JP2004296159A - 円筒形蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】円筒形蓄電池が有している問題点、すなわち、巻回形極板群の円筒形電槽への挿入が困難である、電解液の注入性および蓄電池内のガスの排気性が悪いといった点の改善に円錐台形状を有する巻回形極板群が有効であるが、前記巻回形極板群を製造するには、材料および製造方式の変更が必要であったのに対して、従来とほとんど変わらない材料および製造方式で円錐台形状を形成した巻回形極板群を備えた円筒形蓄電池を提供することにある。
【解決手段】巻回形極板群52において、正極板と負極板21の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状6にすることによって円錐台形状を形成したことを特徴とするものである。
【選択図】 図4
【解決手段】巻回形極板群52において、正極板と負極板21の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状6にすることによって円錐台形状を形成したことを特徴とするものである。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は円筒形蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
蓄電池の極板群は、正極板、負極板およびセパレータから構成されており、特に、円筒形蓄電池では、矩形帯状の正・負極板とセパレータとを長手方向に巻き取って巻回形極板群が形成される。通常、巻取りに際しては、円柱状の芯材を用い、厚みが均一な正・負極板およびセパレータを使用することによって円柱状の極板群が作製される。しかる後、該極板群を有底円筒形電槽に挿入し、円形の蓋で封口後、電解液を注入し、電槽内で化成を行い、円筒形蓄電池が作製される。
【0003】
上記の円筒形蓄電池は3つの問題点を抱えている。
【0004】
その第1は、巻回形極板群の挿入が容易でなく、場合によっては、巻回形極板群の外周部の極板が削られることである。これは、極板群の圧迫力を維持するために、電槽内径と巻回形極板群の外径とがほとんど同じか、むしろ極板群の外径の方を大きくし、圧迫を加えながら挿入されるのが一般的であることによる。
【0005】
第2は、上述したように巻回形極板群が同内寸の円筒形電槽に挿入されるので、蓄電池内に隙間がほとんどなく、電解液の注入がし辛いことである。
【0006】
さらに、第3は、ガスが抜け難く、蓄電池が膨れる場合があることである。これは、鉛蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池のような水溶液系の電解液を用いた場合、充電時に過充電を行うと、水の電気分解により水素ガスと酸素ガスが発生するが、上述したように空間がほとんどないために発生した上記ガスが蓄電池から抜け難く、滞留するために、蓄電池内の圧力が上昇することによる。
【0007】
上記問題に対して、本願発明者は、巻回形極板群を円錐台形状にすることを提案しており、そのことによって、巻回形極板群下部の外径が円筒形電槽の内径より小さくなり極板群が挿入し易くなると共に、円筒形電槽の内壁との間に間隙が形成され、注液がし易く、また、蓄電池内のガスも抜け易くなることを確認している。
【0008】
巻回形極板群を円錐台形状にするには、図1に示すように、従来の矩形帯状ではなくて帯状の上辺および下辺が円弧形状を有する正極板(図1では図示せず)、負極板2およびセパレータ3を用いると共に、正・負極板の厚みを上部が厚く、下部に向かって薄くなる形状にして、円錐台形状の芯材を中心に巻回していく。その巻回方法の一例を図2に示す。
【0009】
図2(a)は巻回方法の一例を示す一部透視要部正面図、(b)は巻回された極板群を示す正面図で、1は正極板(透視で部分的に図示)、2は負極板(部分的に図示)、3はセパレータ、4は円錐台形状の芯材、51は巻回形極板群をそれぞれを示す。
図2(a)に示すように、円錐台形状の芯材4に対して一方向から正極板1、負極板2およびセパレータ3を供給して巻回することによって、(b)に示すような円錐台形状を有する巻回形極板群51が形成される。
【0010】
上記の方法で円錐台形状を有する巻回形極板51を形成するには、いくつかの問題点を抱えている。
【0011】
第1に、正・負極板およびセパレータを従来のような単純な矩形帯状でなく、円弧形状を有する帯状の正・負極板およびセパレータを用いる必要がある。このような形状にするには、前記矩形帯状のように連続した極板を切断して使用することが不可能で、打ち抜きにより形成する必要があり、生産性の点で劣り、しかも、切断時に切断くずが発生するので、格子およびセパレータの材料費の無駄になり、コストが高くなる問題点を有している。
