JP2004293993A - ごみガス化溶融炉およびその操業方法 - Google Patents

ごみガス化溶融炉およびその操業方法 Download PDF

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実 田鍋
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Abstract

【課題】
【解決手段】単位時間当たりに溶融炉に供給されるごみ量と、該ごみ量をガス化溶融するための補助燃料量、各羽口から供給される空気量および酸素量を測定または算出する第一の手段と、単位時間当たりに溶融炉から排出される排ガス量と排ガスに含まれる成分を測定又は算出する第二の手段と、前記第一の手段と前記第二の手段による測定または算出結果に基づき、単位時間当たりに供給されるごみ中の不燃分の量を算出する第三の手段とを有し、これら第一、第二および第三の手段によりガス化溶融されるごみ中の単位時間当たりの水分量、不燃分の量および可燃分の量の変動を推定できるようにしたことを特徴とするごみガス化溶融炉。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ごみをガス化、溶融処理するごみガス化溶融炉およびその操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ごみをガス化、溶融処理するコ−クスベッド型ガス化溶融炉では、ごみの他に補助燃料としてコ−クスを使用するため、他の形式では処理できない低発熱量のごみや不燃分の極めて多いごみも処理することが可能である。
【0003】
このような形式のごみガス化溶融炉(以下、単に溶融炉という)においては、ごみを乾燥から、熱分解、燃焼および溶融させるまでの一連の工程を経由させるために、ごみを装入する炉頂側から炉底側の高さ方向に沿って複数段(通常は3段)の送風口(以下羽口という)を備えている。 そして、このような羽口からは空気や酸素が炉内に吹き込まれる。
【0004】
また、溶融炉には、ごみの熱分解により生成されたガスを、完全燃焼させるための二次燃焼室が設けられ、この二次燃焼室には熱分解生成ガスを二次燃焼させるための二次燃焼空気送風口が備えられている。
【0005】
上述した溶融炉の3段の羽口のうち、炉底付近に設けられた主羽口からは、酸素富化された空気が吹き込まれ、コ−クスを燃焼させて炉底近傍に高温の溶融域が形成されており、ごみの不燃分はこの溶融域において溶融される。そして、溶融された不燃分は溶融スラグとなって、炉底部に溜まり、炉底部に設けられた出滓口から排出される。
【0006】
溶融炉の中段に設けられた副羽口からは乾燥用空気が吹き込まれ、炉に供給されたごみの堆積層を流動させながら、ごみを乾燥かつ熱分解させる。
【0007】
溶融炉の上段に設けられた羽口(三段羽口という)からは燃焼用空気が吹き込まれ、ごみの熱分解により生成された可燃性ガスを燃焼させ、燃焼ガスの温度を850℃以上に保つようにして、有害ガスの発生を抑制するようにしている。
【0008】
このような溶融炉を安定して操業するためには、溶融スラグを安定して排出させることが必要である。そして、溶融スラグを安定して排出させるためには、供給されるごみの中の不燃物を安定して溶融させることが必要であり、そのために溶融炉に供給するコ−クス等の補助燃料の量、各羽口から供給する空気の送風量および酸素供給量の適切な制御が必要である。
【0009】
従来から行われている溶融スラグを安定して排出させる技術としては、次のような技術がある。
(1)カラ−テレビにより溶融スラグの流出状態を撮像し、これを画像処理することにより、溶融スラグの温度、流出速度および流出量を計測し、酸素富化量、補助燃料供給量および/または主原料(汚泥)の供給量を調整する(例えば、特許文献1。)。
(2)溶融スラグ排出部から排出される溶融スラグを冷却して、そのスラグの排出量を計測し、その速度を求め、その単位排出量や排出速度に応じて、炉内の酸素富化量および/または補助燃料量を調整して、溶融スラグの排出量が所定の排出量となるように維持する制御装置(例えば、特許文献2。)。
(3)燃焼空間と燃焼排ガス路との間の圧力損失、燃焼排ガスの二酸化炭素および一酸化炭素成分量を、さらに燃焼空間の酸素量および温度を検出して、炉が吹き抜け状態にある場合、燃焼空間内温度が低下した場合に、炉内処理を促進する方向に運転を制御したり、燃焼空間の温度を一定以上に制御維持する(例えば、特許文献3。)。
