JP2004297739A - 映像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる映像表示装置を提供する。
【解決手段】映像表示装置100は、輝度信号処理回路1、色差信号処理回路2、RGBマトリクス回路3、CRTドライブ回路4、CRT5、複数のVMコイル201 〜20n 、複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n 、水平偏向回路90、垂直偏向回路91、水平偏向コイル92および垂直偏向コイル93を備える。電子ビームは、水平偏向コイル92および垂直偏向コイル93により水平走査および垂直走査される。複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n より複数のVMコイル201 〜20n へ速度変調電流VMIが供給される。それにより、複数のVMコイル201 〜20n から水平偏向磁界が発生され、水平方向に走査される電子ビームが局部的に速度変調される。
【選択図】 図1
【解決手段】映像表示装置100は、輝度信号処理回路1、色差信号処理回路2、RGBマトリクス回路3、CRTドライブ回路4、CRT5、複数のVMコイル201 〜20n 、複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n 、水平偏向回路90、垂直偏向回路91、水平偏向コイル92および垂直偏向コイル93を備える。電子ビームは、水平偏向コイル92および垂直偏向コイル93により水平走査および垂直走査される。複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n より複数のVMコイル201 〜20n へ速度変調電流VMIが供給される。それにより、複数のVMコイル201 〜20n から水平偏向磁界が発生され、水平方向に走査される電子ビームが局部的に速度変調される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像の輪郭を補正する機能を有する映像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、陰極線管(以下、CRTと略記する)等に表示された映像の輪郭を補正するために電子ビームの走査速度を変調する映像表示装置がある。このような映像表示装置として、例えば、速度変調用信号発生回路が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
図12は速度変調用信号発生回路の構成を示すブロック図であり、図13は図12の速度変調コイルの形状および構成を示す模式図である。また、図14は図12の速度変調用信号発生回路の動作を説明するための波形図である。
【0004】
図12の速度変調用信号発生回路70は、輝度信号処理回路71、色差信号処理回路72、RGBマトリクス回路73、CRTドライブ回路74、位相補正回路76、微分回路77、速度変調(以下、VMと略記する)ドライブ回路78、CRT75および速度変調(VM)コイル79を備える。
【0005】
図13(a)に示すように、VMコイル79においては、複数のコイルが直列に接続されている。VMコイル79を等価回路で表すと、図13(b)のようになる。図13(a)においては、各コイルのターン数が1ターンであるように表されているが、通常、各コイルのターン数は3〜6ターンである。VMコイル79には、後述の速度変調電流VMIが与えられる。
【0006】
輝度信号処理回路71および色差信号処理回路72は遅延回路(図示せず)を有する。
【0007】
図12の速度変調用信号発生回路70において、輝度信号Yが輝度信号処理回路71に入力され、色差信号Cが色差信号処理回路72に入力される。
【0008】
輝度信号処理回路71に入力された輝度信号Yは、所定量遅延されるとともに映像を補正するための処理がなされ、処理された輝度信号YがRGBマトリクス回路73に与えられる。図14(a)に、処理された輝度信号Yの波形の一例が示されている。
【0009】
色差信号処理回路72に入力された色差信号Cは、所定量遅延されるとともに映像を補正するための処理がなされ、処理された色差信号CがRGBマトリクス回路73に与えられる。
【0010】
RGBマトリクス回路73では、輝度信号Yおよび色差信号Cに基づいて赤色、緑色および青色の各々の輝度に対応した原色信号ER,EG,EBが生成される。生成された各種原色信号ER,EG,EBは、CRTドライブ回路74に与えられる。
【0011】
CRTドライブ回路74においては、RGBマトリクス回路73より与えられた原色信号ER,EG,EBが増幅される。図14(b)に原色信号ERの波形の一例が示されている。CRT75においては、原色信号ER,EG,EBに基づく電子ビームが出射される。
【0012】
これら電子ビームは、水平偏向コイル(図示せず)および垂直偏向コイル(図示せず)により発生される水平偏向磁界および垂直偏向磁界によりCRT75画面上で水平走査および垂直走査される。それにより、CRT75の画面上に映像の表示が行われる。
【0013】
また、輝度信号処理回路71に入力された輝度信号Y(図14(a))は、映像を補正するための処理がなされるとともに位相補正回路76に与えられる。位相補正回路76では、輝度信号Yの位相が補正される。補正された輝度信号Yが微分回路77に与えられる。
【0014】
微分回路77では、輝度信号Yが1次微分されて速度変調信号が生成される。生成された速度変調信号がVMドライブ回路78に与えられる。
【0015】
VMドライブ回路78では、微分回路77により生成された速度変調信号に基づいて速度変調電流VMIが出力される。図14(c)に、速度変調電流VMIの波形の一例が示されている。
【0016】
なお、図14(b),(c)に示すように、原色信号ERの立ち上がりエッジおよび立下りエッジと速度変調電流VMIのピーク位置およびボトム位置とが一致するように、輝度信号処理回路71における輝度信号Yの遅延時間および色差信号処理回路72における色差信号Cの遅延時間が設定されている。
【0017】
VMドライブ回路78から出力される速度変調電流VMIは、VMコイル79に供給される。これにより、VMコイル79から速度変調磁界が発生される。
【0018】
図14(d)に、水平偏向コイル(図示せず)により発生される水平偏向磁界と図14(c)の速度変調電流VMIに基づいてVMコイル79により発生される速度変調磁界とを合成した磁界MTを示す。
【0019】
図14(d)によれば、水平偏向コイルにより発生される水平偏向磁界は図14(c)の速度変調電流VMIに対応してP点およびQ点において局部的に変化している。これにより、電子ビームの水平走査速度が局部的に変調される。
【0020】
その結果、CRT75の画面上の輝度分布は、輝度信号Yの変化に応じて急峻に変化し、映像の輪郭補正が行われる。この場合のCRT75の画面上の輝度分布LUが図14(e)に示されている。
【0021】
以上のように電子ビームの水平走査速度を変調することにより、鮮明な輪郭の表示が行われる。
【0022】
【特許文献1】
特開平1−29173号公報
【特許文献2】
特開平5−76017号公報
【特許文献3】
特開平7−135576号公報
【特許文献4】
特開平8−65538号公報
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図12の速度変調用信号発生回路70において、速度変調信号は、輝度信号Yを1次微分することにより得られるため、非常に急峻な立ち上がりおよび立ち下がりを有する。換言すれば、速度変調信号は、高い周波数成分を有する。
【0024】
しかしながら、VMドライブ回路78の周波数特性により、以下に説明するように、VMドライブ回路78が追従できる速度変調信号の周波数には制限がある。通常、VMドライブ回路78は数MHz程度までしか追従できない。
【0025】
ここで、VMコイル79のインダクタンスをLとし、VMコイル79に供給する速度変調電流VMIの電流値をIとし、VMコイル79に供給する速度変調電流VMIの周波数をfとした場合、VMドライブ回路78の出力電圧(以下、ドライブ電圧と呼ぶ)VL は、下記式(1)により表される。
【0026】
VL =2πfLI ・・・(1)
式(1)において、VMドライブ回路78によりVMコイル79に印加すべきドライブ電圧VL は、VMコイル79に供給する速度変調電流VMIの周波数fに依存する。すなわち、速度変調電流VMIの周波数fを増加させるためには、ドライブ電圧VL を増加させる必要がある。しかしながら、ドライブ電圧VL はそのVMドライブ回路78に内蔵されるトランジスタの耐圧により制限される。そのため、速度変調信号の周波数が高くなると、VMドライブ回路78によりVMコイル79に印加すべき電圧がドライブ電圧VL の上限を超えてしまう。
【0027】
また、VMコイル79は、インダクタンス成分とともに、浮遊容量および線間容量からなるキャパシタンス成分を有している。それにより、VMコイル79はインダクタンス成分およびキャパシタンス成分によるローパスフィルタ特性を有する。この場合、VMコイル79のインダクタンス成分が大きいほど、ローパスフィルタ特性のカットオフ周波数が低くなる。
【0028】
これらの結果、速度変調信号の周波数がある値を超えると、VMドライブ回路78が速度変調信号の周波数に追従することができない。すなわち、速度変調電流VMIが速度変調信号の周波数に追従することができない。
【0029】
例えば、VMコイル79のインダクタンスを5μHとし、VMコイル79に供給する電流を1Ap−pとする。この場合、速度変調信号の周波数が1MHz、10MHzおよび100MHzであるとき、VMドライブ回路78によりVMコイル79に印加すべき電圧は上式(1)からぞれぞれ31.4Vp−p、314Vp−pおよび3140Vp−pとなる。このように、VMドライブ回路78によりVMコイル79に印加すべき電圧は、速度変調信号の周波数の増加に伴って増加する。
【0030】
VMドライブ回路78のドライブ電圧VL の上限が140Vp−p程度であるとすると、速度変調信号の周波数が10MHzおよび100MHzのときに、VMコイル79に印加すべき電圧がVMドライブ回路78のドライブ電圧VL の上限を大きく超えてしまう。そのため、VMドライブ回路78が速度変調信号の周波数に追従できない。その結果、高周波成分を含む映像の輪郭を鮮明に表示することができない。
【0031】
本発明の目的は、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる映像表示装置を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る映像表示装置は、入力された輝度信号に応じた電子ビームを画面上に走査させることにより画面上に輝度分布を生じさせて映像を表示する電子ビーム走査装置と、電子ビーム走査装置に設けられ、電子ビームの走査速度を変調するための変調磁界を発生する複数の速度変調コイルと、入力された輝度信号に基づいて複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流を供給する複数の走査速度変調回路とを備えたものである。
【0033】
本発明に係る映像表示装置においては、電子ビーム走査装置により、入力された輝度信号に応じた電子ビームが画面上に走査され、画面上に輝度分布が生じることにより、映像が表示される。また、複数の走査速度変調回路により複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流が供給される。それにより、複数の速度変調コイルからそれぞれ変調磁界が発生され、電子ビームの走査速度が変調される。
【0034】
この場合、複数の速度変調コイルが設けられることにより、各速度変調コイルのインダクタンスを小さくすることができるので、各速度変調コイルに印加すべき電圧を低減することができるとともに、各速度変調コイルのカットオフ周波数を高めることができる。それにより、各走査速度変調回路が高い周波数に追従することができる。
【0035】
したがって、輝度信号が高周波成分を含む場合でも、速度変調機能の能力を低下させることなく、高い周波数領域においても電子ビームの走査速度を変調することが可能となり、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる。その結果、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0036】
複数の速度変調コイルは、同一のターン数を有してもよい。この場合、同一のターン数を有する複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流が供給される。それにより、各速度変調コイルのインダクタンスを小さくすることが可能となる。
【0037】
複数の走査速度変調回路の各々は、輝度信号を微分する微分回路を含んでもよい。この場合、複数の走査速度変調回路の各々に入力される輝度信号が微分回路により微分され、微分波形に基づく電流が複数の速度変調コイルの各々に供給される。それにより、映像の輪郭が強調される。
【0038】
複数の速度変調コイルは、異なるターン数を有してもよい。この場合、異なるターン数を有する複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流が供給される。それにより、各速度変調コイルのインダクタンスを小さくすることが可能になるとともに、種々の周波数領域の輝度信号に基づく速度変調を行うことができる。その結果、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となり、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0039】
複数の走査速度変調回路の各々は、輝度信号を微分する微分回路を含み、複数の走査速度変調回路の微分回路は、異なる微分周波数を有し、より低い微分周波数を有する微分回路がより多いターン数を有する速度変調コイルに組み合わされるように、複数の走査速度変調回路が複数の速度変調コイルに接続されてもよい。
