JP2004304521A - アンテナ回路及び無線送受信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、無線送受信における通信の途切れを発生せず、アンテナの外部環境に応じた最適マッチングを行えるアンテナ回路を提供する。
【解決手段】携帯電話機のアンテナ回路において、送信部1又は受信部2とアンテナAとの間に、複数のマッチング回路MC1乃至MC3が設けられる。制御部51は、アンテナの外部環境として携帯電話機の使用状態である待受け状態、通常の音声通話状態又はハンズフリーでの通話状態を検出し、各状態に対応するマッチング回路を選択接続する。各マッチング回路は、各状態に応じたアンテナマッチングのずれを最適化するインピーダンスを有するように予め設計される。
【選択図】 図1
【解決手段】携帯電話機のアンテナ回路において、送信部1又は受信部2とアンテナAとの間に、複数のマッチング回路MC1乃至MC3が設けられる。制御部51は、アンテナの外部環境として携帯電話機の使用状態である待受け状態、通常の音声通話状態又はハンズフリーでの通話状態を検出し、各状態に対応するマッチング回路を選択接続する。各マッチング回路は、各状態に応じたアンテナマッチングのずれを最適化するインピーダンスを有するように予め設計される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部環境に応じたアンテナマッチングを最適化自動制御できるアンテナ回路及び無線送受信装置に関し、固定型電話機や、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、無線送受信機能を持つPDA(Personal Digital Assistants)などの移動式の無線送受信装置に適用されるものであり、人体等が関係した外部環境によるアンテナマッチングのずれを最適化自動制御し、安定したアンテナ利得が得られ、通信品質を向上するアンテナ回路及び無線送受信装置に関する。
【0002】
なお、上記説明した移動式の無線送受信装置は、以下、移動無線送受信装置と呼ぶ。
【0003】
【従来の技術】
従来の無線送受信装置においては、最適な無線通信を行えるように、アンテナと送受信部との間に、アンテナマッチング回路が接続されている。しかし、携帯電話機などの移動無線送受信装置の場合には、装備されたアンテナのインピーダンスは、一般的に、通話使用時などのように、アンテナに人体が接触し、或いは、アンテナに人体が近づくことにより、インピーダンスが変化し、それにともなってアンテナの利得が変化する。したがって、携帯電話機のアンテナから送信される送信電力が大きく変動し、通信品質の劣化を招来する。
【0004】
そこで、この通信品質の劣化を防止するために、例えば、コードレス電話機の子機の場合には、子機のケース内にアンテナに接続する無線送受信回路と制御回路とからなる内部回路とスイッチとを設け、このスイッチを介してアンテナとスタブを接続している。アンテナに人体が接触する状態などのような子機の使用状態によって、アンテナのインピーダンスが変化して、アンテナの利得が変化するような場合には、スイッチを切り換えて、アンテナとスタブとを接続状態にすることにより、アンテナと内部回路との間のインピーダンスマッチングを行って、送信電力の低下を防止し、安定した通話を行うようにしている。
【0005】
また、PDAの場合には、内部無線回路と線状アンテナ部とを接続した給電点に整合用スタブを接続し、この整合用スタブに対して複数種類の接点を介して回転式に切換接続をする複数種類のスタブから形成する手動スイッチングスタブ群を設け、アンテナに対する人体の接触と非接触状態に応じて手動スイッチングスタブ群のオン・オフの切り換えをするようにしている。
【0006】
しかし、上述の場合には、受信電界強度により整合回路の選択を行っているものであるから、人体がアンテナに接触してアンテナのインピーダンスが変化することにより、その送信電力の変化を補正して一定の送信電力を得ることが困難である。また、複数種類のスタブを手動で切り換えているものであり、アンテナインピーダンスの瞬時の変化による送信電力の変化に対して瞬時に追従して一定の通信品質の劣化を抑制することができないという問題がある。
【0007】
そこで、この問題を解決するため、アンテナに人体が接触することによるアンテナのインピーダンスの変化に対応して自動的に適切なマッチング回路を選択することができ、安定したアンテナ利得で高品質の通信を行うことができるアンテナ回路が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0008】
この様なアンテナ回路を内蔵した移動無線送受信装置の全体的な概略ブロック構成を、図5に示した。図5では、移動無線送受信装置10として、例えば、携帯電話機の場合を示している。携帯電話機は、一般に、主制御部CONTで制御されるマイクロフォンMIC、スピーカSP、ディスプレイデバイスSP、電話番号等を入力するテンキーTK、そして、電話帳、電子メール等を記憶しておくメモリSTを備えている。さらに、携帯電話機として機能させるため、アンテナA、アンテナ回路AC、送信部1及び受信部2を有し、主制御部CONTが、アンテナ回路における送受信時の送信部1又は受信部の切換などを制御し、音声通話時には、マイクロフォンMICとスピーカSPを駆動させる。
【0009】
そこで、図5に示された構成の携帯電話機において使用され、提案されている従来のアンテナ回路ACの具体例を、図6に示した。このアンテナ回路ACは、送信部1と受信部2とをアンテナAに切換接続する送受信切換部3、それぞれ異なるインピーダンスを有し、アンテナAとのインピーダンスマッチングを行う複数個のマッチング回路M1乃至M3と、該複数個のマッチング回路M1乃至M3を選択するための回路切換部4とを備えている。
【0010】
さらに、回路切換部4によって選択されたマッチング回路ごとに、アンテナAの送信出力レベルを検出する電力検出部6と、該電力検出部6で検出された複数個のマッチング回路ごとに係る出力レベルの検出値を比較して、アンテナAの送信電力レベルが最大となるマッチング回路を選択するように、回路切換部4を切換制御する制御部5とを備えている。この制御部5は、主制御部CONTに含まれていてもよい。
【0011】
このような回路構成によるアンテナ回路ACの動作を説明する。先ず、常に送信部の出力電力が一定になるように制御しておき、インピーダンスの異なる複数個のマッチング回路M1乃至M3に送信電力を供給する。制御部5の制御により、回路切換部4でマッチング回路を順次選択する。その選択されたマッチング回路を通して、送信部1の送信電力がアンテナAに給電される。選択されたマッチング回路ごとに、アンテナAの送信電力レベルを電力検出部6で検出し、制御部5に検出結果が送出される。
【0012】
制御部5では、選択されたマッチング回路ごとの電力検出部6による検出結果が比較され、アンテナAの送信電力レベルの最大値を示すマッチング回路を選択する。制御部5は、この選択結果により回路切換部4を切換制御する。このように、当該アンテナ回路ACに拠れば、アンテナAに人体などが接触して、アンテナのインピーダンスが変化して、アンテナの利得が変動しても、送信中に常に適切なマッチング回路を選択することができる。そのため、アンテナの送信電力の変動が抑制され、通信品質が向上することができるとしている。
【0013】
【特許文献1】
特開平11−145852号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上に示したアンテナ回路では、予め用意してある複数のマッチング回路から、受信レベル又は送信電力最大になるマッチング回路が選択されるようになっている。
【0015】
一方、携帯電話機などの移動無線送受信装置10の通信方式には、時分割多重(TDMA)が採用されており、例えば、パーソナル・ディジタル・セルラー(PDC)では、複数のユーザが使用する無線チャネルは、1フレームの中で一つの無線周波数を使用する時間が、いくつかのタイムスロットに分割され、各ユーザの移動無線送受信装置は、異なるタイムスロットを使用して通信を行う。
【0016】
