JP2004294941A - 偏光制御器 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は偏波モード分散の補償に適した偏光制御器に関し、多数の磁区の存在による不都合が生じることのない偏光制御器を提供することが主な課題である。
【解決手段】本発明による偏光制御器は、入力ポート及び出力ポートの間の光路上に設けられる磁気光学結晶12と、その光路と垂直な方向の磁界を磁気光学結晶に印加する磁界印加手段13と、その磁界による磁気光学結晶の磁化が飽和した状態でその磁化の方向が回転するように磁界印加手段を制御する制御器22とを備えている。この構成によると、磁化が飽和した状態で磁化の方向が変化するので、多数の磁区の存在による不都合が生じることのない偏光制御器を提供することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明による偏光制御器は、入力ポート及び出力ポートの間の光路上に設けられる磁気光学結晶12と、その光路と垂直な方向の磁界を磁気光学結晶に印加する磁界印加手段13と、その磁界による磁気光学結晶の磁化が飽和した状態でその磁化の方向が回転するように磁界印加手段を制御する制御器22とを備えている。この構成によると、磁化が飽和した状態で磁化の方向が変化するので、多数の磁区の存在による不都合が生じることのない偏光制御器を提供することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムにおける偏波モード分散の補償に適した偏光制御器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の大容量伝送においては、光ファイバ伝送路における波長分散(色分散)だけでなく、偏波モード分散(PMD)を補償又は管理することが重要である。PMDは、光ファイバのコア形状が僅かに楕円化しているために、二つの直交偏波モード成分間に伝搬時間差を生じ、波形劣化を引き起こす現象のことであり、40Gbps超のシステムではPMD補償は必須とされている。
【0003】
理想的に軸対称な光ファイバに入射された直線偏光の光信号パルス列は、長距離伝送後も直線偏光のまま光信号パルス列を検出できるが、実際には光ファイバの製造バラツキや敷設環境の時々刻々の変化により光ファイバのコア歪みが生じ、これにより直線偏光は光ファイバ出口では直交する主に2つの偏光成分に分離し、各々の偏光成分に速度差が生じ正常な光信号パルス検出ができなくなる。
【0004】
PMD補償は偏光制御器と可変光遅延回路を用いて行うことができる。偏光制御器は時々刻々変化する光信号の偏光方向を無限追従調整し、可変光遅延回路は前述にあるように光ファイバ伝送中に生じた2つの偏光成分の速度差を相殺するように機能する。
【0005】
磁気光学結晶を用いた従来の偏光制御器、例えば特開平6−186514号で開示されている偏波制御装置では、磁気光学結晶のコットン・ムートン効果を用いて、磁気光学結晶内に生じた複屈折を利用して偏光制御を行っている。
【0006】
コットン・ムートン効果はフォークト効果又は磁気複屈折効果とも称され、光の進行方向と磁界とが垂直な場合に生じる磁気光学効果である。磁界による磁化の無い場合は等方性の物質には複屈折は生じないが、磁化の存在により磁化方向に一軸異方性が誘起され、磁化方向に振動する直線偏光(常光線)と磁化に垂直方向に振動する直線偏光(異常光線)とに対して複屈折を起こす現象である。
【0007】
【特許文献1】特開平6−186514号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の磁気光学結晶を用いた偏光制御器では、磁気光学結晶に複屈折を生じさせるときの磁化は可変であるが、一般に印加磁界の大きさが比較的小さい場合には、印加磁界による磁気光学結晶の磁化が飽和状態に達せず、磁気光学結晶内に多数の磁区が存在することになる。飽和磁化以下では磁区の方向が揃わず、不規則な光の散乱が発生して損失を生じ、また大きなヒステリシスを示すなど制御が困難となり実用上の問題が生じる。
【0009】