【0040】
この場合、複数の走査速度変調回路の各々に入力される輝度信号がその周波数に応じて複数の微分回路のいずれかにより微分され、微分波形に基づく電流が対応する速度変調コイルに供給される。それにより、映像の輪郭が強調される。
【0041】
特に、輝度信号が低い周波数を有する場合には、速度変調コイルのターン数が多く、すなわち、インダクタンスが大きな場合であっても、走査速度変調回路が輝度信号の周波数に追従することができる。逆に、輝度信号が高い周波数を有する場合には、速度変調コイルのターン数を小さくし、すなわち、インダクタンスを小さくすることにより、走査速度変調回路が輝度信号の周波数に追従することができる。したがって、より低い微分周波数を有する微分回路がより多いターン数を有する速度変調コイルに組み合わされることにより、広い周波数領域の輝度信号に基づく速度変調を行うことが可能となる。その結果、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となり、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0042】
複数の走査速度変調回路は、微分回路の前段に低域通過フィルタをさらに含み、複数の走査速度変調回路の低域通過フィルタは、異なるカットオフ周波数を有し、より低いカットオフ周波数を有する低域通過フィルタがより低い微分周波数を有する微分回路に組み合わされるように、複数の走査速度変調回路の低域通過フィルタのカットオフ周波数が設定されてもよい。
【0043】
この場合、微分回路の前段において、複数の走査速度変調回路の各々に入力される輝度信号は、異なるカットオフ周波数を有する低域通過フィルタにより所定の周波数領域がカットされる。
【0044】
特に、より低いカットオフ周波数を有する低域通過フィルタを通過した輝度信号は、より低い微分周波数を有する微分回路に与えられる。これにより輝度信号の低い周波数成分が強調される。逆に、より高いカットオフ周波数を有する低域通過フィルタを通過した輝度信号は、より高い微分周波数を有する微分回路に与えられる。これにより輝度信号の高い周波数成分が強調される。
【0045】
したがって、輝度信号が種々の周波数成分を有する場合でも、その周波数成分が強調された輪郭の補正を行うことができる。その結果、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となり、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0046】
複数の走査速度変調回路は、輝度信号にそれぞれ異なる次数の微分を行う微分回路を含み、より低い次数の微分を行う微分回路がより多いターン数を有する速度変調コイルに組み合わされるように、複数の走査速度変調回路が複数の速度変調コイルに接続されてもよい。
【0047】
この場合、複数の走査速度変調回路の各々に入力される輝度信号は、輝度信号にそれぞれ異なる次数の微分を行う微分回路により、それぞれ異なる次数の微分が行われる。
【0048】
特に、より低い次数の微分を行う微分回路により得られた微分波形は低い周波数を有する。この場合、より多いターン数を有する速度変調コイルに接続された走査速度変調回路は輝度信号の周波数に追従することができる。
【0049】
また、より高い次数の微分を行う微分回路により得られた微分波形は高い周波数を有する。この場合、より少ないターン数を有する速度変調コイルに接続された走査速度変調回路は輝度信号の周波数に追従することができる。
【0050】
このように、より低い次数の微分を行う微分回路がより多いターン数を有する速度変調コイルに組み合わされることにより、広い周波数領域の輝度信号について、映像の輪郭を強調することができる。その結果、輝度信号の周波数に応じた強力な輪郭補正が可能となり、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0051】
電子ビーム走査装置は、陰極線管と、陰極線管の電子ビームを水平方向に偏向させる水平偏向装置と、陰極線管の電子ビームを垂直方向に偏向させる垂直偏向装置とを含み、複数の速度変調コイルは、電子ビームの水平方向の走査速度を変調するように配置されてもよい。
【0052】
この場合、陰極線管において、水平偏向装置により電子ビームが水平方向に偏向され、垂直偏向装置により電子ビームが垂直方向に偏向される。これにより、陰極線管の画面上に映像が表示される。また、複数の速度変調コイルにより、電子ビームの水平方向の走査速度が変調される。これにより、映像の輪郭補正が行われ、輪郭の強調された鮮明な映像が表示される。
【0053】
第2の発明に係る映像表示装置は、入力された輝度信号に応じた電子ビームを画面上に走査させることにより画面上に輝度分布を生じさせて映像を表示する電子ビーム走査装置と、互いに対向するように電子ビーム走査装置に設けられ、電子ビームの走査速度を変調するための変調磁界を発生するサドル型の第1および第2の速度変調コイルと、入力された輝度信号に基づいて第1および第2の速度変調コイルに走査速度の変調のための電流を供給する走査速度変調回路とを備えたものである。
【0054】
本発明に係る映像表示装置においては、電子ビーム走査装置により、入力された輝度信号に応じた電子ビームが画面上に走査され、画面上に輝度分布が生じることにより、映像が表示される。また、走査速度変調回路により、互いに対向するように電子ビーム走査装置に設けられたサドル型の第1および第2の速度変調コイルに輝度信号に基づく走査速度の変調のための電流が供給される。それにより、複数の速度変調コイルからそれぞれ変調磁界が発生され、電子ビームの走査速度が変調される。
【0055】
この場合、サドル型の第1および第2の速度変調コイルが設けられることにより、各速度変調コイルのインダクタンスを小さくすることができるので、各変調コイルに印加すべき電圧を低減することができるとともに、各速度変調コイルのカットオフ周波数を高めることができる。それにより、走査速度変調回路が高い周波数に追従することができる。したがって、輝度信号が高周波成分を含む場合でも、電子ビームの走査速度を変調することが可能となる。その結果、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができ、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0056】
走査速度変調回路は、入力された輝度信号に基づいて走査速度変調信号を生成する信号生成回路と、信号生成回路により生成された走査速度変調信号に基づいて第1および第2の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流を供給する第1および第2の電流供給回路とを含んでもよい。
【0057】
この場合、信号生成回路により入力された輝度信号に基づいて走査速度変調信号が生成され、第1および第2の電流供給回路により走査速度変調信号に基づく走査速度の変調のための電流が第1および第2の速度変調コイルに供給される。
【0058】
これにより、第1および第2の電流供給回路が第1および第2の速度変調コイルに印加すべき電圧を低減することができる。したがって、第1および第2の電流供給回路が高い周波数に追従することができる。これにより、輝度信号が高周波成分を含む場合でも、電子ビームの走査速度を変調することが可能となる。その結果、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができ、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0059】
第1および第2の速度変調コイルは、互いに並列に接続され、走査速度変調回路は、入力された輝度信号に基づいて走査速度変調信号を生成する信号生成回路と、信号生成回路により生成された走査速度変調信号に基づいて第1および第2の速度変調コイルに走査速度の変調のための電流を供給する電流供給回路とを含んでもよい。
【0060】
この場合、走査速度変調回路において、信号生成回路により入力された輝度信号に基づく走査速度変調信号が生成され、電流供給回路により走査速度変調信号に基づく電流が互いに並列に接続された第1および第2の速度変調コイルに供給される。第1および第2の速度変調コイルに走査速度変調信号に基づく電流が供給されることにより、走査速度の変調が行われる。
【0061】
特に、第1および第2の速度変調コイルが並列に設けられることにより、第1および第2の速度変調コイルの合成インダクタンスが小さくなるので、第1および第2の速度変調コイルに印加すべき電圧が低減できるとともに、第1および第2の速度変調コイルのカットオフ周波数を高めることができる。それにより、走査速度変調回路が高い周波数に追従することができる。その結果、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができ、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0062】
電子ビーム走査装置は、陰極線管と、陰極線管の電子ビームを水平方向に偏向させる水平偏向装置と、陰極線管の電子ビームを垂直方向に偏向させる垂直偏向装置とを含み、第1および第2の速度変調コイルは、電子ビームの水平方向の走査速度を変調するように配置されてもよい。
【0063】
この場合、陰極線管において、水平偏向装置により電子ビームが水平方向に偏向され、垂直偏向装置により電子ビームが垂直方向に偏向される。これにより、陰極線管の画面上に映像が表示される。また、第1および第2の速度変調コイルにより、電子ビームの水平方向の走査速度が変調される。これにより、映像の輪郭補正が行われる。したがって、輪郭の強調された映像を得ることができる。
【0064】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図11に基づき説明する。
【0065】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図であり、図2は図1の映像表示装置の動作を説明するための波形図である。
【0066】
第1の実施の形態に係る映像表示装置100は、輝度信号処理回路1、色差信号処理回路2、RGBマトリクス回路3、陰極線管(以下、CRTと略記する)ドライブ回路4、CRT5、複数の速度変調(以下、VMと略記する)コイル201 〜20n (nは2以上の整数)、複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n (nは2以上の整数)、水平偏向回路90、垂直偏向回路91、水平偏向コイル92および垂直偏向コイル93を備える。
【0067】
走査速度変調回路ブロック501 〜50n の各々は、位相補正回路11、微分回路12およびVMドライブ回路13を備え、VMコイル201 〜20n の各々と個別に接続されている。また、VMコイル201 〜20n 、水平偏向コイル92および垂直偏向コイル93は、CRT5に取り付けられている。
【0068】
なお、本実施の形態において、複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n の各々は同一の構成および性能を有し、複数のVMコイル201 〜20n の各々は同一のターン数を有する。
【0069】
輝度信号処理回路1および色差信号処理回路2は遅延回路(図示せず)を有する。
【0070】
図1の映像表示装置100において、輝度信号Y0が輝度信号処理回路1に入力され、色差信号C0が色差信号処理回路2に入力される。また、水平同期信号HSおよび垂直同期信号VSが水平偏向回路90に入力され、垂直同期信号VSが垂直偏向回路91に入力される。
【0071】
輝度信号処理回路1に入力された輝度信号Y0は、所定量遅延されるとともに映像を補正するための処理がなされ、処理された輝度信号Y0がRGBマトリクス回路3に与えられる。図2(a)に、処理された輝度信号Y0の波形の一例が示されている。
【0072】
色差信号処理回路2に入力された色差信号C0は、所定量遅延されるとともに映像を補正するための処理がなされ、RGBマトリクス回路3に与えられる。
【0073】
RGBマトリクス回路3では、輝度信号Y0および色差信号C0に基づいて赤色、緑色および青色の各々の輝度に対応した原色信号ER,EG,EBが生成される。生成された原色信号ER,EG,EBは、CRTドライブ回路4に与えられる。
【0074】
CRTドライブ回路4においては、RGBマトリクス回路3から与えられた原色信号ER,EG,EBが増幅される。図2(b)に、原色信号ERの波形の一例が示されている。CRT5においては、原色信号ER,EG,EBに基づく電子ビームが出射される。
【0075】
水平偏向回路90は、入力された水平同期信号HSおよび垂直同期信号VSに基づいて水平偏向電流HALを生成し、水平偏向コイル92に与える。これにより、水平偏向コイル92から水平偏向磁界が発生される。その結果、上記電子ビームが画面上で水平走査される。
【0076】
垂直偏向回路91は、入力された垂直同期信号VSに基づいて垂直偏向電流VALを生成し、垂直偏向コイル93に与える。これにより、垂直偏向コイル93から垂直偏向磁界が発生される。その結果、上記電子ビームが画面上で垂直走査される。それにより、CRT5の画面上に映像の表示が行われる。
【0077】
また、輝度信号処理回路1により処理された輝度信号Y0(図2(a))は、走査速度変調回路ブロック501 〜50n の位相補正回路11に与えられる。位相補正回路11では、輝度信号Y0の位相が補正される。補正された輝度信号Y0が微分回路12に与えられる。
【0078】
微分回路12では、輝度信号Y0が1次微分されて速度変調信号が生成される。生成された速度変調信号がVMドライブ回路13に与えられる。
【0079】
VMドライブ回路13では、微分回路12により生成された速度変調信号に基づいて速度変調電流VMIが出力される。図2(c)に、速度変調電流VMIの波形の一例が示されている。
【0080】
