JP2004300146A - 感染防御剤 - Google Patents

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Abstract


【課題】本発明の目的は、細菌やウイルスによる感染症の予防または治療において、安全性の高い感染防御剤を提供することにある。
【解決手段】本発明は、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を有効成分として含有する感染防御剤剤に関する。本発明治療剤は、感染症の予防また治療において新規な感染防御剤であり、抗生物質や抗菌剤のような副作用等の問題点は全くなく、院内感染に対しても安心して使用可能なもので、安全性の高い医薬として有用性の高いものである。

Description

本発明は、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の新規な医薬用途に関するものであり、具体的にはワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を有効成分として含有する感染防御剤に関する。
感染症は、細菌、ウイルスなどの微生物が人体に侵入し、臓器や組織の中で増殖した結果生ずる。一般に微生物のヒトへの感染は、表皮、特に角質の発達していない粘膜を経由しての場合が多く、生体上皮の表層に存在する複合糖質の糖鎖構造をレセプターとして認識・結合することにより成立する。生体にはこれらの微生物による感染に対し防御機構を備えており、表皮表面の細菌叢、pH、殺菌物質などが感染防御に関与しているが、特に粘膜表面に分泌される抗体が感染の初期段階においては大きな役割を果している。粘膜下のリンパ組織で産生されたIgA抗体は粘膜上皮を通過して分泌され、この間に上皮細胞の産生する分泌成分と呼ばれるペプチド鎖の結合をうけて分泌型IgAとなる。この分泌型IgAに属する抗体は細菌やウイルスに結合し、それらの感染性を失わせて微生物の生体への侵入そのものを阻止し、生体を感染から守っている。
感染症の治療として、病原性細菌の感染に対しては主として抗生物質が用いられ、病原性細菌を死滅させるという発病後の治療法として非常に有効であるが、様々な副作用あるいはアレルギー症状を引き起こすなど問題も多い。また、抗生物質を継続的に使用すると、薬剤耐性菌が発生し、既存の抗生物質の効力が減弱し、近年非常に問題視されている病院内感染も生じる。
一方、ウイルス感染症に対しては、現在数種の抗ウイルス剤が市販されているが、種々の副作用が報告されており、抗がん剤との併用による重篤な副作用も発生している。また、抗生物質の場合と同様に薬剤耐性ウイルスの出現という問題も生じている。従って、ウイルス性疾患への対策としては、ウイルス感染を予防するワクチン投与も繁用されている。しかし、ワクチンの種類によっては、そのウイルス性疾患に罹患する危険性や発熱、アナフィラキシー、脳症等の副作用発現が常に問題とされている。
従って、上述したような問題を解決するためには、抗生物質や抗ウイルス剤とは異なった種類の薬剤、例えば、細菌やウイルスの感染に対する生体の防御機能を増進させるような感染防御剤が求められている。
本発明感染防御剤の有効成分であるワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物については、鎮痛作用、鎮静作用、抗ストレス作用、抗アレルギー作用(特許文献1参照)、免疫促進作用、抗癌作用、肝硬変抑制作用(特許文献2参照)、特発性血小板減少性紫斑病に対する治療効果(特許文献3参照)、帯状疱疹後神経痛、脳浮腫、痴呆、脊髄小脳変性症等への治療効果(特許文献4参照)、レイノー症候群、糖尿病性神経障害、スモン後遺症等への治療効果(特許文献5参照)、カリクレイン産生阻害作用、末梢循環障害改善作用(特許文献6参照)、骨萎縮改善作用(特許文献7参照)、敗血症やエンドトキシンショックの治療に有効な一酸化窒素産生抑制作用(特許文献8参照)、骨粗鬆症に対する治療効果(特許文献9参照)、Nef作用抑制作用やケモカイン産生抑制作用に基づくエイズ治療効果(特許文献10、11)、脳梗塞等の虚血性疾患に対する治療効果(特許文献12)などが開示されているが、感染防御剤としての医薬用途に関する発表や報告はまだ無い。
特開昭53−101515号公報 特開昭55−87724号公報(第3、5、6頁) 特開平1−265028号公報(第1、2頁) 特開平1−319422号公報(第3、4頁) 特開平2−28119号公報(第3頁) 特開平7−97336号公報(第4頁) 特開平8−291077号公報 特開平10−194978号公報 特開平11−80005号公報(第2、3頁) 特開平11−139977号公報 特開2000−336034号公報(第2、3頁) 特開2000−16942号公報
