JP2004296629A - 熱電変換材料およびその製造方法 - Google Patents

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秀明 足立
Akihiro Odakawa
明弘 小田川
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康成 杉田
Satoshi Yotsuhashi
聡史 四橋
Tsutomu Sugano
勉 菅野
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Abstract

【課題】従来の低次元化熱電変換材料の構成においては、未だ熱電変換の性能が十分ではなく、またプロセス的にも煩雑で安定に製造することが難しいものであった。
【解決手段】任意の面方位から微小角傾斜した単結晶傾斜基体1上に、一定間隔を保って平行に伸張した熱電物質からなる複数本の細線2と、それを取り囲む非導電物質3とで熱電変換材料を構成する。その作製は、任意の指数の面から微小角傾斜した単結晶傾斜基体1上に、細線2の熱電物質を構成する原料と非導電物質3の原料とを交互に供給して実施する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱と電気とのエネルギー変換を行う熱電変換材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体を熱し、両端に温度差を与えると温度差に比例した電圧が発生する現象をゼーベック効果といい、これを利用し熱を電気に変換する材料を熱電変換材料という。熱電変換材料の性能は、性能指数をZとすると、材料の電気抵抗率ρ、熱伝導率κおよび単位温度差あたりの熱起電力で表されるゼーベック係数Sを用いて以下の数1で表される。
(数1)
Z=S/ρκ
この式より、変換性能の高い熱電変換材料とは、熱起電力が大きく、抵抗率が低く、熱伝導率が低い材料であることがわかる。これらS、ρ、κはすべてキャリア濃度の依存する関数であり、ρを低くするためにキャリア濃度を大きくするとSは小さくなる。κを低くするために数十マイクロメータレベルの結晶粒界を多く持った焼結体では、ρが大きくなり性能指数の向上が望めない。これらの理由により最適なキャリア濃度は計算によると1019cm−3となる。これは比較的ドープ量の多い半導体のキャリア濃度であり、縮退半導体にあたる。
【0003】
しかし熱は伝導電子のみによって伝搬されるのではなく、フォノン(格子振動)によっても運搬され、熱伝導率κは伝導電子による熱伝導率κel、フォノンによる熱伝導率κphとすると以下の数2で表される。
(数2)
κ=κel+κph
このときキャリア濃度に依存する量はκelであり、κphは元素や構造によって決まる量である。よって、最適なキャリア濃度を持ちκphの小さい材料としてBiTeやPbTeなどの平均原子量の重い化合物半導体が取り扱われていた。
【0004】
しかし、このような熱電変換材料の物質設計では、電気伝導と熱伝導をそれぞれ分離して制御することができないため、実用化できるような大幅な性能指数Zの向上は非常に困難であり、近年の物質設計は低次元キャリア型などになっている。低次元キャリア型とは、通常三次元にあるキャリアを人工格子や量子井戸により、およそ数nm幅の二次元平面や一次元線上に閉じこめることである。それにより、キャリアの状態密度のエネルギー依存性を変化させ、ゼーベック係数を増加させて、性能指数の向上を図る構造である。これまでにも、エッチングによる多孔質構造を用いる方法(例えば、特許文献1参照)や、ナノ微粒子を用いる方法(例えば、特許文献2参照)等があるが、性能指数の向上を図る構造を安定に得るためには高精度のプロセス制御が必要となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−317547号公報
【特許文献2】
特開2002−76452号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように低次元化を目指して取り組まれてきた従来の構成においては、未だ熱電変換の性能が十分ではなく、またプロセス的にも煩雑で安定に製造することが難しいものであった。本発明の目的は、ナノメータサイズの細線を安定化させて、再現性よく高熱電変換性能が出現する熱電変換材料の構成およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の熱電変換材料は、以下に記す特徴を有する。
