JP2004299938A - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光ファイバ母材用素材が1000℃以上の熱履歴を経た後、光ファイバ母材用素材の温度が冷却により室温になる前に、光ファイバ母材用素材から少なくとも片側のハンドルを分離させることを特徴とする、これにより、歩留まりの高い光ファイバ母材を製造することが可能になる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる光ファイバ母材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ファイバ母材は、通常、中心部に相当するコア、もしくはコアの一部、もしくはコアとクラッドの一部を製作するコア材作成工程、及びこれにより作成されたコア材の外側にクラッドを作製するクラッド作成工程との光ファイバ母材用素材工程を経て製造される。(例えば特許文献1〜3参照)
【0003】
コア材作成工程は、大別すると以下の3つの方法がある。
一つ目の方法は、MCVD(Modified Chemical Vapour Deposition)法と呼ばれているものである。
これは、図4に示すように、軸心1を中心にして回転する石英ガラス管2の一端3から他端4に向って、石英ガラス管2内にガラスの基となる四塩化珪素(SiCl4)、屈折率を制御する四塩化ゲルマニウム(GeCl4)、及び酸素(O2)などの原料ガスを供給し、石英ガラス管2の外側から加熱源5を石英ガラス管2の長手方向に沿ってガラス管1と相対的に移動させ、石英ガラス管1内で原料ガスを酸化反応させて、石英ガラス管1内に所定の屈折率を有するガラスを直接堆積させ、またはガラス微粒子を堆積した後にガラス微粒子を焼結させて、堆積ガラス層を形成する方法である。
なお、上記屈折率を制御する原料ガスは全く供給しない場合もあり、またフッ素含有ガスが使用されることもある。
【0004】
上記の方法は、石英ガラス管1内に孔が残るため、図5に示すように、堆積ガラス6、7を形成後に、ガラス管2を高温に加熱して、石英ガラス管1の表面張力により中心の孔を塞ぐコラプス工程を行う。コラプス工程が終了した後は、図5に示すように堆積ガラス6,7の端部におけるAの位置で切断が行われ、光ファイバ母材用のコア材8が作成される。
【0005】
その後に、図6に示すように、コア材8の少なくとも一端にコア材8を保持するための、石英棒などによるハンドル9が融着接続され、以下のクラッド作成工程に回される。
なお、このコア材8は石英ガラス管2の太さが光ファイバに紡糸するに十分であるときは、次工程のクラッド作成工程を経ることなく、光ファイバ母材となる場合がある。
【0006】
二つ目の方法は、OVD(Outside Vapor phase Deposition)法と呼ばれているものである。
このOVD法は、図7に示すように、軸11を回転軸にして回転するアルミナ等で構成された心棒12の外側に、その心棒12の長手方向に相対的に移動する酸水素炎バーナ13を配置し、さらに、ガラスの基となる四塩化珪素(SiCl4)、屈折率を制御する四塩化ゲルマニウム(GeCl4)などの原料ガス及び酸素、水素などによる燃焼ガスを前記バーナ13内に導き、前記燃焼ガスによる火炎内で原料ガスを火炎加水分解反応させてガラス微粒子14を発生させ、このガラス微粒子14による多孔質ガラス集合体15を心棒12の外周に堆積させる方法である。
【0007】
この後、多孔質ガラス集合体15から心棒12を引き抜き、残った多孔質ガラス集合体15の端部に図示しない石英棒等のハンドルが取り付けられた後、多孔質ガラス集合体15を加熱して透明なガラスに加工される。この場合も中心に孔が残るため、MCVD法と同様に、透明ガラス化後に中心の孔を閉じるコラプス工程が行われる。
【0008】
三つ目の方法は、VAD法と呼ばれるものである。このVAD法は、図8に示すように石英材等で構成された中心軸31を回転軸にして回転する石英棒等による出発材32の先端側にバーナ33で生成されるガラス微粒子を前記軸方向に堆積・成長させて多孔質ガラス集合体34を形成する方法である。この方法は中心に孔が存在しないので孔を閉じる操作は不要である。図8に示された製造装置は、バーナ33が2個縦に配置されてそれぞれのバーナで多孔質ガラス集合体34を堆積させているが、このバーナ33はそれ以上の個数であっても、また1個であっても良い。
【0009】
VAD法によって製造された多孔質ガラス集合体34は、次ぎに図示しない脱水・焼結されて、図9に示すように、透明なコア材35に形成される。
【0010】
図10は1個のバーナ33によるVAD法によって製造された、多孔質ガラス集合体34を脱水・焼結させて形成されたコア材の屈折率分布の一例を示すものであり、図のものにおいては中心部の最大屈折率と外周部の最小屈折率との差が2%であることが示されている。
