため赤外線撮像素子1の動作温度を周囲温度からかけ離れて設定することがなく、消費電力の増加を回避出来る効果が得られる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、赤外窓および素子パッケージにより形成された真空槽の中に実装された赤外線撮像素子に対する出力オフセットレベルを設定する赤外線カメラにおいて、赤外窓の前面で赤外線撮像素子の視野を覆う位置に設置され、キャリブレーション実行時に赤外線撮像素子の受光面を構成する検知素子の各々に対して等しい強度の校正用赤外線を入射する校正用赤外線入射手段と、校正用赤外線の入射時に時間的に増加または減少するバイアス電圧を赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧調整回路と、校正用赤外線の入射時の赤外線撮像素子からバイアス電圧の変化に応答して増加または減少する検知素子の各出力電圧を平均化する素子出力レベル検出回路とを備え、バイアス電圧調整回路は、素子出力レベル検出回路の平均化された出力電圧レベルを目標値と比較し、当該出力電圧レベルが目標値を中心とした規定の範囲に到達した時点でのバイアス電圧の値を記憶し、当該記憶したバイアス電圧の値に基づいて校正用赤外線の入射解除後の画像を入手するための出力オフセットレベルを設定するように構成したので、赤外線撮像素子の各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを必要とせずに赤外線撮像素子に供給するバイアス電圧を自動調整できるため、試験調整の工数を低減でき、低コストな赤外線カメラが得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る赤外線撮像素子の構成を示す回路図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 赤外線撮像素子、8 素子出力レベル検出回路、9 バイアス電圧調整回路、18 校正用赤外線入射手段、22〜25 検知素子、37 熱電素子、38 素子温度センサ、39 素子動作温度設定回路、40 熱電素子駆動回路、48 筐体温度センサ。
【発明の属する技術分野】
この発明は赤外線カメラ、特にボロメータアレイ等の常温で動作する熱型の赤外線撮像素子を用いた非冷却型の赤外線カメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の赤外線カメラは、赤外線撮像素子の動作温度を、電源投入直後における周囲温度に所望のオフセット量を加算した温度に維持して撮像を行なうことにより、低消費電力化と立ち上げ時間の短縮を図っている(例えば、特許文献1参照。)。この技術においては、赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係を各動作温度の関数として用いているが、この関数データは赤外線カメラ内に設けたデータテーブルに予め記憶しておく。電源投入時にこのデータテーブルを参照することにより、赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧を調整して出力オフセット電圧を動作温度によらず一定に維持し、後段の電子回路の飽和を回避して撮像するようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−122472号公報(第4頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の赤外線カメラは、以上のように構成されているが、バイアス電圧と出力オフセット電圧との関係は、使用される赤外線撮像素子によって異なる場合が多い。そのため、上記データテーブルとしては、個々の赤外線撮像素子に対してそれぞれ固有の値に決めたものを準備することが必要となる。