JP2004294378A - リン酸化ペプチドの有無の判定方法及びリン酸化ペプチドのアミノ酸配列決定方法 - Google Patents

リン酸化ペプチドの有無の判定方法及びリン酸化ペプチドのアミノ酸配列決定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ペプチド中のリン酸化ペプチドの有無を簡便にかつ効率的に判定する方法を提供し、更にリン酸化ペプチド含有物中のリン酸化ペプチドのアミノ酸配列を簡便に且つ効率的に決定する方法を提供する。
【解決手段】(1)ペプチド含有液を、ペプチド毎に分離可能な手段により分析し、分析データを取得する工程、(2)該ペプチド含有液を、鉄を主として含有し、さらに少なくともクロムを含有する合金に接触させる工程、(3)該接触後の液を、(1)と同じ方法により分析し、分析データを取得する工程及び(4)(1)の工程で取得される分析データと(3)の工程で取得される分析データとを比較する工程を含むことを特徴とするペプチド中におけるリン酸化ペプチドの有無の判定方法、及びリン酸化ペプチドのアミノ酸配列決定方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペプチド中におけるリン酸化ペプチドの有無の判定方法及びリン酸化ペプチドのアミノ酸配列決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リン酸化ペプチドの解析は生命現象において細胞内の情報伝達等の重要な制御の解明に重要である。
真核生物に由来するペプチド中のSer、Thr、Tyr等でリン酸化が生じるが、遺伝子配列から推定されるアミノ酸配列では、リン酸化の有無やリン酸化部位の特定はできないため、リン酸化ペプチドの直接的な解析が必要となる。
複雑な混合試料からリン酸化ペプチドを特定する方法として、例えば、金属固定化アフィニティークロマトグラフィーを用いる方法(Ficarroら:Nat.Biotechnol.20(2002)301〜305貢)、特異的化学修飾による精製法(小田ら:Nat.Biotechol.19(2001)379〜382貢)などが知られている。
【0003】
金属固定化アフィニティークロマトグラフィーを用いる方法では、3価の鉄イオンもしくはガリウムイオンを使用し、それをキレート担体に固定化した金属イオン固定化アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)カラムを用いる。この方法では3価の鉄イオンあるいはガリウムイオンにリン酸基が結合する性質を有することを利用して、IMACカラムにリン酸化ペプチドを結合させて精製することにより行われる。しかしながら、金属固定化担体の安定性の問題やキレート担体自身に非特異的に結合するペプチドがあり、リン酸基への特異性が十分でないという問題であった。
特異的化学修飾を用いる方法では処理工程が多く煩雑であるなどの問題がある。
【0004】
また、リン酸化ペプチド含有試料を質量分析によりペプチド種別に分離し、該分離したペプチド全てについて質量分析を行ってフラグメントイオン質量スペクトルを取得し、全てを解析すれば各ペプチドのリン酸化の有無及びその配列を決定することは原理的に可能ではあるものの、ペプチド種が多数混じっている場合には分析及び解析に多大の労力と時間が必要となるという問題があり、簡便かつ効率的にリン酸化ペプチドを解析する方法が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決しようとする課題は、従来の問題点を解決し、ペプチド中のリン酸化ペプチドの有無を簡便にかつ効率的に判定する方法を提供し、更にリン酸化ペプチド含有物中のリン酸化ペプチドのアミノ酸配列を簡便に且つ効率的に決定する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、リン酸化ペプチドを解析する方法について鋭意研究を行った結果、リン酸化ペプチドがある種の合金に特異的に吸着されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、(1)ペプチド含有液を、ペプチド毎に分離可能な手段により分析し、分析データを取得する工程、(2)該ペプチド含有液を、鉄を主として含有し、さらに少なくともクロムを含有する合金に接触させる工程、