なお、図2(b),(c)に示すように、原色信号ERの立ち上がりエッジおよび立下りエッジと速度変調電流VMIのピーク位置およびボトム位置とが一致するように、輝度信号処理回路1における輝度信号Y0の遅延時間および色差信号処理回路2における色差信号C0の遅延時間が設定されている。
【0081】
走査速度変調回路ブロック501 〜50n のVMドライブ回路13から出力される速度変調電流VMIは、それぞれVMコイル201 〜20n に供給される。これにより、VMコイル201 〜20n から速度変調磁界が発生される。
【0082】
図2(d)に、水平偏向コイル92により発生される水平偏向磁界と図2(c)の速度変調電流VMIに基づいてVMコイル201 〜20n により発生される速度変調磁界とを合成した磁界MT1を示す。
【0083】
図2(d)によれば、水平偏向コイル92により発生される水平偏向磁界は図2(c)の速度変調電流VMIに対応してP点およびQ点において局部的に変化している。これにより、電子ビームの水平走査速度が局部的に変調される。
【0084】
その結果、CRT5の画面上の輝度分布は、輝度信号Y0の変化に応じて急峻に変化し、映像の輪郭補正が行われる。この場合のCRT5の画面上の輝度分布LU1が図2(e)に示されている。
【0085】
本実施の形態では、複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n および複数のVMコイル201 〜20n が設けられることにより、後述するように、輝度信号Y0の立ち上がりおよび立ち下がりが急峻な輪郭部分でも鮮明な輪郭の表示が行われる。
【0086】
ここで、VMコイルによる電子ビームの速度変調の程度をアンペアターン(VMコイルに流れる電流×VMコイルのターン数)で表す。
【0087】
n個のVMコイル201 〜20n を用いて所定のアンペアターンを実現する場合、VMコイル201 〜20n の各々のターン数を、1つのVMコイルを用いた場合に比べて1/nにすることができる。それにより、VMコイル201 〜20n の各々のインダクタンスを1/nにすることができる。
【0088】
例えば、4アンペアターンを実現する場合を考える。1つのVMコイルを用いる場合、そのVMコイルのターン数を4として1Ap−pの電流を供給する。これに対し、4つのVMコイルを用いる場合には、各VMコイルのターン数を1として1Ap−pの電流を供給する。これにより、4アンペアターンを実現することができる。
【0089】
このように、4つのVMコイルを用いる場合、1つのVMコイルを用いる場合に比べて、各VMコイルのターン数を1/4にすることができる。すなわち、各VMコイルのインダクタンスを1/4にすることができる。
【0090】
本実施の形態に係る映像表示装置100においては、複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n および複数のVMコイル201 〜20n が設けられることにより、上述のようにVMコイル201 〜20n の各々のインダクタンスを1/nに小さくすることができる。
【0091】
この場合、VMコイル201 〜20n の各々に印加すべき電圧が低減されるとともに、VMコイル201 〜20n の各々のカットオフ周波数が高められる。これにより、速度変調信号の周波数が高い場合でも、各VMドライブ回路13が速度変調信号の周波数に追従することができる。すなわち、VMコイル201〜20n の各々に供給する速度変調電流VMIが速度変調信号に追従することができる。したがって、速度変調機能の能力を低下させることなく、高い周波数領域においても電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる。その結果、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0092】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0093】
第2の実施の形態に係る映像表示装置100は、第1の実施の形態に係る複数のVMコイル201 〜20n に代えて、複数のVMコイル211 〜21n (nは2以上の整数)を備える点を除き第1の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0094】
VMコイル211 〜21n の各々のターン数はそれぞれ異なり、VMコイル21n のターン数はVMコイル21n−1 のターン数より少ない。図3においては、VMコイル211 〜21n 各々のターン数が斜線の本数により示されている。図3のVMコイル211 は3ターンであり、VMコイル21n は1ターンである。
【0095】
VMコイル211 〜21n の各々のインダクタンスは、VMコイル211 〜21n の各々のターン数に比例する。つまり、VMコイルのターン数が多いほど、そのVMコイルのインダクタンスは大きい。また、VMコイルのターン数が少ないほど、そのVMコイルのインダクタンスは小さい。
【0096】
本実施の形態に係る映像表示装置100においては、速度変調信号の周波数が低い場合には、ターン数が多いVMコイルにより速度変調が好適に行われ、速度変調信号の周波数が高い場合には、ターン数が少ないVMコイルにより速度変調が好適に行われる。したがって、種々の周波数領域において、電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となる。その結果、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することが可能となる。
【0097】
なお、すべてのVMコイル211 〜21n のターン数がそれぞれ異ならなくてもよく、VMコイル211 〜21n のうちの一部が同一のターン数を有してもよい。
【0098】
(第3の実施の形態)
図4は、第3の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0099】
第3の実施の形態に係る映像表示装置100は、第2の実施の形態に係る複数の微分回路12に代えて、複数の微分回路121 〜12n (nは2以上の整数)を備える点を除き第2の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0100】
微分回路121 〜12n は、それぞれ異なる微分周波数を有する。微分回路12n の微分周波数は、微分回路12n−1 の微分周波数よりも高い。
【0101】
すなわち、nが2の場合、微分回路121 は低い周波数の輝度信号Y0を1次微分するように設定され、微分回路122 は高い周波数の輝度信号Y0を1次微分するように設定される。
【0102】
微分回路121 〜12n を備える走査速度変調回路ブロック501 〜50nの各々は、第2の実施の形態と同様のVMコイル211 〜21n に接続される。この場合、より低い微分周波数を有する微分回路を備える走査速度変調回路ブロックがよりターン数の多いVMコイルに接続され、より高い微分周波数を有する微分回路を備える走査速度変調回路ブロックがよりターン数の少ないVMコイルに接続される。
【0103】
例えば、nが2の場合、微分周波数が低い微分回路121 を備える走査速度変調回路ブロック501 は、ターン数の多いVMコイル211 に接続される。
【0104】
また、微分周波数が高い微分回路122 を備える走査速度変調回路ブロック502 は、ターン数の少ないVMコイル212 と接続される。
【0105】
このように、微分周波数が低い微分回路とターン数の多いVMコイルとの組合せにより、低周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができ、微分周波数が高い微分回路とターン数の少ないVMコイルとの組合せにより、高周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができる。したがって、種々の周波数領域において電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となる。その結果、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することが可能となる。
【0106】
なお、すべての微分回路121 〜12n の微分周波数がそれぞれ異ならなくてもよく、微分回路121 〜12n のうちの一部が同一の微分周波数を有してもよい。
【0107】
(第4の実施の形態)
図5は、第4の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0108】
第4の実施の形態に係る映像表示装置100は、第3の実施の形態に係る複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n が各々ローパスフィルタ(以下、LPFと略記する)141 〜14n (nは2以上の整数)をさらに備える点を除き第3の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0109】
走査速度変調回路ブロック501 〜50n において、LPF141 〜14nは位相補正回路11の前段に設けられる。LPF141 〜14n のカットオフ周波数はそれぞれ異なる。より高い微分周波数を有する微分回路の前段に、より高いカットオフ周波数を有するLPFが接続される。より低い微分周波数を有する微分回路の前段に、より低いカットオフ周波数を有するLPFが接続される。これにより、微分回路121 〜12n の各々は、予め設定された周波数領域に応じた周波数の輝度信号Y0を1次微分することができる。
【0110】
例えば、nが2の場合、LPF141 のカットオフ周波数は、LPF142 のカットオフ周波数よりも低い。それにより、LPF141 を通過する低い周波数の輝度信号Y0は微分周波数の低い微分回路121 へ与えられる。これにより、微分回路121 では、低い周波数を有する輝度信号Y0の1次微分が行われる。
【0111】
一方、LPF142 を通過する高い周波数の輝度信号Y0は微分周波数の高い微分回路122 へ与えられる。これにより、微分回路122 では、高い周波数を有する輝度信号Y0の1次微分が行われる。
【0112】
カットオフ周波数の低いLPF141 および微分周波数の低い微分回路121を備える走査速度変調回路ブロック501 は、ターン数の多いVMコイル211に接続される。
【0113】
また、カットオフ周波数の高いLPF142 および微分周波数の高い微分回路122 を備える走査速度変調回路ブロック502 は、ターン数の少ないVMコイル212 に接続される。
【0114】
このように、カットオフ周波数の低いLPFおよび微分周波数の低い微分回路とターン数の多いVMコイルとの組合せにより、低周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができ、カットオフ周波数の高いLPFおよび微分周波数の高い微分回路とターン数の少ないVMコイルとの組合せにより、高周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができる。したがって、LPF141 〜14n と微分回路121 〜12n と走査速度変調回路ブロック501〜50n との組み合わせより、非常に多くの周波数領域において電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となる。その結果、非常に多くの周波数成分を有する映像を鮮明に表示することが可能となる。
【0115】
なお、すべてのLPF141 〜14n のカットオフ周波数がそれぞれ異ならなくてもよく、LPF141 〜14n のうちの一部が同一のカットオフ周波数を有してもよい。
【0116】
(第5の実施の形態)
図6は、第5の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0117】
第5の実施の形態に係る映像表示装置100は、第3の実施の形態に係る複数の微分回路121 〜12n に代えて1次微分回路151 〜n次微分回路15nを備える点を除き第3の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0118】
1次微分回路151 は与えられる輝度信号Y0の1次微分を行い、n次微分回路15n は与えられる輝度信号Y0のn次微分を行う。ここで、nは2以上の整数である。
【0119】
例えば、nが2の場合、1次微分回路151 は位相補正回路11より与えられる輝度信号Y0の1次微分を行い、2次微分回路152 は位相補正回路11より与えられる輝度信号Y0の2次微分を行う。
【0120】
1次微分回路151 〜n次微分回路15n を備える走査速度変調回路ブロック501 〜50n は、第2の実施の形態と同様のVMコイル211 〜21n にそれぞれ接続される。
【0121】
ここで、nが2である場合の映像表示装置100の構成および動作について、図7および図8に基づき説明する。
【0122】
図7は、2つの走査速度変調回路ブロックが設けられた第5の実施の形態に係る映像表示装置の一例を示すブロック図である。図8は、図7の走査速度変調回路ブロックに与えられる輝度信号、走査速度変調回路ブロックよりVMコイルへ供給される速度変調電流および複数のVMコイルにより発生される速度変調磁界の波形を示す模式図である。
【0123】
nが2の場合、映像表示装置100は2つの走査速度変調回路ブロック501,502 を備える。
【0124】
走査速度変調回路ブロック501 ,502 において、各々の位相補正回路11には輝度信号処理回路1から図8(a)に示される輝度信号Y0が入力される。
【0125】
走査速度変調回路ブロック501 において、位相補正回路11から1次微分回路151 に与えられる輝度信号Y0は、1次微分回路151 により1次微分され、速度変調信号が生成される。VMドライブ回路13は生成された速度変調信号に基づいて図8(b)の一点鎖線で示される速度変調電流VMI1をVMコイル211 へ供給する。これにより、VMコイル211 は速度変調磁界M1を発生する。
【0126】
