JP2004295137A - 電気光学装置、その製造方法及び電子機器 - Google Patents

電気光学装置、その製造方法及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 基板上に形成された配線の腐食を抑える。
【解決手段】 対向して配置した第1基板10及び第2基板20を有し、第1基板10と第2基板20との間に液晶35が挟まれて成る電気光学装置である。この電気光学装置は、液晶35を囲むシール材30と、第1基板10の1辺に沿って、且つ、その1辺と交差する他辺に向かって引き回された配線16とを有する。配線16は、シール材30の内側領域及びシール材30の外側領域の両方にわたって形成されるか、又はシール材30に重なる領域及びシール材30の外側領域の両方にわたって形成された第1配線層181と、シール材30の内側領域又は前記シール材に重なる領域に形成された第2配線層182とを有する。第2配線層182は外気に触れないので腐食しない。
【選択図】 図8

Description

本発明は、液晶装置、EL(Electro Luminescence)装置、電気泳動装置等といった電気光学装置、その電気光学装置の製造方法、及びその電気光学装置を用いて構成される電子機器に関する。
近年、携帯電話機、携帯情報端末機、パーソナルコンピュータ等といった電子機器に、例えば情報を表示するための表示部として液晶装置が広く用いられている。また、今後、液晶装置と共にEL装置が用いられるようになることが考えられる。
上記の液晶装置は、一般に、シール材を介して貼り合わされた一対の基板と、両基板の間に挟まれた液晶と、液晶に対して電圧を印加するための電極とを有する。また、一方の基板のうち他方の基板の外側へ張り出す領域(すなわち、張出し領域)に配線を形成し、この配線の一端に各種実装部品の端子を接続し、この配線を介して上記電極へ電圧を供給するようにした構成が知られている。
ここで、上記の実装部品としては、例えば、張出し領域上にCOG(Chip On Glass)技術を用いて実装されたICチップや、回路基板等といった外部機器と液晶装置とを接続するためのFPC等が考えられる。
しかしながら、張出し領域に形成された配線は外気に曝されるため、この配線には外気中の水分等が付着し易く、従って、この配線は腐食し易い。そして、このようにして配線に腐食が生じる場合には、当該配線と上記実装部品の端子との間の導通が不完全となり、そのため、液晶装置としての信頼性が低下してしまうという問題があった。
一方、配線における配線抵抗を低く抑えることを考慮すると、上記配線はアルミニウムやクロム等の低抵抗金属によって形成されることが望ましいが、この種の金属はイオン化傾向が高く、腐食し易いという性質を有するため、上記問題は一層顕著に現れる。
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、基板上に形成された配線の腐食を抑えることを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る電気光学装置は、
(a)対向して配置した第1基板及び第2基板を有し、該第1基板と該第2基板との間に液晶が挟まれて成る電気光学装置において、
(b)前記液晶を囲むシール材と、
(c)前記第1基板の1辺に沿って、且つ、当該1辺と交差する他辺に向かって引き回された配線とを有し、
(d)該配線は、
(i)前記シール材の内側領域及び前記シール材の外側領域の両方にわたって形成されるか、又は前記シール材に重なる領域及び前記シール材の外側領域の両方にわたって形成された第1配線層と、
(ii)前記シール材の内側領域又は前記シール材に重なる領域に形成された第2配線層とを有する
ことを特徴とする。
以上の構成から成る電気光学装置は、構成要件として液晶を含むことから液晶装置として考えられる。この電気光学装置によれば、第2配線層はシール材の外側領域には形成されないので、この第2配線層に外気中の水分等が付着するのを回避でき、それ故、仮に耐食性が低い導電材料、すなわちイオン化傾向が高い導電材料によって第2配線層を形成したとしても、その第2配線層を腐食から防ぐことができる。
なお、上記の電気光学装置においては、第2配線層は、第1基板のうちシール材に重なる領域に加え、シール材の内側領域、すなわち液晶と対向する領域にも形成することができる。この場合にも、第2配線層に外気中の水分等が付着するのを回避できるので、仮に耐食性が低い導電材料、すなわちイオン化傾向が高い導電材料によって第2配線層を形成したとしても、その第2配線層を腐食から防ぐことができる。
(2) 上記構成の電気光学装置において、前記シール材の外側領域にある前記配線の一端は外部接続回路に接続することができる。ここで、外部接続回路としては、駆動用ICや、駆動用ICを搭載したTAB(Tape Automated Bonding)基板や、駆動用ICに接続されているFPC(Flexible Printed Circuit)等が考えられる。この構成によれば、外部接続回路の出力を配線を通して電気光学装置の内部へ導入できる。
(3) 上記構成の電気光学装置においては、前記第2基板に電極を形成することができ、さらにその場合、当該電極は前記第1基板上の前記配線と導通させることができる。こうすれば、データ信号、走査信号等といった各種信号を配線を通して当該電極に供給できる。
(4) 次に、本発明に係る他の電気光学装置は、第1基板と、該第1基板の1辺に沿って且つ当該1辺と交差する他辺に向かって引き回された配線とを有し、該配線は、前記第1基板上に形成される第1配線層と、該第1配線層の上に部分的に積層される第2配線層と、該第2配線層を被覆する被覆層とを有することを特徴とする。
この構成に係る電気光学装置は、液晶、第2基板及びシール材を必ずしも必須の構成要件としない電気光学装置である。このような電気光学装置としては、例えば、液晶、第2基板及びシール材を含む液晶装置はもとより、液晶、第2基板及びシール材を含まないEL装置も含まれる。
この構成に係る電気光学装置によれば、第2配線層は被覆層によって被覆されて外部に露出しないので、この第2配線層に外気中の水分等が付着するのを回避でき、それ故、仮に耐食性が低い導電材料、すなわちイオン化傾向が高い導電材料によって第2配線層を形成したとしても、その第2配線層を腐食から防ぐことができる。
(5) 上記構成の電気光学装置においては、前記第1基板の上に第1金属膜と絶縁膜と第2金属膜とを積層することによって複数の薄膜ダイオードを形成することができ、この場合には、前記第1配線層は薄膜ダイオードを構成する前記第1金属膜と同一の層によって形成することができる。このように、薄膜ダイオードを構成する複数の要素のうちのいずれかと共通の工程によって配線の一部を形成すれば、当該配線を形成する工程を独立して設ける場合に比べて、製造工程の簡略化及び製造コストの低減を達成できる。
(6) 上記構成の電気光学装置においては、前記第1配線層を薄膜ダイオードの第1金属膜と同一の層によって形成した上で、前記第2配線層を薄膜ダイオードの第2金属膜と同一の層によって形成することができる。このように、薄膜ダイオードを構成する複数の要素のうちのいずれかと共通の工程によって配線の一部を形成すれば、当該配線を形成する工程を独立して設ける場合に比べて、製造工程の簡略化及び製造コストの低減を達成できる。
(7) 上記構成の電気光学装置においては、前記第1基板の上に第1金属膜と絶縁膜と第2金属膜とを積層することによって複数の薄膜ダイオードを形成することができ、この場合には、前記第2配線層だけを薄膜ダイオードの第2金属膜と同一の層によって形成することができる。このように、薄膜ダイオードを構成する複数の要素のうちのいずれかと共通の工程によって配線の一部を形成すれば、当該配線を形成する工程を独立して設ける場合に比べて、製造工程の簡略化及び製造コストの低減を達成できる。
(8) 上記構成の電気光学装置においては、前記第1基板の上に第1金属膜と絶縁膜と第2金属膜とを積層することによって複数の薄膜ダイオードを形成することができ、さらに当該薄膜ダイオードの第2金属膜に接続させて画素電極を形成することができる。そしてこの場合、前記配線は、前記シール材の内側領域及び前記シール材の外側領域の両方にわたって前記第1配線層の上に形成されるか、又は前記シール材に重なる領域及び前記シール材の外側領域の両方にわたって前記第1配線層の上に形成される第3配線層を有することができ、さらに当該第3配線層は前記画素電極と同一の層によって形成することができる。
このように、画素電極を形成するための工程と共通の工程によって配線の一部を形成すれば、当該配線を形成する工程を独立して設ける場合に比べて、製造工程の簡略化及び製造コストの低減を達成できる。
(9) 上記構成の電気光学装置であって、特に、第2基板を有する構成の電気光学装置においては、前記第2基板上に配線を形成することができ、さらに前記第1基板上の配線を当該第2基板上の配線に導通させることができる。
こうすれば、例えば、当該第2基板上の配線に接続させるべき実装部品、例えば駆動用ICやFPC等を当該第2基板上に実装することが不要となる。すなわち、一対の基板のうち一方の基板の面上にのみ実装部品を実装すれば良いので、構成の簡略化及び製造コストの低減を達成できる。
(10) 第1基板上の配線を第2基板上の配線に導通させるようにした上記構成の電気光学装置においては、前記第1基板上の配線と前記第2基板上の配線は、前記シール材に分散された導電粒子を介して導通されることが望ましい。こうすれば、シール材を介して両基板を貼り合わせることによって、両基板上の配線同士を導通させることができるので、両配線を導通させるための特段の構造は不要となる。従って、構成をさらに簡略化でき、しかも製造コストをさらに低減できる。
(11) 上記構成の電気光学装置において、前記第1基板上の前記配線を構成する前記第2配線層は、当該配線を構成する他の配線層よりもイオン化傾向が高いことが望ましい。換言すれば、第1配線層又は第3配線層は、第2配線層よりもイオン化傾向が低いものであることが望ましい。
本発明に係る電気光学装置によれば、上述のように第2配線層の腐食を抑えることができるのであるが、本実施態様のように、シール材の外側領域に伸び出る部分である第1配線層又は第3配線層をイオン化傾向が低い材料によって形成すれば、シール材の外側に露出した配線部分においても腐食を抑えることができる。
(12) 上記構成の電気光学装置において、前記第1基板上の前記配線を構成する前記第2配線層は、当該配線を構成する他の配線層よりも抵抗値が低いことが望ましい。クロムやアルミニウム等といった低抵抗金属は、一般に、イオン化傾向が高くて腐食し易い場合が多い。このような金属によって上記の第2配線層を形成すれば、当該配線層の腐食を有効に抑えつつ、配線抵抗を低く抑えることができる。