(4)炉頂ガス温度を検出し、設定地を超えた場合に所定の範囲に入るように、また炉頂ガス中のCO濃度およびCO濃度を測定し、ηCO=CO/(CO+CO)を演算し、ηCOが所定の範囲に入るように燃料吹き込み量を制御する。
【0010】
【特許文献1】
特開平2−19250号公報。
【0011】
【特許文献2】
特開2000−28122号公報
【0012】
【特許文献3】
特開平6−272842号公報
【0013】
【特許文献4】
特開2001−108212号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の溶融スラグを安定して排出させる技術には、次のような問題点がある。
(1)特許文献1および2に開示された技術は、共に溶融スラグに状態の変化が検出された段階で制御を行うものである。ごみガス化溶融炉では供給されたごみが溶融スラグになるまでには数時間を要するので、溶融スラグに状態の変化が検出されてから制御を行うのでは、制御を行うタイミングが遅すぎて、安定して制御を行うことが難しい。
【0015】
また、TVカメラ、燃焼空間の温度を一定以上に保つためのガスバ−ナおよび溶融スラグを冷却するためのコンベア等の設備が必要となる。
(2)特許文献3および4に開示された技術は、燃焼ガス側の状態の変化を検出して制御を行うものであるので、特許文献1および2に開示された技術よりも迅速な対応が可能である。しかしながら、ダスト分を多量に含む燃焼ガスの分析が必要なため、ガス分析装置の前に燃焼ガス中のダストを除去する装置が必要である。通常、ごみ焼却炉におけるガス分析装置は、冷却されかつダストを除去されたた排ガスを分析できるように、煙道付近に設けられる。
【0016】
また、これらの技術において、制御のためにに用いられるCOおよびCOの濃度は、COおよびCOが溶融炉の複数の個所で生成されるので、必ずしも溶融スラグの性状の変化と対応するものではない。極端な例では、紙が溶融炉に一次的大量に供給された場合、紙はゴミ堆積層の上部で燃焼してしまうので、COおよびCOの発生量に大きな変動を与えるものの、溶融スラグの性状に対してはほとんど影響を及ぼしていない。
【0017】
この発明は、従来技術の上述のような問題点を解消するためになされたものであり、ガス分析装置等の特別な装置を設置することなく、排ガス性状の変動からごみの性状の変化を推定することにより、安定操業を維持することのできるごみガス化溶融炉およびその操業方法を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るごみガス化溶融炉は、単位時間当たりに溶融炉に供給されるごみ量と、該ごみ量をガス化溶融するための補助燃料量、各羽口から供給される空気量および酸素量を測定または算出する第一の手段と、単位時間当たりに溶融炉から排出される排ガス量と排ガスに含まれる成分を測定又は算出する第二の手段と、前記第一の手段と前記第二の手段による測定または算出結果に基づき、単位時間当たりに供給されるごみ中の不燃分の量を算出する第三の手段とを有し、これら第一、第二および第三の手段によりガス化溶融されるごみ中の単位時間当たりの水分量、不燃分の量および可燃分の量の変動を推定できるようにしたものである。
【0019】
また、この発明に係るごみガス化溶融炉の操業方法は、上記ごみガス化溶融炉の操業方法であって、前記推定されたごみ中の単位時間当たりの水分量、不燃分の量および可燃分の量の変動に基づき、単位時間当たりに溶融炉に供給されるごみ量と、該ごみ量をガス化溶融するための補助燃料量、各羽口から供給される空気量および酸素量を制御するものである。
【0020】
本発明に係るごみガス化溶融炉およびその操業方法においては、溶融炉から排出される排ガスの性状から、ごみ質(ごみの性状)の変動を早期に把握し、それに基づきごみ質に適した操業を行うことができるので、ごみガス化溶融炉の操業を安定して行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明のごみガス化溶融炉の実施の形態を示す構成図である。このごみガス化溶融炉1は、炉下シャフト部1c、中部シャフト部1bおよび上部フリ−ボ−ド部1aからなるシャフト形式の溶融炉であり、炉下シャフト部1cには主羽口2、中部シャフト部1bには副羽口3、上部フリ−ボ−ド部1aには三段羽口4が設けられている。
【0022】
