JP2004299322A - ケナフボード - Google Patents
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Abstract
【課題】ホルムアルデヒドの放散を抑制することができるケナフボードを提供することを目的とする。
【解決手段】ケナフを解繊して得られるケナフ繊維をホルムアルデヒドを含有する接着剤で接着して形成されるケナフボードに関する。ボード表面に、ホルムアルデヒドを吸着して結合する吸着剤を付着させる。ケナフボードの内部のホルムアルデヒドを吸着剤に反応結合させて吸着することができる。特にケナフ繊維は繊維径が大きいために、ケナフ繊維間には比較的大きく且つ連通した空隙が形成されており、ケナフボード内のホルムアルデヒドをこの空隙を通して容易に吸着剤に吸着させることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】ケナフを解繊して得られるケナフ繊維をホルムアルデヒドを含有する接着剤で接着して形成されるケナフボードに関する。ボード表面に、ホルムアルデヒドを吸着して結合する吸着剤を付着させる。ケナフボードの内部のホルムアルデヒドを吸着剤に反応結合させて吸着することができる。特にケナフ繊維は繊維径が大きいために、ケナフ繊維間には比較的大きく且つ連通した空隙が形成されており、ケナフボード内のホルムアルデヒドをこの空隙を通して容易に吸着剤に吸着させることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケナフ繊維を原料として作製されるケナフボードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建材として、従来から広く用いられてきた合板に代わって、取り扱い性、加工性、表面平滑性などに優れるMDFと呼ばれる繊維板が、戸建て住宅や集合住宅などの住宅の内装材用途を中心に急速に使用が拡大している。
【0003】
この繊維板としては、例えば木材繊維などの植物繊維をユリア樹脂接着剤などホルムアルデヒド系の接着剤を用いて結合させて成形した木質繊維板が主流である。しかしホルムアルデヒド系接着剤を用いて成形した繊維板は、揮発されるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)が人体に悪影響を与える可能性があることから、シックハウス症候群の原因の一つとして社会問題化している。
【0004】
そこで、ホルムアルデヒド系接着剤のなかでも、比較的ホルムアルデヒドの放散量の少ないフェノール樹脂接着剤を用いた繊維板が多く採用されるようになってきた。例えば特許文献1には、繊維としてケナフを解繊して得られるケナフ繊維を用い、ケナフ繊維をフェノール樹脂接着剤で結合して得られるケナフボードが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−333986号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこのようなホルムアルデヒドの放散量の少ないフェノール樹脂接着剤を用いた繊維板においても、繊維板内に残存する遊離ホルムアルデヒドが、使用される環境の温度・湿度の変化などによって、室内に放散される可能性があり、この繊維板を内装材として使用する際に、遊離ホルムアルデヒドが放散されて不具合を生じたり、あるいは施工や取り扱い性に制約を受けたりするという問題を有するものであった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ホルムアルデヒドの放散を抑制することができるケナフボードを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るケナフボードは、ケナフを解繊して得られるケナフ繊維をホルムアルデヒドを含有する接着剤で接着して形成されるケナフボードであって、ボード表面に、ホルムアルデヒドを吸着して結合する吸着剤を付着させて成ることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2の発明は、請求項1において、ボード表面への吸着剤の不揮発成分の付着量が、ボード重量に対して0.01〜0.1質量%であることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、ケナフ繊維は隣接するケナフ繊維との間に空隙を残して接着剤で接着されていることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、ケナフ繊維間の空隙の大きさの平均が10〜100μmであることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
