JP2004302310A - 重合トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重合法により、粒径分布が非常にシャープでかつ微粉量が極めて少なく、所望の平均粒径の設計が容易で、さらには造粒工程を効率的に実施することができる重合トナーの製造方法を提供すること。
【解決手段】水系分散媒体中で少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物の微細な液滴を形成する工程と、液滴形成後の重合性単量体組成物を重合する工程とを含む重合トナーの製造方法である。液滴形成工程において、重合性単量体組成物を含有する分散液を撹拌翼または回転子を備えた撹拌機と分散液供給槽とを有する撹拌装置の分散液供給槽に仕込み、次いで、攪拌機に導入し、必要に応じて、撹拌後に排出した分散液を分散液供給槽内に戻して循環させる方法を採用し、攪拌機の撹拌翼または回転子の周速と分散液の循環回数との間の関係を制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重合トナーの製造方法に関し、さらに詳しくは、粒径分布が非常にシャープでかつ微粉量が極めて少ない重合トナーを効率的に製造する方法に関する。本発明の製造方法は、体積平均粒径が4〜9μm程度の範囲内にある小粒径の重合トナーの製造方法として特に好適である。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式や静電記録方式の複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置において、感光体上に形成された静電潜像を可視像化するために現像剤が用いられている。現像剤は、着色剤や帯電制御剤、離型剤などが結着樹脂中に分散した着色粒子(トナー)を主成分としている。
【0003】
トナーは、粉砕法により得られる粉砕トナーと、重合法により得られる重合トナーとに大別される。粉砕法では、熱可塑性樹脂を着色剤、帯電制御剤、離型剤などの添加剤成分と溶融混練し、粉砕し、分級することにより、着色樹脂粉末として粉砕トナーを得ている。粉砕トナーは、不定形であり、粒度分布がブロードである。しかも、粉砕トナーは、粉砕により微粒子が生成し易いため、歩留まりよく所望の平均粒径を有する小粒径トナーを製造することが困難である。
【0004】
重合法では、重合性単量体と着色剤とその他の添加剤成分とを含有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する方法により、着色重合体粒子として重合トナーを得ている。重合法では、重合後、生成した着色重合体粒子を洗浄、濾別、乾燥して重合トナーを回収している。
【0005】
重合法によれば、球形で粒度分布が比較的シャープな重合トナーを製造することができる。また、重合法によれば、重合性単量体組成物の重合後、生成した着色重合体粒子の存在下にシェル用重合性単量体を重合させて、コア・シェル型の着色重合体粒子を形成することが可能である。コアを構成する重合体成分のガラス転移温度を低くし、他方、シェルを構成する重合体のガラス転移温度を高くすると、保存性と低温定着性が共に優れた重合トナーを製造することができる。さらに、重合法によれば、例えば、体積平均粒径が10μm以下、好ましくは4〜9μmの小粒径の重合トナーを容易に製造することができる。したがって、重合トナーは、高精細で高画質の画像を形成することができ、印字の高速化やフルカラー化にも適している。
【0006】
このように、小粒径の重合トナーは、高精細で高画質の画像を形成する上で極めて重要な役割をになっている。しかし、重合トナーを小粒径化するに伴って、様々な問題が生じている。例えば、重合トナーを小粒径化するには、重合工程前の液滴形成工程において、重合性単量体組成物を含有する分散液を攪拌機により分散し、重合性単量体組成物の微細な液滴を形成する必要があるが、液滴を小粒径化すると分散液の粘度が非常に高くなり、液滴の形成(造粒)が困難になったり、攪拌機による処理効率が低下する。
【0007】
しかも、重合トナーを小粒径化するに伴って、微粉の生成量が急激に増大し、かつ、粒径分布を高度にシャープ化することが困難になる。その結果、カブリが増えたり、印字濃度が低下する。また、微粉量が多いと、着色重合体粒子の分級により微粉を除去する必要が生じるため、処理が煩雑であることに加えて、コスト高となる。したがって、より高精細で高画質の画像を形成するには、平均粒径が適度に小さく、粒径分布が非常にシャープで、かつ、微粉の含有量が極めて少ない重合トナーを効率良く製造する技術の確立が求められている。
【0008】
従来、液滴形成工程において、撹拌装置として、櫛歯型同心リングである回転子と固定子との組み合わせを有し、回転子を高速で回転させて、回転子の内側から固定子の外側に分散液を流通させ、回転子と固定子との間隙で分散液を撹拌する分散機を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、特許文献1には、重合性単量体と着色剤を含む単量体系を水系分散媒体中に分散して懸濁粒子(液滴)を形成する工程が、一層または多層の櫛歯型同心リングである回転子及び固定子の間隙を回転子内側から固定子外側方向に流れる工程である重合トナーの製造方法が提案されている。
【0009】
しかし、特許文献1に開示されているエバラマイルダー(荏原製作所製)のような分散機を用いただけでは、粒径分布を極めてシャープにし、かつ、微粉量の少ない小粒径の重合トナーを得ることは困難である。
【0010】
そこで、エバラマイルダーなどの撹拌装置を用いて、重合性単量体組成物の液滴を形成するに際し、撹拌装置の撹拌翼(回転子)の先端速度(周速)と処理部の内部圧力との関係が特定の関係式を満足するように制御する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に記載された方法によれば、粒径分布がシャープな小粒径の重合トナーを得ることができる。しかし、撹拌装置(分散機)の回転子と内部圧力との関係を制御するだけでは、微粉量の低減という観点からは未だ十分ではなく、さらに所望の平均粒径を有する液滴を高速度で形成する点でも改良の余地がある。
【0011】
【特許文献1】
特開平2−32363号公報 (第1頁、実施例1)
【特許文献2】
特開2002−221824号公報 (第1頁、表1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、粒径分布が非常にシャープでかつ微粉量が極めて少ない重合トナーを効率的に製造する方法を提供することにある。
特に、本発明の目的は、重合法により、粒径分布が非常にシャープでかつ微粉量が極めて少なく、所望の平均粒径の設計が容易で、さらには液滴形成工程を効率的に実施することができる重合トナーの製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明者らは、重合トナーの粒径分布のシャープ化や微粉量の低減は、重合性単量体組成物の液滴形成工程を改善するのが効果的であることに着目し、粒径分布や微粉の生成に影響する因子の分析を行った。その結果、水系分散媒体中に重合性単量体組成物を分散させた分散液を撹拌翼または回転子を備えた攪拌機と分散液供給槽とを有する撹拌装置の分散液供給槽に仕込み、次いで、攪拌機に導入し、必要に応じて、撹拌後に排出した分散液を分散液供給槽内に戻して循環させる方法を採用するとともに、攪拌機の撹拌翼または回転子の周速(m/s)をRとし、〔分散液の流量(リットル/h)×処理時間(h)〕/〔分散液の仕込み量(リットル)〕で表わされる分散液の循環回数をθとしたとき、R/θとRを制御することにより、前記目的を達成できることを見出した。