よって、本発明の目的は、多数の磁区の存在による不都合が生じることのない偏光制御器を提供することである。本発明の他の目的は以下の説明から明らかになる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、入力ポート及び出力ポートの間の光路上に設けられる磁気光学結晶と、その光路と垂直な方向の磁界を磁気光学結晶に印加する磁界印加手段と、その磁界による磁気光学結晶の磁化が飽和した状態でその磁化の方向が回転するように磁界印加手段を制御する制御器とを備えた偏光制御器が提供される。
【0011】
この構成によると、磁化が飽和した状態で磁化の方向が変化するので、多数の磁区の存在による不都合が生じることのない偏光制御器を提供することができる。
【0012】
例えば、磁界印加手段は、光路に垂直な平面内の互いに直行する方向に磁界を発生する少なくとも2つの電磁石を含む。
【0013】
例えば、制御器は、I01及びI02を最大電流、φを初期位相、IS1及びIS2を定電流値とするときに、少なくとも2つの電磁石の内の2つにそれぞれ以下の式で与えられる電流I1及びI2を供給する。
I1=I01sin(φ)+IS1
I2=I02cos(φ)+IS2
望ましくは、光ファイバ伝送路に適合するために、偏光制御器は、入力ポート及び出力ポートをそれぞれ提供する入力側及び出力側光ファイバと、入力側及び出力側光ファイバの間に光路をコリメートビームとして提供するための入力側及び出力側レンズとを更に備える。
【0014】
望ましくは、制御器は、磁気光学結晶を通過する前後で光の直行する2つの偏光成分の位相差がπ/2の整数倍変化するように磁界印加手段を制御する。
【0015】
本発明の他の側面によると、入力ポート及び出力ポートの間の光路上に設けられる複数の偏光制御ユニットを備えた偏光制御器が提供される。複数の偏光制御ユニットの各々は、磁気光学結晶と、光路と垂直な方向の磁界を磁気光学結晶に印加する磁界印加手段と、その磁界による磁気光学結晶の磁化が飽和した状態でその磁化の方向が回転するように磁界印加手段を制御する制御器とを含む。
【0016】
この構成によると、任意の偏光状態から他の任意の偏光状態への変換を容易に行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の望ましい実施形態を添付図面に沿って詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の第1実施形態を示す偏光制御器の側面図、図2は図1におけるII−II線断面図である。この偏光制御器は、入力ポートINに入力された光の偏光状態を調節して出力ポートOUTから出力する。入力ポートIN及び出力ポートOUTはそれぞれ入力側光ファイバ2及び出力側光ファイバ4によって提供される。
【0019】
入力側光ファイバ2及び出力側光ファイバ4の間にコリメートビーム6による光路を形成するために、入力側光ファイバ2及び出力側光ファイバ4の端面にそれぞれ対向して凸レンズ8及び10が設けられている。
【0020】
コリメートビーム6が通過するように磁気光学結晶12が設けられている。磁気光学結晶12としては、Bi置換イットリウム鉄ガーネットやBi置換希土類鉄ガーネット、Co置換イットリウム鉄ガーネット等を用いることができる。
【0021】
コリメートビーム6の伝搬方向と垂直な平面上の方向に磁気光学結晶12を磁化させる磁界を磁気光学結晶12に印加するために、磁界印加手段13が設けられている。
【0022】
この実施形態では、磁界印加手段13は上記平面内の互いに直行する方向の磁界を発生する2組の電磁石14及び16から構成され、電磁石14及び16にはそれぞれ電流源18及び20から電流が供給される。そして、電磁石14及び16により印可された合成磁界による磁気光学結晶12の磁化が飽和した状態でその磁化の方向が回転するように、制御器22が電流源18及び20を制御する。
【0023】
具体的には、電流源18及び20が電磁石14及び16のそれぞれによる磁界強度を調整する様に電流印加し、電流値を調整することにより、飽和磁化を光路に直交する面内で無限回転させ、磁気光学結晶12を通過する前後で光の直交する2つの偏光成分の位相差がπ/2の整数倍、好ましくは、π/2又はπだけ変化させるように、複屈折の大きさに対応する飽和磁化の大きさ、即ち電流値や磁気光学結晶12の長さが設定される。
