JP2004292981A - 寝装品用立毛生地の染色方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基布とこの基布に植設された立毛とからなる寝装品用立毛生地の染色方法であって、優美で華麗な外観を呈し、高級感のある寝装品用立毛生地が得られる染色方法を提供する。
【解決手段】基布側から2種以上の染液を生地(A)にスプレー塗布して立毛側まで浸透させ、これら2種以上の染液の浸透差によって立毛(2)の根本側(2a)と先端側(2b)とを異なる色に染色する第1の工程と、この第1の工程の後に、立毛側の表面に捺染を行うことにより模様を形成する第2の工程とからなるものとする。
【選択図】 図3
【解決手段】基布側から2種以上の染液を生地(A)にスプレー塗布して立毛側まで浸透させ、これら2種以上の染液の浸透差によって立毛(2)の根本側(2a)と先端側(2b)とを異なる色に染色する第1の工程と、この第1の工程の後に、立毛側の表面に捺染を行うことにより模様を形成する第2の工程とからなるものとする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛布等の寝装品用立毛生地の染色方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
毛布等の寝装品用立毛生地(以下、単に立毛生地ともいう)には、近年、消費者の好みの多様化により、従来にない特徴が求められるようになってきており、本願出願人は、これに対応するものとして、立毛の根本側と先端側とが異なる色に染色された新しいタイプの寝装品用立毛生地及びその製造方法を登録実用新案公報第3089128号(特許文献1)等において提案している。
【0003】
この製造方法によれば、比較的簡単な工程で、ニュアンスのある色合いを有する立毛生地が得られ、しかもこの立毛生地は大量生産が可能であるため、安価で消費者に提供できるという特長がある。しかしながら、市場には、ある程度高価格となっても従来の製品にない趣向を凝らした製品や、消費者のより一層の高級志向に応えうる製品を求めるニーズもある。すなわち、従来の寝装品用にはなかった、色合いや模様を有する製品が求められている。
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、優美で華麗な外観を呈し、高級感のある寝装品用立毛生地が得られる染色方法を提供することを目的とする。
【0005】
【特許文献1】
登録実用新案公報第3089128号
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の寝装品用立毛生地の染色方法は、基布とこの基布に植設された立毛とからなる寝装品用立毛生地の染色方法であって、基布側から2種以上の染液を生地にスプレー塗布して立毛側まで浸透させ、これら2種以上の染液の浸透差によって立毛の根本側と先端側とを異なる色に染色する第1の工程と、この第1の工程の後に、立毛側の表面に捺染を行うことにより模様を形成する第2の工程とからなるものとする(請求項1)。
【0007】
第2の工程の捺染は、染料と共に抜染剤を含む色糊を用いて、染料による染色と抜染剤による抜染とを同時に行うものとすることができる(請求項2)。そのために、第1の工程の染色において、還元剤又は酸化剤によって脱色される染料からなる染液を用い、かつ第2の工程の捺染において、抜染剤として還元剤又は酸化剤を含む色糊を用いることができる(請求項3)。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の染色方法が適用される寝装品用立毛生地とは、従来よりマイヤー毛布等の寝装品に広く使用されている、基布とこの基布に植設された立毛(パイル又はカットパイル)とからなるものである。植設の方法は限定されないが、例えばダブルラッセルで植毛してセンターカットする方法が挙げられる。毛足の長さも特に限定されないが、通常は10〜40mm程度である。立毛の素材は染色が可能なものであればよいが、風合いの良さや、染色の容易さ、堅牢度等からアクリル繊維が好ましい。
【0009】
また、基布の素材や構造(網目等)は、後述する第一工程における、基布側から立毛側への染液の浸透を妨げるようなものでなければよく、それ以外は特に限定されない。
【0010】