【0014】
本発明の方法において、撹拌翼(回転子)の周速(先端速度)を大きくすることにより、小粒径の液滴を形成しても処理速度を速めることができ、液滴形成工程を効率良く実施することができる。本発明の方法によれば、目的粒径の液滴を迅速に形成することができる。また、本発明の方法によれば、比較的小型の撹拌装置(分散機または造粒機)を用いて操業することが可能である。
【0015】
本発明の方法により得られる重合トナーは、印字濃度、解像度に優れ、カブリが少なく、しかもクリーニング性に優れている。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、水系分散媒体中で少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物の微細な液滴を形成する工程と、液滴形成後の重合性単量体組成物を重合する工程とを含む重合トナーの製造方法であって、液滴形成工程において、
(1)水系分散媒体中に重合性単量体組成物を分散させた分散液を、撹拌翼または回転子を備えた攪拌機と分散液供給槽とを有する撹拌装置の分散液供給槽に仕込み、次いで、攪拌機に導入し、必要に応じて、撹拌後に排出した分散液を分散液供給槽内に戻して循環させる方法を採用し、
(2)攪拌機の撹拌翼または回転子の周速(m/s)をRとし、〔分散液の流量(リットル/h)×処理時間(h)〕/〔分散液の仕込み量(リットル)〕で表わされる分散液の循環回数をθとしたとき、R/θが2以上であり、かつ、Rが30m/s以上であることを特徴とする重合トナーの製造方法が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
1.重合法による着色重合体粒子の製造
重合トナーは、重合性単量体の重合により生成した重合体が結着樹脂となり、その中に着色剤や帯電制御剤、離型剤などの添加剤成分が分散した着色重合体粒子である。本発明の重合トナーの製造方法は、水系分散媒体中で少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を微細な液滴に形成する工程と、液滴形成後の重合性単量体組成物を重合する工程とを含んでいる。重合工程後には、生成した着色重合体粒子の洗浄工程、乾燥工程などが配置される。
【0018】
重合工程では、水系分散媒体中で重合性単量体組成物を重合して着色重合体粒子を生成させるが、所望により、該着色重合体粒子の存在下にシェル用重合性単量体を更に重合させる工程を付加して、コア・シェル型着色重合体粒子を生成させてもよい。水系分散媒体としては、イオン交換水などの水を用いるが、所望によりアルコールなどの親水性溶媒を加えてもよい。水系分散媒体には、分散安定剤を含有させて、重合性単量体組成物の液滴の分散安定性を高める。水系分散媒体は、一般に、液滴形成工程での分散液の媒体としても用いられる。
【0019】
重合性単量体組成物には、重合性単量体と着色剤の他に、必要に応じて、帯電制御剤、離型剤、架橋性単量体、マクロモノマー、分子量調整剤、滑剤、分散助剤などの各種添加剤を含有させることができる。
【0020】
(1)重合性単量体:
本発明では、重合性単量体の主成分としてモノビニル単量体を使用する。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン単量体;等が挙げられる。
【0021】
モノビニル単量体は、単独で用いても、複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。これらモノビニル単量体のうち、芳香族ビニル単量体単独、芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリル酸の誘導体との組み合わせなどが好適に用いられる。
【0022】
モノビニル単量体と共に、架橋性単量体または架橋性重合体を用いると、ホットオフセット特性を改善することができる。架橋性単量体は、2個以上のビニル基を有する単量体である。その具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル等のビニル基を2個有する化合物、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルやトリメチロールプロパントリアクリレート等のビニル基を3個以上有する化合物等を挙げることができる。
【0023】
架橋性重合体は、重合体中に2個以上のビニル基を有する重合体である。その具体例としては、分子内に2個以上の水酸基を有するポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレングリコール等の重合体と、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸単量体とを縮合反応することにより得られるエステル化物を挙げることができる。
【0024】
これらの架橋性単量体及び架橋性重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。その使用量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜7重量部、より好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜3重量部である。
【0025】
モノビニル単量体と共にマクロモノマーを用いると、高温での保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有する巨大分子であり、数平均分子量が通常1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーである。数平均分子量が上記範囲内にあると、マクロモノマーの溶融性を損なうことなく、重合トナーの定着性及び保存性が維持できるので好ましい。
【0026】
マクロモノマーの分子鎖末端にある重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などを挙げることができるが、共重合のしやすさの観点からはメタクリロイル基が好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する重合体を与えるものが好ましい。
【0027】
マクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独でまたは2種以上を重合して得られる重合体;ポリシロキサン骨格を有するマクロモノマー;などを挙げることができるが、これらの中でも、親水性のものが好ましく、特にメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを単独で、あるいはこれらを組み合わせて重合して得られる重合体が好ましい。
【0028】
マクロモノマーを使用する場合、その使用量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、より好ましくは0.05〜1重量部である。マクロモノマーの使用量が上記範囲内にあると、重合トナーの保存性を維持して、定着性が向上するので好ましい。
【0029】
(2)着色剤:
着色剤としては、カーボンブラックやチタンホワイトなどのトナーの分野で用いられている各種顔料及び染料を使用することができる。黒色着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;等を挙げることができる。カーボンブラックを用いる場合、一次粒径が20〜40nmであるものを用いると良好な画質が得られ、トナーの環境への安全性も高まるので好ましい。カラートナー用着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤などを使用することができる。
【0030】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物などが用いられる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、90、93、95、96、97、109、110、111、120、128、129、138、147、155、168、180、181などがある。この他、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、C.I.バットイエロー等が挙げられる。
【0031】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などがある。具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48、48:2、48:3、48:4、57、57:1、58、60、63、64、68、81、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、163、166、169、170、177、184、185、187、202、206、207、209、220、251、254などが挙げられる。この他、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0032】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、3、6、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66などがある。この他、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、C.I.アシッドブルーなどが挙げられる。
【0033】
これらの着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。着色剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
【0034】
(3)帯電制御剤:
重合トナーの帯電性を向上させるために、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を重合性単量体組成物中に含有させることが好ましい。帯電制御剤としては、例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、ニグロシン、帯電制御樹脂などが挙げられる。
【0035】
具体的には、ボントロンN−01(オリエント化学工業社製)、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業社製)、スピロンブラックTRH(保土ケ谷化学工業社製)、T−77(保土ケ谷化学工業社製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−81(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−84(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−89(オリエント化学工業社製)、ボントロンF−21(オリエント化学工業社製)、COPY CHARGE NX VP434(クラリアント社製)、COPY CHARGENEG VP2036(クラリアント社製)、TNS−4−1(保土ケ谷化学工業社製)、TNS−4−2(保土ケ谷化学工業社製)、LR−147(日本カーリット社製)、コピーブルーPR(クラリアント社製)などの帯電制御剤;4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、スルホン酸(塩)基含有共重合体等の帯電制御樹脂;等を挙げることができる。帯電制御剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部の割合で用いられる。
【0036】
(4)離型剤:
オフセット防止または熱ロール定着時の離型性の向上などの目的で、離型剤を重合性単量体組成物中に含有させることができる。離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどのポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートなどの多官能エステル化合物;などが挙げられる。これらの離型剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
これらの離型剤のなかでも、合成ワックス、末端変性ポリオレフィンワックス類、石油系ワックス、多官能エステル化合物が好ましい。離型剤の使用割合は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
【0038】
(5)重合開始剤:
重合性単量体の重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、1,1′,3,3′−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類;などを挙げることができる。これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を使用することもできる。
【0039】
これらの開始剤のなかでも、重合性単量体に可溶な油溶性の重合開始剤を選択することが好ましく、必要に応じて、水溶性の重合開始剤を併用することもできる。重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部の割合で用いられる。
【0040】
重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め添加することができるが、早期重合を抑制するために、重合性単量体組成物の液滴形成工程の終了後または重合反応の途中の懸濁液に直接添加することもできる。
【0041】
(6)分子量調整剤:
重合に際して、分子量調整剤を使用することが好ましい。分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。分子量調整剤は、通常、重合開始前の重合性単量体組成物に含有させるが、重合途中に添加することもできる。分子量調整剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
【0042】
(7)分散安定剤:
本発明に用いる分散安定剤は、難水溶性金属化合物のコロイドが好適である。
難水溶性金属化合物としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、などの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;りん酸カルシウムなどのりん酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄の金属水酸化物;等を挙げることができる。これらのうち、難水溶性金属水酸化物のコロイドは、重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適である。
