JP2004293072A - 融雪装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】降雪状況に応じて最適な自動運転を行う融雪装置を提供する。
【解決手段】熱源機2で加熱された熱媒体を屋外に配された融雪端末9へ循環させて融雪させる融雪装置1であって、降雪センサー82および地温センサー86と、熱源機2の制御を行う駆動制御部8と、熱源機2から離れた場所に設置されて運転操作を行うリモートコントローラ10とを備え、駆動制御部8は、降雪センサー82および地温センサー86の検知状態に応じて熱源機の駆動制御を行う自動運転モードを有し、リモートコントローラ10は、降雪センサー82および地温センサー86の検知条件を可変設定する降雪条件設定手段17を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】熱源機2で加熱された熱媒体を屋外に配された融雪端末9へ循環させて融雪させる融雪装置1であって、降雪センサー82および地温センサー86と、熱源機2の制御を行う駆動制御部8と、熱源機2から離れた場所に設置されて運転操作を行うリモートコントローラ10とを備え、駆動制御部8は、降雪センサー82および地温センサー86の検知状態に応じて熱源機の駆動制御を行う自動運転モードを有し、リモートコントローラ10は、降雪センサー82および地温センサー86の検知条件を可変設定する降雪条件設定手段17を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は融雪装置に係り、更に詳しくは、降雪状況に応じて最適な自動運転を行うものに関する。
【0002】
【従来の技術】
豪雪地帯では積雪に伴って雪掻きを行わなければならず、雪掻きの手間を削減するために、近時、雪を融解して除去する融雪装置が実用化されている。このような融雪装置は、例えば、屋外に設置した熱源機によって熱媒体を加熱しつつ、加熱された熱媒体を融雪しようとする地面に埋設した融雪端末に循環させて融雪を行うものである。
【0003】
このような従来の融雪装置では、自動運転モードや手動運転モードを備えており、自動運転モードでは融雪装置が自動的に降雪を判別して融雪運転を行うので、操作に煩わされることなく融雪を行うことができる。一方、手動運転モードでは、必要に応じてユーザーが操作して融雪運転を行うもので、運転時間を最小限に抑えて融雪に要する費用を削減することも可能である。
【0004】
ところで、前記自動運転モードは、屋外に設置された降雪センサーや地温センサーなどの検知状態に応じて自動的に運転のオンオフを行うもので、各センサーの感度のばらつきや、融雪装置を敷設する地域特有の天候のばらつきなどによって最適な自動運転が行われないことがある。例えば、長時間降雪しているにも拘わらず融雪運転が開始されなかったり、逆に、降雪していないにも拘わらず地温が僅かに低下しただけで融雪運転が開始されるような不具合が生じることがある。このため、融雪装置には、センサー感度のばらつきを吸収する調節機能を設けることが考えられるが、このような場合は特異な調整であるため、融雪装置の設置時に最適な自動運転が行なわれるように施工業者が調節設定を行なうことになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、融雪装置の設置時におけるセンサーの感度調節が不適切なことがあり、従来の融雪装置では、その都度施工業者に連絡して再設定を要請しなければならなかった。感度調節の操作はそれほど複雑ではないものの、ユーザーが安易に設定を変更すると、正常な自動運転ができなくなる。
則ち、融雪装置の設置時の感度設定が不適切な場合に、逐一施工業者を呼んで設定してもらうことも手間がかかり、かと言って、ユーザーが安易に設定を変更することにも問題があるという相反する問題があった。
また、従来の融雪装置では、センサーの感度設定を屋外に設置された熱源機本体側で行わなければならず、外気に晒されつつ設定するために操作しづらく、操作ミスが生じ易いために改善が望まれていた。
【0006】
また、前記したセンサーの感度設定の問題とは異なり、融雪装置をいたずら操作される問題があった。例えば、集合住宅の駐車場の融雪を行うような場合、住人などが出入りしない物置の内部に融雪装置を設置したり、コントローラの表面にカバーをねじ止めするなどしていたずら操作ができないような対策が採られる。しかし、このような対策を施しても万全ではなく、特に、夏季にいたずらによる融雪運転が行われると、積雪がないために運転が行われていることが分からず、無駄に燃料が消費されることから改善が望まれていた。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みて提案されるもので、自動運転の際のセンサー感度をユーザーが安易に変更することを防止しつつ、感度設定を行う際には設定操作をスムーズに行え、しかも、いたずら運転を効果的に防止した融雪装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の発明は、熱源機で加熱された熱媒体を屋外に配された融雪端末へ循環させて融雪させる融雪装置であって、屋外に設けられて降雪状態を検知する降雪センサーと、前記熱源機の制御を行う駆動制御部と、前記熱源機から離れた場所に設置されて当該熱源機の運転操作を行うリモートコントローラとを備え、前記駆動制御部は、降雪センサーの降雪検知状態に応じて自動的に熱源機の駆動制御を行う自動運転モードを有し、前記リモートコントローラは、降雪センサーの降雪の検知条件を可変設定する降雪条件設定手段を備えた構成とされている。
【0009】
ここで、通常、融雪装置の熱源機は屋外に設置されるので、従来降雪センサーの検知条件を設定する場合は、熱源機に設けられたコントローラを操作して行わなければならなかった。則ち、降雪センサーの検知条件の設定は、通常は屋外で行わなければならない。
【0010】
これに対して、本発明によれば、降雪センサーの降雪検知条件をリモートコントローラで可変設定することができる。従って、リモートコントローラを屋内に設置することにより、容易に降雪センサーの調節設定を行うことができ、降雪センサーの感度のばらつきを吸収して、降雪状態に即した最適な自動運転を行うことが可能となる。本発明において、降雪センサーの降雪検知条件を可変設定する構成としては、例えば、降雪センサーから出力される検知信号の降雪と判別する閾値を変化させる構成や、降雪センサーの検知感度自体を変化させる構成を採ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の融雪装置において、降雪センサーは、降雪を融解させて生じる水分を検知する水分センサーと外気温センサーとを組み合わせて構成され、降雪条件設定手段は、少なくとも外気温センサーの温度の検知条件を可変設定可能である。
【0012】
本発明によれば、リモートコントローラの降雪条件設定手段によって、外気温センサーの温度検知条件を可変設定することにより、降雪センサーの降雪検知条件が可変設定可能である。これにより、降雪センサーの感度のばらつきを吸収して、降雪状態に即した最適な自動運転を行うことができる。
本発明においても、外気温センサーの温度検知条件を可変設定する構成としては、例えば、外気温センサーから出力される検知信号の判別閾値を変化させる構成や、外気温センサーの検知感度自体を変化させる構成を採ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の融雪装置において、屋外に設けられて地中の温度を検知する地温センサーを備え、駆動制御部は、地温センサーの温度検知状態と降雪センサーの降雪検知状態に応じて自動的に熱源機の駆動制御を行う自動運転モードを有し、降雪条件設定手段は地温センサーの温度の検知条件を可変設定可能である。
【0014】
ここで、通常は、降雪が始まると地温が低下し、降雪が終了すると地温は上昇する。従って、本発明によれば、降雪センサーの降雪検知状態と地温センサーの温度検知状態とに基づいて降雪状態を一層的確に判別して自動運転を行うことが可能となる。また、本発明によれば、地温センサーの温度検知条件を降雪条件設定手段で可変設定できるので、地温センサーの感度のばらつきを吸収して、降雪状態に即した最適な自動運転を行うことが可能となる。
本発明においても、地温センサーの温度検知条件を可変設定する構成としては、例えば、地温センサーから出力される検知信号の判別閾値を変化させる構成や、地温センサーの検知感度自体を変化させる構成を採ることが可能である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の融雪装置において、駆動制御部は、降雪センサーまたは地温センサーの少なくともいずれか一方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件に至ったときに自動的に運転を開始する第1の自動運転モードを備えて構成される。
【0016】
本発明によれば、第1の自動運転モードに設定することにより、降雪センサーによって降雪が僅かでも検知されたり、あるいは、地温センサーの検知状態が降雪と判別する検知条件に至ると直ちに駆動制御部は熱源機の運転を開始する。これにより、降雪の初期、あるいは、降雪が始まるであろう時点から融雪運転を開始することができ、積雪を効果的に防止した自動運転を行うことが可能となる。
【0017】
本発明において、自動運転を停止させる構成としては、例えば、降雪センサーおよび地温センサーの双方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件から外れたときに自動的に運転を停止させる構成を採ることができる。また、降雪センサーまたは地温センサーの少なくともいずれか一方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件から外れたときに自動的に運転を停止させる構成を採ることも可能である。また、自動運転の停止に際して、遅延タイマーなどで設定した所定時間だけ運転を継続させた後に運転を停止させる構成を採ることもできる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の融雪装置において、駆動制御部は、降雪センサーおよび地温センサーの双方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件に至ったときに自動的に運転を開始する第2の自動運転モードを備えて構成される。
【0019】
本発明によれば、第2の自動運転モードに設定することにより、降雪センサーによって降雪が検知され、且つ、地温センサーの検知状態が降雪と判別する検知条件に至って初めて駆動制御部は熱源機の運転を開始する。則ち、降雪センサーによって降雪が検知されても、地温センサーの検知温度が高いときは積雪せずに融雪されるであろうと見なして融雪運転を行わない。また、降雪センサーによって降雪が検知されない限り、地温センサーの検知温度が低下しても融雪運転を行わない。これにより、積雪が始まるであろう時点から的確に融雪運転を開始させることができ、運転時間を削減することが可能となる。
【0020】
本発明において、自動運転を停止させる構成としては、例えば、地温センサーまたは降雪センサーの少なくともいずれか一方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件から外れたときに自動的に運転を停止させる構成を採ることができる。また、降雪センサーおよび地温センサーの双方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件から外れたときに自動的に運転を停止させる構成を採ることも可能である。また、自動運転の停止に際して、遅延タイマーなどで設定した所定時間だけ運転を継続させた後に運転を停止させる構成を採ることもできる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の融雪装置において、降雪条件設定手段は、リモートコントローラによって特定の操作が行われた場合に限って、降雪センサーまたは地温センサーの検知条件の設定の変更を許容する構成とされている。