(3)該接触後の液を、(1)と同じ方法により分析し、分析データを取得する工程及び(4)(1)の工程で取得される分析データと(3)の工程で取得される分析データとを比較する工程を含むことを特徴とするペプチド中におけるリン酸化ペプチドの有無の判定方法(以下、本判定方法と記す。)、及び
(1)リン酸化ペプチド含有液の質量分析を行い、質量スペクトルを取得する工程、(2)該リン酸化ペプチド含有液を、鉄を主として含有し、さらに少なくともクロムを含有する合金に接触させる工程、(3)該接触後の液の質量分析を行い、質量スペクトルを取得する工程、(4)(1)の工程で取得される質量スペクトルと(3)の工程で取得される質量スペクトルを比較し、(1)で得られる質量スペクトルに存在し(3)で得られる質量スペクトルには存在しないピークを特定する工程及び(5)該特定されたピークの質量分析を行い、そのフラグメントイオン質量スペクトルを取得し、そのアミノ酸配列を決定する工程を含むことを特徴とするリン酸化ペプチドのアミノ酸配列決定方法(以下、本決定方法と記す。)に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、ペプチドとは、2個以上のα−アミノ酸がペプチド結合により結合した高分子化合物を言い、蛋白質も含む。リン酸化ペプチドとは、ペプチドを構成するセリン、スレオニン、またはチロシン残基のヒドロキシル基の少なくとも1個にリン酸がエステル結合しているペプチドを言う。
【0008】
ペプチド含有液は、通常、1種のペプチドまたは2種以上のペプチドからなる混合物を水、酢酸水溶液、トリフルオロ酢酸水溶液、ギ酸水溶液、グリシン−塩酸水溶液等に溶解することにより調製される。ペプチド含有液におけるペプチドの濃度は使用するペプチドを分離可能な手段により変わるが、通常は0.01mg/ml〜10mg/ml、好ましくは0.1mg〜1mg/mlの濃度である。
【0009】
また、ペプチド含有液のpHは、含有されるペプチドが分解されない状態であれば特に限定されないが、どちらかといえば酸性の方が好ましく、例えばpH 2〜5が好ましく、更には好ましくは2〜3である。
【0010】
本発明において、鉄を主として含有し、さらに少なくともクロムを含有する合金(以下、本合金と記す。)は、合金中の金属総量に対し、通常は、鉄を50%〜87%、クロムを13%〜35%含有する。本合金は、鉄及びクロムの他に、ニッケル、モリブデン、銅、ニオブ等の金属を含むものであってもよいし、かかる金属の他、炭素を含んでいてもよい。
【0011】
本合金として、好ましくはステンレス鋼を挙げることができる。ステンレス鋼は一般に、表面に不動態皮膜を形成してさびにくさを維持する合金であり、クロムを約12〜32%程度含有する鉄系の合金と定義される。また、不動態皮膜は、非常に薄い鉄とクロムを含む酸化物(水酸化物)であり、その厚さは通常数十オングストロームと言われている。かかるステンレス鋼としては、例えばSUS304(18%Cr、8%Ni含有)、SUS316L(18%Cr、12%Ni、2%Mo含有)等のオーステナイト・ステンレス、SUS430(18%Cr含有)等のフェライト・ステンレス鋼、SUS410(0.1%C、13%Cr含有)等のマルテンサイト・ステンレス鋼を挙げることができ、好ましくはオーステナイト・ステンレス鋼を挙げることができ、オーステナイト・ステンレス鋼の中でもクロムを18%以上、ニッケルを8%以上含有するものが好ましい。またSUS304は、これを使用した器具、材料、例えばステンレス針付きシリンジ、ステンレス粒等として広く市販されており、かかる器具、材料を使用することは、その入手性、使用時の簡便性の点でさらに好ましい。
【0012】
本合金は、合金単独で使用することもできるし、例えば鉄、他の金属、合成樹脂等の表面を本合金で被覆した形態で使用することもできる。
【0013】
ペプチド含有液を、ペプチド毎に分離可能な手段により分析し、分析データを取得し、該ペプチド含有液を、本合金に接触させ、該接触後の液を、上記と同じ方法により分析して分析データを取得し、本合金への接触の前後の分析データを比較することによりペプチド中におけるリン酸化ペプチドの有無を判定することができる。
【0014】
本判別方法において、ペプチド含有液と本合金との接触は、ペプチド含有液中のペプチドと本合金とが接触できる方法であれば特に限定されない。例えば、ペプチド含有液とステンレス粉とを混合することにより接触させる方法、ステンレス製の針が付いたシリンジにペプチド含有液を該針を介して吸引することにより接触させる方法、カラムにステンレス粒子を充填し、ペプチド含有液を通過させることにより接触させる方法、ステンレス鋼微細管にペプチド含有液を通過させることにより接触させる方法等が挙げられる。