したがって、試験調整時のデータ取得作業がカメラ1つ1つについて要求されるので、生産効率上好ましくなく、製造コストが高い要因となるなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを備える必要が無く、試験調整の工数を削減し低コストな赤外線カメラを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る赤外線カメラは、赤外線撮像素子の視野を覆う位置に設置され、赤外線撮像素子を構成する検知素子の各出力オフセットのばらつきに対する校正を行なうためのキャリブレーションデータ取得時に検知素子の各々に対して等しい強度の校正用赤外線を入射する校正用赤外線入射手段と、校正用赤外線の入射時に時間的に増加または減少するバイアス電圧を赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧調整回路と、校正用赤外線の入射時のバイアス電圧の変化に応答して増加または減少する検知素子の各出力電圧を平均化し検出する素子出力レベル検出回路とを備え、バイアス電圧調整回路は、素子出力レベル検出回路の出力電圧レベルを目標値と比較し、当該出力電圧レベルが目標値を中心とした規定の範囲に到達した時点でのバイアス電圧の値を記憶し、当該記憶した値のバイアス電圧を撮像素子に印加してキャリブレーションデータの取得と校正用赤外線の入射解除後の撮像を行なうようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の各実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。図において、赤外線撮像素子1は、赤外窓2および素子パッケージ3により形成された真空槽の中で赤外光学系4の結像面に実装されている。この実装方法としては、例えば特開平7−508384に記載のような方法が用いられている。赤外線撮像素子1には、定電圧源5、ドライバ回路6、増幅・表示処理回路7、素子出力レベル検出回路8およびバイアス電圧調整回路9が電気的に接続している。素子出力レベル検出回路8は、AD変換回路10と平均化回路11から構成される。バイアス電圧調整回路9は、目標値12、比較回路13、ランプ波形出力回路14、メモリ15、スイッチ16およびDA変換回路17から構成される。校正用赤外線入射手段18は、赤外線撮像素子1の視野を覆う位置で、かつ赤外光学系4と赤外窓2との間に設置されている。この実施の形態1ではシャッタを念頭において説明を行なうが、校正用赤外線入射手段18としては、図2に示すように赤外線撮像素子1の受光面に配置された検知素子22〜25の各々に対して等しい強度の赤外線を入射できる手段であれば、デフォーカス板等他の手段であってもよい。タイミング発生回路19および電源回路20は、定電圧源5、ドライバ回路6、増幅・表示処理回路7、素子出力レベル検出回路8、バイアス電圧調整回路9、校正用赤外線入射手段18等の構成要素に必要な駆動クロックと電力を供給している。上記説明した各構成要素はカメラ筐体21内に収納されている。
【0008】
図2は赤外線撮像素子1の回路構成を示しており、説明を簡素化するために、2×2画素のものを例示した。赤外線撮像素子1は、検知素子22〜25、ダイオード26〜29、トランジスタ30〜34、水平走査回路35、および垂直走査回路36から構成される。検知素子22〜25は、例えば特表平7−509057に記載されている中空断熱構造を有するマイクロボロメータが用いられる。
【0009】
図3は実施の形態1に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートで、このフローチャートに沿って動作を説明する。
電源が投入されると(ステップST1)、電源回路20から各部に電力が供給される(ステップST2)。次に、タイミング発生回路19で素子駆動クロックが発生し、ドライバ回路6を通して赤外線撮像素子1内の水平走査回路35と垂直走査回路36に印加される(ステップST3)。上記動作によりトランジスタ30〜33を順次導通状態にし、定電圧源5から印加される直流電圧とトランジスタ34の特性により決まる電流がバイアス電圧調整回路9から検知素子22〜25に順次供給される。このことにより、検知素子22〜25はフレーム毎に繰り返して、抵抗値に応じた各画像電圧信号を増幅・表示処理回路7と素子出力レベル検出回路8へ出力する(ステップST4)。
【0010】
次に、タイミング発生回路19がキャリブレーション実行信号を発生し(ステップST5)、これによってシャッタ(校正用赤外線入射手段)18を閉じて(ステップST6)、各検知素子22〜25に対し等しい強度の赤外線を入射する。この状態で、スイッチ16の接続先が図示されたように設定されていると、ランプ波形出力回路14からは、時間的に増加または減少するバイアス電圧データ(デジタル値)がDA変換回路17に出力され、アナログ電圧に変換される(ステップST7)。この動作により、トランジスタ34へ印加するバイアス電圧は、時間的に増加または減少し、検知素子22〜25の出力も増加または減少する。
【0011】