PDC方式の3チャネルTDMAにおいて、移動機のフルレート通話は、T(送信)スロット、R(受信)スロット、I(アイドル)スロットの3スロット構成になっている。そして、基地局における送信のタイミングが、送信と約1ms程度だけずらされているので、移動機の通信においても、R(受信)スロットのバースト受信の前に約1ms程度の空きが生じる。この間に、ダイバーシチブランチ切り換えが行われる。
【0017】
そこで、図6に示された従来のアンテナ回路がこのPDC方式の移動無線送受信装置に適用された場合、Tスロットで送信レベルが検出され、Rスロットで受信レベルが検出され、それぞれ最大出力になるマッチング回路が選択されることになる。
【0018】
しかしながら、回路切換部の切換制御による選択は、送信スロット又は受信スロット内で行われることになるため、その切換タイミングで、送信データ又は受信データが欠落し、送受信による通話に途切れが発生した。このことは、無線送受信の通信品質を低下することを意味している。
【0019】
そこで、本発明は、無線送受信における通信の途切れを発生することなく、アンテナの最適インピーダンスマッチングを行えるアンテナ回路と、該アンテナ回路を備えた無線送受信装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明では、複数のマッチング回路が切り換えられ、アンテナのインピーダンスマッチングが行われるアンテナ回路において、前記マッチング回路の各々が、前記アンテナに係る複数の外部環境状態に夫々対応した最適インピーダンスを有し、前記アンテナの外部環境状態に応じて、該マッチング回路を切換制御することとした。
【0021】
そして、前記複数の外部環境状態には、自由空間使用状態、導体若しくは誘電体近接使用状態、導体若しくは誘電体離間使用状態が含まれるようにした。
【0022】
また、本発明では、アンテナとマッチング回路とを含むアンテナ回路を備え、該アンテナ回路を送信部又は受信部に切換接続される無線送受信装置において、前記アンテナ回路が、前記アンテナに係る複数の外部環境状態に夫々対応した最適インピーダンスを有する複数のマッチング回路を有し、前記アンテナの外部環境状態に応じて、前記マッチング回路を切換制御することとした。
【0023】
そして、前記送受信部又は受信部が前記アンテナ回路に切換接続されて移動無線通話を行える無線送受信装置であって、検出部が検出する前記外部環境状態には、通話待受け状態、音声通話状態、ハンズフリー通話状態が含まれるようにした。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるアンテナ回路を備えた無線送受信装置の実施形態について、図1を参照しながら、説明する。
【0025】
図6に示された従来のアンテナ回路ACでは、インピーダンスの異なる複数個のマッチング回路M1乃至M3は、互いに異なるインピーダンスとし、制御部が、アンテナの送信電力レベルの最大値を示すマッチング回路を選択し、この選択結果により回路切換部4のスイッチを制御するものであった。
【0026】
従来のアンテナ回路ACを、例えば、携帯電話機に使用すると、その通話中であっても、ユーザによる使用状態、例えば、人が手に持って行う通常の通話状態や、人が手に持たないで行うハンズフリー通話状態などでは、アンテナのインピーダンスが変化するため、通話中にマッチング回路の切換制御が行われ、送受信データの欠落が発生する。そのため、従来のアンテナ回路ACでは、最適レベルで通信が行われたとしても、通信品質が低下することになった。
【0027】
そこで、本実施形態のアンテナ回路では、最適レベルで通信ができ、しかも、データの欠落という通信品質の劣化が生じないように、無線送受信装置が使用される複数の外部環境状態のそれぞれに応じた最適インピーダンスを有する複数のマッチング回路を備え、アンテナインピーダンスに影響する無線送受信装置のアンテナに係る外部環境状態を検出し、この検出結果に基づいて、複数のマッチング回路を選択して切り換えることとした。これによって、無線送受信装置の外部環境状態が検出された時点で、アンテナマッチングのずれが最適化され、無線送受信装置の使用の途中においてマッチング回路を切り換える必要がなくなる。
【0028】
図1は、携帯電話機に適用した本実施形態のアンテナ回路の構成例を示している。図6の従来のアンテナ回路ACでは、複数のマッチング回路M1乃至M3として、単に、各々のインピーダンスが異なるだけであったが、携帯電話機の場合には、備えられたアンテナの利得が、ユーザの人体の近接又は離間によって変化することに着目し、その外部環境状態の変化に応じて、アンテナの利得が最適となるインピーダンス有するマッチング回路をアンテナの取りえる外部環境状態の数だけ設けた。
【0029】
その外部環境状態は、携帯電話機の使用状態で決められ、例えば、音声通話が行われていない待機状態にある待受け状態、電話機を手で持ち、受話器部分、つまり、スピーカSPを耳に当てた状態で音声通話が行われている通常の音声通話状態、ハンズフリーで離れて音声通話が行われているハンズフリー通話状態の3態様による携帯電話機の使用状態が含まれる。図1のアンテナ回路ACでは、これらの携帯電話機の使用状態に対応して、待受け用マッチング回路MC1、音声通話用マッチング回路MC2、そして、ハンズフリー用マッチング回路MC3が備えられている。
【0030】
なお、各外部環境状態に応じたアンテナのインピーダンスは、それぞれの状態におけるユーザの個人間であまり差がないので、マッチング回路の最適インピーダンスは、使用機種の構造に従って容易に設計される。
【0031】
これらのマッチング回路MC1乃至MC3は、回路切換部41によって切り換えられて、アンテナAに接続される。その回路切換部41は、制御部51によって制御される。この制御部51は、携帯電話機の使用状態を検出し、その検出結果に対応するマッチング回路MC1乃至MC3を自動的に切換制御するようになっている。なお、制御部51は、図5に示された移動無線送受信装置10内の主制御部CONTに含まれる。
【0032】
携帯電話機の使用状態は、音声通話検出部7、ハンズフリー検出部8によって行われる。これらの検出部7、8は、もともと携帯電話機に備えられた機能を利用することができる。音声通話検出部7は、ユーザの携帯電話機に着信があったとき、通話を開始するボタンを押したことを検出する。このボタンが押されたとき、通常の音声通話使用状態と判断し、着信がなく、しかも、該ボタンが押されなければ、待受け状態と判断する。そして、ハンズフリー検出部8は、当該携帯電話機においてハンズフリーモードが設定され、通話を開始するボタンが押されたことを検出し、ハンズフリー使用状態と判断する。
【0033】
音声通話検出部7が、当該携帯電話機が待受け状態にあることを検出したときには、制御部51が回路切換部41のスイッチSW2を制御して、待受け用マッチング回路MC1がアンテナAに接続される。この場合には、アンテナAは、アンテナインピーダンスに影響を与える導体である人体からある程度離れている状態であり、マッチング回路MC1が選択されることによって、送信部1又は受信部2とアンテナAとの最適インピーダンスマッチングが行われる。
【0034】
次に、当該携帯電話機に着信があって、音声通話検出部7が、通常の音声通話使用状態を検出すると、制御部51は、回路切換部41を制御して、マッチング回路MC1からマッチング回路MC2に自動的に切り換える。この場合には、アンテナAのインピーダンスに影響する導体である人体が近接し、アンテナインピーダンスが変化している。そこで、この状態を予め想定して設定された最適インピーダンスを有するマッチング回路MC2に切り換えることによって、アンテナAと送信部1又は受信部2とアンテナAとの最適マッチングが実現される。
【0035】
また、ハンズフリー検出部8が、ハンズフリー通話状態を検出すると、制御部51は、回路切換部41を制御して、ハンズフリー用のマッチング回路MC3に自動的に切り換える。この場合には、通話しているユーザの人体とアンテナAとはかなり離れることになり、アンテナインピーダンスが、通常の音声通話使用状態に比して変化するので、ハンズフリー用のマッチング回路MC3に切り換えることによって、送信部1又は受信部2とアンテナAとの最適マッチングを実現する。
【0036】
そこで、以上に説明した、携帯電話機に備えられた制御部51による切換制御の動作フローを、図2に示した。以下に、図2のフローチャートに従って、制御部51の動作について説明する。
