JP2004296961A - 熱電素子とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】工場や発電所あるいは自動車などのパイプ状の熱交換機を利用した廃熱発電や、センサ素子を収納しているCANの外周部からの冷却などに熱効率よく対応できるよう、曲面部分など均一な平面でない表面に形状的に良好に装着できる熱電素子の構造と製造方法を提供する。
【解決手段】複数のn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とをその間隙には絶縁スペーサを介して固定し、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の両端面と絶縁スペーサで構成する配線面には、隣り合ったn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを電気的に交互に接続する配線電極とを有し、少なくとも一つの配線面は曲面である熱電素子を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とをその間隙には絶縁スペーサを介して固定し、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の両端面と絶縁スペーサで構成する配線面には、隣り合ったn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを電気的に交互に接続する配線電極とを有し、少なくとも一つの配線面は曲面である熱電素子を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は温度差発電や冷却に用いる熱電素子の構造と製造方法に関するものであり、特に曲面や角度を持つ部分への設置に有効な素子構造とそれを実現するための製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱電対はその両端に温度差を与えることにより電極間に電圧を発生し、反対に電極から電流を流すと温度差を生じる性質を持ち、この熱・電気変換特性を利用して作られているのが熱電素子である。
【0003】
熱電素子は熱を電気エネルギーに変換できる方法として発電素子に、あるいは電気エネルギーで対象物を冷やしたりする冷却素子に応用される。
【0004】ところで熱電素子は構造やその動作が簡単なため、既存のシステムの構成を大きく変えずに、熱電素子を付加することだけで発電や温度制御が行え、いろいろな場所への導入が期待されている。
【0005】
たとえば、廃熱を利用した発電素子である。現在、発電所や工場、自動車などの運輸関係、民間での燃料消費機器など様々な場所で、大量の熱が生まれている。この熱を再利用するために熱電素子を利用した発電は、大変利用しやすいシステムである。
【0006】
熱電素子として発電あるいは冷却に使われている半導体材料の中でもっとも一般的なのはビスマス(Bi)とテルル(Te)を主成分にしたいわゆるBiTe合金である。この材料は室温近辺で現在もっとも性能が良いため各所で多用されている。BiTe合金は添加物によりp型とn型の極性を有するものがあるが、熱電素子では両者を柱状に成形し、端部を電気的に交互に複数接続して構成されている。
従来の熱電素子の構造と製造方法は、たとえば、セラミック製の二枚の平板状の基板には所定のパターンにて金属膜電極が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。複数のp型とn型の熱電半導体は柱状に加工され半田層を介して二枚の金属膜電極に接合する。このときp型とn型の熱電半導体は交互にならび、複数の熱電対が直列化した構成となっている。そして最後に片側の基板には二本のリード線が取り付けられる。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−205081号公報 (第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1での構造は基本的な構成であり、古くから提案され、現在では一般に商業的にも用いられる、熱電素子の安定した構造を提供しているものである。しかしながら、素子の用途によっては従来構造での対応が難しいところもある。
【0009】
たとえば先に説明した廃熱利用の発電に熱電素子を用いる場合、熱源が必ずしも平滑な板状の構成部分があるとは限らない。内燃機関からの高熱ガスの排出部分、あるいは熱を奪った後の冷却水の道管などから熱を得ようとする場合、熱源は主にパイプ内を移動しているため、熱電素子の取り付け部分は曲面となる。ヒートパイプを利用して間接的に熱を取り出そうとしても、やはり取り付け部は曲面である。
【0010】
あるいは熱電素子を用いたレーザダイオード、フォトダイオード、各種センサなどの冷却や温調はよく行われるが、これらは円筒状のCANに搭載されていることが多い。CANの内部に熱電素子を入れることが多いが、CANが小さくなった場合、あるいは簡単に取り付けたいなどの場合には、CANの外側に取り付けるのが簡単である。この場合も、熱電素子の取り付け場所は曲面である。
【0011】
以上のように円筒の外周面のような平面で無いところに従来の熱電素子を取り付ける場合、従来の素子の基板は平面であるので大きな隙間が生じてしまう。その為隙間を埋めるべく、熱伝導性樹脂などを大量に入れる必要がある。
