JP2004292878A - 複合焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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Toshihiko Takayama
俊彦 高山
Nobuaki Kurita
信明 栗田
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

【課題】焼結の初期段階で一方の部材側でのみ一方的に発生する焼結収縮による界面剥離を抑制することにより、接合強度を十分に向上させる。
【解決手段】第1金属粉末1を主成分とする第1原料粉末を焼結することにより得られた第1部材10と、第1金属粉末1よりも焼結開始温度の高い第2金属粉末2を主成分とする第2原料粉末を焼結することにより得られた第2部材20とからなり、両部材が焼結により一体的に接合されている。第2部材20には、第2部材20の要求特性を確保しうる範囲内の配合量で、第1金属粉末1が含まれている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1粉末を焼結することにより得られた第1部材と、第2粉末を焼結することにより得られた第2部材とを備え、両部材同士が焼結により一体的に接合された複合焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属又はセラミックス製品を製造する方法として、粉末射出成形法が知られている。この粉末射出成形法は、原料粉末と有機バインダとを混練して混練物を得る混練工程と、この混練物を冷却、固化させて固化物を得る固化工程と、この固化物を粉砕して粉砕物(ペレット)を得る粉砕工程と、この粉砕物(ペレット)の溶融物を成形型内に射出して成形体を得る成形工程と、この成形体から有機バインダを除去する脱脂工程と、有機バインダが除去された成形体を焼結する焼結工程とを順に実施することにより、焼結体よりなる金属又はセラミックス製品を得るものである。
【0003】
この粉末射出成形法によれば、原料粉末に有機バインダを添加することにより流動性を付与していることから、成形体の形状の自由度が大きく、複雑な形状の製品であっても製造が可能となる。
【0004】
また、この粉末射出成形法を利用して、第1原料粉末を焼結することにより得られた第1部材と、第2原料粉末を焼結することにより得られた第2部材とからなり、両部材同士が焼結により一体的に接合された複合焼結体を得る方法も知られている。この複合焼結体を得る場合は、第1原料粉末及び第2原料粉末のそれぞれについて上記混練工程、上記固化工程及び上記粉砕工程を実施して第1粉砕物及び第2粉砕物を得るとともに、これらの粉砕物の溶融物を成形型内に射出して複合成形体を得た後、上記脱脂工程及び上記焼結工程を実施する。
【0005】
この粉末射出成形法を利用して複合焼結体を得る方法によれば、上記のように成形体の形状の自由道が大きくなり、したがって異種部材間の界面形状の自由度も大きくなることに加えて、有機バインダの添加量を調整することにより焼結収縮率を調整することが可能になる。
【0006】
そこで、上記第1混練物における有機バインダの添加量と焼結収縮率との関係及び上記第2混練物における有機バインダの添加量と焼結収縮率との関係を予めそれぞれ求めておき、両混練物の焼結収縮率の差が0.5%以内となるように、バインダ添加量を調整する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようにバインダ添加量の調整により両混練物の焼結収縮率を揃えれば、焼結収縮率の違いによる異種部材間の界面剥離を抑えることができるので、接合強度を向上させることが可能となる。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−208405号公報(第2−3頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術のようにバインダ添加量の調整により焼結収縮率を揃えても、異種部材間の界面剥離を完全に防止してすることは困難であった。
【0009】
本発明者等は、異種部材間の界面剥離の原因について鋭意研究をした結果、焼結の初期段階における状態変化が界面剥離に大きく影響していることを発見した。
【0010】