【0022】
本発明によれば、リモートコントローラで特定の操作を行わせることにより、これから降雪センサーや地温センサーの検知条件の設定を変更するという意識をユーザーに持たせることができ、ユーザーが安易に設定を変更することを牽制することができる。リモートコントローラによる特定の操作としては、例えば、特定の操作キーを所定時間継続して操作する構成や、特定の2つのキーを同時に操作する構成などを採用することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の融雪装置において、リモートコントローラは音声出力手段を備え、少なくとも降雪条件設定手段による検知条件の設定操作時に、操作を案内する音声メッセージを出力する構成とされている。
【0024】
本発明によれば、設定を行うユーザーに対して、これから行うべき操作を誘導したり、操作の間違いや操作が正常に行われたことを知らせることができ、ユーザーの操作ミスを未然に防止しつつ確実な設定を行わせることが可能となる。
本発明において、音声メッセージは、降雪条件設定手段の検知条件の設定時にとどまらず、リモートコントローラの全ての操作において行うことが可能である。これにより、機械操作に不慣れなユーザーも容易に操作を行うことができ、操作ミスが防止されて使い勝手が向上する。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の融雪装置において、リモートコントローラは、当該リモートコントローラにおける操作の受付を禁止するロック手段を備え、当該ロック手段によってロック設定が行われると、以降は、リモートコントローラによって特定の操作が行われる場合を除いて、運転の停止操作以外の全ての操作の受付を禁止する構成とされている。
【0026】
本発明によれば、ロック手段によってロック設定を行うと、運転の停止操作以外の全ての操作が禁止される。これにより、子供などがいたずら運転を行うことが防止される。また、特定の操作を知っておれば、リモートコントローラで当該特定の操作を行うだけで、ロック設定を解除して通常の操作や融雪運転を開始することが可能である。これにより、ロック設定を解除するための煩わしい操作を最小限に抑えつついたずら運転を効果的に防止することが可能となる。
【0027】
本発明において、リモートコントローラや融雪装置の本体側のメインコントローラに緊急停止スイッチを設ける構成では、ロック設定時において可能な運転の停止操作に、緊急停止スイッチの操作を含ませるのが好ましい。
また、本発明において、リモートコントローラの特定の操作によるロック設定の解除は、一時的なものであっても良く、恒久的なものであっても良い。一時的な解除を行う構成では、例えば、ロック設定が解除されてから所定時間だけ未操作状態が継続したときに自動的にロック設定に戻る構成とすることができ、ロック設定への戻し忘れが防止される。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の融雪装置において、熱源機は、熱媒体を加熱する燃焼機と、加熱された熱媒体を貯留する貯留部を備えた貯留式燃焼機で構成される。
【0029】
本発明によれば、燃焼機を採用することにより短時間に効率良く熱媒体を加熱することができ、融雪運転を短時間に立ち上げることが可能である。また、貯留部に熱媒体を貯留することによって熱源機の熱容量を増加させることができ、融雪面積が広い部位に設けられた熱負荷の大きい融雪端末に対しても温度を安定させた熱媒体を循環させることが可能となる。
本発明において、燃焼機には、液体燃料を用いるもの、あるいは、都市ガス(天然ガス)やプロパンガスを用いるものを採用することが可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る融雪装置の構成図である。図2は、図1に示す融雪装置に採用するリモートコントローラの正面図である。図3は、図2のリモートコントローラのブロック構成図である。図4は、手動運転モードにおけるリモートコントローラの表示例を示す説明図である。図5は、自動運転モードにおけるリモートコントローラの表示例を示す説明図である。図6および図7は、第1の自動運転モードにおける各部の動作を示すタイムチャートである。図8は、第2の自動運転モードにおける各部の動作を示すタイムチャートである。図9および図10は、ユーザー設定モードにおけるリモートコントローラの表示例を示す説明図である。
【0031】
本実施形態の融雪装置1は、図1の様に、熱源機2に融雪端末9を接続して形成され、熱源機2で加熱した熱媒体を融雪端末9へ循環させて加熱することにより融雪を行うものである。熱源機2は、本体部3、燃焼部7、駆動制御部8およびリモートコントローラ10を備えて構成される。本体部3は、大きく、燃焼空間部4、貯留部5および排気筒6に分かれており、貯留式燃焼機を形成している。
【0032】
本体部3は、全体形状が円筒形であり、2重構造となっていて内部に貯留部5が形成されている。更に詳細には、本体部3は外筒20と内筒21とを有し、その内部に熱媒体を貯留する構造を有する。特に本体部3の上半分には、上鏡板22と下鏡板23で囲まれた大容量の熱媒体室24が形成されている。貯留部5には、熱媒体として不凍液が貯留されている。
【0033】
熱媒体室24には、複数の燃焼ガス流路25が形成され、燃焼ガス流路25は貯留部5の熱媒体室24を軸方向に貫通する。燃焼部7は、灯油等の液体燃料を燃焼させるバーナを備え、燃料噴射ノズル70と送風機71を内蔵しており、本体部3の下方に位置する燃焼空間部4に接続されている。燃焼空間部4は、燃焼部7の燃焼室として機能する。
【0034】
一方、本体部3の上部には、排気筒6が設けられている。排気筒6は、外観が円筒状または直方体状であり、内部がラビリンス構造とされ、ガス圧を低減させて燃焼音の発生を抑えつつ燃焼ガスを排気するものである。なお、図1において、排気筒6のラビリンス構造は省略している。
また、貯留部5の上部には、貯留された熱媒体の温度を検知する温度センサー26が設けられ、貯留部5の最上部には、空焚き防止用の温度センサー27が設けられている。本実施形態では、これらの温度センサー26,27にサーミスタを用いている。
【0035】
燃焼運転が開始すると、燃焼部7の燃料噴射ノズル70から噴射された燃料ガスは、燃焼空間部4内において火炎を発生しつつ燃焼して高温の燃焼ガスを発生する。発生した燃焼ガスは、熱媒体室24内の燃焼ガス流路25を流れ、排気筒6を通過して外部に排出される。このとき、熱媒体室24内の熱媒体は、燃焼ガス流路25を流れる高温の燃焼ガスと熱交換して加熱され昇温する。
尚、貯留部5の上部には、熱媒体の貯留量を検知するレベル検知器28と熱媒体のリザーブタンク29が設けられており、貯留部5の熱媒体の減少に伴う空焚きを防止する構成とされている。
【0036】
熱源機2の本体部3と融雪端末9とは、図1の様に、循環往路51および循環復路52で接続されて循環回路50を形成している。更に詳細には、貯留部5の上部から延出する循環往路51上には循環ポンプ53、往路電磁弁55が配され、循環往路51の端部には、融雪端末9の一端を接続するヘッダ57が設けられている。また、貯留部5の下部、則ち、燃焼空間部4の周囲に位置する貯留部5から延出する循環復路52上には復路電磁弁56が配され、循環復路52の端部には、融雪端末9の他端を接続するヘッダ58が設けられている。また、循環往路51および循環復路52の途中には、流動する熱媒体の温度を検知する往路温度センサー59および復路温度センサー60が各々設けられている。本実施形態では、これらの温度センサー59,60としてサーミスタ温度センサーを用いている。
【0037】
循環往路51および循環復路52の端部に設けられたヘッダ57,58は、複数の配管を並列に接続可能なアダプターであり、融雪を行おうとする地面に融雪管91を埋設し、融雪管91の両端が各々ヘッダ57,58に接続される。これにより、循環ポンプ53によって貯留部5から循環往路51を圧送される熱媒体は、ヘッダ57から融雪管91を流動してヘッダ58に至り、循環復路52を介して貯留部5に戻る循環回路50を流動する。
【0038】
本実施形態では、ヘッダ57,58に各々5本の配管を並列接続可能であり、融雪しようとする領域に最大5本の融雪管91を埋設し、各融雪管91の両端をヘッダ57,58に接続することができる。従って、例えば、自宅の駐車場から道路に至る通路に3本の融雪管91を埋設し、玄関から道路に至る通路に2本の融雪管91を埋設することにより、駐車場側や玄関側の双方を同時に融雪することが可能である。また、5本の融雪管91を同一の領域に埋設して融雪を行うことも可能である。尚、図1では融雪管91を直管で示しているが、本実施形態では、各融雪管91は、屈曲させた配管を地面に埋設したものである。
【0039】
本実施形態では、融雪管91の各々に直列に電磁弁90を設け、各電磁弁90を同時に開閉制御することにより、並列に接続された融雪管91に同時に熱媒体を流動あるいは流動停止させる構成としている。
本実施形態では、前記往路電磁弁55、復路電磁弁56および電磁弁90に開閉制御を緩やかに行う熱動弁を用いており、各電磁弁55,56,90の開閉に伴う循環回路50を循環する熱媒体の急激な圧力変動を防止して配管の劣化を防止している。尚、ヘッダ57,58には、循環往路51および循環復路52に滞留する熱媒体の排水を行う排水栓61,62が設けられている。
【0040】
駆動制御部8は熱源機2の制御を統括する機能を有し、駆動制御部8には、メインコントローラ80およびリモートコントローラ10が接続されている。駆動制御部8は、メインコントローラ80およびリモートコントローラ10の設定に応じて、各部に設けられたセンサーの検知信号を参照しつつ、燃焼部7、循環ポンプ53および各部に設けられた電磁弁の制御を行う。
メインコントローラ80およびリモートコントローラ10は、運転操作および各種の設定を行う操作端末であり、メインコントローラ80は、駆動制御部8の近傍に固定して設けられている。また、本実施形態では、リモートコントローラ10をケーブルCを介して屋内に設置している。
【0041】
また、駆動制御部8には、降雪センサー82および地温センサー86が接続されている。降雪センサー82は、屋外の冠雪可能な部位に設置され、地温センサー86は屋外の地面に埋設して設置される。
降雪センサー82は、外気温センサー85と、水分センサー84および融雪ヒータ83で構成され、駆動制御部8と協働して降雪を検知するセンサー機能を有する。則ち、降雪センサー82において、外気温センサー85の検知温度が所定値以下になると、駆動制御部8は、融雪ヒータ83への通電を開始する。そして、融雪ヒータ83への通電の結果、水分センサー84で水分が検知されると駆動制御部8は降雪中であると判別する。一方、融雪ヒータ83へ通電しても水分センサー84で水分を検知しないときは、駆動制御部8は降雪がないものと判別する動作を行う。
【0042】
また、前記した本体部3の貯留部5に設けられた温度センサー26および空焚き検知用の温度センサー27は、各々、駆動制御部8に接続されており、前記循環回路50に設けられた往路温度センサー59および復路温度センサー60も、各々、駆動制御部8に接続されている。そして、駆動制御部8は、これらの各温度センサーの検知信号および前記降雪センサー82および地温センサー86の検知信号に基づいて燃焼部7や循環ポンプ53、電磁弁などを駆動して融雪運転を行う。
【0043】
次に、リモートコントローラ10の構成を説明する。リモートコントローラ10は、図2の様に、外形が略正方形の操作端末であり、メインコントローラ80と同様に融雪装置1の運転操作および各種の設定が可能である。前記したように、メインコントローラ80は、屋外に敷設される熱源機2の本体部3近傍に固定されるが、リモートコントローラ10は、ケーブルCを屋内に引き込むことにより、室内に設置することが可能である。
