JP4281603B2 - マゼンタトナーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、重合法によるマゼンタトナーの製造方法に関し、さらに詳しくは、電子写真法や静電記録法によって形成される静電荷像を現像するための高品質のマゼンタトナーの製造方法に関する。
電子写真法は、一般に、光導電性物質を用いて形成された感光体上に、帯電及び露光により静電潜像を形成し、次いで、現像剤(トナー)により静電潜像を現像し、得られたトナー像を転写紙などの記録媒体上に転写し、定着して可視画像を得る方法である。
近年、電子写真法による画像形成において、急速にカラー化が進んでおり、カラー画像形成装置に対応することができる高品質のカラートナーが求められている。カラー画像形成装置は、一般に、複数の画像形成部を備えており、各画像形成部では、それぞれ色の異なるトナー像を形成する。具体的には、各画像形成部により、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどのカラートナー像を同一の記録媒体上に順次重ねて転写し、次いで、定着させることにより、カラー画像を形成している。
このように、カラー画像形成装置では、各色のカラートナーを重ねてカラー画像を形成するため、カラートナーには、透明性が高いことが求められている。また、カラートナーには、色の再現性を高めるため、分光反射特性に優れていることが求められている。この他、カラートナーには、低温定着が可能であること、正または負の帯電を精密に制御することができること、製造方法が簡単であることなどが求められている。
上記特性を満足させるには、何よりも先ず着色剤をできる限り細かく粉砕し、かつ均一に結着樹脂中に分散させる必要がある。そのために、重合トナーの場合には、重合性単量体中に着色剤を十分に均一かつ微細に分散させてから重合を行なう必要がある。着色剤としては、一般に、液状の重合性単量体に対して実質的に不溶性の顔料や染料が用いられている。着色剤としては、一般に、粒状のものが使用されているが、十分に微細化されていないことに加えて、重合性単量体中に均一に分散させることが困難である。
重合性単量体中に着色剤を分散させる方法として、各種メディア型分散機を用いた方法が提案されている。例えば、重合性単量体を少なくとも含有する単量体系中に着色剤を分散させる分散工程において、図5に示すメディア型分散機を用いた重合トナーの製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
図5に示すメディア型分散機は、液体供給口202を有する円筒状ケーシング(ステーター)201内に、駆動軸210上に取り付けた複数のアジテーターディスク(ローター)207を配置し、内部空間内に多数のメディア粒子208を内蔵した構造を有している。円筒状ケーシング201の外周面には、冷却媒体入口204と冷却媒体出口205を有するジャケット206が配置されており、冷却媒体により内部温度を調整できるように構成されている。駆動軸210の回転によりアジテーターディスク207を回転させながら、少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する混合液(スラリー)を液体供給口202からケーシング内に連続的に導入すると、メディア粒子と混合液に強力な剪断力が付与され、混合液中で着色剤が粉砕されて微細に分散される。着色剤が微細に分散した混合液(分散液)は、メディア分離ギャップセパレーター209によりメディア粒子と分離され、ケーシング201上部に設けられた液体排出口203から外部に搬送される。
特許文献1に記載の方法では、初期粘度を1〜100mPa・sの範囲に調整した単量体系をメディア型分散機に供給して着色剤を分散し、分散後の単量体系の粘度を初期粘度の10〜1000倍の範囲に制御している。特許文献1の実施例には、メディア型分散機を用いて、重合性単量体中に「C.I.ピグメントブルー15:3」(シアン着色剤)を分散させた実験例が示されている。
また、図4に示す構造を有するメディア型分散機も知られている。このメディア型分散機は、液体供給口102と液体排出口103とを有する円筒状ケーシング101内に、駆動軸110と、該駆動軸110上に配置されたローター107と、該円筒状ケーシング101の一方の側面に固定されたメディア分離スクリーン109とが配置された構造を有している。ローター107の一方の端部は、複数のメディア粒子排出スリット111が形成された円筒状部となっており、この円筒状部の内側にメディア分離スクリーン109が配置されている。ケーシング101内面とローター107外面との間に形成された内部空間内に多数のメディア粒子108が収容されており、この内部空間が分散室となっている。ケーシング101の外周面には、冷却媒体入口104と冷却媒体出口105を備えたジャケット106が配置されており、ケーシング内の温度調整を行なうことができるように構成されている。
このようなメディア型分散機を使用すると、重合性単量体中に着色剤を分散させることができる。しかし、本発明者らの実験結果によれば、単に図4及び5に示す構造のメディア型分散機を用いただけでは、重合性単量体中にマゼンタ顔料を微細に分散させることが極めて困難であることが判明した。
一般に、メディア型分散機で使用するメディア粒子は、粒径が小さいほどメディア粒子間の間隙が小さくなり、顔料を細かく粉砕することができる。しかしながら、従来のメディア型分散機は、メディア粒子の粒径を小さくすると、分散した顔料を含む重合性単量体組成物(分散液)が排出される際に、メディア粒子が同伴されて、排出されるおそれがある。
従来のメディア型分散機は、排出口のギャップまたはスリットにメディア粒子が集中して詰まり易いという問題がある。特にカラー顔料を重合性単量体中に分散させると、カーボンブラックを分散させた場合と比較して、分散液の粘度上昇が著しくなり、詰まりが発生し易かった。
また、高速化、カラー化、高解像度化に対応するために、トナーの処方が変化している。例えば、離型剤であるワックスとして、オレフィン系やパラフィン系等から、さらに定着性の優れた多価エステル系のワックスが用いられるようになっている。帯電制御剤についても、無色で安全性に優れた帯電制御樹脂が用いられるようになっている。このようなトナー処方の変更により、カラー顔料の分散時において、分散液の粘度が高粘度化する傾向が大きくなっている。
したがって、単にメディア型分散機を用いて分散させる方法は、マゼンタ顔料のように分散が困難なカラー顔料に適用した場合、十分満足できる分散性を達成することが極めて困難であった。
他方、着色剤の分散性や他の成分との相溶性を高めるために、各種カップリング剤を使用する方法が提案されている。例えば、カーボンブラックと重合性単量体と低軟化点化合物とアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートとを含有する重合性混合物を懸濁重合させてなるトナーが提案されている(特許文献2参照)。しかし、カーボンブラック自体は、微粒子であって、マゼンタ顔料などのように微細に粉砕する必要はない。実際、重合性単量体中にカーボンブラックを分散させた混合液の粘度は、それほど上昇することはない。特許文献2に記載の方法では、低軟化点化合物と重合性単量体の重合体により形成されつつあるバインダー樹脂中におけるカーボンブラック自体の分散性を向上させることが目的とされている。
また、ワックス、結着樹脂、カーボンブラックやC.I.ピグメントイエロー17などの着色剤、及び特定のアルミニウム系カップリング剤を含有する単量体系を直接重合してトナーを製造する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、特許文献3には、単量体系を構成する成分をアトライター(粉砕機)により分散させたことが記載されているが、このような分散法では、分散液の粘度を制御しつつマゼンタ顔料を微細に粉砕し均一に分散させることは極めて困難である。しかも、特許文献3の実施例には、アルミニウム系カップリング剤を着色剤100重量部に対して50重量部の割合で使用したことが記載されているが、このようにアルミニウム系カップリング剤の使用量が多いと、単量体系の水系分散媒体中での液滴形成に悪影響が生じることに加えて、得られるトナーの帯電量が大きく変動して、制御が困難になったり、印字枚数が多くなると、カブリがひどくなったりすることがある。
有機溶媒中に、変性ポリエステル樹脂(結着樹脂)、着色剤、離型剤を含有する組成分を溶解または分散させたものを、水系分散媒体中で架橋剤または伸長剤と反応させてトナーを製造し、その際、カーボンブラックの如き着色剤をアルミニウム系カップリング剤を用いて分散させて使用する方法が提案されている(特許文献4参照)。特許文献4の実施例には、カーボンブラック、アルミニウム系カップリング剤、酢酸エチルなどの混合液をビーズミルにより分散させたことが記載されている。しかし、このような分散方法をマゼンタ顔料に適用しても、マゼンタ顔料を微細に粉砕して分散させることは困難である。また、上記方法は、重合トナーの製造方法に関するものではない。
さらに、結着樹脂、モノアゾ系着色剤、及びオキシカルボン酸を含有する乾式トナーであって、トナー1g中に含まれるモノアゾ系着色剤の含有量をA(mg)、トナー1g中から0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液により抽出されるオキシカルボン酸の質量をB(mg)としたとき、5B≦A、5≦A≦100、及び0.10≦B≦3.50の各式を満足する乾式トナーが提案されている(特許文献5参照)。
特許文献5の実施例には、重合性単量体、赤色顔料、離型剤などを含む混合物をアトライターを用いて分散させたことが記載されている。アトライターを用いた分散処理は、バッチ式処理であるため、混合物の粘度上昇の影響を受けない。これに対して、最近の循環方式で用いるメディア型分散機では、混合液の粘度上昇により循環が困難になることがある。特許文献5に記載の方法では、分散液の粘度上昇を制御しつつマゼンタ顔料を微細に粉砕し均一分散させることは困難である。
特開平6−75429号公報 特開昭63−63056号公報 特開2003−195565号公報 特開2003−140395号公報 特開2002−072569号公報