【0043】
難水溶性金属化合物のコロイドは、その製法による制限はないが、水溶性多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることが好ましい。難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。
【0044】
分散安定剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部の割合で使用する。この割合が少なすぎると、充分な重合安定性を得ることが困難であり、重合凝集物が生成しやすくなる。逆に、この割合が多すぎると、水溶液粘度が大きくなって重合安定性が低くなる。
【0045】
本発明においては、必要に応じて、水溶性高分子を分散安定剤として用いることができる。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等を例示することができる。本発明においては、界面活性剤を使用する必要はないが、帯電特性の環境依存性が大きくならない範囲で、懸濁重合を安定に行うために使用することができる。
【0046】
2.液滴形成工程
重合トナーを製造するには、重合性単量体、着色剤、及びその他の添加剤などを混合機を用いて混合し、必要に応じて、メディヤ型湿式粉砕機(例えば、ビーズミル)などを用いて湿式粉砕し、重合性単量体組成物を調製する。次に、重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系分散媒体中に分散し、撹拌して、重合性単量体組成物の均一な液滴(体積平均粒径が50〜1000μm程度の一次液滴)を予備的に形成する。重合開始剤は、早期重合を避けるため、水系分散媒体中で液滴の大きさが均一になってから水系分散媒体に添加することが好ましい。
【0047】
着色剤としてカラートナー用顔料を使用し、帯電制御剤として帯電制御樹脂を使用する場合には、予め顔料と帯電制御樹脂とを混練して、顔料マスターバッチを調製しておき、これを重合性単量体組成物中に含有させることができる。
【0048】
水系分散媒体中に重合性単量体組成物の液滴が分散した分散液に重合開始剤を添加混合し、さらに、高速回転剪断型撹拌機を用いて、液滴の粒径が目的とする重合トナー粒子に近い小粒径になるまで撹拌する。
【0049】
重合性単量体組成物の微小な液滴の体積平均粒径及び粒径分布は、重合トナーの体積平均粒径や粒径分布に影響する。液滴の粒径が大きすぎると、生成する重合トナー(着色重合体粒子)の平均粒径が大きくなりすぎて、画像の解像度が低下するようになる。液滴の粒径分布が広いと、生成する重合トナーの粒径分布が広くなり、定着温度のばらつきが生じ、カブリ、トナーフィルミングの発生などの不具合が生じるようになる。したがって、重合性単量体組成物の液滴は、重合トナー粒子とほぼ同じ大きさになるように形成することが望ましい。
【0050】
本発明において、重合性単量体組成物の液滴の体積平均粒径としては、重合性単量体組成物の液滴の小粒径側から起算した体積累計が50%である粒径Dv50(μm)を使用する。液滴の粒径Dv50(以下、単に「液滴粒径Dv」と呼ぶことがある)は、例えば、SALD粒径分布測定器(島津製作所社製)を用いて測定することができる。
【0051】
重合性単量体組成物の液滴粒径Dvは、好ましくは3〜10μm、より好ましくは4〜9μm、特に好ましくは4〜8μmである。高精細な画像を得るには、小粒径の重合トナーとすることが有効であり、そのためには、液滴粒径Dvを小さくすることが望ましい。重合性単量体組成物の液滴の粒径分布(体積平均粒径/数平均粒径)は、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.5である。
【0052】
重合性単量体組成物の液滴粒径Dvを制御する方法としては、一般に、難水溶性金属水酸化物コロイドなどの分散安定剤の使用量を調整する方法が採用されている。ただし、液滴粒径Dvは、分散液の撹拌条件等によっても変動する。したがって、ほぼ所望の液滴粒径Dvが得られるように、先ず、分散安定剤の使用量を調整し、そして、撹拌条件等を制御することにより、液滴粒径Dvを精密に制御することが好ましい。
【0053】
本発明では、水系分散媒体中に重合性単量体組成物を分散させた分散液を、撹拌翼または回転子を備えた撹拌機と分散液供給槽とを有する撹拌装置の分散液供給槽に仕込み、次いで、攪拌機に導入し、必要に応じて、撹拌後に排出した分散液を分散液供給槽内に戻して循環させる方法を採用する。
【0054】
液滴の形成に使用する撹拌機としては、例えば、(1)ドイツ国のIKA社製の多段階インライン分散機や、荏原製作所製のエバラマイルダーなどに代表される分散機、すなわち、櫛歯型同心リングである回転子と固定子との組み合わせを有し、回転子を高速で回転させて、回転子の内側から固定子の外側に分散液を流通させ、回転子と固定子との間隙で分散液を撹拌する分散機、(2)エム・テクニック社製のクレアミックスCLM−0.8Sに代表される高速で回転するロータとそれを取り囲むスクリーンに生じる剪断力、衝突力、圧力変動、キャビテーション、及びポテンシャルコアの作用によって液滴を形成する撹拌機、(3)特殊機化鉱業社製のTKホモミキサーに代表される分散液を遠心力によって槽内壁に押し付けて、液膜を形成し、該液膜に超高速で回転する撹拌具の先端が振れることによって液滴を形成する撹拌機などが挙げられる。
【0055】
これらの撹拌機の中でも、IKA社製の多段階インライン分散機や、荏原製作所製のエバラマイルダーなどの分散機が好ましい。これらの分散機には、縦型と横型のものがある。横型の分散機としては、株式会社ユーロテック社製の商品名「キャビトロン」が好ましい。
【0056】
図1に、縦型の多段階インライン分散機の一例の断面図を示す。すなわち、該分散機は、ハウジング2内に櫛歯型同心リングである回転子4,6,8と固定子3,5,7との組み合わせを有し、撹拌軸9の駆動により回転子を高速で回転させて、回転子の内側から固定子の外側に分散液を流通させ、回転子と固定子との間隙で分散液を撹拌するように構成されている。この分散機は、各回転子と固定子が一層または多層となっている。この分散機では、各回転子と固定子との組み合わせが1段階以上、多くの場合2段階以上の多段階に配置されている。図2には、各回転子21と固定子22とがそれぞれ一層である場合の説明図が示されている。
【0057】
回転子と固定子との組み合わせとしては、例えば、粗歯/中歯(または細歯)/中歯(または細歯)の3段階、粗歯/中歯(または細歯)の2段階、粗歯、中歯、または細歯の1段階などがあるが、3段階であることが好ましい。
【0058】
重合性単量体組成物の分散液は、分散液供給槽12からライン13を経て分散機1内に供給される。分散液の送液方法は、特に限定されず、送液ポンプを用いる方法が挙げられる。分散液は、インナーノズル(図示せず)を介して分散機内に供給される。回転子を高速回転させることにより、回転子の内側から固定子の外側に分散液を流通させ、回転子と固定子との間隙で分散液を撹拌する。
【0059】
分散機1内で撹拌した分散液は、必要に応じて、出口10からライン11を経て分散機内に戻して循環させる。例えば、出口10での流量を絞ることにより、分散機の内圧を調整することができる。分散機の内圧は、好ましくは0.01〜15MPa、より好ましくは0.05〜10MPa、特に好ましくは0.1〜5MPaの範囲内となるように調整する。分散機の内圧を上記範囲内にすることにより、キャビテーションによる泡の発生を抑制しつつ、微細な液滴を効率良く形成することができる。液滴形成を行った後、重合反応器への送液ライン14を通して、分散液を反応器に供給する。
