JP2004291097A - 成形金型用放電加工電極の自動設計方法、システム、プログラムおよび記憶媒体 - Google Patents
成形金型用放電加工電極の自動設計方法、システム、プログラムおよび記憶媒体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】成形品金型の設計と同時に電極設計に着手でき、全体として設計期間を短縮化できるようにした、成形金型用放電加工電極の自動生成方法、システム、プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】コンピュータに格納された3次元成形品モデルデータMにもとづいて、成形金型用放電加工電極の自動設計を行う方法であって、3次元成形品モデルデータMを読み込む成形品モデル入力ステップ1と、読み込まれたモデルデータに含まれているすべての面の法線方向データを分析して、水平、垂直以外の面を電極加工対象と判断し抽出する電極対象部位抽出ステップ2と、抽出された電極対象部位を特定したデータを含むモデルデータを、電極対象部位の形状を保持しながらZ軸方向へ掃引加工し、対象の成形品を加工するための放電加工電極を自動的にデータ生成する電極形状生成ステップ3とを実行する。
【選択図】図1
【解決手段】コンピュータに格納された3次元成形品モデルデータMにもとづいて、成形金型用放電加工電極の自動設計を行う方法であって、3次元成形品モデルデータMを読み込む成形品モデル入力ステップ1と、読み込まれたモデルデータに含まれているすべての面の法線方向データを分析して、水平、垂直以外の面を電極加工対象と判断し抽出する電極対象部位抽出ステップ2と、抽出された電極対象部位を特定したデータを含むモデルデータを、電極対象部位の形状を保持しながらZ軸方向へ掃引加工し、対象の成形品を加工するための放電加工電極を自動的にデータ生成する電極形状生成ステップ3とを実行する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形金型の放電加工を行うための放電加工電極を、3次元CADなどのコンピュータを用いて自動的に設計する方法やシステム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1、2に記載のいずれの技術も、成形品を作製するための成形金型の3次元モデルデータにもとづいて、成形金型放電加工用電極を作製するためのNCデータを作成する技術である。すなわち、この種の技術は、電極設計の前に成形金型モデルを作成することが前提となっており、また、電極加工対象となる成形品の部位を抽出するために、カッタパス(切削経路)情報にもとづき削り残し部分を特定した上で電極形状を設計するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−169348号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2001−84017号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の電極設計方法では、成形金型の設計を完了させ、かつ、切削加工用のNCデータを作成して削り残し部分を抽出した後でなければ電極設計に着手することができず、その結果、電極設計を終了するまでに長期間を要していた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために提案されたもので、成形品金型の設計と同時に電極設計に着手でき、全体として設計期間を短縮化できるようにした、成形金型用放電加工電極の自動生成方法、システム、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【0007】
また、加工精度、加工効率、電極材料効率などを考慮して、最適な電極加工対象部位を抽出できるようにしたことも、主たる目的に含まれる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の成形金型用放電加工電極の自動生成方法は、プログラムされたコンピュータを用いて、コンピュータに格納された、座標や法線方向データを含む3次元成形品モデルデータにもとづいて、成形金型用放電加工電極の自動設計を行う方法であって、次の特徴を有している。
【0009】
すなわち、本発明方法では、3次元成形品モデルデータを読み込む成形品モデル入力ステップと、読み込まれたモデルデータに含まれているすべての面の法線方向データを分析して、水平、垂直以外の面を電極加工対象と判断し抽出する電極対象部位抽出ステップと、抽出された電極対象部位を特定したデータを含むモデルデータを、電極対象部位の形状を保持しながらZ軸方向へ掃引加工し、対象の成形品を加工するための放電加工電極を自動的にデータ生成する電極形状生成ステップとを実行する。
【0010】
この方法によれば、上記のように成形品金型モデルデータをまったく必要としないため、金型設計の着手と同時に電極の設計を行うことができる。そのため、放電加工電極の設計を含むすべての設計期間を短縮化することができる。また、上記方法はオペレータが指示を与えれば、コンピュータ上で自動で実行されるので、電極設計自体も迅速に行うことができる。
【0011】
請求項2では、コンピュータには、金型を加工するための工具や加工機の加工条件データを保存した電極加工条件マスタがさらに備えられており、電極対象部位抽出ステップでは、上記抽出された電極対象部位の面の法線が側面と交差しない場合は、加工条件データを検索して、各部位と合致する工具、加工機が存在すれば、その面は切削加工が可能な面と判断して切削可能部位に変更し、合致するものがなければ電極対象部位と決定するようにしている。
【0012】
請求項3では、電極対象部位抽出ステップは、成形品モデルデータにもとづいて、決定された電極対象部位、切削可能部位の面積をそれぞれ合計し、電極対象部位の合計面積の方が切削加工可能部位の合計面積よりも大きい場合は、上記変更された切削可能部位を電極対象部位に再変更するようにしている。
【0013】
請求項4では、電極対象部位抽出ステップは、電極対象部位と切削可能部位が隣接する場合、両者の面積を比較し、切削可能部位の面積が小さい場合は、その切削可能部位を電極対象部位に変更するようにしている。
【0014】
請求項5では、電極対象部位抽出ステップは、成形品モデルデータにもとづいて、決定された電極対象部位、切削可能部位の面積をそれぞれ合計し、電極対象部位の合計面積の方が切削加工可能部位の合計面積よりも大きい場合は、すべての面を電極対象部位に変更するようにしている。
【0015】
請求項6では、電極対象部位抽出ステップは、請求項4に示した電極対象部位と切削可能部位の面積比較において、隣接する切削可能部位の面積の方が大きい場合であっても、その切削可能部位の法線方向が水平、垂直以外であれば、その面を電極対象部位に決定するようにしている。
【0016】
請求項7では、電極対象部位抽出ステップを実行した結果、統合された、まとまりのある電極対象部位集合を構成する各面の全法線方向、合計面積がともに一致する集合が複数存在する場合には、その複数の電極対象部位集合について同一土台に配置した電極として生成するようにしている。
【0017】
請求項8では、請求項7において、電極対象部位集合のZ座標位置の差とXY平面への投影長との比が、予め設定されたしきい値を超えている場合は、同一土台に配置しないことを特徴とする。
【0018】
請求項9では、電極対象部位抽出ステップを実行した結果、統合された、まとまりのある電極対象部位集合が、成形品モデルの中に、複数存在すると判断された場合に、各々の電極対象部位集合をXY平面に投影した形状がともに四角形で、各々の電極対象部位集合を構成する各面の法線の方向が一致し、かつ各々の中心位置が一直線上に存在し正対している場合に、投影した輪郭形状を掃引して生成した複数の電極ブロックの複合モデルにより成形品を加工するようにした電極モデルを生成することを特徴とする。
【0019】