【0044】
リモートコントローラ10は、図3の様に、CPU11を中心として、操作部12、設定部13、表示部14、音声出力手段(音声出力部)15およびタイマー設定部(タイマー設定手段)16を備えて構成される。操作部12は、運転スイッチ12a、自動/手動切換スイッチ12bおよびタイマースイッチ12cを備えている。設定部13は、設定スイッチ13aおよびアップキー13b,ダウンキー13cを備えている。また、表示部14は液晶表示器14aを含んで構成され、音声出力部15はスピーカ15aを含んで構成される。
【0045】
リモートコントローラ10の上部には運転スイッチ12aが配され、中央部には液晶表示器14aおよび設定スイッチ13a、アップキー13b、ダウンキー13cが配され、下部には、自動/手動切換スイッチ12b,タイマースイッチ12cおよびスピーカ15aが設けられている。
【0046】
運転スイッチ12aは、融雪装置1の運転および運転停止の操作を行うもので、運転中は内蔵LEDによって運転スイッチ12aが赤色に点灯する。自動/手動切換スイッチ12bは、後述する自動運転モードおよび手動運転モードを切り換えるスイッチであり、「自動/手動」の文字を赤色点灯させるLEDを内蔵している。また、タイマースイッチ12cは、後述するタイマー運転の設定を行うスイッチであり、「タイマー」の文字を赤色点灯させるLEDを内蔵している。
【0047】
スピーカ15aは、各種の設定および運転中において音声出力部15で生成された音声信号を音声メッセージとして出力する。液晶表示器14aは、表示部14で生成された表示データを表示するドットマトリクス液晶表示器であり、文字や数字に加えて図形を表示可能である。また、設定スイッチ13aおよびアップキー13b,ダウンキー13cは、後述する運転条件の設定操作などを行う操作キーである。
【0048】
タイマー設定部16は、自動運転時における遅延タイマーや、手動運転時におけるオンオフタイマー、オフタイマーの設定を行う機能を有する。
また、本実施形態のリモートコントローラ10では、CPU11と設定部13および表示部14によって、降雪条件設定手段17およびロック手段18を構成している。則ち、降雪条件設定手段17およびロック手段18は、いずれも、CPU11によるプログラム処理によって実行される。
尚、図3のブロック構成図では、CPU11に付随して設けられるRAM、ROMを省略している。
【0049】
次に、本実施形態の融雪装置1で実施される手動運転および自動運転の基本動作を順次説明する。
リモートコントローラ10の運転スイッチ12aが「切」の状態で、図4の様に、自動/手動切換スイッチ12bを操作して液晶表示器14aに「手動」表示を行うと手動運転モードに設定され、「自動」表示を行うと自動運転モードに設定される。また、アップキー13bあるいはダウンキー13cを操作することにより、図4および図5の様に、液晶表示器14aに表示される温度調節レベルを「3」、「4」などに変更設定可能である。本実施形態では、温度調節レベルを最低の「1」に設定すると、循環往路51を流動する熱媒体の温度が略40℃となるように燃焼部7の制御が行われ、温度調節レベルを増加させるに連れて熱媒体の温度が上昇し、温度調節レベルを最大の「7」に設定すると、循環往路51を流動する熱媒体の温度が略80℃となるように燃焼部7の制御が行われる。
【0050】
(手動運転時の操作および動作)
図4の様に、手動運転モードに設定した状態で運転スイッチ12aを押すと、駆動制御部8は、運転スイッチ12aを赤色点灯し、燃焼部7の燃焼を開始すると共に循環ポンプ53の駆動を開始する。この際、駆動制御部8は、往路電磁弁55および復路電磁弁56を開成すると共に、融雪管91に設けられた電磁弁90を開成する。
【0051】
燃焼部7は貯留部5の熱媒体を加熱し、加熱された熱媒体は循環ポンプ53で圧送されて貯留部5から循環往路51、ヘッダ57、融雪管91、ヘッダ58を流動し、循環復路52を介して貯留部5に戻る循環回路50を循環して融雪運転が開始する。融雪運転が開始すると、駆動制御部8は、往路温度センサー59、復路温度センサー60および貯留部上部の温度センサー26の検知温度を監視しつつ往路温度センサー59の検知温度が温度調節レベルに応じた値となるように燃焼部7の制御を行う。本実施形態では、駆動制御部8によって燃焼部7を断続制御を行っているが、燃焼部7の燃焼量を制御することも可能である。
【0052】
このようにして、融雪運転が行われている状態で、運転スイッチ12aを再度押すと、駆動制御部8は、運転スイッチ12aの赤色点灯を解除し、燃焼部7の燃焼駆動を停止すると共に、循環ポンプ53の駆動を停止する。この際、駆動制御部8は、往路電磁弁55および復路電磁弁56を閉成すると共に、融雪管91に設けられた電磁弁90を閉成して融雪運転を終了する。
【0053】
尚、本実施形態では、リモートコントローラ10によって、オフタイマーやオンオフタイマーの設定が可能である。則ち、手動運転中において、リモートコントローラ10によりオフタイマー時間を設定することにより、運転開始から設定されたオフタイマー時間が経過後に運転を停止させることが可能である。また、手動運転モードに設定された状態で、リモートコントローラ10によりオン設定時間およびオフ設定時間を設定することにより、この期間だけ運転を行わせることが可能とされている。尚、オフタイマーおよびオンオフタイマーの設定の詳細については省略する。
【0054】
(自動運転時の操作および動作)
図5の様に、自動運転モードに設定されると、以降は、駆動制御部8の制御による自動運転に移行する。自動運転モードにおける操作および動作を、図1、図5〜図8を参照して説明する。尚、自動運転モードにおける燃焼部7の駆動制御および熱媒体の循環動作については、手動運転の場合と同様であるので、重複した説明を省略する。
本実施形態の融雪装置1では、第1の自動運転モードと第2の自動運転モードを選択可能であり、これらの運転モードはメインコントローラ80で切換設定可能である。
【0055】
ここで、本実施形態では、降雪センサー82の降雪検知条件を次の様に規定している。則ち、外気温センサー85の検知温度が閾値(本実施形態では、デフォルトの設定閾値を2℃としている)以下になると、駆動制御部8は、融雪ヒータ83に通電し、水分センサー84が水分を検知したときに降雪中と判別する。従って、外気温センサー85の検知温度が2℃以下であっても、水分センサー84が水分を検知しないときは、降雪中の判別は行われない。また、本実施形態では、地温センサー86のデフォルトの運転開始閾値を5℃とし、運転終了閾値を7℃としている。これら、外気温センサー85の閾値および、地温センサー86の運転開始閾値は、降雪条件設定手段17で変更設定可能である。
【0056】
メインコントローラ80によって第1の自動運転モードに設定されているとき、リモートコントローラ10の運転スイッチ12aが「切」の状態で、図5の様に、自動/手動切換スイッチ12bを操作して液晶表示器14aに「自動」表示を行うと第1の自動運転モードに設定される。尚、図5では、アップキー13bあるいはダウンキー13cを操作して温度調節レベルを「4」に設定している。
【0057】
第1の自動運転モードでは、降雪センサー82が降雪を検知した状態(オン状態)、または、地温センサー86の検知温度が運転開始閾値以下の状態(オン状態)となれば、駆動制御部8は融雪運転を開始する。そして、降雪センサー82が降雪を検知しない状態(オフ状態)で、且つ、地温センサーの検知温度が運転終了閾値以上(オフ状態)となれば、駆動制御部8は、遅延タイマーで規定される所定時間だけ運転を継続した後に融雪運転を終了する。
【0058】
則ち、第1の自動運転モードでは、図6の様に、地温センサー86の検知温度が5℃以上であっても、降雪センサー82が降雪を検知すると、駆動制御部8は融雪運転を開始する。そして、地温センサー86の検知温度が7℃以上で、且つ、降雪センサー82が降雪を検知しなくなると、駆動制御部8は降雪センサー82が降雪を検知しなくなった時点から遅延タイマーで設定される時間だけ運転を継続した後に運転を終了する。
【0059】
また、第1の自動運転モードでは、図7の様に、降雪センサー82が降雪を検知していない場合でも、地温センサー86の検知温度が5℃以下になると駆動制御部8は融雪運転を開始する。そして、地温センサー86の検知温度が7℃以上で、且つ、降雪センサー82が降雪を検知しなくなると、駆動制御部8は降雪センサー82が降雪を検知しなくなった時点から遅延タイマーで設定される時間だけ運転を継続した後に運転を終了する動作を行う。
【0060】
一方、メインコントローラ80によって第2の自動運転モードに設定されているとき、リモートコントローラ10の運転スイッチ12aが「切」の状態で、図5の様に、自動/手動切換スイッチ12bを操作して液晶表示器14aに「自動」表示を行うと第2の自動運転モードに設定される。
【0061】
第2の自動運転モードでは、降雪センサー82が降雪を検知した状態で、且つ、地温センサー86の検知温度が運転開始閾値以下の状態となれば、駆動制御部8は融雪運転を開始する。また、地温センサーの検知温度が運転終了閾値以上となれば、駆動制御部8は、遅延タイマーで規定される所定時間だけ運転を継続した後に融雪運転を終了する。
【0062】
則ち、第2の自動運転モードでは、図8の様に、降雪センサー82が降雪を検知し、且つ、地温センサー86の検知温度が5℃以下になると駆動制御部8は融雪運転を開始する。そして、地温センサー86の検知温度が7℃以上になると、降雪センサー82の降雪の検知の有無に拘わらず、駆動制御部8は地温センサー86の検知温度が7℃以上になった時点から遅延タイマーで設定される時間だけ運転を継続した後に運転を終了する動作を行う。
【0063】
(チャイルドロック設定および降雪条件設定の操作および動作)
前記したように、本実施形態の融雪装置1では、外気温センサー85の閾値および、地温センサー86の運転開始閾値を、リモートコントローラ10の降雪条件設定手段17で変更設定可能である。この設定操作を、図2、図3および図9、図10を参照して説明する。
外気温センサー85の閾値設定、および、地温センサー86の運転開始閾値の設定は、リモートコントローラ10で行うユーザー設定項目の1つとして実施される。
【0064】
まず、図2の様に、運転スイッチ12aが「切」状態で設定スイッチ13aを操作するとユーザー設定モードに移行する。そして、図9(a)の様に、液晶表示器14aにユーザー設定の第1項目である「降雪チャイム」の設定画面が表示され、「設定が変更できます」の音声メッセージがスピーカ15aから出力される。降雪チャイムの設定では、デフォルトの「あり」が強調表示されており、アップキー13bおよびダウンキー13cを操作して「あり・なし」を変更設定できる。アップキー13bやダウンキー13cで設定を変更した場合、または、未操作のまま3秒間経過すると、「良ければ、設定スイッチを押して下さい」の音声メッセージが出力され、設定スイッチ13aを操作すると、ユーザー設定モードを終了して図2に示す画面に戻る。この際、「設定を変更しました」の音声メッセージが出力される。
【0065】
一方、図2の様に、運転スイッチ12aが「切」状態で設定スイッチ13aを2回続けて操作すると、図9(b)の様に、液晶表示器14aにユーザー設定の第2項目である「音量」の設定画面が表示される。「音量」の設定では、スピーカ15aから出力される操作音や音声メッセージの音量を「大・中・小・なし」のいずれかに可変設定でき、デフォルトは「中」に設定されている。「音量」の設定についても、図9(a)に示した「降雪チャイム」の設定と同様にして行うことができる。
【0066】
更に、図2の様に、運転スイッチ12aが「切」状態で設定スイッチ13aを3回続けて操作すると、図9(c)の様に、ユーザ設定の第3項目である「音声ガイド」の設定画面が表示される。設定スイッチ13aを4回続けて操作すると、図9(d)の様に、ユーザ設定の第4項目である「表示の節電」の設定画面が表示される。
【0067】