【0008】
任意の面方位から微小角a傾斜した単結晶傾斜基体1上に、一定間隔を保って平行に伸張した熱電物質からなる複数本の細線と、それを取り囲む非導電物質とで熱電変換材料を構成する。ここで微小角aは0.2〜15°の範囲の角度である。特に細線の断面が、略平行四辺の形状であれば好ましい効果が得られる。また細線の断面の任意の方向の太さが、0.8nmから100nmの範囲にあれば好ましい。その中でも特に細線の断面の任意の方向の太さが、2nmから50nmの範囲にある場合、優れた熱電性能が得られる。この種の細線はこれまで酸化物材料では得難いものであったが、本構成を酸化物熱電物質の細線で実現した場合、特に効果的に細線を安定化した高性能熱電変換材料が実現される。
【0009】
本発明の熱電変換材料の作製は、任意の指数の面から微小角傾斜した単結晶傾斜基体1上に、熱電物質を構成する原料と非導電物質の原料とを交互に供給してなされる。この場合、非導電物質の原料の供給量が熱電物質を構成する原料の供給量より多い場合好ましい。特に非導電物質の原料の供給量が熱電物質を構成する原料の供給量の2倍から100倍である場合、優れた熱電変換材料が構成される。また熱電変換材料の形成初期過程で、傾斜した単結晶傾斜基体1上に非導電物質の緩衝層を成長させると、より細線を安定に得ることが可能となる。酸化物からなる熱電物質と酸化物非導電物質の原料とを交互に供給すると、これまで得難かった熱電酸化物の細線を安定していることができ好ましい。またこのように熱電変換材料の作製した後に、基体1を取り除く工程を有すると、基板の熱伝導の影響を排除でき好ましい結果となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る熱電変換材料の例である。図1に示す熱電変換材料は任意の指数面から微小各度傾斜した単結晶傾斜基体1上に形成された熱電物質の細線2およびそれを取り囲む非導電物質3から構成される。熱電物質の細線2は複数本で構成され、互いに一定間隔を保って基体1に平行に伸張したものとなっている。細線2の太さは、断面の任意方向が0.8nmから100nmのサイズである。なお、以下、単結晶傾斜基体1を単に「基体1」ということがある。
【0011】
これまではこの程度の大きさの細線2を作ることは高度で複雑な技術を必要とし、またナノメータサイズの細線2が出来たとしても一部接触したり交わったりして、その結果熱電性能が制限される場合があった。本発明の構成により前記サイズの熱電物質の複数個の細線2が一定間隔を保って非導電物質3中で安定化された配列が実現し、熱電性能が向上した熱電変換材料が可能となった。
【0012】
従来はナノメータサイズの細線2を多数並べようとした場合、前述のように細孔を予め作って熱電物質で充填する方法が取られてきたが、工程が容易ではなく、また細線2の長さも1mm以上に長くすることは技術的に困難であった。また微細加工技術により本サイズの細線2を作ろうとしても、高度プロセスが必要な上、線の密度も高くすることは困難である。
【0013】
本発明は、ナノメータサイズの熱電物質の細線2が前記構成により安定化し、高性能熱電特性が得られるという発見に基づいたものである。細線2が安定化する原理は、微傾斜の単結晶傾斜基体1を用いて任意の成長条件に設定した場合、原料の付着原子の基体1上移動が活発になり、傾斜方向に垂直方向のステップバンチングによって熱電性能に都合のよいサイズで細線化する機構に基づいている。
【0014】
なお、単結晶傾斜基体1の細線2として、ステップに沿って原料を付着させる量子細線2があるが、この場合ステップは0.5nm以下の原子層レベルの高さであり、熱電変換材料として良好な性能を得ることは困難であった。
【0015】
ステップをテンプレートとして隙間に成長を行う従来の量子細線とは異なり、本発明によれば、ステップバンチングに沿った細線状の熱電物質の細線2を構成することにより、優れた熱電変換性能の熱電変換材料を実現することが可能となった。この場合細線2は直線のみならず曲がっていても一定間隔で離れていればよい。さらに性能指数を向上させるには、非導電物質3の熱伝導率が低いことが好ましく、熱絶縁であることがより好ましい効果が得られる。
【0016】
単結晶傾斜基体1の微傾斜角度は、0.2〜15°の範囲の場合に熱電物質の細線2の束を安定化させるのに適していた。これはナノメータサイズの細線2の形成を実現するのに、原子の拡散距離が前記角度の範囲でステップを埋め尽くして細線2を安定化させることが出来るためと推察される。
【0017】