本発明の課題は、重合法によりマゼンタトナーを製造するに際し、マゼンタ顔料を重合性単量体中に微細に分散させることができ、かつ分散時の粘度上昇を制御することができ、それによって、マゼンタ顔料の分散がより均質で画像濃度が良好なマゼンタトナーの製造方法を提供することにある。
また、本発明の課題は、重合法により、均質でシャープな粒度分布を有するマゼンタトナーの製造方法を提供することにある。本発明の他の課題は、マゼンタ顔料が重合性単量体中に均一かつ微細に分散され、貯蔵安定性に優れた分散液を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究した結果、少なくとも重合性単量体とマゼンタ顔料とを含有する重合性単量体組成物を調製する工程と、該重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合して着色重合体粒子を生成させる工程とを含むマゼンタトナーの製造方法において、重合性単量体組成物の調製工程として、先ず、重合性単量体、マゼンタ顔料、及びアルミニウム系カップリング剤を含有し、特定の粘度を有する混合液を調製し、次いで、該混合液をメディア型分散機に供給し、該メディア型分散機によりマゼンタ顔料を微細に分散させて、粘度上昇を制御した分散液を調製する方法に想到した。
本発明の製造方法は、混合液及び分散液の粘度を制御することができるため、最近の循環式のメディア型分散機に適用することが可能である。本発明の製造方法によれば、分散することが困難であったマゼンタ顔料を重合性単量体中で微細に粉砕し均一分散させることが可能である。
本発明の製造方法により得られたマゼンタトナーは、印字濃度が高く、カブリの発生が抑制され、定着温度を低くすることができ、オフセット温度を高くすることができる。本発明の製造方法によれば、マゼンタ顔料の分散性に優れ、画質及び耐久性に優れたマゼンタトナーを得ることができる。重合性単量体中にマゼンタ顔料が微細に分散した分散液は、保存安定性に優れている。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明によれば、少なくとも重合性単量体とマゼンタ顔料とを含有する重合性単量体組成物を調製する工程A、及び該重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合して着色重合体粒子を生成させる工程Bを含むマゼンタトナーの製造方法において、前記工程Aが、
(1)重合性単量体、マゼンタ顔料、及びアルミニウム系カップリング剤を含有し、25℃での粘度が70〜350mPa・sの混合液(a)を調製する工程1、及び
(2)該混合液(a)をメディア型分散機に供給し、該メディア型分散機によりマゼンタ顔料を微細に分散させて、25℃での粘度が400〜1500mPa・sの分散液(b)を調製する工程2
からなる顔料分散工程A1を含み、かつ、
顔料分散工程A1において、メディア型分散機として、液体供給口と液体排出口とを有する円筒状ケーシング内に、駆動軸と、該駆動軸上に配置され該駆動軸の回転によって同時に回転可能なローター及びメディア分離スクリーンとが設置されており、該ローターの一方の端部には複数のメディア粒子排出スリットが形成された円筒状部が設けられ、該ローターの円筒状部の内側に該メディア分離スクリーンが配置され、液体供給口からケーシング内に導入された液体がメディア分離スクリーンを通過して液体排出口から排出されるように構成されており、かつ、ケーシング内面とローター外面との間に形成された内部空間内にメディア粒子を収容したメディア型分散機を使用することを特徴とするマゼンタトナーの製造方法が提供される。
本発明によれば、マゼンタ顔料の分散性に優れ、画質及び耐久性に優れたマゼンタトナーが提供される。重合性単量体中にマゼンタ顔料が微細に分散した分散液は、保存安定性に優れている。
1.重合性単量体組成物の調製工程A
本発明の重合トナーの製造方法は、少なくとも重合性単量体とマゼンタ顔料とを含有する重合性単量体組成物を調製する工程A、及び該重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合して着色重合体粒子を生成させる工程Bを含んでいる。前記工程Aは、メディア型分散機を用いて、少なくとも重合性単量体とマゼンタ顔料とを含有する混合液中で該マゼンタ顔料を微細に分散させる分散工程A1を含んでいる。分散工程A1は、重合性単量体中にマゼンタ顔料を微細に分散させる工程である。
上記分散工程A1では、重合性単量体とマゼンタ顔料とアルミニウム系カップリング剤とを含む混合液をメディア型分散機に供給して、マゼンタ顔料を微細に粉砕し分散させた重合性単量体分散液を調製するが、必要に応じて、原料の混合液中に離型剤や帯電制御剤などのマゼンタ顔料(着色剤)以外の添加剤成分を添加しておいてもよい。分散効率を上げるには、実質的に重合性単量体とマゼンタ顔料とアルミニウム系カップリング剤とだけを含む混合液を用いて、マゼンタ顔料が微細に分散した重合性単量体分散液を調製し、得られた重合性単量体分散液にその他の添加剤成分を分散または溶解させることが好ましい。その他の添加剤成分の一部は、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成する際に、水系分散媒体に加えて、該液滴中に移行させてもよい。
したがって、本発明の重合性単量体組成物の調製工程Aは、前記分散工程A1のみにより重合性単量体組成物(分散液)を調製する場合と、分散工程A1と、分散工程により得られた重合性単量体分散液に、その他の添加剤成分を添加する工程A2とにより重合性単量体組成物を調製する場合とを含んでいる。なお、本発明においては、メディア型分散機内に最初に投入する重合性単量体とマゼンタ顔料とアルミニウム系カップリング剤とを含有する原料混合物を「混合液」(スラリー)と呼び、メディア型分散機によりマゼンタ顔料が微細に分散された混合物を「重合性単量体分散液」または単に「分散液」と呼ぶ。
本発明では、重合性単量体組成物を調製する工程Aにおいて、(1)重合性単量体、マゼンタ顔料、及びアルミニウム系カップリング剤を含有し、25℃での粘度が70〜350mPa・sの混合液(a)を調製する工程1、及び(2)該混合液(a)をメディア型分散機に供給し、該メディア型分散機によりマゼンタ顔料を微細に分散させて、25℃での粘度が400〜1500mPa・sの分散液(b)を調製する工程2からなる顔料分散工程A1を配置する。顔料分散工程A1において、メディア型分散機として、液体供給口と液体排出口とを有する円筒状ケーシング内に、駆動軸と、該駆動軸上に配置され該駆動軸の回転によって同時に回転可能なローター及びメディア分離スクリーンとが設置されており、該ローターの一方の端部には複数のメディア粒子排出スリットが形成された円筒状部が設けられ、該ローターの円筒状部の内側に該メディア分離スクリーンが配置され、液体供給口からケーシング内に導入された液体がメディア分離スクリーンを通過して液体排出口から排出されるように構成されており、かつ、ケーシング内面とローター外面との間に形成された内部空間内にメディア粒子を収容したメディア型分散機を使用する。
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(アルキルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)などが挙げられる。
これらのアルミニウム系カップリング剤の中でも、下記式〔I〕
Figure 0004281603
(式中、Rは、アルキル基を表わす。)
で表わされるアルキルアセテートアルミニウムジイソプロピレートが好ましい。Rは、アルキル基であるが、その炭素原子数は、通常10〜30、好ましくは15〜25であり、R=18である化合物が特に好ましい。
アルミニウム系カップリング剤は、マゼンタ顔料100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは2〜25重量部、より好ましくは3〜20重量部、特に好ましくは4〜15重量部の割合で用いられる。アルミニウム系カップリング剤の使用量が多すぎると、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の均一な液滴を形成することが困難になったり、得られるマゼンタトナーの帯電特性が悪影響を受け易くなる。アルミニウム系カップリング剤の使用量が少なすぎると、マゼンタ顔料の分散性が低下し、十分に粉砕し均一に分散されたマゼンタ顔料を含有する分散液、ひいて重合性単量体組成物を調製することが困難になる。
本発明では、先ず、重合性単量体、マゼンタ顔料、及びアルミニウム系カップリング剤を含有し、25℃での粘度が70〜350mPa・sの混合液を調製する。この混合液は、撹拌機を備えたタンク中に原料成分を投入し、撹拌することにより調製することができる。マゼンタ顔料は、予め十分に微細化されていないことに加えて、重合性単量体に実質的に不溶であるため、混合液中での分散性が悪い。本発明では、アルミニウム系カップリング剤を添加することにより、混合液の初期粘度を70〜350mPa・s、好ましくは80〜300mPa・s、より好ましくは100〜200mPa・sの範囲に制御する。
初期粘度を上記範囲に制御することにより、混合液を循環式のメディア型分散機に供給したとき、分散による粘度上昇を制御して、マゼンタ顔料が微細に粉砕され均一に分散された分散液を調製することが容易となる。混合液の初期粘度が高すぎたり、アルミニウム系カップリング剤を使用しなかった場合には、メディア型分散機内での混合液の粘度上昇が著しくなって、十分な分散が困難になる。
次に、混合液をメディア型分散機に供給し、該メディア型分散機によりマゼンタ顔料を微細に分散させて、25℃での粘度が400〜1500mPa・sの分散液を調製する。この分散液の粘度が低すぎると、マゼンタ顔料が十分に分散されていないことを示す。分散液の粘度が低すぎると、マゼンタトナーの印字濃度が低下する。他方、分散液の粘度が高くなりすぎると、メディア型分散機を用いた分散処理を行うことが困難になる。また、分散液の粘度が高くなりすぎると、マゼンタトナーは、カブリが発生し易いものとなり、定着温度などのトナー特性を制御することも困難になる。分散液の粘度は、好ましくは450〜1000mPa・sである。
