JPWO2008093762A1 - 低分子量ペプチドの高感度定量方法 - Google Patents

低分子量ペプチドの高感度定量方法 Download PDF

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Abstract

前処理方法としてTCA除タンパク法に着目しLC-MS/MSを行った。血漿中のPTH類似体、CNP-22の測定について、TCA除タンパク処理した後LC-MS/MSを行った場合と、他の除タンパク法の場合と結果を比較した。TCA除タンパク法は、他の前処理方法と比較して非常に高い回収率を示した。また、プロダクトイオンに単一アミノ酸由来のインモニウムイオンを用いるSRM測定を組み合わせることで高感度測定が可能となった。本方法のバリデーション結果からは、本発明の方法が十分な再現性および真度のみならず、高感度の方法であることが示された。本発明の方法は、病気の診断や薬物動態試験にも応用可能である。

Description

本発明は、質量分析法による低分子量ペプチドの新規定量方法に関し、特に、LC-MS/MSを用いた定量方法に関する。
近年、LC(液体クロマトグラフィー)/MS(質量分析法)が著しい発展を遂げ、低分子化合物の定量・構造解析、さらにはプロテオーム解析(定性)にも威力を発揮している。最近のプロテオーム技術の発展は、ペプチド・タンパク質製剤、バイオマーカーの増加をもたらしており、LC/MSによる定量技術の開発に一層の注目が集まりつつある。
LC/MSによる生体試料中ペプチド・タンパク質の定量技術は、これまでに数多くの試みが報告されているものの(非特許文献1-14)、未だ容易ではないといえる。その理由の一つとして、生体試料から目的ペプチド・タンパク質を抽出することが難しい点が挙げられる。生体試料中にはいうまでもなく多種多様のペプチド・タンパク質が存在する。測定対象以外のペプチド・タンパク質の存在は、LC/MSによる高感度測定に影響を与えうる。そのため、測定対象以外のペプチド・タンパク質は、前処理段階で除去する必要がある。従来方法の多くは、前処理方法として、有機溶媒による除タンパク処理やC18による固相抽出を採用しているが(非特許文献1-13,15,16)、これらの方法には改善の余地が多い。
例えば、有機溶媒による除タンパク処理は、しばしば測定対象物であるタンパク質自体を沈殿させ、回収率の低下を招く。一方、C18のような固相抽出では、測定対象物が充填剤に十分に吸着せずに低回収率となる場合や、固相抽出カートリッジやコレクションチューブのような基材への非特異吸着によるロスが問題となる場合がある。また、オンライン固相抽出(カラムスイッチング)やイムノアフィニティー抽出は優れた抽出方法であるが、メソッド構築に時間がかかり、創薬早期の開発段階で採用する方法としては適していない。
さらに、夾雑物の除去が不十分な試料でLC/MS測定を行うと、試料中に含まれる夾雑物によっては、イオンサプレッションの問題がおきる場合がある。つまり、夾雑物のHPLCにおける溶出時間が測定対象物の溶出時間と同じである場合は、該夾雑物と測定対象物が同時にイオン化されることになる。このような夾雑物のイオン化効率が極めて高いと、夾雑物のイオン化が優先されて測定対象物のイオン化が抑制されてしまい、結果として測定感度に影響を与える。
このような事情から、生体試料中のペプチド・タンパク質の定量は、ELISA(酵素免疫測定法)やラジオイムノアッセイで行われることが多いのが現状である。簡便かつ高感度なLC/MSによるタンパク質測定法の開発が待たれている。
一方、除タンパク方法の一つとして、トリクロロ酢酸(TCA)を用いた除タンパク方法(TCA除タンパク法)が知られているが(非特許文献17,18)、LC/MSおよびLC-MS/MSによるペプチド定量分析の前処理としてTCA除タンパク法を行った例は、いまのところ報告されていない。
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本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、質量分析法による、混合物中のタンパク質の簡便でかつ高感度な定量法の提供である。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。本発明者等は、前処理方法として、TCA除タンパク法に着目した。TCA除タンパク法は公知ではあるが、LC-MS/MSによるペプチド定量分析の前処理として利用した例は知られていない。本発明者等は、合成副甲状腺ホルモン類似体(PTH類似体)およびC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP-22)を血漿に添加し、該血漿試料についてTCA除タンパク法後LC-MS/MSを行った場合と、他の除タンパク法(アセトニトリルによるタンパク質沈殿およびC18カートリッジによる固相抽出法)の場合の回収率を比較した。すると興味深いことに、TCA除タンパク法で前処理した場合は、いずれの試料においても、他の前処理方法の場合と比較して非常に高い回収率を示した。
また、本方法のバリデーションからは、十分な再現性および真度が示されたのみならず、感度についても測定限界値:0.2 ng/mLが示され、実用上望ましい性能を有することが示された。特筆すべきこととして、本発明者らが行ったLC/MS/MSでは、SRMモードにおけるプロダクトイオンとして低質量域のアミノ酸由来のプロダクトイオンを採用している。通常、SRM分析において低質量域(特にm/z 100未満)のプロダクトイオンを用いることは、低感度または高いバックグラウンドの危険性を孕むために、回避されることが多い。本発明の方法は、試料の前処理やLC分離を工夫すれば、低質量域(特にm/z 100未満)のプロダクトイオンを用いてさえも、高感度定量が可能になることを示したものである。すなわち本発明は、前処理として強酸による除タンパク法を採用した、混合物中に存在するタンパク質またはペプチドを質量分析法により定量する方法に関し、具体的には、以下の発明を提供するものである。
(1)以下の(a)〜(d)の工程を含む、混合物中の目的とするペプチドの定量方法、
(a)ペプチドを含む混合物を除タンパク能を有する強酸で除タンパク処理を行い、定量用試料を調製する工程、
(b)液体クロマトグラフによって前記定量用試料中の成分を分離し、分離された各成分を含む溶出液を取得する工程、
(c)前記溶出液中の成分をイオン化してプリカーサーイオンを生成させ、生成したプリカーサーイオンの中から目的とするペプチド由来のプリカーサーイオンを選択する、第一の質量分析工程、