請求項10では、電極対象部位抽出ステップを実行した結果、統合された、まとまりのある電極対象部位集合が、成形品モデルの中に、複数存在すると判断された場合に、各々の電極対象部位集合を構成する各面の合計面積と各面の法線の位置がともに一致し、法線方向が相互にZ面対称で、かつ成形品モデルデータに干渉しない方向で結合可能な場合に、1つの電極モデルに統合することを特徴とする。
【0020】
請求項11では、決定された電極対象部位をすべて含む電極モデルの体積と、これを内包する直方体から電極モデル部分を切り取った残余の体積とを比較し、残余体積の方が大きい場合には、上記電極モデルを、Z位置の差が最大となる位置で分割することを特徴とする。
【0021】
請求項12では、請求項11において、分割位置のXYまたはZY平面で分割した場合の個々の電極モデルを内包する最小の直方体の合計体積を算出し、その合計体積が最小となる分割方向を最適分割方向として決定することを特徴とする。
【0022】
請求項13では、電極を加工するのに要する時間と、金型を加工するのに要する時間を所定の計算式で算出することを特徴とする。
【0023】
請求項14に記載の成形金型用放電加工電極の自動設計システムは、請求項1〜13のいずれかの成形金型用放電加工電極の自動生成方法を、コンピュータで実行可能にしたものである。
【0024】
請求項15に記載の成形金型用放電加工電極の自動設計プログラムは、請求項1〜13のいずれかの成形金型用放電加工電極の自動設計方法を、コンピュータで実行できるようにしたものである。
【0025】
請求項16に記載の記録媒体は、請求項15に記載の成形金型用放電加工電極の自動設計プログラムを格納したものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面とともに説明する。
【0027】
図1(a)は、本発明方法、システムを実現するためのコンピュータの要部構成の一例を示す図で、(b)は、実行すべき各ステップを説明するために成形品形状を示す図である。
【0028】
このシステムでは、3次元成形品モデルデータ群Mより、放電加工する金型に対応した成形品のモデルデータMを読み込む成形品モデル入力ステップ1、電極で加工する対象部位を抽出するステップ2、電極の形状を最終的に生成するステップ3を順次実行し、放電加工電極を設計する。
【0029】
ここで、3次元成形品モデルデータMには、3次元座標データのみならず、成形品各面の法線方向データ、画面表示上の線種、線幅等の表示属性も含まれる。また、3次元成形品モデルデータ群Mは、予め複数の成形品モデルデータを保存したものである。3次元成形品モデルデータMは3次元成形品モデルデータ群Mから取り出さずに、CADシステムにおいて対話形式で生成された成形品モデルデータをそのまま使用してもよい。また、成形品モデルデータMには、最終成形品のモデルのみならず、アンダカットにならないようにするために成形品モデルを分割した子モデルのデータも含んでいる。
【0030】
成形品モデル入力ステップ1では、指定された成形品のモデルデータの読み込みを実行する。
【0031】
電極対象部位抽出ステップ2では、すべての(図中、矢印で示された)法線方向データを分析して、垂直、水平以外の面を電極加工対象の部位と判断する。なお、水平、垂直面を電極加工対象としないのは、切削工具や加工機により、金型の該当面の加工が可能だからである。すなわち、電極で加工するまでもなく、金型を傾けることなく、工具を金型の水平、垂直面に当てて作業することが可能だからである。
【0032】
電極形状生成ステップ3では、電極加工対象として抽出された部位を含むモデルデータを、電極対象部位の形状を保持しながらZ軸方向へ掃引加工し、対象の成形品を加工するための放電加工電極を自動的にデータ生成する。
【0033】
これらの各ステップは、どの成形品の金型加工電極を設計するのかさえ指定すれば、コンピュータに組み込まれたプログラムによって連続的に実行される。なお、次のステップに移行するごとに、オペレータの確認操作が行えるようにしてもよい。
【0034】
なお、図には示していないが、このコンピュータには2次元または3次元画像を表示するための画面表示手段、およびオペレータが画面を見ながら操作するための操作手段も接続されている。
【0035】
図2のフローチャートは、これらの各ステップ1〜3の詳細な流れを示している。
【0036】
まず、該当の成形品モデルデータを読み込む(101)。次に、モデルデータに含まれる成形品各面の法線方向データを取り出す(102)。そして、すべての面(部位)について、法線方向が水平、垂直かどうかをチェックし、水平、垂直以外であれば電極対象部位として抽出する(103〜105)。最後に、抽出した電極対象部位の形状データを保持しながらZ軸方向へ掃引加工し、対象の成形品を加工するための放電加工電極を自動的にデータ生成する(106)。
【0037】
このように、成形品さえ指定してやれば、そのモデルデータにもとづいて自動的に放電加工用の電極が設計されるので、短時間で電極データ設計が完了する。そればかりか、成形品金型モデルを必要としないので、成形品金型の設計と同時に電極設計に着手でき、全体として設計期間を短縮化することができる。
【0038】
図1、2で示された自動設計方法またはシステムでは、水平、垂直以外を電極対象部位として抽出しているが、電極対象部位抽出ステップ2に他の抽出ルールを付加して最適の電極を設計することが可能である。以下に、そのような各種の実施形態を示す。
【0039】
(1−1)切削工具類の情報をもとに電極加工の対象部位を決定する方法
図3は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。(a)の符号aで示した面の法線は側面と干渉するため、その金型は切削工具等により加工することは不可能である。一方、(b)の符号bで示した面は側面と干渉しないため、金型を傾ければ工具類により切削することが可能である。なお、(c)には(a)で示した成形品を作製するための金型を示しており、金型を傾けても工具類による切削は不可能であることが理解できる。
【0040】
このような切削可能部位をコンピュータにより自動検出するためには、成形品モデルデータだけでは不可能である。
【0041】
そこで、本実施形態では、電極対象部位を抽出するために工具類の形状、サイズ等の加工条件データを予め保存しておき、この条件データにもとづいて電極対象部位を決定するようにしている。
【0042】
図4(a)は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図で、(b)は、工具の形状例を示す概略図である。なお、(a)において、成形品モデル入力ステップ1および電極形状生成ステップ3は図1の例と同じ動作であるため、説明を割愛する。
【0043】
この実施形態では、電極対象部位抽出ステップ2において、電極加工条件マスタDから加工条件データを読み込んで、そのデータにもとづいて、垂直、水平面でないと判断した部位を工具類で加工することが可能かどうかを判断するようにしている。
【0044】
電極加工条件マスタDには、工具情報、加工機情報、加工対象である金型の材質、求められている加工精度などが格納されているほか、電極自体の材質も保存している。工具情報や加工機情報の一例を図5(a)、(b)に示す。図に示すように、工具であれば、その径や長さなどのサイズ、形状などの外部仕様、加工機であれば、回転数、送り速度などの機器仕様なども保存されている。
【0045】
図6のフローチャートは、この上記各ステップ1〜3の詳細な流れを示している。
【0046】
ここで電極対象部位ステップ2に着目すると、法線方向が水平、垂直以外であっても側面と交差しなければ加工条件データを検索し、合致するものがあれば電極対象部位から切削可能部位に変更するロジック(204〜207)を実行するようにしている。
【0047】
また、本実施形態では、法線方向が水平または垂直であっても、加工条件データとの合致判断を行っている(204、206)。
【0048】
切削可能部位の抽出条件には、図7(a)、(b)に示すものなどがある。
【0049】