マゼンタ顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などがある。具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、31、48、48:2、48:3、48:4、57、57:1、58、60、63、64、68、81、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、166、169、170、177、184、185、187、202、206、207、209、220、251、254などが挙げられる。この他、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
本発明で使用するマゼンタ顔料は、有機マゼンタ顔料であることが好ましく、アゾ顔料であることがより好ましい。アゾ顔料は、水相への溶解性が低いことや耐光性に優れる点で、不溶性アゾ顔料であることがより好ましい。また、アゾ顔料は、色相が良好で、着色力が大きいという点で、ナフトール系不溶性アゾ顔料が好ましい。環境への配慮から、顔料構造中にハロゲン原子を含まず、顔料を有するトナーが印刷されている転写材を焼却したときにダイオキシン等の発生がないナフトール系不溶性アゾ顔料が特に好ましい。
このようなハロゲン原子を含有しないナフトール系不溶性アゾ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド12、16、17、18、19、22、23、31、114、150、170、171、175、185、245等が挙げられる。これらの中でも、色相、分散性の点から、C.I.ピグメントレッド31、150、185が好ましい。これらのマゼンタ顔料は、単独で使用しても、2種以上を併用しても構わない。
マゼンタ顔料は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜70重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部の割合で用いられる。
本発明の分散工程A1では、メディア型分散機を使用する。メディア型分散機としては、図4及び5に示すものを使用することができるが、図1〜3に示すメディア型分散機と、該メディア型分散機を用いた分散システムを採用することが好ましい。
図1の分散システムは、メディア型分散機1とホールディングタンク5とを、ライン12及び14からなる下方フローと、ライン15からなる上方フローとにより接続した構成を有している。
ホールディングタンク5内には、撹拌モーター6によって駆動されて回転する撹拌翼7が配置されている。ホールディングタンク5の外周部には、ジャケット8が取り付けられており、温度制御媒体入口9から温度制御媒体を導入し、温度制御媒体出口10から排出することにより、ホールディングタンク5内の液体を所望の温度に制御することができるようにしている。
ホールディングタンク5内に、少なくとも重合性単量体とマゼンタ顔料とアルミニウム系カップリング剤とを投入して撹拌することにより原料混合液(スラリー)を調製するか、他の混合装置で予め調製した原料混合液を投入する。ホールディングタンク5内の混合液は、循環ポンプ13を稼動させることにより、バルブ11、ライン12、循環ポンプ13、及びライン14を経てメディア型分散機1の液体供給口3からケーシング(容器またはステーターともいう)2内に導入される。混合液は、メディア型分散機1内で強力な剪断力を受けて、その中でマゼンタ顔料が微細に粉砕されて分散される。マゼンタ顔料が微細に分散した重合性単量体分散液は、液体排出口4からライン15を経てホールディングタンク5内に導かれる。一旦メディア型分散機内を通過した分散液は、マゼンタ顔料の更なる均一かつ微細な分散を達成するために、再度同じメディア型分散機1内を所望の回数で循環させることができる。
重合性単量体は、高温に加熱されると部分的な重合を開始し易い。他方、混合液または分散液の粘度が高すぎると、分散システム内での流動性が低下する。そのため、ホールディングタンク5内の液温が例えば10〜30℃の範囲内となるように、ジャケット8内に冷水や温水などの温度制御媒体を通して温度調整を行なうことが望ましい。同様に、メディア型分散機内で強力な剪断力を受けると、混合液または分散液の液温が上昇し、重合性単量体の部分的な重合が起こり易くなるので、メディア型分散機のジャケットに冷却水などの冷却媒体を通して、液温を10〜30℃程度の範囲内に制御することが望ましい。
図2に、本発明で好適に使用するメディア型分散機の断面図を示す。メディア型分散機1は、液体供給口3と液体排出口4とを有するケーシング2内に、駆動軸19と、該駆動軸19上に配置され該駆動軸19の回転によって同時に回転可能なローター16及びメディア分離スクリーン18が設置された構造を有している。ケーシング2内面とローター16外面との間に形成された内部空間がメディア粒子を収容した分散室である。ローター16の一方の端部には、複数のメディア粒子排出スリット23が形成された円筒状部24が設けられており、この円筒状部24の内側にメディア分離スクリーン18が配置されている。液体供給口3からケーシング2内に導入された液体は、メディア分離スクリーン18を通過して、液体排出路25を経て液体排出口4から外部に排出されるように構成されている。液体排出路25は、例えば、駆動軸19とローター16との間に設けられている。ローター16に液体排出路25を形成してもよい。
メディア型分散機に備え付けたモーター(図示せず)により駆動軸19を回転させると、駆動軸19上に配置したローター16及びメディア分離スクリーン18が同時に回転する。重合性単量体とマゼンタ顔料とアルミニウム系カップリング剤とを含む混合液をライン14から液体供給口3を通してケーシング2内に連続的に供給すると、ローター16の回転により生じる遠心力とメディア粒子17の働きにより、混合液に強力な剪断力が加わり、それによって、マゼンタ顔料が重合性単量体中に微細に分散する。マゼンタ顔料が微細に分散した重合性単量体分散液は、メディア分離スクリーン18を通過し、液体排出路25を経て、液体排出口4から外部に排出される。この分散液をライン15からホールディングタンク5内に戻し、再度同じメディア型分離機内に循環させると、マゼンタ顔料をより均一かつ微細に分散させた分散液を得ることができる。
図1に示す分散システムでは、循環ポンプ13を稼動させて混合液または分散液をメディア型分散機内に連続的に供給するため、循環ポンプ13の吐出圧により、マゼンタ顔料が微細に分散した分散液は、メディア分離スクリーン18を通過して、連続的に液体排出口4から外部(例えば、ホールディングタンク内)に排出される。メディア分離スクリーン18は、格子状または網目状のスクリーンを備えている。使用するメディア粒子は、メディア分離スクリーン18の網目または格子間隔よりも大きいため、該メディア分離スクリーンを通過することがない。
メディア分離スクリーンは、駆動軸19上に配置され、駆動軸19の回転により回転するため、その全体的な形状は、一般に円筒状である。すなわち、円筒の外周がスクリーンによって形成されており、円筒の一方の端部は閉塞され、他方の端部は、液体排出路25に連通する開口が形成されている。ローター16は、図2及び図3に示すように、一方の端部には、複数のスリット23を形成した円筒状部24が設けられており、該円筒状部の内側にメディア分離スクリーンが配置されている。スリット23の大きさは、メディア粒子がその中を通過できる程度に調整してある。分散処理中、着色剤が微細に分散した重合性単量体分散液は、メディア粒子と共にメディア分離スクリーン18の表面に到達するが、メディア粒子は、回転するメディア分離スクリーンの遠心力を受けて、ローター16の円筒状部24に形成したスリット23を通って分散室内に戻り、重合性単量体分散液のみが液体排出口4から外部に排出される。
したがって、このメディア型分散機では、メディア分離スクリーン18表面へのメディア粒子17の滞留等の偏在を防ぐことができる。すなわち、このメディア型分散機は、メディア分離部でのメディア分離性に優れており、分散処理中にメディア分離部が目詰まりを起こして内部圧が上昇するのが防止される。分散処理中にメディア型分散機の内部圧が上昇すると、運転を中止したり、運転条件を緩和する必要があるが、このメディア型分散機では、メディア分離性に優れているため、効率的な運転が可能であり、分散効率が低下することがない。
本発明で使用するメディア型分散機は、ローターやケーシング(ステーター)の混合液または分散液と接する部分がロックウェルCスケール硬さ(HRC)が20以上の材質からなるものであることが好ましい。ロックウェルCスケール硬さ(HRC)を20以上にすることにより、ローター及びケーシングと内部空間内に充填されているメディア粒子との摺動摩擦により生じる磨耗を防ぎ、ひいては磨耗により生じる汚染物質の重合性単量体分散液中へのコンタミネーションを防ぐことができる。
ローターの先端部の周速は、通常2m/s以上、好ましくは4m/s以上、より好ましくは5〜15m/sである。周速を大きくすることにより、マゼンタ顔料の分散を短時間で効率よく行うことができる。
ローターは、例えば、ジルコンやジルコニアなどの高硬度のセラミックス、スチールなどの高硬度金属、超高分子量ポリエチレンやナイロンなどの高分子材料から形成することができる。
メディア粒子は、例えば、ジルコンやジルコニアなどの高硬度のセラミックス、スチールなどの高硬度金属から形成することができる。メディア粒子は、一般に球状の粒子である。着色剤の重合性単量体への分散性の観点から、メディア粒子の粒径(直径)を2mm以下とすることが好ましく、1mm以下とすることがより好ましく、0.05mm以上、0.5mm未満の範囲内とすることが特に好ましい。メディア粒子の粒径の下限は、0.1mm程度が特に好ましい。
前記メディア型分散機に内蔵させるメディア粒子の見かけの充填率は、ケーシングの内部空間を基準にして、好ましくは60〜95容積%、より好ましくは70〜90容積%である。メディア粒子の充填率を高めることにより、マゼンタ顔料の粉砕・分散効率が良好となり、分散室内での混合液または分散液のショートパスを防止することができる。