次に、増加または減少する検知素子22〜25の各出力電圧は、素子出力レベル検出回路8内のAD変換回路10でデジタル値に変換され、さらに平均化回路11で平均化処理される。平均化回路11の出力は、比較回路13において目標値12と比較され、平均化回路11の出力が目標値を中心とした規定の範囲に到達した時点で、ランプ波形出力回路14の出力はメモリ15に記憶される(ステップST8)。またこの時、スイッチ16はメモリ15の出力がDA変換回路17に入力されるように切り替えられ、メモリ15に記憶されたデータに基づいて赤外線撮像素子1の出力オフセットレベルは赤外線撮像素子1の動作温度における目標値に設定される(ステップST9)。
【0012】
次に、シャッタ(校正用赤外線入射手段)18が閉じたままの状態で、検知素子22〜25個々の出力が増幅・表示処理回路7において取得され、検知素子22〜25個々の抵抗値(各出力オフセット)のばらつきを補正するためのキャリブレーションデータとして増幅・表示処理回路7に記憶される(ステップST10)。次に、シャッタ(校正用赤外線入射手段)18を開くと(ステップST11)、被写体が放射する赤外線は赤外光学系4により集光して、赤外窓2を通して検知素子22〜25に結像する。シャッタ開時の検知素子22〜25個々の出力から上記取得したキャリブレーションデータを検知素子毎に差し引くことにより、各検知素子で放射赤外線の吸収により生じる数mK程度の微少な温度上昇に起因する抵抗値の変化による電気信号の変化が画像表示のためのビデオ信号として出力される(ステップST12)。
撮像開始後時間が経過すると、赤外線撮像素子1の動作温度の変化に伴い、固定パターンノイズの増加による画像劣化が生じる。このときには再度キャリブレーションを実行するが、ステップST9でキャリブレーションデータ取得前にバイアス電圧調整回路9から赤外線撮像素子1に印加するバイアス電圧の再調整を行なう。
【0013】
以上のように、この実施の形態1によれば、赤外窓2の前面で赤外線撮像素子1の視野を覆う位置に設置された校正用赤外線入射手段18により、キャリブレーション実行時に赤外線撮像素子1の受光面を構成する検知素子の各々に対して等しい強度の校正用赤外線を入射し、バイアス電圧調整回路9が、校正用赤外線の入射時に時間的に増加または減少するバイアス電圧を赤外線撮像素子1に印加し、素子出力レベル検出回路8が、校正用赤外線の入射時の赤外線撮像素子1からバイアス電圧の変化に応答して増加または減少する検知素子の各出力電圧を取り出しAD変換して平均化し、バイアス電圧調整回路9が、素子出力レベル検出回路8の平均化された出力電圧レベルを目標値と比較し、当該出力電圧レベルが目標値を中心とした規定の範囲に到達した時点でのバイアス電圧の値を記憶し、当該記憶したバイアス電圧の値に基づいて校正用赤外線の入射解除後の画像を入手するための出力オフセットレベルを設定するようにしたので、赤外線撮像素子1に供給するバイアス電圧を自動調整でき、そのために赤外線撮像素子1の各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを予め取得する必要が無く、試験調整を簡素化できる効果が得られる。
【0014】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。また、赤外線撮像素子1の構成は、図2と同じものである。図4において、図1と同じまたは相当する構成要素については同一符号を付して示す。図4では、新たな構成として、赤外窓2と素子パッケージ3で構成される真空槽内で、赤外線撮像素子1に対しそれぞれ熱的に接続される熱電素子37と素子温度センサ38が新たに設置されている。素子温度センサ38は、素子動作温度設定回路39と熱電素子駆動回路40に接続され、熱電素子駆動回路40の出力は熱電素子37に接続している。素子動作温度設定回路39は、信号の入力から出力に向かって、AD変換回路41、オフセット量加算回路42、メモリ43、DA変換回路44から構成される。
【0015】
図5はこの実施の形態2に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートで、このフローチャートに沿って動作を説明する。