(13) 上記構成の電気光学装置において、前記第1基板上に形成された配線のうち前記シール材の外側領域に形成された部分の幅は、前記シール材と重なる領域に形成された部分の幅よりも広くすることが望ましい。換言すれば、第2配線層を有しない部分、すなわち第1配線層によって形成された部分又は第1配線層及び第3配線層の双方によって形成された部分の幅は、第2配線層を有する部分の幅よりも広くすることが望ましい。第2配線層を有しない部分は、当該第2配線層と比較して抵抗値の高い第1配線層又は第3配線層によって構成されるため、この部分においては配線抵抗が高くなってしまうことも考えられる。しかしながら、当該部分の幅を上記のように広くすれば配線抵抗が高くなるのを抑えることができる。
(14) 次に、本発明に係る電子機器は、以上に記載した構成の電気光学装置を用いて構成されることを特徴とする。上述のように、以上に記載した構成の電気光学装置によれば配線の腐食を抑えることができるので、このような電気光学装置を用いた電子機器によれば、導通不良等を回避して高い信頼性を実現できる。
(15) 次に、本発明に係る電気光学装置の製造方法は、シール材を介して貼り合わされた第1基板と第2基板との間に液晶を有し、前記第1基板のうち前記シール材に重なる領域と当該シール材の外側の領域との両方にわたって配線が形成された液晶装置の製造方法であって、前記配線を構成する第1配線層を、前記第1基板のうち前記シール材に重なる領域と当該シール材の外側の領域とにわたって形成する第1配線層形成工程と、前記配線を構成する第2配線層を前記第1基板のうち前記シール材に重なる領域に形成する第2配線層形成工程と、前記第1基板及び第2基板を前記シール材を介して貼り合わせる接合工程とを有することを特徴とする。
この構成の電気光学装置の製造方法によれば、第2配線層はシール材の外側領域には形成されないので、この第2配線層に外気中の水分等が付着するのを回避でき、それ故、仮に耐食性が低い導電材料、すなわちイオン化傾向が高い導電材料によって第2配線層を形成したとしても、その第2配線層を腐食から防ぐことができる。
(16) 上記構成の電気光学装置の製造方法においては、前記第1基板の上に第1金属膜と絶縁膜と第2金属膜とを積層することによって複数の薄膜ダイオードを形成する工程を有することができ、このような場合、前記第1配線層形成工程では、前記薄膜ダイオードの第1金属膜の形成と共に当該第1金属膜と同一の層によって前記第1配線層を形成することができる。また、前記第2配線層形成工程では、前記薄膜ダイオードの第2金属膜の形成と共に当該第2金属膜と同一の層によって前記第2配線層を形成することができる。
こうすれば、薄膜ダイオードと配線とを別個の工程によって作成する場合と比較して、製造コストの低減や製造工程の簡略化を達成できる。
(17) 上記構成の電気光学装置の製造方法においては、前記薄膜ダイオードの第2金属膜に接続するように前記第1基板の上に画素電極を形成することができ、このような場合には、前記接合工程に先立ち、前記配線を構成する第3配線層を、前記第1基板のうちシール材に重なる領域と当該シール材の外側の領域とにわたって形成する工程であって、前記画素電極の形成と共に当該画素電極と同一の層によって前記第3配線層を形成する第3配線層形成工程を実施することが望ましい。こうすれば、製造コストをさらに低減することができる。
以上説明したように、本発明によれば、基板上に形成された配線の腐食を抑えることができる。
(電気光学装置の第1実施形態)
以下、スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode)素子を備えたアクティブマトリクス方式であって、電気光学物質として液晶を用い、さらに、太陽光や室内光等といった外部光を利用する反射型の液晶装置に本発明を適用した場合を例に挙げて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る液晶装置の電気的構成をブロック図によって示している。同図に示すように、液晶装置1は、X方向に延在する複数の走査線25と、X方向に直角なY方向に延在する複数のデータ線11と、走査線25及びデータ線11の各交差部分に設けられた複数の表示ドット50とを有する。各表示ドット50は、液晶表示要素51とTFD素子13とが直列に接続された構成となっている。これらの表示ドット50はマトリクス状に配列されている。
これらの表示ドット50の1個は、像を表示するための最小単位の表示要素のことであり、表示像がR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の組み合わせによって形成されるカラー像である場合には、R,G,Bの3個の表示ドット50が集まって1個の画素が形成される。他方、表示像が白黒像である場合には、1個の表示ドット50によって1個の画素が形成される。
図1において、複数の走査線25のうち、上から数えて奇数本目の走査線25は、第1YドライバIC40aに接続される。一方、上から数えて偶数本目の走査線25は第2YドライバIC40bに接続される。そして、これらのYドライバIC40a,40bによって生成された走査信号が各走査線25に供給される。なお、以下では、第1YドライバIC40aと第2YドライバIC40bとを特に区別する必要がない場合には、それらを単にYドライバIC40と表記する。
複数のデータ線11は、それぞれ、XドライバIC41に接続され、このXドライバIC41によって生成されたデータ信号がそれらのデータ線11に供給される。一方、マトリクス状に配列する複数の表示ドット50の各々は、本実施形態の場合は、R,G又はBのいずれかの色に対応する。
次に、図2(a)は、本実施形態に係る液晶装置1を観察側、すなわち観察者が位置すべき側から見た場合を示している。また、図2(b)は、この液晶装置1を背面側、すなわち図2(a)と反対側から見た場合を示している。なお、以下では、図2(a)及び図2(b)に示すように、X軸の負方向を「A側」、その正方向を「B側」と表記する。
図2(a)及び図2(b)に示すように、液晶装置1は、相互に対向する素子基板10及び対向基板20がシール材30によって貼り合わされると共に、両基板とシール材30とによって囲まれた領域に液晶(図2においては図示が省略されている)が封入された構成となっている。シール材30は、対向基板20の縁辺、すなわち外周辺に沿って略長方形の枠状に形成される。そしてこのシール材30の一部には、液晶を封入するための開口が形成される。この開口を通して液晶が封入された後、その開口は封止材31によって封止される。
シール材30には導電性を有する多数の導電粒子が分散されている。これらの導電粒子は、例えば金属のメッキが施されたプラスチックの粒子や、導電性を有する樹脂の粒子であり、素子基板10及び対向基板20の各々に形成された配線同士を導通させる機能と、両基板の間隙、すなわちセルギャップを一定に保つスペーサとしての機能とを兼ね備える。なお、実際には、素子基板10及び対向基板20の外側の表面に、入射光を偏光させるための偏光板や、干渉色を補償するための位相差板等が貼着されるが、これらは本発明と直接の関係がないため、その図示及び説明を省略する。
素子基板10及び対向基板20は、例えば、光透過性ガラス、光透過性石英、光透過性プラスチック等といった光透過性を有する板状部材によって形成される。これらの基板のうち、観察側に位置する素子基板10の内側表面、すなわち液晶側表面には、上述した複数のデータ線11が形成される。一方、背面側に位置する対向基板20の内側の面上には、複数の走査線25が形成される。
素子基板10は、対向基板20の外側に張り出す張出し領域10aを有し、この張出し領域10aはシール材30の外周縁から外側へ張り出した領域、すなわち、シール材30及びそのシール材30の内側に封入された液晶と重ならない領域である。張出し領域10aのうちX方向の中央部近傍にはXドライバIC41が実装されている。また、当該XドライバIC41を挟んでX方向で対向する位置には、第1YドライバIC40a及び第2YドライバIC40bが実装されている。
上記の各ドライバIC41,40a,40bは、それぞれ、COG技術を用いて張出し領域10aの上に実装されている。すなわち、これらのドライバICは、接着材中に導電粒子を分散させたACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)を用いて素子基板10の張出し領域10a上に接合されている(図8(b)参照)。また、張出し領域10aの縁端部には複数の外部接続端子17が形成される。これらの外部接続端子17が形成された部分には、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)(図示せず)の一端が接続され、このFPCの他端には、例えば回路基板等といった外部機器が接続される。これにより、外部機器から出力される電源電力や電気信号等がFPCを通して外部接続端子17へ供給される。
XドライバIC41は、外部機器からFPC及び外部接続端子17を介して入力された信号に応じてデータ信号を生成し、これをデータ線11へ出力する。他方、YドライバIC40は、外部機器からFPC及び外部接続端子17を介して入力された信号に応じて走査信号を生成して出力する。この走査信号は、素子基板10上に形成された引回し配線16からシール材30中の導電粒子を介して対向基板20上の各走査線25へ与えられる。
次に、シール材30の内周縁によって囲まれた領域、すなわち表示領域V内の構成を説明する。図3は、図2(a)におけるC−C’線に従った断面のうち表示領域V内の一部分を示す図である。また、図4は、表示領域V内に形成された数個の表示ドットを示す斜視図である。なお、図4におけるD−D’線に従った断面図が図3に相当する。
これらの図に示すように、表示領域V内における素子基板10の内側表面、すなわち液晶35側の表面には、マトリクス状に配列された複数の画素電極12と、各画素電極12の間隙部分においてY方向に延在する複数のデータ線11とが形成されている。各画素電極12は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等といった透明導電材料によって形成された略矩形状の電極である。そして、各画素電極12と、当該画素電極12に一方の側において隣接するデータ線11とはTFD素子13を介して接続されている。
また、図3に示すように、データ線11、画素電極12及びTFD素子13が形成された素子基板10の表面は、配向膜56(図4においては図示略)によって覆われている。この配向膜56はポリイミド等から成る有機薄膜であり、この配向膜には、電圧が印加されていないときの液晶35の配向を規定するためのラビング処理が施されている。
図5(a)は、素子基板10上における1つの表示ドット50を対向基板20側、すなわち観察側に対する背面側から見た場合を示している。また、図5(b)は図5(a)におけるE−E’線に従った断面図であり、図5(c)は図5(a)におけるF−F’線に従った断面図である。図5(a)及び図5(c)に示すように、データ線11は、主配線11aと、当該主配線11a上に積層された補助配線11bとから成る。補助配線11bは、例えば主配線11aが断線した場合に当該主配線11aに代えてデータ線11として機能する配線であり、画素電極12と同一層によって形成される。