本発明の目的は、種々の細菌やウイルスの感染に対する予防または治療において、上述したような抗生物質、抗ウイルス剤、ワクチン等の副作用や薬剤耐性菌の出現等の問題がない感染防御剤を提供することにある。
本発明者らは、感染症に対する予防または治療において、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を有効成分とする製剤が優れた感染防御作用を有することを見出し、発明を完成させた。
ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物は、細菌やウイルスの感染に対して粘膜免疫を介した感染防御作用を生体に付与する薬理作用を有するため、これを有効成分として含有する本発明薬剤は、抗生物質や抗菌剤のような副作用等の問題点のない安全な医薬として有用性の高いものである。
本発明感染防御剤の有効成分はワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物であり、ワクシニアウイルスを接種した炎症組織において産生される生理活性物質、該物質を病態組織から抽出する方法並びにそれらの薬理活性などについては上述のように種々報告されている(上記特許文献1乃至12等)。
また実際の医薬品としてはワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液製剤がある。この製剤は、医療薬日本医薬品集〔2002(第25版)、日本医薬情報センター編、株式会社じほう発行〕の2379-2381頁に記載されているように、ワクシニアウイルスを接種した家兎の炎症皮膚組織から抽出分離した非蛋白性の活性物質を含有する薬剤であり、腰痛症、頸肩腕症候群、症候性神経痛、肩関節周囲炎、変形性関節症、皮膚疾患(湿疹、皮膚炎、じんま疹)に伴う掻痒、アレルギー性鼻炎、スモン後遺症状の冷感・異常知覚・痛み、帯状疱疹後神経痛等に対する適応が認められており、皮下、筋注、静注用の注射剤並びに錠剤が医療用医薬品として製造承認を受けて市販されている。
本発明感染防御剤の有効成分は上述したようなワクシニアウイルス接種炎症組織から抽出した非蛋白性の生体機能調整物質であり、前記の医療薬日本医薬品集にも掲載されているワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液製剤は医薬品の製造承認を受け市販されており入手可能である。また上述した特許文献に記載されている種々のワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物が本発明感染防御剤として利用でき、それらの製造方法や好ましい投与量なども文献中に説明されている。
本発明感染防御剤の有効成分であるワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物は、ワクシニアウイルスを接種して発痘した炎症組織を破砕し、抽出溶媒を加えて組織片を除去した後、除蛋白処理を行い、これを吸着剤に吸着させ、次いで有効成分を溶出することによって得ることができる。
ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物は、例えば、以下の工程で製造される。
(a)ワクシニアウイルスを接種し発痘させたウサギ、マウス等の皮膚組織等を採取し、発痘組織を破砕し、水、フェノール水、生理食塩液またはフェノール加グリセリン水等の抽出溶媒を加えた後、濾過または遠心分離することによって抽出液(濾液または上清)を得る。
(b)前記抽出液を酸性のpHに調整して加熱し、除蛋白処理する。次いで除蛋白した溶液をアルカリ性に調整して加熱した後に濾過または遠心分離する。
(c)得られた濾液または上清を酸性とし活性炭、カオリン等の吸着剤に吸着させる。
(d)前記吸着剤に水等の抽出溶媒を加え、アルカリ性のpHに調整し、吸着成分を溶出することによってワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を得ることができる。その後、適宜溶出液を減圧下に蒸発乾固または凍結乾燥することによって乾固物とすることもできる。
ワクシニアウイルスを接種し炎症組織を得るための動物としては、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、サル、ラット、マウスなどワクシニアウイルスが感染する種々の動物を用いることができ、炎症組織としてはウサギの発痘皮膚組織が好ましい。
