JP2004300234A - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Hitoshi Tomita
斉 冨田
Tetsuo Nishikawa
哲生 西川
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Kanebo Synthetic Fibers Ltd
Kanebo Ltd
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Kanebo Synthetic Fibers Ltd
Kanebo Ltd
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Abstract

【課題】電気・電子部品や機械部品に好適にもちいられる、防錆に優れた高比重熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂とタングステン粉末を溶融混練することからなる高比重樹脂組成物の製造方法であって、上記タングステン粉末がナトリウムを16ppm未満含有することを特徴とする比重7以上の高比重熱可塑性樹脂組成物の製造方法。ほとんど全ての熱可塑性樹脂に対して利用可能であるが、特にポリアミド樹脂に好適にもちいられる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂にタングステン粉末を高充填させた高比重性と防錆性を付与した高比重材料の製造方法に関するものであり、高比重性と防錆性を必要とする電気・電子部品や機械部品に好適な高比重材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性樹脂にタングステン粉末を高充填して高比重性を付与した熱可塑性樹脂組成物が多くの産業分野で広く使用されている。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂、タングステン粉末90〜98重量%及び特定の飽和脂肪族カルボン酸からなる比重7.5以上の樹脂が報告されている。
【0003】
しかしながら、熱可塑性樹脂にタングステン粉末を高充填して高比重性を付与した熱可塑性樹脂組成物の成形品は高温多湿状態(例えば、60℃、95%RH)に曝されると、成形品の表面が腐食する。これは、タングステン粉末の腐食に起因すると思われる。
【0004】
これを防ぐ方法として、例えば、特許文献2には金属粉末の表面に燐酸エステル系の金属錯化合物の薄皮膜を形成させて酸化防止する方法や特許文献3には有機基を含まない無機燐酸化合物を被覆させて酸化防止する方法が報告されている。
【0005】
しかし、何れの方法でも、タングステン粉末に応用してナイロン6と混練すると流動性は著しく低下し、射出成形は不可能となった。
【0006】
一方、タングステン粉末中に含まれている不純物を分析したところ、ナトリウムの含有量がタングステン粉末の腐食と相関関係にあることが判明した。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−215563号公報
【特許文献2】
特開平1−234502号公報
【特許文献3】
特開平4−21702号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的とするところは、上記の従来技術の問題点を解消し、高比重性と防錆性を有する高比重材料の製造方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、熱可塑性樹脂とタングステン粉末からなる樹脂組成物を製造するに際して、ナトリウムの含有量が16ppm以下のタングステン粉末を用い、これを熱可塑性樹脂と溶融混合することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法によって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する熱可塑性樹脂の種類は、特に限定されるものではないが、具体例としては、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、液晶性ポリマー、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、塩化ビニル系、アミド系、フッ素系が挙げられるがこの限りではない。これらは単体、若しくは2種以上の混合物として使用しても良い。
【0011】
特に、機械的特性の面でポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂として、具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン46、MXD6ナイロン、芳香族ナイロン等が挙げられるが、特に、ナイロン6、ナイロン66及びナイロン12が好ましい。
【0012】
本発明に使用するタングステン粉末の大きさは特に限定しないが、平均粒径は好ましくは、300μm以下、より好ましくは2〜100μmである。平均粒径がこの程度であると、射出成形時の操業性も良好で熱可塑性樹脂との混合性も良好であるので好ましい。
【0013】
本発明に使用するタングステン粉末は、ナトリウムを16ppm未満含有していることが肝要である。特に13ppm未満が好ましい。16ppm以上含有している場合、十分な防錆効果は得られない。
【0014】
本発明に使用するタングステン粉末は、熱可塑性樹脂との接着性をあげるためカップリング処理を施しても良い。カップリング剤としては、具体的にはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を用いることが出来る。
【0015】
本発明の製造方法で得られる高比重材料は比重が7以上であることが好ましい。例えば熱可塑性樹脂がナイロン6の場合、タングステン粉末の配合量は、89重量%以上が必要となる。
【0016】
本発明の製造方法では本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の添加剤を加えることができる。具体的には、酸化防止剤及び熱安定剤(例えばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスファイト類及びこれらの置換体及びその組合せを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、結晶核剤(例えばカオリン、タルク等)、滑剤及び離型剤(例えばモンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド等)、強化材(ガラス繊維、炭素繊維、ウィスカー等)、摺動材(モリブデン化合物、フッ素化合物、黒鉛等)、染料、顔料等の着色剤等を1種又は2種以上添加することが出来る。これらを添加する場合、予め熱可塑性樹脂と乾式混合した後、溶融混練でタングステン粉末と混合する方法や熱可塑性樹脂及びタングステン粉末と乾式混合した後押出機で溶融混練する方法が採られる。
【0017】
本発明の製造方法で得られる高比重材料は、それぞれの成分が十分に分散していることが好ましい。
【0018】
本発明の製造方法は、熱可塑性樹脂とアルカリ金属を16ppm未満含有するタングステン粉末を溶融混練する方法である。一般的に、タングステン粉末と熱可塑性樹脂の混合は、押出機による溶融混練法で行われるが、分散性を高めるために混練押出機として2軸異方向回転押出機を用いる方法が好ましいが、これに限定されるものではない。さらに具体的には、予め粉末状の熱可塑性樹脂、カップリング処理を施したタングステン粉末を高剪断攪拌器(例えばヘンシェルミキサやスーパーミキサ)で十分に混合した後、2軸異方向回転押出機に供給する方法などが挙げられるが、これに限定されない。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、熱可塑性樹脂にタングステン粉末を高充填させた高比重性と防錆性を付与した高比重材料の製造方法に関する物であり、高比重性と防錆性を必要とする電気・電子部品や機械部品等に有用である。
【0020】
【実施例】
以下、実施例で本発明を更に詳しく説明する。尚、物性評価は以下の方法に従って実施した。
【0021】
タングステン粉末中のアルカリ金属の定量方法:タングステン粉末を過酸化水素水に加熱溶解させ、ICP(SII社製)で測定した。
比重:ASTM D792(使用する試験片形状:127mm×13mm×6.4mm)
錆発生状況:比重に使用したのと同じ形状の試験片を60℃、90%RH下に1日間曝した後観察した。
変化が無かった場合:○
1日間で錆が見られた場合:×
【0022】
実施例1〜7、比較例1
表1に示した各種の熱可塑性樹脂の粉末、予めヘンシェルミキサーでカップリング(カップリング剤 東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 SH6020)処理した各種タングステン粉末を表1に示す組成で配合し、ヘンシェルミキサーで十分混合後、2軸混練押出機(日本製鋼社製 TEX30α)で溶融混練した。射出成形機(住友重機械社製 HIPRO SG−75)を用い曲げ試験片(127×13×6.4mm)に成形し、比重、錆発生及び衝撃強度の評価に供した。これらの結果も表1に示した。
【0023】
【表1】
Figure 2004300234
【0024】
以上のように、本発明の製造方法で得られた高分子材料は高比重性及び防錆に優れているため、電気・電子部品や機械部品に好適である。

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂とタングステン粉末からなる樹脂組成物を製造するに際して、ナトリウムの含有量が16ppm未満のタングステン粉末を用い、これを熱可塑性樹脂と溶融混合することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  2. 得られる樹脂組成物の比重が7以上である、請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
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