また、溶融炉1の上部には、ごみおよび補助燃料を供給するための装入口5が設けられており、ごみおよび補助燃料は、それぞれごみ供給装置6および補助燃料供給装置7により装入口5から供給される。そして、ごみおよび補助燃料の供給量は、それぞれごみ供給量測定装置8および補助燃料供給量測定装置9により測定される。
【0023】
供給されたごみは炉内を下降する間に、前記各羽口2、3および4から吹き込まれる空気によって、順次乾燥され、揮発分の熱分解が行われ、固定炭素の燃焼および不燃分の溶融が行われる。
【0024】
3段の羽口のうち、一番下段の主羽口2からは、空気供給配管10により供給される空気と、酸素供給配管11により供給される酸素とが混合された酸素富化空気が吹き込まれ、不燃分の溶融が行われる。
【0025】
そして、空気供給配管10には空気流量調節弁12が設けられ、主羽口2に供給する空気の流量を調整できるようになっている。また、空気流量調節弁12に続いて空気流量計13が設けられ、空気の流量が測定できるようになっている。
【0026】
酸素供給配管11には酸素流量調節弁14が設けられ、主羽口2に供給する酸素の流量を調整できるようになっている。また、酸素流量調節弁14に続いて酸素流量計15が設けられ、酸素の流量が測定できるようになっている。
【0027】
不燃分の溶融により生成された溶融スラグは、炉底に設けられた出滓口16から炉外に排出される。
【0028】
主羽口2においては、固定炭素分Cが(2C+O)→2COとなるように、空気中のO量を調整して送風されており、この反応熱により不燃分を溶融スラグ化するようにしている。
【0029】
主羽口2付近には赤熱コ−クスが存在しており、反応量は主羽口2から送風されるO量に支配されている。
【0030】
中段の副羽口3からは空気供給配管17により空気が吹き込まれ、炉内に堆積したごみの堆積層を流動化させながら、ごみ中の水分を蒸発させてごみを乾燥させるとともに、ごみ中の可燃性揮発分を熱分解してガス化するようにしている。そして、発生したガスはフリ−ボ−ド部1aへと上昇し、ごみ中の固定炭素および不燃分のみが主羽口2方向へと下降していく。空気供給配管17には空気流量調節弁18が設けられ、副羽口3に供給する空気の流量を調整できるようになっている。また、空気流量調節弁18に続いて空気流量計19が設けられ、空気の流量が測定できるようになっている。
【0031】
一番上部に設けられた三段羽口4からは空気供給配管20により空気が吹き込まれ、可燃性の熱分解生成ガスを燃焼させて、ガスの温度を850℃以上に保ち、有害ガスの発生を抑制するようにしているとともに、ガス中に含まれるタ−ル分を分解させて、ガスが容易に利用できるようにしている。空気供給配管20には空気流量調節弁21が設けられ、三段羽口4に供給する空気の流量を調整できるようになっている。また、空気流量調節弁21に続いて空気流量計22が設けられ、空気の流量が測定できるようになっている。
【0032】
溶融炉1において生成された熱分解生成ガスは、溶融炉1に連設された二次燃焼炉23に送られ、空気供給配管24により供給される空気により完全燃焼され、燃焼排ガスの保有する熱エネルギはボイラ25やガスタ−ビン等で熱回収される。空気供給配管24には空気流量計26が設けられ、二次燃焼炉23に供給される燃焼用空気の流量が測定できるようになっている。
【0033】
二次燃焼炉23で完全燃焼後の燃焼排ガスの流量および成分と水分量は、それぞれ排ガス流量測定装置27および排ガス分析装置28により測定される。
【0034】
このように、本発明のごみガス化溶融炉1の各羽口2、3および4から吹き込まれる空気(酸素富化空気も含む)は明確な役割分担をもっており、ごみの性状(ごみの成分構成)に応じて適切な送風条件を設定することができる構造となっている。
【0035】
図2は、ごみガス化溶融炉1が安定して操業されているときの装入口5から炉底までの高さ方向の温度分布を示すグラフである。図においてAの区間は完全燃焼領域、Bの区間は可燃性の熱分解生成ガスの燃焼領域、Cはごみの乾燥・熱分解領域、Dは不燃分の昇温・溶融領域である。
【0036】
すなわち、炉内の高さ方向温度分布は、上述した各羽口の役割り分担により、図2のような分布に保たれているのである。
【0037】
また、図1に示すように、本発明のごみガス化溶融炉1には、操業条件を制御することのできる制御装置29が設けられており、ごみ供給量測定装置6により測定されたごみ供給量、補助燃料供給量測定装置9により測定された補助燃料供給量、酸素流量計15により測定された酸素供給量、空気流量計13、19、22および26により測定された空気の流量が制御装置29に入力される。