【0060】
本発明では、攪拌機の撹拌翼または回転子の周速(m/s)をRとし、〔分散液の流量(リットル/h)×処理時間(h)〕/〔分散液の仕込み量(リットル)〕で表わされる分散液の循環回数をθとしたとき、R/θが2以上であり、かつ、Rが30m/s以上であるように制御する。
【0061】
ここで、撹拌翼または回転子の周速とは、撹拌翼または回転子の先端速度を意味する。また、循環回数θは、分散機内を分散液が循環する回数を意味する。つまり、分散機における分散液の流量(リットル/h)に、分散機による処理時間(h)を乗ずると、分散機で処理した延べ処理量が得られる。この延べの処理量を分散液の仕込み量(リットル)で割れば、分散液の循環回数を算出することができる。
【0062】
本発明では、R/θが2以上、好ましくは3以上、特に好ましくは5以上となるように、諸条件を調整する。R/θが低すぎると、微粉の含有量を低減することができず、また、得られる着色重合体粒子(重合トナー)の粒径分布を十分にシャープにすることができない場合が生じる。R/θの上限は、特にないが、分散機の機能などの観点から、好ましくは100、より好ましくは60、特に好ましくは40である。
【0063】
R/θを2以上にするには、例えば、攪拌機の撹拌翼または回転子(以下、「回転子」で代表させる)の周速(m/s)を大きくする方法が効果的である。回転子の周速は、30m/s以上、好ましくは30〜100m/sの範囲内から選ばれる。従来、回転子の周速としては、実際には35m/s以下の範囲内から選択されていた。これに対して、本発明の方法では、回転子の周速を35m/s超過とすることがより好ましく、そのような大きな周速で稼動可能な分散機の機種を選択することが望ましい。回転子の周速は、40m/sまたはそれ以上とすることが特に好ましい。このような大きな周速で回転子を稼動させることができる分散機としては、例えば、IKA社製の縦型分散機であるモジュールDRS 2000シリーズ、株式会社ユーロテック社製の横型分散機であるキャビトロンなどがある。
【0064】
また、回転子の周速を大きくすると、重合性単量体組成物の液滴形成が極めて効率的になるため、分散機内での分散液の循環回数θを小さくすることができ、それによって、R/θを大きくすることができる。循環回数θは、液滴の粒径Dvが例えば7μm以上、さらには8μm以上の場合は、2以下、さらには1(ワンパス)とすることができる。循環回数θの上限は、特にないが、好ましくは20、より好ましくは15程度である。
【0065】
液滴の粒径Dvは、小さくなるほどR/θを大きくすることができる。一方、液滴粒径Dvが小さくなると、一般に、分散機内での循環回数を増大させる必要がある。重合後に得られる着色重合体粒子の体積平均粒径dvは、重合性単量体組成物の液滴粒径Dvにほぼ比例し、液滴粒径Dvより少し大きくなる。重合性単量体組成物の液滴粒径Dvは、好ましくは3〜9μm、より好ましくは3.5〜8μm、特に好ましくは4〜7μmの範囲内となるように調整することが望ましい。したがって、本発明の方法は、平均粒径が小さな重合トナーの製造方法として特に適している。
【0066】
本発明の方法によれば、体積平均粒径dvが好ましくは4〜9μm、体積平均粒径dvと個数平均粒径dpの比dv/dpが好ましくは1.25以下、より好ましくは1.20以下、特に好ましくは1.15以下の着色重合体粒子(重合トナー)を製造することができる。しかも、本発明の方法により得られた着色重合体粒子は、体積平均粒径dvが3μm以下の個数分布が好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下、特に好ましくは6%以下であり、体積平均粒径が小さいにもかかわらず、微粉量が著しく低減されている。なお、体積平均粒径が5μm以下の個数分布は、体積平均粒径dvの大きさによって大きく変動し、体積平均粒径dvが5μmに近づくほど大きな値となる。
【0067】
3.重合工程
重合方法としては、懸濁重合法、乳化重合法などを採用することができる。本発明では、懸濁重合法が好ましい。以下、懸濁重合法を中心に説明する。
【0068】
前記方法により形成された微小粒径の液滴を含有する分散液を重合反応器に仕込み、通常5〜120℃、好ましくは35〜95℃の温度で懸濁重合を行う。重合温度が低すぎると、触媒活性が高い重合開始剤を用いなければならないので、重合反応の管理が困難になる。重合温度が高すぎると、低温で溶融する添加剤を含む場合、これが重合トナー表面にブリードし、保存性が悪くなることがある。
【0069】
重合性単量体として前述のモノビニル単量体の中から1種以上を選択するが、トナーの定着温度を下げるには、ガラス転移温度(Tg)が通常80℃以下、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃程度の重合体を形成し得る重合性単量体または重合性単量体の組み合わせを選択することが好ましい。本発明において、結着樹脂を構成する共重合体のTgは、使用する重合性単量体の種類と使用割合に応じて算出される計算値(「計算Tg」という)である。
【0070】
重合により、重合性単量体の重合体中に着色剤などの添加剤成分が分散した着色重合体粒子が生成する。本発明では、この着色重合体粒子を重合トナーとして使用することができるが、重合トナーの保存性(耐ブロッキング性)、低温定着性、定着時の溶融性などを改善する目的で、重合によって得られた着色重合体粒子の上に、さらに重合体層を形成して、コア・シェル型構造を有するカプセルトナーとすることができる。
【0071】
コア・シェル型構造の形成方法としては、前記の着色重合体粒子をコア粒子とし、該コア粒子の存在下にシェル用重合性単量体を更に重合して、コア粒子の表面に重合体層(シェル)を形成する方法が採用される。シェル用重合性単量体として、コア粒子を構成する重合体成分のTgよりも高いTgを有する重合体を形成するものを使用すると、重合トナーの保存性を改善することができる。他方、コア粒子を構成する重合体成分のTgを低く設定することにより、重合トナーの定着温度を下げたり、溶融特性を改善したりすることができる。したがって、重合工程でコア・シェル型重合体粒子を形成することにより、印字(複写、印刷など)の高速化、フルカラー化、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)透過性などに対応できる重合トナーが得られる。
【0072】
コア及びシェルを形成するための重合性単量体としては、前述のモノビニル系単量体の中から好ましいものを適宜選択することができる。コア用重合性単量体とシェル用重合性単量体との重量比は、通常40/60〜99.9/0.1、好ましくは60/40〜99.7/0.3、より好ましくは80/20〜99.5/0.5である。シェル用重合性単量体の割合が過小であると、重合トナーの保存性の改善効果が小さく、過大であると、定着温度の低減効果が小さくなる。
【0073】