(a)は、法線方向が側面に交差しない場合であっても、電極対象部位として判断される場合の例を示している。ずなわち、図でもわかるように、対象となった面aの法線の底面までの距離が工具長より長いため切削不可能と判断され、その面aは電極対象部位として抽出される。一方、(b)は、加工面bまでの長さのある工具が存在する場合を示しており、この場合は切削可能と判断する。
【0050】
(c)、(d)は、工具の断面形状データを加工条件として参照する例を示している。すなわち、たとえば(b)で示すように加工面bを切削するのに十分な長さの工具は存在しても、その面bの形状が(c)に示すように工具の断面がはみだしてしまう場合には切削不可能と判断し、工具の断面形状に内包される場合には切削可能と判断する。
【0051】
以上のように、工具類情報等の加工条件データを参照して電極対象部位を決定してやれば、工具類での切削が可能な部位を見つけ出すことができるため、電極対象部位を少なくすることができ、不要な電極を作製する必要がなくなる。
【0052】
(1−2)電極対象部位と切削可能部位の合計面積比較により最終的な電極対象部位を決定する方法
図8は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0053】
矢印左側の図は、上記(1−1)の方法により決定された電極対象部位と切削可能部位を各々複数含んだ成形品を示している。この例の場合、電極対象面が複数存在するだけではなく、切削加工面(切削1、切削2、切削3)も複数存在するため、切削1、切削2を加工するために金型を何度も傾けて切削作業する必要がある。なお、切削3は水平なので傾ける必要はない。
【0054】
このような場合は、工具類による切削をするよりも電極により放電加工する方が効率的であるため、いったん切削可能部位と判断した面を電極対象部位に戻した方が好ましい場合がある。
【0055】
本実施形態は、電極対象部位に戻すために加工面の合計面積の比較を行って、電極対象部位を最終決定する方法を示したものである。
【0056】
図9は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。なお、この例においても、成形品モデル入力ステップ1および電極形状生成ステップ3は図1の例と同じ動作であるため、説明を割愛する。
【0057】
この実施形態では、電極対象部位抽出ステップ2において、加工条件データにもとづいて、垂直、水平面でないと判断した部位を工具類で加工することが可能かどうかを判断した後、切削加工変更部位解除処理ステップを実行し、電極対象部位を最終的に決定する。
【0058】
図10には、切削加工変更部位解除処理ステップのみの詳細動作フローチャートを示している。
【0059】
まず、(1−1)の方法でいったん電極対象部位と切削可能部位が決定したあとに、それぞれの部位の面積を合計する(301、302)。次に、両者の合計面積を比較し(303)、電極対象部位の面積が大きければ、切削可能部位に変更したものでも電極対象部位に戻す(304)。
【0060】
この方法によれば、法線方向が水平または垂直のもののみが切削加工の対象となるので、切削可能部位を加工するために金型を傾ける必要がまったくなく、加工の非効率を回避することができる。また、この方法を実行することにより、連続し異なる加工面が電極対象部位と判断されることもあるため、その連続面に対応した1つの電極を作製することもでき、電極作製効率や金型放電加工効率を上げることができる。
【0061】
(1−3)隣接する電極対象候補面と切削対象候補面の面積比較により最終的な電極対象部位を決定する方法
図11は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0062】
矢印左側の図は、上記(1−1)の方法により決定された電極対象部位(図中、1、2、3)と切削可能部位(図中、A、B、C)を各々複数含んだ成形品を示している。この場合(1−2)と異なり、切削可能部位3箇所はいずれも水平であるため、切削可能部位について金型を何度も傾けて切削作業する必要はない。ところが、効率面、精度面で判断すれば、このように隣接する面の加工方法が異なるのは好ましくない。
【0063】
本実施形態は、加工の効率面、精度面から電極対象部位を連続させるように電極対象部位を決定するものであって、そのために、隣接する面の面積を比較するようにしたものである。
【0064】
図12は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。なお、この例においても、成形品モデル入力ステップ1および電極形状生成ステップ3は図1の例と同じ動作であるため、説明を割愛する。
【0065】
この実施形態では、電極対象部位抽出ステップ2において、加工条件データにもとづいて、垂直、水平面でないと判断した部位を工具類で加工することが可能かどうかを判断した後、電極部位統合判断ステップを実行し、最終的な電極対象部位を決定する。
【0066】
図13には、電極部位統合判断ステップのみの詳細動作フローチャートを示している。
【0067】
この決定方法は、(1−1)の方法でいったん電極対象部位と切削可能部位が決定したあとに、すべての面について以下の処理(401〜405)を繰り返すことによって、最終的な電極対象部位を抽出するものである。
【0068】
まず、1つの電極対象部位を取り出し、その面の一方の隣接面が切削可能部位であればこれを取り出す(401、402)。次に、両者の面積を比較し(403)、電極対象部位の面積が大きければ、切削可能部位であるこの隣接面を電極対象部位に変更して(404)、電極対象部位を連続させる。他方の隣接面についても、402〜404の処理を繰り返す(405)。さらに、すべての面について上記の処理を繰り返す(406)。
【0069】
この方法によれば、連続する電極対象部位を統合させることができるので、連続面に対応した1つの電極を作製すればよく、その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0070】
(1−4)(1−3)の方法に(1−2)の方法を適用させた、電極対象部位の決定方法
図14(a)、(b)は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。なお、(b)については後述する。
【0071】
図14(a)の矢印左側の図は、上記(1−3)の方法により決定された電極対象部位(図中、1、A、2、3、C)と切削可能部位(図中、B)を各々含んだ成形品を示している。この例のように、切削可能部位がBのみとなってしまうと、加工効率面では好ましくない。
【0072】
本実施形態は、加工の効率面、精度面から、(1−3)の方法よりもさらに電極対象部位を連続させ全体を統合させるように決定するものであって、そのために、(1−2)の方法と同様の合計面積比較により、すべての面を電極対象部位とするようにしたものである。
【0073】
図15は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。なお、この例においても、成形品モデル入力ステップ1および電極形状生成ステップ3は図1の例と同じ動作であるため、説明を割愛する。
【0074】
この実施形態では、電極部位統合判断ステップを実行した後、電極対象部位を統合するための電極部位統合拡張処理判断ステップを実行して、最終的な電極対象部位を決定する。
【0075】
図16には、電極部位統合拡張処理判断ステップのみの詳細動作フローチャートを示している。
【0076】
この決定方法は、(1−3)の方法でいったん電極対象部位統合が行われたあとに、まず、電極対象部位と切削可能部位のそれぞれの部位の面積を合計する(501、502)。次に、両者の合計面積を比較し(503)、電極対象部位の面積が大きければ、すべての面を電極対象部位とする(504)。
【0077】
この方法によれば、1つの成形品に含まれるすべての面を電極対象部位に統合することができるので、成形品に対して1つの電極を作製すればよく、その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0078】
また、すべての面を電極対象とする方法として、次のものもある。図14(b)は、その例を示した図である。図中の符号Dは上記(1−1)の方法で切削可能部位に変更された面、符号Eは法線が垂直のため最初から切削可能と判断された面、符号4は電極対象部位を示している。