本発明の染色方法は、上記したように、立毛生地(但し、毛さばき等の立毛加工前、以下、特に記載しない限り同様とする)の基布側から2種以上の染液を生地にスプレー塗布して立毛側まで浸透させ、これら2種以上の染液の浸透差によって立毛の根本側と先端側とを異なる色に染色する第1の工程と、その後に、立毛側の表面に染料及び必要に応じて抜染剤を含む色糊を用いて捺染を行うことにより模様を形成する第2の工程とからなる。なお、第1及び第2の工程において、染色(捺染及び抜染を含む)後は、従来通り、加熱、洗浄、脱水、乾燥等の後処理を行う。加熱は湿熱処理(スチーム処理)を行うことが好ましい。
【0011】
本発明の染色方法は、具体的には、例えば以下に示すような装置を用いて行うことができる。
【0012】
図1は、第1の工程に用いられる装置の概略を示す図であり、本図において、符号11はスプレーガン、符号12は染液タンク、符号13はパイプ、符号14はスチーマー、矢印は生地の進行方法を示している。
【0013】
本図に示されたように、立毛生地はローラに案内されて塗布装置まで送られ、塗布装置の複数のスプレーガン11により、基布側から染液をスプレー塗布される。なお、染液は、染液タンク12からパイプ13を経てスプレーガン11に圧送される。
【0014】
塗布装置としては、より具体的には、例えば、スプレーガンが上下二段(上段10個、下段20個配置)に配置されたオーロラ機を好適に使用することができる。
【0015】
上記により塗布された染料は、立毛の根本側から先端側へと浸透するので、2種以上の染液を順に塗布し、それぞれの浸透差を生じさせることにより立毛の根本側と先端側とを異なる色に染め分けることができる。浸透差を生じさせるには、染料の種類、染液の塗布量、塗布条件(ノズル口径、スプレー圧等)等を調整すればよい。さらに、スプレーガン11をクランク状に作動させながら塗布することにより、各種の柄(これを立毛側表面の模様と区別するため「地柄」という)を構成することもできるが、これは必須ではない。
【0016】
染液塗布後は、引き続きスチーマー14でスチーム処理が行われる。なお、図には示されていないが、スチーム処理の後は、洗浄、脱水、乾燥等の後処理が従来からの手法に従い行われる。
【0017】
本工程における染液の塗布量及び塗布条件(ノズル口径、スプレー圧等)は、繊維や染料の種類と、上記のように本工程で染液を浸透させて染色しようとしている部分の寸法(立毛の染色予定部分の厚み)等によって決定される。但し、一般的には、スプレーガンのノズル口径は、0.5〜1.0mm程度であり、スプレー圧は、0.5〜1.5kg/cm2 程度である。
【0018】
次に、図2は、第2の工程に用いられる装置の概略を示す図であり、本図において、符号21はベルトコンベア、符号22a、22b…はスクリーン型、符号23はスチーマーを示し、矢印は生地の進行方法を示している。
【0019】
第2の工程においては、第1の工程の染色及び後処理を終えた生地がローラによってベルトコンベア21上に案内され、ベルトコンベア21上で、複数のスクリーン型22a、22b…を用いて順に捺染される。すなわち、生地の立毛側表面の模様を構成する所定の部分が、各スクリーン型22a、22b…に従い、それぞれ染色又は染色され、あるいは後述するように抜染剤を含む色糊を用いることにより、抜染と同時に染色される。
【0020】
スクリーン型22a、22b…は、所望の模様を形成するのに必要なだけ用意され、その数は模様によって異なるが、本発明の目的とする高級感ある模様を形成するためには通常は7〜9個程度用いられる。
【0021】
捺染を繰り返して表面の模様が完成した後は、本図に示すようにスチーマー23等で加熱処理を行うことにより染料を定着させる。
【0022】
図には示されていないが、第2の工程においても、スチーム処理の後は、洗浄、脱水、乾燥等の通常の後処理が行われる。また、これらの後処理の後は従来用いられている薬剤を用いて柔軟処理を適宜行えばよい。なお、第1及び第2の工程におけるスチーム処理の条件(温度、時間等)は、ともに、繊維や染料の種類等によって決定されるが、一般的には、100〜105℃で20〜30分間程度である。
【0023】
上記第1及び第2の工程において使用する染液・色糊に関しては、第1の工程では、染色された色が抜染剤によって消色され得る染料を用い、かつ、第2の工程で、その抜染剤を含む色糊を用いることにより、染色と抜染とを同時に行うことができる。より具体的には、第1の工程では、還元剤や酸化剤によって脱色される染料を用い、第2の工程では抜染剤として還元剤や酸化剤を含む色糊を用いればよい。なお、その場合の色糊の染料としては、抜染剤の影響を受けない染料を用いることが好ましい。
【0024】
第1の工程で用いる染料(基本三原色)の一例としては、以下のものが挙げられる。
【0025】