【0012】
そのような実装形態をとることにより、従来の熱電素子と曲面とのあいだでは熱伝達効率が非常に悪くなるとともに、固定自体が難しく、角度や厚みのばらつきが大きくなってしまうという問題があった。さらに、熱伝導性樹脂が厚すぎると、硬化時の応力が基板に影響を与えたり、熱膨張で剥がれやすくなるなどの問題も抱えている。
【0013】
そこで本発明の目的は上記の問題を解決し、曲面など異形の表面を有した熱源にも形状的に良好に対応できる熱電素子の構造と製造方法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の熱電素子の構造および製造方法においては下記に記載する手段を採用する。
【0015】
すなわち本発明の熱電素子は、複数のn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子と、その間隙に設けられる絶縁スペーサと、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の両端面と絶縁スペーサで構成する配線面には、隣り合ったn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを電気的に交互に接続する配線電極とを有し、少なくとも一つの配線面が曲面を有していることを特徴とする。
【0016】
または複数のn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子と、その間隙に設けられる絶縁スペーサと、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の両端面と絶縁スペーサで構成する配線面には、隣り合ったn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを電気的に交互に接続する配線電極とを有し、少なくとも一つの配線面は二つ以上の平面からなる構造であることを特徴とする。
【0017】
また製造方法は、複数のn型熱電半導体素子とp型熱電電半導体素子とを絶縁スペーサを介して固定する工程と、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の両端面部を加工して曲面を有する配線面を少なくとも一つ形成する工程と、配線面には配線電極を形成してn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを接続すると工程とを有することを特徴とする。
【0018】
さらには複数のn型熱電半導体素子とp型熱電電半導体素子とを絶縁スペーサを介して固定する工程と、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の両端面部を加工して複数の平面を組み合わせた形状の配線面を形成する工程と、配線面には配線電極を形成してn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを接続すると工程とを有することを特徴とする。
【0019】
〔作用〕
本発明の熱電素子は、配線面自体が曲面構造をしていることから、円筒状の熱源などにほとんど隙間無く装着することが可能であり、装着面との熱伝達効率を高い状態で保てる。また、装着に大量のスペーサ材が必要ないことから、固定がしやすい。
【0020】
また接着に熱伝導性樹脂などを用いても薄くすむことから、応力や熱膨張の影響も小さいことから、信頼性にすぐれている。
【0021】
さらに基板を利用していないことから、基板を通過する熱抵抗の影響もなく熱伝導効率はさらに高い。
【0022】
あるいは本発明の熱電素子は、配線面が二つ以上の平面から構成されていることから、熱源が単なる平面でなく角を持った面にも対応でき、上記の熱伝達効率、装着の容易性、信頼性などに優れた素子である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の熱電素子の構造および製造方法おける最適な実施形態を説明する。
【0024】
図1に示すように本発明の熱電素子には、まず柱状のn型熱電半導体素子10と柱状のp型熱電半導体素子11が交互に規則的に配置している。ここではn型熱電半導体素子10にBiSeTe合金を、p型熱電半導体素子11にはBiSbTe合金をそれぞれ用いている。
【0025】
n型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11の柱の側面を電気的に絶縁しさらに両者を固定するために、それぞれの素子の間隙にはエポキシ系接着剤からなる絶縁スペーサ20を設けている。
【0026】
n型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11はその両端部を面加工し、絶縁スペーサ20と合わせて配線面15を形成している。そして配線面15は全体として曲面形状をしている。また柱の反対側の端部も配線面15を形成しているが、こちらは端部が揃えられた平面になっている。
【0027】
