JP2004292471A - ポリウレタン弾性体および弾性繊維 - Google Patents

ポリウレタン弾性体および弾性繊維 Download PDF

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Kunihiro Fukuoka
邦裕 福岡
Akira Kudo
彰 工藤
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Abstract

【課題】白癬菌に対する抗菌性能と、繰返し洗濯を行ったり塩素漂白を用いる洗剤など、塩素水環境に晒されても耐性の高いすなわち耐塩素性に優れたポリウレタン弾性体及びポリウレタン弾性体からなるポリウレタン弾性繊維を提供する。
【解決手段】ポリウレタン重合体に対してアゾール系抗菌剤が0.1〜10.0重量%含有されていることを特徴とするポリウレタン弾性体及び該ポリウレタン弾性体からなるポリウレタン弾性繊維。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン弾性体、特にポリウレタン弾性体からなるポリウレタン弾性繊維に関し、より詳しくは水虫など白癬菌感染症の予防などに効果が期待できる抗菌性と耐塩素性に優れたポリウレタン弾性体、特にポリウレタン弾性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン弾性体は産業資材、家庭用品など多くの用途があり、なかでも特にポリウレタン弾性繊維は衣料品を主体に広く使用されている。
【0003】
最近このようなポリウレタン製品において悪臭、感染症予防などの為に抗菌性を付与することが盛んになっている。
【0004】
例えば、繊維製品で従来よく行なわれている方法としては、後加工により抗菌生薬、キトサン、緑茶カテキン、ユーカリ枝葉等の天然有機物や、ジアミンクロルエタン、4級アンモニウム塩、ホスホベタイン、クロトリマゾール、トルナフタート、ウンデシレン酸誘導体等の合成有機物を付着させる方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0005】
しかしこれら後加工による方法では、着用及び洗濯などによりその効果が徐々に低下し持続性に乏しい。また洗濯による効果の低下を防ごうとすると、製品が硬くなるおそれがある。
【0006】
また、抗菌効果の持続性を改善するために上記抗菌性薬品類を樹脂に混合して成形する方法が知られている(例えば、特許文献5〜7参照)。また乾式紡糸法のポリウレタン弾性繊維で抗菌性を持たせる方法も知られている(例えば、特許文献8、9参照)。
【0007】
しかしこれらの方法では、抗菌性物質として銅、銀、亜鉛、などの金属化合物類や硫黄等の無機抗菌剤や各種有機系の抗菌剤が用いられているが、これらの抗菌剤は黄色ブドウ球菌や大腸菌には抗菌性を有しているものの、白癬菌に対しては効果があまりない。
【0008】
一方、耐塩素性に関しては、元来ポリエステル系のポリウレタンは良好であるが、ポリエーテル系ポリウレタンは性能に乏しいことが知られている。例えば繰返し洗濯を行ったり、塩素漂白を用いる洗剤など、塩素水環境に晒されると、ポリエーテル系ポリウレタンの物理的性質は相当劣化する。また、ポリウレタン繊維を含む水着は、水泳プ−ル中で活性塩素濃度が0.5〜3ppmを含む水に長期に晒されると、繊維の物理的性質が劣化することが知られている。
【0009】
このポリエーテル系ポリウレタンに耐塩素性能を付与する方法として、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物をポリマーに添加する方法が知られている(例えば、特許文献10〜14参照)。
【0010】
しかし、これらの方法では、耐塩素性は向上するものの、ポリウレタン弾性繊維の製造時に使用するジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシドといった極性溶媒中において、または融解状態にあるポリウレタンやプレポリマー中において金属酸化物が凝集してしまい、紡糸工程で吐出圧の上昇、紡糸糸切れの発生がみられ、長期にわたる安定紡糸が困難になるという問題が生じる。また、糸物性の低下並びに糸の均斉度の低下が大きいという問題も生じる。
【0011】
そこで、金属酸化物や金属類を使用せずに有機系の添加剤を使用することでポリエーテル系ポリウレタンの耐塩素性、即ち塩素に対するポリマーの物性低下を防ぐ方法の提供が期待されているが、僅かに4−アミノ−1,2,4−トリアゾール基を有する有機化合物をポリマーに添加する方法が知られているにすぎない(例えば、特許文献15参照)。しかし、この方法では耐塩素性は向上するものの抗菌性には全く効果がない。
【0012】
そこで、白癬菌に対する抗菌性能と、繰返し洗濯を行ったり塩素漂白を用いる洗剤など、塩素水環境に晒されても物理的性能が劣化しない耐塩素性とに優れたポリウレタン弾性体の提供が望まれていた。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−214368号公報
【特許文献2】
特開平04−257301号公報
【特許文献3】
特開平5−44165号公報
【特許文献4】
特開平8−226078号公報
【特許文献5】
特開平04−228608号公報
【特許文献6】
特開平05−339811号公報
【特許文献7】
特開2001−247333号公報
【特許文献8】
特開平7−166425号公報
【特許文献9】
特開平9−228144号公報
【特許文献10】
特開昭57−029609号公報
【特許文献11】
特開昭59−059912号公報
【特許文献12】
特開昭59−133248号公報
【特許文献13】
特開平11−229235号公報
【特許文献14】
特開2000−064120号公報
【特許文献15】
特開昭52−017559号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、白癬菌に対する抗菌性能と、繰返し洗濯を行ったり塩素漂白を用いる洗剤など、塩素水環境に晒されても耐性の高いすなわち耐塩素性に優れたポリウレタン弾性体及びポリウレタン弾性体からなるポリウレタン弾性繊維を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、特定の抗菌剤をポリウレタンの原料、重合体、又は重合体溶液に特定の量を混入し成型することにより上記目的を達することができることを見出し、本発明を完成した。
【0016】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)ポリウレタン重合体に対してアゾール系抗菌剤を0.1〜10.0重量%含有することを特徴とするポリウレタン弾性体。
(2)前記アゾール系抗菌剤がクロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、オキシコナゾール、ビフォナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、チオコナゾール、クロコナゾール、スルコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール及びこれらの塩類から選ばれる1種または2種以上である(1)に記載のポリウレタン弾性体。
