JP2004294558A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Kazuyuki Hisanaga
一行 久長
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Abstract

【課題】反射時の最適な駆動値電圧と透過時の最適な駆動値電圧に差が生じ、両者を同時に満足できる最適な駆動電圧が得られない。
【解決手段】基板上に透明導電層と光反射性金属層との積層体をストライプ状に配列してなるストライプ状積層電極群を形成し、このストライプ状積層電極群上に配向層を積層してなる一方部材と、透明基板上にストライプ状透明電極群と配向層とを順次積層してなる他方部材とをネマチック液晶を介して貼り合わせ画素をマトリクス状に配列せしめるとともに、光反射性金属層に対し画素ごとにストライプ状積層電極群の配列方向と平行にしたスリット状の開口部を設けて、さらに他方部材に対し画素に対応するカラーフィルターを配するとともに、上記開口部の段差を300Å以下に、この面内段差を300Å以下にすべく、この開口部に透明樹脂材を充填せしめた液晶表示装置。
【選択図】図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置に関するものであり、より詳しくは反射型表示(反射モード)と透過型表示(透過モード)の機能を兼ね備えた液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯情報端末用途に、屋外、屋内の双方に使用できる半透過型液晶表示装置が開発されている。
【0003】
この半透過型液晶表示装置は、太陽光、蛍光灯などの外部照明によって反射型の装置として用いる場合と、バックライトを内部照明として装着した透過型の装置として用いる場合があり、双方の機能を併せ持たせるためにセル内に半透過反射板を設けている(特許文献1参照)。
【0004】
液晶表示装置にはアクティブマトリクス方式や単純マトリクス方式など種々の方式があるが、半透過型液晶表示装置の例として単純マトリクス方式を用いた場合を図4により示す。
【0005】
同図はこの装置の概略断面図であり、基板1の上に開口部4を設けた金属反射膜3を形成し、この上にシリコン酸化膜等の絶縁膜5を被覆し、さらにITOなどからなる透明電極6と配向膜7とを順次積層している。
【0006】
一方、基板2の上にはカラーフィルタ10(厚み10000オングストローム)が画素ごとに配されており、各画素間にはクロム金属もしくは感光性レジストのブラックマトリックス11を形成している。これらカラーフィルタ10とブラックマトリックス11の上にはアクリル系樹脂からなるオーバーコート層9(厚み20000オングストローム)が形成され、さらにストライプ状透明電極群である透明電極8(厚み2600オングストローム)と配向膜7(厚み400オングストローム)が順次形成される。
【0007】
そして、透明電極6と透明電極8とが交差するようにネマチック液晶12を介して貼り合わせ、それら交差部分を画素となして、マトリックス状に配列する。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−215492号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の半透過型液晶表示装置によれば、各画素内に設けた金属膜に開口部4を設けたことで、同一画素内に凹部が存在し、図4に示したように同一画素内において金属膜部(ギャップa)と開口部(ギャップb)でセルギャップに差が生じ、これにより、反射時の最適な駆動値電圧と透過時の最適な駆動値電圧に差が生じ、両者を同時に満足できる最適な駆動電圧が得られないという課題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、基板上に透明導電層と光反射性金属層との積層体をストライプ状に配列してなるストライプ状積層電極群を形成し、このストライプ状積層電極群上に配向層を積層してなる一方部材と、透明基板上にストライプ状透明電極群と配向層とを順次積層してなる他方部材とを、これらストライプ状積層電極群とストライプ状透明電極群とが交差するようネマチック液晶を介して貼り合わせ画素をマトリクス状に配列せしめるとともに、上記光反射性金属層に対し画素ごとにストライプ状積層電極群の配列方向と平行にしたスリット状の開口部を設けて、この開口部にて透過モードとなし、開口部以外の領域にて反射モードとなし、さらに他方部材に対し画素に対応するカラーフィルターを配するとともに、上記開口部の段差を300Å以下に、この面内段差を300Å以下にすべく、この開口部に透明樹脂材を充填せしめたことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の液晶表示装置は、選択的なエッチングを経て前記開口部に透明樹脂材を充填せしめたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を図により説明する。