【0079】
この例を図16のフローチャートにあてはめると、
電極対象部位の合計面積(4)<切削可能部位の合計面積(D+E)
(図16の503のNO側)となり、すべての面が電極対象部位とはならない。
【0080】
ところが、もともと電極対象であった符号Dで示した切削可能面を、電極対象部位の合計面積に含めて比較すれば、すなわち、
(電極対象部位合計面積+切削可能部位に変更された面の面積)と、(切削可能部位合計面積−切削可能部位に変更された面の面積)とを比較すれば、
電極対象部位の合計面積(4+D)>切削可能部位の合計面積(E)
となり、すべての面が電極対象となる。
【0081】
すなわち、図16の動作を実行した結果、すべての面が電極部位とならなかった場合でも、上記の計算方法で合計面積を再計算して図16と同様のロジックを実行すれば、より高い確率で、すべての面を電極対象部位にすることができる。
【0082】
(1−5)(1−3)の変形方法
上記(1−1)の方法によれば、その加工面の法線方向が水平・垂直以外であっても切削可能部位と判断される場合がある。そうすると、(1−3)を採用すれば、まず(1−1)の方法が実行され、その後、隣接面との面積比較が行われるため、最終的には、図17の矢印左側の図のように、水平・垂直以外の面aのみが切削可能部位となってしまう場合がある。このようなケースも加工効率は決してよくない。
【0083】
本実施形態は、加工の効率面、精度面から、電極対象部位を統合させるように電極対象部位を決定するものであって、そのために、水平・垂直以外の面が切削可能部位と判断された場合は、隣接面との面積比較を行わないようにしたものである。
【0084】
図18は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。なお、この例においても、成形品モデル入力ステップ1および電極形状生成ステップ3は図1の例と同じ動作であるため、説明を割愛する。
【0085】
この実施形態では、電極対象部位抽出ステップ2において、加工条件データにもとづいて、垂直、水平面でないと判断した部位を工具類で加工することが可能かどうかを判断した後、電極部位統合判断ステップと電極部位統合拡張処理判断ステップを実行し、最終的な電極対象部位を決定する。
【0086】
図19には、電極部位統合判断ステップと電極部位統合拡張処理判断ステップの詳細動作フローチャートを示している。
【0087】
この決定方法は、(1−1)の方法でいったん電極対象部位と切削可能部位が決定したあとに、すべての面について以下の処理(601〜606)を繰り返すことによって、最終的な電極対象部位を抽出するものである。
【0088】
まず、1つの電極対象部位を取り出し、その面の一方の隣接面が切削可能部位であればこれを取り出す(601、602)。次に、隣接面の法線方向が水平・垂直を判定し(603)、水平・垂直以外であれば(603のNO側)、(1−1)により切削可能部位に変更された面であると判断できるため、この加工面を電極対象部位に戻す(605)。また、水平または垂直であれば(603のYES側)、両者を面積比較し(604)、電極対象部位の面積が大きければ、切削可能部位であるこの隣接面を電極対象部位に変更する(605)。他方の隣接面についても、602〜605の処理を繰り返す(606)。さらに、すべての面について上記の処理を繰り返す(607)。
【0089】
この方法によれば、連続する電極対象部位を統合させることができるので、連続面に対応した1つの電極を作製すればよく、その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0090】
以上の(1−1)〜(1−5)の方法は、オペレータ操作により、いずれかの方法を選択して実行できるようにしておいてもよいが、すべての方法をまたは選択された一部の方法を連続的に実行し、その結果である電極対象部位を方法ごとに画面に表示させ、オペレータにいずれかの結果を選択、決定させるようにしてもよい。
【0091】
以上に示した(1−1)〜(1−5)は、電極対象部位を最終的に決定する方法の各種態様であるが、次に説明するものは、電極/切削を相互に変更するものではなく、いったん電極対象部位と判断され統合された電極対象部位の集合が1つの成形品に複数存在する場合に、作業効率や材料効率を向上させるための電極を自動設計する方法である。
【0092】
(2−1)電極対象部位集合を同一土台に配置する方法
図20は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0093】
(a)の矢印左側の図は、電極対象部位抽出ステップにより統合された電極対象部位集合が、1つの成形品モデルの中に2つ以上存在し、しかも両者の各々に含まれる全面の法線方向と合計面積の両方ともが一致する場合を示している。このような場合には、右側の図のように2つの電極を1つの土台に配置して、加工時の効率化を図ることが可能である。また(b)は、同一土台に配置できるものであっても、両方の電極対象部位集合の高さに差がありすぎる場合には同一土台に配置しないようにして、加工精度が悪くならないようにしたものである。ここで、高さの差は投影長とZ座標位置の差の比により判断する。
【0094】
図21は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【0095】
この実施形態においては、電極対象部位を抽出したのちに、図20(a)を実現するために同一土台配置判断ステップ21を実行し、引き続いて、(b)を実現するために同一土台配置解除判断ステップ22を実行する。なお、後述する同一土台配置解除判断ステップ22で使用するしきい値は、電極加工条件マスタDに格納したものを採用する。
【0096】
図22には、同一土台配置判断ステップ21と同一土台配置解除判断ステップ22の詳細動作フローチャートを示している。
【0097】
まず、電極対象部位抽出ステップ2で決定された部位より統合された電極対象部位集合を取り出し(701)、その集合ごとの合計面積を算出し(702)、全法線方向と合計面積の両方ともが一致する場合は同一土台に配置する電極設計する(703〜705)。(以上、同一土台配置判断ステップ21)
次に、電極対象部位集合ごとに、X、Y面への投影長を取り出し(706)、電極部位のZ軸位置の差を算出し(707)、位置の差/投影長≧しきい値のときには同一土台に配置したものを解除する(709)。(以上、同一土台配置解除判断ステップ22)
これらの方法によれば、同一土台とすることで放電加工の効率化および電極加工の効率化が図れ、高さの差がありすぎるときに別土台とすることで、高い側の剛性不足による加工精度が落ちないようにすることができる。
【0098】
(2−2)複合電極を設計する方法
図23は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0099】
(a)は成形品モデルのXY平面図である。本実施形態は、この図で示すような、電極対象部位集合が複数存在し、かつ、各々が正対し各々のすべての法線方向が一致する場合に、これら2つの集合をまとめて加工できるようにした電極を設計するようにしたものである。(a)の例では、(b)に示すように電極部位の輪郭線を延長し、その輪郭線にもとづいて(c)に示すような2つの電極1、2を設計する。
【0100】
このように、複数の電極対象部位集合をまとめて加工できる複合電極とすることで、加工経路を短縮化することができ、加工の合理化が図れる。
【0101】
図24は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【0102】
この実施形態においては、電極対象部位を抽出したのちに、複合電極を設計するために電極加工効率化電極モデル生成ステップ23を実行する。
【0103】
図25には、電極加工効率化電極モデル生成ステップ23の詳細動作フローチャートを示している。
【0104】