(3)前記アゾール系抗菌剤がクロトリマゾール、ビフォナゾール及びこれらの塩類から選ばれる1種または2種以上である(2)に記載のポリウレタン弾性体。
(4)前記ポリウレタン弾性体が、1)乾式成型法により製造される場合には、成型前にポリウレタン重合体溶液に前記アゾール系抗菌剤が添加され、その後溶剤が除去されることにより得られたものであるか、2)溶融成型法により製造される場合には、成型前にポリウレタン原料又は中間体に前記アゾール系抗菌剤が添加されるか、あるいはポリウレタン重合体に前記アゾール系抗菌剤が添加されることにより得られたものであるか、又は3)湿式成型法により製造される場合には、成型前にポリウレタン重合体溶液に前記アゾール系抗菌剤が添加され、その後溶剤が除去されることにより得られたものである、(1)〜(3)の何れかに記載のポリウレタン弾性体。
(5)(1)〜(3)の何れかに記載のポリウレタン弾性体からなるポリウレタン弾性繊維。
(6)前記ポリウレタン弾性繊維が、1)乾式紡糸法により製造される場合には、紡糸前にポリウレタン重合体溶液に前記アゾール系抗菌剤が添加され、その後溶剤が除去されることにより得られたものであるか、2)溶融紡糸法により製造される場合には、紡糸前にポリウレタン原料又は中間体に前記アゾール系抗菌剤が添加されるか、あるいはポリウレタン重合体に前記アゾール系抗菌剤が添加されることにより得られたものであるか、又は3)湿式紡糸法により製造される場合には、紡糸前にポリウレタン重合体溶液に前記アゾール系抗菌剤が添加され、その後溶剤が除去されることにより得られたものである、(5)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(7)織物、編物、又は不織布の何れかで使用される(5)又は(6)に記載のポリウレタン弾性繊維。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明のポリウレタン弾性体は、ポリウレタン重合体に対してアゾール系抗菌剤を0.1〜10.0重量%含有するアゾール系抗菌剤含有ポリウレタン重合体からなることを特徴とする。
【0019】
ここで、ポリウレタン重合体とは、ウレタン結合を有している高分子重合体であればよく、ポリウレタン重合体、ポリウレタンウレア重合体等をいう。
【0020】
また、本発明でいうポリウレタン弾性体とは、主たる成分であるポリウレタン重合体が成型されたものであれば特に制限はなく、ポリウレタン重合体からなる成形品全般を示す。
【0021】
ポリウレタン弾性体に配合される各種配合剤の配合処方やポリウレタン弾性体の製造法を適宜選択することにより所望の成形品を得ることができる。
【0022】
本発明でいう成形品は、特に制限はなく、弾性繊維、ウレタンフォーム、エラストマー、合成皮革、塗料、接着剤等を含むものである。
【0023】
成形品の中でも、本発明の効果が充分発揮されるという点から、弾性繊維が特に好ましい。弾性繊維に関しては以下で詳しく説明する。
【0024】
本発明のポリウレタン弾性体に含有させる上記アゾール系抗菌剤としては、イミダゾール基又はトリアゾール基を持つクロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、オキシコナゾール、ビフォナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、チオコナゾール、クロコナゾール、スルコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール及びこれらの塩類から選ばれる1種または2種以上の化合物が挙げられる。
【0025】
ここで塩類とは、上記アゾール系抗菌剤と塩を形成する酸性物質をいう。酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸、スルフォン酸、リン酸、硼酸のような無機酸や、酢酸、プロピオン酸、安息香酸のような一価カルボン酸、蓚酸、テレフタル酸等のニ価カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸のようなオキシカルボン酸、及び酸クロライド、リン酸エステル、ホウ酸エステルなどをいう。
【0026】
上記アゾール系抗菌剤は、皮膚真菌感染症に効果があることは医薬部品(外用)で実証されているところであるが、本発明者らは今回上述アゾール系抗菌剤が白癬菌の増殖を抑制する効果に優れ、かつポリウレタン重合体溶液への相溶性にも優れポリウレタン弾性体を安定に供給でき、さらにポリウレタン弾性体の塩素に対する耐性を高めることができるということを明らかにした。
【0027】
尚、白癬菌の細胞膜の構成成分(エルゴステロール)と人の細胞膜の構成成分(コレステロール)とは異なることから、上記アゾール系抗菌剤は、患部の真菌に対して選択的に作用しヒトの健康な皮膚細胞には影響を及ぼさず、皮膚刺激はないものと考えられる。
【0028】
本発明のポリウレタン弾性体を構成するポリウレタン重合体は、一般に知られている製造方法により得ることができる。例えば、有機ジイソシアナートと実質的に線状の高分子ジオールとで調整されたイソシアナート末端のプレポリマーに、多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤および必要に応じて単官能性活性水素原子を有する末端封鎖剤を反応せしめて製造する方法を挙げることができる。
【0029】
ここで、ポリウレタン重合体の製造原料である、上記高分子ジオールとしては、末端にヒドロキシル基をもつ数平均分子量400〜5000の線状高分子体が挙げられる。例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、炭素数1〜8の直鎖状またはランダム状にエーテル結合している共重合ポリアルキレンジオール等のポリエーテルジオール;コハク酸、マロン酸、グルタール酸、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸等の二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロへキサン等のグリコール類の一種または二種以上とから得られたポリエステルジオール;ポリエーテルエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、シリコーンジオール等を挙げることができる。
【0030】
また、ポリウレタン重合体の製造原料である、上記有機ジイソシアナートとしては、脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアナートの中で、反応条件下で溶解または液状を示すものすべて適用できる。例えば、2,4−トリレンジイソシアナート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(HMDI)、ナフタレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート(XDI)等が使用される。中でも好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)が挙げられる。