【0024】
ある偏光状態の光信号は、入力側光ファイバ2からレンズ8を通して平行光にコリメートされ、磁気光学結晶12を通過後、レンズ10で出力側光ファイバ4に集光され、偏光変換された光信号が伝搬していく。
【0025】
電磁石14及び16による磁界強度の調整は電流変化により行われ、例えば電流を次のように設定することで、磁化方向を任意に設定することができる。即ち、I01及びI02を最大電流、φを初期位相、IS1及びIS2を定電流値とするときに、少なくとも2つの電磁石の内の2つにそれぞれ以下の式で与えられる電流I1及びI2を供給するようにするのである。
I1=I01sin(φ)+IS1
I2=I02cos(φ)+IS2
磁気光学結晶12の光軸方向の厚さをL、飽和磁化により誘起される複屈折Δnとすると、磁気光学結晶12を光が通過する前後で光の直交する2つの偏光成分の位相差Γは次のようになる。
Γ=2πΔn・L/λ0
ここでλ0は真空中の波長である。位相差Γをmπあるいはmπ/2(mは1,3,5,…の奇数で好ましくはm=1)となるように、結晶厚さLと飽和磁化による複屈折Δnを決定する。
【0026】
位相差がπあるいはπ/2である複屈折結晶は、それぞれ1/2波長板、1/4波長板として機能し、回転磁化により光軸に直交する面内で無限に回転する波長板となり無限の偏光制御が可能となる。
【0027】
この偏光制御器を複数個用いることにより、光ファイバ中を伝搬してきた任意の偏光状態の光信号を任意の偏光状態に変換させる事ができる。
【0028】
例えば、次のような実験系を設定する。光の進行方向を+Z軸にとり、光はX−Y平面内で振動し、光軸に直交する垂直上方向を+Y軸に、−Z軸から+Z軸を見たときの水平右方向を+X軸とする。X−Y平面内で振動し、X軸及びY軸に対して主軸が傾いた楕円偏光は、1/2波長板、1/4波長板及び1/2波長板を順次通過させることにより、任意の偏光に変換させることができる。
【0029】
図3は本発明の第2実施形態を示す偏光制御器の側面図である。ここでは、入力側の光ファイバ2及びレンズ8と出力側のレンズ10及び光ファイバ4との間のコリメートビーム6が通過するように3つの偏光制御ユニットPCU1〜3が直列に設けられている。偏光制御ユニット1〜3はそれぞれ1/2波長板、1/4波長板及び1/2波長板として機能するように設計されており、各々図1に示される偏光制御ユニットPCU(磁気光学結晶12、電磁石14及び16、電流源18及び20並びに制御器22)と同様の構成を有している。
【0030】
楕円偏光から直線偏光に変換する場合には、最初の1/2波長板としての偏光制御ユニットPCU1で任意の楕円偏光からX軸又はY軸と主軸が一致する楕円偏光への変換が行われ、次の1/4波長板としての偏光制御ユニットPCU2でその楕円偏光からX−Y平面内の主軸が傾いた直線偏光への変換が行われ、最後の1/2波長板としての偏光制御ユニットPCU3でその直線偏光からX軸又はY軸に一致する直線偏光への変換が行われる。ここでは最終的に直線偏光に変換する例を説明したが、上記の構成を用いれば任意の偏光変換が可能である。
【0031】
図4は本発明の第3実施形態を示す偏光制御器の側面図である。この実施形態では、入力側の光ファイバ2及びレンズ8と出力側のレンズ10及び光ファイバ4との間のコリメートビーム6が通過するように、それぞれ1/4波長板、1/2波長板及び1/4波長板として機能するように設計された偏光制御ユニットPUC4〜6が設けられている。
【0032】
この構成によっても、図3に示される実施形態におけるのと同様に、任意の偏光変換が可能になる。
【0033】
図5は本発明の第4実施形態を示す偏光制御器のブロック図である。光ファイバ伝送路23を伝搬してきた光信号は光カプラ24で分配され、一方は偏光モニタ26に供給され、他方は本発明による偏光制御器30に供給される。偏光モニタ26によるモニタリング結果を含む信号は制御回路28に供給され、制御回路28は、偏光制御器30から出力される光信号の偏光状態が一定になるように偏光制御器30を制御する。