まず、電極対象部位抽出ステップで決定された部位より統合された電極対象部位集合を取り出し(801)、すべての電極対象部位集合をXY平面に投影する(802)。それらの集合それぞれが四角形で、複数個あり、かつ相互の集合の全面の法線方向が一致し、中心位置が一直線で、正対している場合は複合電極を設計する(803〜807)。
【0105】
図26には複合電極の他の例を示している。電極対象部位集合aとcが上記条件(図25の803〜806)を満たしていれば、2つの電極1、2を生成することができ、これら2つの複合電極により3つの部位集合を加工することができる。
【0106】
(2−3)統合電極を設計する方法
図27は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0107】
(a)は成形品モデルのYZ断面図である。本実施形態は、この図で示すような、電極対象部位集合が複数存在し、各々のすべて面の法線のZ座標位置と合計面積が一致し、法線方向がZ面対称で、かつ干渉しない方向で結合が可能な場合に、これら2つの集合を加工できるようにした電極を結合し、1つの電極に統合設計するようにしたものである。(a)の例では、法線A、Bと法線C、Dは位置が同じで、方向がZ面対称で、A−B面積とC−D面積は等しく、かつ干渉しない方向で結合可能なので、(b)のような形状の電極に統合することができる。
【0108】
このように、複数の電極対象部位集合を個別に加工できるようにした統合電極とすることで、電極自体の加工の合理化が図れる。
【0109】
図28は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【0110】
この実施形態においては、電極対象部位を抽出したのちに、統合電極を設計するためにZ面対称加工部位統合判断ステップ24を実行する。
【0111】
図29には、電極加工効率化電極モデル生成ステップ24の詳細動作フローチャートを示している。
【0112】
まず、電極対象部位抽出ステップ2で決定された部位より統合された電極対象部位集合を取り出し(901)、すべての電極対象部位集合の各面の合計面積を算出する(902)。相互に、合計面積が等しく、すべての面の法線のZ位置が一致し、法線方向がZ面対称で、かつ干渉しない方向で結合可能である場合は1つの電極として統合する(903〜907)。
【0113】
図30には複合電極の他の例を示している。電極対象部位集合aとbが上記条件(図29の903〜906)を満たしていれば、これら2つの集合に対して1つの統合電極で加工できるような電極を設計する。
【0114】
(2−4)電極を分割設計する方法
図31は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0115】
いったん設計された電極が(a)のような形状の場合、これを電極素材から加工する場合、(b)に示すような電極を内包する最小直方体の素材を必要とする。しかし、図示するような電極形状の場合、切り取った残りの電極素材((b)の斜線で示した部分)が、形状や量によっては再利用できない場合がある。
【0116】
本実施形態は、このような余った材料が使用できなくなることを回避するために、電極体積と残余体積を比較して残余の方が大きい場合には電極を分割し、残余の素材をできる限り少なくしようとしたものである。そして、分割すべきと判断した場合には、(c)、(d)に示すように、Z位置の差の最大箇所で分割する。
【0117】
最終的に(d)のように電極分割すると、それぞれの分割された電極を内包する素材の残余部分は少量のものとなるため、無駄がきわめて少なく、電極材料の合理化が図れる。
【0118】
上記の例の場合、分割する方向はZY平面であるが、XY平面で分割することも可能である。分割方向によっては残余の体積が異なるため、残余体積がより少ない方を選択した方が材料の無駄は少なくなる。
【0119】
図32、33は、分割方向の判断方法の概念を説明するための例図を示したものである。なお、この例では分割する位置が複数存在する場合を示している。
【0120】
図32(a)で示すような電極モデルの場合、Z位置の差が最大となる位置は(b)で示す候補1、候補2の2つが存在する。そして、この2つの位置のそれぞれには、分割する方向がZY平面、XY平面の2つ考えられる。したがって、候補1、2で分割後の3つの電極の組合せは、少なくとも(c)〜(f)の4通りが考えられる。ここでは、(c)と(d)について、図33を参照しながら説明する。
【0121】
図33(a)は、候補1、2をZY平面で分割する場合を示している。3つに分割して、それぞれの電極を内包する直方体の体積を合計する。この合計値を体積1とする。候補1のみをXY平面で分割する(b)の場合も同様に、体積合計し、この合計値を体積2とする。
【0122】
このように、すべての場合について体積を求め、体積1、体積2、・・・、体積nを比較して最小の体積となる分割方向を決定する。
【0123】
図34は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【0124】
この実施形態においては、電極対象部位を抽出したのちに、分割の可否を判断するために電極分割処理判断ステップ25を実行し、引き続いて、分割方向を特定するために複数分割候補評価ステップ26を実行する。ここでは、複数分割候補が存在する場合を示したが、分割位置が1箇所のときにも、同様の評価を行ってもよい。
【0125】
図35には、電極分割処理判断ステップ25と複数分割候補評価ステップ26の詳細動作フローチャートを示している。
【0126】
まず、電極モデルを内包する最小の直方体素材を特定し、その直方体体積から電極体積を引いた差分、すなわち電極部を除いた残余体積を算出する(1001、1002)。その差分が電極体積より大きければ、この電極は分割すべきであると判断する(1003、1004)。(以上、電極分割処理判断ステップ25)
次に、分割する個数を取得し、Z位置の差分の大きい方から候補を抽出し、その候補位置で分割する方向を種々変えて、電極を内包する直方体を特定し、直方体の合計体積が最小となる組合せを決定し、採用された分割方向で分割可能なように電極設計を行う(1005〜1009)。(以上、分割候補評価ステップ26)
以上に示した(1−1)〜(1−5)および(2−1)〜(2−4)には、作業効率の観点から電極対象部位を抽出し、電極形状を決定する方法も示しているが、その作業効率の定量的な評価は特にされていない。次に説明するものは、実際に電極と金型のそれぞれの予想加工時間と、それらの合計時間の算出をシミュレーションするものである。
【0127】
具体的には、次式にもとづいて所要時間を算出する。
【0128】
電極加工時間 = 切削時間 + ワークセット時間
ここで、切削時間は=f(切削量、工具形状、加工条件)
(fは関数、以下同じ))
ワークセット時間は=ワーク置換え回数×セット時間
金型加工時間 = 切削時間 + 放電時間
ここで、切削時間=f(切削量、工具形状、加工条件)+金型セット時間
放電時間=Σ(f(放電加工量、加工条件))
所要時間は、電極加工時間と金型加工時間を合算して求められる。
【0129】
なお、この式で使用される切削量、工具形状、加工条件、セット時間、放電加工量は、電極加工条件マスタDに登録されたデータ、あるいは他のファイルに設定されたデータにもとづいて算出され、あるいはそのまま使用される。
【0130】
このシミュレーションは、上記の(1−1)〜(1−5)、(2−1)〜(2−4)で示したステップの実行後に行えばよい。したがって、たとえば上記のすべての方法をまたは選択された一部を連続的に実行し、その結果である電極対象部位や電極形状を画面に表示させるとともに、上記各加工時間も対応表示させて、その所要時間もオペレータに考慮させた上で、いずれかの結果を選択、決定させるようにしてもよい。
【0131】
このように、このシミュレーションによれば、想定する加工時間を算出しているので、オペレータに対して、作業効率化のための定量的な判断材料を提供することができる。
【0132】
図36は、上記加工時間シミュレーションを実行するコンピュータの動作を示す概略フローチャートである。なお、この図例では、上記(1−1)の方法に適用させたものを示している。