特に熱電物質の細線2の断面が、略平行四辺形の形状である場合、隣接する細線2との距離が一定間隔を保つことが出来るので好ましい効果が得られる。細線2の高さは単結晶傾斜基体1の傾斜角度で調整することができる。実際の細線2の大きさは基体1材料と熱電変換材料の相性に依存するため一意には決まらないが、傾向として傾斜角度を大きくすることで細線2を大きくすることができる。また細線2の幅は原料の供給量により制御可能である。
【0018】
細線2のサイズとしては、断面の任意の方向の太さが100nm以下の場合に従来にない構成と一次元化による熱電性能の向上が認められたが、0.7nm未満まで細くした場合には熱電物質からなる細線2と非導電物質3との界面の不整合によると見られる性能の低下が認められ、好ましいサイズとして0.8nmから100nmの範囲であることが確認された。特に2nmから30nmの範囲にある場合には界面が安定でかつ低次元効果が大きく出現する高性能熱電変換材料が実現でき、好ましい結果が得られる。
【0019】
本発明で用いられる細線2を構成する熱電物質としては、ビスマス、ビスマステルル系化合物、ビスマスアンチモン系化合物、鉛テルル系化合物、コバルトアンチモン系化合物、イリジウムアンチモン系化合物、コバルト砒素系化合物、シリコンゲルマニウム系化合物、銅セレン系化合物、ガドリウムセレン系化合物、炭化ホウ素系化合物、テルル系ペロブスカイト酸化物、希土類硫化物、TAGS系化合物(GeTe−AgSbTe)、ホイスラー型TiNiSn, FeNbSb, TiCoSb系物質等が適用することができる。
【0020】
これに加えて、従来ナノメータサイズの平行に伸張した細線束の作製が困難と考えられてきたペロブスカイト型酸化物、コバルト系層状酸化物、亜鉛系層状酸化物、鉛系層状酸化物等の酸化物材料に対して、有効であることが確認された。すなわち細線2を熱電物質としてコバルト酸ナトリウムやコバルト酸プラセオジウム等の酸化物材料を用い、酸化物からなる非導電物質3の中に埋め込む構成だと、従来細線化が困難であった酸化物材料に対しても有効に本発明の構成を適用することができる。酸化物材料は内部は安定なもののその表面は外界に影響を受けやすく不安定になっているが、本発明の構成で酸化物からなる非導電物質3の中に酸化物からなる熱電物質(細線2)を埋め込むと、界面が安定化したナノメータレベルの細線束を安定に実現することができ、高性能熱電変換材料として特に効力を発揮する。
【0021】
本発明の熱電変換材料の製造方法については、0.2〜10°傾いた単結晶傾斜基体1に、分子線エピタキシー法や化学的気相成長法、スパッタ法、レーザーアブレーション法等の気相プロセスを用いて、熱電変換材料と非導電材料の原料を交互に供給して実施することができる。このとき基体1は原料原子の基体1上の移動運動を促進するため200℃以上に加熱するとよい。特に400℃から800℃に加熱して原料を交互に供給した場合に、細線2が成長する結果が得られることが多く好ましい。
【0022】
基体1に供給する原料としては、非導電物質3の原料の供給量が細線2を構成する熱電物質を構成する原料の供給量より多い場合に熱電性能の向上がみられる。これは熱電物質の低次元化が非導電物質3および熱電物質の原料の供給量の大小により影響を受け、非導電物質3の供給量が熱電物質の供給量より多くなると低次元化が始まる機構であると考えられる。特に非導電物質3の原料の供給量が熱電変換材料を構成する原料の供給量の2倍から100倍である場合には細線2が互いに干渉し合うことなく平行に伸張して一次元性が顕著に現れるのでより高い効果が得られる。
【0023】
また傾斜した単結晶傾斜基体1上に細線2の原料である熱電物質と非導電物質3の原料を交互に供給する初期の過程において、非導電物質からなる緩衝層4を成長させると、細線2の形状を一定に揃えることができ好ましい結果であった。これは、単結晶傾斜基板1上に良質のエピタキシャル層を成長させることにより緩衝層4を形成した場合、ステップバンチングを起こすことに起因している。バンチング上に交互に原料を供給すると、表面形状に沿って積層が行われずに細線化する機構が確認された。
【0024】
細線2の原料に酸化物を用いると、これまで再現性のよい一次元化が困難であった酸化物細線2を得ることが可能となり、高性能熱電変換材料を構成できる。特に成長中の酸素分圧が1Pa以下に低くした場合、熱電性能に優れた細線2が再現性よく形成できることを確認した。
【0025】