シェル用重合性単量体により形成される重合体のTgは、通常、50℃超過120℃以下、好ましくは60℃超過110℃以下、より好ましくは80℃超過105℃以下である。コア用重合性単量体から形成される重合体とシェル用重合性単量体から形成される重合体との間のTgの差は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、特に好ましくは30℃以上である。多くの場合、定着温度と保存性のバランスの観点から、コア用重合性単量体として、Tgが通常60℃以下、好ましくは、40〜60℃の重合体を形成しうるものを選択するのが好ましい。他方、シェル用重合性単量体としては、スチレンやメチルメタクリレートなどのTgが80℃を超える重合体を形成する単量体を、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
【0074】
シェル用重合性単量体には、帯電制御剤を加えることができる。帯電制御剤としては、前述したコア粒子製造に使用するのと同様のものが好ましく、使用する場合には、シェル用重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
【0075】
シェル用重合性単量体を添加する際に、水溶性のラジカル開始剤を添加することがシェルを効率良く形成する上で好ましい。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2′−アゾビス−[2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド]等のアゾ系開始剤などを挙げることができる。水溶性重合開始剤の使用量は、シェル用重合性単量体100重量部当り、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0076】
シェルの平均厚みは、通常0.001〜1.0μm、好ましくは0.003〜0.5μm、より好ましくは0.005〜0.2μmである。シェル厚みが大きすぎると、重合トナーの定着性が低下し、小さすぎると、重合トナーの保存性が低下する。重合トナーのコア粒子径、及びシェルの厚みは、電子顕微鏡により観察できる場合は、その観察写真から無作意に選択した粒子の大きさ及びシェル厚みを直接測ることにより得ることができ、電子顕微鏡でコアとシェルとを観察することが困難な場合は、コア粒子の粒径と、シェルを形成する重合性単量体の使用量から算定することができる。
【0077】
3.回収工程
重合工程により、着色重合体粒子(コア・シェル型重合体粒子を含む)を含有する水系分散媒体(分散液)が得られる。回収工程では、濾過、洗浄、乾燥等が順次行われる。
【0078】
濾過・洗浄工程では、重合工程で得られた分散液をそのまま使用するか、あるいは着色重合体粒子の濃度を調節するためにイオン交換水などを追加して、着色重合体粒子を含有する分散液とする。この段階で、使用した分散安定剤を可溶化して除去するために、分散安定剤の種類に応じて、例えば、酸洗浄やアルカリ洗浄などの処理を行ってもよい。例えば、分散安定剤として、水酸化マグネシウムなどの難水溶性金属水酸化物のコロイドを使用した場合には、一般に、希硫酸などの酸を添加し、分散液のpHを酸性にして、該コロイドを水系分散媒体に溶解させる。また、分散液の状態で、ストリッピング処理などにより、脱モノマー処理を行ってもよい。着色重合体粒子の粒径を調整するために、着色重合体粒子を凝集または会合させてもよい。
【0079】
濾過・洗浄の方法は、特に限定されず、例えば、真空式ベルトフィルタを用いて、濾過と着色重合体粒子ケーキの洗浄を行う方法など任意である。洗浄工程の後、湿潤状態の着色重合体粒子(ウエットケーキ)が回収される。着色重合体粒子の回収は、常法に従って、乾燥処理することにより行われ、乾燥した着色重合体粒子が回収される。
【0080】
本発明の製造方法により得られる重合トナー(コア・シェル型構造を有するカプセルトナーを含む)の体積平均粒径(dv)は、特に限定されないが、通常3〜10μm、好ましくは4〜9μm、より好ましくは4〜8μmである。解像度を高めて高精細な画像を得る場合には、トナーの体積平均粒径をこのような小粒径とすることが好ましい。
【0081】
本発明の重合トナーの体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dp)で表される粒径分布は、通常1.25以下、好ましくは1.20以下、特に好ましくは1.15以下である。重合トナーの体積平均粒径が大きすぎると、解像度が低下しやすくなる。重合トナーの粒径分布が大きいと、大粒径のトナーの割合が多くなり、解像度が低下しやすくなる。
【0082】
本発明の重合トナーは、微粉量が低減されている。より具体的に、本発明の重合トナーは、体積平均粒径dvが3μm以下の個数分布が好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下、特に好ましくは6%以下であり、体積平均粒径が小さいにもかかわらず、微粉量が著しく低減されている。
【0083】
本発明の重合トナーは、体積平均粒径dvが4〜9μm、体積平均粒径dvと個数平均粒径dpの比dv/dpが1.25以下、かつ、体積平均粒径dvが3μm以下の個数分布が8%以下であることが好ましい。
【0084】
本発明の重合トナーは、長径(dl)と短径(ds)との比(dl/ds)で表される球形度が、好ましくは1〜1.3、より好ましくは1〜1.2の実質的に球形であることが好ましい。実質的に球形の重合トナーを非磁性一成分現像剤として用いると、感光体上のトナー像の転写材への転写効率が向上する。
【0085】
本発明の重合トナーは、各種現像剤のトナー成分として使用することができるが、非磁性一成分現像剤として使用することが好ましい。本発明の重合トナーを非磁性一成分現像剤とする場合には、必要に応じて外添剤を混合することができる。外添剤としては、流動化剤や研磨剤などとして作用する無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。
【0086】
無機粒子としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル共重合体で形成されたコア・シェル型粒子などが挙げられる。
【0087】
これらの中でも、無機酸化物粒子が好ましく、二酸化ケイ素が特に好ましい。
無機微粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理された二酸化ケイ素粒子が特に好適である。外添剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよく、外添剤を組み合わせて用いる場合には、平均粒子径の異なる無機粒子同士または無機粒子と有機樹脂粒子とを組み合わせる方法が好適である。外添剤の量は、特に限定されないが、重合トナー100重量部に対して、通常0.1〜6重量部である。
外添剤を重合トナーに付着させるには、通常、重合トナーと外添剤とをヘンシェルミキサーなどの混合機に入れて攪拌する。
【0088】
本発明の重合トナーは、低温低湿環境下のみならず、高温高湿環境下においても、印字濃度に優れ、カブリが著しく少なく、解像度が良好であり、しかもクリーニング性に優れている。
【0089】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り重量基準である。評価方法は、以下のとおりである。
【0090】
(1)液滴粒径(Dv50):
水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴形成(造粒)を行った後、液滴1mlを採取して四ホウ酸ナトリウム4%水溶液30mlに分散させ、125Wの超音波を1分間照射した。得られた分散液を試料として、SALD粒径分布測定器(島津製作所社製)で液滴の粒径を測定した。液滴粒径は、小粒径側から起算した体積累計が50%である粒径Dv50(単位μm)である。