一方、図5(a)及び図5(b)に示すように、TFD素子13は、X方向に延在してデータ線11の主配線11aと交差する第1金属膜13aと、この第1金属膜13aの表面に陽極酸化によって形成された絶縁膜13bと、この絶縁膜13bの表面に相互に離間して形成された第2金属膜11c及び13cとによって構成されている。
第1金属膜13aは、例えばタンタル(Ta)単体や、タングステン(W)等を含むタンタル合金といった各種の導電性材料によって形成される。但し、本実施形態においては、第1金属膜13aがタンタルによって形成されるものとする。また、第2金属膜11cは、図5(a)に示すように、データ線11を構成する主配線11aのうち第1金属膜13aと交差する部分に位置する。なお、上記補助配線11bは、主配線11aのうち第2金属膜11cに相当する部分以外の部分の面上に積層されている。
第2金属膜13cは画素電極12に接続されている。また、データ線11の主配線11a(第2金属膜11cを含む)及び第2金属膜13cは、クロム(Cr)やアルミニウム(Al)といった各種の導電性材料から成る同一の層によって形成される。但し、本実施形態においては、主配線11a及び第2金属膜13cがクロムによって形成されるものとする。
TFD素子13は、第1TFD素子131と第2TFD素子132とによって構成される。すなわち、図5(a)及び図5(b)に示すように、第1TFD素子131は、データ線11の側から見ると第2金属膜11c、絶縁膜13b及び第1金属膜13aがこの順に積層された構成となり、金属/絶縁体/金属のサンドイッチ構造を採る結果、正負双方向のダイオードスイッチング特性を有する。
一方、第2TFD素子132は、データ線11の側から見ると第1金属膜13a、絶縁膜13b及び第2金属膜13cがこの順に積層された構成となり、第1TFD素子131とは反対のダイオードスイッチング特性を有する。
このように、TFD素子13は、2つのダイオードを互いに逆向きに直列接続した構成となっているため、1つのダイオードを用いた場合と比較して、電流−電圧の非線形特性が正負の双方向にわたって対称化される。但し、この非線形特性の対称性を確保するためには、第1TFD素子131の絶縁膜13bと第2TFD素子132の絶縁膜13bとを同一の厚さにすると共に、第1TFD素子131において第1金属膜13aと第2金属膜11cとが対向する面積を、第2TFD素子132において第1金属膜13aと第2金属膜13cとが対向する面積と等しくする必要がある。
そして、本実施形態においては、第1TFD素子131における当該面積を第2TFD素子132における当該面積と同一とするために、図5(a)に示すように、データ線11を構成する主配線11aのうち第2金属膜11cに対応する部分の幅をその他の部分の幅と比較して狭くしている。
図3及び図4において、対向基板20の面上には、反射層21、カラーフィルタ22、遮光層23、オーバーコート層24、複数の走査線25及び配向膜26が形成されている。反射層21は、例えばアルミニウムや銀といった光反射性を有する金属によって形成された薄膜である。図3において、観察側から液晶装置に入射した光Rは、この反射層21の表面において反射して観察側に出射し、これにより、いわゆる反射型表示が実現される。
ここで、図3に示すように、対向基板20の内側表面のうち反射層21によって覆われる領域は、多数の微細な凹凸が形成された粗面となっている。従って、この粗面を覆うように薄膜状に形成された反射層21の表面には、当該粗面を反映した微細な凹凸が形成される。そして、この凹凸が、光を散乱するための散乱構造として機能する。この結果、観察側からの入射光は、反射層21の表面において適度に散乱した状態で反射するので、反射層21の表面における鏡面反射を回避して広い視野角が実現される。
カラーフィルタ22は、各表示ドット50に対応して反射層21の面上に形成された樹脂層であり、図4に示すように、染料や顔料によってR(赤色)、G(緑色)又はB(青色)のうちのいずれかに着色されている。そして、相互に異なる色の3つの表示ドット50によって、表示画像を形成する1つの画素が構成される。
遮光層23は、素子基板10上にマトリクス状に配列する画素電極12の間隙部分に対応して格子状に形成され、各画素電極12同士の隙間を遮光する役割を担っている。本実施形態における遮光層23は、図3に示すように、R、G、Bの3色分のカラーフィルタ22が積層された構成を有する。オーバーコート層24は、カラーフィルタ22及び遮光層23によって形成された凹凸を平坦化するための層であり、例えばエポキシ系やアクリル系等の樹脂材料によって形成される。
走査線25は、オーバーコート層24の上に、ITO等といった透明導電材料によって形成された帯状の電極である。図4に示すように、各走査線25は、素子基板10上においてX方向に列をなす複数の画素電極12と対向するようにX方向に延在して形成される。そして、画素電極12と、これに対向する走査線25と、両者によって挟まれた液晶35とによって、図1に示した液晶表示要素51が構成される。
走査線25に走査信号を供給すると共に、データ線11にデータ信号を供給することによってTFD素子13にしきい値以上の電圧を印加すると、当該TFD素子13はオン状態となる。そしてこの結果、TFD素子13に接続された液晶表示要素51に電荷が蓄積され、液晶35の配向が変化する。こうして表示ドット50ごとに液晶35の配向を変化させることにより、所望の表示を行なうことができる。また、電荷が蓄積された後に当該TFD素子13がオフ状態となっても、液晶表示要素51における電荷の蓄積は維持される。
図3において、複数の走査線25が形成されたオーバーコート層24の表面は配向膜26によって覆われる。この配向膜26は、素子基板10上に形成する配向膜56と同じ材料によって形成され、さらに配向膜56と同様にしてラビング処理が施される。
次に、図6を参照して、本実施形態に係る液晶装置の配線の態様を説明する。
図6は液晶装置1を観察側、すなわち素子基板10側から見た場合の平面構造であって、素子基板10を構成する基板素材を取り除き、その基板素材上に形成されるデータ線11等はそのまま図示した状態を示している。図6における紙面手前側から奥側に向かう方向が図2(a)及び図2(b)におけるZ軸の正方向に相当する。従って、図6においては、素子基板10が紙面に対して最も手前側に位置し、これ以外の要素は素子基板10に対して紙面奥側に位置する。
図6において、各データ線11は、表示領域V内においてY方向に延在すると共に、シール材30の一辺30aを横切って張出し領域10aに延び出ている。
そして、各データ線11のうち張出し領域10a内に張り出したそれらの端部は、ACF29内に含まれる導電粒子によってXドライバIC41の出力端子に接続される。この構成により、XドライバIC41によって生成されたデータ信号は、各データ線11に出力される。
図6において、対向基板20上においてX方向に延在する複数の走査線25(斜線が付されている)は、1本ごとに交互にA側及びB側に引き出され、その引き出された端部がシール材30と重なるようになっている。ここで、図7は、図6におけるG−G’線に従った断面図、すなわち奇数本目の走査線25に対応する断面図である。図7に示すように、対向基板20のうちシール材30によって覆われた領域の近傍にはカラーフィルタ22やオーバーコート層24等は形成されていない。これに対し、奇数本目の走査線25は、オーバーコート層24の上面から対向基板20の上面に至ると共に、そのままシール材30のB側の辺に向かってX方向に延在して、その端部がシール材30によって覆われる。つまり、走査線25の端部は、対向基板20とシール材30との間に介在する。
さらに、図6において、走査線25のうちシール材30によって覆われる端部(以下、「導通部25a」と表記する)の幅は、表示領域V内に存在する部分の幅と比較して広くなっている。偶数本目の走査線25についても同様であり、図6に示すように、シール材30のA側の辺に向かってX方向に延在し、その端部に位置する導通部25aがシール材30のA側の辺と重なるようになっている。
なお、素子基板10の液晶側表面であってシール材30の内周縁近傍には、表示領域Vの縁辺に沿った枠状の形状を有する周辺遮光層57が形成される。この周辺遮光層57は、表示領域Vの縁辺近傍を遮光するための層である。
図6及び図7において、素子基板10の液晶側表面には、当該素子基板10のうちY方向に延在する2つの縁辺に沿って、且つ、当該縁辺と交差する他辺に向かって、複数の引回し配線16が形成されている。各引回し配線16は、YドライバIC40の出力端子と走査線25とを接続するための配線である。より具体的には、引回し配線16は、図6に示すように、素子基板10のうちB側の縁辺に沿って形成された引回し配線161と、素子基板10のうちA側の縁辺に沿って形成された引回し配線162とから成る。これらの引回し配線16の各々は、導通部16aと、素子基板10の縁辺に沿って延在する延在部16bとを有する。
各引回し配線16の導通部16aは、走査線25の導通部25aと対向するように形成されている。そして、図7に示すように、対向基板20上に形成された奇数本目の走査線25の導通部25aは、シール材30に分散された導電粒子32を介して、素子基板10上に形成された引回し配線161の導通部16aと導通する。偶数本目の走査線25についても同様であり、その導通部25aは、シール材30のA側の辺に位置する導電粒子32を介して、素子基板10上に形成された引回し配線162の導通部16aと導通する。
各引回し配線16の延在部16bは、図6に示すように、その一端が導通部16aに連結されると共に、素子基板10のうちシール材30によって覆われた領域、すなわちシール材30と重なる領域を通って張出し領域10aに達するように延在する。より具体的には、引回し配線161の延在部16bは、素子基板10の面上においてシール材30のB側の辺によって覆われると共に当該B側の辺と略同一方向に延在して、張出し領域10aのB側の部分、つまり、第1YドライバIC40aが実装されるべき部分に向かって延在する。そして、当該延在部16bのうち張出し領域10a内に張り出した端部が、第1YドライバIC40aの出力端子に接続される。
他方、引回し配線162の延在部16bは、素子基板10の面上においてシール材30のA側の辺によって覆われると共に当該A側の辺と略同一方向に延在し、張出し領域10aのA側の部分に張り出した端部が第2YドライバIC40bの出力端子に接続される。このように、本実施形態においては、引回し配線16の延在部16bのうちシール材30の辺によって覆われた部分が、当該辺と略同一方向に延在するようになっている。換言すれば、シール材30の辺のうち引回し配線16の一部の延在方向と略同一方向に延びる辺が、当該引回し配線16の一部を覆うように、当該シール材30が形成されている。
このため、シール材30のうちY方向に延在する二辺、すなわち引回し配線16を覆うべき二辺の幅は、X方向に延在する二辺の幅と比較して広くなっている。すなわち、X方向に延在する二辺は、素子基板10と対向基板20とを貼り合わせ得る幅であれば十分であるのに対し、Y方向に延在する二辺については、両基板を貼り合わせるだけでなく、引回し配線16を覆うことができるように、その幅が選定されている。