【0037】
先ず、携帯電話機の電源がオンにされると(ステップS1)、制御部51は、携帯電話機の送受信が待受け状態にあると判断し(ステップS2)、回路切換部41のスイッチSW2を制御して、スイッチSW2を待受け用のマッチング回路MC1に切り換える(ステップS3)。
【0038】
次いで、ユーザがテンキーTKなどによって電話発信するか、或いは、外部から着信したときには、音声通話検出部7が、携帯電話機の音声通話状態になったことを検出する。制御部51は、この検出結果が音声通話状態になったとき(ステップS4のY)、スイッチSW2を制御して、音声通話用のマッチング回路MC2に切り換える(ステップS5)。
【0039】
ここで、制御部51は、携帯電話機がハンズフリー状態で使用されているかどうかを判断する(ステップS6)。ハンズフリー検出部8が携帯電話機のハンズフリー状態を検出したときには(Y)、制御部51は、スイッチSW2を制御して、ハンズフリー用のマッチング回路MC3に切り換える(ステップS7)。携帯電話機がハンズフリー状態でなく、通常の通話状態であるときには(N)、スイッチSW2は、音声通話用のマッチング回路MC2に接続したままである。
【0040】
次いで、携帯電話機による音声通話が終了すると(ステップS8)、制御部51は、再び、待受け状態であるかどうかを判断する(ステップS9)。制御部51は、待受け状態と判断したときには(Y)、ステップS2に戻って、スイッチSW2を待受け用のマッチング回路MC1に切換制御する。一方、ステップS4において、携帯電話機が音声通話状態にないと判断したときにも(ステップS4のN)、ステップS9において、携帯電話機の待受け状態が判断される。
【0041】
ステップS9において、携帯電話機が待受け状態にないと判断されたとき(N)、例えば、携帯電話機が電話通信不可の圏外にあるときには、携帯電話機は、待受け復旧状態になる(ステップS10)。そして、ユーザによって、携帯電話機の電源がオフにされたとき、制御部51の動作は、停止する(ステップS11)。
【0042】
このように、本実施形態のアンテナ回路ACでは、使用状態の待受け状態、音声通話状態、そして、ハンズフリー通話状態に対応して、送信部又は受信部とアンテナとの最適スマッチングを図ることができるようにインピーダンス設定された複数のマッチング回路を設けた。そして、使用状態に応じて、該当するマッチング回路が選択接続されるので、マッチング回路の切換タイミングで通話が遮断されることがなくなった。
【0043】
以上で説明した本実施形態のアンテナ回路ACは、1本のアンテナを有する携帯電話機の場合であったが、携帯電話機によっては、該アンテナの他に、もう1本のアンテナを装備している場合もある。これらのアンテナのインピーダンスは、双方のアンテナを含めて決まり、さらに、上述したアンテナ回路の場合と同様に、携帯電話機の使用状態、つまり、導体である人体の近接、離間によっても、アンテナインピーダンスが変化する。そこで、アンテナ2本を装備した携帯電話機において、その使用状態に応じて、送受信部とアンテナとの間で最適マッチングするマッチング回路を設けたアンテナ回路の実施例を、図3に示した。
【0044】
図3のアンテナ回路ACは、図1のアンテナ回路ACの構成を基本としているが、携帯電話機がアンテナA1とアンテナA2の2本を装備しているため、それぞれのアンテナに対応して、マッチング回路の組a及びbが設けられている。つまり、アンテナA1に対しては、待受け用マッチング回路MC11、音声通話用マッチング回路MC21、ハンズフリー用マッチング回路MC31の組aが備えられ、これらのマッチング回路は、回路切換部42によって切り換えられる。また、アンテナA2に対しては、待受け用マッチング回路MC12、音声通話用マッチング回路MC22、ハンズフリー用マッチング回路MC32の組bが備えられ、これらのマッチング回路は、回路切換部43によって切り換えられる。
【0045】
以上の2つの組a、bのマッチング回路における個々のインピーダンスは、当該アンテナについて、携帯電話機の使用状態、つまり、アンテナの外部環境状態に応じて、導体である人体と他のアンテナとを考慮した最適インピーダンスに設計されているものとする。
【0046】
図3に示したアンテナ回路ACの動作は、図1に示したアンテナ回路の動作と基本的に同様である。例えば、当該携帯電話機に着信があり、アンテナA1を使用して送受信する場合に、音声通信検出部7が、通常の音声通話状態を検出したとき、制御部52は、回路切換部42のスイッチSW21を制御して、アンテナA1に音声通話用のマッチング回路MC21を選択制御する。なお、アンテナA2が使用されない場合には、回路切換部43のスイッチSW22は、OFFとされる。ここで、送信部1又は受信部2とアンテナA1との間には、マッチング回路MC21が接続され、アンテナA2と人体が考慮された最適マッチングが実現される。
【0047】
そこで、以上に説明した、携帯電話機に備えられた制御部52による切換制御の動作フローを、図4に示した。以下に、図4のフローチャートに従って、制御部52の動作制御を説明する。
【0048】
先ず、携帯電話機の電源がオンにされると(ステップS21)、制御部52は、携帯電話機の送受信が待受け状態にあると判断し(ステップS22)、組aに対して、回路切換部42のスイッチSW21を制御して、スイッチSW21を待受け用のマッチング回路MC11に切り換え、さらに、組bに対して、回路切換部43のスイッチSW22を制御して、スイッチSW22を待受け用のマッチング回路MC12に切り換える(ステップS23)。このときには、制御部52は、送受信切換回路3のスイッチSW1を制御し、アンテナA1側に切り換えている。
【0049】
次いで、ユーザがテンキーTKなどによって電話発信するか、或いは、外部から着信したときには、音声通話検出部7が、携帯電話機の音声通話状態になったことを検出する。制御部52は、この検出結果が音声通話状態になったと判断したとき(ステップS24のY)、組aに対し、スイッチSW21を制御して、音声通話用のマッチング回路MC21に切り換え、さらに、組bに対して、スイッチSW22を制御して、音声通話用のマッチング回路MC22に切り換える(ステップS5)。
【0050】
ここで、制御部52は、携帯電話機がハンズフリー状態で使用されているかどうかを判断する(ステップS26)。ハンズフリー検出部8が携帯電話機のハンズフリー状態を検出したときには(Y)、制御部52は、組aに対し、スイッチSW21を制御して、ハンズフリー用のマッチング回路MC31に切り換え、組bに対し、スイッチSW22を制御して、ハンズフリー用のマッチング回路MC32に切り換える(ステップS27)。携帯電話機がハンズフリー状態でなく、通常の通話状態であるときには(N)、スイッチSW21とスイッチSW22は、音声通話用のマッチング回路MC21及びMC22に接続したままである。
【0051】
ところで、携帯電話機に備えられた2本のアンテナA1とA2によって、音声通話時のダイバーシチ受信を行っている場合には、制御部52は、ダイバーシチ受信状態であるかを判断し(ステップS28)、ダイバーシチ受信状態にあるときには(Y)、送受信切換部3のスイッチSW1を制御して、アンテナA2側である組bのマッチング回路を受信部2側に切り換える(ステップS29)。
【0052】
次いで、携帯電話機による音声通話が終了すると(ステップS30)、制御部52は、再び、待受け状態であるかどうかを判断する(ステップS31)。制御部52は、待受け状態と判断したときには(Y)、ステップS22に戻って、スイッチSW21を待受け用のマッチング回路MC11に、そして、スイッチSW22を待受け用のマッチング回路MC12に切換制御する。一方、ステップS24において、携帯電話機が音声通話状態にないと判断したときにも(ステップS24のN)、ステップS31において、携帯電話機の待受け状態が判断される。
【0053】
ステップS31において、携帯電話機が待受け状態にないと判断されたとき(N)、例えば、携帯電話機が電話通信不可の圏外にあるときには、携帯電話機は、待受け復旧状態になる(ステップS32)。そして、ユーザによって、携帯電話機の電源がオフにされたとき、制御部52の動作は、停止する(ステップS33)。
【0054】