電源が投入されると(ステップST21)、定電圧源5、ドライバ回路6、バイアス電圧調整回路9から赤外線撮像素子1への信号印加、および熱電素子駆動回路40から熱電素子37への電力供給が開始されるが、これらの動作の立ち上り前に、直ちに次の動作が行われる。素子温度センサ38の検出電圧がAD変換回路41でAD変換され、オフセット量加算回路42においてその値に所定のオフセット値が加算され、メモリ43に記憶される。立ち上げ時間を最短にするという観点からは、このオフセット値は、零が望ましいが、一般的な監視用や携帯用のカメラでは動作開始後の低消費電力化を考慮して、カメラ筐体21内の上昇温度に相当する10℃程度の正の値とする。次に、メモリ43から読み出したオフセット値加算後の電圧はDA変換回路44でDA変換されて熱電素子駆動回路40に伝達される。熱電素子駆動回路40は、オフセット値加算後の電圧と素子温度センサの検出電圧に基づいて、赤外線撮像素子1をオフセット値加算後の電圧により設定される温度にするように熱電素子37に対し電力を供給する(ステップST22)。このステップST22の間に、赤外線撮像素子1に定電圧源5から直流電圧が印加され(ステップST23)、またドライバ回路6から素子駆動クロックが印加されるようになる(ステップST24)。このようにして赤外線撮像素子1は、素子温度センサ38の電源投入直後の温度に所望のオフセット値を加算した温度に加熱され安定化する。
【0016】
赤外線撮像素子1から画像電圧信号が出力した後は実施の形態1と同様に動作する。素子動作温度設定回路39で設定した赤外線撮像素子1の動作温度において、バイアス電圧調整回路9が、キャリブレーション実行信号に基づき、出力オフセットレベルが目標値になるようなバイアス電圧値を自動設定して赤外線撮像素子1に供給し、キャリブレーションデータ取得を行ない、画像を表示する。熱電素子37を用いて一定温度に温度制御しているため、赤外線撮像素子1の動作温度は一旦動作を開始した後は実施の形態1と比較して遥かに安定してはいるものの、撮像開始後時間が経過すると赤外線撮像素子1の動作温度は数mKオーダのレベルでは微少な変化が生じ、これに伴い固定パターンノイズ増加による画像劣化が生じる。このときには再度キャリブレーションを実行するが、ステップST9に示すようにキャリブレーションデータ取得前にバイアス電圧調整回路9から赤外線撮像素子1に印加するバイアス電圧の再調整を行なう。
【0017】
以上のように、この実施の形態2は、上記実施の形態1に加え、素子温度センサ38により赤外線撮像素子1の温度を検出し、素子動作温度設定回路39が、電源投入直後における素子温度センサ38の検出電圧に所定のオフセット値を加算して記憶し、記憶したオフセット値加算後の電圧を取り出し、熱電素子駆動回路40が、オフセット値加算後の電圧と素子温度センサ38の検出電圧に基づいて、赤外線撮像素子1をオフセット値加算後の電圧により設定される温度にするように熱電素子37に対し電力を供給するようにしたものである。したがって、赤外線撮像素子1に供給するバイアス電圧を自動調整することにより赤外線撮像素子1の各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを予め取得する必要が無く試験調整を簡素化できることに加え、電源投入直後の赤外線撮像素子1の動作温度の変動量を実施の形態1よりも小さく設定できるため、動作温度の変化に起因する固定パターンノイズの発生が少なく、キャリブレーション実施の頻度の少ない赤外線カメラが得られる効果がある。なお、前記オフセット値を零にすれば、撮像素子1の動作温度を整定温度にするまでの時間が最短となり、赤外線カメラの立ち上げ時間を最短にすることが出来る。
【0018】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。また、赤外線撮像素子1の構成は、図2と同じものである。図6において、図1および図4と同じまたは相当する構成要素にはそれぞれ同一符号を付して示す。図6では、新たな構成として筐体温度センサ48が筐体21内に設置されている。素子動作温度設定回路39のAD変換回路41には、実施の形態3の場合、筐体温度センサ48の検出電圧が入力されるようになっている。
【0019】
図7はこの実施の形態3に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートである。