(d)第一の質量分析工程で選択されたプリカーサーイオンから衝突誘起解離によりプロダクトイオンを生成させ、1または複数の目的とするペプチド由来のプロダクトイオンを選択して検出する、第二の質量分析工程、
(2)前記除タンパク能を有する強酸が、トリクロロ酢酸である、上記(1)に記載の定量方法、
(3)第一の質量分析工程で選択されるプリカーサーイオンが、目的とするペプチド由来のプリカーサーイオンのうち最もイオン強度の強いイオンである、上記(1)又は(2)に記載の定量方法、
(4)第二の質量分析工程で選択されるプロダクトイオンが、低質量域のペプチド又はアミノ酸由来のプロダクトイオンである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の定量方法、
(5)前記低質量域のアミノ酸由来のプロダクトイオンが、単一アミノ酸由来のインモニウムイオンである、上記(4)に記載の定量方法、
(6)前記目的とするペプチドが分子量3000以下のペプチドである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の定量方法、
(7)前記カラムが逆相クロマトグラフィーカラムである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の定量方法、
(8)工程(b)で分離された各成分について、同時に工程(c)及び(d)を行うことにより、2種以上の異なる目的とするペプチドについて同時に定量する、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の定量方法、
(9)前記混合物が生体由来物である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の定量方法、
(10)前記生体由来物が哺乳動物の血漿、血清、血液、尿、腹水、胸水、汗、乳頭分泌液、精液、関節液、糞便、骨髄液、胆汁、または組織抽出物のいずれかである、上記(9)に記載の定量方法、
(11)前記目的とするペプチドが内因性ペプチドである、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の定量方法。
m/z 574.9[M+3H]3+をプリカーサーイオンとして用いた場合の、[M1]-PTH(1-14)NH2の(a)エレクトロスプレー陽イオンマススペクトル、および(b)プロダクトイオンマススペクトルを示す図である。m/z 157.4に観察されるピークはトリプトファン由来のインモニウムイオンである。プロダクトイオンマススペクトルは、MCAによって得たが、これは0〜130 Vの衝突エネルギーに対するMS/MSスペクトルの総和である。 m/z 550.4[M+3H]4+をプリカーサーイオンとして用いた場合の、CNP-22の(a)エレクトロスプレー陽イオンマススペクトル、および(b)プロダクトイオンマススペクトルを示す図である。プロダクトイオンマススペクトルは、MCAによって得たが、これは0〜130 Vの衝突エネルギーに対するMS/MSスペクトルの総和である。 (a)TCA沈殿によって抽出したブランクマウス血漿、(b)Bond Elut C18 EWP(100 mg、1 cc)によって抽出したブランクマウス血漿、および(c)CNP-22(50 ng/mL)を添加したマウス血漿、のSRMイオンクロマトグラムを示す図である。SRM移行:CNP-22に関してm/z 550.4→86.1。 (a)内部標準物質(約20 ng/mL)を添加したラット血漿、および(b)[M1]-PTH(1-14)NH2(0.2 ng/mL)および内部標準(約20 ng/mL)を添加したラット血漿、のSRMイオンクロマトグラムを示す図である。SRM移行:[M1]-PTH(1-14)NH2に関してm/z 574.9→58.2;内部標準に関してm/z 588.8→58.2。 (a)[M1]-PTH(1-14)NH2測定の検量線を示す図である。相関係数は、1日目:0.9999、2日目:0.9997、3日目:0.9983。0.2-50 ng/mLにおいて直線性が確認された。定量下限値は0.2 ng/mL。(b)CNP-22測定の検量線を示す図である。相関係数は、1日目:0.9951、2日目:0.9859、3日目:0.9852。0.2-50 ng/mLにおいて直線性が確認された。定量下限値は0.2 ng/mL。 (a)内部標準物質(約20 ng/mL)を添加したラット血漿、および(b)CNP-22(0.2 ng/mL)および内部標準(約20 ng/mL)を添加したラット血漿、のSRMイオンクロマトグラムを示す図である。SRM移行:CNP-22に関してm/z 550.4→86.1;内部標準に関してm/z 591.2→136.1。 ラットに100μg/kgで[M1]-PTH(1-14)NH2を静脈内投与した時の、血漿濃度対時間プロフィールを示す図である。 内部標準物質およびヒトヘプシジンを添加したラット血漿のSRMクロマトグラムを示す図である。ヒトヘプシジン濃度は、(a) ブランク、(b) 2ng/mL、(c) 5ng/mL、(d) 1000ng/mLである。 内部標準物質およびヒトヘプシジンを添加したヒト血漿のSRMクロマトグラムを示す図である。ヒトヘプシジン濃度は、(a) ブランク、(b) 2ng/mL、(c) 5ng/mL、(d) 500ng/mLである。 ラット血漿に添加したヒトヘプシジンを測定した際の検量線を示す図である。2-1000ng/mLにおいて極めて良好な直線性が確認された。 ヒトヘプシジン-25の陽イオンESI-マススペクトルを示す図である。: (A) フルスキャン、 (B) [M+5H]5+ (m/z 558.7)をプリカーサーイオンとして用いた場合のプロダクトイオンマススペクトル。 (A) 内部標準物質(約100ng/mL)を添加したヒト血清のSRMイオンクロマトグラムを示す図である。(B) ヒトヘプシジン-25(5 ng/mL)および内部標準物質(約100ng/mL)を添加したヒト血清のSRMイオンクロマトグラムを示す図である。 SRM 移行:ヒトヘプシジン-25に関して m/z 558.7→120.1 ; 内部標準物資に関してm/z 562.9→110.2 。