【0091】
(2)着色重合体粒子(重合トナー)の平均粒径と粒径分布
着色重合体粒子の体積平均粒径(dv)、粒径分布〔すなわち体積平均粒径と個数平均粒径(dp)との比(dv/dp)〕、2〜3μmの個数%、及び2〜5μmの個数%は、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径=100μm、媒体=イソトンII、濃度=10%、測定粒子個数=100,000個の条件で行った。
【0092】
(3)印字濃度:
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(沖データ社製、商品名「マイクロライン3010C」)にコピー用紙をセットし、現像装置にトナー(非磁性一成分現像剤)を入れ、温度10℃/相対湿度20%の(L/L)環境下、及び温度35℃/相対湿度80%の(H/H)環境下で、それぞれ一昼夜放置した。その後、それぞれの環境下において、5%濃度で初期から連続印字を行った。連続印字20,000枚目の時にベタ印字を行い、印字面について、カラー反射型濃度計(X−ライト社製、機種名「404A」)を用いて、印字濃度を測定した。
【0093】
(4)カブリ:
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(沖データ社製、商品名「マイクロライン3010C」)にコピー用紙をセットし、現像装置にトナー(非磁性一成分現像剤)を入れ、温度10℃/相対湿度20%の(L/L)環境下、及び温度35℃/相対湿度80%の(H/H)環境下で、それぞれ一昼夜放置した。その後、それぞれの環境下において、5%濃度で初期から連続印字を行った。連続印字20,000枚目の後に白ベタ印字を行い、そして印字を途中で停止し、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、スコッチメンディングテープ810−3−18)で剥ぎ取り、それを新しいコピー用紙に貼り付けた。前述の分光色差計を用いて、その色調を測定し、それぞれLab空間の座標として表し、色差ΔEを算出して、カブリ値とした。この値の小さい方が、カブリが少ないことを示す。
【0094】
(5)クリーニング性:
前述したプリンターの現像装置にトナーを入れ、初期から20,000枚まで連続印字を行い、1,000枚毎に感光体と帯電ロールを観察して、クリーニング不良による筋が発生する枚数をカウントした。
【0095】
(6)解像度:
前述したプリンターを用いて、初期から20,000枚まで連続印字を行った後、1ドットのラインと1ドットのホワイトライン、及び2ドットのラインと2ドットのホワイトラインを印刷し、それらの画質が再現できているかを光学顕微鏡で観察し、以下の基準で評価した。
A:1ドットのライン及び1ドットのホワイトラインを再現している。
B:1ドットのライン及び1ドットのホワイトラインを再現していないが、2ドットのライン及び2ドットのホワイトラインは再現している。
C:2ドットのライン及び2ドットのホワイトラインも再現していない。
【0096】
[実施例1]
1.着色剤マスターバッチの調製
スチレン82%、アクリル酸ブチル11%、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7%を共重合して得られた帯電制御樹脂(重量平均分子量=20,000、ガラス転移温度Tg=62℃)100部に、メチルエチルケトン24部とメタノール6部を分散させ、冷却しながらロールにて混練した。帯電制御樹脂がロールに巻き付いたところで、マゼンタ顔料(クライアント社製、商品名「C.1.ピグメンレッド122」)100重量部を徐々に添加して、1時間混練を行い、帯電制御樹脂組成物(着色剤マスターバッチ)を製造した。この時、ロール間隙は、初期1mmであり、その後徐々に間隙を広げ、最後は3mmまで広げ、有機溶剤(メチルエチルケトン/メタノール=4/1混合溶剤)を帯電制御樹脂の混練状態に合わせて何回か追加した。添加した有機溶剤は、混合後、減圧下で除去した。
【0097】
2.コア用重合性単量体組成物の調製
スチレン80部、n−ブチルアクリレート20部、ジビニルベンゼン0.6部及びポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.25部からなるコア用重合性単量体、前記帯電制御樹脂組成物12部、t−ドデシルメルカプタン1部、及びジペンタエリスリトールヘキサミリステート10部を室温下でビーズミルにより分散し、コア用重合性単量体組成物を得た。
【0098】
3.水系分散媒体の調製
攪拌翼を有する容器(攪拌槽)に、イオン交換水230部に塩化マグネシウム17.0部を溶解した水溶液を入れ、次いで、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム10.3部を溶解した水溶液を撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製した。生成したコロイドの粒径分布をSALD粒径分布測定器(島津製作所社製)で測定したところ、小粒径側から起算した個数累計が50%である粒径Dp50が0.35μmで、個数類型が90%であるDp90が0.62μmであった。
【0099】
4.シェル用重合性単量体の調製
メチルメタクリレート2部とイオン交換水65部を混合して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。シェル用重合性単量体の液滴は、Dp90が1.6μmであった。
【0100】
5.液滴形成工程
上記3で得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、コア用重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで撹拌し、そこに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルO」)5部を添加した。得られた分散液を用いて、下記の方法により重合性単量体組成物の液滴を形成した。
【0101】
撹拌装置として、図1に示すような櫛歯型同心リングである回転子と固定子との組み合わせを3段に有する縦型の多段階インライン分散機「DRS 2000/5」(IKA社製)を用いて、櫛歯型回転子を回転数13,400rpm、回転子先端速度(周速)40m/sで回転させ、内圧が0.1Mpaとなるように調整した。分散機で処理した分散液を、分散液供給槽12の液相に環流し、次いで、ライン13からインナーノズルを経て、元の分散機内に噴出速度0.5m/sで戻すことにより循環させながら、4分間高速攪拌処理して、重合性単量体組成物の液滴を形成した。このとき、インナーノズル先端が分散機中の分散液面下50mmに位置するように調整した。分散液の循環回数は、5回であった。DRS2000の周囲には冷却用ジャケットが取り付けてあり、約15℃の冷却水を流通させた。分散液の処理量は、3.9リットルであった。
【0102】
造粒後の液滴1mlを四ホウ酸ナトリウム4%水溶液30mlに分散させ、125Wの超音波を1分間照射し、SALD粒径分布測定器(島津製作所社製)で測定したところ、小粒径側から起算した体積累計が50%である粒径Dv50は4.03μmであった。
【0103】
6.重合工程