二つの配線面15には金属膜からなる配線電極30が設けられている。配線電極30は隣り合ったn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11を電気的に接続している。二つの配線面15での配線電極30は1ピッチずつずれた配置になっていることから、すべての半導体素子は交互に直列化した構造となる。ここでは配線電極30にはニッケル/銅/金の三層膜を用いている。
【0028】
以上が本発明の熱電素子の基本的な構造であるが、実際に温度差発電などに利用する場合の実装形態について説明する。図2にその構造を示す。
【0029】
すでに説明した本発明の熱電素子は断面が楕円状をした熱源40にその曲面状の配線面15側で接触している。熱源40と配線面15との間にはアルミナなどのセラミック粒子を混合したエポキシ系接着剤からなる絶縁性の熱伝導性樹脂50を介在させ、両者の熱伝導性を保ちつつ接着する。また、反対面の平滑な配線面15にはヒートシンク60がやはり熱伝導性樹脂50を用いて接合されている。
【0030】
これによって熱電素子に含まれるn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11の柱の上下には温度差が生じ、発生する熱起電力により発電が行われる。ここで、発電した電力は連続した熱電素子の両端部に位置する配線電極30からリード線70をもちいて取り出すことが出来る。リード線70の接合には半田や導電性接着剤などの接合部材80を用いている。
【0031】
続いて本発明の熱電素子の製造方法について説明する。はじめに、図3に示すようにn型熱電半導体とp型熱電半導体とに縦溝1を形成し、縦隔壁2を残してn型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4を作製する。この時、n型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4とで、縦溝1のピッチを同一にし、かつ一方のブロックの縦溝1幅が他方のブロックの縦隔壁2幅よりも大きくなるようにする。ここではn型熱電半導体としてBiSeTe合金の焼結体、p型熱電半導体としてBiSbTe合金の焼結体を用いた。
【0032】
この縦溝1の幅への制限は、後述の工程でn型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4を溝同士で嵌め合わせるために設定してある。この縦溝1幅と縦隔壁2幅の差が後工程で絶縁スペーサの幅を決定するため、確実に絶縁をとることと、嵌め合わせの工程での作業性を考慮すると、縦溝1幅と縦隔壁2幅との差は10μm以上あることが好ましい。なお、縦溝1の加工はワイヤーソーによる研磨加工あるいはダイシングソーによる研削加工により行う。
【0033】
つづいてn型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4を、互いに縦溝1に相手の縦隔壁2を挿入し合って組み合わせて一体化する。両者を組み合わせた構造を図4に示す。組み合わせた2つの櫛歯素子は嵌合部に絶縁スペーサ20を設けて固着することで一体化する。流動性の高い絶縁性接着剤中に組み合わせた櫛歯素子を部分的に浸漬し、毛管現象により接着剤を縦溝1と縦隔壁2との隙間に充填すれば絶縁を保ちつつ絶縁スペーサ20で固着が行える。ここで絶縁スペーサ20に用いる接着剤としては低粘度のエポキシ系の接着剤を用いることとする。
【0034】
このあと図には示していないが必要に応じて縦溝1と直交するように横溝の加工を行う。横溝の加工はワイヤーソーを用いた研磨工程で行い、溝幅は縦溝1と異なり出来るだけ狭い方が望ましい。横溝にもエポキシ樹脂を充填し硬化させ、絶縁スペーサ20を形成する。前述の縦溝1加工後に組み合わせた状態ですでにn型熱電半導体とp型熱電半導体は交互に並んだ構造になっているが、横溝加工を行うことでさらに柱を細くし、柱の本数を増やすことが可能である。
【0035】
絶縁スペーサ20で固めた2つの熱電半導体はその上下面を研削で除去し、n型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11の柱の端面と絶縁スペーサ20を出現させ配線面15を形成する。図5に研削後の素子を示している。図5から明らかなように、配線面15の片面は曲面構造をしており、反対の配線面15は平滑面である。平滑面は当然ながら通常の平滑な研削砥石を用いて加工は行う。曲面の加工は先端が球状の砥石を用いて行う、あるいは円筒状のフライス加工用のバイトを熱電半導体の柱に対して斜めに傾けて加工を行うなどにより実現することが出来る。こののち、特に高い信頼性が必要な場合は、研削面の加工変質層を除去する意味で硝酸や塩酸などのエッチング液をもちいて、加工面を数ミクロンエッチングした方がよい。
【0036】
つづいてn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11との配線を行う。30μmほどの厚みの柔軟なニッケル板に開口部を設け、開口部から隣り合ったn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11の端面が見えるように配線面15に沿って位置合わせを行い密着固定する。真空蒸着装置に設置し、ニッケルあるいはパラジウムを100nm蒸着する。この方法は一般にマスク蒸着法と呼ばれるものである。ここで蒸着層は隣り合った2本の熱電半導体素子端面をすべて覆う必要はなく、2本が電気的に接続できる形状なら多少小さくても良い。