【0013】
図1は本発明における半透過反射型液晶表示装置の概略断面図であり、図2は図1に示す液晶セル14の要部拡大平面図、図3は図2に示す半透過反射型液晶装置の要部拡大平面図であり、図3は図2に示すA−A’線の断面図である。なお、図4に示す装置と同じ部材には同一符号を付す。
【0014】
一方部材については、ガラスや合成樹脂などからなる基板1の上にはITOなどからなる透明電極6が所定の形状に形成されており、さらにその上に前記光反射性金属層である開口部4を設けた金属反射膜3を所定の形状に形成し、反射板としての機能と電極としての機能を同時に満たす反射電極として用いられる。
【0015】
この開口部4については、図2に示すごとく、金属反射膜3に対し画素ごとにストライプ状積層電極群の配列方向と平行にしたスリット状にしている。
【0016】
この金属反射膜3の材料としてはAl(アルミニウム)、Cr(クロム)、Ag(銀)、またはこれらの合金などの金属が用いられるが、可視光域の外光を反射させることのできる高反射率金属であれば、特に限定されない。
【0017】
また、かかる金属反射膜3の反射率は85%以上、より好ましくは90%以上になっていることが好ましい。そして、この金属反射膜3に対し、その背面から入る光を通すための開口部4を設けた。
【0018】
この開口部4はフォトリソグラフィ等により選択的に形成し、その大きさは画素サイズの30%の面積とした。なお、開口部の面積としてはその半透過反射型液晶装置の用途によって決まるものであって、特に限定されるものではない。
【0019】
そして、本発明によれば、この開口部4に対し、アクリル樹脂などの透明樹脂膜13をフォトリソグラフィにより開口部4に合わせて形成し、これに伴って図4に示すごとく、開口部4の段差を300Å以下に、さらに図3に示すごとく、この面内段差を300Å以下にすべく、この開口部4に透明樹脂材を充填した。
【0020】
また、反射膜3上には一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜7が形成されている。
【0021】
他方部材については、基板2にはカラーフィルタ10が画素ごとに配されており、各カラーフィルタ10間にクロム金属もしくは感光性レジストのブラックマトリックス11とを形成している。カラーフィルタ層10は染色法や顔料分散法によって製造することができる。
【0022】
なお、ブラックマトリックス11は必要不可欠ではなく、ブラックマトリックス11は設けなくてもよい。
【0023】
そして、カラーフィルタ層10上には、たとえばアクリル系樹脂からなるオーバーコート層9が形成され、さらにその上に透明電極8、配向膜7がそれぞれ形成されている。
【0024】
このような構成の一方部材と他方部材の間には液晶層12を有する。
【0025】
さらに図1に示すごとく、基板2の外側には光散乱性板状体15とポリカーボネートなどからなる第1位相差フィルム16と第2位相差フィルム17とヨウ素系の偏光板18を、また、基板1の外側にはポリカーボネートなどからなる第3位相差フィルム19と第4位相差フィルム20とヨウ素系の偏光板21をアクリル系の材料からなる粘着材を用いて順次貼り付ける。
【0026】
また、基板1上の金属反射膜3については凹凸を持たせても良く、金属反射膜3の下地に感光性のアクリル樹脂等を用いて形成したり、下地になる基板1に対しフッ酸によって荒らしたりすることで形成でき、その際は前述の光散乱性板状体15は不要となる。
【0027】
かくして本発明によれば、上記構成のごとく、開口部4に対し透明樹脂膜13をフォトリソグラフィにより形成するに当り、開口部4の段差を300Å以下に、この面内段差を300Å以下にすべく、この開口部4に透明樹脂材を充填したことで、開口部4を設けたことに起因する反射時の最適な駆動値電圧と透過時の最適な駆動値電圧における差が解消され、双方を同時に満足できる最適な駆動電圧が得られた。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良等はなんら差し支えない。