電源が投入されると(ステップST31)、定電圧源5、ドライバ回路6、バイアス電圧調整回路9から赤外線撮像素子1への信号印加、および熱電素子駆動回路40から熱電素子37への電力供給が開始されるが、その立ち上り前に、直ちに次の動作が行われる。筐体温度センサ48によりカメラ筐体21の内部温度が検出される。その検出電圧はAD変換回路41でAD変換され、オフセット量加算回路42に与えられる。オフセット量加算回路42において、検出電圧のデジタル値には所定のオフセット値が加算され、メモリ43に記憶される。次に、メモリ43からオフセット値加算後の電圧データが読み出され、DA変換回路44でDA変換されて熱電素子駆動回路40に伝達される。熱電素子駆動回路40は、入力されるオフセット値加算後の電圧と素子温度センサ38の検出電圧に基づいて、赤外線撮像素子1をオフセット値加算後の電圧により設定される温度にするように熱電素子37に対し電力を供給する(ステップST32)。このステップST32の間に、赤外線撮像素子1に定電圧源5から直流電圧が印加され(ステップST33)、またドライバ回路6から素子駆動クロックが印加されるようになる(ステップST34)。このようにして赤外線撮像素子1は、筐体温度センサ48の電源投入直後の温度に所定のオフセット値を加算した温度に加熱され安定化する。その後は実施の形態1および実施の形態2と同様に動作するので説明を省略する。
このように電源投入直後の筐体温度センサ48の温度に応じて赤外線撮像素子1の動作温度を設定するようにした。このことにより、短い時間間隔で繰り返し電源をオン、オフした場合でも赤外線撮像素子1の動作温度を必要以上に高く設定することなく、低消費電力が維持される。なお、加算される所定のオフセット値を、実施の形態2で説明したように、同様に零に設定してもよい。
【0020】
以上のように、この実施の形態3によれば、上記実施の形態2に加え、素子温度センサ38により赤外線撮像素子の温度を検出し、また筐体温度センサ48によりカメラ筐体21内の温度を検出し、素子動作温度設定回路39が、電源投入直後における筐体温度センサ48の検出電圧に所定のオフセット値を加算して記憶し、記憶したオフセット値加算後の電圧を取り出し、熱電素子駆動回路40が、オフセット値加算後の電圧と素子温度センサ38の検出電圧に基づいて、赤外線撮像素子1をオフセット値加算後の電圧により設定される温度にするように熱電素子37に対し電力を供給するようにしたものである。したがって、赤外線撮像素子1に供給するバイアス電圧を自動調整することにより赤外線撮像素子1の各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを予め取得する必要が無く試験調整を簡素化できることに加え、赤外線撮像素子1の動作温度の変動量を実施の形態1よりも小さくできるため、動作温度の変化に起因する固定パターンノイズの発生が少なく、キャリブレーションデータ取得頻度の少ない赤外線カメラが得られる効果がある。また、電源投入直後の筐体温度センサ48の温度に応じて赤外線撮像素子1の動作温度を設定するようにしているので、上記実施の形態2と比較すると、短い時間間隔で繰り返し電源をオン、オフした場合でもオフセット加算量がオン、オフの回数に応じて重畳されることがないため赤外線撮像素子1の動作温度を周囲温度からかけ離れて設定することがなく、消費電力の増加を回避出来る効果が得られる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、赤外窓および素子パッケージにより形成された真空槽の中に実装された赤外線撮像素子に対する出力オフセットレベルを設定する赤外線カメラにおいて、赤外窓の前面で赤外線撮像素子の視野を覆う位置に設置され、キャリブレーション実行時に赤外線撮像素子の受光面を構成する検知素子の各々に対して等しい強度の校正用赤外線を入射する校正用赤外線入射手段と、校正用赤外線の入射時に時間的に増加または減少するバイアス電圧を赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧調整回路と、校正用赤外線の入射時の赤外線撮像素子からバイアス電圧の変化に応答して増加または減少する検知素子の各出力電圧を平均化する素子出力レベル検出回路とを備え、バイアス電圧調整回路は、素子出力レベル検出回路の平均化された出力電圧レベルを目標値と比較し、当該出力電圧レベルが目標値を中心とした規定の範囲に到達した時点でのバイアス電圧の値を記憶し、当該記憶したバイアス電圧の値に基づいて校正用赤外線の入射解除後の画像を入手するための出力オフセットレベルを設定するように構成したので、赤外線撮像素子の各動作温度におけるバイアス電圧と出力オフセット電圧との関係に関するデータテーブルを必要とせずに赤外線撮像素子に供給するバイアス電圧を自動調整できるため、試験調整の工数を低減でき、低コストな赤外線カメラが得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る赤外線撮像素子の構成を示す回路図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3による赤外線カメラの回路構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る赤外線カメラの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 