【0037】
蒸着工程につづいて無電解ニッケルメッキ液に浸漬し、ニッケルの皮膜を形成する。ニッケル皮膜は蒸着によって形成したニッケルあるいはパラジウムを反応の核として成長することから、蒸着層の上にまず形成される。また、蒸着金属はn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11にも形成されているため、棒状素子の露出している端面にもニッケル皮膜は形成される。無電解メッキだけで十分なメッキ厚が確保できない場合は、さらに電解ニッケルメッキを行うが、総厚としてニッケルメッキの厚みは数μmである。
【0038】
ニッケル膜は熱電半導体との密着をとるためと不純物の拡散を防ぐために施すが、ニッケルメッキだけでは比抵抗がやや大きいため、さらに配線抵抗を下げるためにニッケルメッキにつづいて銅メッキを行う。銅メッキは無電解メッキが難しいことから、電解メッキを利用する。銅メッキは必要に応じて数μmから数10μmの厚みで形成する。
【0039】
銅メッキにつづいてやはり電解メッキ法を用いて金メッキを行う。金膜は銅を腐食から守る意味と、先に説明したリード線を半田付け出来るようにあるので、それほど厚みは必要なく1μmほどでよい。以上の工程により図1に見られる本発明の熱電素子は完成する。ただし、このままでは配線電極30がむき出しのため、取り扱いのさらなる安全性を配慮すると、配線面15には薄い絶縁樹脂膜や無機酸化物膜などをコ−ティングするとなお良い。
【0040】
以上の説明では本発明の熱電素子は一つの配線面15が曲面構造をしているが、上下二つの配線面15とも曲面構造をしていても良い。その素子構造を図6に示している。本素子もn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11と絶縁スペーサ20と配線電極30から構成されている。そして、片方の配線面15は凹面に反対の配線面15は凸面の曲面になっている。
【0041】
この構造の素子も同様に曲面を持つ熱源への良好な熱接触が可能であるが、さらに熱電半導体素子の長さがそろっていることから、熱電半導体素子間での抵抗値の違いがないので、温度分布等が生じにくく性能的に有利となる。
【0042】
あるいは上記の説明では少なくとも一つの配線面15が曲面をしているが、複数の平面からなる構造でも良い。その素子構造を図7に示している。本素子もn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11と絶縁スペーサ20と配線電極30から構成されている。そして、片方の配線面15は二つの平面からなるV字の構造に加工されている。この構造の素子では角を持った様な異形な平面にも装着が可能となる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の熱電素子は、配線面自体が曲面構造をしていることから、円筒状の熱源などにほとんど隙間無く装着することが可能であり、装着面との熱伝達効率を高い状態で保てる。また従来のような基板も利用していないことから、基板を通過する熱抵抗の影響もなく熱伝導効率はさらに高い。
【0044】
また接着に熱伝導性樹脂などを用いても大量の樹脂が必要なく、薄くすむことから固定がしやすい上、応力や熱膨張の影響も小さくなり信頼性にすぐれている。
【0045】
あるいは本発明の熱電素子は、配線面が二つ以上の平面から構成されていることから、熱源が単なる平面でなく角を持った面にも対応でき、上記の熱伝達効率、装着の容易性、信頼性などに優れた素子である。
【0046】
以上のように本発明の熱電素子は、均一な平面を持たない異形の表面を持った熱源に熱伝導良く、さらには信頼性高く装着できることから、工場のパイプライン、発電所の冷却管、自動車の排ガス管などに直接装着することで、様々な廃熱を利用した発電にすぐに対応が出来る。またはセンサ素子を収納しているCANの外周部からの冷却素子としても装着がしやすく、従来の熱電素子の利用範囲をさらに大きく広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における熱電素子の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における熱電素子の実装構造を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工程を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における異なる熱電素子の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における異なる熱電素子の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 縦溝
2 縦隔壁
3 n型櫛歯素子
4 p型櫛歯素子
10 n型熱電半導体素子
11 p型熱電半導体素子
15 配線面
20 絶縁スペーサ
30 配線電極
40 熱源
50 熱伝導性樹脂
60 ヒートシンク
70 リード線
80 接合部材
【発明の属する技術分野】