第1YドライバIC40aから出力された走査信号は、素子基板10上に形成された引回し配線161の延在部16b及び導通部16a、並びにシール材30のB側の辺に分散された導電粒子32を介して、対向基板20上に形成された奇数本目の走査線25の導通部25aに供給される。同様に、第2YドライバIC40bから出力された走査信号は、引回し配線162及びシール材30のA側の辺に分散された導電粒子32を介して偶数本目の走査線25の導通部25aに供給される。
このように、本実施形態においては、引回し配線16がシール材30によって覆われた部分を有するため、当該部分に水分等が付着して腐食が生じるのを回避できる。さらに、この部分においては、水分や導電性の不純物が複数の引回し配線16に跨って付着するという事態が生じないので、配線間に短絡が生じることがなく、それ故、引回し配線16同士の間隔を狭くすることができる。そしてこの結果、引回し配線16が形成されるべきスペースを狭くすることができる。
次に、引回し配線16の層構成を説明する。本実施形態における引回し配線16は、TFD素子13及び画素電極12といった表示領域V内にある要素と同一の層から形成されるようになっている。但し、引回し配線16のうち張出し領域10a内に位置する部分、すなわちシール材30の外側領域にある部分と、シール材30によって覆われた部分、すなわちシール材30と重なる領域にある部分とでは、その層構造が異なる。詳述すると、以下の通りである。
図8(a)は、図6において矢印Pで示す部分、すなわち引回し配線16のうち張出し領域10aに延び出た部分を拡大して示している。また、図8(b)は、図8(a)におけるH−H’線に従った断面図である。また、図8(c)は、図8(a)及び図8(b)におけるI−I’線に従った断面図である。また、図8(d)は、図8(a)及び図8(b)におけるJ−J’線に従った断面図である。
これらの図に示すように、引回し配線16は、第1配線層181と第2配線層182と第3配線層183とによって構成される。第1配線層181はTFD素子13の第1金属膜13a(図5(b)参照)と同一層から形成され、第2配線層182はデータ線11の主配線11a及びTFD素子13の第2金属膜13c(図5(b)参照)と同一層から形成され、第3配線層183は画素電極12(図5(b)参照)と同一層から形成される。すなわち、本実施形態においては、第1配線層181はタンタルから成り、第2配線層182はクロムから成り、第3配線層183はITOから成る。ここで、クロムはタンタル又はITOと比較してイオン化傾向が高いため、第2配線層182は第1配線層181及び第3配線層183と比較して腐食し易い。
第1配線層181及び第3配線層183は、図6の導通部16aから張出し領域10a内に位置する端部にわたる引回し配線16の全長に対応して形成されている。これに対し、第2配線層182は、素子基板10のうちシール材30と対向する領域、すなわち素子基板10のうちシール材30と重なる領域内のみに形成されている。
より具体的には、第2配線層182は、シール材30の外周縁から所定の長さだけ内側に位置する境界(以下、配線境界という)10bから見て張出し領域10aとは反対側においてのみ形成されており、張出し領域10a内には形成されていない。従って、引回し配線16のうち当該配線境界10bから見て導通部16a側の部分、すなわち、シール材30と重なる領域に形成された部分は、図8(b)及び図8(c)に示すように、第1配線層181、第2配線層182及び第3配線層183の3層がこの順に積層された構成となっている。これに対し、上記配線境界10bから見て張出し領域10a側の部分は、図8(b)及び図8(d)に示すように、第1配線層181及び第3配線層183の2層のみが積層された構成となっている。
ところで、図8(a)において、引回し配線16のうち張出し領域10a内に形成された部分はY方向に対して所定の角度を成して延在している。このため、この部分においては、Y方向に延在する部分、つまり、シール材30によって覆われた部分と比較して広いピッチを確保することができる。そして、本実施形態においては、引回し配線16のうち張出し領域10a内に形成された部分の幅W1が、シール材30によって覆われた部分の幅W2よりも広くなっている。
また、図8(b)において、素子基板10の端部に形成された外部接続端子17は、引回し配線16のうち配線境界10bから見て張出し領域10a側の部分と同様の層構成となっている。すなわち、各外部接続端子17は、タンタルから成る第1配線層181とITOから成る第3配線層183とが積層された構成となっている。
以上に説明したように、本実施形態においては、引回し配線16を構成する複数の配線層の一部である第2配線層182をシール材30と重なる領域内に形成する一方、これ以外の配線層である第1配線層181を当該引回し配線16の全長に対応して形成したので、当該引回し配線16の腐食を有効に抑えることができるという利点がある。すなわち、クロムから成る第2配線層182は抵抗値が低い反面、タンタルから成る第1配線層181やITOからなる第3配線層183と比較してイオン化傾向が高く、大気に対する耐食性が低いため、腐食し易いという特性を有する。
このため、引回し配線16のうちシール材30によって覆われていない部分や外部接続端子17に第2配線層182を形成した場合には、当該第2配線層182が外気中の水分等の付着に起因して腐食し易いという問題が生じ得る。これに対し、本実施形態によれば、イオン化傾向の高い第2配線層182がシール材30によって覆われた領域のみに形成されており、当該第2配線層182に水分等が付着するのを回避できるので、第2配線層182の腐食を抑えることができる。
他方、第1配線層181を構成するタンタル及び第3配線層183を構成するITOは第2配線層182を構成するクロムと比較して抵抗値が高い。このため、引回し配線16を、その全長にわたって第1配線層181及び第2配線層182のみによって形成した場合には配線抵抗が高くなり、液晶装置の表示特性に悪影響を与えるおそれがある。これに対し、本実施形態によれば、引回し配線16のうちシール材30によって覆われた部分には、抵抗値が低い第2配線層182が形成されているため、配線抵抗の上昇を抑えることができるという利点がある。
さらに、本実施形態においては、引回し配線16のうち張出し領域10a内に形成された部分の幅が、シール材30によって覆われた部分の幅よりも広くなっている。換言すれば、第1配線層181と第3配線層183とから成る部分の幅が、第2配線層182を含む部分の幅よりも広くなっている。このため、張出し領域10a内の部分が、比較的抵抗値の高い第1配線層181と第3配線層183とによって構成されているにもかかわらず、当該部分における配線抵抗が極端に高くなってしまうという不都合が回避される。
(電気光学装置の製造方法の実施形態)
次に、電気光学装置の製造方法について説明する。まず、図3の素子基板10上に設けられる、データ線11、TFD素子13等といった各要素の製造方法について説明する。図9及び図10は、素子基板10上における1つの表示ドット50の製造方法を工程順に示している。また、図11は、素子基板10上の引回し配線16の製造方法を工程順に示している。
上述したように、本実施形態における引回し配線16は、TFD素子13及び画素電極12を構成する各層と同一の層によって形成される。従って、以下では、表示ドット50と引回し配線16の双方の製造工程を並行して説明する。また、図6における引回し配線16が形成されるべき領域に関して、張出し領域10aと、シール材30が形成されるべき領域と、YドライバIC40が実装されるべき領域との位置関係は、図11(a)に示す通りである。
まず、図9(a)及び図11(a)に示すように、素子基板10の面上にタンタルからなる金属膜61を形成する。この金属膜61の成膜には、例えばスパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用いることができる。金属膜61の膜厚は、TFD素子13の用途等に応じて好適な値が選択されるが、通常は、100nm〜500nm程度である。なお、金属膜61の形成前に、素子基板10の表面に酸化タンタル(Ta)等から成る絶縁膜を形成しても良い。この絶縁膜を下地として金属膜61を形成すれば、当該金属膜61と素子基板10との密着性を高めると共に素子基板10から金属膜61への不純物の拡散を抑えることができる。
次に、金属膜61を、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によってパターニングする。具体的には、図6の表示領域V内においては、図9(e1)に示すようなTFD素子13の第1金属膜13aに対応する形状であって、図9(a1)に示すようなX方向に列を成す複数の表示ドット50に沿って延びる形状に、金属膜61がパターニングされる。
一方、図6の引回し配線16が形成されるべき領域においては、上記パターニングと同じ工程によって、図11(b)に示すように、引回し配線16を構成する第1配線層181と、外部接続端子17を構成する第1配線層181とが形成される。上述したように、引回し配線16を構成する第1配線層181は、図6の導通部16aから張出し領域10a内に位置する端部までに至る引回し配線16の全長に対応して形成される。
次に、図9(a)において表示領域V内に形成された金属膜61の表面を陽極酸化法によって酸化させることにより、図9(b)に示すように、当該金属膜61の表面に酸化タンタルから成る酸化膜62を形成する。具体的には、素子基板10を所定の電解液中に浸漬し、表示領域V内の金属膜61と電解液との間に所定の電圧を印加して当該金属膜61の表面を酸化させる。酸化膜62の膜厚は、TFD素子13の特性に応じて好適な値が選択されるが、例えば10〜35nm程度である。なお、陽極酸化に用いられる電解液としては、例えば0.01〜0.1重量%のクエン酸水溶液を用いることができる。この後、ピンホールの除去や膜質の安定化を図るために、上記陽極酸化によって形成した酸化膜62に対して熱処理を施す。なお、図11(b)に示す引回し配線16のための第1配線層181に対しては陽極酸化は施こさない。従って、この第1配線層181の表面に酸化膜は形成されない(図11(c)参照)。
次に、図9(c)及び図11(c)に示すように、素子基板10の全面を覆うように金属膜63を形成する。この金属膜63は、例えばスパッタリング法等によって、50nm〜300nm程度の膜厚に形成される。この金属膜63は、図10(c1)のデータ線11のうちの主配線11a及び図9(e1)のTFD素子13の第2金属膜13c、並びに図11(f)の引回し配線16の第2配線層182となる薄膜である。従って、本実施形態における金属膜63はクロムによって形成される。
この後、図9(c)及び図11(c)において、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によって金属膜63をパターニングする。これにより、表示領域V内においては、図9(d)及び図9(d1)に示すように、第2金属膜11cに相当する細くなった部分を有する主配線11aと、図9(e1)の第2TFD素子132の第2金属膜13cとが形成される。