【0133】
【発明の効果】
以上の説明からも理解できるように、請求項1に記載の成形金型用放電加工電極の自動設計方法は、コンピュータに格納した座標や法線方向データを含む3次元成形品モデルデータにもとづいて、電極加工の対象となる部位を自動的に抽出して電極設計しているので、成形品金型モデルデータをまったく必要としない。すなわち、金型設計の着手と同時に電極の設計を行うことができるので、全体として設計期間を短縮化することができる。また、オペレータが指示を与えさえすれば、コンピュータ上で自動で実行されるので、電極設計自体も迅速に行うことができる。
【0134】
請求項2では、各種加工条件データにもとづいて電極対象部位を抽出しているので、工具や加工機での切削が可能な部位を容易に見つけ出すことができ、その結果、電極対象部位をより少なくすることができる。このように電極対象部位を少なくすることで、電極作製にかかる時間を短縮することができ、作業の効率化が図れる。
【0135】
請求項3では、算出した電極対象部位の合計面積が切削可能部位の合計面積より大きい場合に、切削可能部位に変更された面を電極対象部位に戻しているので、法線方向が水平、垂直以外の面は電極加工対象とする設計が行える。その結果、切削加工するために金型を傾ける必要がなく、加工の非効率を回避することができる。また、この方法を実行することにより、連続し異なる加工面が電極対象部位と判断される場合も発生するため、その連続面に対応した1つの電極を作製することもでき、電極作製効率や金型放電加工効率を上げることができる。
【0136】
請求項4では、隣接する電極対象部位の面積が切削可能部位の面積より大きい場合に、その隣接する切削可能部位を電極加工部位に変更しているので、連続する電極対象部位を統合することができる。これにより、連続面に対応した1つの電極を作製すればよく、その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0137】
請求項5では、請求項4の方法で抽出した電極対象部位の合計面積が切削可能部位の合計面積より大きい場合に、全体面を電極対象部位としているので、1つの成形品についてすべての加工面が電極加工対象となる。そのため、1つの成形品に対して1つの電極を作製すればよく、その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0138】
請求項6では、電極対象部位の合計面積よりも切削可能部位の合計面積が大きい場合でも、法線方向が水平、垂直以外であれば電極対象部位としているので、連続する電極対象部位を統合することができ、その連続面に対応した1つの電極を作製すればよい。その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0139】
請求項7では、全法線方向、合計面積が一致すれば、同一土台の電極としているので、放電加工の効率化および電極加工の効率化が図れる。
【0140】
請求項8では、請求項7おいて、Z座標位置の差とXY平面への投影長との比が予め設定されたしきい値を超える程度に高さの差がある場合に別土台としているので、高い側の剛性不足による加工精度の低減を防止することができる。
【0141】
請求項9では、電極を複合モデル化しているので、加工経路を短縮化することができ、その結果、加工の合理化が図れる。
【0142】
請求項10では、所定の条件で複数の電極対象部位の集合を1つの電極モデルに統合しているので、電極そのものの加工の合理化が図れる。
【0143】
請求項11では、電極モデルを内包する直方体素材のうち電極を除く残余の体積が大きい場合には、電極モデルを分割しているので、電極素材の効率的な使用が行える。
【0144】
請求項12では、請求項11において、残余体積が少なくなるような最適分割方向で分割するようにしているので、さらに電極素材を効率的に使用することができる。また、複数の位置で分割する場合でも、すべての分割位置の分割方向の組合せを評価して無駄の少ない分割方法が自動選択されるので、時間を要することなく最適な電極設計が行える。
【0145】
請求項13では、電極を加工するのに要する時間と、金型を加工するのに要する時間を所定の計算式でシミュレーションしているので、オペレータに対して、作業効率化のための定量的な判断材料を提供することができる。
【0146】
請求項14〜16に記載のシステム、プログラム、記録媒体によっても、上記請求項1〜13と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明方法、システムを実現するためのコンピュータの要部構成の一例を示す図で、(b)は、実行すべき各ステップを説明するために成形品形状を示す図である。
【図2】本発明の詳細動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態(1−1)の概念を説明するための例図である。
【図4】(a)は、(1−1)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図で、(b)は、工具の形状例を示す概略図である。
【図5】(a)、(b)は、電極加工条件マスタに登録されている加工条件データの一例を示す図である。
【図6】実施形態(1−1)の詳細動作フローチャートである。
【図7】加工条件データにもとづく電極対象部位抽出の他の例を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態(1−2)の概念を説明するための例図である。
【図9】(1−2)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図10】実施形態(1−2)の詳細動作フローチャートである。
【図11】本発明の実施形態(1−3)の概念を説明するための例図である。
【図12】(1−3)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図13】実施形態(1−3)の詳細動作フローチャートである。
【図14】(a)、(b)は、本発明の実施形態(1−4)の概念を説明するための例図である。
【図15】(1−4)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図16】実施形態(1−4)の詳細動作フローチャートである。
【図17】本発明の実施形態(1−5)の概念を説明するための例図である。
【図18】(1−5)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図19】実施形態(1−5)の詳細動作フローチャートである。
【図20】(a)、(b)は、本発明の実施形態(2−1)の概念を説明するための例図である。
【図21】(2−1)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図22】実施形態(2−1)の詳細動作フローチャートである。
【図23】本発明の実施形態(2−2)の概念を説明するための例図である。
【図24】(2−2)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図25】実施形態(2−2)の詳細動作フローチャートである。
【図26】実施形態(2−2)の他の例を説明するための図である。
【図27】本発明の実施形態(2−3)の概念を説明するための例図である。
【図28】(2−3)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図29】実施形態(2−3)の詳細動作フローチャートである。
【図30】実施形態(2−3)の他の具体例を示す図である。
【図31】本発明の実施形態(2−4)の概念を説明するための例図である。
【図32】本発明の実施形態(2−4)の概念を説明するためのさらに他の例図である。
【図33】本発明の実施形態(2−4)の概念を説明するための例図(図32の続き)である。
【図34】(2−4)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図35】実施形態(2−4)の他の具体例を示す図である。