これら炎症組織を採取して破砕し、その1乃至5倍量の抽出溶媒を加えて乳化懸濁液とする。抽出溶媒としては、蒸留水、生理食塩水、弱酸性乃至弱塩基性の緩衝液などを用いることができ、グリセリン等の安定化剤、フェノール等の殺菌・防腐剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩類などを適宜添加してもよい。この時、凍結融解、超音波、細胞膜溶解酵素又は界面活性剤等の処理により細胞組織を破壊して抽出を容易にすることもできる。
得られた乳状抽出液を濾過又は遠心分離等によって組織片を除去した後、除蛋白処理を行う。除蛋白操作は、通常行われている公知の方法により実施でき、加熱処理、蛋白質変性剤、例えば、酸、塩基、尿素、グアニジン、アセトン等の有機溶媒などによる処理、等電点沈澱、塩析等の方法を適用することができる。次いで、不溶物を除去する通常の方法、例えば、濾紙(セルロース、ニトロセルロース等)、グラスフィルター、セライト、ザイツ濾過板等を用いた濾過、限外濾過、遠心分離などにより析出してきた不溶蛋白質を除去する。
こうして得られた有効成分含有抽出液を、塩酸、硫酸、臭化水素酸等の酸を用いて酸性、好ましくはpH3.5乃至5.5に調整し、吸着剤への吸着操作を行う。使用可能な吸着剤としては、活性炭、カオリン等を挙げることができ、抽出液中に吸着剤を添加し撹拌するか、抽出液を吸着剤充填カラムに通過させて、該吸着剤に有効成分を吸着させることができる。抽出液中に吸着剤を添加した場合には、濾過や遠心分離等によって溶液を除去して、有効成分を吸着させた吸着剤を得ることができる。
吸着剤より有効成分を溶出(脱離)させるには、前記吸着剤に溶出溶媒を加え、室温又は適宜加熱して或いは撹拌して溶出し、濾過や遠心分離等の通常の方法で吸着剤を除去して達成できる。用いられる溶出溶媒としては、塩基性の溶媒、例えば塩基性のpHに調整した水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等又はこれらの適当な混合溶液を用いることができ、好ましくはpH9乃至12に調整した水を使用することができる。
このようにして得られた抽出物(溶出液)は、製剤用原体や医薬品製剤として好ましい形態に適宜調製することができる。例えば、溶液のpHを中性付近に調整して製剤用原体とすることもでき、また濃縮・希釈によって所望の濃度に合せることもできる。さらに注射用製剤として塩化ナトリウムを加えて生理食塩液と等張の溶液に調製することもできる。また、これら溶液を濃縮乾固又は凍結乾燥することによって、錠剤等の原料として利用できる固形物の形態に調製してもよい。これらいずれの形態に調製されていても、本発明感染防御剤に包含されるものである。
患者への投与方法としては、経口投与の他に皮下、筋肉内、静脈内投与等が挙げられ、投与量はワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の種類によって適宜設定すべきであるが、市販製剤で認められている投与量は、前記の医療薬日本医薬品集(2379頁)によれば、基本的には内服では1日16ノイロトロピン単位(NU)、注射剤では1日3.6乃至7.2NUを投与するよう医療用医薬品としては示されているが、疾患の種類、重傷度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減可能である。
以下に、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の製造方法の例、並びに新規な薬理作用、すなわち感染防御作用の薬理試験結果を示す。なお、実施例1乃至3では、全ての工程において減圧乾固を施しているがこれは錠剤化等するためのもので必須ではない。
実施例1.
健康な成熟家兎の皮膚にワクシニアウィルスを接種し、発痘した皮膚を剥出し、これを破砕してフェノール水を加えた。次いでこれを加圧濾過し、得られた濾液を塩酸でpH5に調整した後、90〜100℃で30分間加熱処理した。濾過して除蛋白した後、水酸化ナトリウムでpH9とし、さらに90〜100℃で15分間加熱処理した後濾過した。濾液を塩酸で約pH4.5に調整し、2%の活性炭を加えて2時間撹拌した後、遠心分離した。採取した活性炭に水を加え、水酸化ナトリウムでpH10とし、60℃で1.5時間撹拌した後、遠心分離濾過した。採取した活性炭に水を加え、水酸化ナトリウムでpH11とし、60℃で1.5時間撹拌した後、遠心分離した。上清を塩酸で中和した後、減圧下に乾固して本発明抽出物であるワクシニアウイルス接種家兔炎症皮膚抽出物を得た。以下の薬理試験では実験に適した溶液に溶解し、適宜濃度を調整して使用した。
実施例2