分散工程では、例えば、図1に示すホールディングタンク5内に、重合性単量体、マゼンタ顔料、アルミニウム系カップリング剤、及び所望によりその他の添加剤成分を投入して混合液を調製する。別の混合装置で調製した混合液をホールディングタンク5内に投入してもよい。トナー用添加剤成分の中でも、マゼンタ顔料などの着色剤は、最も微細に粉砕し分散させることが困難な成分であり、離型剤や帯電制御剤などのその他の添加剤成分は、重合性単量体中への分散または溶解が比較的容易である。そのため、重合性単量体とマゼンタ顔料とアルミニウム系カップリング剤とからなる混合液をメディア型分散機を用いて分散処理を行い、その他の添加剤成分を分散処理後に含有させることが分散処理の効率上の観点から好ましい。
すなわち、その他の添加剤成分を添加することなく、実質的に重合性単量体とマゼンタ顔料とアルミニウム系カップリング剤とからなる混合液を用いて分散処理を行なうと、比較的小容量のホールディングタンクや小型のメディア型分散機を用いて、短時間で効率的にマゼンタ顔料の微分散処理を行なうことができる。
分散工程では、重合性単量体中にマゼンタ顔料を可能な限り微細に粉砕し分散させることが好ましい。マゼンタ顔料の分散度(分散の度合い)は、マゼンタ顔料粒子の粒径や分散液の塗膜の光沢度を指標として評価することができる。分散工程では、100μm平方視野で分散液に含まれる長径0.5μm超過のマゼンタ顔料粒子の個数が好ましくは5個以下、多くの場合ゼロ個となるまで、マゼンタ顔料を微細に分散させることが望ましい。より具体的には、分散工程において、濃度3重量%のマゼンタ顔料が微細に分散した重合性単量体分散液を用いて形成した塗膜を光学顕微鏡により倍率400倍で観察したとき、該塗膜の100μm平方視野中に含まれる長径0.5μm超過のマゼンタ顔料粒子の個数が好ましくは5個以下、より好ましくは3個以下、特に好ましくはゼロ個となるように、メディア型分散機によるマゼンタ顔料の分散度を制御する。ただし、マゼンタ顔料の分散度は、分散液の粘度によって評価することが可能である。
また、マゼンタ顔料の分散度は、重合性単量体分散液を用いて形成した塗膜の光沢度を指標として評価することができる。分散工程において、濃度4.5重量%のマゼンタ顔料が微細に分散した重合性単量体分散液を用いて形成した塗膜をグロス計により角度20°で測定したとき、該塗膜の光沢度が好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、特に好ましくは70%以上となるように、メディア型分散機によるマゼンタ顔料の分散度を制御することが好ましい。
ただし、本発明の製造方法において、マゼンタ顔料の分散度は、混合液の初期粘度と分散液の粘度との対比によって評価することが可能であり、分散液の粘度が前記範囲内となるように分散条件を制御する方法が好ましい。
ホールディングタンク5内の混合液をメディア型分散機1内に供給して分散処理を行なうが、着色剤の十分な分散度を達成するには、一旦分散処理を行なった分散液を再度メディア型分散機に供給し、2回以上循環させて分散処理を行なうことが好ましい。循環回数(θ)は、以下の式により計算される。
循環回数θ=処理時間(分)/1循環に要する時間(分/回)
1循環に要する時間tは、下記式により求める。
t=W/V
t:1循環に要する時間(分/回)
W:ホールディングタンクへの投入量(kg)
V:循環ポンプ給液量(kg/分)
分散工程での循環回数は、使用するメディア型分散機の大きさや、着色剤の種類、被処理液の容量などに応じて適宜選択することができるが、循環回数は、好ましくは2〜30回、より好ましくは3〜20回、特に好ましくは5〜15回程度である。
重合性単量体組成物には、帯電制御剤、離型剤、分子量調整剤、滑剤、分散助剤などの各種添加剤を含有させることができる。重合性単量体組成物は、重合開始剤の存在下に重合させるので、重合開始前までに、重合性単量体組成物中に重合開始剤を含有させる。
(1)重合性単量体:
本発明では、重合性単量体の主成分としてモノビニル単量体を使用する。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン単量体;等が挙げられる。
モノビニル単量体は、単独で用いても、複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。これらモノビニル単量体のうち、芳香族ビニル単量体単独、芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリル酸の誘導体との組み合わせなどが好適に用いられる。
モノビニル単量体と共に、ジビニルベンゼンなどの架橋性単量体を用いると、ホットオフセット特性を改善することができる。架橋性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その使用量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜7重量部、より好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜3重量部である。
モノビニル単量体と共にマクロモノマーを用いると、高温での保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有する巨大分子であり、数平均分子量が通常1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーである。数平均分子量が上記範囲内にあると、マクロモノマーの溶融性を損なうことなく、重合トナーの定着性及び保存性が維持できるので好ましい。
マクロモノマーの分子鎖末端にある重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などを挙げることができるが、共重合のしやすさの観点からはメタクリロイル基が好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する重合体を与えるものが好ましい。
マクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独でまたは2種以上を重合して得られる重合体;ポリシロキサン骨格を有するマクロモノマー;などを挙げることができるが、これらの中でも、親水性のものが好ましく、特にメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを単独で、あるいはこれらを組み合わせて重合して得られる重合体が好ましい。
マクロモノマーを使用する場合、その使用量は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、より好ましくは0.05〜1重量部である。マクロモノマーの使用量が上記範囲内にあると、重合トナーの保存性を維持して、定着性が向上するので好ましい。
(2)帯電制御剤:
重合トナーの帯電性を向上させるために、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を重合性単量体組成物中に含有させることが好ましい。帯電制御剤としては、例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、ニグロシン、帯電制御樹脂などが挙げられる。
具体的には、ボントロンN−01(オリエント化学工業社製)、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業社製)、スピロンブラックTRH(保土ケ谷化学工業社製)、T−77(保土ケ谷化学工業社製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−81(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−84(オリエント化学工業社製)、ボントロンE−89(オリエント化学工業社製)、ボントロンF−21(オリエント化学工業社製)、COPY CHARGE NX VP434(クラリアント社製)、COPY CHARGE NEG VP2036(クラリアント社製)、LR−147(日本カーリット社製)、コピーブルーPR(クラリアント社製)などの帯電制御剤;4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、スルホン酸(塩)基含有共重合体等の帯電制御樹脂;等を挙げることができる。
本発明では、帯電制御樹脂を用いることが好ましい。負帯電制御樹脂として、重合体の側鎖に、i)カルボキシル基またはその塩、ii)フェノール基またはその塩、iii)チオフェノール基またはその塩、及びiv)スルホン酸基またはその塩から選ばれる置換基を有する樹脂が挙げられる。重合体の側鎖に含有される置換基から形成される塩としては、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カルシウム、クロム、鉄、マンガン、コバルト等の金属との塩、及びアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン等の有機塩基との塩が挙げられる。これらの中でも、重合体の側鎖にスルホン酸基及びその塩を有するものが好ましく、ビニル単量体単位を有する重合体鎖の側鎖にスルホン酸基及びその塩を有するものがより好ましい。正帯電制御樹脂としては、具体的には、−NH、−NHCH、−N(CH、−NHC、−N(C 、−NHCOH等のアミノ基を含有する樹脂、及びそれらがアンモニウム塩化された官能基を含有する樹脂が挙げられる。帯電制御樹脂の重量平均分子量は、通常2,000〜30,000、好ましくは4,000〜25,000、さらに好ましくは6,000〜20,000である。
帯電制御剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部の割合で用いられる。
(3)離型剤:
オフセット防止または熱ロール定着時の離型性の向上などの目的で、離型剤を重合性単量体組成物中に含有させることができる。離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどのポリオレフィンワックス類;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートなどの多官能エステル化合物;などが挙げられる。これらの離型剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの離型剤のなかでも、合成ワックス、末端変性ポリオレフィンワックス類、石油系ワックス、多官能エステル化合物が好ましい。離型剤の使用割合は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
(4)滑剤・分散助剤:
着色剤の均一分散等を目的として、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸、脂肪酸とNa、K、Ca、Mg、Zn等の金属とからなる脂肪酸金属塩などの滑剤;シラン系またはチタン系カップリング剤等の分散助剤;などを重合性単量体に含有させることができる。このような滑剤や分散剤は、着色剤の重量を基準として、通常1/1000〜1/1程度の割合で使用される。
(5)重合開始剤:
重合性単量体の重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、1,1′,3,3′−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類;などを挙げることができる。これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を使用することもできる。
これらの開始剤のなかでも、重合性単量体に可溶な油溶性の重合開始剤を選択することが好ましく、必要に応じて、水溶性の重合開始剤を併用することもできる。重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部の割合で用いられる。
重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め添加することができるが、早期重合を抑制するために、重合性単量体組成物の液滴形成工程の段階で添加することが好ましい。
(6)分子量調整剤:
重合に際して、分子量調整剤を使用することが好ましい。分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。分子量調整剤は、通常、重合開始前の重合性単量体組成物に含有させるが、重合途中に添加することもできる。分子量調整剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
重合性単量体組成物の調製工程1において、分散工程で重合性単量体と着色剤とからなる分散液を調製した場合には、分散工程後、必要に応じて、該分散液に着色剤以外の添加剤成分を含有させることができる。この場合、着色剤以外の添加剤成分を分散液に投入して溶解または分散させることができる。添加剤成分の一部は、重合性単量体組成物を水系媒体中に投入して液滴を形成する工程で水系媒体中に投入して、該液滴中に吸収させることにより重合性単量体組成物中に含有させることができる。また、この段階で、必要に応じて、追加の重合性単量体を分散液に添加することもできる。
2.着色重合体粒子の生成工程B
本発明の重合トナーの製造方法は、工程Aで調製した重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合して着色重合体粒子を生成させる工程Bを含んでいる。工程Bでは、懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法などの重合法が採用されるが、これらの中でも懸濁重合法及び乳化重合法が好ましく、懸濁重合法がより好ましい。
懸濁重合法は、重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含んでいる。水系分散媒体としては、一般に、分散安定剤を含有する水系分散媒体が用いられる。懸濁重合法では、先ず、分散安定剤を含有する水系分散媒体中に重合性単量体組成物を懸濁して微細な液滴を形成し、次いで、懸濁重合を行なって着色重合体粒子を生成させる。必要に応じて、該着色重合体粒子の存在下にシェル用重合性単量体を更に重合させる工程を付加して、コア−シェル構造を有する着色重合体粒子を生成させてもよい。
したがって、本発明の製造方法は、工程Bにおいて、重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合して着色重合体粒子を生成させ、所望により、該着色重合体粒子の存在下にシェル用重合性単量体を更に重合してコア−シェル構造を有する着色重合体粒子を生成させて、着色重合体粒子またはコア−シェル構造の着色重合体粒子を含有する水分散液を製造する工程を含んでいる。
乳化重合法では、先ず、乳化剤を含有する水系媒体中で、重合性単量体組成物を乳化重合し、次いで、得られた着色樹脂微粒子を凝集させてトナー粒径にまで肥大化させる方法を採用することができる。
水系分散媒体としては、一般に、イオン交換水などの水を用いるが、所望により、水にアルコールなどの親水性溶媒を加えたものを用いてもよい。重合法では、一般に、水系分散媒体中に分散安定剤を含有させて、水系分散媒体中に分散した重合性単量体組成物の液滴の安定性を増大させる。
懸濁重合法では、難水溶性の金属水酸化物コロイドなどの分散安定剤を使用するが、界面活性剤を併用することもできる。乳化重合法では、重合性単量体または重合性単量体組成物の分散安定化のために、水系媒体中に各種乳化剤を添加する。これらの重合法の中でも、所望の粒径を有する球形の着色重合体粒子が得られ易く、また、コア−シェル構造の着色重合体粒子を形成し易い点で懸濁重合法が好ましい。そこで、以下、懸濁重合法を中心に説明する。
本発明に用いる分散安定剤は、難水溶性金属化合物のコロイドが好適である。難水溶性金属化合物としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、などの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;りん酸カルシウムなどのりん酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄の金属水酸化物;等を挙げることができる。これらのうち、難水溶性金属水酸化物のコロイドは、重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適である。
難水溶性金属化合物のコロイドは、その製法による制限はないが、水溶性多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性金属水酸化物のコロイド、特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との水相中の反応により生成する難水溶性金属水酸化物のコロイドを用いることが好ましい。難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。
分散安定剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部の割合で使用する。この割合が少なすぎると、充分な重合安定性を得ることが困難であり、重合凝集物が生成し易くなる。逆に、この割合が多すぎると、水溶液粘度が大きくなって重合安定性が低くなる。
本発明においては、必要に応じて、水溶性高分子を分散安定剤として用いることができる。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等を例示することができる。本発明においては、界面活性剤を使用する必要はないが、帯電特性の環境依存性が大きくならない範囲で、懸濁重合を安定に行うために使用することができる。
重合トナーは、一般に、重合性単量体の重合により生成した重合体が結着樹脂となり、その中に着色剤や離型剤などの添加剤成分が分散した着色重合体粒子である。この着色重合体粒子をコアとし、その上に重合体層からなるシェルを形成して、コア−シェル構造の着色重合体粒子とすることができる。
懸濁重合法を例に取ると、重合トナーは、例えば、以下の工程により得ることができる。重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に分散し、撹拌して、重合性単量体組成物の均一な液滴、一般に、体積平均粒径が50〜1000μm程度の一次液滴を形成する。重合開始剤は、早期重合を避けるため、水系媒体中での液滴の大きさが均一になってから水系媒体に添加することが好ましい。
水系媒体中に重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液に重合開始剤を添加混合し、さらに、高速回転剪断型撹拌機を用いて、液滴の粒径が目的とする着色重合体粒子に近い小粒径になるまで撹拌する。このようにして形成された微小粒径の液滴、一般に、体積平均粒径が1〜12μm程度の二次液滴を含有する懸濁液を重合反応器に仕込み、通常5〜120℃、好ましくは35〜95℃の温度で懸濁重合を行う。重合温度が低すぎると、触媒活性が高い重合開始剤を用いなければならないので、重合反応の管理が困難になる。重合温度が高すぎると、低温で溶融する添加剤を含む場合、これが重合トナー表面にブリードし、重合トナーの保存性が悪くなることがある。
重合性単量体組成物の微小な液滴の体積平均粒径及び粒径分布は、重合トナーの体積平均粒径や粒径分布に影響する。液滴の粒径が大きすぎると、生成する着色重合体粒子の粒径が大きくなりすぎて、画像の解像度が低下するようになる。液滴の粒径分布が広いと、定着温度のばらつきが生じ、カブリ、トナーフィルミングの発生などの不具合が生じるようになる。したがって、重合性単量体組成物の液滴は、生成する着色重合体粒子とほぼ同じ大きさになるように形成することが望ましい。
重合性単量体組成物の液滴の体積平均粒径は、通常1〜12μm、好ましくは2〜10μm、より好ましくは3〜9μmである。重合性単量体組成物の液滴の粒径分布(体積平均粒径/数平均粒径)は、通常1〜3、好ましくは1〜2.5、より好ましくは1〜2である。特に微細な液滴を形成する場合には、高速回転する回転子と、それを取り囲み、かつ小孔または櫛歯を有する固定子との間隙に、単量体組成物を含有する水系分散媒体を流通させる方法が好適である。