図9(c)に示す「音声ガイド」の設定では、スピーカ15aから出力される音声メッセージを「あり・なし」のいずれかに設定でき、デフォルトは「あり」に設定されている。音声メッセージを「なし」に設定すると、操作音だけが出力され音声メッセージが停止する。
【0068】
図9(d)に示す「表示の節電」の設定では、液晶表示器14aの表示を「する・しない」のいずれかに設定でき、デフォルトは「する」に設定されている。表示の節電を「する」に設定すると、以降は、液晶表示器14aの表示が停止されるが、通常運転中における運転スイッチ12aの点灯表示や、液晶表示器14aによる燃焼表示、融雪表示などの必要最小限の表示が行われる。また、「しない」に設定すると、時刻表示や自動/手動運転などの表示がスクリーンセーバー状に表示され、液晶表示器14aの焼き付きを防止する構成とされている。尚、「音声ガイド」および「表示の節電」の各設定においても、設定が終了すると「設定を変更しました」の音声メッセージが出力されて図2に示す画面に戻る。
【0069】
また、設定スイッチ13aを5回続けて操作すると、図9(e)の様に、ユーザ設定の第5項目である「チャイルドロック」の設定画面が表示される。「チャイルドロック」の設定では、キー操作のロックを「する・しない」のいずれかに設定でき、デフォルトは「する」に設定されている。尚、「チャイルドロック」の設定においても、設定が終了すると「設定を変更しました」の音声メッセージが出力されて図2に示す画面に戻る。
【0070】
チャイルドロックを「する」に設定すると、以降は、運転スイッチ12aやメインコントローラ80側の緊急停止スイッチ(不図示)の操作による運転停止だけが受け付けられ、他の全ての操作が恒久的に禁止される。このため、リモートコントローラ10をいたずら操作しても、融雪運転が開始されたり設定が変更されことがなく、表示部14aに「ロック作動中」の表示が行われるだけである。
【0071】
一方、チャイルドロックを「する」に設定した状態で、融雪運転を開始したいときは、設定スイッチ13aを1秒間継続して操作する。すると、ロック手段18はチャイルドロックの設定を一時的に解除し、表示部14aに「ロックが解除されました」の表示を行う。チャイルドロックが一時的に解除されると、運転スイッチ12aを操作して融雪運転を開始することや、他の全ての操作が可能である。また、チャイルドロックを一時的に解除した後に1分間未操作状態が継続すると、自動的にチャイルドロックが設定された状態に戻る。
【0072】
従って、チャイルドロックが設定された状態であっても、操作者は設定スイッチ13aを1秒間継続して操作した後に運転スイッチ12aを操作するだけで、容易に融雪運転を開始することができ、ロック設定の解除の煩わしさを抑えつついたずら運転を効果的に防止することが可能である。
尚、本実施形態では、チャイルドロックを一時的に解除した状態において、前記したように、設定スイッチ13aを5回続けて操作してユーザ設定の第5項目である「チャイルドロック」の設定画面が表示させることにより、チャイルドロックを恒久的に解除させることが可能である。
【0073】
次に、図2の様に、運転スイッチ12aが「切」状態で設定スイッチ13aを6回続けて操作すると、図10(a)の様に、ユーザ設定の第6項目である「連絡先」の設定画面が表示される。この連絡先は、駆動制御部8への通電が開始されてから10分間だけ変更設定が可能であり、以降は、表示だけが行われる。そして、設定スイッチ13aを操作すると、図2に示す画面に戻る。
【0074】
更に、図2の様に、運転スイッチ12aが「切」状態で設定スイッチ13aを7回続けて操作すると、図10(b)の様に、ユーザ設定の第7項目である「工事店設定」の画面が表示される。但し、工事店設定画面が表示されても、アップキー13bやダウンキー13cを通常操作しても画面は切り換わらず、設定スイッチ13aを操作すると、ユーザー設定モードを終了して図2の状態に戻る。
【0075】
一方、図10(b)の様に、「工事店設定」の画面が表示された状態で、アップキー13bを2秒間継続して操作すると、図10(c)に示すように、ユーザー設定の第7項目の1番目である「外気温センサー」の設定画面に移行し、「設定が変更できます」の音声メッセージがスピーカ15aから出力される。「外気温センサー」の設定では、アップキー13bおよびダウンキー13cを操作して、外気温センサー85の閾値を−5℃〜+8℃の範囲で0.5℃刻みで変更設定することができ、デフォルトの閾値は「+2℃」である。
【0076】
変更に際しては、アップキー13bあるいはダウンキー13cを押す毎に、閾値が0.5℃刻みで増加または減少する。また、アップキー13bあるいはダウンキー13cを押し続けると、閾値が0.5℃刻みで自動的に上昇または下降するので、目的とする閾値に到達した時点でキー操作を解除する。
外気温センサー85の閾値を目的の値に設定した後に3秒間未操作が継続すると、スピーカ15aから「良ければ、設定スイッチを押して下さい」の音声メッセージが出力され、設定スイッチ13aを操作すると、ユーザー設定モードを終了して図2に示す状態に戻る。この際、スピーカ15aから「設定しました」の音声メッセージが出力される。
【0077】
一方、図10(c)に示す「外気温センサー」の設定画面に移行したときに、そのまま設定スイッチ13aを操作すると、図10(d)の様に、ユーザー設定の第7項目の2番目である「地温センサー」の設定画面に移行し、「設定が変更できます」の音声メッセージがスピーカ15aから出力される。「地温センサー」の設定では、アップキー13bおよびダウンキー13cを操作して、地温センサー86の運転開始閾値を−5℃〜+18℃の範囲で0.5℃刻みで変更設定することができ、デフォルトの値は「+5℃」である。
【0078】
変更に際しては、アップキー13bあるいはダウンキー13cを押す毎に、運転開始閾値が0.5℃刻みで増加または減少する。また、アップキー13bあるいはダウンキー13cを押し続けると、運転開始閾値が0.5℃刻みで自動的に上昇または下降するので、目的とする運転開始閾値に到達した時点でキー操作を解除する。
外気温センサー85の運転開始閾値を目的とする値に設定した後に3秒間未操作が継続すると、スピーカ15aから「良ければ、設定スイッチを押して下さい」の音声メッセージが出力され、設定スイッチ13aを操作すると、ユーザー設定モードを終了して図2に示す状態に戻る。この際、スピーカ15aから「設定しました」の音声メッセージが出力される。
【0079】
このように、本実施形態の融雪装置1によれば、自動運転モードにおける運転の基準となる外気温センサー85および地温センサー86の閾値を、屋内に設けたリモートコントローラ10により音声メッセージで誘導しつつ確実に変更することが可能である。また、「工事店設定」画面において、アップキー13bを2秒間継続操作しなければ、これらの変更設定ができない構成としている。これにより、センサーのばらつきや融雪装置の敷設地域の差に伴う自動運転の変動を除去し、最適な自動運転を行うように、ユーザーが屋内から変更設定することができる。
【0080】
しかも、特定操作を行った場合に限って変更を許容するので、子供などがいたずらに変更することが防止されるうえ、ユーザーが安易な変更を行うことを牽制することができ、操作の容易性と併せて一層確実な設定を行うことが可能となり、ユーザーが所望する最適な自動運転をユーザー自身が確実に設定することが可能となる。
【0081】
また、チャイルドロックを設定することにより、いたずら運転を効果的に防止することができ、しかも、チャイルドロックの設定中であっても、特定操作を行うだけでロック設定を容易に解除して必要な運転操作などを行うことが可能となる。これにより、ロック解除操作の煩わしさを抑えつつ、いたずらによる無駄な運転を防止することが可能となる。
【0082】
尚、前記実施形態で示した融雪装置1では、降雪センサー82および地温センサー86の双方を設けた構成としたが、降雪センサー82だけを設けた構成を採ることも可能である。
また、前記実施形態では、メインコントローラ80およびリモートコントローラ10における操作可能な範囲については言及していないが、融雪装置1を運転するための全ての操作および設定を双方のコントローラ80,10で可能な構成としても良く、また、メインコントローラ80とリモートコントローラ10において可能な操作範囲を分担する構成を採ることも可能である。
【0083】
また、前記実施形態では、熱源機2に液体燃料を燃焼させる貯留式燃焼機3を用いた構成としたが、都市ガス(天然ガス)やプロパンガスを用いる燃焼機を採用することもでき、電気を用いて加熱する熱源機を用いることも可能である。
【0084】
また、前記実施形態では、融雪管91の各々に直列に設けた電磁弁90を同時に開閉制御することにより、複数の融雪管91に同時に熱媒体を流動あるいは流動停止する構成としたが、本発明は、このような構成に限られるものではない。例えば、複数の融雪管91を異なる領域に分散して埋設し、電磁弁90を選択的に開閉制御することによって、必要な領域毎に融雪運転を行う構成も可能である。また、前記実施形態では、地面の融雪を行う構成として述べたが、本発明は、屋根の融雪を行う融雪装置に適用することも可能である。
【0085】
【発明の効果】
本発明の融雪装置によれば、リモートコントローラを屋内に設置することにより、ユーザーが所望する最適な自動運転を行うための設定をユーザー自身が行うことができ、しかも、安易な変更を行うことを牽制することができる。また、運転停止以外の操作をロックすることができ、ロック解除の煩わしさを抑えつついたずらによる無駄な融雪運転を効果的に防止することができる。これにより、使い勝手を向上させた融雪装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る融雪装置の構成図である。
【図2】図1に示す融雪装置に採用するリモートコントローラの正面図である。
【図3】図2に示すリモートコントローラのブロック構成図である。
【図4】図1に示すリモートコントローラの手動運転時における表示例を示す説明図である。
【図5】図1に示すリモートコントローラの自動運転時における表示例を示す説明図である。
【図6】第1の自動運転モードにおける各部のセンサーの検知状態および燃焼機の動作を示すタイムチャートである。
【図7】第1の自動運転モードにおける各部のセンサーの別の検知状態および燃焼機の動作を示すタイムチャートである。
【図8】第2の自動運転モードにおける各部のセンサーの検知状態および動作を示すタイムチャートである。
【図9】(a)〜(e)は、ユーザー設定モードにおいて順に表示される表示画面を示す説明図である。
【図10】(a)〜(d)は、ユーザー設定モードにおいて、図9に続いて表示される表示画面を示す説明図である。
【符号の説明】
1 融雪装置
2 熱源機(貯留式燃焼機)
8 駆動制御部
9 融雪端末(融雪管)
10 リモートコントローラ
15 音声出力手段
17 降雪条件設定手段
18 ロック手段
82 降雪センサー
84 水分センサー
85 外気温センサー
86 地温センサー
【発明の属する技術分野】
本発明は融雪装置に係り、更に詳しくは、降雪状況に応じて最適な自動運転を行うものに関する。
【0002】
【従来の技術】
豪雪地帯では積雪に伴って雪掻きを行わなければならず、雪掻きの手間を削減するために、近時、雪を融解して除去する融雪装置が実用化されている。このような融雪装置は、例えば、屋外に設置した熱源機によって熱媒体を加熱しつつ、加熱された熱媒体を融雪しようとする地面に埋設した融雪端末に循環させて融雪を行うものである。
【0003】
このような従来の融雪装置では、自動運転モードや手動運転モードを備えており、自動運転モードでは融雪装置が自動的に降雪を判別して融雪運転を行うので、操作に煩わされることなく融雪を行うことができる。一方、手動運転モードでは、必要に応じてユーザーが操作して融雪運転を行うもので、運転時間を最小限に抑えて融雪に要する費用を削減することも可能である。
【0004】