走査速度変調回路ブロック502 において、位相補正回路11から2次微分回路152 に与えられる輝度信号Y0は、2次微分回路152 により2次微分され、速度変調信号が生成される。VMドライブ回路13は生成された速度変調信号に基づいて図8(b)の破線で示される速度変調電流VMI2をVMコイル212 へ供給する。これにより、VMコイル212 は速度変調磁界M2を発生する。
【0127】
図8(c)にVMコイル211 による速度変調磁界M1の波形の一例が一点鎖線により示され、VMコイル212 による速度変調磁界M2の波形の一例が一点鎖線により示され、速度変調磁界M1と速度変調磁界M2とを合成した場合の速度変調磁界M12の一例が実線により示されている。
【0128】
図8(c)によれば、速度変調磁界M1と速度変調磁界M2とを合成した速度変調磁界M12の波形においては、速度変調磁界M1に比べて、立ち上がりおよび立下り時間が短くなっている。この場合、速度変調の立ち上がりおよび立下りをより急峻に行うことができるので、映像の輪郭補正がより強力に行なわれる。
【0129】
ところで、図6の映像表示装置100において、輝度信号Y0に対しn次微分が行われる場合、それにより生成される速度変調信号の周波数は、nが大きくなるにつれて高くなる。
【0130】
そこで、本実施の形態においては、より高次の微分回路を有する走査速度変調回路ブロックがより少ないターン数を有するVMコイルに接続され、より低次の微分回路を有する走査速度変調回路ブロックがより多いターン数を有するVMコイルに接続される。それにより、より高次の微分回路に接続されるVMドライブ回路がより高い周波数の速度変調信号に追従することができ、より低次の微分回路に接続されるVMドライブ回路がより低い周波数の速度変調信号に追従することができる。
【0131】
図7によれば、1次微分回路151 を備える走査速度変調回路ブロック501は、ターン数の多いVMコイル211 に接続されており、2次微分回路152 を備える走査速度変調回路ブロック502 は、ターン数の少ないVMコイル212 に接続されている。この場合、VMコイル212 のターン数が少ないので、VMドライブ回路13が高い周波数を有する速度変調信号に追従することができる。
【0132】
このように、低次の微分回路とターン数の多いVMコイルとの組合せにより、低周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができ、高次の微分回路とターン数の少ないVMコイルとの組合せにより、高周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができる。したがって、種々の周波数領域において、電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、輝度信号の周波数に応じた強力な輪郭補正が可能となる。その結果、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することが可能となる。
【0133】
なお、1次微分回路151 〜n次微分回路15n のうちの全てがそれぞれ異なる次数の微分を行わなくてもよく、1次微分回路151 〜n次微分回路15nのうちの一部が同一の次数の微分を行ってもよい。
【0134】
(第6の実施の形態)
図9は、第6の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0135】
第6の実施の形態に係る映像表示装置100は、第1の実施の形態に係る複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n に代えて2つのVMドライブ回路13a,13bを有する1つの走査速度変調回路ブロック50を備える点および第1の実施の形態に係る複数のVMコイル201 〜20n に代えて1対のVMコイル22a,22bを備える点を除き第1の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0136】
本実施の形態に係る走査速度変調回路ブロック50においては、微分回路12により生成された速度変調信号が2つのVMドライブ回路13a,13bへ与えられる。
【0137】
VMコイル22a,22bの各々はサドル型コイルにより構成され、一方のサドル型コイルおよび他方のサドル型コイルがそれぞれCRT5の上部および下部に互いに対向するように取り付けられる。また、VMコイル22a,22bのターン数は同じである。
【0138】
VMドライブ回路13aはVMコイル22aに接続されており、速度変調信号に基づく速度変調電流VMIをVMコイル22aへ供給する。また、VMドライブ回路13bはVMコイル22bに接続されており、速度変調信号に基づく速度変調電流VMIをVMコイル22bへ供給する。
【0139】
この場合、VMコイル22a,22bの各々により発生される速度変調磁界は、従来の1個のVMコイルを用いた場合における速度変調磁界に比べて半分にすることができる。したがって、従来の1個のVMコイルを用いた場合に得られる速度変調磁界を確保しつつ、VMコイル22a,22bの各々のインダクタンスを1/2とすることができる。
【0140】
本実施の形態に係る映像表示装置100においては、2つのVMドライブ回路13a,13bおよび1対のVMコイル22a,22bが設けられることにより、上述のようにVMコイル22a,22bの各々のインダクタンスを1/2に小さくすることができる。これにより、速度変調信号の周波数が高い場合でも、各VMドライブ回路13a,13bが速度変調信号の周波数に追従することができる。すなわち、VMコイル22a,22bの各々に供給する速度変調電流VMIが速度変調信号に追従することができる。したがって、高い周波数領域においても電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる。その結果、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0141】
(第7の実施の形態)
図10は、第7の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図であり、図11は図10の速度変調コイルの形状および構成を示す模式図である。
【0142】
第7の実施の形態に係る映像表示装置100は、第1の実施の形態に係る複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n に代えて1つの走査速度変調回路ブロック50を備える点および第1の実施の形態に係る複数のVMコイル201〜20n に代えて1対のVMコイル23a,23bを備える点を除き第1の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0143】
図11(a)に示すように、VMコイル22aとVMコイル23bとは並列に接続されている。それにより、VMコイル23a,23bの合成インダクタンスは、1つのVMコイルのインダクタンスの1/2となる。
【0144】
VMコイル23a,23bを等価回路で表すと、図11(b)のようになる。なお、図11(b)において、各VMコイル23a,23bは1ターンを有するように表されているが、実際には数ターンを有する。また、本実施の形態において、上部のVMコイル23aおよび下部のVMコイル23bのターン数は同一である。VMドライブ回路13は、並列に接続されたVMコイル23a,23bに接続されている。
【0145】
走査速度変調回路ブロック50のVMドライブ回路13からVMコイル23a,23bへ速度変調電流VMIが供給されると、VMコイル23a,23bから速度変調磁界が発生され、電子ビームの速度変調が行われる。
【0146】
本実施の形態に係る映像表示装置100においては、上部のVMコイル23aおよび下部のVMコイル23bが並列に接続されることにより、上述のようにVMコイル23a,23bの合成インダクタンスが従来の1つのVMコイルを用いた場合の1/2となる。これにより、速度変調信号の周波数が高い場合でも、VMドライブ回路13が速度変調信号の周波数に追従することができる。すなわち、VMコイル23a,23bに供給する速度変調電流VMIが速度変調信号に追従することができる。したがって、高い周波数領域においても電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる。その結果、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0147】
以上、第1〜第7の実施の形態において、輝度信号処理回路1、色差信号処理回路2、RGBマトリクス回路3、CRTドライブ回路4、CRT5、水平偏向回路90、垂直偏向回路91、水平偏向コイル92および垂直偏向コイル93により構成される装置が電子ビーム走査装置に相当し、VMコイル201 〜20n,211 〜21n ,22a,22b,23が速度変調コイルに相当し、走査速度変調回路ブロック50,501 〜50n が速度変調回路に相当する。
【0148】
また、微分回路12,121 〜12n および1次微分回路151 〜n次微分回路15n が微分回路に相当し、LPF141 〜14n が低域通過フィルタに相当し、CRT5が陰極線管に相当し、水平偏向回路90および水平偏向コイル92が水平偏向装置に相当し、垂直偏向回路91および垂直偏向コイル93が垂直偏向装置に相当する。
【0149】
さらに、VMコイル22a,22bが第1および第2の速度変調コイルに相当し、第6の実施の形態に係るVMドライブ回路13a,13bが第1および第2の電流供給回路に相当し、微分回路12が信号生成回路に相当し、第7の実施の形態に係る走査速度変調回路ブロック50のVMドライブ回路13が電流供給回路に相当する。
【0150】
【発明の効果】
本発明に係る映像表示装置においては、電子ビーム走査装置により、入力された輝度信号に応じた電子ビームが画面上に走査され、画面上に輝度分布が生じることにより、映像が表示される。また、複数の走査速度変調回路により複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流が供給される。それにより、複数の速度変調コイルからそれぞれ変調磁界が発生され、電子ビームの走査速度が変調される。
【0151】
この場合、複数の速度変調コイルが設けられることにより、各速度変調コイルのインダクタンスを小さくすることができるので、各速度変調コイルに印加すべき電圧を低減することができるとともに、各速度変調コイルのカットオフ周波数を高めることができる。それにより、各走査速度変調回路が高い周波数に追従することができる。
【0152】
したがって、輝度信号が高周波成分を含む場合でも、速度変調機能の能力を低下させることなく、高い周波数領域においても電子ビームの走査速度を変調することが可能となり、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる。その結果、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図2】図1の映像表示装置の動作を説明するための波形図
【図3】第2の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図4】第3の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図5】第4の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図6】第5の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図7】2つの走査速度変調回路ブロックが設けられた第5の実施の形態に係る映像表示装置の一例を示すブロック図
【図8】図7の走査速度変調回路ブロックに与えられる輝度信号、走査速度変調回路ブロックよりVMコイルへ供給される速度変調電流および複数のVMコイルにより発生される速度変調磁界の波形を示す模式図
【図9】第6の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図10】第7の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図11】図10の速度変調コイルの形状および構成を示す模式図
【図12】速度変調用信号発生回路の構成を示すブロック図
【図13】図12の速度変調コイルの形状および構成を示す模式図
【図14】図12の速度変調用信号発生回路の動作を説明するための波形図
【符号の説明】
1 輝度信号処理回路
2 色差信号処理回路
3 RGBマトリクス回路
4 CRTドライブ回路
5 CRT
12,121 〜12n 微分回路
13,13a,13b VMドライブ回路
50,501 〜50n 走査速度変調回路ブロック
90 水平偏向回路
91 垂直偏向回路
92 水平偏向コイル
93 垂直偏向コイル
141 〜14n LPF
151 1次微分回路
15n n次微分回路
201 〜20n ,211 〜21n ,22a,22b,23 VMコイル
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像の輪郭を補正する機能を有する映像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、陰極線管(以下、CRTと略記する)等に表示された映像の輪郭を補正するために電子ビームの走査速度を変調する映像表示装置がある。このような映像表示装置として、例えば、速度変調用信号発生回路が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
図12は速度変調用信号発生回路の構成を示すブロック図であり、図13は図12の速度変調コイルの形状および構成を示す模式図である。また、図14は図12の速度変調用信号発生回路の動作を説明するための波形図である。
【0004】
図12の速度変調用信号発生回路70は、輝度信号処理回路71、色差信号処理回路72、RGBマトリクス回路73、CRTドライブ回路74、位相補正回路76、微分回路77、速度変調(以下、VMと略記する)ドライブ回路78、CRT75および速度変調(VM)コイル79を備える。
【0005】