本発明は、混合物中に存在するペプチドを質量分析法により定量する新規方法を提供する。本発明において「ペプチド」とは、アミノ酸が複数結合した分子を指し、一般的にポリペプチド、タンパク質と呼ばれる分子も本発明の「ペプチド」に含まれる。本発明の方法は、(a)ペプチドを含む混合物を除タンパク能を有する強酸で除タンパク処理を行い、定量用試料を調製する工程、(b)液体クロマトグラフによって前記定量用試料中の成分を分離し、分離された各成分を含む溶出液を取得する工程、(c)前記溶出液中の成分をイオン化してプリカーサーイオンを生成させ、生成したプリカーサーイオンの中から目的とするペプチド由来のプリカーサーイオンを選択する、第一の質量分析工程、(d)第一の質量分析工程で選択されたプリカーサーイオンから衝突誘起解離によりプロダクトイオンを生成させ、1または複数の目的とするペプチド由来のプロダクトイオンを選択して検出する、第二の質量分析工程、の各工程を含む。
本発明の方法の工程(a):「ペプチドを含む混合物を除タンパク能を有する強酸存在下で除タンパク処理し、定量用試料を調製する工程」では、混合物中に存在する不要なタンパク質またはペプチドを、除タンパク能を有する強酸によって除去する。本発明において「ペプチドを含む混合物」は、測定対象であるペプチドのほか、夾雑物としてタンパク質またはペプチドを含む混合物である。このような混合物としては、例えば、生体由来試料、培養細胞破砕物を挙げることができる。生体由来試料としては、生体から採取されたものであれば動物由来試料でも植物由来試料でもよく、動物または植物の種類は特に問わない。本発明の方法における生体由来試料の好ましい例としては、哺乳動物由来の生体試料を挙げることができる。哺乳動物としては、ヒト、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、トリ、げっ歯類(ラット、マウス、ハムスター等)、ウサギ、等を例示することができる。ヒト、サル、げっ歯類は、本発明における哺乳動物として好適な例であるが、本発明における哺乳動物がこれらに限定されるわけではない。また生体由来試料の例としては、血漿、血清、血液、尿、腹水、胸水、汗、乳頭分泌液、精液、関節液、糞便、骨髄液、胆汁、または組織抽出物を挙げることができる。好ましい例としては、血漿、血清、血液または尿を挙げることができ、特に血漿が好ましい。
本発明の方法における除タンパク処理は、除タンパク能を有する強酸を用いて極めて簡便に行うことができる。例えば、上記混合物のいずれかに除タンパク能を有する強酸を添加して攪拌後、遠心分離を行い夾雑物を沈殿させればよい。得られた上清を定量用試料とすることができる。本発明の方法で使用する強酸としては、一般的に除タンパクに用いられる強酸であればいずれも用いることが可能であり、例えば、トリクロロ酢酸、塩酸、リン酸等があげられる。特にトリクロロ酢酸が好ましい。
本発明の方法の工程(b):「液体クロマトグラフによって前記定量用試料中の成分を分離し、分離された各成分を含む溶出液を取得する工程」では、質量分析を行う前に、工程(a)で調製した定量用試料中に含まれる各成分を液体クロマトグラフィーで分離する。液体クロマトグラフから溶出された画分は、質量分析用の試料となる。
液体クロマトグラフィーの種類は、定量用試料中に混在する成分を効率的に分離可能な限り、公知の各種液体クロマトグラフィーの中から任意に選択することができる。例えば、逆相カラムクロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等の中から選択することができるが、好ましくは、逆相カラムクロマトグラフィーである。
使用するカラムは、実施する液体クロマトグラフィーの方法に合わせて適宜選択することができる。逆相カラムクロマトグラフィーであれば、ODS系カラムを選択することが好ましい。市販のODS系カラムの例として、YMC Pack ODS-A (YMC社)、PLRP-S (ポリマーラボラトリー社)等を挙げることができる。移動相は、カラムや液体クロマトグラフ装置に悪影響を与えない溶媒の中から選択することが好ましい。液体クロマトグラフから溶出された画分をそのまま質量分析用試料とする場合は、質量分析で採用するイオン化に適した溶媒を選択することが好ましい。例えば、質量分析のイオン化として、エレクトロスプレーイオン化法(ESI法)や大気圧化学イオン化法(APCI法)を行う場合は、移動相は揮発性であることが好ましく、また極性溶媒であることが望ましい。このような溶媒の例としては、例えば、水や塩類の水溶液、アルコール、アセトニトリル、等を挙げることができる。アセトニトリルは、本発明の方法において移動相として好適に使用可能な溶媒の一例である。
本発明の方法において、液体クロマトグラフィーは1回だけ行ってもよいし、必要に応じて数回繰り返してもよい。1回目の液体クロマトグラフィーで分画された試料を、別の種類のカラムで分離することにより、目的物質の精製度を上げることも可能である。
本発明の方法の工程(c):「前記溶出液中の成分をイオン化してプリカーサーイオンを生成させ、生成したプリカーサーイオンの中から目的とするペプチド由来のプリカーサーイオンを選択する、第一の質量分析工程」では、まず、工程(b)で得られた溶出画分を質量分析計に導入し、試料中の成分をイオン化してプリカーサーイオンを生成させる。本発明においてプリカーサーイオンとは、第一の質量分析工程におけるイオン化により生成される1価または多価の陽イオンまたは負イオンをいい、特に、水素付加した1価または多価のイオンを指す。本発明の方法で実施するイオン化法は、水素付加した1価または多価のイオンを生成可能なイオン化法の中から選択することができる。このようなイオン法として、例えば、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)、サーモスプレーイオン化法(TSP)、マトリクス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)等が挙げられるが、好ましくはESIである。
第一の質量分析工程におけるイオン化によって生成したプリカーサーイオンの中から、第二の質量分析工程に移行させるプリカーサーイオンを選択する。第二の質量分析工程に移行させるプリカーサーイオンの選択は、実施例を参考に実施することができる。まず、本発明の方法を実施する前に、目的とするペプチドのマススペクトルを作成し、該ペプチドの分子量からプリカーサーイオンの生成を確認する。付加する水素数によって価数の異なるプリカーサーイオンが複数種生成する場合は、イオン強度が最も強いプリカーサーイオンを選択する。本発明の方法を実施する際には、第二の質量分析工程に移行させるプリカーサーイオンとして、上記で選択したプリカーサーイオンを選択すればよい。