ケナフはアオイ科の一年草であり、ケナフの茎の靭皮部を解繊して得られるケナフ繊維は、繊維長が6mm以上の長繊維であり、また繊維径はおおよそ10〜200μmであって、広葉樹や針葉樹から得られる木質繊維の繊維径よりも大きな直径を有するものである。さらにケナフ繊維は広葉樹や針葉樹から得られる木質繊維に比べて2〜14倍の高い強度を有している。
【0014】
そしてこのケナフ繊維を接着剤で結合することによって、ケナフボードを作製することができる。この接着剤として本発明ではホルムアルデヒドを含有する接着剤を用いるものである。ホルムアルデヒドを含有する接着剤としては、ユリア樹脂接着剤、メラミン−ユリア樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤などがあり、これらを用いることができる。これらの接着剤を用いて成形したケナフボードは、内部に遊離ホルムアルデヒドが残存しているので、ホルムアルデヒドの放散があり、また硬化した接着剤からも樹脂の分解・縮合の進行による脱ホルムアルデヒド反応によって、ホルムアルデヒドが放散される。このホルムアルデヒドの放散は、ユリア樹脂からの放散が多く、フェノール樹脂からの放散が少ないことが知られているので、本発明ではフェノール樹脂を用いるのが好ましい。
【0015】
ケナフボードを成形するにあたっては、例えば、ケナフ繊維を集合させた繊維マットを接着剤溶液中に浸漬し、これを絞りローラーに通して接着剤添加量が所定の範囲になるように調整した後、この接着剤溶液を含有する繊維マットを乾燥して所定の含水率になるようにし、この後に繊維マットを加熱加圧成形して接着剤を硬化させることによって、行なうことができるものである。
【0016】
このようにして得られるケナフボードは、隣接するケナフ繊維同士が接着剤で結合されることによって形成されているが、繊維マット中の接着剤の含有量や、加熱加圧成形時の成形圧力を調整することによって、ケナフ繊維とケナフ繊維の間に空隙が形成されるようにしてある。そしてケナフ繊維は広葉樹や針葉樹から得られる木質繊維に比べて繊維径が大きいので、ケナフ繊維を集合させて接着剤で結合することによって成形されるケナフボード内には比較的大きく且つ連通した空隙が容易に形成されるものである。この空隙の大きさは、平均径が10〜100μmの範囲であることが好ましい。空隙の平均径が10μm未満であると、後述のホルムアルデヒドの放散を防止する効果が不十分になるおそれがある。逆に空隙の平均径が100μmを超えると、ケナフボードの密度が低くなり過ぎて、強度の上で問題が生じるおそれがある。
【0017】
そして上記のように作製されるケナフボードの表面に吸着剤を付着させる。吸着剤としてはホルムアルデヒドを吸着して結合するものが用いられるものであり、勿論、ホルムアルデヒド以外のVOCを吸着することができるものが好ましい。この吸着剤としてはホルムアルデヒド吸着剤(ホルムアルデヒドキャッチャー剤)として市販されているものを用いることができる。このホルムアルデヒド吸着剤としてアミン系、尿素系などのホルムアルデヒドと容易に反応する化合物が挙げられ、より具体的には、R−CONHNH2(ヒドラジド基)を有するヒドラジド化合物などを用いることができる。
【0018】
例えばヒドラジド化合物の場合、次の反応式のようにホルムアルデヒドと脱水結合反応し、
R−CONHNH2+ HCHO → R−CONHNH=CH2 + H2O
ホルムアルデヒドを吸着する。このようにホルムアルデヒドが吸着・結合して生成される生成物は無害な化合物であり、ホルムアルデヒドが再放出されることはない。
【0019】
従って、ケナフボードの内部に残存している未反応の遊離ホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒドは、ケナフボードの表面に付着している吸着剤と反応結合して吸着され、ホルムアルデヒドがケナフボードの表面から放散されることを低減することができるものである。ここで、上記のようにケナフ繊維は繊維径が大きく、ケナフボード内のケナフ繊維間には比較的大きく且つ連通した空隙が形成されているため、ケナフボード内のホルムアルデヒドはこの空隙を通して容易に吸着剤と反応結合して吸着されるものであり、少ない量の吸着剤でも、ホルムアルデヒドの放散を極めて低くすることができるものである。特に、接着剤としてフェノール樹脂接着剤を用いている場合には、ホルムアルデヒドの放散量が極めて少なくなり、後述のデシケータ法などでは検出できない低いレベルにすることができる。ちなみに、合板のように空隙が殆ど形成されていないボードの場合、ボードの表面に上記の吸着剤を付着させておいても、ホルムアルデヒドの放散を低減する効果を高く得ることはできない。