【0015】
ペプチド含有液と本合金との接触における温度は、ペプチド含有液が液体の状態を保持でき、ペプチドが変性しない温度であれば許容できるが、通常は特に加熱または冷却を要しない室温条件で行うことができる。
【0016】
接触時間は特に制限されず、ペプチド含有液を本合金と瞬間的に触れさせるだけでもよく、長時間接触させても良い。
【0017】
接触後処理後、接触形態により必要であれば、本合金を除去することによりペプチド含有液を本合金と接触処理した液が得られる。
【0018】
本判別方法おけるペプチドごとに分離可能な手段は、ペプチド含有液中のペプチド種毎に分離し得る手段であれば特に限定されないが、具体的には液体クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、ポリアクリルアミド電気泳動、質量分析等の分析手段が挙げられる。これらの手段は夫々が通常使用される方法によって、ペプチド含有液に含まれるペプチド種毎に分離することができる。
【0019】
かかる手段による分析は具体的には以下のようにして行われる。
(1)質量分析手段を用いた分析
質量分析装置の種類やイオン化法は特に限定されない。例えば、イオントラップ質量分析装置や四重極−飛行時間型の質量分析装置を用いてESIイオン化法にて、あるいは、MALDIイオン化法を用いた飛行時間型質量分析装置にて質量スペクトルを取得することができる。
【0020】
(2)液体クロマトグラフィー分析手段を用いた分析
液体クロマトグラフィーの種類や検出器は特に限定されない。液体クロマトグラフィーの種類としては、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーや疎水クロマトグラフィーなどを挙げることができ、検出器としては、例えば、UV検出器、蛍光検出器などを挙げることができる。例えば逆相クロマトグラフィーとUV検出器を組み合わせて、逆相クロマトグラフィーによりペプチドを分離し、UV検出器にてクロマトグラムを取得すればよい。
【0021】
(3)キャピラリー電気泳動分析手段を用いた分析
キャピラリー電気泳動分析も液体クロマトグラフィー分析と同様に、キャピラリー電気泳動でペプチドを分離し、UV検出器や蛍光検出器にてエレクトロフェログラムを取得すればよい。
【0022】
(4)ポリアクリルアミド電気泳動分析手段を用いた分析
ゲルを担体としたクロマトグラフィーであるポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を使用して分離し、ペプチドを染色することで検出することができる。
【0023】
本判定方法におけるリン酸化ペプチドの有無の判定は、ペプチド含有液を前記手段により分析して得られる分析データと、前記接触済液を同じ手段により分析して得られる分析データとを比較し、接触前液には存在し、接触後液には存在しない成分の有無を確認することにより行うことができる。
【0024】
具体的には、分析データが液体クロマトグラフィー分析手段によって得られたクロマトグラムであれば、接触前のペプチド含有液を分析して得られたクロマトグラムには存在し、接触後液を分析して得られたクロマトグラムには存在しないピークの有無を確認することにより、かかるピークがあればリン酸化ペプチドが存在し、かかるピークが無ければ(接触前後で変化が無ければ)リン酸化ペプチドが存在しないと判定することができる。
【0025】
キャピラリー電気泳動分析手段によって得られたエレクトロフェログラムにおいても、液体クロマトグラフィーと同様に、接触前のペプチド含有液を分析して得られたクロマトグラムには存在し、接触後液を分析して得られたエレクトロフェトグラムには存在しないピークの有無を確認することにより、かかるピークがあればリン酸化ペプチドが存在し、かかるピークが無ければ(接触前後で変化が無ければ)リン酸化ペプチドが存在しないと判定することができる。
【0026】
ポリアクリルアミド電気泳動分析によって得られたゲルイメージの場合には、接触前のペプチド含有液を分析して得られたゲルイメージには存在し、接触後液を分析して得られたゲルイメージには存在しないバンドの有無を確認することによりリン酸化ペプチドの有無を判定することができる。
【0027】