なお、図4に示した制御部52の動作では、各動作状態に応じて、マッチング回路の組a及び組bの両方を同時に切換制御しているが、例えば、携帯電話機がダイバーシチ受信に設定されている場合に、アンテナA2が使用されるタイミングで、そのときの携帯電話機の使用状態に応じて組bのマッチング回路を切換制御することもできる。
【0055】
このように、携帯電話機が2本のアンテナを装備している場合であっても、本実施形態のアンテナ回路によれば、使用状態の待受け状態、音声通話状態、そして、ハンズフリー通話状態に対応して、送信部又は受信部とアンテナとの最適スマッチングを図ることができ、マッチング回路の切換タイミングで通話が遮断されることがない。
【0056】
また、例えば、携帯電話機本体に備えられたLCDなどによるディスプレイDに対して、外部環境が暗いと、その表示部を明るくし、逆に明るいと、その表示部を暗くするという表示部の明るさ調節機能が搭載されている場合がある。この様な場合には、外部環境の明暗を検出する光センサが携帯電話機に設けられている。そこで、この光センサの動作を利用して、光センサが暗を検出し、かつ、通話中であれば、携帯電話機の使用状態が、通常の音声通話状態にあると判断することもできる。この結果に基づいて、制御部が、音声通話用のマッチング回路を選択すればよい。
【0057】
以上では、本実施形態のアンテナ回路を携帯電話機に適用した場合について説明したが、その適用は、携帯電話機に限られない。例えば、携帯情報端末装置のように、アンテナを装備した移動無線送受信装置を搭載した電子機器にも、適用可能である。
【0058】
ユーザによる当該電子機器の使用状態によって、アンテナから見た外部の環境が変化し、その変化がアンテナインピーダンスに影響を与える場合には、その変化に対応して最適マッチングを行うマッチング回路を、その外部環境状態の数だけ備えておくようにする。そして、その外部環境状態を検出する検出部を設け、この検出結果に基づいて、複数のマッチング回路を切換制御すればよい。この検出部は、元々、電子機器に備えられた機能を利用することもできるが、別途に外部環境状態を検出するセンサを設けて、そのセンサ出力によってマッチング回路を自動的に切換制御してもよい。また、当該電子機器の使用状態に応じて、ユーザが複数のマッチング回路を切換制御する情報を入力設定するようにしてもよい。
【0059】
なお、携帯電話機の使用状態として、待受け状態、音声通話状態、ハンズフリー通話状態を挙げた。これらの3態様について、移動無線送受信装置を搭載した電子機器に本実施形態のアンテナ回路を適用した場合には、この待受け状態に対して、自由空間使用状態とし、また、音声通話状態に対して、アンテナインピーダンスに影響を与える導体若しくは誘電体近接使用状態とし、さらに、ハンズフリー通話状態に対して、アンテナインピーダンスの変化にあまり影響を与えない導体若しくは誘電体離間使用状態とすることができる。
【0060】
上述の説明では、本実施形態のアンテナ回路における複数のマッチング回路は、3態様の外部環境状態を検出するようにしたが、この3態様に限られず、2態様であってもよく、また、アンテナの外部環境状態が変化する態様が、さらに多い場合には、その態様にそれぞれ対応した最適インピーダンスを有するマッチング回路を予めアンテナ回路内に設けておき、検出された外部環境状態に応じて、当該マッチング回路を選択接続するようにしてもよい。
(付記1)
複数のマッチング回路が切り換えられ、アンテナのインピーダンスマッチングが行われるアンテナ回路において、
前記マッチング回路の各々が、前記アンテナに係る複数の外部環境状態に夫々対応した最適インピーダンスを有し、前記アンテナの外部環境状態に応じて、該マッチング回路が切換制御されることを特徴とするアンテナ回路。
(付記2)
前記マッチング回路の各々は、アンテナに係る外部環境状態の検出に基づいて切換制御されることを特徴とする付記1に記載のアンテナ回路。
(付記3)
前記複数の外部環境状態には、自由空間使用状態、導体若しくは誘電体近接使用状態、導体若しくは誘電体離間使用状態が含まれることを特徴とする付記2に記載のアンテナ回路。
(付記4)
複数のアンテナを有し、該アンテナの各々に対応して前記複数のマッチング回路を夫々含む複数組が備えられ、
当該アンテナの使用に応じて、前記複数のマッチング回路の組が選択されることを特徴と付記1乃至3のいずれかに記載のアンテナ回路。
(付記5)
前記複数のマッチング回路が、前記アンテナを備えた移動無線通信装置内に設けられることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載されたアンテナ回路。(付記6)
前記複数の外部環境状態には、通話待受け状態、音声通話状態、ハンズフリー通話状態が含まれることを特徴とする付記5に記載のアンテナ回路。
(付記7)
アンテナとマッチング回路とを含むアンテナ回路を備え、該アンテナ回路が送信部又は受信部に切換接続される無線送受信装置において、
前記アンテナ回路は、前記アンテナに係る複数の外部環境状態に夫々対応した最適インピーダンスを有する複数のマッチング回路を有し、
前記アンテナの外部環境状態に応じて、前記マッチング回路が切換制御されることを特徴とする無線送受信装置。
(付記8)
前記マッチング回路の各々は、前記アンテナに係る外部環境状態を検出する検出部を有することを特徴とする付記7に記載の無線送受信装置。
(付記9)
前記検出部が検出する外部環境状態には、自由空間使用状態、導体若しくは誘電体近接使用状態、導体若しくは誘電体離間使用状態が含まれることを特徴とする付記8に記載の無線送受信装置。
(付記10)
前記送受信部又は受信部が前記アンテナ回路に切換接続されて移動無線通話を行える無線送受信装置であって、
前記検出部が検出する外部環境状態には、通話待受け状態、音声通話状態、ハンズフリー通話状態が含まれることを特徴とする付記10に記載の無線送受信装置。
(付記11)
複数のアンテナを有し、該アンテナの各々に対応して前記複数のマッチング回路を夫々含む複数組が備えられ、
当該アンテナの使用に応じて、前記複数のマッチング回路の組が選択されることを特徴と付記7乃至10のいずれかに記載の無線送受信回路。
【0061】
【発明の効果】
以上の様に、本発明では、無線送受信装置におけるアンテナ回路において、送信部又は受信部とアンテナとの間に、無線送受信装置の使用状態ごとに応じて最適インピーダンスを有するマッチング回路を使用状態の数だけ用意し、検出された使用状態に従って、該当するマッチング回路を選択接続するようにした。
【0062】
そのため、携帯電話機などの無線送受信装置において、アンテナに係る人体などの外部環境に応じて、アンテナマッチングのずれを常に最適化状態に制御することができ、アンテナ利得の最適化、安定化を図ることができる。
【0063】
また、本発明では、予め用意された複数のマッチング回路の選択が、無線送受信装置の使用状態に応じて行われ、常に最適マッチングとなるマッチング回路を選択する動作を必要としないので、当該無線送受信装置が通信している途中で、通信が遮断されることがない。さらに、マッチング回路の選択動作のための消費電流が増加することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアンテナ回路を移動無線送受信装置に適用した実施形態を説明するブロック構成の図である。
【図2】本発明によるアンテナ回路を備えた移動無線送受信装置の実施形態における制御部の動作を説明するフローチャート図である。
【図3】本発明によるアンテナ回路を移動無線送受信装置に適用した別の実施形態を説明するブロック構成の図である。
【図4】本発明によるアンテナ回路を備えた移動無線送受信装置の別の実施形態における制御部の動作を説明するフローチャート図である。
【図5】従来技術による移動無線送受信装置を説明するブロック構成の図である。
【図6】従来技術によるアンテナ回路を移動無線送受信装置に適用した例を説明するブロック構成の図である。
【符号の説明】
1…送信部
2…受信部
3…送受信切換部
4、41〜43…回路切換部
5、51、52…制御部
6…電力検出部
7…音声通話検出部
8…ハンズフリー検出部
10…移動無線送受信装置
A、A1、A2…アンテナ