この発明は温度差発電や冷却に用いる熱電素子の構造と製造方法に関するものであり、特に曲面や角度を持つ部分への設置に有効な素子構造とそれを実現するための製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱電対はその両端に温度差を与えることにより電極間に電圧を発生し、反対に電極から電流を流すと温度差を生じる性質を持ち、この熱・電気変換特性を利用して作られているのが熱電素子である。
【0003】
熱電素子は熱を電気エネルギーに変換できる方法として発電素子に、あるいは電気エネルギーで対象物を冷やしたりする冷却素子に応用される。
【0004】ところで熱電素子は構造やその動作が簡単なため、既存のシステムの構成を大きく変えずに、熱電素子を付加することだけで発電や温度制御が行え、いろいろな場所への導入が期待されている。
【0005】
たとえば、廃熱を利用した発電素子である。現在、発電所や工場、自動車などの運輸関係、民間での燃料消費機器など様々な場所で、大量の熱が生まれている。この熱を再利用するために熱電素子を利用した発電は、大変利用しやすいシステムである。
【0006】
熱電素子として発電あるいは冷却に使われている半導体材料の中でもっとも一般的なのはビスマス(Bi)とテルル(Te)を主成分にしたいわゆるBiTe合金である。この材料は室温近辺で現在もっとも性能が良いため各所で多用されている。BiTe合金は添加物によりp型とn型の極性を有するものがあるが、熱電素子では両者を柱状に成形し、端部を電気的に交互に複数接続して構成されている。
従来の熱電素子の構造と製造方法は、たとえば、セラミック製の二枚の平板状の基板には所定のパターンにて金属膜電極が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。複数のp型とn型の熱電半導体は柱状に加工され半田層を介して二枚の金属膜電極に接合する。このときp型とn型の熱電半導体は交互にならび、複数の熱電対が直列化した構成となっている。そして最後に片側の基板には二本のリード線が取り付けられる。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−205081号公報 (第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1での構造は基本的な構成であり、古くから提案され、現在では一般に商業的にも用いられる、熱電素子の安定した構造を提供しているものである。しかしながら、素子の用途によっては従来構造での対応が難しいところもある。
【0009】
たとえば先に説明した廃熱利用の発電に熱電素子を用いる場合、熱源が必ずしも平滑な板状の構成部分があるとは限らない。内燃機関からの高熱ガスの排出部分、あるいは熱を奪った後の冷却水の道管などから熱を得ようとする場合、熱源は主にパイプ内を移動しているため、熱電素子の取り付け部分は曲面となる。ヒートパイプを利用して間接的に熱を取り出そうとしても、やはり取り付け部は曲面である。
【0010】
あるいは熱電素子を用いたレーザダイオード、フォトダイオード、各種センサなどの冷却や温調はよく行われるが、これらは円筒状のCANに搭載されていることが多い。CANの内部に熱電素子を入れることが多いが、CANが小さくなった場合、あるいは簡単に取り付けたいなどの場合には、CANの外側に取り付けるのが簡単である。この場合も、熱電素子の取り付け場所は曲面である。
【0011】
以上のように円筒の外周面のような平面で無いところに従来の熱電素子を取り付ける場合、従来の素子の基板は平面であるので大きな隙間が生じてしまう。その為隙間を埋めるべく、熱伝導性樹脂などを大量に入れる必要がある。
【0012】
そのような実装形態をとることにより、従来の熱電素子と曲面とのあいだでは熱伝達効率が非常に悪くなるとともに、固定自体が難しく、角度や厚みのばらつきが大きくなってしまうという問題があった。さらに、熱伝導性樹脂が厚すぎると、硬化時の応力が基板に影響を与えたり、熱膨張で剥がれやすくなるなどの問題も抱えている。
【0013】
そこで本発明の目的は上記の問題を解決し、曲面など異形の表面を有した熱源にも形状的に良好に対応できる熱電素子の構造と製造方法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の熱電素子の構造および製造方法においては下記に記載する手段を採用する。
【0015】
すなわち本発明の熱電素子は、複数のn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子と、その間隙に設けられる絶縁スペーサと、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の両端面と絶縁スペーサで構成する配線面には、隣り合ったn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを電気的に交互に接続する配線電極とを有し、少なくとも一つの配線面が曲面を有していることを特徴とする。
【0016】
または複数のn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子と、その間隙に設けられる絶縁スペーサと、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の両端面と絶縁スペーサで構成する配線面には、隣り合ったn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを電気的に交互に接続する配線電極とを有し、少なくとも一つの配線面は二つ以上の平面からなる構造であることを特徴とする。