【0034】
偏光モニタ26が信号光の偏光状態を識別する方法としては、ストークスパラメータを取得する方法や偏光度のみを取得する方法がある。この実施形態では、光カプラ24で分配された光信号から偏光状態を識別するようにしているが、偏光制御器30の入力ポート及び/又は出力ポートからの光信号の偏光状態を識別するようにしてもよい。
【0035】
以上説明した実施形態によると、機械的駆動部分を含まないで偏光制御器を構成することができるので、長期安定性に優れた偏光制御が可能になる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、多数の磁区の存在による不都合が生じることのない偏光制御器を提供することが可能になるという効果が生じる。また、本発明によると、任意の偏光状態から任意の偏光状態への変換が可能な偏光制御器を提供することができる。更に、機械的な可動部分を持たず信頼性の高い偏光制御器の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施形態を示す偏光制御器の側面図である。
【図2】図2は図1におけるII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は本発明の第2実施形態を示す偏光制御器の側面図である。
【図4】図4は本発明の第3実施形態を示す偏光制御器の側面図である。
【図5】図5は本発明の第4実施形態を示す偏光制御器のブロック図である。
【符号の説明】
2 入力側光ファイバ
4 出力側光ファイバ
6 コリメートビーム
8,10 レンズ
12 磁気光学結晶
13 磁界印加手段
14,16 電磁石
18,20 電流源
22 制御器
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムにおける偏波モード分散の補償に適した偏光制御器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の大容量伝送においては、光ファイバ伝送路における波長分散(色分散)だけでなく、偏波モード分散(PMD)を補償又は管理することが重要である。PMDは、光ファイバのコア形状が僅かに楕円化しているために、二つの直交偏波モード成分間に伝搬時間差を生じ、波形劣化を引き起こす現象のことであり、40Gbps超のシステムではPMD補償は必須とされている。
【0003】
理想的に軸対称な光ファイバに入射された直線偏光の光信号パルス列は、長距離伝送後も直線偏光のまま光信号パルス列を検出できるが、実際には光ファイバの製造バラツキや敷設環境の時々刻々の変化により光ファイバのコア歪みが生じ、これにより直線偏光は光ファイバ出口では直交する主に2つの偏光成分に分離し、各々の偏光成分に速度差が生じ正常な光信号パルス検出ができなくなる。
【0004】
PMD補償は偏光制御器と可変光遅延回路を用いて行うことができる。偏光制御器は時々刻々変化する光信号の偏光方向を無限追従調整し、可変光遅延回路は前述にあるように光ファイバ伝送中に生じた2つの偏光成分の速度差を相殺するように機能する。
【0005】
磁気光学結晶を用いた従来の偏光制御器、例えば特開平6−186514号で開示されている偏波制御装置では、磁気光学結晶のコットン・ムートン効果を用いて、磁気光学結晶内に生じた複屈折を利用して偏光制御を行っている。
【0006】
コットン・ムートン効果はフォークト効果又は磁気複屈折効果とも称され、光の進行方向と磁界とが垂直な場合に生じる磁気光学効果である。磁界による磁化の無い場合は等方性の物質には複屈折は生じないが、磁化の存在により磁化方向に一軸異方性が誘起され、磁化方向に振動する直線偏光(常光線)と磁化に垂直方向に振動する直線偏光(異常光線)とに対して複屈折を起こす現象である。
【0007】