【0038】
さらに、制御装置29には、ダスト除去装置(図示せず)の後段に設けられた排ガス流量測定装置25により測定された排ガス流量、および排ガス分析装置26により測定されたガスの成分と水分量が入力され、これら入力された各種測定値に基づいて、溶融スラグの排出を安定して行う等、ごみガス化溶融炉1の操業を安定して行うための、ごみ供給量、補助燃料供給量および各羽口から供給される空気供給量や酸素供給量のいずれか/もしくは1以上の組合せを算出することができるようになっている。
【0039】
次に、制御装置29に組み込むごみ質(ごみの性状)推定方法および対応操作について説明する。
【0040】
ごみガス化溶融炉の安定操業を妨げる最大要因は、溶融スラグの温度が低下することによる出滓不良である。ごみガス化溶融炉で処理されるごみはその性状により、高水分ごみ、高灰分ごみ又は不燃ごみ、廃プラスチック等揮発分を多く含むごみ等に分類される。
【0041】
そして、このようなごみの中には、その性状によって溶融スラグの温度が低下し、出滓不良を発生させるものがある。
【0042】
したがって、どのような性状のごみが溶融炉に供給されたのかを供給時点で推定し、そのごみの不燃分が数時間後に溶融スラグになったときに、溶融スラグの温度が低くならないように、適切に補助燃料供給量、各羽口における送風条件を設定する必要がある。
【0043】
このためには、ごみ質が変化したときに、変化後短時間で変化する燃焼ガスの温度、燃焼ガスの発生量および燃焼排ガスの成分変動により、ごみ質の変化を推定するのがよい。燃焼排ガスの温度および成分に影響を与える因子としては、ごみ中の水分、不燃分(灰分)、揮発性可燃分および固形炭素分がある。ごみ質の違いによるごみ中の水分、不燃分(灰分)、揮発性可燃分および固形炭素分等の構成比率を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 2004293993
【0045】
ごみガス化溶融炉1に、ごみが単位時間当たり一定重量で供給され、一定の送風条件で操業されている場合に、ごみ質に変動があった場合には、以下のことが起きる。
▲1▼今までよりも水分の高い高水分ごみが供給されると、図1で示した中部シャフト部1bで水分の蒸発潜熱に熱量を奪われるため、主羽口2まで降下する不燃分を十分に昇温することができず、溶融スラグ温度が低下する。すなわち、図2のグラフにおけるCの領域が炉の下部方向に広がってしまう。高水分ごみの供給により、供給直後から水分蒸発量が増加するため、燃焼ガスの温度は低下する。また、蒸発した水分は全て排ガスに含まれるため、完全燃焼後の排ガス中の水分量が増加する。
【0046】
高水分ごみの供給が検知された場合には、副羽口3における送風量を増加して、主羽口2での燃焼で生成されるCOの一部を燃焼させ、水分の蒸発を促進させる操作をとらなければならない。
▲2▼今までよりも灰分の高い高灰分ごみが供給された場合、不燃分を昇温・溶融するのに十分な燃料(固定炭素)が供給できなくなるので、溶融スラグの温度が低下する。図2のグラフで言えばDの領域における温度上昇の割合が小さくなる。
【0047】
不燃分の量は、数時間後の溶融スラグ量として直接的に計測できるが、ここでは、単位時間内に溶融炉に供給されたごみ量、炭素系補助燃料量、主羽口2の空気流量、主羽口2の酸素流量、副羽口3の空気流量、三段羽口4の空気流量、二次燃焼空気量と、完全燃焼後の燃焼排ガス流量および排ガス分析装置26で測定されたガスの組成と水分量から、物質収支(重量収支)により不燃分量を算出する。
【0048】
ごみガス化溶融炉1に供給される供給物の中で、成分が不明なものはごみである。ごみのうち可燃分である炭素は完全燃焼した後COとなり、水分は蒸発し燃焼排ガスの一部となる。炭素系補助燃料、例えばコ−クスは組成が工業値として与えられているので、その値を用いる。
【0049】
したがって、主羽口2、副羽口3、三段羽口4および二次燃焼室23に供給される全O重量をA、全N重量をBとし、供給された炭素系補助燃料のC重量をC、O重量をDとし、燃焼排ガスに含まれるC重量をE、O重量をF、N重量をG、水分量をHとし、排出された溶融スラグ重量をIとすると、不燃物量Wは次の(1)式により算出することができる。
【0050】
W=X+Y−(E+F+G+H+I)−(A+B+C+D)……(1)
但し、X:供給されるごみの重量