本発明の方法の工程(d):「第一の質量分析工程で選択されたプリカーサーイオンから衝突誘起解離によりプロダクトイオンを生成させ、1または複数の目的とするペプチド由来のプロダクトイオンを選択して検出する、第二の質量分析工程」では、上記工程(c)で選択された目的ペプチド由来のプリカーサーイオンに、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを衝突させてプロダクトイオンを生成させる。本発明の方法において、検出するプロダクトイオンは、1つでもよいし、複数のプロダクトイオンを検出してもよい。高感度の測定を行うためには、高いイオン強度の得られる低質量域のペプチド又はアミノ酸由来のイオンを選択することが好ましく、単一アミノ酸由来のインモニウムイオンを選択することが特に好ましい。本発明において、低質量域のペプチド又はアミノ酸由来のプロダクトイオンとは、ペプチド又はアミノ酸由来のプロダクトイオンであって、通常、低感度または高いバックグラウンドの危険性を孕むため選択することが難しい質量対電荷比(m/z)が300以下であるプロダクトイオンを意味し、特に、単一アミノ酸由来のインモニウムイオンのm/zが157(トリプトファン由来のインモニウムイオン)から29(グリシン由来のインモニウムイオン)まで存在することから、157以下であるプロダクトイオンを選択することが好ましい。
本発明における質量分析は、上記のとおり第一の質量分析工程と第二の質量分析工程を有しており、いわゆるMS/MS法である。MS/MS法におけるイオン検出法として通常使用される方法には、選択リアクション検出法(SRM)、選択イオン検出法(SIM)等が知られているが、本発明におけるイオン検出法としてはSRMが好ましい。
上記のようにして検出されたプロダクトイオンから目的ペプチドを定量する。目的ペプチドの定量は、検量線法(外部標準法、標準添加法、内部標準法)、同位体希釈法など、公知定量方法によって可能であり、特に限定されない。例えば、まず、目的とするペプチドの一定量(既知量)を血漿等の生体試料に添加して標準溶液を調製し、該標準溶液について本発明の方法を実施し、得られた信号強度と標準溶液の既知量から検量線を作成する。標準溶液の調製に生体試料を用いることは、定量の正確性を確保する上で重要な操作である。測定したい検体中のペプチドについて本発明の方法を実施し、得られた信号強度と該検量線によって目的ペプチドの定量が可能である。具体的な例としては、実施例に記載の方法を参照することができる。
本発明の方法は、工程(a)の前処理後、工程(b)を液体クロマトグラフ装置で実施し、得られた画分をMS/MS装置に導入し工程(c)および(d)を実施してもよいし、または工程(a)の前処理によって得られた定量用試料を、LC-MS/MSが可能な装置に導入してもよい。MS/MSおよびLC-MS/MSが可能な装置は多数の製品がすでに市販されている。本発明の方法は、実施可能である限りいずれの装置で実施してもよいが、好ましくは、SRMが可能な液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析装置である。本発明の方法を実施する液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析装置の具体例として、実施例で使用したAPI 4000(登録商標)(Applied Biosystems社)を挙げることができる。
また、工程(b)を液体クロマトグラフで実施後、分離されたそれぞれの成分について、工程(c)及び(d)を同時に行うことで、混合物中に含まれる複数の異なる目的とするペプチドを同時に定量することも可能である。
本発明の方法は、任意のペプチドの測定に使用できるが、好ましい測定対象は分子量:3000以下のペプチドである。このような例として、内因性ペプチドを挙げることができる。内因性ペプチドの具体例としては、ヘプシジン、副甲状腺ホルモン、C型ナトリウム利尿ペプチドなどを挙げることができる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
〔実施例1 PTH類似体およびCNP-22の測定〕
1.実験方法
[1-1 材料および化学物質]
[M1]-PTH(1-14)NH2(M1=αアミノイソ酪酸3、Gln10、ホモアルギニン11、Trp14)および[M2]-PTH(1-14)NH2(M2=シクロペンチルグリシン1、αアミノイソ酪酸3、Gln10、ホモアルギニン11、Trp14)([M1]-PTH(1-14)NH2の内部標準)は、Peptide Institute, Inc.(Osaka, Japan)において合成し、ここで「M」はアミノ酸改変を表す。未改変のPTH(1-14)配列は、Ala1-Val2-Ser3-Glu4-Ile5-Gln6-Leu7-Met8-His9-Asn10-Leu11-Gly12-Lys13-His14(配列番号:1)である。CNP-22およびチロシルCNP-22(CNP-22の内部標準)は、Peptide Instituteから購入した。Bond Elut C18(1 cc、100 mg)は、Varian Inc.(Harbor City, CA, USA)から得た。他の化学物質および溶媒は、分析試薬等級を使用した。
[1-2 LC/ESI-MS/MS分析]
LC/ESI-MS/MSは、LC-10AD HPLCポンプ(Shimadzu Corp., Kyoto, Japan)およびCTC PALオートサンプラー(CTC Analytics, Zwingen, Switzerland)を備えたAPI4000(Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)を用いて行った。ターボイオンスプレーは、イオンスプレー電圧5000 Vで陽イオンモードで操作した。ゼロ空気を噴霧ガスとして用いて(GS1設定45、GS2設定65)、窒素をカーテンガスとして用いた(設定10)。SRMモードにおける分解能は半値幅で0.7質量単位に設定した。[M1]-PTH(1-14)NH2およびCNP-22の分析的クロマトグラフィーを、YMC Pak ODS-APカラム(5μm、300Å、250 mm×2.0 mm内径、YMC Co., Ltd, Kyoto, Japan)において行った。機器の制御およびデータ処理は、Analyst(商標)ソフトウェアバージョン1.1(Applied Biosystems)を用いて行った。
[M1]-PTH(1-14)NH2の測定条件を以下に示す。選択反応モニタリング(SRM)移行は以下の通りに設定した。:[M1]-PTH(1-14)NH2、m/z 574.9→58.2;[M2]-PTH(1-14)NH2、m/z 588.2→58.2。[M1]-PTH(1-14)NH2および[M2]-PTH(1-14)NH2に関するデクラスタリングポテンシャル(declustering potentials、DP)はそれぞれ、66 Vおよび51 Vに設定した。ターボイオンスプレー源は、温度350℃に維持した。衝突エネルギーは、CADガス設定4で101 Vに設定した。0.1%ギ酸を含んだ10%および100%アセトニトリル溶液(水溶液)を移動相AおよびBとして用い、流速0.2 mL/分でリニアグラジエント溶出を行った。グラジエント勾配は以下の通り設定した。:B 0%(0分)→20%(15分)→0%(15.01分)→0%(20分)。