すなわち、異種材料であれば焼結開始温度も両材料間で互いに異なる。このため、焼結の初期段階では、焼結開始温度が低い方の部材でのみ一方的に焼結による収縮を開始することになる。そうすると、未だ焼結を開始していない他方の部材との間の界面で剥離が発生してしまう。したがって、バインダ添加量の調整により焼結後の最終収縮率を揃えたとしても、焼結初期段階で発生する界面剥離を防止することは困難となる。そして、一旦界面剥離が発生すると、焼結が進んで最終段階になってもそのまま残ってしまう。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、焼結の初期段階で一方の部材側でのみ一方的に発生する焼結収縮による界面剥離を抑制することにより、接合強度を十分に向上させることのできる複合焼結体及びその製造方法を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明(以下、本第1発明という)の複合焼結体は、第1粉末を主成分とする第1原料粉末を焼結することにより得られた第1部材と、該第1粉末よりも焼結開始温度の高い第2粉末を主成分とする第2原料粉末を焼結することにより得られた第2部材とを少なくとも備え、隣り合う部材同士が焼結により一体的に接合された複合焼結体であって、上記第1部材及び上記第2部材のうちの少なくとも該第2部材には、該第2部材の要求特性を確保しうる範囲内の配合量で、他方の部材の主成分をなす粉末が含まれていることを特徴とするものである。
【0013】
好適な態様において、前記第1粉末は磁性材料よりなる一方、前記第2粉末は非磁性材料よりなる。
【0014】
好適な態様において、前記配合量は3〜15wt%である。
【0015】
上記課題を解決する請求項2記載の発明(以下、本第2発明という)の複合焼結体の製造方法は、第1粉末を主成分とする第1原料粉末を焼結することにより得られた第1部材と、該第1粉末よりも焼結開始温度の高い第2粉末を主成分とする第2原料粉末を焼結することにより得られた第2部材とを少なくとも備え、隣り合う部材同士が焼結により一体的に接合された複合焼結体の製造方法であって、上記第1原料粉末及び有機バインダを含む第1混合物と、上記第2原料粉末及び有機バインダを含む第2混合物とを得る調製工程と、上記第1混合物及び上記第2混合物を射出成形又は押出成形することにより、第1成形体及び第2成形体が一体的に形成された複合成形体を得る成形工程と、上記複合成形体から上記第1成形体及び上記第2成形体に含まれる有機バインダを除去する脱脂工程と、上記有機バインダが除去された上記複合成形体を焼結することにより、少なくとも上記第1部材及び上記第2部材を形成するとともに少なくとも両部材同士を一体的に接合する焼結工程とを備え、上記調製工程では、第1混合物及び上記第2混合物のうちの少なくとも該第2混合物に、上記第2部材の要求特性を確保しうる範囲内の配合量で、他方の混合物の主成分をなす粉末を含ませることを特徴とするものである。
【0016】
好適な態様において、前記調製工程では、前記第1部材における焼結収縮率と前記第2部材における焼結収縮率との差が1%以下となるように、前記第1混合物及び前記第2混合物をそれぞれ調製する。
【0017】
好適な態様において、前記調製工程は、前記第1原料粉末と前記有機バインダとを混練して第1混練物を得るとともに前記第2原料粉末と前記バインダとを混練して第2混練物を得る混練工程を備え、該第1混練物及び該第2混練物のうちの少なくとも該第2混練物に、他方の混練物の主成分をなす粉末が含まれている。
【0018】
好適な態様において、前記第1粉末は磁性材料よりなる一方、前記第2粉末は非磁性材料よりなる。
【0019】
好適な態様において、前記配合量は3〜15wt%である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る複合焼結体は、互いに焼結開始温度の異なる2種以上の粉末を原料粉末として得られた複合焼結体であり、第1粉末を主成分とする第1原料粉末を焼結することにより得られた第1部材と、該第1粉末よりも焼結開始温度の高い第2粉末を主成分とする第2原料粉末を焼結することにより得られた第2部材とを少なくとも備え、隣り合う部材同士が焼結により一体的に接合されている。
【0021】