図13(a)に示すように、VMコイル79においては、複数のコイルが直列に接続されている。VMコイル79を等価回路で表すと、図13(b)のようになる。図13(a)においては、各コイルのターン数が1ターンであるように表されているが、通常、各コイルのターン数は3〜6ターンである。VMコイル79には、後述の速度変調電流VMIが与えられる。
【0006】
輝度信号処理回路71および色差信号処理回路72は遅延回路(図示せず)を有する。
【0007】
図12の速度変調用信号発生回路70において、輝度信号Yが輝度信号処理回路71に入力され、色差信号Cが色差信号処理回路72に入力される。
【0008】
輝度信号処理回路71に入力された輝度信号Yは、所定量遅延されるとともに映像を補正するための処理がなされ、処理された輝度信号YがRGBマトリクス回路73に与えられる。図14(a)に、処理された輝度信号Yの波形の一例が示されている。
【0009】
色差信号処理回路72に入力された色差信号Cは、所定量遅延されるとともに映像を補正するための処理がなされ、処理された色差信号CがRGBマトリクス回路73に与えられる。
【0010】
RGBマトリクス回路73では、輝度信号Yおよび色差信号Cに基づいて赤色、緑色および青色の各々の輝度に対応した原色信号ER,EG,EBが生成される。生成された各種原色信号ER,EG,EBは、CRTドライブ回路74に与えられる。
【0011】
CRTドライブ回路74においては、RGBマトリクス回路73より与えられた原色信号ER,EG,EBが増幅される。図14(b)に原色信号ERの波形の一例が示されている。CRT75においては、原色信号ER,EG,EBに基づく電子ビームが出射される。
【0012】
これら電子ビームは、水平偏向コイル(図示せず)および垂直偏向コイル(図示せず)により発生される水平偏向磁界および垂直偏向磁界によりCRT75画面上で水平走査および垂直走査される。それにより、CRT75の画面上に映像の表示が行われる。
【0013】
また、輝度信号処理回路71に入力された輝度信号Y(図14(a))は、映像を補正するための処理がなされるとともに位相補正回路76に与えられる。位相補正回路76では、輝度信号Yの位相が補正される。補正された輝度信号Yが微分回路77に与えられる。
【0014】
微分回路77では、輝度信号Yが1次微分されて速度変調信号が生成される。生成された速度変調信号がVMドライブ回路78に与えられる。
【0015】
VMドライブ回路78では、微分回路77により生成された速度変調信号に基づいて速度変調電流VMIが出力される。図14(c)に、速度変調電流VMIの波形の一例が示されている。
【0016】
なお、図14(b),(c)に示すように、原色信号ERの立ち上がりエッジおよび立下りエッジと速度変調電流VMIのピーク位置およびボトム位置とが一致するように、輝度信号処理回路71における輝度信号Yの遅延時間および色差信号処理回路72における色差信号Cの遅延時間が設定されている。
【0017】
VMドライブ回路78から出力される速度変調電流VMIは、VMコイル79に供給される。これにより、VMコイル79から速度変調磁界が発生される。
【0018】
図14(d)に、水平偏向コイル(図示せず)により発生される水平偏向磁界と図14(c)の速度変調電流VMIに基づいてVMコイル79により発生される速度変調磁界とを合成した磁界MTを示す。
【0019】
図14(d)によれば、水平偏向コイルにより発生される水平偏向磁界は図14(c)の速度変調電流VMIに対応してP点およびQ点において局部的に変化している。これにより、電子ビームの水平走査速度が局部的に変調される。
【0020】
その結果、CRT75の画面上の輝度分布は、輝度信号Yの変化に応じて急峻に変化し、映像の輪郭補正が行われる。この場合のCRT75の画面上の輝度分布LUが図14(e)に示されている。
【0021】
以上のように電子ビームの水平走査速度を変調することにより、鮮明な輪郭の表示が行われる。
【0022】
【特許文献1】
特開平1−29173号公報
【特許文献2】
特開平5−76017号公報
【特許文献3】
特開平7−135576号公報
【特許文献4】
特開平8−65538号公報
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図12の速度変調用信号発生回路70において、速度変調信号は、輝度信号Yを1次微分することにより得られるため、非常に急峻な立ち上がりおよび立ち下がりを有する。換言すれば、速度変調信号は、高い周波数成分を有する。
【0024】
しかしながら、VMドライブ回路78の周波数特性により、以下に説明するように、VMドライブ回路78が追従できる速度変調信号の周波数には制限がある。通常、VMドライブ回路78は数MHz程度までしか追従できない。
【0025】
ここで、VMコイル79のインダクタンスをLとし、VMコイル79に供給する速度変調電流VMIの電流値をIとし、VMコイル79に供給する速度変調電流VMIの周波数をfとした場合、VMドライブ回路78の出力電圧(以下、ドライブ電圧と呼ぶ)VL は、下記式(1)により表される。
【0026】
VL =2πfLI ・・・(1)
式(1)において、VMドライブ回路78によりVMコイル79に印加すべきドライブ電圧VL は、VMコイル79に供給する速度変調電流VMIの周波数fに依存する。すなわち、速度変調電流VMIの周波数fを増加させるためには、ドライブ電圧VL を増加させる必要がある。しかしながら、ドライブ電圧VL はそのVMドライブ回路78に内蔵されるトランジスタの耐圧により制限される。そのため、速度変調信号の周波数が高くなると、VMドライブ回路78によりVMコイル79に印加すべき電圧がドライブ電圧VL の上限を超えてしまう。
【0027】
また、VMコイル79は、インダクタンス成分とともに、浮遊容量および線間容量からなるキャパシタンス成分を有している。それにより、VMコイル79はインダクタンス成分およびキャパシタンス成分によるローパスフィルタ特性を有する。この場合、VMコイル79のインダクタンス成分が大きいほど、ローパスフィルタ特性のカットオフ周波数が低くなる。
【0028】
これらの結果、速度変調信号の周波数がある値を超えると、VMドライブ回路78が速度変調信号の周波数に追従することができない。すなわち、速度変調電流VMIが速度変調信号の周波数に追従することができない。
【0029】
例えば、VMコイル79のインダクタンスを5μHとし、VMコイル79に供給する電流を1Ap−pとする。この場合、速度変調信号の周波数が1MHz、10MHzおよび100MHzであるとき、VMドライブ回路78によりVMコイル79に印加すべき電圧は上式(1)からぞれぞれ31.4Vp−p、314Vp−pおよび3140Vp−pとなる。このように、VMドライブ回路78によりVMコイル79に印加すべき電圧は、速度変調信号の周波数の増加に伴って増加する。
【0030】
VMドライブ回路78のドライブ電圧VL の上限が140Vp−p程度であるとすると、速度変調信号の周波数が10MHzおよび100MHzのときに、VMコイル79に印加すべき電圧がVMドライブ回路78のドライブ電圧VL の上限を大きく超えてしまう。そのため、VMドライブ回路78が速度変調信号の周波数に追従できない。その結果、高周波成分を含む映像の輪郭を鮮明に表示することができない。
【0031】
本発明の目的は、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる映像表示装置を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る映像表示装置は、入力された輝度信号に応じた電子ビームを画面上に走査させることにより画面上に輝度分布を生じさせて映像を表示する電子ビーム走査装置と、電子ビーム走査装置に設けられ、電子ビームの走査速度を変調するための変調磁界を発生する複数の速度変調コイルと、入力された輝度信号に基づいて複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流を供給する複数の走査速度変調回路とを備えたものである。
【0033】
本発明に係る映像表示装置においては、電子ビーム走査装置により、入力された輝度信号に応じた電子ビームが画面上に走査され、画面上に輝度分布が生じることにより、映像が表示される。また、複数の走査速度変調回路により複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流が供給される。それにより、複数の速度変調コイルからそれぞれ変調磁界が発生され、電子ビームの走査速度が変調される。
【0034】
この場合、複数の速度変調コイルが設けられることにより、各速度変調コイルのインダクタンスを小さくすることができるので、各速度変調コイルに印加すべき電圧を低減することができるとともに、各速度変調コイルのカットオフ周波数を高めることができる。それにより、各走査速度変調回路が高い周波数に追従することができる。
【0035】
したがって、輝度信号が高周波成分を含む場合でも、速度変調機能の能力を低下させることなく、高い周波数領域においても電子ビームの走査速度を変調することが可能となり、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる。その結果、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0036】
複数の速度変調コイルは、同一のターン数を有してもよい。この場合、同一のターン数を有する複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流が供給される。それにより、各速度変調コイルのインダクタンスを小さくすることが可能となる。
【0037】
複数の走査速度変調回路の各々は、輝度信号を微分する微分回路を含んでもよい。この場合、複数の走査速度変調回路の各々に入力される輝度信号が微分回路により微分され、微分波形に基づく電流が複数の速度変調コイルの各々に供給される。それにより、映像の輪郭が強調される。
【0038】
複数の速度変調コイルは、異なるターン数を有してもよい。この場合、異なるターン数を有する複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流が供給される。それにより、各速度変調コイルのインダクタンスを小さくすることが可能になるとともに、種々の周波数領域の輝度信号に基づく速度変調を行うことができる。その結果、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となり、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0039】
複数の走査速度変調回路の各々は、輝度信号を微分する微分回路を含み、複数の走査速度変調回路の微分回路は、異なる微分周波数を有し、より低い微分周波数を有する微分回路がより多いターン数を有する速度変調コイルに組み合わされるように、複数の走査速度変調回路が複数の速度変調コイルに接続されてもよい。
【0040】
この場合、複数の走査速度変調回路の各々に入力される輝度信号がその周波数に応じて複数の微分回路のいずれかにより微分され、微分波形に基づく電流が対応する速度変調コイルに供給される。それにより、映像の輪郭が強調される。
【0041】
特に、輝度信号が低い周波数を有する場合には、速度変調コイルのターン数が多く、すなわち、インダクタンスが大きな場合であっても、走査速度変調回路が輝度信号の周波数に追従することができる。逆に、輝度信号が高い周波数を有する場合には、速度変調コイルのターン数を小さくし、すなわち、インダクタンスを小さくすることにより、走査速度変調回路が輝度信号の周波数に追従することができる。したがって、より低い微分周波数を有する微分回路がより多いターン数を有する速度変調コイルに組み合わされることにより、広い周波数領域の輝度信号に基づく速度変調を行うことが可能となる。その結果、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となり、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0042】
複数の走査速度変調回路は、微分回路の前段に低域通過フィルタをさらに含み、複数の走査速度変調回路の低域通過フィルタは、異なるカットオフ周波数を有し、より低いカットオフ周波数を有する低域通過フィルタがより低い微分周波数を有する微分回路に組み合わされるように、複数の走査速度変調回路の低域通過フィルタのカットオフ周波数が設定されてもよい。
【0043】
この場合、微分回路の前段において、複数の走査速度変調回路の各々に入力される輝度信号は、異なるカットオフ周波数を有する低域通過フィルタにより所定の周波数領域がカットされる。
【0044】
特に、より低いカットオフ周波数を有する低域通過フィルタを通過した輝度信号は、より低い微分周波数を有する微分回路に与えられる。これにより輝度信号の低い周波数成分が強調される。逆に、より高いカットオフ周波数を有する低域通過フィルタを通過した輝度信号は、より高い微分周波数を有する微分回路に与えられる。これにより輝度信号の高い周波数成分が強調される。
【0045】
したがって、輝度信号が種々の周波数成分を有する場合でも、その周波数成分が強調された輪郭の補正を行うことができる。その結果、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となり、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0046】
複数の走査速度変調回路は、輝度信号にそれぞれ異なる次数の微分を行う微分回路を含み、より低い次数の微分を行う微分回路がより多いターン数を有する速度変調コイルに組み合わされるように、複数の走査速度変調回路が複数の速度変調コイルに接続されてもよい。
【0047】
この場合、複数の走査速度変調回路の各々に入力される輝度信号は、輝度信号にそれぞれ異なる次数の微分を行う微分回路により、それぞれ異なる次数の微分が行われる。
【0048】