【0020】
ケナフボードの表面に吸着剤を付着させるにあたっては、吸着剤を溶剤等に溶解乃至希釈し、この吸着剤液をケナフボードの表面にスプレー噴霧して塗布する方法や、吸着剤液をロールコーターで塗布する方法など、任意の方法で行なうことができる。ケナフボードの表面に付着させる吸着剤の量は、吸着剤の不揮発成分がケナフボードの重量に対して0.01〜0.1質量%となるように設定するのが好ましい。吸着剤の付着量が0.01質量%未満であると、ホルムアルデヒドの放散を防止する効果を十分に得ることができない。逆に吸着剤の付着量が0.1質量%を超えると、未反応の吸着剤がボード表面に過剰に存在することになり、付着量増加に伴なうコストアップを招く。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0022】
(実施例1)
平均繊維長さ25mm、平均繊維径100μmのケナフ繊維からなる繊維マットをフェノール樹脂接着剤溶液中に浸漬した後、この繊維マットを絞りローラに通して絞ることによって、フェノール樹脂接着剤含有量が固形分換算量で25質量%になるように調整した。次に、このフェノール樹脂接着剤を含有する繊維マットを80℃で、含水率が約10質量%となるように乾燥した。この後、この繊維マットを170℃、3MPa、4分間の条件で加熱加圧成形し、厚さ4mmのケナフボードを得た。このケナフボードの平均密度は800kg/m3であり、ケナフ繊維間の空隙の平均直径は約80μmであった。
【0023】
上記のようにして得たケナフボードの片側表面に、株式会社オーシカ製ホルムアルデヒド吸着剤「ディアムッシュFC−5」(不揮発分約10質量%、残りは水)を5.5g/m2の塗布量でスプレー噴霧した。
【0024】
(実施例2)
ケナフボードの両面にそれぞれホルムアルデヒド吸着剤を5.5g/m2の塗布量でスプレー噴霧するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0025】
(実施例3)
ケナフボードの両面にそれぞれホルムアルデヒド吸着剤を11g/m2の塗布量でスプレー噴霧するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0026】
(実施例4)
ケナフボードの片面にホルムアルデヒド吸着剤を22g/m2の塗布量でスプレー噴霧するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0027】
(実施例5)
ケナフボードの両面にそれぞれホルムアルデヒド吸着剤を5.5g/m2の塗布量でロールコーター塗布するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0028】
(実施例6)
ケナフボードの両面にそれぞれホルムアルデヒド吸着剤を11g/m2の塗布量でロールコーター塗布するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0029】
(比較例1)
ケナフボードにホルムアルデヒド吸着剤を塗布しないで用いるようにした。
【0030】
(比較例2)
板厚4mm、密度550kg/m3のラワン合板を、ホルムアルデヒド吸着剤を塗布しないで用いるようにした。
【0031】
(比較例3)
比較例2の合板の両面に、実施例1と同様なホルムアルデヒド吸着剤を5.5g/m2の塗布量でロールコーター塗布した。
【0032】
(比較例4)
比較例2の合板の両面に、実施例1と同様なホルムアルデヒド吸着剤を11g/m2の塗布量でロールコーター塗布した。
【0033】
上記の実施例1〜6と比較例1のケナフボード、比較例2〜4の合板について、ホルムアルデヒドの放散量の測定試験をJIS A 5905のデシケータ法に準じて行なった。すなわち、デシケータ中に試料と蒸留水を共存させ、常温、24時間の条件で、試料から気中に放散し、気中から蒸留水に吸収されるホルムアルデヒドの水中の濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
JISでは、ホルムアルデヒドの放散量レベルによって、
E0 : 0.5mg/l以下
E1 : 1.5mg/l以下
E2 : 5.0mg/l以下
の3段階のレベルに等級分けされているが、表1にみられるように、実施例1〜6のものは、いずれも最高レベルであるE0レベルであった。また、実施例1〜6と比較例2〜4とを比較すると、ホルムアルデヒド吸着剤を塗布した比較例2〜4の合板に対して、ホルムアルデヒド吸着剤を塗布した実施例1〜6のケナフボードは、少ない量のホルムアルデヒド吸着剤の塗布で、ホルムアルデヒドの放散を防止する効果を高く得ることができることが確認される。