Y:炭素系補助燃料中の不燃分の重量
(1)式は、全供給物重量から全排出物重量を差し引いた残りは、溶融炉1内に蓄積されているということを表している。
【0051】
溶融炉1内に蓄積されるものは、中部シャフト部1bで燃焼しない炭素系補助燃料(固定炭素および不燃分)と、同じく中部シャフト部1bで熱分解・燃焼しないごみの不燃分である。中部シャフト部1bで熱分解・燃焼した可燃分は、燃焼排ガスとして排出される。したがって、溶融炉1に蓄積されたものの重量から成分既知の補助燃料の重量を差し引けば、ごみ由来の不燃分の重量を算出することができる。
【0052】
ごみ中の不燃分量の増加が検知された場合には、炭素系補助燃料、例えばコ−クスの供給量を増加し、不燃分を溶融するのに十分な固定炭素を供給する必要がある。
▲3▼廃プラスチック等の揮発分を多く含むごみが供給された場合、中部シャフト部1bで熱分解されるごみ量が増加し、排ガス中のC量が増加する。これは表1に示した廃プラスチックの組成を見れば明らかである。また、可燃性ガスの生成量が増加するため、相対的に冷却空気量が減少し、特に二次燃焼炉100において燃焼ガス温度が上昇する。この場合には、燃焼ガスを完全燃焼させるために、三段羽口4に供給する空気量および二次燃焼炉23に供給する二次燃焼空気量を増加すべきであるが、このような操作はO濃度制御として従来から行われている。また、燃焼ガスの温度上昇が著しい場合には、可燃性ガスの生成量を抑えるために、副羽口3から吹き込む空気量を低減する操作も必要となる。
【0053】
以上に述べた各種ごみの燃焼から溶融に至る過程の特徴をまとめると、表2のようになる。
【0054】
【表2】
Figure 2004293993
【0055】
表2から分かるように、高水分ごみは、燃焼ガス温度が低下し、排ガス中の水分量が増加する。
【0056】
高灰分ごみは、不燃分が増加するが、増加の程度は前記(1)式により推定することができる。
【0057】
高揮発分ごみ(廃プラスチック)は、二次燃焼炉23における燃焼ガスの温度が上昇し、排ガス量と排ガス中のC(CO)量が増加する。
【0058】
ところで、ごみ質の一般的な変動は、前述した▲1▼〜▲3▼のような変動が複合して発生する。ガス化溶融炉では、複数種類のごみを同時に処理することが多いため、それらのごみの混合比率により、水分と可燃分が同時に増加、不燃分のみ減少といったことが起きる。このような場合には、それぞれの変動にのみ起因して現れる変動で、ごみ質を推定すべきである。
【0059】
不燃分の変動に関しては、物質収支(重量収支)のみで検出しているため、水分量の変動や揮発性可燃分の変動とは無関係に推定可能である。
【0060】
表2より、揮発性可燃分が増加すれば、その他の変動とは関係なく排ガス中のC量が増加する。このとき同時に燃焼ガス温度が上昇し、排ガス量が増加していれば、揮発性可燃分が増加していると推定できる。
【0061】
また、水分量が増加すれば、その他の変動とは関係なく排ガス中の水分量は増加する。このとき、同時に燃焼排ガス温度が低下していれば、水分量が増加していると推定できる。
【0062】
図3は、以上に説明したようなごみ質を推定し、それに基づき溶融炉の操業を制御する制御装置29の構成を示すブロック図である。この制御装置29は、前述したような測定手段から送られてきた測定値に基づき、不燃物量を算出する不燃物量算出手段30と、水分量の変動を推定する水分量変動推定手段31と、可燃分の変動を推定する可燃分変動推定手段32と、不燃物量算出手段30からの算出値および水分量変動推定手段31と可燃分変動推定手段32からの推定値に基づき各種操作量を算出する操作量算出手段33と、操作量算出手段33からの指令に基づいてごみ供給装置6からのごみ供給量を調整するごみ供給量調整手段34と、同じく補助燃料供給装置7からの補助燃料供給量を調整する補助燃料供給量調整手段35と、同じく各羽口への送風量と主羽口2への酸素量を調整する送風量・酸素量調整手段36および記憶装置37とから構成されている。
【0063】
操作量算出手段33は、例えば、図4に示すようなファジィル−ルによるもので、供給するごみ質によってル−ル群を使い分ける構造となっている。ごみ質を推定する手段30、31および32より、ファジィル−ル選択手段38に対して、よりごみ質に合ったル−ルをファジィル−ルベ−ス39から選択するように指示する。
【0064】