【図36】加工時間の算出シミュレーションの概略フローチャートである。
【符号の説明】
1・・・成形品モデル入力ステップ
2・・・電極対象部位抽出ステップ
3・・・電極形状生成ステップ
M・・・成形品モデルデータ
D・・・加工条件データ(電極加工条件マスタ)
a、b・・・加工面(電極対象部位、切削可能部位)
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形金型の放電加工を行うための放電加工電極を、3次元CADなどのコンピュータを用いて自動的に設計する方法やシステム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1、2に記載のいずれの技術も、成形品を作製するための成形金型の3次元モデルデータにもとづいて、成形金型放電加工用電極を作製するためのNCデータを作成する技術である。すなわち、この種の技術は、電極設計の前に成形金型モデルを作成することが前提となっており、また、電極加工対象となる成形品の部位を抽出するために、カッタパス(切削経路)情報にもとづき削り残し部分を特定した上で電極形状を設計するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−169348号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2001−84017号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の電極設計方法では、成形金型の設計を完了させ、かつ、切削加工用のNCデータを作成して削り残し部分を抽出した後でなければ電極設計に着手することができず、その結果、電極設計を終了するまでに長期間を要していた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために提案されたもので、成形品金型の設計と同時に電極設計に着手でき、全体として設計期間を短縮化できるようにした、成形金型用放電加工電極の自動生成方法、システム、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【0007】
また、加工精度、加工効率、電極材料効率などを考慮して、最適な電極加工対象部位を抽出できるようにしたことも、主たる目的に含まれる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の成形金型用放電加工電極の自動生成方法は、プログラムされたコンピュータを用いて、コンピュータに格納された、座標や法線方向データを含む3次元成形品モデルデータにもとづいて、成形金型用放電加工電極の自動設計を行う方法であって、次の特徴を有している。
【0009】
すなわち、本発明方法では、3次元成形品モデルデータを読み込む成形品モデル入力ステップと、読み込まれたモデルデータに含まれているすべての面の法線方向データを分析して、水平、垂直以外の面を電極加工対象と判断し抽出する電極対象部位抽出ステップと、抽出された電極対象部位を特定したデータを含むモデルデータを、電極対象部位の形状を保持しながらZ軸方向へ掃引加工し、対象の成形品を加工するための放電加工電極を自動的にデータ生成する電極形状生成ステップとを実行する。
【0010】
この方法によれば、上記のように成形品金型モデルデータをまったく必要としないため、金型設計の着手と同時に電極の設計を行うことができる。そのため、放電加工電極の設計を含むすべての設計期間を短縮化することができる。また、上記方法はオペレータが指示を与えれば、コンピュータ上で自動で実行されるので、電極設計自体も迅速に行うことができる。
【0011】
請求項2では、コンピュータには、金型を加工するための工具や加工機の加工条件データを保存した電極加工条件マスタがさらに備えられており、電極対象部位抽出ステップでは、上記抽出された電極対象部位の面の法線が側面と交差しない場合は、加工条件データを検索して、各部位と合致する工具、加工機が存在すれば、その面は切削加工が可能な面と判断して切削可能部位に変更し、合致するものがなければ電極対象部位と決定するようにしている。
【0012】
請求項3では、電極対象部位抽出ステップは、成形品モデルデータにもとづいて、決定された電極対象部位、切削可能部位の面積をそれぞれ合計し、電極対象部位の合計面積の方が切削加工可能部位の合計面積よりも大きい場合は、上記変更された切削可能部位を電極対象部位に再変更するようにしている。
【0013】
請求項4では、電極対象部位抽出ステップは、電極対象部位と切削可能部位が隣接する場合、両者の面積を比較し、切削可能部位の面積が小さい場合は、その切削可能部位を電極対象部位に変更するようにしている。
【0014】
請求項5では、電極対象部位抽出ステップは、成形品モデルデータにもとづいて、決定された電極対象部位、切削可能部位の面積をそれぞれ合計し、電極対象部位の合計面積の方が切削加工可能部位の合計面積よりも大きい場合は、すべての面を電極対象部位に変更するようにしている。
【0015】
請求項6では、電極対象部位抽出ステップは、請求項4に示した電極対象部位と切削可能部位の面積比較において、隣接する切削可能部位の面積の方が大きい場合であっても、その切削可能部位の法線方向が水平、垂直以外であれば、その面を電極対象部位に決定するようにしている。
【0016】
請求項7では、電極対象部位抽出ステップを実行した結果、統合された、まとまりのある電極対象部位集合を構成する各面の全法線方向、合計面積がともに一致する集合が複数存在する場合には、その複数の電極対象部位集合について同一土台に配置した電極として生成するようにしている。
【0017】
請求項8では、請求項7において、電極対象部位集合のZ座標位置の差とXY平面への投影長との比が、予め設定されたしきい値を超えている場合は、同一土台に配置しないことを特徴とする。
【0018】
請求項9では、電極対象部位抽出ステップを実行した結果、統合された、まとまりのある電極対象部位集合が、成形品モデルの中に、複数存在すると判断された場合に、各々の電極対象部位集合をXY平面に投影した形状がともに四角形で、各々の電極対象部位集合を構成する各面の法線の方向が一致し、かつ各々の中心位置が一直線上に存在し正対している場合に、投影した輪郭形状を掃引して生成した複数の電極ブロックの複合モデルにより成形品を加工するようにした電極モデルを生成することを特徴とする。
【0019】
請求項10では、電極対象部位抽出ステップを実行した結果、統合された、まとまりのある電極対象部位集合が、成形品モデルの中に、複数存在すると判断された場合に、各々の電極対象部位集合を構成する各面の合計面積と各面の法線の位置がともに一致し、法線方向が相互にZ面対称で、かつ成形品モデルデータに干渉しない方向で結合可能な場合に、1つの電極モデルに統合することを特徴とする。
【0020】
請求項11では、決定された電極対象部位をすべて含む電極モデルの体積と、これを内包する直方体から電極モデル部分を切り取った残余の体積とを比較し、残余体積の方が大きい場合には、上記電極モデルを、Z位置の差が最大となる位置で分割することを特徴とする。
【0021】
請求項12では、請求項11において、分割位置のXYまたはZY平面で分割した場合の個々の電極モデルを内包する最小の直方体の合計体積を算出し、その合計体積が最小となる分割方向を最適分割方向として決定することを特徴とする。
【0022】
請求項13では、電極を加工するのに要する時間と、金型を加工するのに要する時間を所定の計算式で算出することを特徴とする。
【0023】
請求項14に記載の成形金型用放電加工電極の自動設計システムは、請求項1〜13のいずれかの成形金型用放電加工電極の自動生成方法を、コンピュータで実行可能にしたものである。
【0024】
請求項15に記載の成形金型用放電加工電極の自動設計プログラムは、請求項1〜13のいずれかの成形金型用放電加工電極の自動設計方法を、コンピュータで実行できるようにしたものである。
【0025】