【0012】
第2に、円錐台形状の巻回形極板群を形成するには、正・負極板の上部の厚みを厚くし、下部に行くにしたがって薄くなるようにする必要がある。正・負極板を作製する方法は、正・負極格子にペースト状態の正・負極活物質を充填する方法が一般的であるが、円弧形状を有する帯状格子に上下で厚みが異なるように充填するためには、前記形状にあらかじめ打ち抜いた格子に、一枚ずつ特殊な充填機で充填する必要があり、矩形帯状格子に厚みを均一に充填する場合のように連続充填を行い、その後に切断するといった連続生産の適用が不可能で、この点でも生産性が大幅に劣る問題がある。
【0013】
以上の理由から、実用化されていないのが現状である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来の矩形帯状の正・負極板およびセパレータを使用して生産性の低下がほとんどなく円錐台形状の巻回型極板群を形成し、「従来の技術」の項で述べた円筒形蓄電池における3つの問題点を改善した円筒形蓄電池を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題を解決するための手段として、請求項1によれば、帯状の正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した巻回形極板群を有底円筒形電槽に収納した蓄電池において、
前記巻回形極板群は、円錐台形状で、該極板群の小径側を有底円筒形電槽の底側にして収納したものであると共に、前記正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることによって円錐台形状を形成したことを特徴とするものである。
【0016】
本願発明者は、「従来の技術」の項で述べた円筒形蓄電池における3つの問題点の解決策として円錐台形状の巻回形極板群を用いるのが効果的であることに対して、下部径を上部径に対してどの程度小さくすれば、その効果が得られるのかを試験した結果、下部径を僅かに小さくしただけでも十分にその効果があるということを見出した。本発明は、その結果に基づいてなされたもので、その特徴とするところは、正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることにある。そのことによって巻回形極板群の上部外径に対して下部外径が小さくなり本発明の目的である円錐台形状を有する巻回形極板群を得ることができる。この方法であれば、従来の均一な厚みを有する矩形帯状正・負極板、セパレータおよび円柱状芯材を用いて巻回が可能で、従来の円柱状極板群の生産性と遜色なく、円錐台形状の巻回形極板群を得ることが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、巻回形極板群の正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることにより、実質上の円錐台形状を有する巻回形極板群を形成したことにあり、その具体例を図3および図4(a)、(b)に示す。
【0018】
図3は、本発明の負極板21の巻回終端部に相当する部分にテーパ形状6を形成した一例を示す正面図である。
【0019】
図4(a)は本発明の方式により巻回した極板群の要部斜視図、(b)は、その要部正面図を示し、21は本発明の負極板、52は本発明の巻回形極板群、6は負極板21の巻回終端部に形成されたテーパをそれぞれ示す。
【0020】
図4(a)および(b)に示すように、正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることによって、上端部の径(X)に対して下端部の径(Y)が小さくなった巻回形極板群が得られる。この巻回形極板群は数学的に厳密な意味での円錐台形状ではないが、本発明ではこれをも含めて円錐台形状と定義する。
【0021】
【実施例】
本発明の効果を、実施例に基づき説明する。
【0022】
まず、厚さ0.6mmの純鉛シートを打ち抜き加工により形成した高さ90mmの格子に酸化鉛を主体とする鉛粉と鉛丹とを希硫酸で練膏したペーストを充填し、熟成・乾燥して0.9mmの未化成正極板を作製した。次に、正極板と同じ高さ90mmの格子に酸化鉛を主体とする鉛粉に硫酸バリウム、リグニンスルホン酸、カーボンを所定量添加した後、希硫酸を加え、練膏したペーストを充填し、熟成・乾燥して0.9mmの未化成負極板を作製した。前記負極板は、所定の長さに切断する際に図3に示すような巻回終端部に相当する部分に垂直軸に対して45度のテーパを形成した。該負極板と所定の長さに切断された正極板とを微細ガラス繊維からなり、20kPaの加圧時に0.8mmの厚みを有する所定の長さのガラス繊維セパレータを介して巻回し、図4に示すような巻回形極板群を形成した。極板群の上部の径は45mmで、下部の径はそれより約0.9mm小さく形成した。