【0036】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係るケナフボードは、ケナフを解繊して得られるケナフ繊維をホルムアルデヒドを含有する接着剤で接着して形成されるケナフボードであって、ボード表面に、ホルムアルデヒドを吸着して結合する吸着剤を付着させるようにしたので、ケナフボードの内部のホルムアルデヒドは吸着剤に反応結合して吸着されるものであり、特にケナフ繊維は繊維径が大きいために、ケナフ繊維間には比較的大きく且つ連通した空隙が形成されているものであって、ケナフボード内のホルムアルデヒドはこの空隙を通して容易に吸着剤と反応結合して吸着されるものであり、少ない量の吸着剤でも、ホルムアルデヒドの放散を抑制することができるものである。
【0037】
また請求項2の発明は、請求項1において、ボード表面への吸着剤の不揮発成分の付着量が、ボード重量に対して0.01〜0.1質量%であるので、吸着剤でホルムアルデヒドを効率高く吸着することができ、ホルムアルデヒドの放散を抑制する効果を高く得ることができるものである。
【0038】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、ケナフ繊維は隣接するケナフ繊維との間に空隙を残して接着剤で接着されているので、ケナフボード内のホルムアルデヒドはこの空隙を通して容易に吸着剤と反応結合して吸着されるものであり、ホルムアルデヒドの放散を抑制することができるものである。
【0039】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、ケナフ繊維間の空隙の大きさの平均が10〜100μmであるので、ケナフボード内のホルムアルデヒドはこの空隙を通して容易に吸着剤と反応結合して吸着されるものであり、少ない量の吸着剤でも、ホルムアルデヒドの放散を抑制することができるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケナフ繊維を原料として作製されるケナフボードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建材として、従来から広く用いられてきた合板に代わって、取り扱い性、加工性、表面平滑性などに優れるMDFと呼ばれる繊維板が、戸建て住宅や集合住宅などの住宅の内装材用途を中心に急速に使用が拡大している。
【0003】
この繊維板としては、例えば木材繊維などの植物繊維をユリア樹脂接着剤などホルムアルデヒド系の接着剤を用いて結合させて成形した木質繊維板が主流である。しかしホルムアルデヒド系接着剤を用いて成形した繊維板は、揮発されるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)が人体に悪影響を与える可能性があることから、シックハウス症候群の原因の一つとして社会問題化している。
【0004】
そこで、ホルムアルデヒド系接着剤のなかでも、比較的ホルムアルデヒドの放散量の少ないフェノール樹脂接着剤を用いた繊維板が多く採用されるようになってきた。例えば特許文献1には、繊維としてケナフを解繊して得られるケナフ繊維を用い、ケナフ繊維をフェノール樹脂接着剤で結合して得られるケナフボードが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−333986号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこのようなホルムアルデヒドの放散量の少ないフェノール樹脂接着剤を用いた繊維板においても、繊維板内に残存する遊離ホルムアルデヒドが、使用される環境の温度・湿度の変化などによって、室内に放散される可能性があり、この繊維板を内装材として使用する際に、遊離ホルムアルデヒドが放散されて不具合を生じたり、あるいは施工や取り扱い性に制約を受けたりするという問題を有するものであった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ホルムアルデヒドの放散を抑制することができるケナフボードを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るケナフボードは、ケナフを解繊して得られるケナフ繊維をホルムアルデヒドを含有する接着剤で接着して形成されるケナフボードであって、ボード表面に、ホルムアルデヒドを吸着して結合する吸着剤を付着させて成ることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2の発明は、請求項1において、ボード表面への吸着剤の不揮発成分の付着量が、ボード重量に対して0.01〜0.1質量%であることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、ケナフ繊維は隣接するケナフ繊維との間に空隙を残して接着剤で接着されていることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、ケナフ繊維間の空隙の大きさの平均が10〜100μmであることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
ケナフはアオイ科の一年草であり、ケナフの茎の靭皮部を解繊して得られるケナフ繊維は、繊維長が6mm以上の長繊維であり、また繊維径はおおよそ10〜200μmであって、広葉樹や針葉樹から得られる木質繊維の繊維径よりも大きな直径を有するものである。さらにケナフ繊維は広葉樹や針葉樹から得られる木質繊維に比べて2〜14倍の高い強度を有している。
【0014】
そしてこのケナフ繊維を接着剤で結合することによって、ケナフボードを作製することができる。この接着剤として本発明ではホルムアルデヒドを含有する接着剤を用いるものである。ホルムアルデヒドを含有する接着剤としては、ユリア樹脂接着剤、メラミン−ユリア樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤などがあり、これらを用いることができる。これらの接着剤を用いて成形したケナフボードは、内部に遊離ホルムアルデヒドが残存しているので、ホルムアルデヒドの放散があり、また硬化した接着剤からも樹脂の分解・縮合の進行による脱ホルムアルデヒド反応によって、ホルムアルデヒドが放散される。このホルムアルデヒドの放散は、ユリア樹脂からの放散が多く、フェノール樹脂からの放散が少ないことが知られているので、本発明ではフェノール樹脂を用いるのが好ましい。
【0015】
ケナフボードを成形するにあたっては、例えば、ケナフ繊維を集合させた繊維マットを接着剤溶液中に浸漬し、これを絞りローラーに通して接着剤添加量が所定の範囲になるように調整した後、この接着剤溶液を含有する繊維マットを乾燥して所定の含水率になるようにし、この後に繊維マットを加熱加圧成形して接着剤を硬化させることによって、行なうことができるものである。
【0016】
このようにして得られるケナフボードは、隣接するケナフ繊維同士が接着剤で結合されることによって形成されているが、繊維マット中の接着剤の含有量や、加熱加圧成形時の成形圧力を調整することによって、ケナフ繊維とケナフ繊維の間に空隙が形成されるようにしてある。そしてケナフ繊維は広葉樹や針葉樹から得られる木質繊維に比べて繊維径が大きいので、ケナフ繊維を集合させて接着剤で結合することによって成形されるケナフボード内には比較的大きく且つ連通した空隙が容易に形成されるものである。この空隙の大きさは、平均径が10〜100μmの範囲であることが好ましい。空隙の平均径が10μm未満であると、後述のホルムアルデヒドの放散を防止する効果が不十分になるおそれがある。逆に空隙の平均径が100μmを超えると、ケナフボードの密度が低くなり過ぎて、強度の上で問題が生じるおそれがある。
【0017】
そして上記のように作製されるケナフボードの表面に吸着剤を付着させる。吸着剤としてはホルムアルデヒドを吸着して結合するものが用いられるものであり、勿論、ホルムアルデヒド以外のVOCを吸着することができるものが好ましい。この吸着剤としてはホルムアルデヒド吸着剤(ホルムアルデヒドキャッチャー剤)として市販されているものを用いることができる。このホルムアルデヒド吸着剤としてアミン系、尿素系などのホルムアルデヒドと容易に反応する化合物が挙げられ、より具体的には、R−CONHNH2(ヒドラジド基)を有するヒドラジド化合物などを用いることができる。
【0018】
例えばヒドラジド化合物の場合、次の反応式のようにホルムアルデヒドと脱水結合反応し、
R−CONHNH2+ HCHO → R−CONHNH=CH2 + H2O
ホルムアルデヒドを吸着する。このようにホルムアルデヒドが吸着・結合して生成される生成物は無害な化合物であり、ホルムアルデヒドが再放出されることはない。
【0019】