【0029】
本例においては、基板2にカラーフィルタ層を設けたが、これに代えて基板1の金属反射膜と透明電極の間に形成してもよく、その際はカラーフィルタなどを容易に形成するために、金属反射膜上にSiO層を介してカラーフィルタを設けてもよい。
【0030】
また、本発明の液晶装置の駆動方式としては単純マトリクス方式、アクティブマトリクス方式等の公知の各種駆動方式が採用可能である。
【0031】
さらにまた、金属反射膜3はフォトリソグラフィにより電極としての機能も持ち併せているが、金属製反射膜を基板1上に成膜し、各画素部に透過部を形成した後、その上に絶縁層を形成し、さらにその上にパターニングされた透明電極を設けることで金属反射膜は反射板としてのみの機能を持たしても良い。
【0032】
また、金属反射電極の開口部に設ける材料として透明樹脂の代わりにITOなどの透明電極を設けても良い。
【0033】
【実施例】
本発明の実施形態に基づいて作製した半透過反射型液晶装置を透過型として使用した場合の電圧−コントラスト曲線と反射型として使用した場合の電圧−コントラスト曲線を測定したところ、図7に示すような結果が得られた。
【0034】
本発明によれば、金属反射膜にはAl層とCr層を積層して1350Å成膜し、透過部に透明樹脂を形成することで、図4に示すごとき、金属膜表面の段差b―a、すなわち配向膜7上における段差b―aを300Åとした。
【0035】
また、開口部の面内段差については、300Åとした。このような段差も配向膜7上における段差でもって規定する。
【0036】
(比較例1)
比較例として図4に示す装置について説明する。
【0037】
図4において、透明な下側基板1上に金属反射膜3をAlとCrを積層して1350Å形成後、その上にSiO2からなる絶縁膜5(厚み300Å)、透明電極6(厚み1250Å)、配向層7(厚み400Å)を順次形成し、対向する上側基板2にはカラーフィルタ層10、オーバーコート層9、透明電極層8、配向層7が順次形成されている。
【0038】
それぞれの透明電極6はストライプ状に形成されており、互いに交差するようにネマチック液晶を介して貼り合わせてある。
【0039】
そして、基板1に形成された金属反射膜3は、画素に対応する部分に、画素面積より小さい面積で、かつ電極に平行に透過部が設けてあり、その透過部をセル背面に配設された光源からの光が通ることによって透過表示となす。
【0040】
この半透過反射型液晶装置を透過型として使用した場合の電圧−コントラスト曲線と反射型として使用した場合の電圧−コントラスト曲線を図6に示す。
【0041】
以上の構成による半透過反射型液晶装置について、開口部4による金属膜表面の段差b―aは約1200Åとなっている。
【0042】
なお。図6と図7において、コントラストの値は各々のコントラストMAXで規格化したものである。
【0043】
また、透過型として用いた場合と反射型として用いた場合のそれぞれの最適駆動電圧VT、VRについては、表1に示すような結果が得られた。
【0044】
【表1】
Figure 2004294558
【0045】
以上のとおり、透過型として用いた場合と反射型として用いた場合の最適駆動電圧の差(VT−VR)は0.7Vとなった。
【0046】
これは、仮に反射時の最適駆動電圧に合わせた場合、透過時の表示は最適駆動電圧に達していないため黒くつぶれたような表示になってしまい、また、仮に透過時の最適駆動電圧合わせた場合、反射時の表示は最適駆動電圧を超えているため白抜けした表示になってしまう。
【0047】
(比較例2)
比較例として図5に示す装置について説明する。なお、図3の装置や図4の装置と同一箇所には同一符号を付す。
【0048】
図5に示す装置によれば、透過部に透明樹脂材を選択的にエッチングすることで充填したものの、透過部内に充填した透明樹脂の中央部が凹み、これにより、薄くなることで、透過部での液晶の立ち上がりにバラツキが生じた例を示す。
【0049】
この際の透過部の端部と中央部(図5に示すA部とB部)の電圧−透過率の関係を示したのが図8である。
【0050】
このような開口部4の面内段差については、550Åであった。
【0051】
同図から明らかなとおり、凹みが生じた事で、これに起因して透過部内で電圧−透過率曲線にズレが生じ、この場合約0.3Vの電圧差があることが判った。
【0052】
これに対して本発明である図3の構成にすると図7、表2、図9の様な結果が得られている。