重合性単量体として前述のモノビニル単量体の中から1種以上を選択するが、トナーの定着温度を下げるには、ガラス転移温度Tgが通常80℃以下、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃程度の重合体を形成し得る重合性単量体または重合性単量体の組み合わせを選択することが好ましい。本発明において、結着樹脂を構成する重合体のTgは、使用する重合性単量体の種類と使用割合に応じて算出される計算値、すなわち「計算Tg」である。
懸濁重合により、重合性単量体の重合体中に添加剤成分が分散した着色重合体粒子が生成する。本発明では、着色重合体粒子をマゼンタトナー(重合トナー)として使用する。重合トナーの保存性(すなわち、耐ブロッキング性)、低温定着性、定着時の溶融性などを改善する目的で、懸濁重合によって得られた着色重合体粒子の上に、さらに重合体層を形成して、コア−シェル構造を有する着色重合体粒子とすることができる。
コア−シェル構造の形成方法としては、例えば、前記の着色重合体粒子をコア粒子とし、該コア粒子の存在下にシェル用重合性単量体を更に重合して、コア粒子の表面に重合体層(シェル)を形成する方法を採用することができる。シェル用重合性単量体として、コア粒子を構成する重合体成分のTgよりも高いTgを有する重合体を形成するものを使用すると、重合トナーの保存性を改善することができる。他方、コア粒子を構成する重合体成分のTgを低く設定することにより、重合トナーの定着温度を下げたり、溶融特性を改善したりすることができる。したがって、重合工程でコア−シェル構造の着色重合体粒子を形成することにより、印字の高速化、フルカラー化、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)透過性などに対応できる重合トナーが得られる。
コア及びシェルを形成するための重合性単量体としては、前述のモノビニル系単量体の中から好ましいものを適宜選択することができる。コア用重合性単量体とシェル用重合性単量体との重量比は、通常40/60〜99.9/0.1、好ましくは60/40〜99.7/0.3、より好ましくは80/20〜99.5/0.5である。シェル用重合性単量体の割合が過小であると、重合トナーの保存性の改善効果が小さく、過大であると、定着温度の低減効果が小さくなる。
シェル用重合性単量体により形成される重合体のTgは、通常、50℃超過120℃以下、好ましくは60℃超過110℃以下、より好ましくは80℃超過105℃以下である。コア用重合性単量体から形成される重合体とシェル用重合性単量体から形成される重合体との間のTgの差は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、特に好ましくは30℃以上である。多くの場合、定着温度と保存性のバランスの観点から、コア用重合性単量体として、Tgが通常60℃以下、好ましくは、40〜60℃の重合体を形成しうるものを選択するのが好ましい。他方、シェル用重合性単量体としては、スチレンやメチルメタクリレートなどのTgが80℃を超える重合体を形成する単量体を、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体は、コア粒子の平均粒径よりも小さな液滴として重合反応系に添加することが好ましい。シェル用重合性単量体の液滴の粒径が大きすぎると、コア粒子の周囲に重合体層が均一に形成され難くなる。シェル用重合性単量体を小さな液滴とするには、シェル用重合性単量体と水系分散媒体との混合物を、例えば、超音波乳化機などを用いて、微分散処理を行い、得られた分散液を重合反応系に添加すればよい。
シェル用重合性単量体が、20℃の水に対する溶解度が0.1重量%以上の比較的水溶性の単量体(例えば、メチルメタクリレート)である場合には、コア粒子の表面に比較的速やかに移行しやすいので、微分散処理を行う必要はないが、均一なシェルを形成する上で、微分散処理を行うことが好ましい。シェル用重合性単量体が、20℃の水に対する溶解度が0.1重量%未満の単量体(例えば、スチレン)の場合には、微分散処理を行うか、あるいは20℃の水に対する溶解度が5重量%以上の有機溶媒(例えば、アルコール類)を反応系に加えることにより、コア粒子の表面に移行しやすくすることが好ましい。
シェル用重合性単量体には、帯電制御剤を加えることができる。帯電制御剤としては、前述したコア粒子製造に使用するのと同様のものが好ましく、使用する場合には、シェル用重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
コア−シェル構造の重合トナーを製造するには、コア粒子を含有する懸濁液中に、シェル用重合性単量体またはその水系分散液を一括して、あるいは連続的若しくは断続的に添加する。シェル用重合性単量体を添加する際に、水溶性のラジカル開始剤を添加することがシェルを効率良く形成する上で好ましい。シェル用重合性単量体の添加時に水溶性重合開始剤を添加すると、シェル用重合性単量体が移行したコア粒子の外表面近傍に水溶性重合開始剤が進入し、コア粒子表面に重合体層が形成されやすくなると考えられる。
水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2′−アゾビス−[2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド]等のアゾ系開始剤などを挙げることができる。水溶性重合開始剤の使用量は、シェル用重合性単量体100重量部当り、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。
シェルの平均厚みは、通常0.001〜1.0μm、好ましくは0.003〜0.5μm、より好ましくは0.005〜0.2μmである。シェル厚みが大きすぎると、重合トナーの定着性が低下し、小さすぎると、重合トナーの保存性が低下する。重合トナーのコア粒子径、及びシェルの厚みは、電子顕微鏡により観察できる場合は、その観察写真から無作意に選択した粒子の大きさ及びシェル厚みを直接測ることにより得ることができ、電子顕微鏡でコアとシェルとを観察することが困難な場合は、コア粒子の粒径と、シェルを形成する重合性単量体の使用量から算定することができる。
3.洗浄・回収工程
着色重合体粒子の生成工程の後、水系分散媒体から着色重合体粒子(マゼンタトナー)を回収するが、回収前に未反応の重合性単量体などの揮発性有機化合物を除去する工程を配置してもよい。具体的には、着色重合体粒子を含有する水分散液をストリッピング処理して、揮発性有機化合物を除去する方法などを採用することができる。
着色重合体粒子の生成工程の後、または前記の如き揮発性有機化合物の除去工程の後、洗浄工程を配置する。すなわち、着色重合体粒子の回収は、常法に従って、脱水、洗浄、濾過、乾燥処理により行われ、乾燥した着色重合体粒子が回収される。脱水に先立って、一般に、使用した分散安定剤を可溶化して除去するために、分散安定剤の種類に応じて、例えば、酸洗浄やアルカリ洗浄などの処理が行われる。
例えば、分散安定剤として水酸化マグネシウムコロイドなどの難水溶性金属水酸化物のコロイドを用いた場合には、水分散液に硫酸などの酸を加えて分散安定剤を水に可溶化させる(これを「酸洗浄」という)。酸洗浄により、水分散液のpHを好ましくは5以下に調整する。
酸洗浄またはアルカリ洗浄後、水分散液を濾過して脱水する。脱水後、洗浄水を用いて着色重合体粒子の洗浄を行うが、洗浄水の供給と脱水とを繰り返し行なうか、連続的に行なうことが洗浄効率を高める上で好ましい。そのため、洗浄脱水機を用いて水による洗浄を行なうことが好ましい。脱水洗浄機としては、連続式ベルトフィルターやサイホンピーラー型セントリフュージなどが挙げられる。
洗浄工程後、湿潤状態にある着色重合体粒子を乾燥させる。乾燥方法としては、流動乾燥、真空乾燥などが挙げられるが、低温での乾燥が可能な真空乾燥が好ましく、特に撹拌翼を備えた真空乾燥機による乾燥が好ましい。
4.重合トナー及び現像剤
本発明の製造方法により着色重合体粒子として得られるマゼンタトナー(コア−シェル構造を有する着色重合体粒子を含む)の体積平均粒径dvは、通常1〜12μm、好ましくは2〜11μm、より好ましくは3〜10μmである。解像度を高めて高精細な画像を得る場合には、マゼンタトナーの体積平均粒径を好ましくは2〜9μm、より好ましくは3〜8μmにまで小さくすることができる。
本発明のマゼンタトナーの体積平均粒径dvと個数平均粒径dpとの比dv/dpで表される粒径分布は、通常1.7以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、特に好ましくは1.25以下である。重合トナーの体積平均粒径が大きすぎると、解像度が低下しやすくなる。マゼンタトナーの粒径分布が大きいと、大粒径のトナーの割合が多くなり、解像度が低下しやすくなる。
本発明のマゼンタトナーは、長径dlと短径dsとの比dl/dsで表される球形度が、好ましくは1〜1.3、より好ましくは1〜1.2の実質的に球形であることが好ましい。実質的に球形のマゼンタトナーを非磁性一成分現像剤として用いると、感光体上のトナー像の転写材への転写効率が向上する。
本発明の製造方法により得られたマゼンタトナーは、各種現像剤のトナー成分として使用することができるが、非磁性一成分現像剤として使用することが好ましい。本発明のマゼンタトナーを非磁性一成分現像剤とする場合には、必要に応じて、外添剤を混合することができる。外添剤としては、流動化剤や研磨剤などとして作用する無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル共重合体で形成されたコア−シェル型粒子などが挙げられる。
これらの中でも、無機酸化物粒子が好ましく、二酸化ケイ素が特に好ましい。無機微粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理された二酸化ケイ素粒子が特に好適である。外添剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよく、外添剤を組み合わせて用いる場合には、平均粒子径の異なる無機粒子同士または無機粒子と有機樹脂粒子とを組み合わせる方法が好適である。外添剤の量は、特に限定されないが、重合トナー100重量部に対して、通常0.1〜6重量部である。外添剤を重合トナーに付着させるには、通常、重合トナーと外添剤とをヘンシェルミキサーなどの混合機に入れて攪拌する。