電子やフォノンの平均自由行程は数十〜数百ナノメートルであり、熱電変換材料1の厚みを電子やフォノンの平均自由行程と略等しい、またはそれ以下にすることにより、熱電変換材料1中のキャリアの自由度を制限できる。キャリアはその自由度を二次元や一次元に制限されると、状態密度のエネルギー依存性が、次元をdとするとEd/2−1と表すことができ、次元が下がるに従い先鋭化する。この低次元にすることによる状態密度の増加はゼーベック係数を増加させる。増加したゼーベック係数は数1より、性能指数を増加させることになる。一方、フォノンの熱伝導率κphは、単位体積あたりのフォノンの比熱をCとし、フォノンの平均速度をv、フォノンの平均自由行程をlとすると以下の数3で表される。
(数3)
κph=Cvl/3
数3に示すようにフォノンの熱伝導率はフォノンの平均自由行程lに依存する。
【0026】
本発明の構成の熱電物質からなる細線2の厚み、幅、形状を制御し、0.8〜100ナノメートルの大きさの極細線2では、フォノンの平均自由行程よりも大きいなら、熱伝導率にバルク材料との違いはなく同程度であるが、平均自由行程よりも小さいときは、表面散乱により熱伝導率は制限される。そのため、フォノンの熱伝導率を制御することができ、非常に低い熱伝導率を得ることができる。その結果として、数1より性能指数を向上させることができる。
【0027】
単結晶傾斜基板1の材質は、単結晶であることおよび傾斜を有していることが満たされている限り特に限定されないが、半導体またはベロプスカイト酸化物からなることが好ましい。基板1の材料として好ましい半導体の例としてはCdTe、基板1の材料として好ましいベロプスカイト酸化物としてはSrTiO、LaAlOおよびNdGaOを挙げることができる。その他、基板1の材料としてはサファイヤ(アルミナ)を挙げることができる。
【0028】
非導電物質3の材料は基板1の材質と同じであることが好ましい。なお、緩衝層4の材質は非導電物質3を構成する材質と同一であることが好ましいが、必ずしも同一である必要はない。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。
【0030】
(実施例1)
[100]方向に10°傾斜したチタン酸ストロンチウムSrTiO単結晶の(100)面を基体1に用いて、同じペロブスカイト構造の熱電変換材料であるコバルト酸プラセオジウムPr0.7Ca0.3CoOと非導電物質3LaFeOにより本発明の熱電変換材料を構成した。それぞれの物質の原料ターゲットを用いた多元スパッタリングにより、700℃に加熱した基体1上にまず非導電物質3LaFeOの緩衝層4を100nm成長させた後、Pr0.7Ca0.3CoOとLaFeOを3nm/minの堆積速度でそれぞれ30秒と90秒の持続時間で交互に基体1に供給した。スパッタガス圧は1Paとし、アルゴンガスを主体としたスパッタ雰囲気中の酸素分圧は0.5Paとしていた。
【0031】
作製した構造の断面の模式図を図2に示す。傾斜方向に平行に断面を切った場合、図2のようにSrTiO傾斜基体1上にLaFeOの緩衝層4が形成され、緩衝層4の上部はステップバンチングによる凹凸が形成されている。その上に交互供給したPr0.7Ca0.3CoOとLaFeOは、層状ではなく図のように細線2として構成されることが確認された。熱電物質Pr0.7Ca0.3CoOの細線2はLaFeOからなる非導電物質3に周囲を取り囲まれて複数本の束で構成されたものとなる。断面は略平行四辺の形状で、相互が等間隔に保たれることになり、相互の影響の乱れを抑えられる。1Pa以下の酸素分圧の元で交互の原料供給を行った場合、ステップバンチングを利用して細線2が一定間隔を保って成長する構成が確認された。
【0032】
室温における熱電性能を評価した結果、細線2の伸張方向に沿っての熱起電力は180μV/Kで電気抵抗率は4mΩcmであった。単一のPr0.7Ca0.3CoO薄膜の性能が熱起電力70μV/K、電気抵抗率が1mΩcmであったことを考えると、熱電パワーファクター(S/ρ)が1.7倍に向上した。細線構造の熱伝導率は単一層膜の熱伝導率より同程度以下であるので、数1より計算される性能指数は本発明のものの方が従来のものよりも2−5倍以上増大することが確認された。
(実施例2)
実施例1と同様の手法で種々の傾斜角のチタン酸ストロンチウムSrTiO単結晶傾斜基体1上にPr0.7Ca0.3CoO細線束を非導電LaFeO中に形成した。細線2の断面の大きさは傾斜角と原料堆積速度が定まった場合、供給量で制御することができる。原料供給量を変化させて、高さ約3nmで幅が0.4nmから200nmの細線2を構成した。熱電特性を測定した結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 2004296629