CATHILON DISCHARGE YELLOW NLH new (保土谷化学)
CATHILON RED CD−FGLH (保土谷化学)
CATHILON BLUE BRLH 200% (保土谷化学)
第2の工程で用いる色糊は、これらの染料による着色を脱色し得るものとするために、例えば以下の抜染剤を含むものとすることができる。
【0026】
HI−VARIE DISCHARGE S−515 (大日本インキ化学工業)
HI−VARIE ASS−545 (大日本インキ化学工業)
また、この色糊に用いる、上記抜染剤の影響を受けない染料(基本三原色)の一例としては、以下のものが挙げられる。
【0027】
ASTRAZON G.YELLOW GL 200% LIQ (ダイスター)
CATION RED 4026P (ダイスター)
ASTRAZON BLUE F2RL LIQ (ダイスター)
色糊は、上記抜染剤、染料にグアーガム等の糊剤及び水を加え、混練することにより得られる。
【0028】
上記のように、色糊に抜染剤を含有させて抜染と染色を同時に行うことにより、第1の工程において染色された色に制限されずに捺染による模様を形成することができ、例えば、第1の工程で濃色に染色した部分にも淡色の模様を形成することができる。また、抜染と染色とを別々に行う場合と比較して工程が簡略化されるので、工程数が同じであれば、より複雑な模様を形成できるという利点がある。
【0029】
なお、本発明で用いる染液及び色糊には、従来通り、染色助剤等の各種添加物を必要に応じて添加することができる。
【0030】
上記した第1及び第2の染色工程、洗浄・乾燥等の後処理及び柔軟処理加工の後は、通常の立毛生地の製造において行われている、毛さばき、ポリッシャー、シャリング等の立毛加工を行うことにより、立毛生地が完成する。
【0031】
図3は、本発明により得られる立毛生地の染色状態の例を示す模式拡大端面図である。符号1は基布、符号2は立毛、符号2a、2bは第1の工程で染色された部分、符号2cは第2の工程で染色された部分をそれぞれ示す。
【0032】
本図に示すように、完成した立毛生地は、第1の工程により、立毛の根本側2aと先端側2bとが異なる色に染め分けられ、その境界で色が徐々に変化するものとなる。従って、その立毛生地の色合いは、見る方向によって異なり、また、生地の動きに従って変化するものとなる。さらに、スプレーガンを移動させながら染液塗布を行った場合には、立毛の先端側及び/又は根本側が生地の部分によって異なる色に染め分けられ、地柄が形成されるので、その色合いをさらに複雑で、変化に富んだものとすることができる。
【0033】
一方、立毛の表面には、第2の工程により、染色部分(又は抜染部分)2cが形成され、これによりプリント模様が形成される。図に示されたように、第2の工程により染色又は抜染される部分2cは立毛の先端であり、立毛の根本側には第1の工程による染色部分が残されているので、見る方向や、生地の動きによって、より複雑で微妙な色の変化が表れるようになる。しかも、表面に表されたプリント模様は、陰影や奥行き、立体感を感じさせるものとなる。
【0034】
従って、本発明の染色方法で所望の模様を表すことにより、優美で華麗な外観を呈し、高級感のある寝装品用立毛生地を得ることが可能となる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の染色方法によれば、第1の工程と第2の工程との相乗効果により、見る方向や、生地の動きによって、極めて複雑で微妙な色の変化が表れ、従来になかった、優美で華麗な外観を呈する寝装品用立毛生地が得られる。
【0036】
また、請求項2及び3のように、色糊に抜染剤を含有させて抜染と染色とを同時に行うことにより、第1の工程において染色された色に制限されずに第2の工程で模様を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スプレー塗布により立毛の根本側と先端側を染め分ける、第1の工程を示す図である。
【図2】捺染により立毛側表面に模様を形成する、第2の工程を示す図である。
【図3】本発明により得られる立毛生地の染色状態を示す模式拡大端面図である。
【符号の説明】
A ……寝装品用立毛生地
1 ……基布
2 ……立毛
2a、2b……第1の工程で染色された部分
2c……第2の工程で染色された部分
11……スプレーガン
12……染液圧送タンク
13……パイプ
14……スチーマー
21……コンベア
22……スクリーン型
23……スチーマー