そして、上記第1部材及び上記第2部材のうちの少なくとも該第2部材には、該第2部材の要求特性を確保しうる範囲内の配合量で、他方の部材の主成分をなす粉末が含まれている。すなわち、焼結開始温度の高い方の粉末である第2粉末を主成分とする第2原料粉末を焼結することにより得られた第2部材には、焼結開始温度の低い方の粉末である第1粉末が所定の配合量で含まれている。
【0022】
このような本発明に係る複合焼結体を焼結により製造する場合、焼結の初期段階における状態変化は以下の通りとなる。
【0023】
すなわち、焼結の初期段階において、焼結開始温度の低い方の第1粉末の焼結開始温度(以下、TL温度という)に到達した時点で、焼結開始温度の低い方の第1粉末が焼結を開始する。この焼結開始温度の低い方の第1粉末は、第1部材中に主成分として存在する一方、第2部材中にも所定の割合で点在している。このため、TL温度に到達した段階で、第1部材側で焼結開始温度の低い方の第1粉末が焼結を開始するとともに、第2部材側でも第2部材中に点在してる焼結開始温度の低い方の第1粉末が焼結を開始する。そうすると、第2部材中に点在している焼結開始温度の低い方の第1粉末が第1部材との接合界面にあれば、この接合界面において部分的ではあるが、焼結開始温度の低い方の第1粉末同士の焼結接合が起こる。このように接合界面で第1粉末同士の焼結接合が起これば、そのアンカー効果により、焼結開始温度の低い方の粉末が一方の部材側のみで一方的に収縮することによる界面剥離を効果的に抑制することができる。
【0024】
よって、本発明に係る複合焼結体によれば、焼結の初期段階で一方の部材側でのみ一方的に発生する焼結収縮による界面剥離を効果的に抑制することができ、したがって接合強度を十分に向上させることが可能となる。
【0025】
ここに、上記粉末の種類としては特に限定されず、焼結可能な各種の金属粉末又はセラミックス粉末を各部材に求められる要求特性に応じて適宜選択して用いることができる。
【0026】
例えば、焼結開始温度の低い方の第1粉末が磁性材料よりなる一方、焼結開始温度の高い方の第2粉末が非磁性材料よりなる態様を好適なものとして挙げることができる。磁性材料としては、純鉄、Fe−Si系、Fe−P系、Fe−Ni系、Fe−Cr系、Fe−Co系、Fe−C系や磁性ステンレス等の鉄系材料を好適に用いることができる。これらの磁性材料の中では、磁気特性が特に高く、また、安価な純鉄を用いることが特に好ましい。一方、非磁性材料としては、オーステナイト系ステンレス材料等を好適に用いることができる。
【0027】
そして、このように焼結開始温度の低い方の第1粉末が磁性材料よりなる一方、焼結開始温度の高い方の第2粉末が非磁性材料よりなる態様を採用する場合であって、第1粉末を主成分とする第1部材で特に特に高い磁気特性が要求等される場合には、焼結開始温度の高い方の第2粉末を第1部材に含ませることなく、磁性材料よりなる第1粉末のみで第1部材を構成するようにすることが好ましい。第1部材中に非磁性材料が存在すると、その分飽和磁束密度が低下し、高い磁気特性を確保する上で不利になるからである。
【0028】
また、第2部材中に含まれる焼結開始温度の低い方の第1粉末の配合量は、該第2部材の要求特性を確保しうる範囲内の配合量とされる。これを超えて第1粉末の配合量が多くなりすぎると、複合焼結体としての製品特性に応えることができない。一方、配合量が少なすぎると、上述した界面剥離の抑制効果を十分に達成することができない。この第2部材中の第1粉末の配合量は、用いる粉末材料の種類や平均粒径等に応じて適宜設定可能であるが、3〜15wt%程度とすることが好ましい。
【0029】
本発明に係る複合焼結体は、以下の製造方法により、好適に製造することができる。
【0030】
すなわち、本発明に係る複合焼結体を製造する好適な製造方法では、調製工程と、成形工程と、脱脂工程と、焼結工程とを実施する。
【0031】
上記調製工程では、上記第1原料粉末及び有機バインダを含む第1混合物と、上記第2原料粉末及び有機バインダを含む第2混合物とを得る。なお、ここでいう混合物とは、後述する混練物及び粉砕物の双方を含む概念である。
【0032】
上記有機バインダとしては、ポリエチレンや各種アクリル系ポリマー等の各種高分子化合物を使用することができ、また、必要に応じて各種ワックス、可塑剤及び分散剤等を添加することができる。
【0033】