従って、ケナフボードの内部に残存している未反応の遊離ホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒドは、ケナフボードの表面に付着している吸着剤と反応結合して吸着され、ホルムアルデヒドがケナフボードの表面から放散されることを低減することができるものである。ここで、上記のようにケナフ繊維は繊維径が大きく、ケナフボード内のケナフ繊維間には比較的大きく且つ連通した空隙が形成されているため、ケナフボード内のホルムアルデヒドはこの空隙を通して容易に吸着剤と反応結合して吸着されるものであり、少ない量の吸着剤でも、ホルムアルデヒドの放散を極めて低くすることができるものである。特に、接着剤としてフェノール樹脂接着剤を用いている場合には、ホルムアルデヒドの放散量が極めて少なくなり、後述のデシケータ法などでは検出できない低いレベルにすることができる。ちなみに、合板のように空隙が殆ど形成されていないボードの場合、ボードの表面に上記の吸着剤を付着させておいても、ホルムアルデヒドの放散を低減する効果を高く得ることはできない。
【0020】
ケナフボードの表面に吸着剤を付着させるにあたっては、吸着剤を溶剤等に溶解乃至希釈し、この吸着剤液をケナフボードの表面にスプレー噴霧して塗布する方法や、吸着剤液をロールコーターで塗布する方法など、任意の方法で行なうことができる。ケナフボードの表面に付着させる吸着剤の量は、吸着剤の不揮発成分がケナフボードの重量に対して0.01〜0.1質量%となるように設定するのが好ましい。吸着剤の付着量が0.01質量%未満であると、ホルムアルデヒドの放散を防止する効果を十分に得ることができない。逆に吸着剤の付着量が0.1質量%を超えると、未反応の吸着剤がボード表面に過剰に存在することになり、付着量増加に伴なうコストアップを招く。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0022】
(実施例1)
平均繊維長さ25mm、平均繊維径100μmのケナフ繊維からなる繊維マットをフェノール樹脂接着剤溶液中に浸漬した後、この繊維マットを絞りローラに通して絞ることによって、フェノール樹脂接着剤含有量が固形分換算量で25質量%になるように調整した。次に、このフェノール樹脂接着剤を含有する繊維マットを80℃で、含水率が約10質量%となるように乾燥した。この後、この繊維マットを170℃、3MPa、4分間の条件で加熱加圧成形し、厚さ4mmのケナフボードを得た。このケナフボードの平均密度は800kg/m3であり、ケナフ繊維間の空隙の平均直径は約80μmであった。
【0023】
上記のようにして得たケナフボードの片側表面に、株式会社オーシカ製ホルムアルデヒド吸着剤「ディアムッシュFC−5」(不揮発分約10質量%、残りは水)を5.5g/m2の塗布量でスプレー噴霧した。
【0024】
(実施例2)
ケナフボードの両面にそれぞれホルムアルデヒド吸着剤を5.5g/m2の塗布量でスプレー噴霧するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0025】
(実施例3)
ケナフボードの両面にそれぞれホルムアルデヒド吸着剤を11g/m2の塗布量でスプレー噴霧するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0026】
(実施例4)
ケナフボードの片面にホルムアルデヒド吸着剤を22g/m2の塗布量でスプレー噴霧するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0027】
(実施例5)
ケナフボードの両面にそれぞれホルムアルデヒド吸着剤を5.5g/m2の塗布量でロールコーター塗布するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0028】
(実施例6)
ケナフボードの両面にそれぞれホルムアルデヒド吸着剤を11g/m2の塗布量でロールコーター塗布するようにした他は、実施例1と同様にした。
【0029】
(比較例1)
ケナフボードにホルムアルデヒド吸着剤を塗布しないで用いるようにした。
【0030】
(比較例2)
板厚4mm、密度550kg/m3のラワン合板を、ホルムアルデヒド吸着剤を塗布しないで用いるようにした。
【0031】
(比較例3)
比較例2の合板の両面に、実施例1と同様なホルムアルデヒド吸着剤を5.5g/m2の塗布量でロールコーター塗布した。
【0032】
(比較例4)
比較例2の合板の両面に、実施例1と同様なホルムアルデヒド吸着剤を11g/m2の塗布量でロールコーター塗布した。
【0033】
上記の実施例1〜6と比較例1のケナフボード、比較例2〜4の合板について、ホルムアルデヒドの放散量の測定試験をJIS A 5905のデシケータ法に準じて行なった。すなわち、デシケータ中に試料と蒸留水を共存させ、常温、24時間の条件で、試料から気中に放散し、気中から蒸留水に吸収されるホルムアルデヒドの水中の濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