他方、引回し配線16が形成されるべき領域においては、図11(c)における金属膜63のパターニングにより、図11(d)に示すように第2配線層182が形成される。すなわち、引回し配線16のうち配線境界10bから導通部16a(図6参照)側の部分に対応した形状の第2配線層182が形成される。換言すると、先の工程で形成された第1配線層181の面上に位置する金属膜63のうち、配線境界10bから見て張出し領域10a側の部分(外部接続端子17が形成されるべき部分を含む)に対応する金属膜63が除去される。
次に、図9(d)において、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を用いて上述した金属膜61及び酸化膜62をパターニングして、図9(e)及び図9(e1)に示すように、各表示ドット50のTFD素子13を構成する第1金属膜13a及び絶縁膜13bを形成する。すなわち、酸化膜62によって覆われた金属膜61のうち、X方向に列を成す各表示ドット50同士の間の部分を除去することにより、第2金属膜11c及び13cの双方と交差する島状の部分となるように第1金属膜13a及び絶縁膜13bをパターニングする。この工程により、第1TFD素子131及び第2TFD素子132が各表示ドット50ごとに形成される。なお、図10(a)は、図9(e1)におけるF−F’線に従った断面図であって、データ線11の主配線11a及び第2TFD素子132の第2金属膜13cの断面形状を示している。
また、図9(d)における金属膜61及び酸化膜62のパターニングに際しては、図11(d)における引回し配線16用の第1配線層181及び第2配線層182には何ら処理は施されない。
ところで、上記の例では、図9(c)の金属膜63にパターニング処理を施した後に、図9(d)の金属膜61及び酸化膜62にパターニング処理を施すようにしたが、これとは逆に、金属膜61及び酸化膜62のパターニングを行なった後に、金属膜63の形成及び当該金属膜63のパターニングを行なうようにしても良い。
次に、図10(b)及び図11(e)に示すように、ITOから成る透明導電膜64を素子基板10の全面を覆うように形成する。この成膜には、例えばスパッタリング法等を用いることができる。この後、透明導電膜64を、例えばフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によってパターニングする。これにより、表示領域V内においては、図10(c)及び図10(c1)に示すように、第2TFD素子132の第2金属膜13cに接続された画素電極12と、主配線11aと共にデータ線11を構成する補助配線11bとが形成される。
他方、表示領域Vの外側においては、図11(f)に示すように、引回し配線16の全長に対応して第1配線層181及び第2配線層182を覆う第3配線層183と、外部接続端子17の第1配線層181を覆う第3配線層183とが形成される。
この後、図3に示すように素子基板10のうち表示領域Vを覆う配向膜56を形成すると共に、当該配向膜56に対して所定方向にラビング処理を施す。次いで、図11(g)において、導電粒子32が分散されたシール材30を、例えばスクリーン印刷等の技術を用いて塗布する。なお、このときには、第2配線層182を全長にわたって覆うように、すなわち第2配線層182が張出し領域10aに至らないように、当該シール材30を塗布する。
以上が、図3の素子基板10上に各種要素を製造するための製造方法である。
この一方で、対向基板20上に設けられる各要素は、例えば、図12及び図13に示す工程を経て形成される。なお、これらの図は、図6の対向基板20のうちシール材30によって覆われるべき領域の断面の近傍を示している。シール材30が形成されるべき領域は、図12(a)において「シール領域」として示されている。
まず、図12(a)において、対向基板20のうち反射層21が形成されるべき領域の表面を粗面化する。具体的には、例えば、エッチング処理を用いて、当該対向基板20の表面のうち多数の微細な領域を所定の厚さだけ選択的に除去する。これにより、除去された部分に対応する凹部と、除去されなかった部分に対応する凸部とを有する粗面が対向基板20の表面上に形成される。
但し、対向基板20の表面を粗面化する方法はこれに限られるものではない。
例えば、対向基板20を覆うようにエポキシ系やアクリル系の樹脂層を形成し、当該樹脂層表面の多数の微細な部分をエッチングによって選択的に除去する。この後、当該樹脂層に熱を加えて軟化させ、エッチングによって生じた角の部分を丸めることにより、滑らかな凹凸を有する粗面を形成しても良い。
次に、図12(a)において対向基板20の全面を覆うように、光反射性を有する金属の薄膜を、スパッタリング法等を用いて形成する。この薄膜は、例えばアルミニウムや銀といった単体金属、又はこれらを主成分とする合金等によって形成される。この後、フォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を用いて当該薄膜をパターニングすることにより、図12(b)に示す反射層21を形成する。
次に、図12(c)に示すように、反射層21の面上にカラーフィルタ22及び遮光層23を形成する。すなわち、まず、染料や顔料によってR(赤)、G(緑)又はB(青)のうちのいずれかの色、例えばR色に着色された樹脂膜を反射層21の面上に形成した後、R色のカラーフィルタ22が形成されるべき領域と、遮光層23が形成されるべき格子状の領域、すなわち表示ドット50同士の間隙領域とを残して、当該樹脂膜を除去する。以後、これと同様の工程を、他の2色、すなわちG色及びB色についても繰り返すことにより、図12(c)に示すように、R、G又はBのいずれかの色に対応するカラーフィルタ22と、これらの3色の層が積層された遮光層23とが形成される。
この後、図12(d)において、カラーフィルタ22及び遮光層23を覆うようにエポキシ系又はアクリル系の樹脂材料を塗布し、さらにそれを焼成して、オーバーコート層24を形成する。次に、図13(e)において、上記各要素が形成された対向基板20の全面を覆うようにITO等から成る透明導電膜65を形成する。この成膜には、例えばスパッタリング法等を用いることができる。
この透明導電膜65をフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理によってパターニングして、図13(f)に示すように、複数の走査線25を形成する。これらの走査線25は、1本ごとに、シール材30のA側及びB側の辺が形成されるべき領域に至るように形成され、その端部には導通部25aが形成される。この後、図13(g)に示すように、表示領域Vを覆うように配向膜26を形成すると共に、当該配向膜26に対してラビング処理を施す。
次に、上記各工程を経て得られた素子基板10と対向基板20とを、図2に示すように、各々の電極形成面が対向するようにシール材30を間に挟んで貼り合わせる。このとき、図6において、各走査線25の導通部25aと引回し配線16の導通部16aとがシール材30を挟んで対向するように、両基板10,20の相対的な位置が調整される。
そして、図2において両基板10,20とシール材30とによって囲まれた領域内に、シール材30の開口部分を介して液晶を封入し、その後、当該開口部分を封止材31によって封止する。この後、両基板10,20の外側表面に偏光板や位相差板等を貼着すると共に、素子基板10の張出し領域10aにXドライバIC41及びYドライバIC40をCOG技術を用いて実装し、これにより、上述した液晶装置1が得られる。
このように、本実施形態によれば、引回し配線16がTFD素子13及び画素電極12と共通の層から形成されるため、TFD素子13及び引回し配線16の各々を形成する工程を別個に実施した場合と比較して、製造工程の簡略化及び製造コストの低減が達成できる。
ところで、図8(b)に示した耐食性の低い第2配線層182の腐食を防ぐための他の手段として、例えば、引回し配線16のうち当該第2配線層182が形成された部分を、樹脂材料等から成る絶縁層によって覆うことも一応考えられる。しかしながら、この場合には、当該絶縁層を形成するための工程が不可欠となるので、その分だけ製造コストが高くなってしまう。これに対し、本実施形態によれば、第2配線層182がシール材30によって覆われるようになっているため、上記のような絶縁層を形成するための独立した工程は不要である。従って、本実施形態によれば、製造コストの増加や製造工程の煩雑化を伴うことなく、第2配線層182の腐食を抑えるという効果を得ることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態はあくまでも例示であり、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
(電気光学装置の第2実施形態)
図6に示した先の実施形態では、引回し配線16の一部が、当該一部と略同一方向に延びるシール材30の辺によって覆われた構成となっていたが、これに代えて、図14に示すような構成を採用できる。なお、図14は、液晶装置81を観察側から見たときの配線の態様を示している。また、図14において図6に示した構成要素と同じ構成要素については同一の符号を付すことにする。また、図14においては、図6と同様に、素子基板10が紙面に対して最も手前側に位置し、これ以外の要素は当該素子基板10に対して紙面奥側に位置する。
図14において、引回し配線16は、素子基板10上に形成されていて、導通部16aと延在部16bとから成っている。そして、導通部16aが、シール材30中の導電粒子32を介して走査線25の導通部25aと導通する点は、図6に示した実施形態の場合と同様である。しかしながら、本実施形態においては、延在部16bがシール材30によって覆われた領域内、すなわちシール材30と重なる領域において延在するのではなく、当該シール材30の内周縁によって囲まれた領域内、すなわち表示領域V内において延在する点で図6の実施形態とは異なっている。
すなわち、本実施形態において延在部16bは、シール材30の内周縁によって囲まれた領域内において導通部16aに連結されると共に、当該領域内において張出し領域10aに向かって延在する。そして、シール材30の一辺30aを横切って張出し領域10a内に到達し、その端部がYドライバIC40の出力端子に接続される。
図15は、本実施形態における引回し配線16の層構成を示す図であり、先の実施形態における図8(b)に対応するものである。図15に示すように、引回し配線16の層構成は、図8(b)に示した先の実施形態における引回し配線16の層構成と同様であり、図5(b)のTFD素子13の第1金属膜13aと同一層によって形成された第1配線層181と、図5(a)のデータ線11の主配線11a及びTFD素子13の第2金属膜13cと同一層によって形成された第2配線層182と、図5(a)の画素電極12と同一層によって形成された第3配線層183とが積層された構成となっている。
第1配線層181及び第3配線層183は、図14の導通部16aから張出し領域10a内に位置する端部にわたる引回し配線16の全長にわたって形成されている。すなわち、第1配線層181及び第3配線層183は、素子基板10のうちシール材30に重なる領域と、液晶35に対向する領域(つまり、シール材30の内周縁によって囲まれた領域)と、張出し領域10aとにわたって設けられている。