CNP-22の測定条件を以下に示す。SRM移行は以下の通りに設定した。:CNP-22、m/z 550.4→86.1;チロシルCNP-22、m/z 591.2→136.1。CNP-22およびチロシルCNP-22に関するDPはそれぞれ、51 Vおよび61 Vに設定した。ターボイオンスプレー源は、温度350℃に維持した。CNP-22およびチロシルCNP-22の衝突エネルギーはそれぞれ、66 Vおよび37 Vに設定した。CADガスは4に設定した。0.1%ギ酸を含んだ10%および100%アセトニトリル溶液(水溶液)を移動相AおよびBとして用い、流速0.2 mL/分でリニアグラジエント溶出を行った。グラジエント勾配は以下の通りに設定した。:B 20%(0分)→33%(13分)→90%(13.01分)→90%(17分)→20%(17.01分)→20%(22分)。
[1-3 血漿試料の調製]
[M1]-PTH(1-14)NH2およびCNP-22の保存溶液を0.5%BSAで1 mg/mLとなるように調製した。検量線用標準物質は、保存溶液をラット([M1]-PTH(1-14)NH2)またはマウス(CNP-22)血漿によって希釈して調製した。検量線用標準物質の濃度は、0、0.2、0.5、1、2、5、10、20、および50 ng/mLとした。20 ng/mL内部標準物質を4%w/v TCAにおいて調製した。再現性、真度、回収率、および安定性を試験するために、保存溶液を血漿で希釈してQCサンプルを調製した。調製したQCサンプルの濃度は、[M1]-PTH(1-14)NH2は0.2、0.5、5、および40 ng/mL、およびCNP-22は0.2、2、50 ng/mLである。検量線用標準物質およびQCサンプルの上記調製は氷中で行った。
[1-4 血漿試料の前処理]
TCAまたはアセトニトリルによるタンパク質沈殿抽出法およびBond Elut C18 EWPカートリッジによる固相抽出を評価した。
[1-4-1 TCAクリーンアップ]
20 ng/mL内部標準物質を含む4%w/v TCA(50μl)を氷中で血漿試料(50μl)に加えた後、ボルテックスミキサーによって混合し、混合物を約8000 gで5分間遠心した。得られた上清の30μlをLC/ESI-MS/MSに直接供した。
[1-4-2 アセトニトリルによるタンパク質沈殿]
アセトニトリル(100μl)を加えて血漿試料(50μl)を沈殿させ、混合物を約8000 gで5分間遠心した。N2ガス(30℃)下で蒸発させた後、残渣を1%トリフルオロ酢酸(TFA、100μl)に溶解した。30μlをLC/ESI-MS/MSに供した。
[1-4-3 Bond Elut C18 EWPによる固相抽出]
血漿試料(50μl)を1%TFA(50μl)で希釈し、混合物をBond Elut C18 EWP(100 mg、1 cc)にローディングした。1%TFA(1 mL)によって洗浄した後、分析物を60%アセトニトリル(1 mL)において0.1%TFAによって溶出した。溶出物をN2ガス下で蒸発させて、残渣を1%TFA(100 μl)に溶解した。30μlをLC/ESI-MS/MSに供した。
[1-5 方法のバリデーション]
方法のバリデーションとして、特異性、直線性、定量下限値(LLOQ)、再現性、真度、抽出回収率、オートサンプラーの安定性、および血漿中での安定性について評価した。特異性は、ブランク血漿試料における分析物の保持時間で干渉ピークが存在しないことを確認することによって、評価した。検量線は、重み付(1/x)直線回帰によって、0.2〜50 ng/mLの範囲で作成した。日内再現性および真度は、同じ日に同じQC試料5個を分析することによって評価した。日間再現性および真度は、異なる3日間にQCサンプルを分析することによって評価した。抽出回収率は、濃度50 ng/mLの無血漿標準液(1%トリフルオロ酢酸)と比較することによって決定した。試料調製後のオートサンプラーにおける安定性は、QCサンプルを用いて評価した。前処置技法の後、試料をオートサンプラーにおいて5℃で保存して、0および24時間目に分析した。血漿(5℃、40 ng/mL)中での[M1]-PTH(1-14)NH2の安定性を0および24時間目に分析した。血漿(-80℃、50 ng/mL)中でのCNP-22の安定性は、保存後7日目に評価した。
[1-6 薬物動態試験]
[M1]-PTH(1-14)NH2を、0.05%Tween 80を含むリン酸緩衝生理食塩液に溶解して、用量100μg/kgでラット大腿静脈に静脈内投与した。大腿動脈のカニューレから投与の2、5、15、30、および60分後に血液(250μl)を採取した。EDTA(K) 5μlを含む試験管に採取した血液試料を8000 gで5分間遠心した。血漿試料を5℃で保存して、24時間以内に決定した。
2.結果および考察
[2-1 LC/ESI-MS/MS分析]
[2-1-1 [M1]-PTH(1-14)NH2
[M1]-PTH(1-14)NH2の典型的な陽イオンESI-マススペクトルおよびプロダクトイオンマススペクトルを図1に示す。主要なイオンとして三価および四価のプロトン化分子に相当するイオンがm/z 574.9および431.3に認められた。三価イオンは四価イオンよりわずかに高い感度を示した。最も強いプロダクトイオンは、上記プリカーサーイオン双方に関してm/z 58において観察され、αアミノイソ酪酸のインモニウムイオンであると考えられた。m/z 574.9→58.2およびm/z 431.3→58.2でのSRM移行(SRM transmission)に関して、質量分析パラメータを最適化すると、双方に関してほぼ同じ強度が得られ、m/z 574.9→58.2をSRM移行として選択した。しかし、低質量域(特にm/z 100未満)のプロダクトイオンを用いることによって、内因性の成分による干渉が起こる可能性は非常に高い。したがって、250 mmカラムを用いて、緩やかなグラジエント勾配によるクロマトグラフィー分離を行った。
[2-1-2 CNP-22]
CNP-22の典型的な陽イオンESI-マススペクトルおよびプロダクトイオンマススペクトルを図2に示す。最も強いプリカーサーイオンおよびプロダクトイオンはそれぞれ、m/z 550.4(四価のプロトン化分子)およびm/z 86.1(ロイシンのインモニウムイオン)で観察された。SRM移行はm/z 550.4→86.1で設定した。