【0023】
従来品は、負極板の巻回終端部にテーパを有しない以外は本発明の実施例と同じ内容で作製した。したがって、巻回極板群の径は上下とも45mmであった。
【0024】
これら2種類の巻回形極板群を、内径45.3mmの円筒形電槽に挿入した際の挿入不良率を比較した。その結果を表1に示す。挿入時の不具合は、外周の極板に曲がりが発生したものとした。不良率は従来品の円柱形状の巻回形極板群の不良率を1としたときの比率で表した。
【0025】
【表1】
【0026】
表1に示すように、本発明品は、下部の径が小さいことによって、従来品に比べて不良率が約27%改善された。円筒形蓄電池の第1の問題点である極板群が挿入され難い点について改善された。
【0027】
次に、これらの蓄電池に電解液比重1.26(20℃)の希硫酸を所定量注入した。その際の液あふれ率を比較した。その結果を表2に示す。不具合は、注液後、10分経過した時点で、注液口からの電解液の溢れが発生したかどうかで評価した。この場合も、従来品の不良率を1とした時の比率で表した。
【0028】
【表2】
【0029】
表2に示すように、本発明品は、電槽内壁と極板群との間に形成された隙間が蓄電池内の空気と電解液との置換に有効に作用し、注液不良率は15%改善された。これにより円筒形蓄電池の第2の問題点である注液され辛い点も改善された。
【0030】
注液されたこれらの蓄電池を電槽内で化成を行った後、安全弁を装着して蓄電池を完成させた。これらの蓄電池を2A(約0.2CA)で連続10時間の過充電を行って、充電時のガスの抜け易さを比較した。評価方法は、金属製の外部ケースに挿入せずに、円筒形樹脂電槽のままで過充電を行い、電槽の膨れ状態を測定した。その結果を表3に示す。評価は、各20個の蓄電池を試験し、過充電前後の電槽外径を測定した。過充電後の外径はそれぞれの電槽外径の最大部分を測定し、20個の平均値を求め、それらと過充電前の電槽外径の平均値を1とした時の比率で表した。
【0031】
【表3】
【0032】
表3に示すように、従来品は、過充電後、ガスが排気され難いために蓄電池内に滞留し、電槽の外径の最大部分で約3%膨張したが、本発明品は、電槽と極板群との間に隙間が形成されているので、その隙間に沿ってガスが上昇し蓄電池内に滞留することなく、安全弁から排気され、電槽の膨れは発生しなかった。このように、本発明により、円筒形蓄電池の第3の問題点をも改善できた。
【0033】
以上、説明したように、負極板の巻回終端部をテーパ形状にすることにより、巻回形極板群の上部径に対して下部径が小さい円錐台形状が形成され、それによって、円筒形蓄電池の有している3つの問題点が改善されることがわかった。
【0034】
本実施例では、負極板の巻回終端部にテーパを形成したが、負極板にこだわるものではなく、負極板と正極板のいずれかの巻回終端部にテーパを形成すればよい。
【0035】
また、極板終端部をテーパ状に切断する角度は、極板の垂直軸に対して、30度より小さくなると、テーパ形状の効果が小さく、円筒形蓄電池の3つの問題点の改善に対して有効に作用しなかった。また、70度より大きい角度にすると、極板面積が小さくなり、容量および寿命性能の低下が見られた。したがって、テーパの角度は、30度以上、70度以下が好ましいことがわかった。
【0036】
なお、実施例では、円筒形鉛蓄電池について説明したが、本発明は鉛蓄電池に限定されるものでなく、巻回形極板群を円筒形電槽に挿入する形状の蓄電池であれば、同様の効果が得られるのはいうまでもない。
【0037】
【発明の効果】
巻回形極板群を用いた円筒形蓄電池では、その構造上、前記極板群の円筒形電槽への挿入が困難であると共に、電解液の注入性および蓄電池内のガスの排気性が悪いといった問題を有していたが、正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることによって円錐台形状の巻回形極板群を形成することが可能で、上記3つの問題点を改善でき、しかも、巻回終端部にテーパを形成する以外は、従来品の材料および生産方式が適用でき、生産性がほとんど低下することなく円筒形蓄電池の製造が可能でその工業的効果が極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】円錐台形状の巻回形極板群を形成するための帯状で上辺および下辺が円弧形状を有する負極板およびセパレータを示す正面図。
【図2】円錐台形状の芯材を用いて円錐台形状の巻回形極板群を形成する状態を示す一部透視要部正面図(a)および巻回された円錐台形状の巻回形極板群を示す要部正面図(b)。
【図3】本発明の終端部をテーパ形状にした負極板の一例を示す正面図。
【図4】本発明の実施例の円錐台形状の巻回形極板群を示す要部斜視図(a)および要部正面図(b)。
【符号の説明】
1 正極板