【0031】
また、ポリウレタン重合体の製造原料である、上記多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、ブタンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、ヒドラジンの如きジアミン;例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオールの如きジオール類;水;ジヒドラジド、カルボジヒドラジド、β−アミノプロピオン酸ヒドラジドの如きヒドロキシド類等の多官能性活性水素化合物が挙げられる。
【0032】
また、必要に応じて加えられる、上記末端封鎖剤としては、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン等のモノアルキルアミン又は、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−イソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン等のジアルキルアミンが挙げられる。
【0033】
ところで、ポリウレタン重合反応の際には、必要に応じ不活性溶媒が使用される。この不活性溶媒としては、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド等の極性溶媒が挙げられる。
【0034】
本発明のポリウレタン弾性体は、上記のようにして得られるポリウレタン重合体と、アゾール系抗菌剤とを含有する。
【0035】
本発明は、ポリウレタン重合体に対し、アゾール系抗菌剤を本発明の効果を発揮するに有効な量含有させる。本発明では、ポリウレタン重合体に対してアゾール系抗菌剤を0.1〜10.0重量%、好ましくは0.2〜8重量%、より好ましくは0.5〜5重量%添加させるとよい。
【0036】
尚、アゾール系抗菌剤は、1種で含有させてもよいし、これらの中から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて含有させてもよい。2種以上の化合物を含有させる場合には、総計で上記配合量の範囲内とすればよい。
【0037】
ポリウレタン弾性体の製造方法としては、特に制限はなく、通常用いられる方法が適用できる。成形品の種類により、好ましい配合処方や製造法が適宜選択される。
【0038】
また、ポリウレタン重合体とアゾール系抗菌剤とを配合する方法も特に制限されるものではなく、ポリウレタン弾性体の製造工程の任意の段階で配合させることができる。
【0039】
例えば、アゾール系抗菌剤を直接ポリウレタン重合体に添加してもよいし、又はポリウレタンの原料に加えておきその後重合することによりアゾール系抗菌剤含有ポリウレタン重合体を得てもよい。また、ポリウレタン弾性体を製造する過程で溶媒を使用する場合には、溶媒の方にアゾール系抗菌剤を分散もしくは溶解させて加えることもできる。望ましくは、プレポリマーの鎖伸長剤との反応終了後にアゾール系抗菌剤を配合させるとよい。
【0040】
本発明のポリウレタン弾性体の好ましい製造方法を以下に記載する。
【0041】
1)乾式成型法で製造する場合、成型前にポリウレタン重合体溶液にアゾール系抗菌剤を添加し、その後溶剤を除去することによりポリウレタン弾性体を得る。
【0042】
2)溶融成型法で製造する場合、成型前にポリウレタン原料又は中間体にアゾール系抗菌剤を添加するか、あるいはポリウレタン重合体にアゾール系抗菌剤を添加し、その後溶融することによりポリウレタン弾性体を得る。
【0043】
3)湿式成型法で製造する場合、成型前にポリウレタン重合体溶液にアゾール系抗菌剤を添加し、その後溶剤を除去することによりポリウレタン弾性体を得る。
【0044】
上記のように製造すると、ポリウレタン弾性体に抗菌剤が後付で添加されるのではなく、ポリウレタン重合体に直接抗菌剤が添加された状態で成型することができるため、本発明の好ましいポリウレタン弾性体を得ることができる。
【0045】
このようにして製造されたポリウレタン弾性体は、効能が長く持続し、繰返し洗濯しても、白癬菌に対する抗菌性能の低下は少なく、また、繰返し洗濯や塩素漂白の洗剤を用いるなど塩素水環境に晒しても、ポリウレタンの物理的性質の低下は少なく耐久性の高いものなる。
【0046】
上記各成型法も含め、以下で本発明のポリウレタン弾性体を製造する方法について、さらに具体的に記載する。
【0047】
(1)反応成型法
ポリウレタン原料又は中間体へアゾール系抗菌剤を混合させ、その後重合化反応させそのまま成型することにより本発明のポリウレタン弾性体を得る。
【0048】
(2)溶融成型法
上記(1)の方法で反応させることにより得られたアゾール系抗菌剤を含有するポリウレタン重合体を一度ペレットにする。その後、再溶融し成型することによりポリウレタン弾性体を得る。
又は、ポリウレタン重合体を得、そのポリウレタン重合体をペレットにし、該ポリウレタン重合体ペレットにアゾール系抗菌剤を混合溶融し成型することによりポリウレタン弾性体を得る。
【0049】
(3)乾式成型法
ポリウレタン重合体溶液にアゾール系抗菌剤を溶解させ、その後溶剤を除去し成型することによりポリウレタン弾性体を得る。
【0050】
(4)湿式成型法
ポリウレタン重合体溶液にアゾール系抗菌剤を溶解させ、その後溶剤を除去し成型することによりポリウレタン弾性体を得る。
【0051】
ここで、上記(1)で記載した反応成型法により製造されるポリウレタン弾性体の成形品の好ましい態様としては、ウレタンフォーム、弾性繊維などが挙げられる。
【0052】
ウレタンフォームを製造する場合、フォーム形成後の反応熱の為150℃前後まで温度が上がる可能性があるので、ポリウレタン重合体に含有させるアゾール系抗菌剤としては、熱分解温度が150℃以上であるクロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、ビフォナゾールが好ましい。又このアゾール系抗菌剤は、イソシアネート基と反応するアミノ基、OH基などを持っていない方が好ましい。
【0053】
尚、ウレタンフォームを製造する場合、従来ウレタンフォームの製造方法として実施されている如何なる方法も用いることができる。例えばポリイソシアネート以外の全成分の混合物とポリイソシアネートを混合発泡させる方法や、全成分を同じに混合発泡させる方法などを用いることができる。その場合、含有させるアゾール系抗菌剤は、ポリオール成分又はポリイソシアネート成分などポリウレタン原料にあらかじめ混合しておけばよい。またその際、該アゾール系抗菌剤は、該原料に溶解されていれば好ましいが、分散状態で均一混合されていればそれでもよい。
【0054】
弾性繊維を製造する場合(但し、弾性繊維の製造方法については、以下でより詳しく説明する)、ウレタンフォームを製造する場合のように、ポリウレタン重合体とアゾール系抗菌剤とを混合後直ちに吐出させるのではなく、ウレタン化反応をある程度進行させた後、吐出、成形する為、反応温度は200℃前後まで温度が上がる可能性があるので、ポリウレタン重合体に含有させるアゾール系抗菌剤としては、熱分解温度が200℃以上であることが好ましい。この場合、クロトリマゾール、ビフォナゾールが好ましく挙げられる。
【0055】