[2-2 血漿試料の前処理]
表1は、3種の前処理(TCAクリーンアップ、アセトニトリルによる沈殿、ならびにペプチドおよびタンパク質用に開発されたBond Elut C18 EWP(Extra Wide Pore)カートリッジ(100 mg、1 cc)による固相抽出)による血漿からの[M1]-PTH(1-14)NH2およびCNP-22の回収率を示す。TCAクリーンアップは、75%以上の高い回収率を示した。TCAクリーンアップによる回収率は、3つの方法の中で最高であった。Bond Elut C18 EWPカートリッジでのCNP-22の抽出回収率は許容できる範囲であったが、保持時間での干渉ピークの存在により、特異性は不十分であった(図3)。全体として、TCAクリーンアップは、高い回収率を有する最も単純、迅速で選択的な方法であることから、血漿中の[M1]-PTH(1-14)NH2およびCNP-22の前処置にとって最も有効な方法であった。
本発明者らは次に、いくつかのペプチドを用いてTCA沈殿の分子量限界を調べた。[M1]-PTH(1-14)NH2(分子量1721)、CNP-22(分子量2196)、およびチロシルCNP-22(分子量2361)の血漿からの抽出は効率的であったが、hANP(1-28)(ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド、分子量3080)、hPTH(1-34)(分子量4118)、GLP-1(グルカゴン様ペプチド、分子量4112)、およびCNP53(分子量5802)の抽出は不十分であった(表2)。これらの結果は、TCA沈殿は、分子量3000以下のペプチドを測定する場合に適していることを示唆している。
Figure 2008093762
(表1:ラット血漿からの[M1]-PTH(1-14)NH2およびマウス血漿からのCNP-22の回収率)
Figure 2008093762
(表2:適用可能な分子量の限界)
[2-3 方法のバリデーション]
[2-3-1 [M1]-PTH(1-14)NH2
キャリブレーションブランク(0 ng/mL)および最低検量線標準物質(0.2 ng/mL)から得た典型的なSRMクロマトグラムを図4に示す。これらのクロマトグラムにおいて、[M1]-PTH(1-14)NH2の保持時間で内因性の物質に由来する干渉ピークは存在しなかった。検量線は、3日間のデータから直線回帰によって作成した。該検量線を図5Aに示す。直線回帰は、濃度に対してプロットした、内部標準のピーク面積に対する[M1]-PTH(1-14)NH2のピーク面積の比によって、重み付(1/x)を導入した。直線性は、0.2〜50 ng/mL(相関係数:r>0.9983)のあいだで良好であり、逆計算(back-calculated)した濃度の真度は83.0〜111.0%内であった(表3)。アッセイの再現性および真度を、表4に要約する。日内(n=5)および日間(n=5、3日)の変動係数(CV)はそれぞれ、全てのレベルについて12.1および13.9%未満であった。日内および日間真度は、表示値の100.8〜112.0%の範囲内であった。これらの結果から、LLOQは、0.2 ng/mLであると割付された。オートサンプラーにおいて保存(5℃、24時間)後の残存率は91.6%以上であった。血漿中での保存(5℃、24時間)後の残存率は104.8%であった。
Figure 2008093762
(表3:ラット血漿中[M1]-PTH(1-14)NH2測定およびマウス血漿中CNP-22測定における検量線の直線性)
Figure 2008093762
(表4:ラット血漿中[M1]-PTH(1-14)NH2測定における日内および日間再現性および真度)
[2-3-2 CNP-22]
マウスブランク血漿および低濃度の検量線標準物質のSRMイオンクロマトグラムを図6に示す。CNP-22の保持時間では干渉ピークは存在せず、生理的条件下で血漿濃度が極めて低いレベル(<0.2 ng/mL)で維持されることを示している。上記と同様に作成した検量線を図5Bに示す。直線性は0.2〜50 ng/mLで良好であった。日内(n=5)および日間(n=5、3日)の再現性および真度は、CVが9.0%未満、真度が102.0〜122.2の範囲内であり、全てのQCレベルで十分な再現性および真度であった(表5)。これらの結果は、TCAタンパク質沈殿を用いる本方法によって、合成ペプチドのみならず生体試料中の内因性ペプチドも定量できることを示唆している。
Figure 2008093762
(表5:マウス血漿中CNP-22測定における日内および日間再現性および真度)
[2-4 薬物動態試験]
本方法の有用性を証明するために、本方法でラットにおける[M1]-PTH(1-14)NH2の薬物動態試験を実施した。血漿濃度対時間プロットおよび薬物動態パラメータを図7および表6に示す。[M1]-PTH(1-14)NH2は、ラットにおいて3.25分という短い半減期、および126 mL/分/kgという高い代謝クリアランスを示し、低い薬理効果であった。さらに、CNP-22の定量法は、マウスにおける薬物動態試験に応用可能であった(データは示していない)。
Figure 2008093762
(表6: [M1]-PTH(1-14)NH2の薬物動態パラメーター(ラット、静注(100μg/kg)))
〔実施例2 ヒトヘプシジンの測定〕
1.実験方法
100ng/mL内部標準物質(マウスヘプシジン mouse hepcidin-25)を含む4%TCA(50μl)をヒトヘプシジン(Human Hepcidin-25)を含む血漿試料(50μl)に添加、混合し、混合物を遠心し(15000rpm、4℃、5分)、得られた上清の30μlをLC/ESI-MS/MSに供した。血漿はラットまたはヒト血漿を使用した。検量線用標準物質の濃度は、2、5、10、20、50、100、200、500、および1000 ng/mLとした。
LC/ESI-MS/MSは、LC10Avp(Shimadzu)およびHTC-PALオートサンプラーを備えたAPI4000を用いた。ヒトヘプシジンは分子量:m/z2789であり、アミノ酸配列は、
Asp-Thr-His-Phe-Pro-Ile-Cys-Ile-Phe-Cys-Cys-Gly-Cys-Cys-His-Arg-Ser-Lys-Cys-Gly-Met-Cys-Cys-Lys-Thr(配列番号:2)である。LC/MS/MS条件は下記のとおりである。
スキャンモード: SRM
SRM 移行: m/z 558.7 [M+5H]5+ →m/z 120.1 [フェニルアラニンのインモニウムイオン]
カラム: PLRP-S (5 um, 150 x 2.0 mm i.d.)