【0053】
また、透過型として用いた場合と反射型として用いた場合のそれぞれの最適駆動電圧VT、VRについては、表2に示すような結果が得られた。
【0054】
【表2】
Figure 2004294558
【0055】
これによると透過時の最適駆動電圧と反射時の最適駆動電圧がほぼ一致し、さらに透過部に於いてA部とB部の電圧−透過率曲線のズレが0.1Vと小さくなることから、反射表示と透過表示のどちらの表示状態においても最適な表示が得られるようになった。
【0056】
なお、図8、図9においては透過率の値は各々の飽和透過率で規格化したものである。
【0057】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、基板上に透明導電層と光反射性金属層との積層体をストライプ状に配列してなるストライプ状積層電極群を形成し、このストライプ状積層電極群上に配向層を積層してなる一方部材において、光反射性金属層に対し画素ごとにストライプ状積層電極群の配列方向と平行にしたスリット状の開口部を設けるに当り、開口部の段差を300Å以下に、この面内段差を300Å以下にすべく、この開口部に透明樹脂材を充填せしめたことで、反射時の最適駆動電圧と透過時の最適駆動電圧の差を小さくし、ある任意の駆動電圧を印加した際、反射時、透過時の両表示モードにおいて同時に十分な光学特性を得ることができた。
【0058】
また、本発明によれば、透過部を画素の外側に配置し、その上に透明樹脂層を設けることで、透明樹脂層の最も凸になる部分が表示に影響を与えないストライプ状積層電極群間に配され、これによって表示部に与える影響を最小限とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半透過反射型液晶表示装置の概略断面図である。
【図2】図1に示す液晶セルの要部拡大平面図である。
【図3】図2に示す半透過反射型液晶装置の要部拡大平面図であって、図2に示すA−A’線の断面図である。
【図4】従来の半透過反射型液晶表示装置の概略断面図である。
【図5】従来の他の半透過反射型液晶表示装置の概略断面図である。
【図6】従来の半透過反射型液晶装置における1画素内における電圧−コントラスト特性を示す線図である。
【図7】図3に示す半透過反射型液晶装置において段差を300Åにしたときの1画素内における電圧−コントラスト特性を示す線図である。
【図8】図5に示す半透過反射型液晶装置の透過部におけるA部とB部の電圧−透過率曲線を示す線図である。
【図9】図3に示す半透過反射型液晶装置において、その透過部におけるA部とB部の電圧−透過率曲線を示す線図である。
【符号の説明】
1 下側基板
2 上側基板
3 金属反射膜
4 透過部
5 絶縁膜
6、8 ITO
7 配向膜
9 オーバーコート
10 カラーフィルタ
11 ブラックレジスト
12 液晶層
13 透明樹脂層
14 液晶パネル
15 光散乱性板状体
16 第1位相差フィルム
17 第2位相差フィルム
18、21 偏光板
19 第3位相差フィルム
20 第4位相差フィルム
22 バックライト

Claims (2)

  1. 基板上に透明導電層と光反射性金属層との積層体をストライプ状に配列してなるストライプ状積層電極群を形成し、このストライプ状積層電極群上に配向層を積層してなる一方部材と、透明基板上にストライプ状透明電極群と配向層とを順次積層してなる他方部材とを、これらストライプ状積層電極群とストライプ状透明電極群とが交差するようネマチック液晶を介して貼り合わせ画素をマトリクス状に配列せしめるとともに、上記光反射性金属層に対し画素ごとにストライプ状積層電極群の配列方向と平行にしたスリット状の開口部を設けて、この開口部にて透過モードとなし、開口部以外の領域にて反射モードとなし、さらに他方部材に対し画素に対応するカラーフィルターを配するとともに、上記開口部の段差を300Å以下に、この面内段差を300Å以下にすべく、この開口部に透明樹脂材を充填せしめた液晶表示装置。
  2. 選択的なエッチングを経て前記開口部に透明樹脂材を充填せしめた請求項1に記載の液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100394271C (zh) * 2004-12-31 2008-06-11 Lg.菲利浦Lcd株式会社 液晶显示器的滤色器基板及其制造方法

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