【0017】
また製造方法は、複数のn型熱電半導体素子とp型熱電電半導体素子とを絶縁スペーサを介して固定する工程と、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の両端面部を加工して曲面を有する配線面を少なくとも一つ形成する工程と、配線面には配線電極を形成してn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを接続すると工程とを有することを特徴とする。
【0018】
さらには複数のn型熱電半導体素子とp型熱電電半導体素子とを絶縁スペーサを介して固定する工程と、n型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の両端面部を加工して複数の平面を組み合わせた形状の配線面を形成する工程と、配線面には配線電極を形成してn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを接続すると工程とを有することを特徴とする。
【0019】
〔作用〕
本発明の熱電素子は、配線面自体が曲面構造をしていることから、円筒状の熱源などにほとんど隙間無く装着することが可能であり、装着面との熱伝達効率を高い状態で保てる。また、装着に大量のスペーサ材が必要ないことから、固定がしやすい。
【0020】
また接着に熱伝導性樹脂などを用いても薄くすむことから、応力や熱膨張の影響も小さいことから、信頼性にすぐれている。
【0021】
さらに基板を利用していないことから、基板を通過する熱抵抗の影響もなく熱伝導効率はさらに高い。
【0022】
あるいは本発明の熱電素子は、配線面が二つ以上の平面から構成されていることから、熱源が単なる平面でなく角を持った面にも対応でき、上記の熱伝達効率、装着の容易性、信頼性などに優れた素子である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の熱電素子の構造および製造方法おける最適な実施形態を説明する。
【0024】
図1に示すように本発明の熱電素子には、まず柱状のn型熱電半導体素子10と柱状のp型熱電半導体素子11が交互に規則的に配置している。ここではn型熱電半導体素子10にBiSeTe合金を、p型熱電半導体素子11にはBiSbTe合金をそれぞれ用いている。
【0025】
n型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11の柱の側面を電気的に絶縁しさらに両者を固定するために、それぞれの素子の間隙にはエポキシ系接着剤からなる絶縁スペーサ20を設けている。
【0026】
n型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11はその両端部を面加工し、絶縁スペーサ20と合わせて配線面15を形成している。そして配線面15は全体として曲面形状をしている。また柱の反対側の端部も配線面15を形成しているが、こちらは端部が揃えられた平面になっている。
【0027】
二つの配線面15には金属膜からなる配線電極30が設けられている。配線電極30は隣り合ったn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11を電気的に接続している。二つの配線面15での配線電極30は1ピッチずつずれた配置になっていることから、すべての半導体素子は交互に直列化した構造となる。ここでは配線電極30にはニッケル/銅/金の三層膜を用いている。
【0028】
以上が本発明の熱電素子の基本的な構造であるが、実際に温度差発電などに利用する場合の実装形態について説明する。図2にその構造を示す。
【0029】
すでに説明した本発明の熱電素子は断面が楕円状をした熱源40にその曲面状の配線面15側で接触している。熱源40と配線面15との間にはアルミナなどのセラミック粒子を混合したエポキシ系接着剤からなる絶縁性の熱伝導性樹脂50を介在させ、両者の熱伝導性を保ちつつ接着する。また、反対面の平滑な配線面15にはヒートシンク60がやはり熱伝導性樹脂50を用いて接合されている。
【0030】
これによって熱電素子に含まれるn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11の柱の上下には温度差が生じ、発生する熱起電力により発電が行われる。ここで、発電した電力は連続した熱電素子の両端部に位置する配線電極30からリード線70をもちいて取り出すことが出来る。リード線70の接合には半田や導電性接着剤などの接合部材80を用いている。
【0031】
続いて本発明の熱電素子の製造方法について説明する。はじめに、図3に示すようにn型熱電半導体とp型熱電半導体とに縦溝1を形成し、縦隔壁2を残してn型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4を作製する。この時、n型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4とで、縦溝1のピッチを同一にし、かつ一方のブロックの縦溝1幅が他方のブロックの縦隔壁2幅よりも大きくなるようにする。ここではn型熱電半導体としてBiSeTe合金の焼結体、p型熱電半導体としてBiSbTe合金の焼結体を用いた。