【0034】
ナノメータサイズの細線2にしたことによる量子効果の影響で、熱起電力は表のように100nm以下の線幅の時に増加の傾向を示したが、1nm程度になると細線2の界面の影響が現れて抵抗率が増大を見せるので、0.8〜100nmの範囲で良好な熱電特性が出現することがわかる。特に2〜50nmの場合には量子効果と界面散乱の兼ね合いで優れた性能の熱電変換材料が実現される結果となった。
(実施例3)
分子線エピタキシー法により、0.2°傾斜したテルル化カドミウムCdTe単結晶の(111)面基体1上に、熱電物質のビスマステルルBiTeと半導体CdTeを交互に蒸着した。基体1温度は成長中は300℃に保ち、BiTeとCdTeの供給量を1:5に調整した。これに先立ってCdTeの緩衝層を50nm成長させている。この条件の下で断面がBiTeの細線束になっていることが確認された。室温での熱電性能は、従来の構成の単一膜ではパワーファクターが30μW/cmKであったのに対し本発明の構成の細線束では50μW/cmKに向上が認められた。
【0035】
(実施例4)
コバルト系層状酸化物構造の熱電物質であるコバルト酸ストロンチウムSr0.5CoOを、5°傾斜させたサファイアc面基体1上に、非導電酸化物であるNa0.5NbOを用いて本発明を構成した。650℃に加熱した基体1上に、多元レーザーアブレーション法により酸素分圧0.05Paの元でSr0.5CoOとNa0.5NbOの原料を1:10の割合で供給し、3×10nmの細線化を実現した。室温での熱電性能は、従来の構成の単一膜ではパワーファクターが10μW/cmKであったのに対し本発明の構成の細線束では30μW/cmKに向上が認められた。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、低次元形状を安定化した高性能の熱電変換材料を提供することができ、電子冷却や熱電発電などの熱と電気とのエネルギー変換の応用を促進させるものであり、本発明の工業的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電変換材料を示す模式図
【図2】本発明の一実施例における熱電変換材料の構造模式図
【符号の説明】
1 傾斜基体
2 熱電物質細線
3 非導電物質
4 緩衝層

Claims (11)

  1. 任意の面方位から微小角a傾斜した単結晶傾斜基体1上に、一定間隔を保って平行に伸張した熱電物質からなる複数本の細線と、それを取り囲む非導電物質とで構成されたことを特徴とする熱電変換材料(ここで微小角aは0.2〜15°の範囲の角度を示す)。
  2. 熱電物質の細線の断面が、略平行四辺の形状であることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換材料。
  3. 細線の断面の任意の方向の太さが、0.8nmから100nmの範囲にある請求項1から2に記載の熱電変換材料。
  4. 細線の断面の任意の方向の太さが、2nmから50nmの範囲にある請求項3記載の熱電変換材料。
  5. 細線を構成する熱電物質が酸化物である請求項1から4に記載の熱電変換材料。
  6. 任意の指数の面から微小角a傾斜した単結晶傾斜基体1上に、熱電物質を構成する原料と非導電物質の原料とを交互に供給して得ることを特徴とする熱電変換材料の製造方法。ここで微小角aは0.2〜10°の範囲の角度を示す。
  7. 非導電物質の原料の供給量が熱電物質を構成する原料の供給量より多いことを特徴とする請求項6記載の熱電変換材料の製造方法。
  8. 非導電物質の原料の供給量が熱電物質を構成する原料の供給量の2倍から100倍であることを特徴とする請求項7記載の熱電変換材料の製造方法。
  9. 請求項6から8に記載熱電変換材料の形成初期過程で、傾斜した単結晶傾斜基体1上に非導電物質の緩衝層を成長させる工程を有することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
  10. 酸化物からなる熱電物質と酸化物非導電物質の原料とを交互に供給して得ることを特徴とする請求項6から9に記載の熱電変換材料の製造方法。
  11. 請求項6から10に記載の熱電変換材料の製造方法における工程の後に、基体1を取り除く工程を有することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
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