移動相: A, 0.1% formic acid in H20; B, 0.1% formic acid in CH3CN
グラジエント勾配: B%, 15% (0分)→45% (10分)→90% (10.01分)→90% (12分)→15% (12.01分)→15% (15分)
流速: 0.2 mL/min
2.結果
内部標準物質および各種濃度のヒトヘプシジンを添加したラットおよびヒト血漿のSRMクロマトグラムを図8(ラット)および図9(ヒト)に示す。ヘプシジン保持時間内で内因性の物質に由来する干渉ピークは見られなかった。
ラット血漿中のヘプシジン測定結果について、真度を表7に、検量線を図10に示す。直線回帰は、上記と同様に重み付(1/x)を導入した。直線性は、2〜1000ng/mLの間で良好であった(相関係数:r=0.9984)。また、ヒト血漿中のヘプシジン測定について、日内再現性および真度を表8に示す。
Figure 2008093762
(表7:ラット血漿に添加したヒトヘプシジン測定の真度)
Figure 2008093762
(表8:ヒト血漿に添加したヒトヘプシジン測定の日内再現性および真度)
〔実施例3 PTH類似体およびヒトヘプシジンの測定〕
1.実験方法
[1-1 材料および化学物質]
[M1]-PTH(1-14)NH2、[M2]-PTH(1-14)NH2および未改変のPTH(1-14)は、実施例1と同一のものを使用した。
ヒトヘプシジン-25と[13C18, 15N3]-ヒトヘプシジン-25は、Peptide Institute, Inc.(Osaka, Japan)から入手した。
ラットブランク血漿は、Sprague-Dawleyラットのオス(Japan SLC Inc., Shizuoka, Japan)から抗凝固剤としてヘパリンを用いて採取されたものを購入した。ヒトブランク血漿は、Uniglobe Research Corp.(Reseda, CA, USA)から購入した。
[1-2 LC/ESI-MS/MS分析]
LC/ESI-MS/MSは、実施例1と同様にして行った。ヒトペプシジン-25の分析カラムには、PLRP-S (5μm, 300Å, 150mm×2.0mm i.d., Polymer Laboratories Ltd., Shropshire, UK)を用いた。機器の制御およびデータの処理は、Analyst(商標)ソフトウェアバージョン1.1又は1.4 (Applied Biosystems) を用いた。
[M1]-PTH(1-14)NH2の測定条件は実施例1と同様である。ただし、移動相AおよびBは、0.1%ギ酸水溶液および0.1%ギ酸アセトニトリル溶液を用い、流速0.2mL/分でリニアグラジエント溶出を行った。グラジエント勾配は:B 15%(0分)→35%(15分)→0%(15.01分)→0%(20分)。
ヒトヘプシジン-25の測定条件を以下に示す。選択反応モニタリング(SRM)条件は以下の通りに設定した。:ヒトヘプシジン-25、m/z558.7→120.1;[13C18, 15N3]-ヒトヘプシジン-25 、m/z562.9→110.2。ヒトヘプシジン-25および[13C18, 15N3]-ヒトヘプシジン-25に関するDPは、それぞれ59Vおよび79Vに設定した。CADガスは8に設定した。0.1%ギ酸水溶液および0.1%ギ酸アセトニトリル溶液を移動相AおよびBとして用いた。グラジエント勾配は:B 20%(0分, 0.3mL/分)→20%(2分, 0.3mL/分)→25%(2.01分, 0.2mL/分)→25%(10分, 0.2mL/分)→90%(10.01分, 0.3mL/分)→90%(12分, 0.3mL/分)→20%(12.01分, 0.3mL/分)→20%(14分, 0.3mL/分)。
[1-3 血漿試料の調製]
[M1]-PTH(1-14)NH2を実施例1と同様に調製した。ヒトヘプシジン-25の保存溶液を蒸留水で100μg/mLとなるように調製した。検量線用標準物質はヒト血漿によって希釈し、その濃度は、0, 2, 5, 10, 20, 50, 100, 200および500ng/mLとした。バリデーションスタディでは、内因性ヒトヘプシジン-25を含まない(<1ng/mL)、ヒトブランク血漿を使用した。
[1-4 血漿試料の前処理]
実施例1と同様にTCAクリーンアップを行った。
[1-5 方法のバリデーション]
実施例1と同様にバリデーションを行なった。ヒトヘプシジン-25の検量線は、重み付(1/x2)直線回帰によって、2-500ng/mLの範囲で作成した。日内再現性および真度、日間再現性および真度も実施例1と同様に評価した。抽出率は、ブランク血漿をTCAクリーンアップした後に血漿中濃度として50ng/mLの[M1]-PTH(1-14)NH2および500 ng/mLのヒトヘプシジン-25となるように標準溶液を加えたものと、50ng/mLの[M1]-PTH(1-14)NH2および500 ng/mLのヒトヘプシジン-25の血漿試料をTCAクリーンアップしたものとを比較することにより算出した。
2.結果および考察
[2-1 LC/ESI-MS/MS分析]
[2-1-1 [M1]-PTH(1-14)NH2
ラット血漿に濃度0.2 ng/mLとなるように[M1]-PTH(1-14)NH2を加えた時のシグナル/ノイズ(S/N)比を表9に示す。SRMチャンネルm/z 574.9→58.2, m/z 574.9→84.3, m/z 574.9→110.2, m/z 574.9→770.1についてS/N比を評価した。興味深いことに、SRMチャンネルm/z 574.9→58.2は、m/z 574.9→110.2または m/z 574.9→770.1より約5倍高いS/N比を示した。加えて、SRMチャンネルm/z 574.9→110.2(ヒスチジンのインモニウムイオン)およびm/z 574.9→84.3 (グルタミンまたはリジンのNH3脱離インモニウムイオン) もS/N比が約3で測定に使用することが可能であった。このことは、選択性が低いと考えられていたインモニウムイオンの使用が、本方法においては有用であることを示唆している。これらの結果から、最も高感度で選択性の高いSRMチャンネルとしてm/z 574.9→58.2を選択した。