【特許文献1】特開平6−186514号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の磁気光学結晶を用いた偏光制御器では、磁気光学結晶に複屈折を生じさせるときの磁化は可変であるが、一般に印加磁界の大きさが比較的小さい場合には、印加磁界による磁気光学結晶の磁化が飽和状態に達せず、磁気光学結晶内に多数の磁区が存在することになる。飽和磁化以下では磁区の方向が揃わず、不規則な光の散乱が発生して損失を生じ、また大きなヒステリシスを示すなど制御が困難となり実用上の問題が生じる。
【0009】
よって、本発明の目的は、多数の磁区の存在による不都合が生じることのない偏光制御器を提供することである。本発明の他の目的は以下の説明から明らかになる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、入力ポート及び出力ポートの間の光路上に設けられる磁気光学結晶と、その光路と垂直な方向の磁界を磁気光学結晶に印加する磁界印加手段と、その磁界による磁気光学結晶の磁化が飽和した状態でその磁化の方向が回転するように磁界印加手段を制御する制御器とを備えた偏光制御器が提供される。
【0011】
この構成によると、磁化が飽和した状態で磁化の方向が変化するので、多数の磁区の存在による不都合が生じることのない偏光制御器を提供することができる。
【0012】
例えば、磁界印加手段は、光路に垂直な平面内の互いに直行する方向に磁界を発生する少なくとも2つの電磁石を含む。
【0013】
例えば、制御器は、I01及びI02を最大電流、φを初期位相、IS1及びIS2を定電流値とするときに、少なくとも2つの電磁石の内の2つにそれぞれ以下の式で与えられる電流I1及びI2を供給する。
I1=I01sin(φ)+IS1
I2=I02cos(φ)+IS2
望ましくは、光ファイバ伝送路に適合するために、偏光制御器は、入力ポート及び出力ポートをそれぞれ提供する入力側及び出力側光ファイバと、入力側及び出力側光ファイバの間に光路をコリメートビームとして提供するための入力側及び出力側レンズとを更に備える。
【0014】
望ましくは、制御器は、磁気光学結晶を通過する前後で光の直行する2つの偏光成分の位相差がπ/2の整数倍変化するように磁界印加手段を制御する。
【0015】
本発明の他の側面によると、入力ポート及び出力ポートの間の光路上に設けられる複数の偏光制御ユニットを備えた偏光制御器が提供される。複数の偏光制御ユニットの各々は、磁気光学結晶と、光路と垂直な方向の磁界を磁気光学結晶に印加する磁界印加手段と、その磁界による磁気光学結晶の磁化が飽和した状態でその磁化の方向が回転するように磁界印加手段を制御する制御器とを含む。
【0016】
この構成によると、任意の偏光状態から他の任意の偏光状態への変換を容易に行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の望ましい実施形態を添付図面に沿って詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の第1実施形態を示す偏光制御器の側面図、図2は図1におけるII−II線断面図である。この偏光制御器は、入力ポートINに入力された光の偏光状態を調節して出力ポートOUTから出力する。入力ポートIN及び出力ポートOUTはそれぞれ入力側光ファイバ2及び出力側光ファイバ4によって提供される。
【0019】
入力側光ファイバ2及び出力側光ファイバ4の間にコリメートビーム6による光路を形成するために、入力側光ファイバ2及び出力側光ファイバ4の端面にそれぞれ対向して凸レンズ8及び10が設けられている。
【0020】
コリメートビーム6が通過するように磁気光学結晶12が設けられている。磁気光学結晶12としては、Bi置換イットリウム鉄ガーネットやBi置換希土類鉄ガーネット、Co置換イットリウム鉄ガーネット等を用いることができる。
【0021】
コリメートビーム6の伝搬方向と垂直な平面上の方向に磁気光学結晶12を磁化させる磁界を磁気光学結晶12に印加するために、磁界印加手段13が設けられている。
【0022】
この実施形態では、磁界印加手段13は上記平面内の互いに直行する方向の磁界を発生する2組の電磁石14及び16から構成され、電磁石14及び16にはそれぞれ電流源18及び20から電流が供給される。そして、電磁石14及び16により印可された合成磁界による磁気光学結晶12の磁化が飽和した状態でその磁化の方向が回転するように、制御器22が電流源18及び20を制御する。