本発明の製造方法について、実施例及び比較例を示しながら更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。本発明では、以下の方法により、各種物性や特性などの評価を行った。
(1)混合液及び分散液の粘度:
ブルックフィールド社製のB型粘度計を用い、スピンドルをNo3、回転数を60rpmとした。液温度は、25℃の水槽で10分間以上調整し、その後に測定を実施した。測定時間は、回転開始から1分後とし、そのときの値を読んだ。
(2)着色重合体粒子の粒径及び粒径分布:
重合体粒子の体積平均粒径dv、並びに体積平均粒径dvと個数平均粒径dpとの比dv/dpで表わされる粒径分布は、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径100μm、媒体イソトン、サンプル濃度10%、測定粒子個数100000個の条件で行なった。
(3)印字濃度:
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(24枚機;1分間の印字枚数が24枚)を、未定着画像を出せるよう改造し、さらに、バイアスを変更できるよう改造したプリンターを用い、25cmのベタ未定着画像を印字しこの画像の重量をAとした。この画像をエアーブロワーでトナーを除去し除去後の画像の重量をBとし、紙面上のトナー付着量を算出した。
紙面上トナー付着量(mg/cm)=(A−B)/25
この紙面上付着量が0.5mg/cmになるようバイアスを調整し、0.5mg/cmのサンプルについて定着し、このときのI.D.を印字濃度として評価した。
(4)環境安定性(カブリ):
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(24枚機)を用いて、温度28℃、湿度80%のH/H環境下で一昼夜放置後、5%濃度で連続印字を行い、20000枚印字後に、ベタ印字を行い、印字を途中で停止させ、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを粘着テープ(住友スリーエム社製、スコッチメンディングテープ810−3−18)で剥ぎ取り、それを新しい印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の色調Bを、白色度計(日本電色工業株式会社製 商品名「SE2000」)で測定し、同様にして、粘着テープだけを貼り付けた新しい印字用紙の色調Aを測定し、それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、色差ΔE*を算出して、カブリ値とした。この値の小さい方が、カブリが少ないことを示す。
(5)定着温度及びオフセット温度:
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(24枚機)を、定着ロール部の温度を変化できるように改造して、定着ロールの温度を変化させて、5℃刻みで、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度と定着率の関係を求める定着試験を行った。
定着率は、定着ロールの温度が安定したところで、上記改造プリンターを用いて印字用紙にベタ印字を行い、印字した用紙のベタ領域について、テープ剥離操作前後の印字濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID前、テープ剥離後の画像濃度をID後として、定着率は、次式から算出した。
定着率(%)=(ID後/ID前)×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製、スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。この定着試験において、定着率が90%以上になる定着ロールの温度のうち、最低の温度をトナーの最低定着温度とした。また、さらに温度を上げていき、ホットオフセットが発生するまでの温度を測定した。
表1において、>210と表記されているのは、210℃でもホットオフセットが発生しなかったことを示す。
[実施例1]
図1に示す分散システムを用いて、マゼンタ顔料を重合性単量体中に微細に分散させた。図1に示す分散システムは、メディア型分散機1及びホールディングタンク5を、液体が流通するライン12及び14からなる下方回路とライン15からなる上方回路により接続した構成を有している。
メディア型分散機1としては、図2に断面図を示すように、液体供給口3と液体排出口4とを有するケーシング2内に、駆動軸19上に配置され該駆動軸19の回転によって同時に回転可能なローター16及びメディア分離スクリーン18が設置された構造を有し、内部空間内に多数のメディア粒子17を収蔵したものを用いた。ローター16の一方の端部には、複数のメディア粒子排出スリット23が形成された円筒状部24が設けられており、この円筒状部24の内側にメディア分離スクリーン18が配置されている。液体供給口3からケーシング2内に導入された液体は、メディア分離スクリーン18を通過して液体排出口4から外部に排出されるように構成されている。
メディア型分散機に備え付けたモーターにより駆動軸19を回転させると、駆動軸19上に配置したローター16及びメディア分離スクリーン18が同時に回転する。重合性単量体とマゼンタ顔料とアルミニウム系カップリング剤とを含む混合液を液体供給口3からケーシング2内に連続的に供給すると、ローター16の回転により生じる遠心力とメディア粒子17の働きにより、マゼンタ顔料が重合性単量体中に微細に分散する。マゼンタ顔料が微細に分散した重合性単量体分散液は、メディア分離スクリーン18を通過し、液体排出路25を経て、液体排出口4から外部に排出される。この分散液をホールディングタンク5内に戻し、再度同じメディア型分離機内に循環させると、マゼンタ顔料をより均一かつ微細に分散させた分散液を得ることができる。
前記ホールディングタンク5内に、スチレン1600重量部、アクリル酸ブチル200重量部にマゼンタ顔料としてPR31を56重量部及びPR150を44重量部添加し、次いで、アルミニウム系カップリング剤(アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート;味の素ファインテクノ社製、商品名「AL−M」)を5重量部添加し、撹拌モーター6で撹拌翼7を回転し、重合性単量体とマゼンタ顔料とアルミニウム系カップリング剤とを含有する混合液を調製した。この混合液の粘度はB型粘度計(ブルックフィールド社製)スピンドルNo3、60rpm、液温度25℃の条件において測定したところ、129mPa・s(Cp)であった。この際、ジャケット8の温度制御媒体入口9から温度制御用媒体(温水または冷水)を導入し、温度制御媒体出口10から排出することにより、混合液の温度を25℃に調整した。
このマゼンタ顔料を含有する混合液を、循環ポンプ13を用いて、ホールディングタンク5の下部からバルブ11、ライン12、及びライン14を経て、下記運転条件に設定されたメディア型分散機(浅田鉄工社製、商品名「ピコグレンミル」)1の液体供給口3から、2kg/分の供給速度でメディア型分散機1内に連続的に供給した。
ケーシングの空間容積: 0.63L
メディア分離スクリーンのスリット間隙:54μm
メディア粒子: 直径0.1mmのジルコニアビーズ
メディア充填量: 0.54L(ケーシング空間容積の85%)
駆動軸の回転数: 2546rpm(ローター先端周速12m/sec)
液体供給口3からマゼンタ顔料を含有する混合液を連続的に供給すると、ローター16の回転により生じる遠心力と激しく運動するメディア粒子17により分散液に強い剪断力が働いてマゼンタ顔料が微細化される。マゼンタ顔料が微細に分散した重合性単量体分散液は、メディア分離スクリーン18によりメディア粒子と分離され、液体排出路25を経て液体排出口4から外部に排出される。液体排出口4から排出した重合性単量体分散液は、ライン15を経てホールディングタンク5内に戻される。ホールディングタンク5内に戻された重合性単量体分散液は、ライン12及び14を経て、再びメディア型分散機1内に連続的に供給される。このように、重合性単量体分散液をメディア型分散機内を循環させながら分散処理を行なった。
分散処理中、メディア分離スクリーン18の表面付近に移動したメディア粒子17は、回転するローター16とメディア分離スクリーンの遠心効果により、該ローター16の一方の端部に設けられた円筒状部24のメディア粒子排出スリット23から分散室に戻され、メディア分離スクリーン18表面に滞留することがない。したがって、分散処理中、ケーシング2内の圧力は0.03MPaで安定していた。運転中、液体排出口4から排出されるマゼンタ顔料が分散した重合性単量体分散液の温度が25℃となるように、冷却水を冷却媒体入口20からジャケット22内に供給し、冷却媒体出口21から排出して温度制御を行なった。
循環回数(θ)が10となる10分間分散処理を行ない、運転を停止した。この処理後の分散液の粘度は、分散前の混合液と同条件で測定した時698mPa・sであった。ここで、循環回数(θ)は、以下の式により計算される。
循環回数θ=処理時間/1循環に要する時間(分/回)
1循環に要する時間tは、下記式により求める。
t=W/V
t:1循環に要する時間(min/回)
W:ホールディングタンクへの投入量(kg)
V:循環ポンプ給液量(kg/min)
次に、マゼンタ顔料が微細に分散した重合性単量体分散液95.25部に、スチレン10部、帯電制御剤(スチレン/アクリル樹脂、藤倉化成株式会社製、商品名「FCA-207P」)1部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業株式会社製、商品名「AA6」)0.25部、及びジペンタエリスリトールヘキサミリステート10部を添加し、攪拌溶解して重合性単量体組成物を調製した。