この調製工程では、上記第1部材における焼結収縮率と上記第2部材における焼結収縮率との差が1%以下となるように、上記第1混合物及び上記第2混合物をそれぞれ調製することが好ましい。具体的には、上記第1混合物における有機バインダの添加量と上記第1部材における焼結収縮率との関係、及び上記第2混合物における有機バインダの添加量と上記第2部材における焼結収縮率との関係を予めそれぞれ求めておき、上記第1部材における焼結収縮率と上記第2部材における焼結収縮率との差が1%以下となるように、バインダ添加量をそれぞれ調整することが好ましい。これにより、第1部材及び第2部材間の接合界面における接合強度をより効果的に向上させることができる。なお、両部材間で焼結収縮率の差が1%を超えると、焼結時の寸法変化が大きく、接合不能となる場合もありうる。
【0034】
ここに、上記成形工程では、射出成形又は押し出し成形を採用することができる。そして、成形工程で押出成形する場合は、調製工程で、第1原料粉末と有機バインダとを混練して第1混練物を得るとともに第2原料粉末とバインダとを混練して第2混練物を得る混練工程を実施し、その後の成形工程で、得られた第1混練物及び第2混練物を所定の押出機から押し出してそれぞれ所定形状に成形することにより、第1成形体及び第2成形体が一体的に形成された複合成形体を得ることができる。一方、成形工程で射出成形する場合は、調製工程で、上記混練工程を実施した後、さらに第1混練物を冷却、固化させて第1固化物を得るとともに第2混練物を冷却、固化させて第2固化物を得る固化工程と、第1固化物を粉砕して第1粉砕物(ペレット)を得るとともに第2固化物を粉砕して第2粉砕物を得る粉砕工程とを実施し、その後の成形工程で、得られた第1粉砕物及び第2粉砕物を加熱溶融させてから所定の射出成形型で所定形状に成形することができる。このとき、第1成形体及び第2成形体を射出成形によりそれぞれ成形し、両成形体を仮付けすることにより第1成形体及び第2成形体が一体的に形成された複合成形体を得ることもできるし、2色成形により第1成形体及び第2成形体が一体的に形成された複合成形体をえることもできる。
【0035】
そして、上記調製工程では、第1混合物及び第2混合物のうちの少なくとも該第2混合物に、第2部材の要求特性を確保しうる範囲内の配合量で、他方の混合物の主成分をなす粉末を含ませる。このとき、上記混練工程で混練物を得る際、すなわち原料粉末と有機バインダとを混練する際に、第1混練物及び第2混練物のうちの少なくとも該第2混練物に、他方の混練物の主成分をなす粉末を添加することが好ましい。こうすることで、より均一な混合状態とすることができる。
勿論、上記粉砕工程で得られた第1粉砕物及び第2粉砕物を所定の割合で配合することにより、第1混合物及び第2混合物のうちの少なくとも該第2混合物に他方の混合物の主成分をなす粉末を含ませることも可能である。
【0036】
上記成形工程では、上述のとおり、上記第1混合物及び上記第2混合物を射出成形又は押出成形することにより、第1成形体及び第2成形体が一体的に形成された複合成形体を得る。
【0037】
上記脱脂工程では、上記複合成形体から上記第1成形体及び上記第2成形体に含まれる有機バインダを除去する。
【0038】
上記焼結工程では、上記有機バインダが除去された上記複合成形体を焼結することにより、少なくとも上記第1部材及び上記第2部材を形成するとともに少なくとも両部材同士を一体的に接合する。
【0039】
これらの成形工程、脱脂工程及び焼結工程における条件は特に限定されず、従来と同様の条件とすることができる。
【0040】
なお、本発明に係る複合焼結体においては、焼結開始温度の低い方の第1粉末を、第2部材の要求特性を確保しうる範囲内の配合量で、該第2部材に含ませるとともに、焼結開始温度の高い方の第2粉末を、第1部材の要求特性を確保しうる範囲内の配合量で、該第1部材に含ませることもできる。
【0041】
また、本発明に係る複合焼結体においては、第1部材は第1粉末を主成分とする第1原料粉末を焼結することにより得られたものであるが、この第1原料粉末中には該第1粉末以外の粉末が含まれていてもよい。同様に、第2部材は第2粉末を主成分とする第2原料粉末を焼結することにより得られたものであるが、この第2原料粉末中には該第2粉末以外の粉末が含まれていてもよい。ただし、第1粉末として磁性材料を採用する場合は、上述のとおり、磁性材料よりなる第1粉末のみで第1部材を構成することが好ましい。
【0042】