【0023】
具体的には、電流源18及び20が電磁石14及び16のそれぞれによる磁界強度を調整する様に電流印加し、電流値を調整することにより、飽和磁化を光路に直交する面内で無限回転させ、磁気光学結晶12を通過する前後で光の直交する2つの偏光成分の位相差がπ/2の整数倍、好ましくは、π/2又はπだけ変化させるように、複屈折の大きさに対応する飽和磁化の大きさ、即ち電流値や磁気光学結晶12の長さが設定される。
【0024】
ある偏光状態の光信号は、入力側光ファイバ2からレンズ8を通して平行光にコリメートされ、磁気光学結晶12を通過後、レンズ10で出力側光ファイバ4に集光され、偏光変換された光信号が伝搬していく。
【0025】
電磁石14及び16による磁界強度の調整は電流変化により行われ、例えば電流を次のように設定することで、磁化方向を任意に設定することができる。即ち、I01及びI02を最大電流、φを初期位相、IS1及びIS2を定電流値とするときに、少なくとも2つの電磁石の内の2つにそれぞれ以下の式で与えられる電流I1及びI2を供給するようにするのである。
I1=I01sin(φ)+IS1
I2=I02cos(φ)+IS2
磁気光学結晶12の光軸方向の厚さをL、飽和磁化により誘起される複屈折Δnとすると、磁気光学結晶12を光が通過する前後で光の直交する2つの偏光成分の位相差Γは次のようになる。
Γ=2πΔn・L/λ0
ここでλ0は真空中の波長である。位相差Γをmπあるいはmπ/2(mは1,3,5,…の奇数で好ましくはm=1)となるように、結晶厚さLと飽和磁化による複屈折Δnを決定する。
【0026】
位相差がπあるいはπ/2である複屈折結晶は、それぞれ1/2波長板、1/4波長板として機能し、回転磁化により光軸に直交する面内で無限に回転する波長板となり無限の偏光制御が可能となる。
【0027】
この偏光制御器を複数個用いることにより、光ファイバ中を伝搬してきた任意の偏光状態の光信号を任意の偏光状態に変換させる事ができる。
【0028】
例えば、次のような実験系を設定する。光の進行方向を+Z軸にとり、光はX−Y平面内で振動し、光軸に直交する垂直上方向を+Y軸に、−Z軸から+Z軸を見たときの水平右方向を+X軸とする。X−Y平面内で振動し、X軸及びY軸に対して主軸が傾いた楕円偏光は、1/2波長板、1/4波長板及び1/2波長板を順次通過させることにより、任意の偏光に変換させることができる。
【0029】
図3は本発明の第2実施形態を示す偏光制御器の側面図である。ここでは、入力側の光ファイバ2及びレンズ8と出力側のレンズ10及び光ファイバ4との間のコリメートビーム6が通過するように3つの偏光制御ユニットPCU1〜3が直列に設けられている。偏光制御ユニット1〜3はそれぞれ1/2波長板、1/4波長板及び1/2波長板として機能するように設計されており、各々図1に示される偏光制御ユニットPCU(磁気光学結晶12、電磁石14及び16、電流源18及び20並びに制御器22)と同様の構成を有している。
【0030】
楕円偏光から直線偏光に変換する場合には、最初の1/2波長板としての偏光制御ユニットPCU1で任意の楕円偏光からX軸又はY軸と主軸が一致する楕円偏光への変換が行われ、次の1/4波長板としての偏光制御ユニットPCU2でその楕円偏光からX−Y平面内の主軸が傾いた直線偏光への変換が行われ、最後の1/2波長板としての偏光制御ユニットPCU3でその直線偏光からX軸又はY軸に一致する直線偏光への変換が行われる。ここでは最終的に直線偏光に変換する例を説明したが、上記の構成を用いれば任意の偏光変換が可能である。
【0031】
図4は本発明の第3実施形態を示す偏光制御器の側面図である。この実施形態では、入力側の光ファイバ2及びレンズ8と出力側のレンズ10及び光ファイバ4との間のコリメートビーム6が通過するように、それぞれ1/4波長板、1/2波長板及び1/4波長板として機能するように設計された偏光制御ユニットPUC4〜6が設けられている。
【0032】