ところで、前記自動運転モードは、屋外に設置された降雪センサーや地温センサーなどの検知状態に応じて自動的に運転のオンオフを行うもので、各センサーの感度のばらつきや、融雪装置を敷設する地域特有の天候のばらつきなどによって最適な自動運転が行われないことがある。例えば、長時間降雪しているにも拘わらず融雪運転が開始されなかったり、逆に、降雪していないにも拘わらず地温が僅かに低下しただけで融雪運転が開始されるような不具合が生じることがある。このため、融雪装置には、センサー感度のばらつきを吸収する調節機能を設けることが考えられるが、このような場合は特異な調整であるため、融雪装置の設置時に最適な自動運転が行なわれるように施工業者が調節設定を行なうことになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、融雪装置の設置時におけるセンサーの感度調節が不適切なことがあり、従来の融雪装置では、その都度施工業者に連絡して再設定を要請しなければならなかった。感度調節の操作はそれほど複雑ではないものの、ユーザーが安易に設定を変更すると、正常な自動運転ができなくなる。
則ち、融雪装置の設置時の感度設定が不適切な場合に、逐一施工業者を呼んで設定してもらうことも手間がかかり、かと言って、ユーザーが安易に設定を変更することにも問題があるという相反する問題があった。
また、従来の融雪装置では、センサーの感度設定を屋外に設置された熱源機本体側で行わなければならず、外気に晒されつつ設定するために操作しづらく、操作ミスが生じ易いために改善が望まれていた。
【0006】
また、前記したセンサーの感度設定の問題とは異なり、融雪装置をいたずら操作される問題があった。例えば、集合住宅の駐車場の融雪を行うような場合、住人などが出入りしない物置の内部に融雪装置を設置したり、コントローラの表面にカバーをねじ止めするなどしていたずら操作ができないような対策が採られる。しかし、このような対策を施しても万全ではなく、特に、夏季にいたずらによる融雪運転が行われると、積雪がないために運転が行われていることが分からず、無駄に燃料が消費されることから改善が望まれていた。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みて提案されるもので、自動運転の際のセンサー感度をユーザーが安易に変更することを防止しつつ、感度設定を行う際には設定操作をスムーズに行え、しかも、いたずら運転を効果的に防止した融雪装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の発明は、熱源機で加熱された熱媒体を屋外に配された融雪端末へ循環させて融雪させる融雪装置であって、屋外に設けられて降雪状態を検知する降雪センサーと、前記熱源機の制御を行う駆動制御部と、前記熱源機から離れた場所に設置されて当該熱源機の運転操作を行うリモートコントローラとを備え、前記駆動制御部は、降雪センサーの降雪検知状態に応じて自動的に熱源機の駆動制御を行う自動運転モードを有し、前記リモートコントローラは、降雪センサーの降雪の検知条件を可変設定する降雪条件設定手段を備えた構成とされている。
【0009】
ここで、通常、融雪装置の熱源機は屋外に設置されるので、従来降雪センサーの検知条件を設定する場合は、熱源機に設けられたコントローラを操作して行わなければならなかった。則ち、降雪センサーの検知条件の設定は、通常は屋外で行わなければならない。
【0010】
これに対して、本発明によれば、降雪センサーの降雪検知条件をリモートコントローラで可変設定することができる。従って、リモートコントローラを屋内に設置することにより、容易に降雪センサーの調節設定を行うことができ、降雪センサーの感度のばらつきを吸収して、降雪状態に即した最適な自動運転を行うことが可能となる。本発明において、降雪センサーの降雪検知条件を可変設定する構成としては、例えば、降雪センサーから出力される検知信号の降雪と判別する閾値を変化させる構成や、降雪センサーの検知感度自体を変化させる構成を採ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の融雪装置において、降雪センサーは、降雪を融解させて生じる水分を検知する水分センサーと外気温センサーとを組み合わせて構成され、降雪条件設定手段は、少なくとも外気温センサーの温度の検知条件を可変設定可能である。
【0012】
本発明によれば、リモートコントローラの降雪条件設定手段によって、外気温センサーの温度検知条件を可変設定することにより、降雪センサーの降雪検知条件が可変設定可能である。これにより、降雪センサーの感度のばらつきを吸収して、降雪状態に即した最適な自動運転を行うことができる。
本発明においても、外気温センサーの温度検知条件を可変設定する構成としては、例えば、外気温センサーから出力される検知信号の判別閾値を変化させる構成や、外気温センサーの検知感度自体を変化させる構成を採ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の融雪装置において、屋外に設けられて地中の温度を検知する地温センサーを備え、駆動制御部は、地温センサーの温度検知状態と降雪センサーの降雪検知状態に応じて自動的に熱源機の駆動制御を行う自動運転モードを有し、降雪条件設定手段は地温センサーの温度の検知条件を可変設定可能である。
【0014】
ここで、通常は、降雪が始まると地温が低下し、降雪が終了すると地温は上昇する。従って、本発明によれば、降雪センサーの降雪検知状態と地温センサーの温度検知状態とに基づいて降雪状態を一層的確に判別して自動運転を行うことが可能となる。また、本発明によれば、地温センサーの温度検知条件を降雪条件設定手段で可変設定できるので、地温センサーの感度のばらつきを吸収して、降雪状態に即した最適な自動運転を行うことが可能となる。
本発明においても、地温センサーの温度検知条件を可変設定する構成としては、例えば、地温センサーから出力される検知信号の判別閾値を変化させる構成や、地温センサーの検知感度自体を変化させる構成を採ることが可能である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の融雪装置において、駆動制御部は、降雪センサーまたは地温センサーの少なくともいずれか一方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件に至ったときに自動的に運転を開始する第1の自動運転モードを備えて構成される。
【0016】
本発明によれば、第1の自動運転モードに設定することにより、降雪センサーによって降雪が僅かでも検知されたり、あるいは、地温センサーの検知状態が降雪と判別する検知条件に至ると直ちに駆動制御部は熱源機の運転を開始する。これにより、降雪の初期、あるいは、降雪が始まるであろう時点から融雪運転を開始することができ、積雪を効果的に防止した自動運転を行うことが可能となる。
【0017】
本発明において、自動運転を停止させる構成としては、例えば、降雪センサーおよび地温センサーの双方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件から外れたときに自動的に運転を停止させる構成を採ることができる。また、降雪センサーまたは地温センサーの少なくともいずれか一方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件から外れたときに自動的に運転を停止させる構成を採ることも可能である。また、自動運転の停止に際して、遅延タイマーなどで設定した所定時間だけ運転を継続させた後に運転を停止させる構成を採ることもできる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の融雪装置において、駆動制御部は、降雪センサーおよび地温センサーの双方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件に至ったときに自動的に運転を開始する第2の自動運転モードを備えて構成される。
【0019】
本発明によれば、第2の自動運転モードに設定することにより、降雪センサーによって降雪が検知され、且つ、地温センサーの検知状態が降雪と判別する検知条件に至って初めて駆動制御部は熱源機の運転を開始する。則ち、降雪センサーによって降雪が検知されても、地温センサーの検知温度が高いときは積雪せずに融雪されるであろうと見なして融雪運転を行わない。また、降雪センサーによって降雪が検知されない限り、地温センサーの検知温度が低下しても融雪運転を行わない。これにより、積雪が始まるであろう時点から的確に融雪運転を開始させることができ、運転時間を削減することが可能となる。
【0020】
本発明において、自動運転を停止させる構成としては、例えば、地温センサーまたは降雪センサーの少なくともいずれか一方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件から外れたときに自動的に運転を停止させる構成を採ることができる。また、降雪センサーおよび地温センサーの双方の検知状態が降雪条件設定手段で設定された検知条件から外れたときに自動的に運転を停止させる構成を採ることも可能である。また、自動運転の停止に際して、遅延タイマーなどで設定した所定時間だけ運転を継続させた後に運転を停止させる構成を採ることもできる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の融雪装置において、降雪条件設定手段は、リモートコントローラによって特定の操作が行われた場合に限って、降雪センサーまたは地温センサーの検知条件の設定の変更を許容する構成とされている。
【0022】
本発明によれば、リモートコントローラで特定の操作を行わせることにより、これから降雪センサーや地温センサーの検知条件の設定を変更するという意識をユーザーに持たせることができ、ユーザーが安易に設定を変更することを牽制することができる。リモートコントローラによる特定の操作としては、例えば、特定の操作キーを所定時間継続して操作する構成や、特定の2つのキーを同時に操作する構成などを採用することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の融雪装置において、リモートコントローラは音声出力手段を備え、少なくとも降雪条件設定手段による検知条件の設定操作時に、操作を案内する音声メッセージを出力する構成とされている。
【0024】
本発明によれば、設定を行うユーザーに対して、これから行うべき操作を誘導したり、操作の間違いや操作が正常に行われたことを知らせることができ、ユーザーの操作ミスを未然に防止しつつ確実な設定を行わせることが可能となる。
本発明において、音声メッセージは、降雪条件設定手段の検知条件の設定時にとどまらず、リモートコントローラの全ての操作において行うことが可能である。これにより、機械操作に不慣れなユーザーも容易に操作を行うことができ、操作ミスが防止されて使い勝手が向上する。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の融雪装置において、リモートコントローラは、当該リモートコントローラにおける操作の受付を禁止するロック手段を備え、当該ロック手段によってロック設定が行われると、以降は、リモートコントローラによって特定の操作が行われる場合を除いて、運転の停止操作以外の全ての操作の受付を禁止する構成とされている。
【0026】
本発明によれば、ロック手段によってロック設定を行うと、運転の停止操作以外の全ての操作が禁止される。これにより、子供などがいたずら運転を行うことが防止される。また、特定の操作を知っておれば、リモートコントローラで当該特定の操作を行うだけで、ロック設定を解除して通常の操作や融雪運転を開始することが可能である。これにより、ロック設定を解除するための煩わしい操作を最小限に抑えつついたずら運転を効果的に防止することが可能となる。
【0027】
本発明において、リモートコントローラや融雪装置の本体側のメインコントローラに緊急停止スイッチを設ける構成では、ロック設定時において可能な運転の停止操作に、緊急停止スイッチの操作を含ませるのが好ましい。