JISでは、ホルムアルデヒドの放散量レベルによって、
E0 : 0.5mg/l以下
E1 : 1.5mg/l以下
E2 : 5.0mg/l以下
の3段階のレベルに等級分けされているが、表1にみられるように、実施例1〜6のものは、いずれも最高レベルであるE0レベルであった。また、実施例1〜6と比較例2〜4とを比較すると、ホルムアルデヒド吸着剤を塗布した比較例2〜4の合板に対して、ホルムアルデヒド吸着剤を塗布した実施例1〜6のケナフボードは、少ない量のホルムアルデヒド吸着剤の塗布で、ホルムアルデヒドの放散を防止する効果を高く得ることができることが確認される。
【0036】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係るケナフボードは、ケナフを解繊して得られるケナフ繊維をホルムアルデヒドを含有する接着剤で接着して形成されるケナフボードであって、ボード表面に、ホルムアルデヒドを吸着して結合する吸着剤を付着させるようにしたので、ケナフボードの内部のホルムアルデヒドは吸着剤に反応結合して吸着されるものであり、特にケナフ繊維は繊維径が大きいために、ケナフ繊維間には比較的大きく且つ連通した空隙が形成されているものであって、ケナフボード内のホルムアルデヒドはこの空隙を通して容易に吸着剤と反応結合して吸着されるものであり、少ない量の吸着剤でも、ホルムアルデヒドの放散を抑制することができるものである。
【0037】
また請求項2の発明は、請求項1において、ボード表面への吸着剤の不揮発成分の付着量が、ボード重量に対して0.01〜0.1質量%であるので、吸着剤でホルムアルデヒドを効率高く吸着することができ、ホルムアルデヒドの放散を抑制する効果を高く得ることができるものである。
【0038】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、ケナフ繊維は隣接するケナフ繊維との間に空隙を残して接着剤で接着されているので、ケナフボード内のホルムアルデヒドはこの空隙を通して容易に吸着剤と反応結合して吸着されるものであり、ホルムアルデヒドの放散を抑制することができるものである。
【0039】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、ケナフ繊維間の空隙の大きさの平均が10〜100μmであるので、ケナフボード内のホルムアルデヒドはこの空隙を通して容易に吸着剤と反応結合して吸着されるものであり、少ない量の吸着剤でも、ホルムアルデヒドの放散を抑制することができるものである。
Claims (4)
- ケナフを解繊して得られるケナフ繊維をホルムアルデヒドを含有する接着剤で接着して形成されるケナフボードであって、ボード表面に、ホルムアルデヒドを吸着して結合する吸着剤を付着させて成ることを特徴とするケナフボード。
- ボード表面への吸着剤の不揮発成分の付着量が、ボード重量に対して0.01〜0.1質量%であることを特徴とする請求項1に記載のケナフボード。
- ケナフ繊維は隣接するケナフ繊維との間に空隙を残して接着剤で接着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のケナフボード。
- ケナフ繊維間の空隙の大きさの平均が10〜100μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のケナフボード。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006255991A (ja) * | 2005-03-16 | 2006-09-28 | Mitsubishi Motors Corp | 合成板 |
WO2009050951A1 (ja) * | 2007-10-17 | 2009-04-23 | Oji Tac Co., Ltd. | 工程剥離シート用基材シート、工程剥離シートおよび合成皮革の製造方法 |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003096845A patent/JP2004299322A/ja not_active Withdrawn
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JP5440172B2 (ja) * | 2007-10-17 | 2014-03-12 | 王子ホールディングス株式会社 | 工程剥離シートおよび合成皮革の製造方法 |
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