尚、弾性繊維を製造する場合、含有させるアゾール系抗菌剤は、ポリオール成分とジイソシアネート成分を反応させてプレポリマーを合成する際又は合成した後に添加されるとよい。その際、該アゾール系抗菌剤は、プレポリマーに溶解されていなくても、混合されていればよい。
【0056】
上記(2)で記載の溶融成型法により製造する場合でも、加熱溶融の工程を経るため、クロトリマゾール、ビフォナゾールなどの熱安定性が良いアゾール系抗菌剤を含有させるとよい。
【0057】
上記(3)で記載の乾式成型法により製造する場合、加熱により溶剤を蒸発させる工程はあるが、時間が短く温度もやや低いので、熱分解温度が150℃以上のクロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、ビフォナゾールのアゾール系抗菌剤を用いればよい。本発明で用いるアゾール系抗菌剤は、上述したジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド等のポリウレタンの溶剤によく溶けるので混合は容易である。
【0058】
上記(4)で記載の湿式成型法により製造する場合、加熱工程が無いので熱安定性の観点から使用するアゾール系抗菌剤の種類は制約されない。
【0059】
また、上記アゾール系抗菌剤の必須成分の他に、通常ポリウレタン弾性体に含有させることができる他の任意成分を、本発明のポリウレタン弾性体に含有させることができる。
【0060】
このような任意成分としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤、セミカルバジド系化合物等の安定剤、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化チタン、ジルコニウム含有化合物等のような無機微粒子、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン、オルガノシロキサン等の粘着防止剤、その他顔料、光沢剤、染色増強剤、ガス変色防止剤、充填剤、難燃剤、帯電防止剤、表面処理剤、つや消し剤、着色剤、防カビ剤、軟化剤、離型剤、発泡剤、増量剤、増核剤、銀や銅等の抗菌性を示す金属を活性炭、アパタイト、ゼオライト等に担持させた抗菌剤、消臭剤等が挙げられる。
【0061】
ここで、上記紫外線吸収剤の具体例としては、以下のものを挙げることができる。2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビスフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキサデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート化合物が挙げられる。
【0062】
また、上記酸化防止剤の具体例としては、次のようなものを挙げることができる。6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスルチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス−3(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1、1−ジメチルエチル)−2、4、8、10−テトラオキサスピロ(5・5)ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、トリス[2−(3,5−)−t−ブチル−4’−ヒドロキシヒドロ−シンナモイロキシル]エチル]イソシアヌレート、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0063】
また、上記光安定剤の具体例としては、次のようなものを挙げることができる。ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との重縮合物等が挙げられる。
【0064】
また、上記セミカルバジド系化合物の安定剤の具体例としては、次のようなものを挙げることができる。1.1.1’.1’−テトラメチル−4.4’−(ヘキサメチレン)ジセミカルバジド、1.1.1’.1’−テトラメチル−4.4’−(メチレン−ジ−P−フェニレン)ジセミカルバジド、1.1.1’.1’−テトライソプロピル−4.4’−(メチレン−ジ−P−フェニレン)ジセミカルバジド、1.1.1’.1’−テトラメチル−α、α−(β−キシリレン)ジセミカルバジド、1.1.1’.1’−テトラメチル−1,4−(シクロヘキシレン)ジセミカルバジド、1.1.1’.1’−テトラメチル−1,6−(ヘキサメチレン)ジセミカルバジド、1.1.1’.1’−ジテトラメチレン−4,4’−(2,5(2,6)−ビシクロ[2,2,1]へプチレン−2,5(2,6)−ジメチレン)ジセミカルバジド、1.1.1’.1’−ジテトラメチレン−4,4’−(3−メチレン−3,5、5−トリメチル−1,3−シクロへキシレン)ジセミカルバジド等が挙げられる。
【0065】
上記任意成分は、1種又は2種以上組み合わせて本発明のポリウレタン弾性体に含有させることができる。
【0066】
上述のような各種の安定剤、配合剤等の任意成分を本発明のポリウレタン弾性体に配合させる方法としては、特に制限はなく、ポリウレタン弾性体の製造工程の任意の段階で配合させることができる。
【0067】
例えば、任意成分の化合物を直接ポリウレタン重合体に添加してもよいし、又はポリウレタンの原料に加えておきその後重合することにより任意成分の化合物含有ポリウレタン重合体を得てもよい。また、ポリウレタン弾性体を製造する過程で溶媒を使用する場合には、溶媒の方に任意成分の化合物を分散もしくは溶解させて加えることもできる。望ましくは、プレポリマーの鎖伸長剤との反応終了後に任意成分の化合物を配合させるとよい。
【0068】
上記のようにして得られた本発明のポリウレタン弾性体は、抗菌性や耐塩素性に優れている。
【0069】
もし例えば、通常結晶性が高いまたは融点の高い高分子材料に抗菌剤を練り込んだとしたら、使用される抗菌剤の分子量などにもよるが一般に高分子材料中での抗菌剤の移動速度は遅い。その結果、抗菌剤を含有する製品の効果は限定的なものとなり製品表面の菌類の増殖防止効果が不十分で、相当多量に混合しない限り製品全体の抗菌剤の濃度は上がらない。
【0070】
一方、ポリウレタン重合体は低融点のソフトセグメントを高融点のハードセグメントで連結した構造を持っている。このため、ポリウレタン重合体は他の合成樹脂類や合成繊維類に使用される高分子材料と違って高分子構造体中に融点が低く変形しやすい部分を持っている。また、アゾール系抗菌剤との相溶性もある。
【0071】
そのため、ポリウレタン重合体中に含まれるアゾール系抗菌剤は通常の硬いセグメントのみからできている高分子構造体に比較して構造体中を早く移動することができ、製品表面だけではなく周辺までアゾール系抗菌剤が存在しその効果を及ぼすことができ、結果として本発明のポリウレタン弾性体が、優れた抗菌性および耐塩素性を有するのであろう。
【0072】
本発明のポリウレタン弾性体は種々の成形品に適用され得るが、中でも弾性繊維とした場合、優れた耐抗菌性、耐塩素性を示すポリウレタン弾性繊維が得られるため、弾性繊維に適用するのがより好ましい。
【0073】