特に、より低い次数の微分を行う微分回路により得られた微分波形は低い周波数を有する。この場合、より多いターン数を有する速度変調コイルに接続された走査速度変調回路は輝度信号の周波数に追従することができる。
【0049】
また、より高い次数の微分を行う微分回路により得られた微分波形は高い周波数を有する。この場合、より少ないターン数を有する速度変調コイルに接続された走査速度変調回路は輝度信号の周波数に追従することができる。
【0050】
このように、より低い次数の微分を行う微分回路がより多いターン数を有する速度変調コイルに組み合わされることにより、広い周波数領域の輝度信号について、映像の輪郭を強調することができる。その結果、輝度信号の周波数に応じた強力な輪郭補正が可能となり、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0051】
電子ビーム走査装置は、陰極線管と、陰極線管の電子ビームを水平方向に偏向させる水平偏向装置と、陰極線管の電子ビームを垂直方向に偏向させる垂直偏向装置とを含み、複数の速度変調コイルは、電子ビームの水平方向の走査速度を変調するように配置されてもよい。
【0052】
この場合、陰極線管において、水平偏向装置により電子ビームが水平方向に偏向され、垂直偏向装置により電子ビームが垂直方向に偏向される。これにより、陰極線管の画面上に映像が表示される。また、複数の速度変調コイルにより、電子ビームの水平方向の走査速度が変調される。これにより、映像の輪郭補正が行われ、輪郭の強調された鮮明な映像が表示される。
【0053】
第2の発明に係る映像表示装置は、入力された輝度信号に応じた電子ビームを画面上に走査させることにより画面上に輝度分布を生じさせて映像を表示する電子ビーム走査装置と、互いに対向するように電子ビーム走査装置に設けられ、電子ビームの走査速度を変調するための変調磁界を発生するサドル型の第1および第2の速度変調コイルと、入力された輝度信号に基づいて第1および第2の速度変調コイルに走査速度の変調のための電流を供給する走査速度変調回路とを備えたものである。
【0054】
本発明に係る映像表示装置においては、電子ビーム走査装置により、入力された輝度信号に応じた電子ビームが画面上に走査され、画面上に輝度分布が生じることにより、映像が表示される。また、走査速度変調回路により、互いに対向するように電子ビーム走査装置に設けられたサドル型の第1および第2の速度変調コイルに輝度信号に基づく走査速度の変調のための電流が供給される。それにより、複数の速度変調コイルからそれぞれ変調磁界が発生され、電子ビームの走査速度が変調される。
【0055】
この場合、サドル型の第1および第2の速度変調コイルが設けられることにより、各速度変調コイルのインダクタンスを小さくすることができるので、各変調コイルに印加すべき電圧を低減することができるとともに、各速度変調コイルのカットオフ周波数を高めることができる。それにより、走査速度変調回路が高い周波数に追従することができる。したがって、輝度信号が高周波成分を含む場合でも、電子ビームの走査速度を変調することが可能となる。その結果、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができ、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0056】
走査速度変調回路は、入力された輝度信号に基づいて走査速度変調信号を生成する信号生成回路と、信号生成回路により生成された走査速度変調信号に基づいて第1および第2の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流を供給する第1および第2の電流供給回路とを含んでもよい。
【0057】
この場合、信号生成回路により入力された輝度信号に基づいて走査速度変調信号が生成され、第1および第2の電流供給回路により走査速度変調信号に基づく走査速度の変調のための電流が第1および第2の速度変調コイルに供給される。
【0058】
これにより、第1および第2の電流供給回路が第1および第2の速度変調コイルに印加すべき電圧を低減することができる。したがって、第1および第2の電流供給回路が高い周波数に追従することができる。これにより、輝度信号が高周波成分を含む場合でも、電子ビームの走査速度を変調することが可能となる。その結果、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができ、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0059】
第1および第2の速度変調コイルは、互いに並列に接続され、走査速度変調回路は、入力された輝度信号に基づいて走査速度変調信号を生成する信号生成回路と、信号生成回路により生成された走査速度変調信号に基づいて第1および第2の速度変調コイルに走査速度の変調のための電流を供給する電流供給回路とを含んでもよい。
【0060】
この場合、走査速度変調回路において、信号生成回路により入力された輝度信号に基づく走査速度変調信号が生成され、電流供給回路により走査速度変調信号に基づく電流が互いに並列に接続された第1および第2の速度変調コイルに供給される。第1および第2の速度変調コイルに走査速度変調信号に基づく電流が供給されることにより、走査速度の変調が行われる。
【0061】
特に、第1および第2の速度変調コイルが並列に設けられることにより、第1および第2の速度変調コイルの合成インダクタンスが小さくなるので、第1および第2の速度変調コイルに印加すべき電圧が低減できるとともに、第1および第2の速度変調コイルのカットオフ周波数を高めることができる。それにより、走査速度変調回路が高い周波数に追従することができる。その結果、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができ、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0062】
電子ビーム走査装置は、陰極線管と、陰極線管の電子ビームを水平方向に偏向させる水平偏向装置と、陰極線管の電子ビームを垂直方向に偏向させる垂直偏向装置とを含み、第1および第2の速度変調コイルは、電子ビームの水平方向の走査速度を変調するように配置されてもよい。
【0063】
この場合、陰極線管において、水平偏向装置により電子ビームが水平方向に偏向され、垂直偏向装置により電子ビームが垂直方向に偏向される。これにより、陰極線管の画面上に映像が表示される。また、第1および第2の速度変調コイルにより、電子ビームの水平方向の走査速度が変調される。これにより、映像の輪郭補正が行われる。したがって、輪郭の強調された映像を得ることができる。
【0064】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図11に基づき説明する。
【0065】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図であり、図2は図1の映像表示装置の動作を説明するための波形図である。
【0066】
第1の実施の形態に係る映像表示装置100は、輝度信号処理回路1、色差信号処理回路2、RGBマトリクス回路3、陰極線管(以下、CRTと略記する)ドライブ回路4、CRT5、複数の速度変調(以下、VMと略記する)コイル201 〜20n (nは2以上の整数)、複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n (nは2以上の整数)、水平偏向回路90、垂直偏向回路91、水平偏向コイル92および垂直偏向コイル93を備える。
【0067】
走査速度変調回路ブロック501 〜50n の各々は、位相補正回路11、微分回路12およびVMドライブ回路13を備え、VMコイル201 〜20n の各々と個別に接続されている。また、VMコイル201 〜20n 、水平偏向コイル92および垂直偏向コイル93は、CRT5に取り付けられている。
【0068】
なお、本実施の形態において、複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n の各々は同一の構成および性能を有し、複数のVMコイル201 〜20n の各々は同一のターン数を有する。
【0069】
輝度信号処理回路1および色差信号処理回路2は遅延回路(図示せず)を有する。
【0070】
図1の映像表示装置100において、輝度信号Y0が輝度信号処理回路1に入力され、色差信号C0が色差信号処理回路2に入力される。また、水平同期信号HSおよび垂直同期信号VSが水平偏向回路90に入力され、垂直同期信号VSが垂直偏向回路91に入力される。
【0071】
輝度信号処理回路1に入力された輝度信号Y0は、所定量遅延されるとともに映像を補正するための処理がなされ、処理された輝度信号Y0がRGBマトリクス回路3に与えられる。図2(a)に、処理された輝度信号Y0の波形の一例が示されている。
【0072】
色差信号処理回路2に入力された色差信号C0は、所定量遅延されるとともに映像を補正するための処理がなされ、RGBマトリクス回路3に与えられる。
【0073】
RGBマトリクス回路3では、輝度信号Y0および色差信号C0に基づいて赤色、緑色および青色の各々の輝度に対応した原色信号ER,EG,EBが生成される。生成された原色信号ER,EG,EBは、CRTドライブ回路4に与えられる。
【0074】
CRTドライブ回路4においては、RGBマトリクス回路3から与えられた原色信号ER,EG,EBが増幅される。図2(b)に、原色信号ERの波形の一例が示されている。CRT5においては、原色信号ER,EG,EBに基づく電子ビームが出射される。
【0075】
水平偏向回路90は、入力された水平同期信号HSおよび垂直同期信号VSに基づいて水平偏向電流HALを生成し、水平偏向コイル92に与える。これにより、水平偏向コイル92から水平偏向磁界が発生される。その結果、上記電子ビームが画面上で水平走査される。
【0076】
垂直偏向回路91は、入力された垂直同期信号VSに基づいて垂直偏向電流VALを生成し、垂直偏向コイル93に与える。これにより、垂直偏向コイル93から垂直偏向磁界が発生される。その結果、上記電子ビームが画面上で垂直走査される。それにより、CRT5の画面上に映像の表示が行われる。
【0077】
また、輝度信号処理回路1により処理された輝度信号Y0(図2(a))は、走査速度変調回路ブロック501 〜50n の位相補正回路11に与えられる。位相補正回路11では、輝度信号Y0の位相が補正される。補正された輝度信号Y0が微分回路12に与えられる。
【0078】
微分回路12では、輝度信号Y0が1次微分されて速度変調信号が生成される。生成された速度変調信号がVMドライブ回路13に与えられる。
【0079】
VMドライブ回路13では、微分回路12により生成された速度変調信号に基づいて速度変調電流VMIが出力される。図2(c)に、速度変調電流VMIの波形の一例が示されている。
【0080】
なお、図2(b),(c)に示すように、原色信号ERの立ち上がりエッジおよび立下りエッジと速度変調電流VMIのピーク位置およびボトム位置とが一致するように、輝度信号処理回路1における輝度信号Y0の遅延時間および色差信号処理回路2における色差信号C0の遅延時間が設定されている。
【0081】
走査速度変調回路ブロック501 〜50n のVMドライブ回路13から出力される速度変調電流VMIは、それぞれVMコイル201 〜20n に供給される。これにより、VMコイル201 〜20n から速度変調磁界が発生される。
【0082】
図2(d)に、水平偏向コイル92により発生される水平偏向磁界と図2(c)の速度変調電流VMIに基づいてVMコイル201 〜20n により発生される速度変調磁界とを合成した磁界MT1を示す。
【0083】
図2(d)によれば、水平偏向コイル92により発生される水平偏向磁界は図2(c)の速度変調電流VMIに対応してP点およびQ点において局部的に変化している。これにより、電子ビームの水平走査速度が局部的に変調される。
【0084】
その結果、CRT5の画面上の輝度分布は、輝度信号Y0の変化に応じて急峻に変化し、映像の輪郭補正が行われる。この場合のCRT5の画面上の輝度分布LU1が図2(e)に示されている。
【0085】
本実施の形態では、複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n および複数のVMコイル201 〜20n が設けられることにより、後述するように、輝度信号Y0の立ち上がりおよび立ち下がりが急峻な輪郭部分でも鮮明な輪郭の表示が行われる。
【0086】
ここで、VMコイルによる電子ビームの速度変調の程度をアンペアターン(VMコイルに流れる電流×VMコイルのターン数)で表す。
【0087】
n個のVMコイル201 〜20n を用いて所定のアンペアターンを実現する場合、VMコイル201 〜20n の各々のターン数を、1つのVMコイルを用いた場合に比べて1/nにすることができる。それにより、VMコイル201 〜20n の各々のインダクタンスを1/nにすることができる。
【0088】
例えば、4アンペアターンを実現する場合を考える。1つのVMコイルを用いる場合、そのVMコイルのターン数を4として1Ap−pの電流を供給する。これに対し、4つのVMコイルを用いる場合には、各VMコイルのターン数を1として1Ap−pの電流を供給する。これにより、4アンペアターンを実現することができる。
【0089】
このように、4つのVMコイルを用いる場合、1つのVMコイルを用いる場合に比べて、各VMコイルのターン数を1/4にすることができる。すなわち、各VMコイルのインダクタンスを1/4にすることができる。
【0090】
本実施の形態に係る映像表示装置100においては、複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n および複数のVMコイル201 〜20n が設けられることにより、上述のようにVMコイル201 〜20n の各々のインダクタンスを1/nに小さくすることができる。
【0091】