これに対し、第2配線層182は、張出し領域10aには入らないようになっており、素子基板10のうちシール材30に重なる領域と、液晶35に対向する領域とにわたって設けられている。すなわち、図6に示した先の記実施形態では引回し配線16がシール材30によって覆われた領域、すなわちシール材30と重なる領域、内に延在する構成を採ったため、第2配線層182がシール材30によって覆われた領域のみに形成されるようにした。これに対し、本実施形態における第2配線層182は、シール材30によって覆われた領域に加え、液晶35に対向する領域にも形成されるようになっている。本実施形態によっても、図6に示した実施形態と同様に、第2配線層182に外気中の水分等が付着するのを回避でき、それ故、当該第2配線層182の腐食を抑えることができる。
(電気光学装置の第3実施形態)
図8(b)及び図15に示した実施形態においては、引回し配線16が第1配線層181と第3配線層183とを有する構成としたが、これらのうちのいずれかのみを有する構成としても良い。すなわち、引回し配線16のうちシール材30によって覆われた領域内に位置する部分を第1配線層181と第2配線層182とが積層された構成とし、張出し領域10a内に位置する部分を第1配線層181のみによって構成するようにしても良い。もっとも、図8(b)等に示した実施形態のように、第1配線層181と第2配線層182とに第3配線層183を積層した構成を採れば、配線抵抗を低く抑えることができるという利点がある。
(電気光学装置の第4実施形態)
図6及び図14に示した実施形態においては、走査線25と導通する引回し配線16について、その一部の配線層がシール材30によって覆われた構成としたが、これ以外の配線、例えばデータ線11についても同様の構成を採用することができる。すなわち、データ線11のうちクロムから成る主配線11aをシール材30及び液晶35によって覆われた領域内に形成する一方、耐食性の高いITOから成る補助配線11bを、シール材30及び液晶35によって覆われた領域内に加えて張出し領域10aにも入るように、当該データ線11の全長にわたって形成しても良い。なお、この場合の配線、すなわちデータ線11は、対向基板20上のいずれの配線とも導通しない。つまり、本発明における「配線」は、必ずしも他の基板に形成された配線と導通するものである必要はない。
(電気光学装置の第5実施形態)
図8(b)や図15に示した実施形態においては、引回し配線16を構成する各配線層181,182,183を表示領域V内の要素、すなわちTFD素子13、画素電極12等と共通の層によって形成した。しかしながら、本発明に係る電気光学装置は、常に必ず、このように構成しなければならないというものではなく、表示領域V内の要素とは別個の工程によって引回し配線16を形成するようにしても良い。
すなわち、図8(b)や図15に示した実施形態においては、第1配線層181をタンタルによって形成し、第2配線層182をクロムによって形成し、第3配線層183をITOによって形成したが、各配線層の材料はこれらに限られるものではない。もっとも、図8(b)等に示した実施形態における例とは異なる材料によって各配線層を形成した場合であっても、これらの配線層のうちイオン化傾向の高い、つまり耐食性の低い配線層をシール材30と重なる領域内に形成し、さらに、その他の配線層を当該引回し配線16の全長に対応して形成することが望ましい。
(電気光学装置の第6実施形態)
図6や図14に示した実施形態においては、TFD素子13の形成された素子基板10が観察側に位置し、走査線25の形成された対向基板20が背面側に位置していた。しかしながら、これとは逆に、素子基板10が背面側に位置し、対向基板20が観察側に位置する構成としても良い。この場合には、図3の反射層21を、対向基板20上ではなくて素子基板10上に形成すれば良い。
また、図3に示す実施形態では、背面側に位置する基板である対向基板20にカラーフィルタ22及び遮光層23を形成したが、これらの要素が観察側に位置する基板に形成された構成としても良い。あるいは、カラーフィルタ22や遮光層23を設けず、白黒表示のみを行なう構成としても良い。すなわち、図3に示した実施形態では、素子基板10が本発明における「第1基板」に対応し、対向基板20が本発明における「第2基板」に対応するものとしたが、本発明における「第1基板」及び「第2基板」の各々は、観察側又は背面側のいずれに位置する基板であっても良く、TFD素子13、反射層21、カラーフィルタ22等といった要素は、必要に応じて、いずれの基板に設けても良い。
また、図3に示した実施形態では、反射型表示のみを行なう反射型液晶装置を例示したが、いわゆる透過型表示のみを行なう透過型液晶装置にも本発明を適用可能である。例えば、図3の構造を透過型に変更するには、背面側の基板である対向基板20に反射層21を設けることなく、背面側からの入射光が液晶35を通過して観察側に出射する構成とすれば良い。
さらに、反射型表示と透過型表示の双方が可能な、いわゆる半透過反射型液晶装置にも本発明を適用することができる。この場合には、例えば図3において、反射層21に代えて、各表示ドット50ごとに開口部を有する反射層、又は表面に入射した光のうちの一部を反射させ他の一部を透過させる構造の半透過反射層(いわゆる、ハーフミラー)を設けると共に、液晶装置の背面側に照明装置を配設した構成とすれば良い。
さらに、図6や図14に記載した実施形態においては、二端子型スイッチング素子であるTFD素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置を例示したが、これに代えて、TFT(Thin Film Transistor)素子に代表される三端子型スイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置や、スイッチング素子を持たないパッシブマトリクス方式の液晶装置にも本発明を適用できることは言うまでもない。
以上から明らかなように、液晶を支持する基板のうちシール材と対向する領域、すなわちシール材と重なる領域から当該シール材の外周縁を横切ってその外側へ延び出るパターンの配線が設けられる構造の液晶装置であれば、他の構成要素の態様の如何を問わず、本発明を適用可能である。
(電子機器の実施形態)
次に、本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器について説明する。図16(a)は、本発明をモバイル型のパーソナルコンピュータ、すなわち可搬型のパーソナルコンピュータ、いわゆるノート型パソコンに適用した場合、特にその表示部として適用した場合を示している。
ここに示すパーソナルコンピュータ71は、キーボード711を備えた本体部712と、本発明に係る電気光学装置を適用した表示部713とを備えている。
このパーソナルコンピュータ71に用いる電気光学装置としては、暗所においても視認性を確保するため、反射型表示のみならず透過型表示も可能な半透過反射型の電気光学装置であることが望ましい。
次に、図16(b)は、本発明に係る電気光学装置を携帯電話機の表示部として用いた場合を示している。同図において、携帯電話機72は、複数の操作ボタン721と、受話口722と、送話口723と、表示部724とを有する。表示部724は、本発明に係る電気光学装置を用いて構成できる。また、暗所における視認性を確保するため、半透過反射型の電気光学装置を表示部724として用いることが望ましい。
なお、本発明に係る電気光学装置を適用可能な電子機器としては、図16(a)に示したパーソナルコンピュータや、図16(b)に示した携帯電話機の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型のビデオテープレコーダ、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラ等が考えられる。また、本発明に係る電気光学装置をライトバルブとして用いたプロジェクタ等も本発明に係る電子機器と考えられる。
上述したように、本発明に係る電気光学装置によれば、基板上に形成された配線の腐食を抑えることができるので、この電気光学装置を用いた電子機器においては、導通不良などを回避して高い信頼性を確保することができる。
(電気光学装置の第7実施形態)
図17は、電気光学装置の一例であるアクティブマトリクス方式のEL(Electro Luminescence)装置110に本発明を適用した場合の実施形態を示している。また、図18は、図17におけるK−K’線に従ってEL装置110の断面構造を示している。
これらの図において、基板100上には、複数の画素が形成される領域、すなわち表示領域Vと、ゲート側駆動回路102と、ソース側駆動回路103とが形成される。それぞれの駆動回路からの各種配線は、入出力配線112,113,114を経てFPC111へ至り、このFPC111を介して外部機器へと接続される。FPC111は、ACF(Anisotropic Conductive Film)115によって基板100の辺端部に接続されている。
このとき、少なくとも表示領域Vを囲むようにして、好ましくは駆動回路102,103及び表示領域Vを囲むようにして、ハウジング104を設ける。このハウジング104は、その内側の高さ寸法が表示領域Vの高さよりも大きい凹部を有する形状又はそのような凹部を持たないシート形状であり、接着剤105によって、基板100と協働して密閉空間を形成するようにして基板100に固着される。このとき、EL素子は上記の密閉空間に完全に封入された状態となり、外気から完全に遮断される。
ハウジング104は複数設けることもできる。また、ハウジング104の材質は、ガラス、ポリマー等といった絶縁性物質が好ましい。例えば、硼硅酸塩ガラス、石英等といった非晶質ガラス、結晶化ガラス、セラミックスガラス、有機系樹脂(例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂等)、シリコーン系樹脂等とすることができる。また、接着剤105が絶縁性物質であるならば、ステンレス合金等といった金属材料を用いることもできる。
接着剤105としては、エポキシ系樹脂、アクリレート系樹脂等といった接着剤を用いることができる。また、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を接着剤として用いることもできる。但し、可能な限り酸素、水分を透過しない材質であることが必要である。
ハウジング104と基板100との間の空隙106には、アルゴン、ヘリウム、窒素等といった不活性ガスを充填しておくことが望ましい。また、ガスに限らず不活性液体、例えばパーフルオロアルカンに代表される液状フッ素化炭素等を用いることもできる。また、空隙106内に乾燥剤を入れておくことも有効であり,そのような乾燥剤としては、例えば、酸化バリウムが考えられる。