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)6.5部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(アルカリ金属水酸化物)5部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)水性分散液を調製した。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド水性分散液に、上記重合性単量体組成物を投入、撹拌後、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.75部、架橋性モノマーとしてジビニルベンゼン0.25部、及び重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルO」)5部をさらに投入し、インライン型乳化分散機(株式会社荏原製作所製、商品名「マイルダー」)を用いて、15000rpmの回転数で10分間高剪断攪拌して、重合性単量体組成物の液滴を形成した。
重合性単量体組成物の液滴が分散した水性分散液を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、昇温して重合を開始し、温度が90℃で一定となるように重合温度を制御した。重合転化率がほぼ100%に達した後、重合温度はそのままにして、シェル用重合性単量体のメチルメタアクリレート1部と、イオン交換水10部に溶解した2,2′−アゾビス[2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド](和光純薬工業株式会社製、商品名「VA086」)0.1部を添加し、90℃で3時間反応を継続した後、反応を停止し、コア−シェル構造を有する着色重合体粒子の水性分散液を得た。水性分散液のpHは、9.5であった。
上記により得た着色重合体粒子を含有する水性分散液を攪拌しながら、硫酸により水性分散液のpHを6以下として、酸洗浄(25℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えてリスラリー化して、水洗浄を行なった。その後、濾過、脱水、水洗浄を数回繰り返し行なってから固形分を濾過分離して、湿潤した着色重合体粒子を得た。湿潤した着色重合体粒子を真空乾燥機の容器内に入れ、圧力30torr、温度50℃で真空乾燥した。
乾燥後の着色重合体粒子の粒径分布は、体積平均粒径dv=7.33μm、数平均粒径dp=6.15μm、粒度分布dv/dp=1.19、16μm以上の体積%=1.7%、20μm以上の体積%=1.1%、5μm以下の個数%=23.5%、であった。
[実施例2]
実施例1においてアルミニウム系カップリング剤の添加量を5部から10重量部に、マゼンタ顔料が微細に分散した重合性単量体分散液を95.25部から95.5部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得た。このマゼンタトナーの乾燥後の粒径分布は、体積平均粒径dv=7.42μm、数平均粒径dp=6.20μm、粒度分布dv/dp=1.20、16μm以上の体積%=2.1%、20μm以上の体積%=1.5%、5μm以下の個数%=21.4%であった。
[比較例1]
実施例1においてアルミニウム系カップリング剤を添加せずに分散工程を行ったところ、循環中にスクリーンに顔料の凝集物とビーズが閉塞し、処理が不可能であったため、以後の操作を中止した。この処理途中の分散液の粘度を先ほどと同様の条件で測定したところ2000mPa・s超過となり計測不可能であった。
[比較例2]
実施例1においてアルミニウム系カップリング剤の代わりにチタン系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製、商品名「KR-TTS」)を添加した以外は、実施例1と同様にして分散工程を行った。処理中にメディア型分散機の内圧と温度が上昇し、分散処理が困難な状況であった。この処理後の分散液の粘度は2000mPa・s超過となり計測不可能であった。この分散液を実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得た。このマゼンタトナーの乾燥後の粒径分布は、体積平均粒径dv=7.45μm、数平均粒径dp=6.03μm、粒度分布dv/dp=1.24、16μm以上の体積%=2.8%、20μm以上の体積%=1.7%、5μm以下の個数%=26.8%であった。
[比較例3]
実施例1において、メディア型分散機をバッチ処理式の分散機(三井鉱山社製、商品名「アトライター」)に、メディア粒径を0.1mmから1.5mmに、メディア充填率を85%から80%にそれぞれ変更し、アジテーター回転数200rpmにて3時間分散処理を行った以外は、実施例1と同様にしてマゼンタトナーを得た。このマゼンタトナーの乾燥後の粒径分布は、体積平均粒径dv=7.50μm、数平均粒径dp=5.92μm、粒度分布dv/dp=1.27、16μm以上の体積%=2.9%、20μm以上の体積%=1.8%、5μm以下の個数%=28.3%であった。
Figure 0004281603
本発明の製造方法により得られたマゼンタトナーは、電子写真法による画像形成装置において、カラートナーとして利用することができる。
本発明の実施例で採用している分散システムの説明図である。 本発明で使用するメディア型分散機の断面図である(実施例1)。 メディア型分散機で用いられているローターの説明図である。 従来のメディア型分散機の一例の断面図である。 従来のメディア型分散機の他の一例の断面図である(比較例3)。
符号の説明
1:メディア型分散機、2:ケーシング、3:液体供給口、4:液体排出口、
5:ホールディングタンク、6:撹拌モーター、7:撹拌翼、8:ジャケット、
9:温度制御媒体入口、10:温度制御媒体出口、11:バルブ、
12:ライン、13:循環ポンプ、14:ライン、15:ライン、
16:ローター、17:メディア粒子、18:メディア分離スクリーン、
19:駆動軸、20:冷却媒体入口、21:冷却媒体出口、22:ジャケット、
23:メディア粒子排出スリット、24:ローターの円筒状部、
25:液体排出路、
101:ケーシング、102:液体供給口、103:液体排出口、
104:冷却媒体入口、105:冷却媒体出口、106:ジャケット、
107:ローター、108:メディア粒子、109:メディア分離スクリーン、
110:駆動軸、111:メディア粒子排出スリット、
201:ケーシング、202:液体供給口、203:液体排出口、
204:冷却媒体入口、205:冷却媒体出口、206:ジャケット、
207:アジテーターディスク、208:メディア粒子、
209:メディア分離ギャップセパレーター、210:駆動軸。

Claims (7)

  1. 少なくとも重合性単量体とマゼンタ顔料とを含有する重合性単量体組成物を調製する工程A、及び該重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合して着色重合体粒子を生成させる工程Bを含むマゼンタトナーの製造方法において、前記工程Aが、
    (1)重合性単量体、マゼンタ顔料、及びアルミニウム系カップリング剤を含有し、25℃での粘度が70〜350mPa・sの混合液(a)を調製する工程1、及び
    (2)該混合液(a)をメディア型分散機に供給し、該メディア型分散機によりマゼンタ顔料を微細に分散させて、25℃での粘度が400〜1500mPa・sの分散液(b)を調製する工程2
    からなる顔料分散工程A1を含み、かつ、
    顔料分散工程A1において、メディア型分散機として、液体供給口と液体排出口とを有する円筒状ケーシング内に、駆動軸と、該駆動軸上に配置され該駆動軸の回転によって同時に回転可能なローター及びメディア分離スクリーンとが設置されており、該ローターの一方の端部には複数のメディア粒子排出スリットが形成された円筒状部が設けられ、該ローターの円筒状部の内側に該メディア分離スクリーンが配置され、液体供給口からケーシング内に導入された液体がメディア分離スクリーンを通過して液体排出口から排出されるように構成されており、かつ、ケーシング内面とローター外面との間に形成された内部空間内にメディア粒子を収容したメディア型分散機を使用することを特徴とするマゼンタトナーの製造方法。
  2. アルミニウム系カップリング剤が、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートである請求項1記載の製造方法。
  3. マゼンタ顔料が、アゾ顔料である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 顔料分散工程A1において、前記メディア型分散機の駆動軸の回転によりローター及びメディア分離スクリーンを同時に回転させながら、前記混合液(a)を液体供給口から連続的にケーシング内に供給して、ローターの回転によって生じる遠心力とメディア粒子によってマゼンタ顔料を微細に分散させて、分散液(b)を調製する請求項記載の製造方法。
  5. マゼンタ顔料が分散した混合液をメディア分離スクリーンを通過させて液体排出口から外部に搬送し、そして、外部に搬送した混合液を、再度同じメディア式分散機の液体供給口から連続的にケーシング内に供給し、少なくとも2回の循環回数で該メディア型分散機内を循環させることにより、マゼンタ顔料を微細に分散させて、分散液(b)を調製する請求項記載の製造方法。
  6. 粒径0.01mm以上0.5mm未満のメディア粒子と目開き40〜80μmのメディア分離スクリーンとを使用し、ローター先端部の周速5〜15m/s、循環回数3〜20回の条件でメディア型分散機を稼動させることにより、マゼンタ顔料を微細に分散させて、分散液(b)を調製する請求項乃至のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記工程Aが、顔料分散工程A1で得られた分散液(b)に、帯電制御剤及び必要に応じてその他のトナー用添加剤成分を添加する工程A2を更に含むものである請求項1乃至のいずれか1項に記載の製造方法。
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