赤外線撮像素子、8 素子出力レベル検出回路、9 バイアス電圧調整回路、18 校正用赤外線入射手段、22〜25 検知素子、37 熱電素子、38 素子温度センサ、39 素子動作温度設定回路、40 熱電素子駆動回路、48 筐体温度センサ。
Claims (4)
- 赤外線撮像素子の視野を覆う位置に設置され、前記赤外線撮像素子を構成する検知素子の各出力オフセットのばらつきに対する校正を行なうためのキャリブレーションデータ取得時に前記検知素子の各々に対して等しい強度の校正用赤外線を入射する校正用赤外線入射手段と、
前記校正用赤外線の入射時に時間的に増加または減少するバイアス電圧を前記赤外線撮像素子に印加するバイアス電圧調整回路と、
前記校正用赤外線の入射時の前記バイアス電圧の変化に応答して増加または減少する検知素子の各出力電圧を平均化し検出する素子出力レベル検出回路とを備え、
前記バイアス電圧調整回路は、素子出力レベル検出回路の出力電圧レベルを目標値と比較し、当該出力電圧レベルが目標値を中心とした規定の範囲に到達した時点での前記バイアス電圧の値を記憶し、当該記憶した値のバイアス電圧を前記撮像素子に印加して前記キャリブレーションデータの取得と前記校正用赤外線の入射解除後の撮像を行なう赤外線カメラ。 - 赤外線撮像素子の温度を制御する熱電素子と、
前記赤外線撮像素子の温度を検出する素子温度センサと、
電源投入直後における前記素子温度センサの検出電圧に所定のオフセット値を加算して記憶し、記憶したオフセット値加算後の電圧を取り出す素子動作温度設定回路と、
前記オフセット値加算後の電圧と前記素子温度センサの検出電圧に基づいて、前記赤外線撮像素子を前記オフセット値加算後の電圧により設定される温度にするように前記熱電素子に対し電力を供給する熱電素子駆動回路とを備えたことを特徴とする請求項1記載の赤外線カメラ。 - 赤外線撮像素子の温度を制御する熱電素子と、
前記赤外線撮像素子の温度を検出する素子温度センサと、
カメラ筐体内の温度を検出する筐体温度センサと、
電源投入直後における前記筐体温度センサの検出電圧に所定のオフセット値を加算して記憶し、記憶したオフセット値加算後の電圧を取り出す素子動作温度設定回路と、
前記オフセット値加算後の電圧と前記素子温度センサの検出電圧に基づいて、前記赤外線撮像素子を前記オフセット値加算後の電圧により設定される温度にするように前記熱電素子に対し電力を供給する熱電素子駆動回路とを備えたことを特徴とする請求項1記載の赤外線カメラ。 - 所定のオフセット値を零に設定したことを特徴とする請求項2または請求項3記載の赤外線カメラ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011024891A (ja) * | 2009-07-28 | 2011-02-10 | Hoya Corp | Sfeキャリブレーション装置およびsfeキャリブレーション方法 |
US8159568B2 (en) * | 2009-03-26 | 2012-04-17 | Ahdoot Ned M | Hardware implemented pixel level digital filter and processing of electromagnetic signals |
KR101808375B1 (ko) * | 2011-06-10 | 2017-12-12 | 플리어 시스템즈, 인크. | 저전력 소형 폼 팩터 적외선 이미징 |
WO2020090784A1 (ja) * | 2018-10-30 | 2020-05-07 | パイオニア株式会社 | 電磁波検出装置及び電磁波検出システム |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003095557A patent/JP2004304545A/ja active Pending
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