【0011】
クラッド作成工程は大別すると2つの方法がある。
一つ目の方法は、ロッドインチューブ法と呼ばれている方法である。
この方法は図11に示すように、所望の屈折率分布のガラス管41を用意し、このガラス管41の中に上記コア材作成工程で作成されたコア材42を挿入し、その後、ガラス管41を長手方向に加熱して軟化させ、これによりガラス管41を縮径させ、コア材42と一体にする方法である。
【0012】
二つ目の方法は、上記コア材作成工程で作成されたコア材の外周に、上記OVD法と同様に、ガラス微粒子による多孔質ガラス集合体を堆積させる方法である。この堆積された多孔質ガラス集合体は後に、上記OVD法と同様に透明ガラス化される。
【0013】
上記のクラッド作成工程は、必要に応じて複数回繰り返して行われることもある。また、上記クラッド作成工程の1つ目の方法と2つ目の方法とを併用して行なわれることもある。
【0014】
これらの方法では、所望の屈折率プロファイルを得るために、ガラス微粒子あるいはガラス層を堆積させる際に、屈折率を変化させるドーパントがそれらのガラス中に必要に応じて添加されることは言うまでもない。
【0015】
上で記載した方法は、いずれも加熱を行い、ガラスの軟化点前後の温度まで温度を上げることは共通である。特に、MCVD法やOVD法のコラプス工程、ロッドインチューブ法では加熱によりガラスの変形を行う。またVAD法やOVD法では、加熱によりガラス微粒子に粘性流動を起こし透明なガラスに変化させる。このとき、ガラス微粒子の堆積体は透明なガラスの塊に変化し、体積は約1/10まで減少する。
【0016】
【特許文献1】
特開平8‐12367号公報
【特許文献2】
特開平9‐159856号公報
【特許文献3】
特開2002‐116338公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
近年の通信需要の高まりに伴い、より高機能な光ファイバが求められている。特に既存線路のアップグレードに使用される分散補償光ファイバはその代表例である。
【0018】
しかし、分散補償光ファイバは、その特性を満たすために、複雑な構造をもつと推定される。例えば、特許文献3に見られるような、コアがセンタコア、第1サイドコア、第2サイドコアからなり、さらに第1サイドコアはクラッドより屈折率が低いという形が、上記の特性を満たす一つの形態と考えられる。さらに、センタコアの比屈折率差Δ1は1.0%以上1.6%以下と記述されている。この値は、SMFのコアの比屈折率差よりも3倍から5倍程度大きいと考えられる。このような構造を実現するには、ゲルマニウムのような屈折率を上昇させるドーパント濃度を高めることで可能である。
【0019】
しかし、ドーパント濃度が高くなると、線膨張係数といった他の物性値も大きく変化することになる。特に線膨張係数がコアとクラッドで大きく異なると、加熱後の冷却による体積の変化がコアとクラッドで大きく異なることになる。前述のいずれの方法を用いても、加熱により形態を変化させるため歪みが発生するのは避けがたい。
【0020】
この歪みとコア、クラッドの線膨張係数の違いにより、このような光ファイバ母材では、クラックが入りやすくなる。特に製造性を高めるために冷却を比較的速い速度で行うとこの傾向が顕著である。このため、このような光ファイバは、その複雑な構造故、製造が難しく、歩留まりが悪い問題があった。
そこで、本発明では、製造性がよく歩留まりが高い製造方法を目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。
【0022】
すなわち、本発明は、光ファイバ母材用素材を1000℃以上に加熱後、素材の温度が冷却により室温になる前に、少なくとも片側のハンドルを切り離すことをもって課題を解決する手段としている。
【0023】
また、他の本発明は、少なくとも片側のハンドルの切り離し後、素材の温度が冷却により室温になるまえに、素材の外径を30mm以下になるように素材を延伸することをもって課題を解決する手段としている。
【0024】
さらに、他の本発明は、ハンドルの切り離し後、新たなハンドルを接合することをもって課題を解決する手段としている。
【0025】
さらに、他の本発明は、加熱には、ガラス微粒子の透明化、ガラスパイプのコラプス、ロットインチューブ加工、火炎研磨の各加熱作業を含むことをもって課題を解決する手段としている。
【0026】
さらに、他の本発明は、光ファイバ母材用素材の加熱温度が、歪み点以上であることをもって課題を解決する手段としている。
【0027】
さらに、他の本発明は、少なくとも片側のハンドルの切り離し、もしくは延伸時に、素材の最も温度の低い部分の温度が300℃以上であることをもって課題を解決する手段としている。