2 負極板
21 本発明の負極板
3 セパレータ
4 円錐台形状の芯材
51 従来の巻回形極板群
52 本発明の巻回形極板群
6 負極板の巻回終端部に形成したテーパ
【発明の属する技術分野】
本発明は円筒形蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
蓄電池の極板群は、正極板、負極板およびセパレータから構成されており、特に、円筒形蓄電池では、矩形帯状の正・負極板とセパレータとを長手方向に巻き取って巻回形極板群が形成される。通常、巻取りに際しては、円柱状の芯材を用い、厚みが均一な正・負極板およびセパレータを使用することによって円柱状の極板群が作製される。しかる後、該極板群を有底円筒形電槽に挿入し、円形の蓋で封口後、電解液を注入し、電槽内で化成を行い、円筒形蓄電池が作製される。
【0003】
上記の円筒形蓄電池は3つの問題点を抱えている。
【0004】
その第1は、巻回形極板群の挿入が容易でなく、場合によっては、巻回形極板群の外周部の極板が削られることである。これは、極板群の圧迫力を維持するために、電槽内径と巻回形極板群の外径とがほとんど同じか、むしろ極板群の外径の方を大きくし、圧迫を加えながら挿入されるのが一般的であることによる。
【0005】
第2は、上述したように巻回形極板群が同内寸の円筒形電槽に挿入されるので、蓄電池内に隙間がほとんどなく、電解液の注入がし辛いことである。
【0006】
さらに、第3は、ガスが抜け難く、蓄電池が膨れる場合があることである。これは、鉛蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池のような水溶液系の電解液を用いた場合、充電時に過充電を行うと、水の電気分解により水素ガスと酸素ガスが発生するが、上述したように空間がほとんどないために発生した上記ガスが蓄電池から抜け難く、滞留するために、蓄電池内の圧力が上昇することによる。
【0007】
上記問題に対して、本願発明者は、巻回形極板群を円錐台形状にすることを提案しており、そのことによって、巻回形極板群下部の外径が円筒形電槽の内径より小さくなり極板群が挿入し易くなると共に、円筒形電槽の内壁との間に間隙が形成され、注液がし易く、また、蓄電池内のガスも抜け易くなることを確認している。
【0008】
巻回形極板群を円錐台形状にするには、図1に示すように、従来の矩形帯状ではなくて帯状の上辺および下辺が円弧形状を有する正極板(図1では図示せず)、負極板2およびセパレータ3を用いると共に、正・負極板の厚みを上部が厚く、下部に向かって薄くなる形状にして、円錐台形状の芯材を中心に巻回していく。その巻回方法の一例を図2に示す。
【0009】
図2(a)は巻回方法の一例を示す一部透視要部正面図、(b)は巻回された極板群を示す正面図で、1は正極板(透視で部分的に図示)、2は負極板(部分的に図示)、3はセパレータ、4は円錐台形状の芯材、51は巻回形極板群をそれぞれを示す。
図2(a)に示すように、円錐台形状の芯材4に対して一方向から正極板1、負極板2およびセパレータ3を供給して巻回することによって、(b)に示すような円錐台形状を有する巻回形極板群51が形成される。
【0010】
上記の方法で円錐台形状を有する巻回形極板51を形成するには、いくつかの問題点を抱えている。
【0011】
第1に、正・負極板およびセパレータを従来のような単純な矩形帯状でなく、円弧形状を有する帯状の正・負極板およびセパレータを用いる必要がある。このような形状にするには、前記矩形帯状のように連続した極板を切断して使用することが不可能で、打ち抜きにより形成する必要があり、生産性の点で劣り、しかも、切断時に切断くずが発生するので、格子およびセパレータの材料費の無駄になり、コストが高くなる問題点を有している。
【0012】
第2に、円錐台形状の巻回形極板群を形成するには、正・負極板の上部の厚みを厚くし、下部に行くにしたがって薄くなるようにする必要がある。正・負極板を作製する方法は、正・負極格子にペースト状態の正・負極活物質を充填する方法が一般的であるが、円弧形状を有する帯状格子に上下で厚みが異なるように充填するためには、前記形状にあらかじめ打ち抜いた格子に、一枚ずつ特殊な充填機で充填する必要があり、矩形帯状格子に厚みを均一に充填する場合のように連続充填を行い、その後に切断するといった連続生産の適用が不可能で、この点でも生産性が大幅に劣る問題がある。
【0013】
以上の理由から、実用化されていないのが現状である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来の矩形帯状の正・負極板およびセパレータを使用して生産性の低下がほとんどなく円錐台形状の巻回型極板群を形成し、「従来の技術」の項で述べた円筒形蓄電池における3つの問題点を改善した円筒形蓄電池を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題を解決するための手段として、請求項1によれば、帯状の正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した巻回形極板群を有底円筒形電槽に収納した蓄電池において、