健康な成熟家兎の皮膚にワクシニアウイルスを接種し感染させた後、発痘した皮膚を無菌的に剥出しこれを細切した後フェノール加グリセリン水を加え、ホモゲナイザーで磨砕し乳状とした。次いでこれを濾過し、得た濾液を塩酸で弱酸性(pH4.5乃至5.5)に調整した後、100℃で加熱処理し濾過した。濾液を水酸化ナトリウムで弱アルカリ性(pH8.5乃至10.0)とし、さらに100℃で加熱処理した後濾過した。濾液を塩酸で約pH4.5とし、約1.5%の活性炭を加えて1乃至5時間撹拌した後濾過した。濾取した活性炭に水を加え水酸化ナトリウムでpH9.4乃至10に調整し、3乃至5時間撹拌した後、濾過した。濾液を塩酸で中性付近に中和し、減圧下に濃縮乾固した。
実施例3
健康な成熟家兎の皮膚にワクシニアウィルスを接種し、活性化させた後、活性化した皮膚を無菌的に剥出し、これを細切して水を加え、ホモゲナイザーで磨砕し乳状物とした。次いでこれを加圧濾過し、得られた濾液を塩酸でpH5.0に調整した後、流通蒸気下100℃で加熱処理した。濾過して除蛋白した後、水酸化ナトリウムでpH9.1とし、さらに100℃で加熱処理した後濾過した。濾液を塩酸でpH4.1に調整し、活性炭2%を加えて2時間撹拌した後濾過した。濾液は更に活性炭5.5%を加えて2時間攪拌した後濾過した。最初に濾取した活性炭に水を加え、水酸化ナトリウムでpH9.9とし、60℃で1.5時間撹拌した後濾過した。最初の活性炭及び次の活性炭に水を加え、水酸化ナトリウムでpH10.9とし、60℃で1.5時間撹拌した後濾過した。濾液を合わせ塩酸で中和した後、分子量100の膜を用いた電気透析法で脱塩処理を行い、減圧下に乾固した。
実施例4
C3HマウスにL細胞(マウス肉腫細胞)を皮下に移植し、10日後にワクシニアウイルスを同部位に接種した後、その5日後に腫瘍炎症部位を摘出した。摘出組織100gを細切した後、pH7.0で緩衝化した70%グリセリン溶液を加え、ワーリングブレンダーで磨砕し、凍結融解操作を3回行った。乳状の磨砕液を2000×gで1時間遠心し、沈殿を除去した後、上清のpHを5.0に調整し、100℃に加熱し濾過した。濾液をpH9.0に調整し、再度100℃に加熱し濾過して不溶物を除去した。冷却後濾液をpH4.5に調整し、活性炭を充填したカラムに通し、蒸留水で洗浄した後、N/25アンモニア水で溶出し、溶出液を塩酸で中和した。
薬理試験1(HSV感染試験)
次に本発明感染防御剤の新規な薬理作用、即ち感染防御に関する薬理試験の結果の一例を示す。
実験には雌性C57BL/6マウス(SPF、16ヶ月齢)を1群8〜9匹として用いた。単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1、7401H株)を感染させる7日前から、上記実施例1で得られたワクシニアウイルス接種家兔炎症皮膚抽出物(100mg/kg/日)の経口投与を開始し、実験終了まで連日投与した。対照群のマウスには同量の水を投与した。感染3日前にマウスをネンブタール麻酔し、バリカンで右側後肢から背中にかけて毛を刈った後、除毛クリームを塗布して除毛した。3日後、右後肢に27G注射針を10本まとめたもので傷を付け、ウイルス液(3×108 pfu/mL)を10μL(3×108 pfu/mouse)刷り込んでウイルスを感染させ、その後の皮膚病変、右足炎症及び右足麻痺を診断し、ウイルスの感染度を調べた。
(1)皮膚病変の診断基準は以下のスコアによって行った。
スコア0;病変なし
スコア2;1〜2個の皮疹
スコア4;多数の皮疹
スコア6;軽度の疱疹
スコア8;帯状の疱疹
スコア10;重度の疱疹
(2)右足炎症の診断基準は以下のスコアによって行った。
スコア0;正常
スコア2;軽度の浮腫
スコア4;重度の浮腫
(3)右足麻痺の診断基準は以下のスコアによって行った。
スコア0;正常
スコア2;軽度の麻痺、歩行異常
スコア4;重度の麻痺
(4)ウイルス病変の診断基準は、右足炎症のスコア4以上を8、右足麻痺のスコア4以上を10として、皮膚病変のスコアに炎症と麻痺を加味して行った。皮膚病変による診断結果の一例を図1に、ウイルス病変による診断結果の一例を図2に示す。
図1に示したように、本発明ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物は、単純ヘルペスウイルスの皮膚感染による皮膚病変を抑制する作用を有する。また皮膚病変にフットパッドの炎症と感染側後肢の麻痺を加味したウイルス病変スコアで評価においても、図2に示したとおり優れた抑制作用がみられた。ウイルス病変スコアにおける最大病変スコアは、対照群において6.3、被検薬投与群では3.6と顕著な差が認められた。上記皮膚病変及びウイルス病変スコアは、ウイルス感染度の指標となるものであり、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物はウイルスの感染に対して優れた防御作用を有することが示された。