図17に示すように、表示領域Vには個々に独立した複数の表示ドット50がマトリクス状に配列されている。図18に示すように、これらの表示ドット50の全ては保護電極249を共通電極として有している。保護電極249は、ハウジング104の内部領域であってFPC111に近い側の領域108において、入力配線113の一部に接続される。保護電極249には、FPC111及び入出力配線113を通して所定の電圧、例えば接地電位、例えば0Vが印加される。
図19は、図17における矢印Lに従って、互いに隣り合う2つの表示ドット50を示している。また、図20はそれらの表示ドット内の電気的な回路構成を等価回路図として示している。また、図21は、図19におけるM−M’線に従って、EL素子を駆動するためのアクティブ素子部分の断面構造を示している。
図19及び図20に示すように、個々の表示ドット50は、スイッチング用素子として機能するスイッチング用TFT201と、EL素子へ流す電流量を制御する電流制御用素子として機能する電流制御用TFT202とを有する。スイッチング用TFT201のソースはソース配線221に接続され、そのゲートはゲート配線211に接続され、そして、そのドレインは電流制御用TFT202のゲートに接続される。
また、電流制御用TFT202のソースは電流供給線212に接続され、そのドレインはEL素子203に接続される。なお、EL素子203は、発光層を含むEL層を陽極と陰極とによって挟んだ構造の発光素子である。図19では、画素電極246が略方形状の陽極として示され、発光層を含むEL層247がその画素電極246の上に積層され、その上に各表示ドット50に共通する共通電極としての陰極(図示せず)が積層され、この積層構造によってEL素子203が形成される。
図21において、基板100の上に下地となる絶縁膜206が形成される。基板100は、例えば、ガラス基板、ガラスセラミックス基板、石英基板、シリコン基板、セラミックス基板、金属基板、プラスチック基板又はプラスチックフィルム等によって形成される。
下地膜206は、特に可動イオンを含む基板や導電性を有する基板を用いる場合に有効であるが、基板100として石英基板を用いる場合には下地膜206は設けなくても構わない。下地膜206としては、例えば、珪素(すなわち、シリコン)を含む絶縁膜を用いれば良い。また、下地膜206には、TFTに発生する熱を発散させるための放熱機能を持たせることが望ましい。
本実施形態では、1つの表示ドット内に2つのTFT、具体的にはスイッチング用素子として機能するスイッチング用TFT201と、EL素子へ流す電流量を制御する電流制御用素子として機能する電流制御用TFT202とが設けられる。これらのTFTは、本実施形態では、どちらもnチャネル型TFTとして形成したが、両方又はどちらかをpチャネル型TFTとすることもできる。
スイッチング用TFT201は、ソース領域213、ドレイン領域214、LDD(Lightly Doped Drain)領域215a,215b,215c,215d、高濃度不純物領域216及びチャネル形成領域217a,217bの5種類の要素を含む活性層を有する。また、スイッチング用TFT201は、ゲート絶縁膜218と、ゲート電極219a,219bと、第1層間絶縁膜220と、ソース配線221と、ドレイン配線222とを有する。
図19に示すように、ゲート電極219a,219bは、当該ゲート電極219a,219bよりも低抵抗である別の材料によって形成されたゲート配線211によって電気的に接続されたダブルゲート構造となっている。もちろん、ダブルゲート構造だけでなく、トリプルゲート構造等といった、いわゆるマルチゲート構造、すなわち、直列に接続された2つ以上のチャネル形成領域を有する活性層を含む構造、であっても良い。
活性層は、結晶構造を含む半導体膜、すなわち、単結晶半導体膜や多結晶半導体膜や微結晶半導体膜等によって形成される。また、ゲート電極219a,219b、ソース配線221、ドレイン配線222は、あらゆる種類の導電膜を用いることができる。さらに、スイッチング用TFT201においては、LDD領域215a〜215dは、ゲート絶縁膜218を介して且つゲート電極219a,219bとは重ならないように設けられる。このような構造は、オフ電流値を低減する上で非常に効果的である。
次に、図21において、電流制御用TFT202は、ソース領域231、ドレイン領域232、LDD領域233及びチャネル形成領域234の4種類の要素を含む活性層と、ゲート絶縁膜218と、ゲート電極235と、第1層間絶縁膜220と、ソース配線236と、ドレイン配線237とを有する。なお、ゲート電極235はシングルゲート構造となっているが、これに代えて、マルチゲート構造とすることもできる。
図21において、スイッチング用TFT201のドレインは電流制御用TFTのゲートに接続されている。具体的には、電流制御用TFT202のゲート電極235は、スイッチング用TFT201のドレイン領域214とドレイン配線222を介して電気的に接続されている。また、ソース配線236は、電流供給線212に接続される。
電流制御用TFT202は、EL素子203を発光させるための電流を供給すると同時に、その供給量を制御して階調表示を可能とする。そのため、電流を流しても劣化しないようにホットキャリア注入による劣化対策を講じておく必要がある。また、黒色を表示する際は、電流制御用TFT202をオフ状態にしておくが、その際,オフ電流値が高いときれいな黒色表示ができなくなり、コントラストの低下を招く。従って、オフ電流値も抑えることが望ましい。
図21において、第1層間絶縁膜220の上に第1パシベーション膜241が形成される。この第1パシベーション膜241は、例えば、珪素を含む絶縁膜によって形成される。この第1パシベーション膜241は、形成されたTFTをアルカリ金属や水分から保護する機能を有する。最終的にTFTの上方に設けられるEL層にはナトリウム等といったアルカリ金属が含まれている。すなわち、第1パシベーション膜241は、これらのアルカリ金属をTFT側に侵入させない保護層として機能する。
また、第1パシベーション膜241に放熱機能を持たせれば、EL層の熱劣化を防ぐこともできる。また、図21の構造では基板100に光が放射されるため、第1パシベーション膜241は透光性を有することが必要である。また、EL層として有機材料を用いる場合、そのEL層は酸素との結合によって劣化するので、酸素を放出し易い絶縁膜は用いないことが望ましい。
第1パシベーション膜241の上には、各TFTを覆うような形で第2層間絶縁膜244が形成される。この第2層間絶縁膜244は、TFTによって形成される段差を平坦化する機能を有する。この第2層間絶縁膜244としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル等といった有機樹脂膜を用いることができる。もちろん、十分な平坦化が可能であれば、無機膜を用いることもできる。
EL層は非常に薄いため、それを形成する面に段差が存在すると発光不良を起こす場合がある。従って、第2層間絶縁膜244によってTFTによる段差を平坦化することは、後にその上に形成されるEL層を正常に機能させることに関して重要である。
第2層間絶縁膜244の上には、第2パシベーション膜245が形成される。
この第2パシベーション膜245は、EL素子から拡散するアルカリ金属の透過を防ぐという機能を奏する。この第2パシベーション膜245は第1パシベーション膜241と同じ材料によって形成できる。また、第2パシベーション膜245は、EL素子で発生した熱を逃がす放熱層としても機能することが望ましく、この放熱機能により、EL素子に熱が蓄積することを防止できる。
第2パシベーション膜245の上に画素電極246が形成される。この画素電極246は、例えば透明導電膜によって形成されて、EL素子の陽極として機能する。この画素電極246は、第2パシベーション膜245、第2層間絶縁膜244及び第1パシベーション膜241にコンタクトホール、すなわち開口を開けた後、形成されたそのコンタクトホールにおいて電流制御用TFT202のドレイン配線237に接続するように形成される。
次に、画素電極246の上にEL層247が形成される。このEL層247は単層構造又は多層構造で形成されるが、一般には、多層構造の場合が多い。このEL層247において、画素電極246に直接に接触する層としては、正孔注入層、正孔輸送層又は発光層がある。
今、正孔輸送層及び発光層の2層構造を採用するものとすれば、正孔輸送層は、例えばポリフェニレンビニレンによって形成できる。そして、発光層としては、赤色発光層にはシアノポリフェニレンビニレン、緑色発光層にはポリフェニレンビニレン、青色発光層にはポリフェニレンビニレン又はポリアルキルフェニレンを、それぞれ、用いることができる。
次に、以上のようにして形成されたEL層247の上に陰極248が形成され、さらにその上に保護電極249が形成される。これらの陰極248及び保護電極249は、例えば、真空蒸着法によって形成される。なお、陰極248と保護電極249とを大気解放しないで連続的に形成すれば、EL層247の劣化を抑えることができる。なお、画素電極246、EL層247及び陰極248によって形成される発光素子がEL素子203である。
陰極248としては、仕事関数の小さいマグネシウム(Mg)、リチウム(Li)又はカルシウム(Ca)を含む材料を用いることができる。保護電極249は陰極248を外部の水分等から保護するために設けられるものであり、例えば、アルミニウム(Al)又は銀(Ag)を含む材料を用いることができる。この保護電極249には放熱効果もある。
図21に示す構造は、R,G,Bのいずれかの色に対応した1種類のEL素子を個々の表示ドット50に対応させて形成する単色発光方式の構造である。しかしながら、発光方式としては、そのような単色発光方式の他に、白色発光のEL素子とカラーフィルタを組み合わせた方式や,青色又は青緑発光のEL素子と蛍光体とを組み合わせた発光方式や、あるいは、陰極に透明電極を使用してR,G,Bに対応したEL素子を重ねる方式等といった各種の方式を用いてカラー表示を行うこともできる。もちろん、白色発光のEL層を単層で形成して白黒表示を行うこともできる。
保護電極249の上には、第3パシベーション膜250が形成される。この第3パシベーション膜250は、EL層247を水分から保護するように機能すると共に、必要に応じて、第2パシベーション膜245と同様に放熱機能を奏するようにしても良い。なお、EL層として有機材料を用いる場合には、その有機材料は酸素との結合によって劣化する可能性があるので、酸素を放出し易い絶縁膜は第3パシベーション膜250として用いないことが望ましい。
本実施形態では、図17に示すように、表示領域Vだけでなく駆動回路102,103にも最適な構造のTFTを基板100上に直接に形成するようになっており、これにより、動作に関して高い信頼性を達成している。なお、ここでいう駆動回路としては、シフトレジスタ、バッファ、レベルシフタ、サンプリング回路等が含まれる。また、デジタル駆動を行う場合には、D/Aコンバータ等といった信号変換回路を含めることもできる。
なお、基板100の上には、表示領域V及び駆動回路102,103等といった回路構成以外に、信号分割回路、D/Aコンバータ回路、オペアンプ回路、γ補正回路等といった論理回路を直接に形成することができる。さらには、メモリ部やマイクロプロセッサ等を基板100上に直接に形成することもできる。