AC…アンテナ回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部環境に応じたアンテナマッチングを最適化自動制御できるアンテナ回路及び無線送受信装置に関し、固定型電話機や、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、無線送受信機能を持つPDA(Personal Digital Assistants)などの移動式の無線送受信装置に適用されるものであり、人体等が関係した外部環境によるアンテナマッチングのずれを最適化自動制御し、安定したアンテナ利得が得られ、通信品質を向上するアンテナ回路及び無線送受信装置に関する。
【0002】
なお、上記説明した移動式の無線送受信装置は、以下、移動無線送受信装置と呼ぶ。
【0003】
【従来の技術】
従来の無線送受信装置においては、最適な無線通信を行えるように、アンテナと送受信部との間に、アンテナマッチング回路が接続されている。しかし、携帯電話機などの移動無線送受信装置の場合には、装備されたアンテナのインピーダンスは、一般的に、通話使用時などのように、アンテナに人体が接触し、或いは、アンテナに人体が近づくことにより、インピーダンスが変化し、それにともなってアンテナの利得が変化する。したがって、携帯電話機のアンテナから送信される送信電力が大きく変動し、通信品質の劣化を招来する。
【0004】
そこで、この通信品質の劣化を防止するために、例えば、コードレス電話機の子機の場合には、子機のケース内にアンテナに接続する無線送受信回路と制御回路とからなる内部回路とスイッチとを設け、このスイッチを介してアンテナとスタブを接続している。アンテナに人体が接触する状態などのような子機の使用状態によって、アンテナのインピーダンスが変化して、アンテナの利得が変化するような場合には、スイッチを切り換えて、アンテナとスタブとを接続状態にすることにより、アンテナと内部回路との間のインピーダンスマッチングを行って、送信電力の低下を防止し、安定した通話を行うようにしている。
【0005】
また、PDAの場合には、内部無線回路と線状アンテナ部とを接続した給電点に整合用スタブを接続し、この整合用スタブに対して複数種類の接点を介して回転式に切換接続をする複数種類のスタブから形成する手動スイッチングスタブ群を設け、アンテナに対する人体の接触と非接触状態に応じて手動スイッチングスタブ群のオン・オフの切り換えをするようにしている。
【0006】
しかし、上述の場合には、受信電界強度により整合回路の選択を行っているものであるから、人体がアンテナに接触してアンテナのインピーダンスが変化することにより、その送信電力の変化を補正して一定の送信電力を得ることが困難である。また、複数種類のスタブを手動で切り換えているものであり、アンテナインピーダンスの瞬時の変化による送信電力の変化に対して瞬時に追従して一定の通信品質の劣化を抑制することができないという問題がある。
【0007】
そこで、この問題を解決するため、アンテナに人体が接触することによるアンテナのインピーダンスの変化に対応して自動的に適切なマッチング回路を選択することができ、安定したアンテナ利得で高品質の通信を行うことができるアンテナ回路が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0008】
この様なアンテナ回路を内蔵した移動無線送受信装置の全体的な概略ブロック構成を、図5に示した。図5では、移動無線送受信装置10として、例えば、携帯電話機の場合を示している。携帯電話機は、一般に、主制御部CONTで制御されるマイクロフォンMIC、スピーカSP、ディスプレイデバイスSP、電話番号等を入力するテンキーTK、そして、電話帳、電子メール等を記憶しておくメモリSTを備えている。さらに、携帯電話機として機能させるため、アンテナA、アンテナ回路AC、送信部1及び受信部2を有し、主制御部CONTが、アンテナ回路における送受信時の送信部1又は受信部の切換などを制御し、音声通話時には、マイクロフォンMICとスピーカSPを駆動させる。
【0009】
そこで、図5に示された構成の携帯電話機において使用され、提案されている従来のアンテナ回路ACの具体例を、図6に示した。このアンテナ回路ACは、送信部1と受信部2とをアンテナAに切換接続する送受信切換部3、それぞれ異なるインピーダンスを有し、アンテナAとのインピーダンスマッチングを行う複数個のマッチング回路M1乃至M3と、該複数個のマッチング回路M1乃至M3を選択するための回路切換部4とを備えている。
【0010】
さらに、回路切換部4によって選択されたマッチング回路ごとに、アンテナAの送信出力レベルを検出する電力検出部6と、該電力検出部6で検出された複数個のマッチング回路ごとに係る出力レベルの検出値を比較して、アンテナAの送信電力レベルが最大となるマッチング回路を選択するように、回路切換部4を切換制御する制御部5とを備えている。この制御部5は、主制御部CONTに含まれていてもよい。
【0011】
このような回路構成によるアンテナ回路ACの動作を説明する。先ず、常に送信部の出力電力が一定になるように制御しておき、インピーダンスの異なる複数個のマッチング回路M1乃至M3に送信電力を供給する。制御部5の制御により、回路切換部4でマッチング回路を順次選択する。その選択されたマッチング回路を通して、送信部1の送信電力がアンテナAに給電される。選択されたマッチング回路ごとに、アンテナAの送信電力レベルを電力検出部6で検出し、制御部5に検出結果が送出される。
【0012】
制御部5では、選択されたマッチング回路ごとの電力検出部6による検出結果が比較され、アンテナAの送信電力レベルの最大値を示すマッチング回路を選択する。制御部5は、この選択結果により回路切換部4を切換制御する。このように、当該アンテナ回路ACに拠れば、アンテナAに人体などが接触して、アンテナのインピーダンスが変化して、アンテナの利得が変動しても、送信中に常に適切なマッチング回路を選択することができる。そのため、アンテナの送信電力の変動が抑制され、通信品質が向上することができるとしている。
【0013】
【特許文献1】
特開平11−145852号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上に示したアンテナ回路では、予め用意してある複数のマッチング回路から、受信レベル又は送信電力最大になるマッチング回路が選択されるようになっている。
【0015】
一方、携帯電話機などの移動無線送受信装置10の通信方式には、時分割多重(TDMA)が採用されており、例えば、パーソナル・ディジタル・セルラー(PDC)では、複数のユーザが使用する無線チャネルは、1フレームの中で一つの無線周波数を使用する時間が、いくつかのタイムスロットに分割され、各ユーザの移動無線送受信装置は、異なるタイムスロットを使用して通信を行う。
【0016】
PDC方式の3チャネルTDMAにおいて、移動機のフルレート通話は、T(送信)スロット、R(受信)スロット、I(アイドル)スロットの3スロット構成になっている。そして、基地局における送信のタイミングが、送信と約1ms程度だけずらされているので、移動機の通信においても、R(受信)スロットのバースト受信の前に約1ms程度の空きが生じる。この間に、ダイバーシチブランチ切り換えが行われる。
【0017】
そこで、図6に示された従来のアンテナ回路がこのPDC方式の移動無線送受信装置に適用された場合、Tスロットで送信レベルが検出され、Rスロットで受信レベルが検出され、それぞれ最大出力になるマッチング回路が選択されることになる。
【0018】
しかしながら、回路切換部の切換制御による選択は、送信スロット又は受信スロット内で行われることになるため、その切換タイミングで、送信データ又は受信データが欠落し、送受信による通話に途切れが発生した。このことは、無線送受信の通信品質を低下することを意味している。
【0019】
そこで、本発明は、無線送受信における通信の途切れを発生することなく、アンテナの最適インピーダンスマッチングを行えるアンテナ回路と、該アンテナ回路を備えた無線送受信装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明では、複数のマッチング回路が切り換えられ、アンテナのインピーダンスマッチングが行われるアンテナ回路において、前記マッチング回路の各々が、前記アンテナに係る複数の外部環境状態に夫々対応した最適インピーダンスを有し、前記アンテナの外部環境状態に応じて、該マッチング回路を切換制御することとした。