薬理試験2(O157感染試験)
ICR雌性マウスに1011 cfu/kgのE. coli O157(GPU96MM株)を経胃接種し、接種5日前から実験期間を通じて、上記実施例1で得られたワクシニアウイルス接種家兔炎症皮膚抽出物(50、80、100mg/kg)を被検薬として連日腹腔内投与した。経時的に糞便を採取して、接種3乃至5週後のE. coli O157菌体およびO157-LPSに対する糞便中IgA抗体価をELISA法で測定した(図3、抗体価は492nmにおける吸光度値で示した)。E. coli O157菌体に対する糞便中IgA抗体価は、図3に示したとおり対照群では接種3週後で明らかな上昇がみられ、4週後にはさらに高値になり、5週後はやや減弱した。80mg/kgの被検薬投与群では、接種3週後に対照群に比して有意に高値を示し、O157-LPSに対する糞便中IgA抗体価もこれと同様の挙動を示した。このように本発明抽出物は早い時期から分泌性IgA抗体の産生を促進させ、粘膜免疫を亢進させることが示された。同様の実験において、本発明抽出物の投与によってE. coli O157菌体に対する糞便中IgA抗体価が高値を示したとき、糞便中排出E. coli O157数の増加が認められた。これは本発明抽出物が分泌性IgA抗体の産生を促進し、腸管内に誘導された特異IgA抗体がE. coli O157の排除に働いていることを示唆した。
薬理試験3(卵白アルブミン感作試験)
卵白アルブミン(OVA、500μg/マウス)をコレラトキシン(CT、1.0μg/マウス)と共に1週間おきに計4回ICR雌性マウスに経鼻免疫し、初回免疫の5日前から上記と同じ本発明抽出物(80mg/kg)を実験期間を通じて連日腹腔内投与した。最終免疫(4回目)から1週間後に糞便中のOVAに対する抗体価を実施例3と同様にELISA法で測定した。その結果、被検薬投与群では対照群に比して糞便中の特異IgA抗体価が有意に上昇した。実験的に特異IgA抗体産生を誘導する方法としてCTをアジュバントとして抗原の経鼻投与がしばしば行われる。また、鼻腔、肺および腸管などの粘膜免疫系は共通の制御下にあることが知られており、一ヶ所の粘膜免疫器官を刺激することによって、他の粘膜免疫器官にも特異抗体産生を誘導することができる。本実験の結果は、上記薬理試験2の結果と同様、本発明抽出物が粘膜免疫の亢進作用を有することを示すものである。
上記の薬理試験結果より明らかなように、本発明ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物は細菌やウイルスの感染に対して、粘膜免疫を介した感染防御作用を生体に付与することが示された。市販のワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液製剤は長年に亘って使用され、非常に安全性の高い薬剤として認められている。本発明薬剤は抗生物質や抗菌剤のような副作用等の問題点は全くなく、院内感染に対しても安心して使用可能なものである。このように、本発明薬剤は感染防御剤として新規な薬剤であり、副作用もほとんど発現しない安全性の高い医薬として有用性の高いものである。
図1は、単純ヘルペスウイルスの皮膚感染試験において、本発明ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の感染防御作用を、皮膚病変を指標として調べた結果である。 図2は、単純ヘルペスウイルスの皮膚感染試験において、本発明ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の感染防御作用を、ウイルス病変を指標として調べた結果である。 図3は、E. coli O157の感染試験において、粘膜免疫に関与するIgA抗体の産生に対する本発明ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物の増強作用について調べた結果である。

Claims (5)

  1. ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を有効成分として含有する感染防御剤。
  2. 炎症組織が皮膚組織である請求項1記載の感染防御剤。
  3. 炎症組織がウサギの炎症皮膚組織である請求項2記載の感染防御剤。
  4. 注射剤である請求項1乃至3のいずれか一項記載の感染防御剤。
  5. 経口剤である請求項1乃至3のいずれか一項記載の感染防御剤。
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