ポリウレタン弾性繊維は、ポリウレタン重合体を溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸等の各紡糸方法を利用し紡糸することにより製造することができる。
【0074】
そこで、本発明のポリウレタン弾性繊維も、アゾール系抗菌剤を含有するポリウレタン弾性体を紡糸することにより製造することができる。
【0075】
ここで、ポリウレタン重合体とアゾール系抗菌剤とを配合する方法は特に制限されるものではなく、ポリウレタン弾性繊維の製造工程の任意の段階で配合させることができる。
【0076】
例えば、1)乾式紡糸法を用いる場合には、紡糸前にポリウレタン重合体溶液にアゾール系抗菌剤を添加し、その後溶剤を除去する、2)溶融紡糸法を用いる場合には、紡糸前にポリウレタン原料又は中間体にアゾール系抗菌剤を添加するか、あるいはポリウレタン重合体にアゾール系抗菌剤を添加し、その後溶融する、又は3)湿式紡糸法を用いる場合には、紡糸前にポリウレタン重合体溶液にアゾール系抗菌剤を添加し、その後溶剤を除去するという製造方法により本発明のポリウレタン弾性繊維を得ることができる。
【0077】
本発明のポリウレタン弾性繊維を例えば乾式紡糸法を用いて製造する例を、以下に挙げる。
【0078】
ポリジオール類と有機ジイソシアナートを反応させ、両末端がイソシアナートのプレポリマーを合成し、次いで、DMF、DMACのようなアミド系極性溶媒中で、鎖延長剤としてエチレンジアミン等の2官能性アミンを、また、末端停止剤として1官能性アミンを用いてポリウレタン重合体溶液を得る。このようにして得た、ポリウレタン重合体溶液に、アゾール系抗菌剤をポリウレタン重合体に対して0.1〜10.0重量%練り込み、乾式紡糸を行なう。
【0079】
本発明のポリウレタン弾性繊維は、織物、編物、又は不織布等各繊維製品に適用することができる。また、これらを使用して製造又は加工することにより、衣料品等の最終用途の製品を得ることができる。
【0080】
特に、本発明のポリウレタン弾性繊維と、ナイロン、アクリル、ポリエステルや綿等の他の繊維とから製造されたポリウレタン製品(靴下、ストッキング、下着等)は、抗菌性や耐塩素性に優れているため、レッグ分野やインナー等の分野に幅広い展開が期待できる。
【0081】
上記のようにして得られた本発明のポリウレタン弾性体は、弾性体上の菌の殺菌又は増殖抑制効果のみならず、皮膚上に存在する菌に対しても効果をもたらすものである。更に、アゾール系抗菌剤をポリウレタン重合体に直接添加しているため、効力の持続性に関しても優れている。また、アゾール系抗菌剤は医薬品で使用されている薬剤であるため、使用にあたっても安全性には何ら問題はない。
【0082】
また、本発明のポリウレタン弾性体は、塩素濃度の高い雰囲気に暴露されても引続き使用可能な耐性を持ち、耐塩素性に優れている。特にポリエーテル系ポリウレタン弾性体である場合、この効果はより発揮される。
【0083】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0084】
実施例に記載の抗白癬菌の性能評価、対塩素性評価、その他の物性評価は、次の通り行った。
【0085】
(1)定性試験
1.JISZ−2911 カビ抵抗性試験方法に準じて試験した。
2.カビはtrichophyton mentagrophytes AHU9244(白癬菌)を用いた。
3.判定方法は、下記表1に従った。
【0086】
【表1】
Figure 2004292471
【0087】
(2)滴下法
1.滅菌シャーレに素寒天培地(寒天のみを溶かした培地でシャーレ中の水分保持に用いる)を約20ml分注し、固化後、試料を貼り付ける。供給カビの胞子縣濁液を含むカビ用寒天培地を試料上に1滴滴下し、28℃で7日間培養し試料上のカビの発育状態を観察した。
2.カビはtrichophyton mentagrophytes AHU9244(白癬菌)を用いた。
3.判定方法は、下記表2に従った。
【0088】
【表2】
Figure 2004292471
【0089】
(3)試料の洗濯
JISL−0217(繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法)の103号の試験方法に従った。洗剤はJAFET標準洗剤を使用した。
【0090】
(4)破断強伸度
島津製作所製オートグラフ(AG−1)を用いて、把握張2cm、伸長速度300mm/分とし、破断強伸度を求めた。
【0091】
(5)耐塩素性
1.JISL0884「塩素処理水に対する染色堅牢度試験方法」B法(20mg/L)に従い行った。
2.詳細には、塩素処理水の浸漬は洗濯試験機を用い、PHは7.5±0.05、温度27±2℃、浴比1:100、1回の処理時間は1時間として、所定時間後塩素処理水を交換して合計3回処理した。
3.有効塩素濃度は、JISK1207の4.(有効塩素試験方法)に従いその都度定量により確認した。
4.塩素処理水に合計3回浸漬処理した糸について、島津製作所製オートグラフ(AG−1)を用いて、把握張2cm、伸長速度300mm/分とし、破断強力(G1とする)を求めた。未処理の試料の破断強力(Gとする)を同様にして測定し、下式(I)で強力保持率(%)を求めた。
【0092】
【数1】
強力保持率(%)=G1/G×100 …(I)
【0093】
(6)引出応力
1.定倍引出し装置を用いて、送出し速度25m/分、巻取り速度62.5m/分として、ポリウレタン弾性糸の引き出し張力を測定した。測定時間は2分としその平均値を応力とした。
【0094】
(7)耐熱性
1.ポリウレタン弾性糸を2倍延伸し温度190℃で45秒間熱処理した。
但し、以下で記載する実施例8及び比較例2で得たポリウレタン弾性糸は処理温度を160℃とした。
2.島津製作所製オートグラフ(AG−1)を用いて、把握張2cm、伸長速度300mm/分とし、破断強力(G1とする)を求めた。
3.未処理の試料の破断強力(Gとする)を同様にして測定し、上記(I)式に従い強力保持率(%)を求めた。
【0095】
[実施例1]
ポリマージオールとしてポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2000、165.7重量部)とジイソシアナート成分として4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート38.4重量部を窒素ガス雰囲気中65℃で90分間攪拌反応させて、両末端にイソシアナート基があるプレポリマーを合成した。これにジメチルアセトアマイド436重量部を加えて、プレポリマー溶液とし、液温を5℃に冷却した。
【0096】
続いて、鎖延長剤としてエチレンジアミン4.12重量部と末端停止剤としてジ−n−ブチルアミン0.55重量部をジメチルアセトアマイド190.31重量部に溶解して混合鎖長剤溶液を調整した。この混合溶液を、前述プレポリマー溶液に徐々に加え、60分反応させ、粘度3000ポイズ(40℃)のポリウレタンウレア溶液を得た。溶液中のポリウレタン重合体の濃度は25重量%であった。
【0097】