質量分析分析手段によって得られた質量スペクトルの場合には、接触前のペプチド含有液を分析して得られた質量スペクトルには存在し、接触後液を分析して得られた質量スペクトルには存在しないピークの有無を確認することによりリン酸化ペプチドの有無を判定することができる。
【0028】
リン酸化ペプチド含有液の質量分析を行うことにより質量スペクトル▲1▼を取得し、該リン酸化ペプチド含有液を本合金と接触させ、該接触後の液の質量分析を行い質量スペクトル▲2▼を取得し、質量スペクトル▲1▼には存在し、質量スペクトル▲2▼には存在しないピークを特定し、該特定されたピークに対して、衝突活性化解離法などによるペプチドのフラグメントイオン質量スペクトルを取得することによってアミノ酸配列を決定することにより、リン酸化ペプチドのアミノ酸配列を決定することができる。
【0029】
リン酸化ペプチド含有液の質量分析による質量スペクトル▲1▼の取得及び接触後の液の質量分析による質量スペクトル▲2▼の取得は、前記した本判定方法において使用した手段を用いて同様に行うことができる。また、リン酸化ペプチド含有液と本合金との接触は、前記した本判定方法におけるペプチド含有液と本合金との接触処理と同様の処理により行うことができる。
【0030】
質量スペクトル▲1▼と質量スペクトル▲2▼とを比較することによる質量スペクトル▲1▼には存在し、質量スペクトル▲2▼には存在しないピークの特定も本判定方法の場合と同様に行うことができる。
【0031】
そしてこのようにして特定されたピークはリン酸化ペプチドのピークであると判定できるので、該特定されたペプチドのフラグメントイオン質量スペクトル、例えば、衝突活性化解離スペクトル(MS/MSスペクトル)を取得することにより、そのアミノ酸配列を決定することができる。
【0032】
アミノ酸配列決定の具体的な方法としては、例えば、Methods in Enzymology,193(1990)に記載の方法により、MS/MSスペクトル上で質量の順にたどり、その質量差からアミノ酸の特定およびその配列順序を決める方法を上げることができる。また、特定したピークはリン酸化アミノ酸を含んでいることから、その質量差がリン酸化アミノ酸の残基質量に相当する場合、これをリン酸化アミノ酸と特定することができ、アミノ酸配列中のリン酸化部位を決めることができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(1)リン酸化ペプチドを含むペプチド混合物試料(ベータカゼインのトリプシン消化物)の調製
リン酸化ペプチド混合試料としてベータカゼイン(シグマ社製)のトリプシン消化物を用いた。ベータカゼイン200μgを1%炭酸水素アンモニウム緩衝液(pH7.9)200μlに溶解し、トリプシンを4μg添加して、37℃、24時間反応させた。これによってリン酸基を持つベータカゼインはトリプシンによってリン酸化ペプチドを含むペプチド混合物試料となった。
【0034】
(2) リン酸化ペプチドを含むペプチド混合物水溶液の調製
上記(1)の試料のうち1μlを、0.1%蟻酸を含有するAcCN/水(1/1(v/v))溶液99μlと混和した。これを試料▲1▼とした。
【0035】
(3) 本合金への接触
ステンレス鋼(SUS304)製のニードルを装着したガラス製シリンジを使用した。上記試料▲1▼のうち2μlをシリンジで吸引し、シリンジ内に充填した後、別の容器内に吐き出す操作を行って2μlの本合金と接触した試料を調製した(試料▲2▼)。
【0036】
(4) 質量スペクトルの解析
試料▲1▼と試料▲2▼をそれぞれ、四重極−飛行時間型の質量分析装置(Micromass社製、Qtof2)を用いてNanosprayイオン化法にて質量スペクトルを取得した。図1及び図2に示すように、試料▲1▼の質量スペクトルと試料▲2▼の質量スペクトルを比較すると、試料▲1▼のスペクトルで検出されたピークm/z=1031は、試料▲2▼では消失し、このピークが試料▲1▼でのみ検出されるピーク、即ちリン酸化ペプチドとして特定できた。
【0037】
(5) MS/MSスペクトルの解析
特定したピークm/z=1031に関して、MS/MSスペクトルを取得し、アミノ酸配列を決定したところ、本ペプチドは、ベータカゼインの48番目から64番目のアミノ酸配列を有するペプチド(アミノ酸配列:FQSEEQQQTEEDELQDK)であり、さらに、50番目のセリンがリン酸化されていることがわかった。
【0038】
実施例2
(1)リン酸化ポリペプチド混合物の調製