【0028】
さらに、他の本発明は、光ファイバ母材中の屈折率の最大と屈折率の最小の比屈折率差が0.5%以上であることをもって課題を解決する手段としている。
【0029】
さらに、他の本発明は、切断の方法が酸水素火炎であることをもって課題を解決する手段としている。
【0030】
【発明の実施の形態】
光ファイバ母材の製造には加熱が不可欠である。MCVDやOVD法のコラプス、ロッドインチューブ法ではガラスを軟化点以上の温度にするため、ガラスの表面の温度は2000℃以上となることがある。OVD法やVAD法でのガラス微粒子の透明化はガラス微粒子表面の粘性流動を利用したものであり、粘性流動が起きる温度まで加熱する必要がある。石英ガラス(リカガラス)の歪み点は、その中に含まれるドーパント等の不純物の存在などによって異なるが、一般的には1000℃以上とされている。したがって、いずれの方法を使用しても、1000℃以上、あるいは歪み点以上の温度に加熱することは、不可欠である。
【0031】
このように加熱した光ファイバ母材を冷却すると、冷却にともない収縮が起きる。光ファイバ母材のように中心に屈折率の高いコアを持つ場合、コア部はドーパントの存在により組成が異なり、線膨張係数がクラッドと大きく異なることがある。歪み点より高い温度では粘性流動が起きるため、歪みの緩和は進むが、それ以下の温度では緩和は進まずクラックを生じることがある。
【0032】
このようなことは、ドーパント濃度の高い比屈折率差の高い母材ほど顕著である。ドーパントのないシリカガラスに比較して、ドーパント濃度が高くなるほど線膨張係数が異なるからである。図12は、コア径が約15mmでクラッド径がが約45mmである時の、コア・クラッドの比屈折率差に対するクラックの発生頻度を示した特性図である。比屈折率差が0.5%を越えると、クラックを発生することがあり、1.0%では50%、2.0%以上では90%以上の頻度でクラックを発生する。このため、比屈折率差が0.5%以上の母材についてクラックの防止対策が必要である。
【0033】
また、クラックの生じるときの温度を調査すると、比屈折率差が0.5%の場合、300℃以下にならないとクラックを生じなかった。比屈折率差が2.0%の場合は600℃以下にならないとクラックを生じなかった。このため、少なくとも300℃以上で何らかの処置をすればクラックを防げることになる。
【0034】
クラックの発生形態を調査したところ、母材の取り扱いのために、両端に取り付けられたハンドルと光ファイバ母材素材の接合部から生じることが多いことがわかった。特に、光ファイバ母材素材の外周部と同等の線膨張係数を持つガラスで構成されたハンドルが接合されている場合には、冷却にともないハンドルが折れることもあった。
【0035】
この原因は次のように考えられる。このような光ファイバ母材素材は、中心のコアのゲルマニウム濃度が高く、線膨張係数が周辺部に比べて大きくなっている。このため、光ファイバ母材素材の温度が低下すると、コアは周辺部に比べて縮まろうとする。しかし周辺のクラッドはコアに比べて収縮しないので、コアは引っ張り歪みを、クラッドは圧縮歪みを受ける。クラックはこれらの歪みに光ファイバ母材素材が耐えられなくなって生じるものと考えることができる。
【0036】
特に、光ファイバ母材素材が所定の線膨張係数を持つコアの外周にこれよりも線膨張係数の小さなクラッドが被覆されたもので構成され、この光ファイバ母材素材の一端に、クラッドと同等の線膨張係数を持つガラスからなるハンドル4がコアとクラッドと両者を跨ぐように接合されている場合には、コアが線膨張係数の異なる外周部に包囲されているような形になる。この際、ハンドルは光ファイバ素材母材を高温で軟化されて接合されるため、両者の接合部は強度の点で弱くなる。このため、光ファイバ母材素材の中心部とハンドル4の接合部が歪みに耐えられずにクラックが入り、ハンドル4が折れると考えられる。
【0037】
さらに、この接合部のクラックがトリガーとなって母材全体にクラックが入ったり、ハンドルが折れることで母材が落下することも起きると考えられる。
【0038】
また、外径の大きな光ファイバ母材素材では、光ファイバ母材素材の周辺部と中心部では温度差が生じる。このため、内側と外側では光ファイバ母材素材の収縮による歪みが異なる。この歪みの違いにより、弱点となっている接合部からクラックが生じることもある。このようなクラックは比屈折率差が大きな母材で顕著である。
【0039】
しかし、さらに詳細に調べてみると、光ファイバ母材素材の両端にハンドルを接合した場合、ハンドルの両方が折れる頻度は少なく、多くの場合は片側だけである。これは、片側のハンドルが折れるときに歪みが開放されてしまうためと考えられる。この考え方に立てば、光ファイバ母材素材が冷める前に片側のハンドルを切り離してしまえば、歪みがある程度開放されて、クラックの頻度が減るはずである。