こうして得た原液中の固形分に対して、抗白癬菌剤(クロトリマゾール)を1.0重量%及び紫外線吸収剤(2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール)0.2%、酸化防止剤(3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1、1−ジメチルエチル)−2、4、8、10−テトラオキサスピロ(5・5)ウンデカン)0.5%、光安定剤(コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物)0.3%、黄変防止剤(1.1.1’.1’−テトラメチル−4.4’−(メチレン−ジ−P−フェニレン)ジセミカルバジドが1.0%の合計3.0重量%とジメチルアセトアマイドを添加して、最終原液(固形分濃度25%)とした。この原液を2ホールノズルより220℃の不活性ガス中に押出し、仮撚装置により合着させた後給油し、巻取り速度600m/分で巻取22デシテックスのポリウレタン弾性繊維を得た。該ポリウレタン弾性繊維が示す各物性を表3に記載した。
【0098】
このポリウレタン弾性繊維を2.5倍に延伸させ、これにポリアミド加工糸(帝人デユポンナイロン(株)製33デシテックス−10フィラメント)をカバーリングしてシングルカバリング糸(SCY)を作成した。得られたSCYを一口で編んでパンスト編地を作成した。編地中に占めるポリウレタン弾性繊維の含有率は20%であった。次いで、編地を三種類の染料を用いて95℃で50分間処理しベージュに染めた。染料はクラリアントジャパン(株)製で、Nylosan Red N−GZSを0.068%(o.w.f)、Nylosan GOLDEN Yellow N−4RLを0.14%(o.w.f)、Nylosan Blue N−GFL 167を0.0622%(o.w.f)用いた。染色時のpH調整は酢酸と硫安で実施した。最後に柔軟処理を行い、水洗・風乾して仕上げた。
【0099】
同じポリウレタン弾性繊維を2.5倍に延伸させ、これにポリエステル黒の先染め加工糸(帝人(株)製83デシテックス−36フィラメント)をカバーリングしてSCYを作成した。このSCYを裏糸とし、表糸に綿・アクリル混紡糸(32s/1、2本)を用いてプレーティング編みにて靴下編地を作製した。編地中に占めるポリウレタンの含有率は2%であった。つま先を縫製後湿熱115℃で10秒間セットし、最後に110℃で40秒間乾燥させた。
【0100】
これらポリウレタン弾性繊維からなる糸を用いて試編加工した編地の抗白癬菌の性能を評価した。ポリウレタン弾性繊維が示す抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0101】
【表3】
Figure 2004292471
【0102】
【表4】
Figure 2004292471
【0103】
[実施例2]
抗白癬菌剤をビフォナゾール、紫外線吸収剤を2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、光安定剤を(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)とした以外は実施例1と同様にしてポリウレタン弾性繊維及びそれからなる糸を用いて試編加工した。実施例1と同様、実施例2におけるポリウレタン弾性繊維が示す各物性及び抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0104】
[実施例3]
抗白癬菌剤であるクロトリマゾールの添加量を10.0%として、酸化防止剤をペンタエリスルチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとした以外は実施例1と同様にして巻取り速度400m/分で22デシテックスのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0105】
このポリウレタン弾性繊維を2.5倍に延伸させ、これにポリアミド加工糸(帝人デユポンナイロン(株)製33デシテックス−10フィラメント)をカバーリングしてシングルカバリング糸(SCY)を作成した。得られたSCYを一口で編んでパンスト編地を作成した。編地中に占めるポリウレタン弾性繊維の含有率は20%であった。次いで、編地をチバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製の染料Lanaset Black Bを2.0 %(o.w.f)使用して95℃で50分間処理し黒色に染めた。染色時のpH調整は酢酸と硫安で実施した。その後、タンニン酸(ハイフィックスGM、大日本製薬(株))でフィックス処理した。フィックス時のpHは3、pH調整剤として酢酸を用いた。最後に柔軟処理を行い、水洗・風乾して仕上げた。
【0106】
靴下編地については、先染め糸の色を紺色に変更した以外は実施例1と同様にした。実施例3におけるポリウレタン弾性繊維が示す各物性及び抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0107】
[実施例4]
抗白癬菌剤であるクロトリマゾールの添加量を0.5%、紫外線吸収剤を2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、光安定剤を(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)とした以外は実施例1と同様にしてポリウレタン弾性繊維及びそれからなる糸を用いて試編加工した。実施例1と同様、実施例4におけるポリウレタン弾性繊維が示す各物性及び抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0108】
[実施例5]
抗白癬菌剤であるクロトリマゾールの添加量を1.5%、紫外線吸収剤を2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、光安定剤を(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート)、無機抗菌剤としてノバロンAGT330(東亜合成化学工業(株)製、銀−リン酸ジルコニウム系無機添加剤)を1.0%添加した以外は実施例1と同様にしてポリウレタン弾性繊維及びそれからなる糸を用いて試編加工した。実施例1と同様、実施例5におけるポリウレタン弾性繊維が示す各物性及び抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0109】
[実施例6]
抗白癬菌剤であるクロトリマゾールの添加量を1.0%、紫外線吸収剤を2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、無機抗菌剤としてイルガガードB7000(チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製、銀−ガラス系無機添加剤)を1.0%添加した以外は実施例1と同様にしてポリウレタン弾性繊維を得た。
【0110】
このポリウレタン弾性繊維から実施例1と同様にしてパンスト編地を作成した。この編地については、柔軟処理のみ実施し、水洗・風乾して仕上げた。靴下編地については、SCYの鞘糸として市販の先染糸ウーリーナイロン(78デシテックス−24フィラメント、黒)を使用した以外は実施例1と同様にした。実施例1と同様、実施例6におけるポリウレタン弾性繊維が示す各物性及び抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0111】