リン酸化ポリペプチドであるベータカゼイン100μg(Sigma社製)、ウシ血清アルブミン100μg(Sigma社製)及びリゾチーム100μg(Sigma社製)を0.1%酢酸水溶液1mlに溶解した。これを試料▲3▼とした。
【0039】
(2)本合金への吸着
ステンレス鋼(SUS304)製の球(1/16インチ径)を20粒1.5mlチューブに入れた。上記試料▲3▼100μlをチューブに入れ、室温下で該球と10分間接触混合させた後、試料溶液のみを回収した。回収した試料を試料▲4▼とした。
【0040】
(3)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)サンプル処理
上記試料▲3▼100μlと試料▲4▼の全量を乾固した後、それぞれ水5μlに再溶解した。さらにサンプル処理液(第一化学薬品社製)をそれぞれ5μl加えて、100℃で煮沸し、冷却して、試料▲3▼由来及び試料▲4▼由来それぞれのSDS−PAGE用サンプルを得た。
【0041】
(4)SDS−PAGE
ゲルとして10−20%の密度勾配のついたSDS−ポリアクリルアミドゲル(第一化学薬品社製)を用い、トリス−グリシン泳動緩衝液中、40mAの定常電流で1時間電気泳動を行った。電気泳動終了後、ゲルを染色試薬キットQuickCBB(和光純薬工業製)に30分浸した後、水で洗った。
【0042】
(5)SDS−PAGEの結果の解析
電気泳動結果(図3)を見るとBSAとリゾチームは試料▲3▼と▲4▼に存在していたが、ベータカゼインは試料▲3▼にしか存在しなかった。この結果よりベータカゼインはリン酸化ペプチドであり、BSAとリゾチームはリン酸化ペプチドでないことが判定できた。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便かつ効率的にリン酸化ペプチドか否かを判定でき、また、リン酸化ペプチドのアミノ酸配列及びリン酸化部位を簡便かつ効率的に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料▲1▼の質量スペクトルを示す図である。
【図2】試料▲2▼の質量スペクトルを示す図である。
【図3】試料▲3▼及び試料▲4▼のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動結果を示す図でる。
【符号の説明】
○:m/z=1031のピークを示すための印である。
↓:m/z=1031のピークが無いことを示すための印である。

Claims (5)

  1. (1)ペプチド含有液を、ペプチド毎に分離可能な手段により分析し、分析データを取得する工程、
    (2)該ペプチド含有物を、鉄を主として含有し、さらに少なくともクロムを含有する合金に接触させる工程、
    (3)該接触後の液を、(1)と同じ方法により分析し、分析データを取得する工程及び
    (4)(1)の工程で取得される分析データと(3)の工程で取得される分析データとを比較する工程
    を含むことを特徴とするペプチド中におけるリン酸化ペプチドの有無の判定方法。
  2. ペプチド毎に分離可能な手段が液体クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、ポリアクリルアミド電気泳動または質量分析である請求項1に記載の方法。
  3. (1)リン酸化ペプチド含有液の質量分析を行い、質量スペクトルを取得する工程、
    (2)該リン酸化ペプチド含有液を、鉄を主として含有し、さらに少なくともクロムを含有する合金に接触させる工程、
    (3)該接触後の液の質量分析を行い、質量スペクトルを取得する工程、
    (4)(1)の工程で取得される質量スペクトルと(3)の工程で取得される質量スペクトルを比較し、(1)で得られる質量スペクトルに存在し(3)で得られる質量スペクトルには存在しないピークを特定する工程及び
    (5)該特定されたピークの質量分析を行い、そのフラグメントイオン質量スペクトルを取得し、そのアミノ酸配列を決定する工程
    を含むことを特徴とするリン酸化ペプチドのアミノ酸配列決定方法。
  4. 該合金が、鉄を50%〜87%、クロムを13%〜35%含有する合金である請求項1から3に記載の方法。
  5. 該合金がステンレス鋼である請求項1〜4に記載の方法。
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