どのル−ル群を用いて調整量を算出するかは、ごみ質とファジィル−ルの組み合わせを、ファジィル−ル組み合わせテ−ブル40としてあらかじめ作成しておき、それに従ってル−ルを選択する。例えば、水分量の増加に対しては、主たる制御操作は副羽口3の送風量の増加であり、副羽口3への送風量を適切に制御することで水分の蒸発を促進させ、炉下部に降下する不燃分の温度を低下させないようにする。
【0065】
不燃分の増加に対しては、主たる制御操作は補助燃料供給量の増加と、それに見合った主羽口2への送風酸素量の増加であり、不燃分と固定炭素の比を一定に保ち、溶融スラグの温度の低下を防止する等である。
【0066】
複数のごみ質の変動が発生していると推定された場合には、対応するル−ルを複数選択する。ファジィル−ル組み合わせテ−ブル40は、記憶装置37に格納されている。
【0067】
操作量算出手段33は、不燃物量算出手段30により算出された不燃物量、水分量変動推定手段31により推定された水分変動量、可燃分変動推定手段32により推定された可燃分変動量を入力とし、ファジィル−ル選択手段38によりファジィル−ルベ−ス39から選択されたル−ルを用いて、ファジィ推論部41によってファジィ推論を行い、ごみ供給量、補助燃料供給量、各羽口における送風量、酸素供給量の調整量を算出する。
【0068】
【発明の効果】
この発明により、溶融スラグの安定した排出等を行うことができるので、ごみガス化溶融炉の操業を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のごみガス化溶融炉の実施の形態を示す構成図である。
【図2】ごみガス化溶融炉が安定して操業されているときの装入口から炉底までの高さ方向の温度分布を示すグラフである。
【図3】ごみ質を推定し、それに基づき溶融炉の操業を制御する制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】制御装置を構成する操作量算出手段の構成の位置英を示す図である。
【符号の説明】
1 ごみガス化溶融炉
1a 上部フリ−ボ−ド部
1b 中部シャフト部
1c 炉下シャフト部
2 主羽口
3 副羽口
4 三段羽口
5 装入口
6 ごみ供給装置
7 補助燃料供給装置
8 ごみ供給量測定装置
9 補助燃料供給量測定装置
10 空気供給配管
11 酸素供給配管
12 空気流量調節弁
13 空気流量計
14 酸素流量調節弁
15 酸素流量計
16 出滓口
17 空気供給配管
18 空気流量調節弁
19 空気流量計
20 空気供給配管
21 空気流量調節弁
22 空気流量計
23 二次燃焼炉
24 空気供給配管
25 ボイラ
26 空気流量計
27 排ガス流量測定装置
28 排ガス分析装置
29 制御装置
30 不燃物量算出手段
31 水分量変動推定手段
32 可燃分変動推定手段
33 操作量算出手段
34 ごみ供給量調整手段
35 補助燃料供給量調整手段
36 送風量・酸素量調整手段
37 ファジィル−ル選択手段
38 ファジィル−ルベ−ス
39 ファジィル−ル組み合わせテ−ブル
40 記憶装置
41 ファジィ推論部

Claims (2)

  1. 単位時間当たりに溶融炉に供給されるごみ量と、該ごみ量をガス化溶融するための補助燃料量、各羽口から供給される空気量および酸素量を測定または算出する第一の手段と、単位時間当たりに溶融炉から排出される排ガス量と排ガスに含まれる成分を測定又は算出する第二の手段と、前記第一の手段と前記第二の手段による測定または算出結果に基づき、単位時間当たりに供給されるごみ中の不燃分の量を算出する第三の手段とを有し、これら第一、第二および第三の手段によりガス化溶融されるごみ中の単位時間当たりの水分量、不燃分の量および可燃分の量の変動を推定できるようにしたことを特徴とするごみガス化溶融炉。
  2. 前記推定されたごみ中の単位時間当たりの水分量、不燃分の量および可燃分の量の変動に基づき、単位時間当たりに溶融炉に供給されるごみ量と、該ごみ量をガス化溶融するための補助燃料量、各羽口から供給される空気量および酸素量を制御することを特徴とする請求項1に記載のごみガス化溶融炉の操業方法。
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JP2014190599A (ja) * 2013-03-27 2014-10-06 Jfe Engineering Corp 廃棄物ガス化溶融装置及び廃棄物ガス化溶融方法

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