[実施例7]
抗白癬菌剤であるクロトリマゾールの添加量を2.0%とした以外は実施例1と同様にして最終原液を得た。この原液を2ホールノズルより凝固液中に押出し、仮撚装置により合着させた後給油し、巻き取り速度100m/分で巻き取り22デシテックスのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0112】
このポリウレタン弾性繊維から実施例1と同様にしてパンスト編地を試編み加工した。ポリウレタン弾性繊維が示す各物性及び抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0113】
[実施例8]
ポリウレタン弾性体合成用の原料として、以下のNCO末端プレポリマーとOH末端プレポリマーを用いた。
【0114】
窒素ガスでシールした80℃の反応釜にジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」とする)47.4部を仕込み、クロトリマゾール2.2部及び紫外線吸収剤(2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール:20%)、酸化防止剤(3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1、1−ジメチルエチル)−2、4、8、10−テトラオキサスピロ(5・5)ウンデカン:50%)、光安定剤(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート:30%)の混合物2.2部を攪拌しながら添加した。更にエチレングリコールとプロピレングリコール及びアジピン酸から合成された数平均分子量2000のポリエステルジオール100部を注入し、1時間攪拌、反応させることにより抗菌剤を含むNCO末端プレポリマーを得た。別の窒素ガスでシールした80℃の反応釜にMDIを25部仕込み、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール100部を注入し、1時間反応させ、1,4−ブタンジオール27.6部を更に添加し反応させ、OH末端プレポリマーを得た。NCO末端プレポリマーとOH末端プレポリマーを1:0.47の比率で、攪拌翼を有する容量1000mlのポリウレタン弾性繊維用円筒形反応機に連続的に供給した(NCO末端プレポリマー:14.51g/分、OH末端プレポリマー:6.82g/分)。
【0115】
反応機内での平均滞留時間は約1時間、反応温度は190℃とした。ポリウレタン弾性体を固化させることなく温度を188℃に保った8ノズルを有する紡糸ヘッド2台に導入した。ポリウレタン弾性体はヘッドに設置したギアポンプにより計量、加圧し、ろ過後、径0.5mm、1ホールのノズルから毎分1.33gの速度で長さ6mの紡糸筒内に吐出させ、油剤を付与しながら600m/分の速度で巻き取り、22dデシテックスのポリウレタン弾性繊維を得た。吐出直後のポリウレタン弾性繊維のイソシアネート基含有率は、得られた糸をジブチルアミン/ジメチルフォルムアミド溶液に溶解した後、塩酸溶液で残りのジブチルアミン量を滴定して求めた。その結果0.45重量%であった。
【0116】
このポリウレタン弾性繊維を用いて実施例1と同様な方法で、ポリウレタン20%と2%含有する編地をそれぞれ試編み加工した。実施例8におけるポリウレタン弾性繊維が示す各物性及び抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0117】
[比較例1]
抗白癬菌剤を添加しない以外は実施例1と同様にして、22デシテックスのポリウレタン弾性繊維及びそれからなる糸を用いて編地を試編み加工した。ポリウレタン弾性繊維が示す各物性及び抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0118】
[比較例2]
抗白癬菌剤を添加しない以外は実施例8と同様に22デシテックスのポリウレタン弾性繊維及びそれからなる糸を用いて編地を試編み加工した。ポリウレタン弾性繊維が示す各物性及び抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0119】
[実施例9]
ポリマージオールとしてポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2000、188.0重量部)とジイソシアナート成分として4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート40.0重量部を窒素ガス雰囲気中65℃で90分間攪拌反応させて、両末端がイソシアナートのプレポリマーを合成した。これにジメチルアセトアマイド400重量部を加えて、プレポリマー溶液とし、液温を10℃に冷却した。
【0120】
次ぎに、鎖延長剤としてエチレンジアミン4.0重量部と末端停止剤としてジ−n−ブチルアミン0.35重量部をジメチルアセトアマイド142.2重量部に溶解して混合鎖長剤溶液を調整した。この混合溶液を、前述プレポリマー溶液に徐々に加え、60分反応させ、粘度3350ポイズ(40℃)のポリウレタンウレア溶液を得た。溶液中のポリウレタン重合体の濃度は30重量%であった。
【0121】
こうして得た原液に抗白癬菌剤(クロトリマゾール)を2.0重量%及び酸化チタン2.5重量%添加し、更に紫外線吸収剤に2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2Hベンゾトリアゾールを添加した以外は実施例1と同様にしてポリウレタン弾性繊維を得た。
【0122】
このポリウレタン弾性繊維から実施例3と同様にしてパンスト編地を試編み加工した。ポリウレタン弾性繊維が示す各物性及び抗白癬菌の性能を表3、表4に記載した。
【0123】
[実施例10]
抗白癬菌剤であるクロトリマゾールの添加量を0.5%とした以外は実施例1と同様にして得たポリウレタン原液を30cm×40cmのガラス板上にキャストした。これを60℃の真空下のもと、48時間乾燥させて膜厚100ミクロンのフィルムとした。得られたポリウレタン弾性体(ポリウレタンフィルム)が示す抗白癬菌の性能を表5に記載した。
【0124】
【表5】
Figure 2004292471
【0125】
[実施例11]
窒素ガス雰囲気で120℃に加温した反応釜に、数平均分子量2100のポリテトラメチレングリコールと4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと1,4−ブタンジオールの重量比が100:40:8、更にこの混合物に対してクロトリマゾールが0.75重量%、混合添加剤((紫外線吸収剤2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール:20%)、酸化防止剤ペンタエリスルチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート:50%]、光安定剤(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート:30%))が1.0重量%になるように攪拌しながら添加し、この混合体を15分間攪拌反応させて、熱可塑性ポリウレタンを得た。その後、直ちに取り出し、冷却後、反応物を粉砕し、ペレタイザーで径が約3mmのペレット状のポリウレタンとした。