上記コア用重合性単量体組成物の液滴が形成された水酸化マグネシウムコロイド分散液に四ホウ酸ナトリウム十水和物を1部添加し、撹拌翼を装着した反応器に入れ、85℃で重合反応を開始した。重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液に水溶性開始剤(和光純薬社製、商品名「VA−086」=2,2′−アゾビス〔2−メチル−N(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕0.2部を溶解したものを、反応器に添加した。4時間重合を継続した後、反応を停止し、コア・シェル型着色重合体粒子の水分散液を得た。
【0104】
7.後処理工程
上記により得た着色粒子の水分散液を撹拌しながら、硫酸を添加しpHを4以下にして酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて45℃で2昼夜乾燥を行い、体積平均粒径(dv)が5.39μm、粒径分布(dv/dp)が1.11であるコア・シェル型着色重合体粒子を得た。
【0105】
8.現像剤の調製
得られたコア・シェル型着色重合体粒子100部に、外添剤として、疎水化度65%で体積平均粒径7nmのシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX−300」)0.5部、疎水化度64%で体積平均粒径40nmのシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX−50」)2.0部、及び体積平均粒径0.3μmのキューブ状の炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名「CUBE−03BHS」)0.3部を添加し、へンシェルミキサーを用いて10分間、回転数1400rpmで混合し、非磁性一成分現像剤(トナー)を調製した。結果を表1に示す。
【0106】
[実施例2]
実施例1の「水系分散媒体の調製」工程において、攪拌翼を有する容器(攪拌槽)に、イオン交換水230部に塩化マグネシウム11.3部を溶解した水溶液を入れ、次いで、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.9部を溶解した水溶液を撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製したこと、また、実施例1の「液滴形成工程」において、表1に示す処理条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして着色重合体粒子を製造し、非磁性一成分現像剤を得た。液滴形成工程においては、Dv50が6.69μmの液滴が形成された。結果を表1に示す。
【0107】
[比較例1]
実施例1の「水系分散媒体の調製」工程において、攪拌翼を有する容器(攪拌槽)に、イオン交換水230部に塩化マグネシウム20.3部を溶解した水溶液を入れ、次いで、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム12.4部を溶解した水溶液を撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製したこと、分散液の処理量を2.0リットルとしたこと、また、実施例1の「液滴形成工程」において、多段階インライン分散機「DRS 2000/5」に代えて、エバラマイルダー「MDN303V」(荏原製作所製)を用いて、表1に示す処理条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして着色重合体粒子を製造し、非磁性一成分現像剤を得た。液滴形成工程においては、内圧なしで稼動した。また、液滴形成工程では、Dv50が4.28μmの液滴が形成された。結果を表1に示す。
【0108】
[比較例2]
実施例1の「水系分散媒体の調製」工程において、攪拌翼を有する容器(攪拌槽)に、イオン交換水230部に塩化マグネシウム17.0部を溶解した水溶液を入れ、次いで、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム10.3部を溶解した水溶液を撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイドの分散液を調製し、かつ、表1に示す処理条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして着色重合体粒子を製造し、非磁性一成分現像剤を得た。液滴形成工程においては、Dv50が4.88μmの液滴が形成された。結果を表1に示す。
【0109】
【表1】
Figure 2004302310
【0110】
【発明の効果】
本発明によれば、粒径分布が非常にシャープでかつ微粉量が極めて少ない重合トナーを効率的に製造する方法が提供される。特に、本発明によれば、重合法により、粒径分布が非常にシャープでかつ微粉量が極めて少なく、所望の平均粒径の設計が容易で、さらには造粒工程を効率的に実施することができる重合トナーの製造方法が提供される。
【0111】
本発明の方法によれば、重合性単量体組成物の液滴形成工程において、目的粒径への仕上がりが非常に早いため、小さな撹拌装置(分散機)を用いて操業することが可能である。本発明の方法によれば、微粉量を顕著に低減することができるため、微粉の分級を行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の造粒工程で使用する撹拌装置の一具体例の断面図である。
【図2】図1の撹拌装置の攪拌機における回転子と固定子の構造を示す略図である。
【符号の説明】
1:多段階インライン分散機(攪拌機)、2:ケーシング、
3,5,7,22:櫛歯型固定子、4,6,8,21:櫛歯型回転子、
9:回転軸、10:出口、11:循環ライン、12:分散液供給槽、
13:分散液供給ライン、14:重合反応器への供給ライン。

Claims (5)

  1. 水系分散媒体中で少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物の微細な液滴を形成する工程と、液滴形成後の重合性単量体組成物を重合する工程とを含む重合トナーの製造方法であって、液滴形成工程において、
    (1)水系分散媒体中に重合性単量体組成物を分散させた分散液を、撹拌翼または回転子を備えた攪拌機と分散液供給槽とを有する撹拌装置の分散液供給槽に仕込み、次いで、攪拌機に導入し、必要に応じて、撹拌後に排出した分散液を分散液供給槽内に戻して循環させる方法を採用し、
    (2)攪拌機の撹拌翼または回転子の周速(m/s)をRとし、〔分散液の流量(リットル/h)×処理時間(h)〕/〔分散液の仕込み量(リットル)〕で表わされる分散液の循環回数をθとしたとき、R/θが2以上であり、かつ、Rが30m/s以上であることを特徴とする重合トナーの製造方法。
  2. 撹拌機が、櫛歯型同心リングである回転子と固定子との組み合わせを有し、回転子を高速で回転させて、回転子の内側から固定子の外側に分散液を流通させ、回転子と固定子との間隙で分散液を撹拌する分散機である請求項1記載の製造方法。
  3. 回転子の周速が30〜100m/sの範囲内である請求項2記載の製造方法。
  4. 撹拌機が、回転子の周速を35m/s超過とすることができる縦型または横型の分散機である請求項2または3記載の製造方法。
  5. 重合工程後に、体積平均粒径dvが4〜9μm、体積平均粒径dvと個数平均粒径dpの比dv/dpが1.25以下、かつ、体積平均粒径dvが3μm以下の個数分布が8%以下の重合トナーを得る請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
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