この場合、VMコイル201 〜20n の各々に印加すべき電圧が低減されるとともに、VMコイル201 〜20n の各々のカットオフ周波数が高められる。これにより、速度変調信号の周波数が高い場合でも、各VMドライブ回路13が速度変調信号の周波数に追従することができる。すなわち、VMコイル201〜20n の各々に供給する速度変調電流VMIが速度変調信号に追従することができる。したがって、速度変調機能の能力を低下させることなく、高い周波数領域においても電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる。その結果、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0092】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0093】
第2の実施の形態に係る映像表示装置100は、第1の実施の形態に係る複数のVMコイル201 〜20n に代えて、複数のVMコイル211 〜21n (nは2以上の整数)を備える点を除き第1の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0094】
VMコイル211 〜21n の各々のターン数はそれぞれ異なり、VMコイル21n のターン数はVMコイル21n−1 のターン数より少ない。図3においては、VMコイル211 〜21n 各々のターン数が斜線の本数により示されている。図3のVMコイル211 は3ターンであり、VMコイル21n は1ターンである。
【0095】
VMコイル211 〜21n の各々のインダクタンスは、VMコイル211 〜21n の各々のターン数に比例する。つまり、VMコイルのターン数が多いほど、そのVMコイルのインダクタンスは大きい。また、VMコイルのターン数が少ないほど、そのVMコイルのインダクタンスは小さい。
【0096】
本実施の形態に係る映像表示装置100においては、速度変調信号の周波数が低い場合には、ターン数が多いVMコイルにより速度変調が好適に行われ、速度変調信号の周波数が高い場合には、ターン数が少ないVMコイルにより速度変調が好適に行われる。したがって、種々の周波数領域において、電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となる。その結果、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することが可能となる。
【0097】
なお、すべてのVMコイル211 〜21n のターン数がそれぞれ異ならなくてもよく、VMコイル211 〜21n のうちの一部が同一のターン数を有してもよい。
【0098】
(第3の実施の形態)
図4は、第3の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0099】
第3の実施の形態に係る映像表示装置100は、第2の実施の形態に係る複数の微分回路12に代えて、複数の微分回路121 〜12n (nは2以上の整数)を備える点を除き第2の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0100】
微分回路121 〜12n は、それぞれ異なる微分周波数を有する。微分回路12n の微分周波数は、微分回路12n−1 の微分周波数よりも高い。
【0101】
すなわち、nが2の場合、微分回路121 は低い周波数の輝度信号Y0を1次微分するように設定され、微分回路122 は高い周波数の輝度信号Y0を1次微分するように設定される。
【0102】
微分回路121 〜12n を備える走査速度変調回路ブロック501 〜50nの各々は、第2の実施の形態と同様のVMコイル211 〜21n に接続される。この場合、より低い微分周波数を有する微分回路を備える走査速度変調回路ブロックがよりターン数の多いVMコイルに接続され、より高い微分周波数を有する微分回路を備える走査速度変調回路ブロックがよりターン数の少ないVMコイルに接続される。
【0103】
例えば、nが2の場合、微分周波数が低い微分回路121 を備える走査速度変調回路ブロック501 は、ターン数の多いVMコイル211 に接続される。
【0104】
また、微分周波数が高い微分回路122 を備える走査速度変調回路ブロック502 は、ターン数の少ないVMコイル212 と接続される。
【0105】
このように、微分周波数が低い微分回路とターン数の多いVMコイルとの組合せにより、低周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができ、微分周波数が高い微分回路とターン数の少ないVMコイルとの組合せにより、高周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができる。したがって、種々の周波数領域において電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となる。その結果、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することが可能となる。
【0106】
なお、すべての微分回路121 〜12n の微分周波数がそれぞれ異ならなくてもよく、微分回路121 〜12n のうちの一部が同一の微分周波数を有してもよい。
【0107】
(第4の実施の形態)
図5は、第4の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0108】
第4の実施の形態に係る映像表示装置100は、第3の実施の形態に係る複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n が各々ローパスフィルタ(以下、LPFと略記する)141 〜14n (nは2以上の整数)をさらに備える点を除き第3の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0109】
走査速度変調回路ブロック501 〜50n において、LPF141 〜14nは位相補正回路11の前段に設けられる。LPF141 〜14n のカットオフ周波数はそれぞれ異なる。より高い微分周波数を有する微分回路の前段に、より高いカットオフ周波数を有するLPFが接続される。より低い微分周波数を有する微分回路の前段に、より低いカットオフ周波数を有するLPFが接続される。これにより、微分回路121 〜12n の各々は、予め設定された周波数領域に応じた周波数の輝度信号Y0を1次微分することができる。
【0110】
例えば、nが2の場合、LPF141 のカットオフ周波数は、LPF142 のカットオフ周波数よりも低い。それにより、LPF141 を通過する低い周波数の輝度信号Y0は微分周波数の低い微分回路121 へ与えられる。これにより、微分回路121 では、低い周波数を有する輝度信号Y0の1次微分が行われる。
【0111】
一方、LPF142 を通過する高い周波数の輝度信号Y0は微分周波数の高い微分回路122 へ与えられる。これにより、微分回路122 では、高い周波数を有する輝度信号Y0の1次微分が行われる。
【0112】
カットオフ周波数の低いLPF141 および微分周波数の低い微分回路121を備える走査速度変調回路ブロック501 は、ターン数の多いVMコイル211に接続される。
【0113】
また、カットオフ周波数の高いLPF142 および微分周波数の高い微分回路122 を備える走査速度変調回路ブロック502 は、ターン数の少ないVMコイル212 に接続される。
【0114】
このように、カットオフ周波数の低いLPFおよび微分周波数の低い微分回路とターン数の多いVMコイルとの組合せにより、低周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができ、カットオフ周波数の高いLPFおよび微分周波数の高い微分回路とターン数の少ないVMコイルとの組合せにより、高周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができる。したがって、LPF141 〜14n と微分回路121 〜12n と走査速度変調回路ブロック501〜50n との組み合わせより、非常に多くの周波数領域において電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、輝度信号の周波数に応じた詳細な輪郭補正が可能となる。その結果、非常に多くの周波数成分を有する映像を鮮明に表示することが可能となる。
【0115】
なお、すべてのLPF141 〜14n のカットオフ周波数がそれぞれ異ならなくてもよく、LPF141 〜14n のうちの一部が同一のカットオフ周波数を有してもよい。
【0116】
(第5の実施の形態)
図6は、第5の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0117】
第5の実施の形態に係る映像表示装置100は、第3の実施の形態に係る複数の微分回路121 〜12n に代えて1次微分回路151 〜n次微分回路15nを備える点を除き第3の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0118】
1次微分回路151 は与えられる輝度信号Y0の1次微分を行い、n次微分回路15n は与えられる輝度信号Y0のn次微分を行う。ここで、nは2以上の整数である。
【0119】
例えば、nが2の場合、1次微分回路151 は位相補正回路11より与えられる輝度信号Y0の1次微分を行い、2次微分回路152 は位相補正回路11より与えられる輝度信号Y0の2次微分を行う。
【0120】
1次微分回路151 〜n次微分回路15n を備える走査速度変調回路ブロック501 〜50n は、第2の実施の形態と同様のVMコイル211 〜21n にそれぞれ接続される。
【0121】
ここで、nが2である場合の映像表示装置100の構成および動作について、図7および図8に基づき説明する。
【0122】
図7は、2つの走査速度変調回路ブロックが設けられた第5の実施の形態に係る映像表示装置の一例を示すブロック図である。図8は、図7の走査速度変調回路ブロックに与えられる輝度信号、走査速度変調回路ブロックよりVMコイルへ供給される速度変調電流および複数のVMコイルにより発生される速度変調磁界の波形を示す模式図である。
【0123】
nが2の場合、映像表示装置100は2つの走査速度変調回路ブロック501,502 を備える。
【0124】
走査速度変調回路ブロック501 ,502 において、各々の位相補正回路11には輝度信号処理回路1から図8(a)に示される輝度信号Y0が入力される。
【0125】
走査速度変調回路ブロック501 において、位相補正回路11から1次微分回路151 に与えられる輝度信号Y0は、1次微分回路151 により1次微分され、速度変調信号が生成される。VMドライブ回路13は生成された速度変調信号に基づいて図8(b)の一点鎖線で示される速度変調電流VMI1をVMコイル211 へ供給する。これにより、VMコイル211 は速度変調磁界M1を発生する。
【0126】
走査速度変調回路ブロック502 において、位相補正回路11から2次微分回路152 に与えられる輝度信号Y0は、2次微分回路152 により2次微分され、速度変調信号が生成される。VMドライブ回路13は生成された速度変調信号に基づいて図8(b)の破線で示される速度変調電流VMI2をVMコイル212 へ供給する。これにより、VMコイル212 は速度変調磁界M2を発生する。
【0127】
図8(c)にVMコイル211 による速度変調磁界M1の波形の一例が一点鎖線により示され、VMコイル212 による速度変調磁界M2の波形の一例が一点鎖線により示され、速度変調磁界M1と速度変調磁界M2とを合成した場合の速度変調磁界M12の一例が実線により示されている。
【0128】
図8(c)によれば、速度変調磁界M1と速度変調磁界M2とを合成した速度変調磁界M12の波形においては、速度変調磁界M1に比べて、立ち上がりおよび立下り時間が短くなっている。この場合、速度変調の立ち上がりおよび立下りをより急峻に行うことができるので、映像の輪郭補正がより強力に行なわれる。
【0129】
ところで、図6の映像表示装置100において、輝度信号Y0に対しn次微分が行われる場合、それにより生成される速度変調信号の周波数は、nが大きくなるにつれて高くなる。
【0130】
そこで、本実施の形態においては、より高次の微分回路を有する走査速度変調回路ブロックがより少ないターン数を有するVMコイルに接続され、より低次の微分回路を有する走査速度変調回路ブロックがより多いターン数を有するVMコイルに接続される。それにより、より高次の微分回路に接続されるVMドライブ回路がより高い周波数の速度変調信号に追従することができ、より低次の微分回路に接続されるVMドライブ回路がより低い周波数の速度変調信号に追従することができる。
【0131】
図7によれば、1次微分回路151 を備える走査速度変調回路ブロック501は、ターン数の多いVMコイル211 に接続されており、2次微分回路152 を備える走査速度変調回路ブロック502 は、ターン数の少ないVMコイル212 に接続されている。この場合、VMコイル212 のターン数が少ないので、VMドライブ回路13が高い周波数を有する速度変調信号に追従することができる。
【0132】
このように、低次の微分回路とターン数の多いVMコイルとの組合せにより、低周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができ、高次の微分回路とターン数の少ないVMコイルとの組合せにより、高周波領域における電子ビームの走査速度変調を行うことができる。したがって、種々の周波数領域において、電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、輝度信号の周波数に応じた強力な輪郭補正が可能となる。その結果、種々の周波数成分を有する映像を鮮明に表示することが可能となる。
【0133】
なお、1次微分回路151 〜n次微分回路15n のうちの全てがそれぞれ異なる次数の微分を行わなくてもよく、1次微分回路151 〜n次微分回路15nのうちの一部が同一の次数の微分を行ってもよい。
【0134】
(第6の実施の形態)
図9は、第6の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【0135】