【0032】
この縦溝1の幅への制限は、後述の工程でn型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4を溝同士で嵌め合わせるために設定してある。この縦溝1幅と縦隔壁2幅の差が後工程で絶縁スペーサの幅を決定するため、確実に絶縁をとることと、嵌め合わせの工程での作業性を考慮すると、縦溝1幅と縦隔壁2幅との差は10μm以上あることが好ましい。なお、縦溝1の加工はワイヤーソーによる研磨加工あるいはダイシングソーによる研削加工により行う。
【0033】
つづいてn型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4を、互いに縦溝1に相手の縦隔壁2を挿入し合って組み合わせて一体化する。両者を組み合わせた構造を図4に示す。組み合わせた2つの櫛歯素子は嵌合部に絶縁スペーサ20を設けて固着することで一体化する。流動性の高い絶縁性接着剤中に組み合わせた櫛歯素子を部分的に浸漬し、毛管現象により接着剤を縦溝1と縦隔壁2との隙間に充填すれば絶縁を保ちつつ絶縁スペーサ20で固着が行える。ここで絶縁スペーサ20に用いる接着剤としては低粘度のエポキシ系の接着剤を用いることとする。
【0034】
このあと図には示していないが必要に応じて縦溝1と直交するように横溝の加工を行う。横溝の加工はワイヤーソーを用いた研磨工程で行い、溝幅は縦溝1と異なり出来るだけ狭い方が望ましい。横溝にもエポキシ樹脂を充填し硬化させ、絶縁スペーサ20を形成する。前述の縦溝1加工後に組み合わせた状態ですでにn型熱電半導体とp型熱電半導体は交互に並んだ構造になっているが、横溝加工を行うことでさらに柱を細くし、柱の本数を増やすことが可能である。
【0035】
絶縁スペーサ20で固めた2つの熱電半導体はその上下面を研削で除去し、n型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11の柱の端面と絶縁スペーサ20を出現させ配線面15を形成する。図5に研削後の素子を示している。図5から明らかなように、配線面15の片面は曲面構造をしており、反対の配線面15は平滑面である。平滑面は当然ながら通常の平滑な研削砥石を用いて加工は行う。曲面の加工は先端が球状の砥石を用いて行う、あるいは円筒状のフライス加工用のバイトを熱電半導体の柱に対して斜めに傾けて加工を行うなどにより実現することが出来る。こののち、特に高い信頼性が必要な場合は、研削面の加工変質層を除去する意味で硝酸や塩酸などのエッチング液をもちいて、加工面を数ミクロンエッチングした方がよい。
【0036】
つづいてn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11との配線を行う。30μmほどの厚みの柔軟なニッケル板に開口部を設け、開口部から隣り合ったn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11の端面が見えるように配線面15に沿って位置合わせを行い密着固定する。真空蒸着装置に設置し、ニッケルあるいはパラジウムを100nm蒸着する。この方法は一般にマスク蒸着法と呼ばれるものである。ここで蒸着層は隣り合った2本の熱電半導体素子端面をすべて覆う必要はなく、2本が電気的に接続できる形状なら多少小さくても良い。
【0037】
蒸着工程につづいて無電解ニッケルメッキ液に浸漬し、ニッケルの皮膜を形成する。ニッケル皮膜は蒸着によって形成したニッケルあるいはパラジウムを反応の核として成長することから、蒸着層の上にまず形成される。また、蒸着金属はn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11にも形成されているため、棒状素子の露出している端面にもニッケル皮膜は形成される。無電解メッキだけで十分なメッキ厚が確保できない場合は、さらに電解ニッケルメッキを行うが、総厚としてニッケルメッキの厚みは数μmである。
【0038】
ニッケル膜は熱電半導体との密着をとるためと不純物の拡散を防ぐために施すが、ニッケルメッキだけでは比抵抗がやや大きいため、さらに配線抵抗を下げるためにニッケルメッキにつづいて銅メッキを行う。銅メッキは無電解メッキが難しいことから、電解メッキを利用する。銅メッキは必要に応じて数μmから数10μmの厚みで形成する。
【0039】
銅メッキにつづいてやはり電解メッキ法を用いて金メッキを行う。金膜は銅を腐食から守る意味と、先に説明したリード線を半田付け出来るようにあるので、それほど厚みは必要なく1μmほどでよい。以上の工程により図1に見られる本発明の熱電素子は完成する。ただし、このままでは配線電極30がむき出しのため、取り扱いのさらなる安全性を配慮すると、配線面15には薄い絶縁樹脂膜や無機酸化物膜などをコ−ティングするとなお良い。
【0040】
以上の説明では本発明の熱電素子は一つの配線面15が曲面構造をしているが、上下二つの配線面15とも曲面構造をしていても良い。その素子構造を図6に示している。本素子もn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11と絶縁スペーサ20と配線電極30から構成されている。そして、片方の配線面15は凹面に反対の配線面15は凸面の曲面になっている。