【0021】
そして、前記複数の外部環境状態には、自由空間使用状態、導体若しくは誘電体近接使用状態、導体若しくは誘電体離間使用状態が含まれるようにした。
【0022】
また、本発明では、アンテナとマッチング回路とを含むアンテナ回路を備え、該アンテナ回路を送信部又は受信部に切換接続される無線送受信装置において、前記アンテナ回路が、前記アンテナに係る複数の外部環境状態に夫々対応した最適インピーダンスを有する複数のマッチング回路を有し、前記アンテナの外部環境状態に応じて、前記マッチング回路を切換制御することとした。
【0023】
そして、前記送受信部又は受信部が前記アンテナ回路に切換接続されて移動無線通話を行える無線送受信装置であって、検出部が検出する前記外部環境状態には、通話待受け状態、音声通話状態、ハンズフリー通話状態が含まれるようにした。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるアンテナ回路を備えた無線送受信装置の実施形態について、図1を参照しながら、説明する。
【0025】
図6に示された従来のアンテナ回路ACでは、インピーダンスの異なる複数個のマッチング回路M1乃至M3は、互いに異なるインピーダンスとし、制御部が、アンテナの送信電力レベルの最大値を示すマッチング回路を選択し、この選択結果により回路切換部4のスイッチを制御するものであった。
【0026】
従来のアンテナ回路ACを、例えば、携帯電話機に使用すると、その通話中であっても、ユーザによる使用状態、例えば、人が手に持って行う通常の通話状態や、人が手に持たないで行うハンズフリー通話状態などでは、アンテナのインピーダンスが変化するため、通話中にマッチング回路の切換制御が行われ、送受信データの欠落が発生する。そのため、従来のアンテナ回路ACでは、最適レベルで通信が行われたとしても、通信品質が低下することになった。
【0027】
そこで、本実施形態のアンテナ回路では、最適レベルで通信ができ、しかも、データの欠落という通信品質の劣化が生じないように、無線送受信装置が使用される複数の外部環境状態のそれぞれに応じた最適インピーダンスを有する複数のマッチング回路を備え、アンテナインピーダンスに影響する無線送受信装置のアンテナに係る外部環境状態を検出し、この検出結果に基づいて、複数のマッチング回路を選択して切り換えることとした。これによって、無線送受信装置の外部環境状態が検出された時点で、アンテナマッチングのずれが最適化され、無線送受信装置の使用の途中においてマッチング回路を切り換える必要がなくなる。
【0028】
図1は、携帯電話機に適用した本実施形態のアンテナ回路の構成例を示している。図6の従来のアンテナ回路ACでは、複数のマッチング回路M1乃至M3として、単に、各々のインピーダンスが異なるだけであったが、携帯電話機の場合には、備えられたアンテナの利得が、ユーザの人体の近接又は離間によって変化することに着目し、その外部環境状態の変化に応じて、アンテナの利得が最適となるインピーダンス有するマッチング回路をアンテナの取りえる外部環境状態の数だけ設けた。
【0029】
その外部環境状態は、携帯電話機の使用状態で決められ、例えば、音声通話が行われていない待機状態にある待受け状態、電話機を手で持ち、受話器部分、つまり、スピーカSPを耳に当てた状態で音声通話が行われている通常の音声通話状態、ハンズフリーで離れて音声通話が行われているハンズフリー通話状態の3態様による携帯電話機の使用状態が含まれる。図1のアンテナ回路ACでは、これらの携帯電話機の使用状態に対応して、待受け用マッチング回路MC1、音声通話用マッチング回路MC2、そして、ハンズフリー用マッチング回路MC3が備えられている。
【0030】
なお、各外部環境状態に応じたアンテナのインピーダンスは、それぞれの状態におけるユーザの個人間であまり差がないので、マッチング回路の最適インピーダンスは、使用機種の構造に従って容易に設計される。
【0031】
これらのマッチング回路MC1乃至MC3は、回路切換部41によって切り換えられて、アンテナAに接続される。その回路切換部41は、制御部51によって制御される。この制御部51は、携帯電話機の使用状態を検出し、その検出結果に対応するマッチング回路MC1乃至MC3を自動的に切換制御するようになっている。なお、制御部51は、図5に示された移動無線送受信装置10内の主制御部CONTに含まれる。
【0032】
携帯電話機の使用状態は、音声通話検出部7、ハンズフリー検出部8によって行われる。これらの検出部7、8は、もともと携帯電話機に備えられた機能を利用することができる。音声通話検出部7は、ユーザの携帯電話機に着信があったとき、通話を開始するボタンを押したことを検出する。このボタンが押されたとき、通常の音声通話使用状態と判断し、着信がなく、しかも、該ボタンが押されなければ、待受け状態と判断する。そして、ハンズフリー検出部8は、当該携帯電話機においてハンズフリーモードが設定され、通話を開始するボタンが押されたことを検出し、ハンズフリー使用状態と判断する。
【0033】
音声通話検出部7が、当該携帯電話機が待受け状態にあることを検出したときには、制御部51が回路切換部41のスイッチSW2を制御して、待受け用マッチング回路MC1がアンテナAに接続される。この場合には、アンテナAは、アンテナインピーダンスに影響を与える導体である人体からある程度離れている状態であり、マッチング回路MC1が選択されることによって、送信部1又は受信部2とアンテナAとの最適インピーダンスマッチングが行われる。
【0034】
次に、当該携帯電話機に着信があって、音声通話検出部7が、通常の音声通話使用状態を検出すると、制御部51は、回路切換部41を制御して、マッチング回路MC1からマッチング回路MC2に自動的に切り換える。この場合には、アンテナAのインピーダンスに影響する導体である人体が近接し、アンテナインピーダンスが変化している。そこで、この状態を予め想定して設定された最適インピーダンスを有するマッチング回路MC2に切り換えることによって、アンテナAと送信部1又は受信部2とアンテナAとの最適マッチングが実現される。
【0035】
また、ハンズフリー検出部8が、ハンズフリー通話状態を検出すると、制御部51は、回路切換部41を制御して、ハンズフリー用のマッチング回路MC3に自動的に切り換える。この場合には、通話しているユーザの人体とアンテナAとはかなり離れることになり、アンテナインピーダンスが、通常の音声通話使用状態に比して変化するので、ハンズフリー用のマッチング回路MC3に切り換えることによって、送信部1又は受信部2とアンテナAとの最適マッチングを実現する。
【0036】
そこで、以上に説明した、携帯電話機に備えられた制御部51による切換制御の動作フローを、図2に示した。以下に、図2のフローチャートに従って、制御部51の動作について説明する。
【0037】
先ず、携帯電話機の電源がオンにされると(ステップS1)、制御部51は、携帯電話機の送受信が待受け状態にあると判断し(ステップS2)、回路切換部41のスイッチSW2を制御して、スイッチSW2を待受け用のマッチング回路MC1に切り換える(ステップS3)。
【0038】
次いで、ユーザがテンキーTKなどによって電話発信するか、或いは、外部から着信したときには、音声通話検出部7が、携帯電話機の音声通話状態になったことを検出する。制御部51は、この検出結果が音声通話状態になったとき(ステップS4のY)、スイッチSW2を制御して、音声通話用のマッチング回路MC2に切り換える(ステップS5)。
【0039】
ここで、制御部51は、携帯電話機がハンズフリー状態で使用されているかどうかを判断する(ステップS6)。ハンズフリー検出部8が携帯電話機のハンズフリー状態を検出したときには(Y)、制御部51は、スイッチSW2を制御して、ハンズフリー用のマッチング回路MC3に切り換える(ステップS7)。携帯電話機がハンズフリー状態でなく、通常の通話状態であるときには(N)、スイッチSW2は、音声通話用のマッチング回路MC2に接続したままである。
【0040】