【0040】
本発明者らは、かかる点に鑑みて、光ファイバ母材素材が冷めないうちに、ハンドルを切断したところ、コアとクラッドの比屈折率差が2%以下の光ファイバ母材素材ではクラックの入る頻度を0にすることができた。
【0041】
コアとクラッドの比屈折率差が2%を越えるようになると、上記の方法だけでは、クラックを防ぐことはできなかった。このため、光ファイバ母材素材の両端のハンドルを切断したところ、クラックは防げるようになった。これは、片側の切断だけだと十分に歪みが解消できないためと思われる。
【0042】
さらに、コアとクラッドの比屈折率差が2.3%を越える場合は両端のハンドルを切断するだけでは、不十分であった。このため、光ファイバ母材素材を延伸して外径を25mmにしたところ、クラックが入らなくなった。これは径が細くなることで、外周部と中心の温度差が小さくなり、温度による径方向の張係率の違いが少なくなったためと考えられる。
【0043】
比屈折率差が2.3%の光ファイバ母材素材を使用して、両端のハンドルの切断後の延伸径を様々に変えて実験したところ、外径30mm以下ではクラックが生じる頻度が10%以下になった。このため、外径30mm以下に延伸することが比屈折率差の大きい光ファイバ母材素材では必要である。
【0044】
これらの切断の方法は、クラックの入りやすい光ファイバ母材素材に対して衝撃を与えないという点で、火炎を用いて軟化溶断することが望ましい。特に温度の点で酸水素火炎が最適である。
【0045】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1〜図3において、51は図4〜図9及び図11により製造されたコア材、52はコア材51の両端に接合された石英棒等のハンドルである。その後、両ハンドル52は、回転軸を同一にして回転する一対の把持具に取り付けられ、図3に示すようにOVD法によりコア材51の外周に後にクラッドになる多孔質ガラス層53が堆積され、多孔質クラッドを持つ光ファイバ母材素材54が形成された。この多孔質クラッドを持つ光ファイバ母材素材54はその後、図1に示すように電気炉55内で脱水処理を施された後、1500℃で透明化が行われた。
【0046】
これにより製造された光ファイバ母材素材54は、その後電気炉から取り出だされ、800℃以上の温度のときに、図1に示すように、片側のハンドルを線Bの位置で火炎により切断された。切断されない場合、10本中9本クラックが入ったが、切断された場合は、10本中クラックが入ったものがなかった。これにより得られた透明な光ファイバ母材は、コアとクラッドの比屈折率差が1.5%のものであった。
なお、切断の際、図1の線Bより左側、つまり光ファイバ母材素材の部分から切断することが重要である。もし線Bの右側から切断した場合にはハンドルとその接合部が母材に残るため、切断の意味をなさない。
【0047】
(実施例2)
透明化後のコアとクラッドの比屈折率差が2.4%である多孔質クラッドを備えた光ファイバ母材素材54を実施例1と同様に作成した後、1500℃の電気炉内で透明化が行われた。電気炉から取り出し直後、800℃以上の温度のときに、両端のハンドルを火炎にて切断し、外径を5mmになるように延伸を行った。切断しなかった場合10本すべてにクラックが入ったが、切断した場合は10本中3本クラックが入ったが、さらに延伸をした場合には10本中クラックが生じたものはなかった。
【0048】
(実施例3)
MCVD法で、ゲルマニウムをドープしてクラッドおよび出発管に対して比屈折率差が2%である光ファイバ母材用素材を作製した。コラプス後、1000℃以上の温度で光ファイバ母材用母材の両端の出発管(ガラス管)を切断し、片側に新たなハンドルを接合し図6に示す構造とした。切断をしなかった場合は、10本中9本クラックが入ったが、切断した場合は、10本中クラックが入ったものはなかった。
【0049】
(実施例4)
VAD法で、コアの軸心の屈折率が最大になるように四塩化ゲルマニウムをドープして、出発材の先端からスートを回転軸方向に堆積させ、これを脱水焼結して、図10に示すような屈折率プロファイルを持つ軸心の屈折率と外周の屈折率との比屈折率差が2.2%となるの光ファイバ母材用素材を作製した。この場合、石英の出発材と線膨張係数が異なるため、冷却時に10本すべて、接合部からクラックを生じ全体に波及した。これに対して、光ファイバ母材用素材が冷める前に出発材を火炎で溶断し、新たなハンドル用の石英を付けるようにしたところ、冷却時にクラックが入るものは10本中なかった。
【0050】
(実施例5)
図1に示す形状を持ち、コアとクラッドの比屈折率差が0.5%の母材について、表面の平滑化を目的に火炎研磨を行ったところ、光ファイバ母材用素材に残留する歪みの影響でクラックが生じることがあった。そこで、火炎研磨直後に片側のハンドルを火炎にて切断したところ、これまでは50本に1本の割合であったクラックの頻度が、200本中1本に低下した。