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛布等の寝装品用立毛生地の染色方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
毛布等の寝装品用立毛生地(以下、単に立毛生地ともいう)には、近年、消費者の好みの多様化により、従来にない特徴が求められるようになってきており、本願出願人は、これに対応するものとして、立毛の根本側と先端側とが異なる色に染色された新しいタイプの寝装品用立毛生地及びその製造方法を登録実用新案公報第3089128号(特許文献1)等において提案している。
【0003】
この製造方法によれば、比較的簡単な工程で、ニュアンスのある色合いを有する立毛生地が得られ、しかもこの立毛生地は大量生産が可能であるため、安価で消費者に提供できるという特長がある。しかしながら、市場には、ある程度高価格となっても従来の製品にない趣向を凝らした製品や、消費者のより一層の高級志向に応えうる製品を求めるニーズもある。すなわち、従来の寝装品用にはなかった、色合いや模様を有する製品が求められている。
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、優美で華麗な外観を呈し、高級感のある寝装品用立毛生地が得られる染色方法を提供することを目的とする。
【0005】
【特許文献1】
登録実用新案公報第3089128号
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の寝装品用立毛生地の染色方法は、基布とこの基布に植設された立毛とからなる寝装品用立毛生地の染色方法であって、基布側から2種以上の染液を生地にスプレー塗布して立毛側まで浸透させ、これら2種以上の染液の浸透差によって立毛の根本側と先端側とを異なる色に染色する第1の工程と、この第1の工程の後に、立毛側の表面に捺染を行うことにより模様を形成する第2の工程とからなるものとする(請求項1)。
【0007】
第2の工程の捺染は、染料と共に抜染剤を含む色糊を用いて、染料による染色と抜染剤による抜染とを同時に行うものとすることができる(請求項2)。そのために、第1の工程の染色において、還元剤又は酸化剤によって脱色される染料からなる染液を用い、かつ第2の工程の捺染において、抜染剤として還元剤又は酸化剤を含む色糊を用いることができる(請求項3)。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の染色方法が適用される寝装品用立毛生地とは、従来よりマイヤー毛布等の寝装品に広く使用されている、基布とこの基布に植設された立毛(パイル又はカットパイル)とからなるものである。植設の方法は限定されないが、例えばダブルラッセルで植毛してセンターカットする方法が挙げられる。毛足の長さも特に限定されないが、通常は10〜40mm程度である。立毛の素材は染色が可能なものであればよいが、風合いの良さや、染色の容易さ、堅牢度等からアクリル繊維が好ましい。
【0009】
また、基布の素材や構造(網目等)は、後述する第一工程における、基布側から立毛側への染液の浸透を妨げるようなものでなければよく、それ以外は特に限定されない。
【0010】
本発明の染色方法は、上記したように、立毛生地(但し、毛さばき等の立毛加工前、以下、特に記載しない限り同様とする)の基布側から2種以上の染液を生地にスプレー塗布して立毛側まで浸透させ、これら2種以上の染液の浸透差によって立毛の根本側と先端側とを異なる色に染色する第1の工程と、その後に、立毛側の表面に染料及び必要に応じて抜染剤を含む色糊を用いて捺染を行うことにより模様を形成する第2の工程とからなる。なお、第1及び第2の工程において、染色(捺染及び抜染を含む)後は、従来通り、加熱、洗浄、脱水、乾燥等の後処理を行う。加熱は湿熱処理(スチーム処理)を行うことが好ましい。
【0011】
本発明の染色方法は、具体的には、例えば以下に示すような装置を用いて行うことができる。
【0012】
図1は、第1の工程に用いられる装置の概略を示す図であり、本図において、符号11はスプレーガン、符号12は染液タンク、符号13はパイプ、符号14はスチーマー、矢印は生地の進行方法を示している。
【0013】
本図に示されたように、立毛生地はローラに案内されて塗布装置まで送られ、塗布装置の複数のスプレーガン11により、基布側から染液をスプレー塗布される。なお、染液は、染液タンク12からパイプ13を経てスプレーガン11に圧送される。
【0014】