次いで、携帯電話機による音声通話が終了すると(ステップS8)、制御部51は、再び、待受け状態であるかどうかを判断する(ステップS9)。制御部51は、待受け状態と判断したときには(Y)、ステップS2に戻って、スイッチSW2を待受け用のマッチング回路MC1に切換制御する。一方、ステップS4において、携帯電話機が音声通話状態にないと判断したときにも(ステップS4のN)、ステップS9において、携帯電話機の待受け状態が判断される。
【0041】
ステップS9において、携帯電話機が待受け状態にないと判断されたとき(N)、例えば、携帯電話機が電話通信不可の圏外にあるときには、携帯電話機は、待受け復旧状態になる(ステップS10)。そして、ユーザによって、携帯電話機の電源がオフにされたとき、制御部51の動作は、停止する(ステップS11)。
【0042】
このように、本実施形態のアンテナ回路ACでは、使用状態の待受け状態、音声通話状態、そして、ハンズフリー通話状態に対応して、送信部又は受信部とアンテナとの最適スマッチングを図ることができるようにインピーダンス設定された複数のマッチング回路を設けた。そして、使用状態に応じて、該当するマッチング回路が選択接続されるので、マッチング回路の切換タイミングで通話が遮断されることがなくなった。
【0043】
以上で説明した本実施形態のアンテナ回路ACは、1本のアンテナを有する携帯電話機の場合であったが、携帯電話機によっては、該アンテナの他に、もう1本のアンテナを装備している場合もある。これらのアンテナのインピーダンスは、双方のアンテナを含めて決まり、さらに、上述したアンテナ回路の場合と同様に、携帯電話機の使用状態、つまり、導体である人体の近接、離間によっても、アンテナインピーダンスが変化する。そこで、アンテナ2本を装備した携帯電話機において、その使用状態に応じて、送受信部とアンテナとの間で最適マッチングするマッチング回路を設けたアンテナ回路の実施例を、図3に示した。
【0044】
図3のアンテナ回路ACは、図1のアンテナ回路ACの構成を基本としているが、携帯電話機がアンテナA1とアンテナA2の2本を装備しているため、それぞれのアンテナに対応して、マッチング回路の組a及びbが設けられている。つまり、アンテナA1に対しては、待受け用マッチング回路MC11、音声通話用マッチング回路MC21、ハンズフリー用マッチング回路MC31の組aが備えられ、これらのマッチング回路は、回路切換部42によって切り換えられる。また、アンテナA2に対しては、待受け用マッチング回路MC12、音声通話用マッチング回路MC22、ハンズフリー用マッチング回路MC32の組bが備えられ、これらのマッチング回路は、回路切換部43によって切り換えられる。
【0045】
以上の2つの組a、bのマッチング回路における個々のインピーダンスは、当該アンテナについて、携帯電話機の使用状態、つまり、アンテナの外部環境状態に応じて、導体である人体と他のアンテナとを考慮した最適インピーダンスに設計されているものとする。
【0046】
図3に示したアンテナ回路ACの動作は、図1に示したアンテナ回路の動作と基本的に同様である。例えば、当該携帯電話機に着信があり、アンテナA1を使用して送受信する場合に、音声通信検出部7が、通常の音声通話状態を検出したとき、制御部52は、回路切換部42のスイッチSW21を制御して、アンテナA1に音声通話用のマッチング回路MC21を選択制御する。なお、アンテナA2が使用されない場合には、回路切換部43のスイッチSW22は、OFFとされる。ここで、送信部1又は受信部2とアンテナA1との間には、マッチング回路MC21が接続され、アンテナA2と人体が考慮された最適マッチングが実現される。
【0047】
そこで、以上に説明した、携帯電話機に備えられた制御部52による切換制御の動作フローを、図4に示した。以下に、図4のフローチャートに従って、制御部52の動作制御を説明する。
【0048】
先ず、携帯電話機の電源がオンにされると(ステップS21)、制御部52は、携帯電話機の送受信が待受け状態にあると判断し(ステップS22)、組aに対して、回路切換部42のスイッチSW21を制御して、スイッチSW21を待受け用のマッチング回路MC11に切り換え、さらに、組bに対して、回路切換部43のスイッチSW22を制御して、スイッチSW22を待受け用のマッチング回路MC12に切り換える(ステップS23)。このときには、制御部52は、送受信切換回路3のスイッチSW1を制御し、アンテナA1側に切り換えている。
【0049】
次いで、ユーザがテンキーTKなどによって電話発信するか、或いは、外部から着信したときには、音声通話検出部7が、携帯電話機の音声通話状態になったことを検出する。制御部52は、この検出結果が音声通話状態になったと判断したとき(ステップS24のY)、組aに対し、スイッチSW21を制御して、音声通話用のマッチング回路MC21に切り換え、さらに、組bに対して、スイッチSW22を制御して、音声通話用のマッチング回路MC22に切り換える(ステップS5)。
【0050】
ここで、制御部52は、携帯電話機がハンズフリー状態で使用されているかどうかを判断する(ステップS26)。ハンズフリー検出部8が携帯電話機のハンズフリー状態を検出したときには(Y)、制御部52は、組aに対し、スイッチSW21を制御して、ハンズフリー用のマッチング回路MC31に切り換え、組bに対し、スイッチSW22を制御して、ハンズフリー用のマッチング回路MC32に切り換える(ステップS27)。携帯電話機がハンズフリー状態でなく、通常の通話状態であるときには(N)、スイッチSW21とスイッチSW22は、音声通話用のマッチング回路MC21及びMC22に接続したままである。
【0051】
ところで、携帯電話機に備えられた2本のアンテナA1とA2によって、音声通話時のダイバーシチ受信を行っている場合には、制御部52は、ダイバーシチ受信状態であるかを判断し(ステップS28)、ダイバーシチ受信状態にあるときには(Y)、送受信切換部3のスイッチSW1を制御して、アンテナA2側である組bのマッチング回路を受信部2側に切り換える(ステップS29)。
【0052】
次いで、携帯電話機による音声通話が終了すると(ステップS30)、制御部52は、再び、待受け状態であるかどうかを判断する(ステップS31)。制御部52は、待受け状態と判断したときには(Y)、ステップS22に戻って、スイッチSW21を待受け用のマッチング回路MC11に、そして、スイッチSW22を待受け用のマッチング回路MC12に切換制御する。一方、ステップS24において、携帯電話機が音声通話状態にないと判断したときにも(ステップS24のN)、ステップS31において、携帯電話機の待受け状態が判断される。
【0053】
ステップS31において、携帯電話機が待受け状態にないと判断されたとき(N)、例えば、携帯電話機が電話通信不可の圏外にあるときには、携帯電話機は、待受け復旧状態になる(ステップS32)。そして、ユーザによって、携帯電話機の電源がオフにされたとき、制御部52の動作は、停止する(ステップS33)。
【0054】
なお、図4に示した制御部52の動作では、各動作状態に応じて、マッチング回路の組a及び組bの両方を同時に切換制御しているが、例えば、携帯電話機がダイバーシチ受信に設定されている場合に、アンテナA2が使用されるタイミングで、そのときの携帯電話機の使用状態に応じて組bのマッチング回路を切換制御することもできる。
【0055】
このように、携帯電話機が2本のアンテナを装備している場合であっても、本実施形態のアンテナ回路によれば、使用状態の待受け状態、音声通話状態、そして、ハンズフリー通話状態に対応して、送信部又は受信部とアンテナとの最適スマッチングを図ることができ、マッチング回路の切換タイミングで通話が遮断されることがない。
【0056】
また、例えば、携帯電話機本体に備えられたLCDなどによるディスプレイDに対して、外部環境が暗いと、その表示部を明るくし、逆に明るいと、その表示部を暗くするという表示部の明るさ調節機能が搭載されている場合がある。この様な場合には、外部環境の明暗を検出する光センサが携帯電話機に設けられている。そこで、この光センサの動作を利用して、光センサが暗を検出し、かつ、通話中であれば、携帯電話機の使用状態が、通常の音声通話状態にあると判断することもできる。この結果に基づいて、制御部が、音声通話用のマッチング回路を選択すればよい。
【0057】