【0041】
この構造の素子も同様に曲面を持つ熱源への良好な熱接触が可能であるが、さらに熱電半導体素子の長さがそろっていることから、熱電半導体素子間での抵抗値の違いがないので、温度分布等が生じにくく性能的に有利となる。
【0042】
あるいは上記の説明では少なくとも一つの配線面15が曲面をしているが、複数の平面からなる構造でも良い。その素子構造を図7に示している。本素子もn型熱電半導体素子10とp型熱電半導体素子11と絶縁スペーサ20と配線電極30から構成されている。そして、片方の配線面15は二つの平面からなるV字の構造に加工されている。この構造の素子では角を持った様な異形な平面にも装着が可能となる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の熱電素子は、配線面自体が曲面構造をしていることから、円筒状の熱源などにほとんど隙間無く装着することが可能であり、装着面との熱伝達効率を高い状態で保てる。また従来のような基板も利用していないことから、基板を通過する熱抵抗の影響もなく熱伝導効率はさらに高い。
【0044】
また接着に熱伝導性樹脂などを用いても大量の樹脂が必要なく、薄くすむことから固定がしやすい上、応力や熱膨張の影響も小さくなり信頼性にすぐれている。
【0045】
あるいは本発明の熱電素子は、配線面が二つ以上の平面から構成されていることから、熱源が単なる平面でなく角を持った面にも対応でき、上記の熱伝達効率、装着の容易性、信頼性などに優れた素子である。
【0046】
以上のように本発明の熱電素子は、均一な平面を持たない異形の表面を持った熱源に熱伝導良く、さらには信頼性高く装着できることから、工場のパイプライン、発電所の冷却管、自動車の排ガス管などに直接装着することで、様々な廃熱を利用した発電にすぐに対応が出来る。またはセンサ素子を収納しているCANの外周部からの冷却素子としても装着がしやすく、従来の熱電素子の利用範囲をさらに大きく広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における熱電素子の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における熱電素子の実装構造を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工程を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における異なる熱電素子の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における異なる熱電素子の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 縦溝
2 縦隔壁
3 n型櫛歯素子
4 p型櫛歯素子
10 n型熱電半導体素子
11 p型熱電半導体素子
15 配線面
20 絶縁スペーサ
30 配線電極
40 熱源
50 熱伝導性樹脂
60 ヒートシンク
70 リード線
80 接合部材
Claims (4)
- 複数のn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子と、
前記複数のn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子の間隙に設けられる絶縁スペーサと、
前記n型熱電半導体素子と前記p型熱電半導体素子の両端面と前記絶縁スペーサとで構成する配線面には、隣り合ったn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを電気的に交互に接続する配線電極とを有し、
少なくとも一つの配線面が曲面を有する熱電素子。 - 複数のn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子と、
その間隙に設けられる絶縁スペーサと、
前記n型熱電半導体素子と前記p型熱電半導体素子の両端面と前記絶縁スペーサとで構成する配線面には、隣り合ったn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを電気的に交互に接続する配線電極とを有し、
少なくとも一つの配線面が二つ以上の平面からなる構造である熱電素子。 - 複数のn型熱電半導体素子とp型熱電電半導体素子とを絶縁スペーサを介して固定する工程と、
前記n型熱電半導体素子と前記p型熱電半導体素子の両端面部を加工して曲面を有する配線面を少なくとも一つ形成する工程と、
該配線面には配線電極を形成してn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを接続する工程とを有する熱電素子の製造方法。 - 複数のn型熱電半導体素子とp型熱電電半導体素子とを絶縁スペーサを介して固定する工程と、
前記n型熱電半導体素子と前記p型熱電半導体素子の両端面部を加工して複数の平面を組み合わせた形状の配線面を形成する工程と、
該配線面には配線電極を形成してn型熱電半導体素子とp型熱電半導体素子とを接続すると工程とを有する熱電素子の製造方法。
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