この構成によっても、図3に示される実施形態におけるのと同様に、任意の偏光変換が可能になる。
【0033】
図5は本発明の第4実施形態を示す偏光制御器のブロック図である。光ファイバ伝送路23を伝搬してきた光信号は光カプラ24で分配され、一方は偏光モニタ26に供給され、他方は本発明による偏光制御器30に供給される。偏光モニタ26によるモニタリング結果を含む信号は制御回路28に供給され、制御回路28は、偏光制御器30から出力される光信号の偏光状態が一定になるように偏光制御器30を制御する。
【0034】
偏光モニタ26が信号光の偏光状態を識別する方法としては、ストークスパラメータを取得する方法や偏光度のみを取得する方法がある。この実施形態では、光カプラ24で分配された光信号から偏光状態を識別するようにしているが、偏光制御器30の入力ポート及び/又は出力ポートからの光信号の偏光状態を識別するようにしてもよい。
【0035】
以上説明した実施形態によると、機械的駆動部分を含まないで偏光制御器を構成することができるので、長期安定性に優れた偏光制御が可能になる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、多数の磁区の存在による不都合が生じることのない偏光制御器を提供することが可能になるという効果が生じる。また、本発明によると、任意の偏光状態から任意の偏光状態への変換が可能な偏光制御器を提供することができる。更に、機械的な可動部分を持たず信頼性の高い偏光制御器の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施形態を示す偏光制御器の側面図である。
【図2】図2は図1におけるII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は本発明の第2実施形態を示す偏光制御器の側面図である。
【図4】図4は本発明の第3実施形態を示す偏光制御器の側面図である。
【図5】図5は本発明の第4実施形態を示す偏光制御器のブロック図である。
【符号の説明】
2 入力側光ファイバ
4 出力側光ファイバ
6 コリメートビーム
8,10 レンズ
12 磁気光学結晶
13 磁界印加手段
14,16 電磁石
18,20 電流源
22 制御器
Claims (5)
- 入力ポート及び出力ポートの間の光路上に設けられる磁気光学結晶と、
前記光路と垂直な方向の磁界を前記磁気光学結晶に印加する磁界印加手段と、
前記磁界による前記磁気光学結晶の磁化が飽和した状態で前記磁化の方向が回転するように前記磁界印加手段を制御する制御器とを備えた偏光制御器。 - 前記磁界印加手段は、前記光路に垂直な平面内の互いに直行する方向に磁界を発生する少なくとも2つの電磁石を含む請求項1記載の偏光制御器。
- 前記制御器は、I01及びI02を最大電流、φを初期位相、IS1及びIS2を定電流値とするときに、前記少なくとも2つの電磁石の内の2つにそれぞれ以下の式で与えられる電流I1及びI2を供給する請求項2記載の偏光制御器。
I1=I01sin(φ)+IS1
I2=I02cos(φ)+IS2 - 前記入力ポート及び前記出力ポートをそれぞれ提供する入力側及び出力側光ファイバと、前記入力側及び出力側光ファイバの間に前記光路をコリメートビームとして提供するための入力側及び出力側レンズとを更に備えた請求項1記載の偏光制御器。
- 入力ポート及び出力ポートの間の光路上に設けられる複数の偏光制御ユニットを備えた偏光制御器であって、
前記複数の偏光制御ユニットの各々は、
磁気光学結晶と、
前記光路と垂直な方向の磁界を前記磁気光学結晶に印加する磁界印加手段と、
前記磁界による前記磁気光学結晶の磁化が飽和した状態で前記磁化の方向が回転するように前記磁界印加手段を制御する制御器とを含む偏光制御器。
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- 2003-03-28 JP JP2003089625A patent/JP2004294941A/ja active Pending
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