塗布装置としては、より具体的には、例えば、スプレーガンが上下二段(上段10個、下段20個配置)に配置されたオーロラ機を好適に使用することができる。
【0015】
上記により塗布された染料は、立毛の根本側から先端側へと浸透するので、2種以上の染液を順に塗布し、それぞれの浸透差を生じさせることにより立毛の根本側と先端側とを異なる色に染め分けることができる。浸透差を生じさせるには、染料の種類、染液の塗布量、塗布条件(ノズル口径、スプレー圧等)等を調整すればよい。さらに、スプレーガン11をクランク状に作動させながら塗布することにより、各種の柄(これを立毛側表面の模様と区別するため「地柄」という)を構成することもできるが、これは必須ではない。
【0016】
染液塗布後は、引き続きスチーマー14でスチーム処理が行われる。なお、図には示されていないが、スチーム処理の後は、洗浄、脱水、乾燥等の後処理が従来からの手法に従い行われる。
【0017】
本工程における染液の塗布量及び塗布条件(ノズル口径、スプレー圧等)は、繊維や染料の種類と、上記のように本工程で染液を浸透させて染色しようとしている部分の寸法(立毛の染色予定部分の厚み)等によって決定される。但し、一般的には、スプレーガンのノズル口径は、0.5〜1.0mm程度であり、スプレー圧は、0.5〜1.5kg/cm2 程度である。
【0018】
次に、図2は、第2の工程に用いられる装置の概略を示す図であり、本図において、符号21はベルトコンベア、符号22a、22b…はスクリーン型、符号23はスチーマーを示し、矢印は生地の進行方法を示している。
【0019】
第2の工程においては、第1の工程の染色及び後処理を終えた生地がローラによってベルトコンベア21上に案内され、ベルトコンベア21上で、複数のスクリーン型22a、22b…を用いて順に捺染される。すなわち、生地の立毛側表面の模様を構成する所定の部分が、各スクリーン型22a、22b…に従い、それぞれ染色又は染色され、あるいは後述するように抜染剤を含む色糊を用いることにより、抜染と同時に染色される。
【0020】
スクリーン型22a、22b…は、所望の模様を形成するのに必要なだけ用意され、その数は模様によって異なるが、本発明の目的とする高級感ある模様を形成するためには通常は7〜9個程度用いられる。
【0021】
捺染を繰り返して表面の模様が完成した後は、本図に示すようにスチーマー23等で加熱処理を行うことにより染料を定着させる。
【0022】
図には示されていないが、第2の工程においても、スチーム処理の後は、洗浄、脱水、乾燥等の通常の後処理が行われる。また、これらの後処理の後は従来用いられている薬剤を用いて柔軟処理を適宜行えばよい。なお、第1及び第2の工程におけるスチーム処理の条件(温度、時間等)は、ともに、繊維や染料の種類等によって決定されるが、一般的には、100〜105℃で20〜30分間程度である。
【0023】
上記第1及び第2の工程において使用する染液・色糊に関しては、第1の工程では、染色された色が抜染剤によって消色され得る染料を用い、かつ、第2の工程で、その抜染剤を含む色糊を用いることにより、染色と抜染とを同時に行うことができる。より具体的には、第1の工程では、還元剤や酸化剤によって脱色される染料を用い、第2の工程では抜染剤として還元剤や酸化剤を含む色糊を用いればよい。なお、その場合の色糊の染料としては、抜染剤の影響を受けない染料を用いることが好ましい。
【0024】
第1の工程で用いる染料(基本三原色)の一例としては、以下のものが挙げられる。
【0025】
CATHILON DISCHARGE YELLOW NLH new (保土谷化学)
CATHILON RED CD−FGLH (保土谷化学)
CATHILON BLUE BRLH 200% (保土谷化学)
第2の工程で用いる色糊は、これらの染料による着色を脱色し得るものとするために、例えば以下の抜染剤を含むものとすることができる。
【0026】
HI−VARIE DISCHARGE S−515 (大日本インキ化学工業)
HI−VARIE ASS−545 (大日本インキ化学工業)
また、この色糊に用いる、上記抜染剤の影響を受けない染料(基本三原色)の一例としては、以下のものが挙げられる。
【0027】
ASTRAZON G.YELLOW GL 200% LIQ (ダイスター)
CATION RED 4026P (ダイスター)
ASTRAZON BLUE F2RL LIQ (ダイスター)
色糊は、上記抜染剤、染料にグアーガム等の糊剤及び水を加え、混練することにより得られる。
【0028】