第6の実施の形態に係る映像表示装置100は、第1の実施の形態に係る複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n に代えて2つのVMドライブ回路13a,13bを有する1つの走査速度変調回路ブロック50を備える点および第1の実施の形態に係る複数のVMコイル201 〜20n に代えて1対のVMコイル22a,22bを備える点を除き第1の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0136】
本実施の形態に係る走査速度変調回路ブロック50においては、微分回路12により生成された速度変調信号が2つのVMドライブ回路13a,13bへ与えられる。
【0137】
VMコイル22a,22bの各々はサドル型コイルにより構成され、一方のサドル型コイルおよび他方のサドル型コイルがそれぞれCRT5の上部および下部に互いに対向するように取り付けられる。また、VMコイル22a,22bのターン数は同じである。
【0138】
VMドライブ回路13aはVMコイル22aに接続されており、速度変調信号に基づく速度変調電流VMIをVMコイル22aへ供給する。また、VMドライブ回路13bはVMコイル22bに接続されており、速度変調信号に基づく速度変調電流VMIをVMコイル22bへ供給する。
【0139】
この場合、VMコイル22a,22bの各々により発生される速度変調磁界は、従来の1個のVMコイルを用いた場合における速度変調磁界に比べて半分にすることができる。したがって、従来の1個のVMコイルを用いた場合に得られる速度変調磁界を確保しつつ、VMコイル22a,22bの各々のインダクタンスを1/2とすることができる。
【0140】
本実施の形態に係る映像表示装置100においては、2つのVMドライブ回路13a,13bおよび1対のVMコイル22a,22bが設けられることにより、上述のようにVMコイル22a,22bの各々のインダクタンスを1/2に小さくすることができる。これにより、速度変調信号の周波数が高い場合でも、各VMドライブ回路13a,13bが速度変調信号の周波数に追従することができる。すなわち、VMコイル22a,22bの各々に供給する速度変調電流VMIが速度変調信号に追従することができる。したがって、高い周波数領域においても電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる。その結果、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0141】
(第7の実施の形態)
図10は、第7の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図であり、図11は図10の速度変調コイルの形状および構成を示す模式図である。
【0142】
第7の実施の形態に係る映像表示装置100は、第1の実施の形態に係る複数の走査速度変調回路ブロック501 〜50n に代えて1つの走査速度変調回路ブロック50を備える点および第1の実施の形態に係る複数のVMコイル201〜20n に代えて1対のVMコイル23a,23bを備える点を除き第1の実施の形態に係る映像表示装置100と同様の構成を有する。
【0143】
図11(a)に示すように、VMコイル22aとVMコイル23bとは並列に接続されている。それにより、VMコイル23a,23bの合成インダクタンスは、1つのVMコイルのインダクタンスの1/2となる。
【0144】
VMコイル23a,23bを等価回路で表すと、図11(b)のようになる。なお、図11(b)において、各VMコイル23a,23bは1ターンを有するように表されているが、実際には数ターンを有する。また、本実施の形態において、上部のVMコイル23aおよび下部のVMコイル23bのターン数は同一である。VMドライブ回路13は、並列に接続されたVMコイル23a,23bに接続されている。
【0145】
走査速度変調回路ブロック50のVMドライブ回路13からVMコイル23a,23bへ速度変調電流VMIが供給されると、VMコイル23a,23bから速度変調磁界が発生され、電子ビームの速度変調が行われる。
【0146】
本実施の形態に係る映像表示装置100においては、上部のVMコイル23aおよび下部のVMコイル23bが並列に接続されることにより、上述のようにVMコイル23a,23bの合成インダクタンスが従来の1つのVMコイルを用いた場合の1/2となる。これにより、速度変調信号の周波数が高い場合でも、VMドライブ回路13が速度変調信号の周波数に追従することができる。すなわち、VMコイル23a,23bに供給する速度変調電流VMIが速度変調信号に追従することができる。したがって、高い周波数領域においても電子ビームの水平走査速度を変調することが可能となり、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる。その結果、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【0147】
以上、第1〜第7の実施の形態において、輝度信号処理回路1、色差信号処理回路2、RGBマトリクス回路3、CRTドライブ回路4、CRT5、水平偏向回路90、垂直偏向回路91、水平偏向コイル92および垂直偏向コイル93により構成される装置が電子ビーム走査装置に相当し、VMコイル201 〜20n,211 〜21n ,22a,22b,23が速度変調コイルに相当し、走査速度変調回路ブロック50,501 〜50n が速度変調回路に相当する。
【0148】
また、微分回路12,121 〜12n および1次微分回路151 〜n次微分回路15n が微分回路に相当し、LPF141 〜14n が低域通過フィルタに相当し、CRT5が陰極線管に相当し、水平偏向回路90および水平偏向コイル92が水平偏向装置に相当し、垂直偏向回路91および垂直偏向コイル93が垂直偏向装置に相当する。
【0149】
さらに、VMコイル22a,22bが第1および第2の速度変調コイルに相当し、第6の実施の形態に係るVMドライブ回路13a,13bが第1および第2の電流供給回路に相当し、微分回路12が信号生成回路に相当し、第7の実施の形態に係る走査速度変調回路ブロック50のVMドライブ回路13が電流供給回路に相当する。
【0150】
【発明の効果】
本発明に係る映像表示装置においては、電子ビーム走査装置により、入力された輝度信号に応じた電子ビームが画面上に走査され、画面上に輝度分布が生じることにより、映像が表示される。また、複数の走査速度変調回路により複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流が供給される。それにより、複数の速度変調コイルからそれぞれ変調磁界が発生され、電子ビームの走査速度が変調される。
【0151】
この場合、複数の速度変調コイルが設けられることにより、各速度変調コイルのインダクタンスを小さくすることができるので、各速度変調コイルに印加すべき電圧を低減することができるとともに、各速度変調コイルのカットオフ周波数を高めることができる。それにより、各走査速度変調回路が高い周波数に追従することができる。
【0152】
したがって、輝度信号が高周波成分を含む場合でも、速度変調機能の能力を低下させることなく、高い周波数領域においても電子ビームの走査速度を変調することが可能となり、高周波成分を含む映像の輪郭補正を行うことができる。その結果、高い周波数成分を有する映像を鮮明に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図2】図1の映像表示装置の動作を説明するための波形図
【図3】第2の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図4】第3の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図5】第4の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図6】第5の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図7】2つの走査速度変調回路ブロックが設けられた第5の実施の形態に係る映像表示装置の一例を示すブロック図
【図8】図7の走査速度変調回路ブロックに与えられる輝度信号、走査速度変調回路ブロックよりVMコイルへ供給される速度変調電流および複数のVMコイルにより発生される速度変調磁界の波形を示す模式図
【図9】第6の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図10】第7の実施の形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図
【図11】図10の速度変調コイルの形状および構成を示す模式図
【図12】速度変調用信号発生回路の構成を示すブロック図
【図13】図12の速度変調コイルの形状および構成を示す模式図
【図14】図12の速度変調用信号発生回路の動作を説明するための波形図
【符号の説明】
1 輝度信号処理回路
2 色差信号処理回路
3 RGBマトリクス回路
4 CRTドライブ回路
5 CRT
12,121 〜12n 微分回路
13,13a,13b VMドライブ回路
50,501 〜50n 走査速度変調回路ブロック
90 水平偏向回路
91 垂直偏向回路
92 水平偏向コイル
93 垂直偏向コイル
141 〜14n LPF
151 1次微分回路
15n n次微分回路
201 〜20n ,211 〜21n ,22a,22b,23 VMコイル
Claims (12)
- 入力された輝度信号に応じた電子ビームを画面上に走査させることにより画面上に輝度分布を生じさせて映像を表示する電子ビーム走査装置と、
前記電子ビーム走査装置に設けられ、前記電子ビームの走査速度を変調するための変調磁界を発生する複数の速度変調コイルと、
前記入力された輝度信号に基づいて前記複数の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流を供給する複数の走査速度変調回路とを備えたことを特徴とする映像表示装置。 - 前記複数の速度変調コイルは、同一のターン数を有することを特徴とする請求項1記載の映像表示装置。
- 前記複数の走査速度変調回路の各々は、前記輝度信号を微分する微分回路を含むことを特徴とする請求項2記載の映像表示装置。
- 前記複数の速度変調コイルは、異なるターン数を有することを特徴とする請求項1記載の映像表示装置。
- 前記複数の走査速度変調回路の各々は、前記輝度信号を微分する微分回路を含み、
前記複数の走査速度変調回路の前記微分回路は、異なる微分周波数を有し、
より低い微分周波数を有する微分回路がより多いターン数を有する速度変調コイルに組み合わされるように、前記複数の走査速度変調回路が前記複数の速度変調コイルに接続されたことを特徴とする請求項4記載の映像表示装置。 - 前記複数の走査速度変調回路は、前記微分回路の前段に低域通過フィルタをさらに含み、
前記複数の走査速度変調回路の前記低域通過フィルタは、異なるカットオフ周波数を有し、
より低いカットオフ周波数を有する低域通過フィルタがより低い微分周波数を有する微分回路に組み合わされるように、前記複数の走査速度変調回路の前記低域通過フィルタのカットオフ周波数が設定されたことを特徴とする請求項5記載の映像表示装置。 - 前記複数の走査速度変調回路は、前記輝度信号にそれぞれ異なる次数の微分を行う微分回路を含み、
より低い次数の微分を行う微分回路がより多いターン数を有する速度変調コイルに組み合わされるように、前記複数の走査速度変調回路が前記複数の速度変調コイルに接続されたことを特徴とする請求項4記載の映像表示装置。 - 前記電子ビーム走査装置は、
陰極線管と、
前記陰極線管の電子ビームを水平方向に偏向させる水平偏向装置と、
前記陰極線管の電子ビームを垂直方向に偏向させる垂直偏向装置とを含み、
前記複数の速度変調コイルは、電子ビームの水平方向の走査速度を変調するように配置されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の映像表示装置。 - 入力された輝度信号に応じた電子ビームを画面上に走査させることにより画面上に輝度分布を生じさせて映像を表示する電子ビーム走査装置と、
互いに対向するように前記電子ビーム走査装置に設けられ、前記電子ビームの走査速度を変調するための変調磁界を発生するサドル型の第1および第2の速度変調コイルと、
前記入力された輝度信号に基づいて前記第1および第2の速度変調コイルに走査速度の変調のための電流を供給する走査速度変調回路とを備えたことを特徴とする映像表示装置。 - 前記走査速度変調回路は、
前記入力された輝度信号に基づいて走査速度変調信号を生成する信号生成回路と、
前記信号生成回路により生成された走査速度変調信号に基づいて前記第1および第2の速度変調コイルにそれぞれ走査速度の変調のための電流を供給する第1および第2の電流供給回路とを含むことを特徴とする請求項9記載の映像表示装置。 - 前記第1および第2の速度変調コイルは、互いに並列に接続され、
前記走査速度変調回路は、
前記入力された輝度信号に基づいて走査速度変調信号を生成する信号生成回路と、
前記信号生成回路により生成された走査速度変調信号に基づいて前記第1および第2の速度変調コイルに走査速度の変調のための電流を供給する電流供給回路とを含むことを特徴とする請求項9記載の映像表示装置。 - 前記電子ビーム走査装置は、
陰極線管と、
前記陰極線管の電子ビームを水平方向に偏向させる水平偏向装置と、
前記陰極線管の電子ビームを垂直方向に偏向させる垂直偏向装置とを含み、
前記第1および第2の速度変調コイルは、電子ビームの水平方向の走査速度を変調するように配置されたことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の映像表示装置。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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