以上では、本実施形態のアンテナ回路を携帯電話機に適用した場合について説明したが、その適用は、携帯電話機に限られない。例えば、携帯情報端末装置のように、アンテナを装備した移動無線送受信装置を搭載した電子機器にも、適用可能である。
【0058】
ユーザによる当該電子機器の使用状態によって、アンテナから見た外部の環境が変化し、その変化がアンテナインピーダンスに影響を与える場合には、その変化に対応して最適マッチングを行うマッチング回路を、その外部環境状態の数だけ備えておくようにする。そして、その外部環境状態を検出する検出部を設け、この検出結果に基づいて、複数のマッチング回路を切換制御すればよい。この検出部は、元々、電子機器に備えられた機能を利用することもできるが、別途に外部環境状態を検出するセンサを設けて、そのセンサ出力によってマッチング回路を自動的に切換制御してもよい。また、当該電子機器の使用状態に応じて、ユーザが複数のマッチング回路を切換制御する情報を入力設定するようにしてもよい。
【0059】
なお、携帯電話機の使用状態として、待受け状態、音声通話状態、ハンズフリー通話状態を挙げた。これらの3態様について、移動無線送受信装置を搭載した電子機器に本実施形態のアンテナ回路を適用した場合には、この待受け状態に対して、自由空間使用状態とし、また、音声通話状態に対して、アンテナインピーダンスに影響を与える導体若しくは誘電体近接使用状態とし、さらに、ハンズフリー通話状態に対して、アンテナインピーダンスの変化にあまり影響を与えない導体若しくは誘電体離間使用状態とすることができる。
【0060】
上述の説明では、本実施形態のアンテナ回路における複数のマッチング回路は、3態様の外部環境状態を検出するようにしたが、この3態様に限られず、2態様であってもよく、また、アンテナの外部環境状態が変化する態様が、さらに多い場合には、その態様にそれぞれ対応した最適インピーダンスを有するマッチング回路を予めアンテナ回路内に設けておき、検出された外部環境状態に応じて、当該マッチング回路を選択接続するようにしてもよい。
(付記1)
複数のマッチング回路が切り換えられ、アンテナのインピーダンスマッチングが行われるアンテナ回路において、
前記マッチング回路の各々が、前記アンテナに係る複数の外部環境状態に夫々対応した最適インピーダンスを有し、前記アンテナの外部環境状態に応じて、該マッチング回路が切換制御されることを特徴とするアンテナ回路。
(付記2)
前記マッチング回路の各々は、アンテナに係る外部環境状態の検出に基づいて切換制御されることを特徴とする付記1に記載のアンテナ回路。
(付記3)
前記複数の外部環境状態には、自由空間使用状態、導体若しくは誘電体近接使用状態、導体若しくは誘電体離間使用状態が含まれることを特徴とする付記2に記載のアンテナ回路。
(付記4)
複数のアンテナを有し、該アンテナの各々に対応して前記複数のマッチング回路を夫々含む複数組が備えられ、
当該アンテナの使用に応じて、前記複数のマッチング回路の組が選択されることを特徴と付記1乃至3のいずれかに記載のアンテナ回路。
(付記5)
前記複数のマッチング回路が、前記アンテナを備えた移動無線通信装置内に設けられることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載されたアンテナ回路。(付記6)
前記複数の外部環境状態には、通話待受け状態、音声通話状態、ハンズフリー通話状態が含まれることを特徴とする付記5に記載のアンテナ回路。
(付記7)
アンテナとマッチング回路とを含むアンテナ回路を備え、該アンテナ回路が送信部又は受信部に切換接続される無線送受信装置において、
前記アンテナ回路は、前記アンテナに係る複数の外部環境状態に夫々対応した最適インピーダンスを有する複数のマッチング回路を有し、
前記アンテナの外部環境状態に応じて、前記マッチング回路が切換制御されることを特徴とする無線送受信装置。
(付記8)
前記マッチング回路の各々は、前記アンテナに係る外部環境状態を検出する検出部を有することを特徴とする付記7に記載の無線送受信装置。
(付記9)
前記検出部が検出する外部環境状態には、自由空間使用状態、導体若しくは誘電体近接使用状態、導体若しくは誘電体離間使用状態が含まれることを特徴とする付記8に記載の無線送受信装置。
(付記10)
前記送受信部又は受信部が前記アンテナ回路に切換接続されて移動無線通話を行える無線送受信装置であって、
前記検出部が検出する外部環境状態には、通話待受け状態、音声通話状態、ハンズフリー通話状態が含まれることを特徴とする付記10に記載の無線送受信装置。
(付記11)
複数のアンテナを有し、該アンテナの各々に対応して前記複数のマッチング回路を夫々含む複数組が備えられ、
当該アンテナの使用に応じて、前記複数のマッチング回路の組が選択されることを特徴と付記7乃至10のいずれかに記載の無線送受信回路。
【0061】
【発明の効果】
以上の様に、本発明では、無線送受信装置におけるアンテナ回路において、送信部又は受信部とアンテナとの間に、無線送受信装置の使用状態ごとに応じて最適インピーダンスを有するマッチング回路を使用状態の数だけ用意し、検出された使用状態に従って、該当するマッチング回路を選択接続するようにした。
【0062】
そのため、携帯電話機などの無線送受信装置において、アンテナに係る人体などの外部環境に応じて、アンテナマッチングのずれを常に最適化状態に制御することができ、アンテナ利得の最適化、安定化を図ることができる。
【0063】
また、本発明では、予め用意された複数のマッチング回路の選択が、無線送受信装置の使用状態に応じて行われ、常に最適マッチングとなるマッチング回路を選択する動作を必要としないので、当該無線送受信装置が通信している途中で、通信が遮断されることがない。さらに、マッチング回路の選択動作のための消費電流が増加することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアンテナ回路を移動無線送受信装置に適用した実施形態を説明するブロック構成の図である。
【図2】本発明によるアンテナ回路を備えた移動無線送受信装置の実施形態における制御部の動作を説明するフローチャート図である。
【図3】本発明によるアンテナ回路を移動無線送受信装置に適用した別の実施形態を説明するブロック構成の図である。
【図4】本発明によるアンテナ回路を備えた移動無線送受信装置の別の実施形態における制御部の動作を説明するフローチャート図である。
【図5】従来技術による移動無線送受信装置を説明するブロック構成の図である。
【図6】従来技術によるアンテナ回路を移動無線送受信装置に適用した例を説明するブロック構成の図である。
【符号の説明】
1…送信部
2…受信部
3…送受信切換部
4、41〜43…回路切換部
5、51、52…制御部
6…電力検出部
7…音声通話検出部
8…ハンズフリー検出部
10…移動無線送受信装置
A、A1、A2…アンテナ
AC…アンテナ回路
Claims (4)
- 複数のマッチング回路が切り換えられ、アンテナのインピーダンスマッチングが行われるアンテナ回路において、
前記マッチング回路の各々が、前記アンテナに係る複数の外部環境状態に夫々対応した最適インピーダンスを有し、前記アンテナの外部環境状態に応じて、該マッチング回路が切換制御されることを特徴とするアンテナ回路。 - 前記複数の外部環境状態には、自由空間使用状態、導体若しくは誘電体近接使用状態、導体若しくは誘電体離間使用状態が含まれることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ回路。
- アンテナとマッチング回路とを含むアンテナ回路を備え、該アンテナ回路を送信部又は受信部に切換接続される無線送受信装置において、
前記アンテナ回路は、前記アンテナに係る複数の外部環境状態に夫々対応した最適インピーダンスを有する複数のマッチング回路を有し、
前記アンテナの外部環境状態に応じて、前記マッチング回路が切換制御されることを特徴とする無線送受信装置。 - 前記送受信部又は受信部が前記アンテナ回路に切換接続されて移動無線通話を行える無線送受信装置であって、
検出部が検出する前記外部環境状態には、通話待受け状態、音声通話状態、ハンズフリー通話状態が含まれることを特徴とする請求項3に記載の無線送受信装置。
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