また、本発明において、リモートコントローラの特定の操作によるロック設定の解除は、一時的なものであっても良く、恒久的なものであっても良い。一時的な解除を行う構成では、例えば、ロック設定が解除されてから所定時間だけ未操作状態が継続したときに自動的にロック設定に戻る構成とすることができ、ロック設定への戻し忘れが防止される。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の融雪装置において、熱源機は、熱媒体を加熱する燃焼機と、加熱された熱媒体を貯留する貯留部を備えた貯留式燃焼機で構成される。
【0029】
本発明によれば、燃焼機を採用することにより短時間に効率良く熱媒体を加熱することができ、融雪運転を短時間に立ち上げることが可能である。また、貯留部に熱媒体を貯留することによって熱源機の熱容量を増加させることができ、融雪面積が広い部位に設けられた熱負荷の大きい融雪端末に対しても温度を安定させた熱媒体を循環させることが可能となる。
本発明において、燃焼機には、液体燃料を用いるもの、あるいは、都市ガス(天然ガス)やプロパンガスを用いるものを採用することが可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る融雪装置の構成図である。図2は、図1に示す融雪装置に採用するリモートコントローラの正面図である。図3は、図2のリモートコントローラのブロック構成図である。図4は、手動運転モードにおけるリモートコントローラの表示例を示す説明図である。図5は、自動運転モードにおけるリモートコントローラの表示例を示す説明図である。図6および図7は、第1の自動運転モードにおける各部の動作を示すタイムチャートである。図8は、第2の自動運転モードにおける各部の動作を示すタイムチャートである。図9および図10は、ユーザー設定モードにおけるリモートコントローラの表示例を示す説明図である。
【0031】
本実施形態の融雪装置1は、図1の様に、熱源機2に融雪端末9を接続して形成され、熱源機2で加熱した熱媒体を融雪端末9へ循環させて加熱することにより融雪を行うものである。熱源機2は、本体部3、燃焼部7、駆動制御部8およびリモートコントローラ10を備えて構成される。本体部3は、大きく、燃焼空間部4、貯留部5および排気筒6に分かれており、貯留式燃焼機を形成している。
【0032】
本体部3は、全体形状が円筒形であり、2重構造となっていて内部に貯留部5が形成されている。更に詳細には、本体部3は外筒20と内筒21とを有し、その内部に熱媒体を貯留する構造を有する。特に本体部3の上半分には、上鏡板22と下鏡板23で囲まれた大容量の熱媒体室24が形成されている。貯留部5には、熱媒体として不凍液が貯留されている。
【0033】
熱媒体室24には、複数の燃焼ガス流路25が形成され、燃焼ガス流路25は貯留部5の熱媒体室24を軸方向に貫通する。燃焼部7は、灯油等の液体燃料を燃焼させるバーナを備え、燃料噴射ノズル70と送風機71を内蔵しており、本体部3の下方に位置する燃焼空間部4に接続されている。燃焼空間部4は、燃焼部7の燃焼室として機能する。
【0034】
一方、本体部3の上部には、排気筒6が設けられている。排気筒6は、外観が円筒状または直方体状であり、内部がラビリンス構造とされ、ガス圧を低減させて燃焼音の発生を抑えつつ燃焼ガスを排気するものである。なお、図1において、排気筒6のラビリンス構造は省略している。
また、貯留部5の上部には、貯留された熱媒体の温度を検知する温度センサー26が設けられ、貯留部5の最上部には、空焚き防止用の温度センサー27が設けられている。本実施形態では、これらの温度センサー26,27にサーミスタを用いている。
【0035】
燃焼運転が開始すると、燃焼部7の燃料噴射ノズル70から噴射された燃料ガスは、燃焼空間部4内において火炎を発生しつつ燃焼して高温の燃焼ガスを発生する。発生した燃焼ガスは、熱媒体室24内の燃焼ガス流路25を流れ、排気筒6を通過して外部に排出される。このとき、熱媒体室24内の熱媒体は、燃焼ガス流路25を流れる高温の燃焼ガスと熱交換して加熱され昇温する。
尚、貯留部5の上部には、熱媒体の貯留量を検知するレベル検知器28と熱媒体のリザーブタンク29が設けられており、貯留部5の熱媒体の減少に伴う空焚きを防止する構成とされている。
【0036】
熱源機2の本体部3と融雪端末9とは、図1の様に、循環往路51および循環復路52で接続されて循環回路50を形成している。更に詳細には、貯留部5の上部から延出する循環往路51上には循環ポンプ53、往路電磁弁55が配され、循環往路51の端部には、融雪端末9の一端を接続するヘッダ57が設けられている。また、貯留部5の下部、則ち、燃焼空間部4の周囲に位置する貯留部5から延出する循環復路52上には復路電磁弁56が配され、循環復路52の端部には、融雪端末9の他端を接続するヘッダ58が設けられている。また、循環往路51および循環復路52の途中には、流動する熱媒体の温度を検知する往路温度センサー59および復路温度センサー60が各々設けられている。本実施形態では、これらの温度センサー59,60としてサーミスタ温度センサーを用いている。
【0037】
循環往路51および循環復路52の端部に設けられたヘッダ57,58は、複数の配管を並列に接続可能なアダプターであり、融雪を行おうとする地面に融雪管91を埋設し、融雪管91の両端が各々ヘッダ57,58に接続される。これにより、循環ポンプ53によって貯留部5から循環往路51を圧送される熱媒体は、ヘッダ57から融雪管91を流動してヘッダ58に至り、循環復路52を介して貯留部5に戻る循環回路50を流動する。
【0038】
本実施形態では、ヘッダ57,58に各々5本の配管を並列接続可能であり、融雪しようとする領域に最大5本の融雪管91を埋設し、各融雪管91の両端をヘッダ57,58に接続することができる。従って、例えば、自宅の駐車場から道路に至る通路に3本の融雪管91を埋設し、玄関から道路に至る通路に2本の融雪管91を埋設することにより、駐車場側や玄関側の双方を同時に融雪することが可能である。また、5本の融雪管91を同一の領域に埋設して融雪を行うことも可能である。尚、図1では融雪管91を直管で示しているが、本実施形態では、各融雪管91は、屈曲させた配管を地面に埋設したものである。
【0039】
本実施形態では、融雪管91の各々に直列に電磁弁90を設け、各電磁弁90を同時に開閉制御することにより、並列に接続された融雪管91に同時に熱媒体を流動あるいは流動停止させる構成としている。
本実施形態では、前記往路電磁弁55、復路電磁弁56および電磁弁90に開閉制御を緩やかに行う熱動弁を用いており、各電磁弁55,56,90の開閉に伴う循環回路50を循環する熱媒体の急激な圧力変動を防止して配管の劣化を防止している。尚、ヘッダ57,58には、循環往路51および循環復路52に滞留する熱媒体の排水を行う排水栓61,62が設けられている。
【0040】
駆動制御部8は熱源機2の制御を統括する機能を有し、駆動制御部8には、メインコントローラ80およびリモートコントローラ10が接続されている。駆動制御部8は、メインコントローラ80およびリモートコントローラ10の設定に応じて、各部に設けられたセンサーの検知信号を参照しつつ、燃焼部7、循環ポンプ53および各部に設けられた電磁弁の制御を行う。
メインコントローラ80およびリモートコントローラ10は、運転操作および各種の設定を行う操作端末であり、メインコントローラ80は、駆動制御部8の近傍に固定して設けられている。また、本実施形態では、リモートコントローラ10をケーブルCを介して屋内に設置している。
【0041】
また、駆動制御部8には、降雪センサー82および地温センサー86が接続されている。降雪センサー82は、屋外の冠雪可能な部位に設置され、地温センサー86は屋外の地面に埋設して設置される。
降雪センサー82は、外気温センサー85と、水分センサー84および融雪ヒータ83で構成され、駆動制御部8と協働して降雪を検知するセンサー機能を有する。則ち、降雪センサー82において、外気温センサー85の検知温度が所定値以下になると、駆動制御部8は、融雪ヒータ83への通電を開始する。そして、融雪ヒータ83への通電の結果、水分センサー84で水分が検知されると駆動制御部8は降雪中であると判別する。一方、融雪ヒータ83へ通電しても水分センサー84で水分を検知しないときは、駆動制御部8は降雪がないものと判別する動作を行う。
【0042】
また、前記した本体部3の貯留部5に設けられた温度センサー26および空焚き検知用の温度センサー27は、各々、駆動制御部8に接続されており、前記循環回路50に設けられた往路温度センサー59および復路温度センサー60も、各々、駆動制御部8に接続されている。そして、駆動制御部8は、これらの各温度センサーの検知信号および前記降雪センサー82および地温センサー86の検知信号に基づいて燃焼部7や循環ポンプ53、電磁弁などを駆動して融雪運転を行う。
【0043】
次に、リモートコントローラ10の構成を説明する。リモートコントローラ10は、図2の様に、外形が略正方形の操作端末であり、メインコントローラ80と同様に融雪装置1の運転操作および各種の設定が可能である。前記したように、メインコントローラ80は、屋外に敷設される熱源機2の本体部3近傍に固定されるが、リモートコントローラ10は、ケーブルCを屋内に引き込むことにより、室内に設置することが可能である。
【0044】
リモートコントローラ10は、図3の様に、CPU11を中心として、操作部12、設定部13、表示部14、音声出力手段(音声出力部)15およびタイマー設定部(タイマー設定手段)16を備えて構成される。操作部12は、運転スイッチ12a、自動/手動切換スイッチ12bおよびタイマースイッチ12cを備えている。設定部13は、設定スイッチ13aおよびアップキー13b,ダウンキー13cを備えている。また、表示部14は液晶表示器14aを含んで構成され、音声出力部15はスピーカ15aを含んで構成される。
【0045】
リモートコントローラ10の上部には運転スイッチ12aが配され、中央部には液晶表示器14aおよび設定スイッチ13a、アップキー13b、ダウンキー13cが配され、下部には、自動/手動切換スイッチ12b,タイマースイッチ12cおよびスピーカ15aが設けられている。
【0046】
運転スイッチ12aは、融雪装置1の運転および運転停止の操作を行うもので、運転中は内蔵LEDによって運転スイッチ12aが赤色に点灯する。自動/手動切換スイッチ12bは、後述する自動運転モードおよび手動運転モードを切り換えるスイッチであり、「自動/手動」の文字を赤色点灯させるLEDを内蔵している。また、タイマースイッチ12cは、後述するタイマー運転の設定を行うスイッチであり、「タイマー」の文字を赤色点灯させるLEDを内蔵している。
【0047】
スピーカ15aは、各種の設定および運転中において音声出力部15で生成された音声信号を音声メッセージとして出力する。液晶表示器14aは、表示部14で生成された表示データを表示するドットマトリクス液晶表示器であり、文字や数字に加えて図形を表示可能である。また、設定スイッチ13aおよびアップキー13b,ダウンキー13cは、後述する運転条件の設定操作などを行う操作キーである。
【0048】
タイマー設定部16は、自動運転時における遅延タイマーや、手動運転時におけるオンオフタイマー、オフタイマーの設定を行う機能を有する。
また、本実施形態のリモートコントローラ10では、CPU11と設定部13および表示部14によって、降雪条件設定手段17およびロック手段18を構成している。則ち、降雪条件設定手段17およびロック手段18は、いずれも、CPU11によるプログラム処理によって実行される。
尚、図3のブロック構成図では、CPU11に付随して設けられるRAM、ROMを省略している。
【0049】
次に、本実施形態の融雪装置1で実施される手動運転および自動運転の基本動作を順次説明する。