さらに、本発明に係る複合焼結体においては、上記第1粉末及び上記第2粉末とはそれぞれ材質の異なる第3粉末、第4粉末、…をそれぞれ主成分とする第3原料粉末、第4原料粉末、…を焼結することにより得られた第3部材、第4部材、…を備えていてもよい。この場合、隣り合う部材間で、焼結開始温度の低い方の粉末を、他方の部材の要求特性を確保しうる範囲内の配合量で、他方の部材に含ませればよい。
【0043】
なお、本発明に係る複合焼結体は、リニアソレノイドのヨーク、ABS(Antilock Brake System )のスリーブ、その他磁気回路部品等に好適に適用することができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0045】
(実施例1)
本実施例の複合焼結体は、図1に示されるように、第1金属粉末1を主成分とする第1原料粉末を焼結することにより得られた第1部材10と、この第1金属粉末1よりも焼結開始温度の高い第2金属粉末を主成分とする第2原料粉末を焼結することにより得られた第2部材20とを備え、これら第1部材10及び第2部材20は焼結により一体的に接合されている。
【0046】
そして、上記第1部材10は、第1金属粉末1のみで構成されている。一方、上記第2部材20は、3.3wt%の第1金属粉末1と、96.7wt%の第2金属粉末2とから構成されている。
【0047】
ここに、上記第1金属粉末1は、磁性材料としての純鉄(焼結開始温度:約750℃)の微粉末であり、上記第2金属粉末2は、非磁性材料としてのオーステナイト系ステンレス(SUS316L、焼結開始温度:約900℃)の微粉末である。
【0048】
また、第1部材10は、10mm×35mm、t=3mmの寸法の板形状をなしており、第2部材20も同様に、10mm×35mm、t=3mmの寸法の板形状をなしている。
【0049】
以下、この複合成形体の製造方法を説明する。
【0050】
<調製工程>
上記第1金属粉末1:93.0wt%と、ポリプロピレン−ワックス系の有機バインダ:7.0wt%とを180℃で混練して第1混練物を得た。
【0051】
一方、上記第1金属粉末1:3.0wt%と、上記第2金属粉末2:89.0wt%と、ポリプロピレン−ワックス系の有機バインダ:8.0wt%とを180℃で混練して第2混練物を得た。
【0052】
そして、第1混練物及び第2混練物を冷却、固化させた後、所定の大きさに粉砕して第1ペレット及び第2ペレットを得た。
【0053】
<成形工程>
上記第1ペレット及び第2ペレットを用い、射出温度170〜180℃の条件の2色成形(射出成形)を利用して、第1成形体及び第2成形体が一体的に形成された複合成形体を得た。
【0054】
<脱脂工程、焼結工程>
上記複合成形体を窒素雰囲気下700℃で脱脂した後、減圧下1300℃で焼結して、本実施例の複合焼結体を得た。
【0055】
(実施例2)
本実施例の複合焼結体は、図2に示されるように、上記第1部材10が96.8wt%の第1金属粉末1と、3.2wt%の第2金属粉末2とから構成されており、上記第2部材20が3.3wt%の第1金属粉末1と、96.7wt%の第2金属粉末2とから構成されている。その他の構成は上記実施例1と同様である。
【0056】
また、上記調製工程では、上記第1金属粉末1:90.0wt%と、上記第2金属粉末2:3.0wt%と、ポリプロピレン−ワックス系の有機バインダ:7.0wt%とを180℃で混練して第1混練物を得た。
【0057】
一方、上記第1金属粉末1:3.0wt%と、上記第2金属粉末2:89.0wt%と、ポリプロピレン−ワックス系の有機バインダ:8.0wt%とを180℃で混練して第2混練物を得た。
【0058】
その後の調製工程、成形工程、脱脂工程及び焼結工程を上記実施例1と同様に行って、本実施例の複合焼結体を得た。
【0059】
(比較例)
比較例の複合焼結体は、第1部材10が第1金属粉末1のみから構成され、第2部材20が第2金属粉末2のみから構成されている。
【0060】
(評価)
上記実施例1、2及び比較例について、焼結完了後の外観及び接合面積率を比較することにより、焼結の初期段階における剥離抑制効果を調べた。
【0061】
その結果を表1示す。
【0062】
【表1】
Figure 2004292878
【0063】
表1から明らかなように、実施例1及び2では、接合面積率がほぼ100%で、外観からの剥離も見られず、焼結の初期段階における剥離抑制効果が認められた。これに対し、比較例では、外観から未接合部が確認でき、接合面積率も40〜70%と低く、焼結の初期段階における剥離抑制効果が認められなかった。