本実施形態に係るEL装置110は以上のように構成されているので、図17において、ゲート側駆動回路102によってゲート配線211へ走査信号又データ信号の一方が供給され、ソース側駆動回路103によってソース配線221へ走査信号又はデータ信号の他方が供給される。一方、電流供給線212によって各表示ドット50内の電流制御用TFT202へEL素子を発光させるための電流が供給される。
表示領域V内にマトリクス状に配列された複数の表示ドット50のうちの適宜のものがデータ信号に基づいて個々に選択され、その選択期間においてスイッチング用TFT201がオン状態になってデータ電圧の書き込みが行われ、非選択期間ではTFT201がオフ状態になることで電圧が保持される。このようなスイッチング及び記憶動作により、複数の表示ドット50のうちの適宜のものが選択的に発光し、この発光点の集まりにより、図17の紙面奥側、すなわち図18に矢印Qで示す方向に、文字、数字、図形等といった像が表示される。
図17において、ソース側駆動回路103には配線112を通して信号が送られる。また、ゲート側駆動回路102には配線113を通して信号が供給される。また、電流供給線212には配線114を通して電流が供給される。本実施形態では、EL装置110の内部を外部から密閉状態に遮蔽するハウジング104のうち配線112,113,114が外部へ引き出される個所に相当する辺の近傍に配線境界10bが設定される。
上記の配線112,113,114に関しては、配線境界10bから見て配線引出し側(すなわち、図17の左側)に存在する部分は、その断面構造が図8(d)に示したように、第1配線層181及びそれに積層された第3配線層183の2層構造となっている。一方、配線境界10bから見て表示領域V側に存在する部分は、その断面構造が図8(c)に示したように、第1配線層181、それに積層された第2配線層182、及びそれに積層された第3配線層183の3層構造となっている。つまり、配線境界10bの内側と外側とで配線112,113,114の層構成が異なっている。
例えば、配線境界10bの内側(すなわち、表示領域V側)にだけ存在する第2配線層182を低抵抗で腐食し易い材料によって形成する場合を考えると、そのような第2配線層182を配線の中に含ませることにより、配線抵抗値を低く抑えることができるようになり、それ故、EL装置110によって安定した像表示を行うことが可能となる。
しかも、そのように腐食し易い材料を用いて第2配線層182を形成する場合であっても、その第2配線層182を設ける領域は、ハウジング104によって外部から遮蔽された領域に限られているので、腐食し易い第2配線層182は外気に触れることがなく、それ故、第2配線層182従って配線全体に腐食が発生して表示不良が発生することは確実に防止される。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、電気光学装置は液晶装置及びEL装置に限られず、基板上に配線を形成する必要のある、あらゆる装置、例えば基板間に分散媒及び電気泳動粒子が封入された電気泳動装置が考えられる。
本発明を実施可能な電気光学装置の一例である液晶装置であって、特にTFD素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置の電気的構成を示す等価回路図である。 本発明を電気光学装置の一例である液晶装置に実施した場合の一実施形態を示しており、(a)は観察側から見た場合の液晶装置の斜視図であり、(b)は背面側から見た場合の液晶装置の斜視図である。 図2(a)におけるC−C’線に従って液晶装置の断面構造を示す断面図である。 図2(a)に示す液晶装置における表示領域内の構成を示す斜視図である。 (a)は図4における1つの画素電極及び1つのTFD素子を示す平面図であり、(b)は(a)におけるE−E’線に従った断面図であり、(c)は(a)におけるF−F’線に従った断面図である。 図2(a)に示す液晶装置の平面断面図である。 図6におけるG−G’線に従った断面図である。 (a)は図6において矢印Pで示す部分を拡大して示す平面図であり、(b)は(a)におけるH−H’線に従った断面図であり、(c)は(a)におけるI−I’線に従った断面図であり、(d)は(a)におけるJ−J’線に従った断面図である。 本発明に係る電気光学装置の製造方法の一実施形態であってTFD素子に関する製造方法を工程順に示す図である。 図9に示す工程に関連する工程を示す工程図である。 本発明に係る電気光学装置の製造方法の一実施形態であって引回し配線に関する製造方法を工程順に示す図である。 本発明に係る電気光学装置の製造方法の一実施形態であって、対向基板上に設ける要素に関する製造方法を工程順に示す図である。 図12に引き続く工程を示す図である。 本発明を電気光学装置の一例である液晶装置に実施した場合の他の実施形態を示す平面断面図である。 図14に示す実施形態における引回し配線の層構成を示す断面図である。 本発明に係る電子機器の実施形態であり、(a)は電子機器の一例であるパーソナルコンピュータを示す斜視図であり、(b)は電子機器の他の一例である携帯電話機を示す斜視図である。 本発明を電気光学装置の他の一例であるEL装置に実施した場合の一実施形態を示す平面断面図である。 図17におけるK−K’線に従ってEL装置の断面構造を示す断面図である。 図17において矢印Lで示す表示ドット部分を拡大して示す平面図である。 図19の構造に対応する電気的な等価回路図である。 図19におけるM−M’線に従ってTFTの断面構造を示す断面図である。
符号の説明
1 液晶装置(電気光学装置)
10 素子基板(第1基板)
10a 張出し領域
10b 配線境界
11 データ線
11a 主配線
11b 補助配線
11c 第2金属膜、
12 画素電極
13 TFD素子(薄膜ダイオード)
13a 第1金属膜
13b 絶縁膜
13c 第2金属膜
16,161,162 引回し配線
16a 導通部
16b 延在部
17 外部接続端子
20 対向基板(第2基板)
21 反射層
22 カラーフィルタ
23 遮光層
24 オーバーコート層
25 走査線
25a 導通部
26 配向膜
30 シール材
32 導電粒子
35 液晶
40a 第1YドライバIC
40b 第2YドライバIC
41 XドライバIC
50 表示ドット
51 液晶表示要素
56 配向膜
57 周辺遮光層
131 第1TFD素子
132 第2TFD素子
181 第1配線層
182 第2配線層
183 第3配線層

Claims (9)

  1. 対向して配置した第1基板及び第2基板を有し、当該第1基板と当該第2基板との間に液晶が挟まれて成る電気光学装置において、
    前記液晶を囲むシール材と、
    前記第1基板の1辺に沿って、且つ、当該1辺と交差する他辺に向かって引き回された引回し配線と、
    前記第1基板の上に第1金属膜と絶縁膜と第2金属膜とを積層することによって形成された複数の薄膜ダイオードと、
    を有し、
    前記引回し配線は、
    前記シール材の内側領域及び前記シール材の外側領域の両方にわたって形成されるか、又は前記シール材に重なる領域及び前記シール材の外側領域の両方にわたって形成された第1配線層と、
    前記シール材の内側領域又は前記シール材に重なる領域に形成された第2配線層と、
    を有し、
    前記第1配線層は前記第1金属膜と同一の層によって形成されることを特徴とする電気光学装置。
  2. 請求項1において、前記シール材の外側領域にある前記引回し配線の一端は外部接続回路に接続されることを特徴とする電気光学装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、前記第2基板に形成された電極をさらに有し、該電極は前記第1基板上の前記引回し配線と導通することを特徴とする電気光学装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、前記第2配線層を被覆する被覆層を有することを特徴とする電気光学装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、前記第2配線層は前記第2金属膜と同一の層によって形成されることを特徴とする電気光学装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかにおいて、
    前記第1基板の上に第1金属膜と絶縁膜と第2金属膜とを積層することによって形成された複数の薄膜ダイオードと、
    該薄膜ダイオードの第2金属膜に接続された画素電極とを有し、
    前記引回し配線は、前記シール材の内側領域及び前記シール材の外側領域の両方にわたって前記第1配線層の上に形成されるか、又は前記シール材に重なる領域及び前記シール材の外側領域の両方にわたって前記第1配線層の上に形成された第3配線層を有し、
    該第3配線層は前記画素電極と同一の層によって形成されることを特徴とする電気光学装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載した電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
  8. シール材を介して貼り合わされた第1基板と第2基板との間に液晶を有し、前記第1基板のうち前記シール材に重なる領域と当該シール材の外側の領域との両方にわたって引回し配線が形成され、前記第1基板の上に第1金属膜と絶縁膜と第2金属膜とを積層することによって形成された複数の薄膜ダイオードを具備した電気光学装置の製造方法であって、
    前記引回し配線を構成する第1配線層を、前記第1基板のうち前記シール材に重なる領域と該シール材の外側の領域とにわたって形成する第1配線層形成工程と、
    前記引回し配線を構成する第2配線層を、前記第1基板のうち前記シール材に重なる領域に形成する第2配線層形成工程と、
    前記第1基板及び第2基板を前記シール材を介して貼り合わせる接合工程とを有し、
    前記第1配線層形成工程では、前記薄膜ダイオードの第1金属膜の形成と共に該第1金属膜と同一の層によって前記第1配線層を形成し、
    前記第2配線層形成工程では、前記薄膜ダイオードの第2金属膜の形成と共に該第2金属膜と同一の層によって前記第2配線層を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  9. 請求項8において、前記電気光学装置は、前記第1基板の面上に形成されて前記薄膜ダイオードの第2金属膜に接続される画素電極を具備し、
    前記接合工程に先立ち、前記引回し配線を構成する第3配線層を、前記第1基板のうちシール材に重なる領域と当該シール材の外側の領域とにわたって形成する工程であって、前記画素電極の形成と共に該画素電極と同一の層によって前記第3配線層を形成する第3配線層形成工程を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
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