リモートコントローラ10の運転スイッチ12aが「切」の状態で、図4の様に、自動/手動切換スイッチ12bを操作して液晶表示器14aに「手動」表示を行うと手動運転モードに設定され、「自動」表示を行うと自動運転モードに設定される。また、アップキー13bあるいはダウンキー13cを操作することにより、図4および図5の様に、液晶表示器14aに表示される温度調節レベルを「3」、「4」などに変更設定可能である。本実施形態では、温度調節レベルを最低の「1」に設定すると、循環往路51を流動する熱媒体の温度が略40℃となるように燃焼部7の制御が行われ、温度調節レベルを増加させるに連れて熱媒体の温度が上昇し、温度調節レベルを最大の「7」に設定すると、循環往路51を流動する熱媒体の温度が略80℃となるように燃焼部7の制御が行われる。
【0050】
(手動運転時の操作および動作)
図4の様に、手動運転モードに設定した状態で運転スイッチ12aを押すと、駆動制御部8は、運転スイッチ12aを赤色点灯し、燃焼部7の燃焼を開始すると共に循環ポンプ53の駆動を開始する。この際、駆動制御部8は、往路電磁弁55および復路電磁弁56を開成すると共に、融雪管91に設けられた電磁弁90を開成する。
【0051】
燃焼部7は貯留部5の熱媒体を加熱し、加熱された熱媒体は循環ポンプ53で圧送されて貯留部5から循環往路51、ヘッダ57、融雪管91、ヘッダ58を流動し、循環復路52を介して貯留部5に戻る循環回路50を循環して融雪運転が開始する。融雪運転が開始すると、駆動制御部8は、往路温度センサー59、復路温度センサー60および貯留部上部の温度センサー26の検知温度を監視しつつ往路温度センサー59の検知温度が温度調節レベルに応じた値となるように燃焼部7の制御を行う。本実施形態では、駆動制御部8によって燃焼部7を断続制御を行っているが、燃焼部7の燃焼量を制御することも可能である。
【0052】
このようにして、融雪運転が行われている状態で、運転スイッチ12aを再度押すと、駆動制御部8は、運転スイッチ12aの赤色点灯を解除し、燃焼部7の燃焼駆動を停止すると共に、循環ポンプ53の駆動を停止する。この際、駆動制御部8は、往路電磁弁55および復路電磁弁56を閉成すると共に、融雪管91に設けられた電磁弁90を閉成して融雪運転を終了する。
【0053】
尚、本実施形態では、リモートコントローラ10によって、オフタイマーやオンオフタイマーの設定が可能である。則ち、手動運転中において、リモートコントローラ10によりオフタイマー時間を設定することにより、運転開始から設定されたオフタイマー時間が経過後に運転を停止させることが可能である。また、手動運転モードに設定された状態で、リモートコントローラ10によりオン設定時間およびオフ設定時間を設定することにより、この期間だけ運転を行わせることが可能とされている。尚、オフタイマーおよびオンオフタイマーの設定の詳細については省略する。
【0054】
(自動運転時の操作および動作)
図5の様に、自動運転モードに設定されると、以降は、駆動制御部8の制御による自動運転に移行する。自動運転モードにおける操作および動作を、図1、図5〜図8を参照して説明する。尚、自動運転モードにおける燃焼部7の駆動制御および熱媒体の循環動作については、手動運転の場合と同様であるので、重複した説明を省略する。
本実施形態の融雪装置1では、第1の自動運転モードと第2の自動運転モードを選択可能であり、これらの運転モードはメインコントローラ80で切換設定可能である。
【0055】
ここで、本実施形態では、降雪センサー82の降雪検知条件を次の様に規定している。則ち、外気温センサー85の検知温度が閾値(本実施形態では、デフォルトの設定閾値を2℃としている)以下になると、駆動制御部8は、融雪ヒータ83に通電し、水分センサー84が水分を検知したときに降雪中と判別する。従って、外気温センサー85の検知温度が2℃以下であっても、水分センサー84が水分を検知しないときは、降雪中の判別は行われない。また、本実施形態では、地温センサー86のデフォルトの運転開始閾値を5℃とし、運転終了閾値を7℃としている。これら、外気温センサー85の閾値および、地温センサー86の運転開始閾値は、降雪条件設定手段17で変更設定可能である。
【0056】
メインコントローラ80によって第1の自動運転モードに設定されているとき、リモートコントローラ10の運転スイッチ12aが「切」の状態で、図5の様に、自動/手動切換スイッチ12bを操作して液晶表示器14aに「自動」表示を行うと第1の自動運転モードに設定される。尚、図5では、アップキー13bあるいはダウンキー13cを操作して温度調節レベルを「4」に設定している。
【0057】
第1の自動運転モードでは、降雪センサー82が降雪を検知した状態(オン状態)、または、地温センサー86の検知温度が運転開始閾値以下の状態(オン状態)となれば、駆動制御部8は融雪運転を開始する。そして、降雪センサー82が降雪を検知しない状態(オフ状態)で、且つ、地温センサーの検知温度が運転終了閾値以上(オフ状態)となれば、駆動制御部8は、遅延タイマーで規定される所定時間だけ運転を継続した後に融雪運転を終了する。
【0058】
則ち、第1の自動運転モードでは、図6の様に、地温センサー86の検知温度が5℃以上であっても、降雪センサー82が降雪を検知すると、駆動制御部8は融雪運転を開始する。そして、地温センサー86の検知温度が7℃以上で、且つ、降雪センサー82が降雪を検知しなくなると、駆動制御部8は降雪センサー82が降雪を検知しなくなった時点から遅延タイマーで設定される時間だけ運転を継続した後に運転を終了する。
【0059】
また、第1の自動運転モードでは、図7の様に、降雪センサー82が降雪を検知していない場合でも、地温センサー86の検知温度が5℃以下になると駆動制御部8は融雪運転を開始する。そして、地温センサー86の検知温度が7℃以上で、且つ、降雪センサー82が降雪を検知しなくなると、駆動制御部8は降雪センサー82が降雪を検知しなくなった時点から遅延タイマーで設定される時間だけ運転を継続した後に運転を終了する動作を行う。
【0060】
一方、メインコントローラ80によって第2の自動運転モードに設定されているとき、リモートコントローラ10の運転スイッチ12aが「切」の状態で、図5の様に、自動/手動切換スイッチ12bを操作して液晶表示器14aに「自動」表示を行うと第2の自動運転モードに設定される。
【0061】
第2の自動運転モードでは、降雪センサー82が降雪を検知した状態で、且つ、地温センサー86の検知温度が運転開始閾値以下の状態となれば、駆動制御部8は融雪運転を開始する。また、地温センサーの検知温度が運転終了閾値以上となれば、駆動制御部8は、遅延タイマーで規定される所定時間だけ運転を継続した後に融雪運転を終了する。
【0062】
則ち、第2の自動運転モードでは、図8の様に、降雪センサー82が降雪を検知し、且つ、地温センサー86の検知温度が5℃以下になると駆動制御部8は融雪運転を開始する。そして、地温センサー86の検知温度が7℃以上になると、降雪センサー82の降雪の検知の有無に拘わらず、駆動制御部8は地温センサー86の検知温度が7℃以上になった時点から遅延タイマーで設定される時間だけ運転を継続した後に運転を終了する動作を行う。
【0063】
(チャイルドロック設定および降雪条件設定の操作および動作)
前記したように、本実施形態の融雪装置1では、外気温センサー85の閾値および、地温センサー86の運転開始閾値を、リモートコントローラ10の降雪条件設定手段17で変更設定可能である。この設定操作を、図2、図3および図9、図10を参照して説明する。
外気温センサー85の閾値設定、および、地温センサー86の運転開始閾値の設定は、リモートコントローラ10で行うユーザー設定項目の1つとして実施される。
【0064】
まず、図2の様に、運転スイッチ12aが「切」状態で設定スイッチ13aを操作するとユーザー設定モードに移行する。そして、図9(a)の様に、液晶表示器14aにユーザー設定の第1項目である「降雪チャイム」の設定画面が表示され、「設定が変更できます」の音声メッセージがスピーカ15aから出力される。降雪チャイムの設定では、デフォルトの「あり」が強調表示されており、アップキー13bおよびダウンキー13cを操作して「あり・なし」を変更設定できる。アップキー13bやダウンキー13cで設定を変更した場合、または、未操作のまま3秒間経過すると、「良ければ、設定スイッチを押して下さい」の音声メッセージが出力され、設定スイッチ13aを操作すると、ユーザー設定モードを終了して図2に示す画面に戻る。この際、「設定を変更しました」の音声メッセージが出力される。
【0065】
一方、図2の様に、運転スイッチ12aが「切」状態で設定スイッチ13aを2回続けて操作すると、図9(b)の様に、液晶表示器14aにユーザー設定の第2項目である「音量」の設定画面が表示される。「音量」の設定では、スピーカ15aから出力される操作音や音声メッセージの音量を「大・中・小・なし」のいずれかに可変設定でき、デフォルトは「中」に設定されている。「音量」の設定についても、図9(a)に示した「降雪チャイム」の設定と同様にして行うことができる。
【0066】
更に、図2の様に、運転スイッチ12aが「切」状態で設定スイッチ13aを3回続けて操作すると、図9(c)の様に、ユーザ設定の第3項目である「音声ガイド」の設定画面が表示される。設定スイッチ13aを4回続けて操作すると、図9(d)の様に、ユーザ設定の第4項目である「表示の節電」の設定画面が表示される。
【0067】
図9(c)に示す「音声ガイド」の設定では、スピーカ15aから出力される音声メッセージを「あり・なし」のいずれかに設定でき、デフォルトは「あり」に設定されている。音声メッセージを「なし」に設定すると、操作音だけが出力され音声メッセージが停止する。
【0068】
図9(d)に示す「表示の節電」の設定では、液晶表示器14aの表示を「する・しない」のいずれかに設定でき、デフォルトは「する」に設定されている。表示の節電を「する」に設定すると、以降は、液晶表示器14aの表示が停止されるが、通常運転中における運転スイッチ12aの点灯表示や、液晶表示器14aによる燃焼表示、融雪表示などの必要最小限の表示が行われる。また、「しない」に設定すると、時刻表示や自動/手動運転などの表示がスクリーンセーバー状に表示され、液晶表示器14aの焼き付きを防止する構成とされている。尚、「音声ガイド」および「表示の節電」の各設定においても、設定が終了すると「設定を変更しました」の音声メッセージが出力されて図2に示す画面に戻る。
【0069】
また、設定スイッチ13aを5回続けて操作すると、図9(e)の様に、ユーザ設定の第5項目である「チャイルドロック」の設定画面が表示される。「チャイルドロック」の設定では、キー操作のロックを「する・しない」のいずれかに設定でき、デフォルトは「する」に設定されている。尚、「チャイルドロック」の設定においても、設定が終了すると「設定を変更しました」の音声メッセージが出力されて図2に示す画面に戻る。
【0070】
チャイルドロックを「する」に設定すると、以降は、運転スイッチ12aやメインコントローラ80側の緊急停止スイッチ(不図示)の操作による運転停止だけが受け付けられ、他の全ての操作が恒久的に禁止される。このため、リモートコントローラ10をいたずら操作しても、融雪運転が開始されたり設定が変更されことがなく、表示部14aに「ロック作動中」の表示が行われるだけである。
【0071】
一方、チャイルドロックを「する」に設定した状態で、融雪運転を開始したいときは、設定スイッチ13aを1秒間継続して操作する。すると、ロック手段18はチャイルドロックの設定を一時的に解除し、表示部14aに「ロックが解除されました」の表示を行う。チャイルドロックが一時的に解除されると、運転スイッチ12aを操作して融雪運転を開始することや、他の全ての操作が可能である。また、チャイルドロックを一時的に解除した後に1分間未操作状態が継続すると、自動的にチャイルドロックが設定された状態に戻る。
【0072】