前記巻回形極板群は、円錐台形状で、該極板群の小径側を有底円筒形電槽の底側にして収納したものであると共に、前記正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることによって円錐台形状を形成したことを特徴とするものである。
【0016】
本願発明者は、「従来の技術」の項で述べた円筒形蓄電池における3つの問題点の解決策として円錐台形状の巻回形極板群を用いるのが効果的であることに対して、下部径を上部径に対してどの程度小さくすれば、その効果が得られるのかを試験した結果、下部径を僅かに小さくしただけでも十分にその効果があるということを見出した。本発明は、その結果に基づいてなされたもので、その特徴とするところは、正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることにある。そのことによって巻回形極板群の上部外径に対して下部外径が小さくなり本発明の目的である円錐台形状を有する巻回形極板群を得ることができる。この方法であれば、従来の均一な厚みを有する矩形帯状正・負極板、セパレータおよび円柱状芯材を用いて巻回が可能で、従来の円柱状極板群の生産性と遜色なく、円錐台形状の巻回形極板群を得ることが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、巻回形極板群の正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることにより、実質上の円錐台形状を有する巻回形極板群を形成したことにあり、その具体例を図3および図4(a)、(b)に示す。
【0018】
図3は、本発明の負極板21の巻回終端部に相当する部分にテーパ形状6を形成した一例を示す正面図である。
【0019】
図4(a)は本発明の方式により巻回した極板群の要部斜視図、(b)は、その要部正面図を示し、21は本発明の負極板、52は本発明の巻回形極板群、6は負極板21の巻回終端部に形成されたテーパをそれぞれ示す。
【0020】
図4(a)および(b)に示すように、正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることによって、上端部の径(X)に対して下端部の径(Y)が小さくなった巻回形極板群が得られる。この巻回形極板群は数学的に厳密な意味での円錐台形状ではないが、本発明ではこれをも含めて円錐台形状と定義する。
【0021】
【実施例】
本発明の効果を、実施例に基づき説明する。
【0022】
まず、厚さ0.6mmの純鉛シートを打ち抜き加工により形成した高さ90mmの格子に酸化鉛を主体とする鉛粉と鉛丹とを希硫酸で練膏したペーストを充填し、熟成・乾燥して0.9mmの未化成正極板を作製した。次に、正極板と同じ高さ90mmの格子に酸化鉛を主体とする鉛粉に硫酸バリウム、リグニンスルホン酸、カーボンを所定量添加した後、希硫酸を加え、練膏したペーストを充填し、熟成・乾燥して0.9mmの未化成負極板を作製した。前記負極板は、所定の長さに切断する際に図3に示すような巻回終端部に相当する部分に垂直軸に対して45度のテーパを形成した。該負極板と所定の長さに切断された正極板とを微細ガラス繊維からなり、20kPaの加圧時に0.8mmの厚みを有する所定の長さのガラス繊維セパレータを介して巻回し、図4に示すような巻回形極板群を形成した。極板群の上部の径は45mmで、下部の径はそれより約0.9mm小さく形成した。
【0023】
従来品は、負極板の巻回終端部にテーパを有しない以外は本発明の実施例と同じ内容で作製した。したがって、巻回極板群の径は上下とも45mmであった。
【0024】
これら2種類の巻回形極板群を、内径45.3mmの円筒形電槽に挿入した際の挿入不良率を比較した。その結果を表1に示す。挿入時の不具合は、外周の極板に曲がりが発生したものとした。不良率は従来品の円柱形状の巻回形極板群の不良率を1としたときの比率で表した。
【0025】
【表1】
【0026】
表1に示すように、本発明品は、下部の径が小さいことによって、従来品に比べて不良率が約27%改善された。円筒形蓄電池の第1の問題点である極板群が挿入され難い点について改善された。
【0027】
次に、これらの蓄電池に電解液比重1.26(20℃)の希硫酸を所定量注入した。その際の液あふれ率を比較した。その結果を表2に示す。不具合は、注液後、10分経過した時点で、注液口からの電解液の溢れが発生したかどうかで評価した。この場合も、従来品の不良率を1とした時の比率で表した。