Figure 2008093762
(表9 ラット血漿中の[M1]-PTH(1-14)NH2(0.2ng/mL)のS/N比およびイオン強度)
[2-1-2 ヒトヘプシジン-25]
ヒトヘプシジン-25の典型的な陽イオンESI-マススペクトルおよびプロダクトイオンマススペクトルを図11(A)および11(B)に示す。最も強いプリカーサーイオンがm/z558.7[M+5H]5+において観察された。m/z70.1, 86.3および120.3におけるプロダクトイオンが同様のイオン強度で、m/z693.4の約3倍の感度を示した。これらのプロダクトイオンを使用してSRM条件を最適化した後、SRMチャンネルを最も高い感度を示したm/z558.7→120.1(フェニルアラニンのプロダクトイオン)に設定した。
[2-2 血漿試料の前処理]
ヒトヘプシジン-25の回収率は、34%(n=2)であった。ヒトヘプシジン-25の分子量は2789であり、本結果もTCAクリーンアップが、分子量3000以下のペプチドを測定する場合に適していることが示唆している。
[2-3 方法のバリデーション]
ヒトヘプシジン-25測定のための検量線標準物質は、ヒト血清中には内因性ヒトヘプシジン-25が含まれることから、ラット血漿を使って準備した。1/x2重みづけで検量線を3日間作成したところ、2〜500ng/mLの範囲で良好な直線性を示し(相関係数:r>0.9969)、各濃度における逆算値の真度は91.2-113.0%の範囲内であった(表10)。ヒトブランク血清とヒトヘプシジン-25 (LLOQ:5ng/mL) を加えたヒト血清の典型的なSRMイオンクロマトグラムを図12に示した。日内(n=5)および日間(n=5, 3日)分析の結果から、CVが17.3%未満、真度が80.2-113.3%の範囲内であり、全てのQCレベルで充分な再現性および真度を有することが示された(表11)。以上の結果、前処理にTCAクリーンアップを用いた、インモニウムイオンをプロダクトイオンとして使用するSRM分析は、ヒトヘプシジン-25に対しても有効であるばかりか、内因性ペプチドにも適用可能であることを示唆している。
Figure 2008093762
(表10 ラット血漿中ヒトヘプシジン-25測定における検量線の直線性)
Figure 2008093762
(表11 ヒト血清中ヒトヘプシジン-25測定における日内および日間再現性および真度)
本発明によって、混合物中に存在するタンパク質またはペプチドを、質量分析法によって簡易かつ高感度に定量する新規方法が提供された。本発明におけるTCAクリーンアップによる前処理は、簡便な操作であるにもかかわらず、夾雑タンパクを極めて有効に取り除くことが可能である。また本発明の方法は、再現性、真度に関し十分な性能を備え、高感度の定量法であることが立証されている。ペプチドの定量法としては、SELDI-TOFMSによってヘプシジンを半定量している例が公知(Tomosugi er al, Blood, 108, 1381-1387, 2006)となっているが、検出限界は約40ng/mL(S/N=2)である。これに対し、本発明の方法でヘプシジンを測定した場合には、簡便な前処理法で2 ng/mL(S/N=3)の検出が確認されており、生体内において微量に存在する内因性のペプチドを高感度に定量することが可能となった。また、PTHアナログ、CNP-22のように極めて微量で薬効を発揮するペプチドにおいては、薬効領域でのPKを追跡する上で、pg/mLレベルの感度が必須であるが、本発明の定量方法により0.2 ng/mLという定量下限を達成することが可能となった。本発明の方法は、ヒトにおける病気の診断のみならず、動物における薬物動態試験にも応用でき、新規医薬品の開発に大きく寄与するものと期待される。

Claims (11)

  1. 以下の(a)〜(d)の工程を含む、混合物中の目的とするペプチドの定量方法。
    (a)ペプチドを含む混合物を除タンパク能を有する強酸で除タンパク処理を行い、定量用試料を調製する工程
    (b)液体クロマトグラフによって前記定量用試料中の成分を分離し、分離された各成分を含む溶出液を取得する工程
    (c)前記溶出液中の成分をイオン化してプリカーサーイオンを生成させ、生成したプリカーサーイオンの中から目的とするペプチド由来のプリカーサーイオンを選択する、第一の質量分析工程
    (d)第一の質量分析工程で選択されたプリカーサーイオンから衝突誘起解離によりプロダクトイオンを生成させ、1または複数の目的とするペプチド由来のプロダクトイオンを選択して検出する、第二の質量分析工程
  2. 前記除タンパク能を有する強酸が、トリクロロ酢酸である、請求項1に記載の定量方法。
  3. 第一の質量分析工程で選択されるプリカーサーイオンが、目的とするペプチド由来のプリカーサーイオンのうち最もイオン強度の強いイオンである、請求項1又は2に記載の定量方法。
  4. 第二の質量分析工程で選択されるプロダクトイオンが、低質量域のペプチド又はアミノ酸由来のプロダクトイオンである、請求項1〜3のいずれかに記載の定量方法。
  5. 前記低質量域のアミノ酸由来のプロダクトイオンが、単一アミノ酸由来のインモニウムイオンである、請求項4に記載の定量方法。
  6. 前記目的とするペプチドが分子量3000以下のペプチドである、請求項1〜5のいずれかに記載の定量方法。
  7. 前記カラムが逆相クロマトグラフィーカラムである、請求項1〜6のいずれかに記載の定量方法。
  8. 工程(b)で分離された各成分について、同時に工程(c)及び(d)を行うことにより、2種以上の異なる目的とするペプチドについて同時に定量する、請求項1〜7のいずれかに記載の定量方法。
  9. 前記混合物が生体由来物である、請求項1〜8のいずれかに記載の定量方法。
  10. 前記生体由来物が哺乳動物の血漿、血清、血液、尿、腹水、胸水、汗、乳頭分泌液、精液、関節液、糞便、骨髄液、胆汁、または組織抽出物のいずれかである、請求項9に記載の定量方法。
  11. 前記目的とするペプチドが内因性ペプチドである、請求項1〜10のいずれかに記載の定量方法。
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