【0051】
なお、本発明の上記実施例は本発明の一実施形態であり、本発明は本発明を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0052】
【効果】
以上のとおり、本発明は軸心部とその外周とで屈折率が異なる石英製の光ファイバ母材用素材の少なくとも一端に光ファイバ母材用素材を保持するためのハンドルが取り付けられ、光ファイバ母材用素材が1000℃以上の熱履歴を経て光ファイバ用母材が製造される光ファイバ母材の製造方法において、光ファイバ母材用素材が1000℃以上に熱履歴を受けた後、母材用素材の温度が冷却により室温になる前に、光ファイバ母材用素材から少なくとも片側のハンドルを分離させことを特徴とする。このため、本発明は、高機能の光ファイバを歩留まりよく製造することができる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す説明図である。
【図2】図1における中間製品を示す正面図。
【図3】図1における他の中間製品の製造例を示す説明図。
【図4】一般的なMCVD法の一例を示す平面図。
【図5】図4における中間製品を示す正面説明図。
【図6】図4における他の中間製品を示す正面説明図。
【図7】一般的なOVD法を示す正面図。
【図8】一般的なVAD法を示す概略説明図。
【図9】図8により製造された中間製品を示す説明図。
【図10】図9の中間製品を示す屈折率プロファイル図。
【図11】一般的なロットインチューブ法の一例を示す概略説明図。
【図12】従来の製法による比屈折率差に対するクラックの発生頻度を示す特性図。
【符号の説明】
51 コア材
52 ハンドル
53 多孔質ガラス層
54 光ファイバ母材素材
55 電気炉
Claims (9)
- 軸心部とその外周とで屈折率が異なる石英製の光ファイバ母材用素材の少なくとも一端に光ファイバ母材用素材を保持するためのハンドルが取り付けられ、光ファイバ母材用素材が1000℃以上の熱履歴を経て光ファイバ用母材が製造される光ファイバ母材の製造方法において、光ファイバ母材用素材が1000℃以上に熱履歴を受けた後、母材用素材の温度が冷却により室温になる前に、光ファイバ母材用素材から少なくとも片側のハンドルを分離させことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
- 光ファイバ母材用素材から少なくとも片側のハンドルを分離させた後、光ファイバ母材用素材の温度が冷却により室温になる前に、光ファイバ母材用素材の外径を30mm以下になるように光ファイバ母材用素材を延伸させることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 光ファイバ母材用素材から少なくとも片側のハンドルを分離させた後、新たなハンドルを光ファイバ母材用素材の端部に接合させることを特徴とする請求項1または請求2に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 熱履歴は、ガラス微粒子の透明化、ガラスパイプのコラプス、ロットインチューブ加工、火炎研磨のいずれか1以上の加熱作業であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 光ファイバ母材用素材の熱履歴が、歪み点以上の加熱温度であることを特徴とする、請求項1ないし4記載のいずれか1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 光ファイバ母材用素材から少なくとも片側のハンドルの分離は、光ファイバ母材用素材の最も温度の低い部分の温度が300℃以上の時に行われることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 光ファイバ母材用素材の延伸は、光ファイバ母材用素材の最も温度の低い部分の温度が300℃以上の時に行われることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 光ファイバ母材用素材中の最大屈折率と最小屈折率とが0.5%以上相異していることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 光ファイバ母材用素材から少なくとも片側のハンドルの分離は酸水素火炎により行われることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
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