【0064】
なお、実施例1、2及び比較例の複合焼結体は、いずれも、第1部材10においては成形体寸法に対して焼結体寸法が17.3%収縮し、第2部材20においては成形体寸法に対して焼結体寸法が17.5%収縮しており、第1部材10における焼結収縮率と第2部材における焼結収縮率との差が0.2%であった。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る複合焼結体によれば、焼結の初期段階で一方の部材側でのみ一方的に発生する焼結収縮による界面剥離を抑制することにより、接合強度を十分に向上させることができる。したがって、異種部材が良好に接合した信頼性の高い複合焼結体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る複合焼結体の構造を模式的に示す部分拡大断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係る複合焼結体の構造を模式的に示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1…第1金属粉末 2…第2金属粉末
10…第1部材 20…第2部材

Claims (8)

  1. 第1粉末を主成分とする第1原料粉末を焼結することにより得られた第1部材と、該第1粉末よりも焼結開始温度の高い第2粉末を主成分とする第2原料粉末を焼結することにより得られた第2部材とを少なくとも備え、隣り合う部材同士が焼結により一体的に接合された複合焼結体であって、
    上記第1部材及び上記第2部材のうちの少なくとも該第2部材には、該第2部材の要求特性を確保しうる範囲内の配合量で、他方の部材の主成分をなす粉末が含まれていることを特徴とする金属複合焼結体。
  2. 前記第1粉末は磁性材料よりなる一方、前記第2粉末は非磁性材料よりなることを特徴とする請求項1記載の複合焼結体。
  3. 前記配合量は3〜15wt%であることを特徴とする請求項1又は2記載の複合焼結体。
  4. 第1粉末を主成分とする第1原料粉末を焼結することにより得られた第1部材と、該第1粉末よりも焼結開始温度の高い第2粉末を主成分とする第2原料粉末を焼結することにより得られた第2部材とを少なくとも備え、隣り合う部材同士が焼結により一体的に接合された複合焼結体の製造方法であって、
    上記第1原料粉末及び有機バインダを含む第1混合物と、上記第2原料粉末及び有機バインダを含む第2混合物とを得る調製工程と、
    上記第1混合物及び上記第2混合物を射出成形又は押出成形することにより、第1成形体及び第2成形体が一体的に形成された複合成形体を得る成形工程と、上記複合成形体から上記第1成形体及び上記第2成形体に含まれる有機バインダを除去する脱脂工程と、
    上記有機バインダが除去された上記複合成形体を焼結することにより、少なくとも上記第1部材及び上記第2部材を形成するとともに少なくとも両部材同士を一体的に接合する焼結工程とを備え、
    上記調製工程では、第1混合物及び上記第2混合物のうちの少なくとも該第2混合物に、上記第2部材の要求特性を確保しうる範囲内の配合量で、他方の混合物の主成分をなす粉末を含ませることを特徴とする複合焼結体の製造方法。
  5. 前記調製工程では、前記第1部材における焼結収縮率と前記第2部材における焼結収縮率との差が1%以下となるように、前記第1混合物及び前記第2混合物をそれぞれ調製することを特徴とする請求項4記載の複合焼結体の製造方法。
  6. 前記調製工程は、前記第1原料粉末と前記有機バインダとを混練して第1混練物を得るとともに前記第2原料粉末と前記バインダとを混練して第2混練物を得る混練工程を備え、該第1混練物及び該第2混練物のうちの少なくとも該第2混練物に、他方の混練物の主成分をなす粉末が含まれていることを特徴とする請求項4又は5記載の複合焼結体の製造方法。
  7. 前記第1粉末は磁性材料よりなる一方、前記第2粉末は非磁性材料よりなることを特徴とする請求項4、5又は6記載の複合焼結体の製造方法。
  8. 前記配合量は3〜15wt%であることを特徴とする請求項4、5、6又は7記載の複合焼結体の製造方法。
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