上記のように、色糊に抜染剤を含有させて抜染と染色を同時に行うことにより、第1の工程において染色された色に制限されずに捺染による模様を形成することができ、例えば、第1の工程で濃色に染色した部分にも淡色の模様を形成することができる。また、抜染と染色とを別々に行う場合と比較して工程が簡略化されるので、工程数が同じであれば、より複雑な模様を形成できるという利点がある。
【0029】
なお、本発明で用いる染液及び色糊には、従来通り、染色助剤等の各種添加物を必要に応じて添加することができる。
【0030】
上記した第1及び第2の染色工程、洗浄・乾燥等の後処理及び柔軟処理加工の後は、通常の立毛生地の製造において行われている、毛さばき、ポリッシャー、シャリング等の立毛加工を行うことにより、立毛生地が完成する。
【0031】
図3は、本発明により得られる立毛生地の染色状態の例を示す模式拡大端面図である。符号1は基布、符号2は立毛、符号2a、2bは第1の工程で染色された部分、符号2cは第2の工程で染色された部分をそれぞれ示す。
【0032】
本図に示すように、完成した立毛生地は、第1の工程により、立毛の根本側2aと先端側2bとが異なる色に染め分けられ、その境界で色が徐々に変化するものとなる。従って、その立毛生地の色合いは、見る方向によって異なり、また、生地の動きに従って変化するものとなる。さらに、スプレーガンを移動させながら染液塗布を行った場合には、立毛の先端側及び/又は根本側が生地の部分によって異なる色に染め分けられ、地柄が形成されるので、その色合いをさらに複雑で、変化に富んだものとすることができる。
【0033】
一方、立毛の表面には、第2の工程により、染色部分(又は抜染部分)2cが形成され、これによりプリント模様が形成される。図に示されたように、第2の工程により染色又は抜染される部分2cは立毛の先端であり、立毛の根本側には第1の工程による染色部分が残されているので、見る方向や、生地の動きによって、より複雑で微妙な色の変化が表れるようになる。しかも、表面に表されたプリント模様は、陰影や奥行き、立体感を感じさせるものとなる。
【0034】
従って、本発明の染色方法で所望の模様を表すことにより、優美で華麗な外観を呈し、高級感のある寝装品用立毛生地を得ることが可能となる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の染色方法によれば、第1の工程と第2の工程との相乗効果により、見る方向や、生地の動きによって、極めて複雑で微妙な色の変化が表れ、従来になかった、優美で華麗な外観を呈する寝装品用立毛生地が得られる。
【0036】
また、請求項2及び3のように、色糊に抜染剤を含有させて抜染と染色とを同時に行うことにより、第1の工程において染色された色に制限されずに第2の工程で模様を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スプレー塗布により立毛の根本側と先端側を染め分ける、第1の工程を示す図である。
【図2】捺染により立毛側表面に模様を形成する、第2の工程を示す図である。
【図3】本発明により得られる立毛生地の染色状態を示す模式拡大端面図である。
【符号の説明】
A ……寝装品用立毛生地
1 ……基布
2 ……立毛
2a、2b……第1の工程で染色された部分
2c……第2の工程で染色された部分
11……スプレーガン
12……染液圧送タンク
13……パイプ
14……スチーマー
21……コンベア
22……スクリーン型
23……スチーマー
Claims (3)
- 基布とこの基布に植設された立毛とからなる寝装品用立毛生地の染色方法であって、
基布側から2種以上の染液を生地にスプレー塗布して立毛側まで浸透させ、前記2種以上の染液の浸透差によって立毛の根本側と先端側とを異なる色に染色する第1の工程と、
この第1の工程の後に、立毛側の表面に捺染を行うことにより模様を形成する第2の工程とからなる
ことを特徴とする、寝装品用立毛生地の染色方法。 - 前記第2の工程の捺染において、染料と共に抜染剤を含む色糊を用いて、染料による染色と抜染剤による抜染とを同時に行うことを特徴とする、請求項1に記載の寝装品用立毛生地の染色方法。
- 前記第1の工程の染色において、還元剤又は酸化剤によって脱色される染料からなる染液を用い、かつ前記第2の工程の捺染において、前記抜染剤として還元剤又は酸化剤を含む色糊を用いることを特徴とする、請求項2に記載の寝装品用立毛生地の染色方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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