【0126】
このペレットを175℃に加温した50mmφベント付き単軸押出し機で幅200mmのTダイから押出し、ロール上に巻取り約60ミクロンのフィルムを得た。得られたポリウレタン弾性体(ポリウレタンフィルム)が示す抗白癬菌の性能を表5に記載した。
【0127】
[実施例12]
実施例11で得た熱可塑性ペレットを、200℃に加温した口径1.0mmのノズルを有する溶融紡糸装置より吐出した。この時、ノズルの両サイドから190℃に加熱した空気を同時に噴射し、吐出されたフィラメントを細化した。
【0128】
これをノズルから50cm下方に設置したネットコンベアー上へ集積させ、ローラーによる熱接着により不織布を得た。得られたポリウレタン弾性不織布は目付けが135g/mで厚みが0.38mmであった。
本発明のポリウレタン弾性繊維を用いて得られたこの不織布が示す抗白癬菌の性能を表5に記載した。
【0129】
[実施例13]
実施例8と同様の手法で、1ホールのノズルからの吐出量を毎分0.333g、巻取り速度を300m/分とし、11デシテックスのポリウレタン弾性繊維を得た。50mmにカットしたこの弾性繊維のステープルと綿を7:3の重量比で混合しウエッブを得た。
【0130】
これを0.3MPaの加圧下で、180℃で2分間に加熱圧縮してポリウレタン弾性繊維と綿からなる弾性不織布を得た。得られた不織布は目付けが175g/mで厚みが0.48mmであった。
本発明のポリウレタン弾性繊維を用いて得られたこの不織布が示す抗白癬菌の性能を表5に記載した。
【0131】
[実施例14]
実施例1で得られたポリウレタン弾性繊維22デシテックスとナイロン66繊維22デシテックス/24フィラメントを用いて、カバリングドラフト3.0倍、1000T/MとしてSCYを作成した。このカバリング糸を緯糸に用い、経糸にはナイロン66繊維22デシテックス/7フィラメントを経糸として、平織りのストレッチ織物を作製した。
【0132】
織物を作製する条件としては、筬通幅が204cmで打込みが110本/インチで 総本数が14500本とし、経糸、緯糸の生機密度がそれぞれ200本及び110本/インチとした。得られた織物のポリウレタン弾性繊維の混率は11%であった。
本発明のポリウレタン弾性繊維を用いて得られたこの織物が示す抗白癬菌の性能を表5に記載した。
【0133】
[実施例15]
実施例1の原液を3ホールノズルより220℃の不活性ガス中に押出し、仮撚装置により合着させた後給油し、巻取り速度600m/分で巻取33デシテックスのポリウレタン弾性繊維を得た。
【0134】
このポリウレタン弾性繊維と綿糸40番手を用いて丸編機でベア天竺編地を差作成した。編機は福原精機製作所製で、編機の回転数は15rpm、当該ポリウレタン弾性繊維の混率は7.7%で伸長倍率2.7倍、綿の給糸速度は115m/分とした。試編み生地は下記の条件で染色加工を実施した。
【0135】
染色加工処理条件
1)プレセット(190℃で60秒)テーブルコーターにてセット
2)精練(90℃で30分)
3)漂白(90℃で60分)
4)染色(80℃で60分)
5)フィックス(50℃で20分)
6)ソーピング(90℃で10分これを2〜5回)
7)ファイナルセット(165℃で60秒)
本発明のポリウレタン弾性繊維を用いて得られたこの編物が示す抗白癬菌の性能を表5に記載した。
【0136】
[比較例3]
抗白癬菌剤を添加しない以外は実施例10と同様にして得た、膜厚100ミクロンのポリウレタン弾性体(ポリウレタンフィルム)が示す抗白癬菌の性能を表5に記載した。
【0137】
[比較例4]
抗白癬菌剤を添加しない以外は実施例15と同様にして得た、ベア天竺編地の試編み加工品が示す抗白癬菌の性能を表5に記載した。
【0138】
【発明の効果】
本発明により、白癬菌に対する抗菌性能と、繰返し洗濯を行ったり塩素漂白を用いる洗剤など、塩素水環境に晒されても耐性の高いすなわち耐塩素性に優れたポリウレタン弾性体及びポリウレタン弾性体からなるポリウレタン弾性繊維を提供することができた。

Claims (7)

  1. ポリウレタン重合体に対してアゾール系抗菌剤を0.1〜10.0重量%含有することを特徴とするポリウレタン弾性体。
  2. 前記アゾール系抗菌剤がクロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、オキシコナゾール、ビフォナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、チオコナゾール、クロコナゾール、スルコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール及びこれらの塩類から選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載のポリウレタン弾性体。
  3. 前記アゾール系抗菌剤がクロトリマゾール、ビフォナゾール及びこれらの塩類から選ばれる1種または2種以上である請求項2に記載のポリウレタン弾性体。
  4. 前記ポリウレタン弾性体が、1)乾式成型法により製造される場合には、成型前にポリウレタン重合体溶液に前記アゾール系抗菌剤が添加され、その後溶剤が除去されることにより得られたものであるか、2)溶融成型法により製造される場合には、成型前にポリウレタン原料又は中間体に前記アゾール系抗菌剤が添加されるか、あるいはポリウレタン重合体に前記アゾール系抗菌剤が添加されることにより得られたものであるか、又は3)湿式成型法により製造される場合には、成型前にポリウレタン重合体溶液に前記アゾール系抗菌剤が添加され、その後溶剤が除去されることにより得られたものである、請求項1〜3の何れか一項に記載のポリウレタン弾性体。
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載のポリウレタン弾性体からなるポリウレタン弾性繊維。
  6. 前記ポリウレタン弾性繊維が、1)乾式紡糸法により製造される場合には、紡糸前にポリウレタン重合体溶液に前記アゾール系抗菌剤が添加され、その後溶剤が除去されることにより得られたものであるか、2)溶融紡糸法により製造される場合には、紡糸前にポリウレタン原料又は中間体に前記アゾール系抗菌剤が添加されるか、あるいはポリウレタン重合体に前記アゾール系抗菌剤が添加されることにより得られたものであるか、又は3)湿式紡糸法により製造される場合には、紡糸前にポリウレタン重合体溶液に前記アゾール系抗菌剤が添加され、その後溶剤が除去されることにより得られたものである、請求項5に記載のポリウレタン弾性繊維。
  7. 織物、編物、又は不織布の何れかで使用される請求項5又は6に記載のポリウレタン弾性繊維。
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WO2012053401A1 (ja) 2010-10-19 2012-04-26 東レ・オペロンテックス株式会社 ポリウレタン弾性糸およびその製造方法

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