【0028】
【表2】
【0029】
表2に示すように、本発明品は、電槽内壁と極板群との間に形成された隙間が蓄電池内の空気と電解液との置換に有効に作用し、注液不良率は15%改善された。これにより円筒形蓄電池の第2の問題点である注液され辛い点も改善された。
【0030】
注液されたこれらの蓄電池を電槽内で化成を行った後、安全弁を装着して蓄電池を完成させた。これらの蓄電池を2A(約0.2CA)で連続10時間の過充電を行って、充電時のガスの抜け易さを比較した。評価方法は、金属製の外部ケースに挿入せずに、円筒形樹脂電槽のままで過充電を行い、電槽の膨れ状態を測定した。その結果を表3に示す。評価は、各20個の蓄電池を試験し、過充電前後の電槽外径を測定した。過充電後の外径はそれぞれの電槽外径の最大部分を測定し、20個の平均値を求め、それらと過充電前の電槽外径の平均値を1とした時の比率で表した。
【0031】
【表3】
【0032】
表3に示すように、従来品は、過充電後、ガスが排気され難いために蓄電池内に滞留し、電槽の外径の最大部分で約3%膨張したが、本発明品は、電槽と極板群との間に隙間が形成されているので、その隙間に沿ってガスが上昇し蓄電池内に滞留することなく、安全弁から排気され、電槽の膨れは発生しなかった。このように、本発明により、円筒形蓄電池の第3の問題点をも改善できた。
【0033】
以上、説明したように、負極板の巻回終端部をテーパ形状にすることにより、巻回形極板群の上部径に対して下部径が小さい円錐台形状が形成され、それによって、円筒形蓄電池の有している3つの問題点が改善されることがわかった。
【0034】
本実施例では、負極板の巻回終端部にテーパを形成したが、負極板にこだわるものではなく、負極板と正極板のいずれかの巻回終端部にテーパを形成すればよい。
【0035】
また、極板終端部をテーパ状に切断する角度は、極板の垂直軸に対して、30度より小さくなると、テーパ形状の効果が小さく、円筒形蓄電池の3つの問題点の改善に対して有効に作用しなかった。また、70度より大きい角度にすると、極板面積が小さくなり、容量および寿命性能の低下が見られた。したがって、テーパの角度は、30度以上、70度以下が好ましいことがわかった。
【0036】
なお、実施例では、円筒形鉛蓄電池について説明したが、本発明は鉛蓄電池に限定されるものでなく、巻回形極板群を円筒形電槽に挿入する形状の蓄電池であれば、同様の効果が得られるのはいうまでもない。
【0037】
【発明の効果】
巻回形極板群を用いた円筒形蓄電池では、その構造上、前記極板群の円筒形電槽への挿入が困難であると共に、電解液の注入性および蓄電池内のガスの排気性が悪いといった問題を有していたが、正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることによって円錐台形状の巻回形極板群を形成することが可能で、上記3つの問題点を改善でき、しかも、巻回終端部にテーパを形成する以外は、従来品の材料および生産方式が適用でき、生産性がほとんど低下することなく円筒形蓄電池の製造が可能でその工業的効果が極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】円錐台形状の巻回形極板群を形成するための帯状で上辺および下辺が円弧形状を有する負極板およびセパレータを示す正面図。
【図2】円錐台形状の芯材を用いて円錐台形状の巻回形極板群を形成する状態を示す一部透視要部正面図(a)および巻回された円錐台形状の巻回形極板群を示す要部正面図(b)。
【図3】本発明の終端部をテーパ形状にした負極板の一例を示す正面図。
【図4】本発明の実施例の円錐台形状の巻回形極板群を示す要部斜視図(a)および要部正面図(b)。
【符号の説明】
1 正極板
2 負極板
21 本発明の負極板
3 セパレータ
4 円錐台形状の芯材
51 従来の巻回形極板群
52 本発明の巻回形極板群
6 負極板の巻回終端部に形成したテーパ
Claims (1)
- 帯状の正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した巻回形極板群を有底円筒形電槽に収納した蓄電池において、
前記巻回形極板群は、円錐台形状で、該極板群の小径側を有底円筒形電槽の底側にして収納したものであると共に、前記正極板と負極板の少なくとも一方の巻回終端部をテーパ形状にすることによって円錐台形状に形成したことを特徴とする円筒形蓄電池。
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- 2003-03-26 JP JP2003084216A patent/JP2004296159A/ja active Pending
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