従って、チャイルドロックが設定された状態であっても、操作者は設定スイッチ13aを1秒間継続して操作した後に運転スイッチ12aを操作するだけで、容易に融雪運転を開始することができ、ロック設定の解除の煩わしさを抑えつついたずら運転を効果的に防止することが可能である。
尚、本実施形態では、チャイルドロックを一時的に解除した状態において、前記したように、設定スイッチ13aを5回続けて操作してユーザ設定の第5項目である「チャイルドロック」の設定画面が表示させることにより、チャイルドロックを恒久的に解除させることが可能である。
【0073】
次に、図2の様に、運転スイッチ12aが「切」状態で設定スイッチ13aを6回続けて操作すると、図10(a)の様に、ユーザ設定の第6項目である「連絡先」の設定画面が表示される。この連絡先は、駆動制御部8への通電が開始されてから10分間だけ変更設定が可能であり、以降は、表示だけが行われる。そして、設定スイッチ13aを操作すると、図2に示す画面に戻る。
【0074】
更に、図2の様に、運転スイッチ12aが「切」状態で設定スイッチ13aを7回続けて操作すると、図10(b)の様に、ユーザ設定の第7項目である「工事店設定」の画面が表示される。但し、工事店設定画面が表示されても、アップキー13bやダウンキー13cを通常操作しても画面は切り換わらず、設定スイッチ13aを操作すると、ユーザー設定モードを終了して図2の状態に戻る。
【0075】
一方、図10(b)の様に、「工事店設定」の画面が表示された状態で、アップキー13bを2秒間継続して操作すると、図10(c)に示すように、ユーザー設定の第7項目の1番目である「外気温センサー」の設定画面に移行し、「設定が変更できます」の音声メッセージがスピーカ15aから出力される。「外気温センサー」の設定では、アップキー13bおよびダウンキー13cを操作して、外気温センサー85の閾値を−5℃〜+8℃の範囲で0.5℃刻みで変更設定することができ、デフォルトの閾値は「+2℃」である。
【0076】
変更に際しては、アップキー13bあるいはダウンキー13cを押す毎に、閾値が0.5℃刻みで増加または減少する。また、アップキー13bあるいはダウンキー13cを押し続けると、閾値が0.5℃刻みで自動的に上昇または下降するので、目的とする閾値に到達した時点でキー操作を解除する。
外気温センサー85の閾値を目的の値に設定した後に3秒間未操作が継続すると、スピーカ15aから「良ければ、設定スイッチを押して下さい」の音声メッセージが出力され、設定スイッチ13aを操作すると、ユーザー設定モードを終了して図2に示す状態に戻る。この際、スピーカ15aから「設定しました」の音声メッセージが出力される。
【0077】
一方、図10(c)に示す「外気温センサー」の設定画面に移行したときに、そのまま設定スイッチ13aを操作すると、図10(d)の様に、ユーザー設定の第7項目の2番目である「地温センサー」の設定画面に移行し、「設定が変更できます」の音声メッセージがスピーカ15aから出力される。「地温センサー」の設定では、アップキー13bおよびダウンキー13cを操作して、地温センサー86の運転開始閾値を−5℃〜+18℃の範囲で0.5℃刻みで変更設定することができ、デフォルトの値は「+5℃」である。
【0078】
変更に際しては、アップキー13bあるいはダウンキー13cを押す毎に、運転開始閾値が0.5℃刻みで増加または減少する。また、アップキー13bあるいはダウンキー13cを押し続けると、運転開始閾値が0.5℃刻みで自動的に上昇または下降するので、目的とする運転開始閾値に到達した時点でキー操作を解除する。
外気温センサー85の運転開始閾値を目的とする値に設定した後に3秒間未操作が継続すると、スピーカ15aから「良ければ、設定スイッチを押して下さい」の音声メッセージが出力され、設定スイッチ13aを操作すると、ユーザー設定モードを終了して図2に示す状態に戻る。この際、スピーカ15aから「設定しました」の音声メッセージが出力される。
【0079】
このように、本実施形態の融雪装置1によれば、自動運転モードにおける運転の基準となる外気温センサー85および地温センサー86の閾値を、屋内に設けたリモートコントローラ10により音声メッセージで誘導しつつ確実に変更することが可能である。また、「工事店設定」画面において、アップキー13bを2秒間継続操作しなければ、これらの変更設定ができない構成としている。これにより、センサーのばらつきや融雪装置の敷設地域の差に伴う自動運転の変動を除去し、最適な自動運転を行うように、ユーザーが屋内から変更設定することができる。
【0080】
しかも、特定操作を行った場合に限って変更を許容するので、子供などがいたずらに変更することが防止されるうえ、ユーザーが安易な変更を行うことを牽制することができ、操作の容易性と併せて一層確実な設定を行うことが可能となり、ユーザーが所望する最適な自動運転をユーザー自身が確実に設定することが可能となる。
【0081】
また、チャイルドロックを設定することにより、いたずら運転を効果的に防止することができ、しかも、チャイルドロックの設定中であっても、特定操作を行うだけでロック設定を容易に解除して必要な運転操作などを行うことが可能となる。これにより、ロック解除操作の煩わしさを抑えつつ、いたずらによる無駄な運転を防止することが可能となる。
【0082】
尚、前記実施形態で示した融雪装置1では、降雪センサー82および地温センサー86の双方を設けた構成としたが、降雪センサー82だけを設けた構成を採ることも可能である。
また、前記実施形態では、メインコントローラ80およびリモートコントローラ10における操作可能な範囲については言及していないが、融雪装置1を運転するための全ての操作および設定を双方のコントローラ80,10で可能な構成としても良く、また、メインコントローラ80とリモートコントローラ10において可能な操作範囲を分担する構成を採ることも可能である。
【0083】
また、前記実施形態では、熱源機2に液体燃料を燃焼させる貯留式燃焼機3を用いた構成としたが、都市ガス(天然ガス)やプロパンガスを用いる燃焼機を採用することもでき、電気を用いて加熱する熱源機を用いることも可能である。
【0084】
また、前記実施形態では、融雪管91の各々に直列に設けた電磁弁90を同時に開閉制御することにより、複数の融雪管91に同時に熱媒体を流動あるいは流動停止する構成としたが、本発明は、このような構成に限られるものではない。例えば、複数の融雪管91を異なる領域に分散して埋設し、電磁弁90を選択的に開閉制御することによって、必要な領域毎に融雪運転を行う構成も可能である。また、前記実施形態では、地面の融雪を行う構成として述べたが、本発明は、屋根の融雪を行う融雪装置に適用することも可能である。
【0085】
【発明の効果】
本発明の融雪装置によれば、リモートコントローラを屋内に設置することにより、ユーザーが所望する最適な自動運転を行うための設定をユーザー自身が行うことができ、しかも、安易な変更を行うことを牽制することができる。また、運転停止以外の操作をロックすることができ、ロック解除の煩わしさを抑えつついたずらによる無駄な融雪運転を効果的に防止することができる。これにより、使い勝手を向上させた融雪装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る融雪装置の構成図である。
【図2】図1に示す融雪装置に採用するリモートコントローラの正面図である。
【図3】図2に示すリモートコントローラのブロック構成図である。
【図4】図1に示すリモートコントローラの手動運転時における表示例を示す説明図である。
【図5】図1に示すリモートコントローラの自動運転時における表示例を示す説明図である。
【図6】第1の自動運転モードにおける各部のセンサーの検知状態および燃焼機の動作を示すタイムチャートである。
【図7】第1の自動運転モードにおける各部のセンサーの別の検知状態および燃焼機の動作を示すタイムチャートである。
【図8】第2の自動運転モードにおける各部のセンサーの検知状態および動作を示すタイムチャートである。
【図9】(a)〜(e)は、ユーザー設定モードにおいて順に表示される表示画面を示す説明図である。
【図10】(a)〜(d)は、ユーザー設定モードにおいて、図9に続いて表示される表示画面を示す説明図である。
【符号の説明】
1 融雪装置
2 熱源機(貯留式燃焼機)
8 駆動制御部
9 融雪端末(融雪管)
10 リモートコントローラ
15 音声出力手段
17 降雪条件設定手段
18 ロック手段
82 降雪センサー
84 水分センサー
85 外気温センサー
86 地温センサー
Claims (9)
- 熱源機で加熱された熱媒体を屋外に配された融雪端末へ循環させて融雪させる融雪装置であって、屋外に設けられて降雪状態を検知する降雪センサーと、前記熱源機の制御を行う駆動制御部と、前記熱源機から離れた場所に設置されて当該熱源機の運転操作を行うリモートコントローラとを備え、前記駆動制御部は、降雪センサーの降雪検知状態に応じて自動的に熱源機の駆動制御を行う自動運転モードを有し、前記リモートコントローラは、降雪センサーの降雪の検知条件を可変設定する降雪条件設定手段を備えたことを特徴とする融雪装置。
- 前記降雪センサーは、降雪を融解させて生じる水分を検知する水分センサーと外気温センサーとを組み合わせて構成され、前記降雪条件設定手段は、少なくとも外気温センサーの温度の検知条件を可変設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の融雪装置。
- 屋外に設けられて地中の温度を検知する地温センサーを備え、前記駆動制御部は、前記地温センサーの温度検知状態と前記降雪センサーの降雪検知状態に応じて自動的に前記熱源機の駆動制御を行う自動運転モードを有し、前記降雪条件設定手段は地温センサーの温度の検知条件を可変設定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の融雪装置。
- 前記駆動制御部は、前記降雪センサーまたは地温センサーの少なくともいずれか一方の検知状態が前記降雪条件設定手段で設定された検知条件に至ったときに自動的に運転を開始する第1の自動運転モードを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の融雪装置。
- 前記駆動制御部は、前記降雪センサーおよび地温センサーの双方の検知状態が前記降雪条件設定手段で設定された検知条件に至ったときに自動的に運転を開始する第2の自動運転モードを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の融雪装置。
- 前記降雪条件設定手段は、リモートコントローラによって特定の操作が行われた場合に限って、前記降雪センサーまたは地温センサーの検知条件の設定の変更を許容することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の融雪装置。
- 前記リモートコントローラは音声出力手段を備え、少なくとも降雪条件設定手段による検知条件の設定操作時に、操作を案内する音声メッセージを出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の融雪装置。
- 前記リモートコントローラは、当該リモートコントローラにおける操作の受付を禁止するロック手段を備え、当該ロック手段によってロック設定が行われると、以降は、リモートコントローラによって特定の操作が行われる場合を除いて、運転の停止操作以外の全ての操作の受付を禁止することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の融雪装置。
- 前記熱源機は、熱媒体を加熱する燃焼機と、加熱された熱媒体を貯留する貯留部を備えた貯留式燃焼機で構成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の融雪装置。
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2003
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