請求項16に記載の記録媒体は、請求項15に記載の成形金型用放電加工電極の自動設計プログラムを格納したものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面とともに説明する。
【0027】
図1(a)は、本発明方法、システムを実現するためのコンピュータの要部構成の一例を示す図で、(b)は、実行すべき各ステップを説明するために成形品形状を示す図である。
【0028】
このシステムでは、3次元成形品モデルデータ群Mより、放電加工する金型に対応した成形品のモデルデータMを読み込む成形品モデル入力ステップ1、電極で加工する対象部位を抽出するステップ2、電極の形状を最終的に生成するステップ3を順次実行し、放電加工電極を設計する。
【0029】
ここで、3次元成形品モデルデータMには、3次元座標データのみならず、成形品各面の法線方向データ、画面表示上の線種、線幅等の表示属性も含まれる。また、3次元成形品モデルデータ群Mは、予め複数の成形品モデルデータを保存したものである。3次元成形品モデルデータMは3次元成形品モデルデータ群Mから取り出さずに、CADシステムにおいて対話形式で生成された成形品モデルデータをそのまま使用してもよい。また、成形品モデルデータMには、最終成形品のモデルのみならず、アンダカットにならないようにするために成形品モデルを分割した子モデルのデータも含んでいる。
【0030】
成形品モデル入力ステップ1では、指定された成形品のモデルデータの読み込みを実行する。
【0031】
電極対象部位抽出ステップ2では、すべての(図中、矢印で示された)法線方向データを分析して、垂直、水平以外の面を電極加工対象の部位と判断する。なお、水平、垂直面を電極加工対象としないのは、切削工具や加工機により、金型の該当面の加工が可能だからである。すなわち、電極で加工するまでもなく、金型を傾けることなく、工具を金型の水平、垂直面に当てて作業することが可能だからである。
【0032】
電極形状生成ステップ3では、電極加工対象として抽出された部位を含むモデルデータを、電極対象部位の形状を保持しながらZ軸方向へ掃引加工し、対象の成形品を加工するための放電加工電極を自動的にデータ生成する。
【0033】
これらの各ステップは、どの成形品の金型加工電極を設計するのかさえ指定すれば、コンピュータに組み込まれたプログラムによって連続的に実行される。なお、次のステップに移行するごとに、オペレータの確認操作が行えるようにしてもよい。
【0034】
なお、図には示していないが、このコンピュータには2次元または3次元画像を表示するための画面表示手段、およびオペレータが画面を見ながら操作するための操作手段も接続されている。
【0035】
図2のフローチャートは、これらの各ステップ1〜3の詳細な流れを示している。
【0036】
まず、該当の成形品モデルデータを読み込む(101)。次に、モデルデータに含まれる成形品各面の法線方向データを取り出す(102)。そして、すべての面(部位)について、法線方向が水平、垂直かどうかをチェックし、水平、垂直以外であれば電極対象部位として抽出する(103〜105)。最後に、抽出した電極対象部位の形状データを保持しながらZ軸方向へ掃引加工し、対象の成形品を加工するための放電加工電極を自動的にデータ生成する(106)。
【0037】
このように、成形品さえ指定してやれば、そのモデルデータにもとづいて自動的に放電加工用の電極が設計されるので、短時間で電極データ設計が完了する。そればかりか、成形品金型モデルを必要としないので、成形品金型の設計と同時に電極設計に着手でき、全体として設計期間を短縮化することができる。
【0038】
図1、2で示された自動設計方法またはシステムでは、水平、垂直以外を電極対象部位として抽出しているが、電極対象部位抽出ステップ2に他の抽出ルールを付加して最適の電極を設計することが可能である。以下に、そのような各種の実施形態を示す。
【0039】
(1−1)切削工具類の情報をもとに電極加工の対象部位を決定する方法
図3は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。(a)の符号aで示した面の法線は側面と干渉するため、その金型は切削工具等により加工することは不可能である。一方、(b)の符号bで示した面は側面と干渉しないため、金型を傾ければ工具類により切削することが可能である。なお、(c)には(a)で示した成形品を作製するための金型を示しており、金型を傾けても工具類による切削は不可能であることが理解できる。
【0040】
このような切削可能部位をコンピュータにより自動検出するためには、成形品モデルデータだけでは不可能である。
【0041】
そこで、本実施形態では、電極対象部位を抽出するために工具類の形状、サイズ等の加工条件データを予め保存しておき、この条件データにもとづいて電極対象部位を決定するようにしている。
【0042】
図4(a)は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図で、(b)は、工具の形状例を示す概略図である。なお、(a)において、成形品モデル入力ステップ1および電極形状生成ステップ3は図1の例と同じ動作であるため、説明を割愛する。
【0043】
この実施形態では、電極対象部位抽出ステップ2において、電極加工条件マスタDから加工条件データを読み込んで、そのデータにもとづいて、垂直、水平面でないと判断した部位を工具類で加工することが可能かどうかを判断するようにしている。
【0044】
電極加工条件マスタDには、工具情報、加工機情報、加工対象である金型の材質、求められている加工精度などが格納されているほか、電極自体の材質も保存している。工具情報や加工機情報の一例を図5(a)、(b)に示す。図に示すように、工具であれば、その径や長さなどのサイズ、形状などの外部仕様、加工機であれば、回転数、送り速度などの機器仕様なども保存されている。
【0045】
図6のフローチャートは、この上記各ステップ1〜3の詳細な流れを示している。
【0046】
ここで電極対象部位ステップ2に着目すると、法線方向が水平、垂直以外であっても側面と交差しなければ加工条件データを検索し、合致するものがあれば電極対象部位から切削可能部位に変更するロジック(204〜207)を実行するようにしている。
【0047】
また、本実施形態では、法線方向が水平または垂直であっても、加工条件データとの合致判断を行っている(204、206)。
【0048】
切削可能部位の抽出条件には、図7(a)、(b)に示すものなどがある。
【0049】
(a)は、法線方向が側面に交差しない場合であっても、電極対象部位として判断される場合の例を示している。ずなわち、図でもわかるように、対象となった面aの法線の底面までの距離が工具長より長いため切削不可能と判断され、その面aは電極対象部位として抽出される。一方、(b)は、加工面bまでの長さのある工具が存在する場合を示しており、この場合は切削可能と判断する。
【0050】
(c)、(d)は、工具の断面形状データを加工条件として参照する例を示している。すなわち、たとえば(b)で示すように加工面bを切削するのに十分な長さの工具は存在しても、その面bの形状が(c)に示すように工具の断面がはみだしてしまう場合には切削不可能と判断し、工具の断面形状に内包される場合には切削可能と判断する。
【0051】
以上のように、工具類情報等の加工条件データを参照して電極対象部位を決定してやれば、工具類での切削が可能な部位を見つけ出すことができるため、電極対象部位を少なくすることができ、不要な電極を作製する必要がなくなる。
【0052】
(1−2)電極対象部位と切削可能部位の合計面積比較により最終的な電極対象部位を決定する方法
図8は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0053】
矢印左側の図は、上記(1−1)の方法により決定された電極対象部位と切削可能部位を各々複数含んだ成形品を示している。この例の場合、電極対象面が複数存在するだけではなく、切削加工面(切削1、切削2、切削3)も複数存在するため、切削1、切削2を加工するために金型を何度も傾けて切削作業する必要がある。なお、切削3は水平なので傾ける必要はない。
【0054】
このような場合は、工具類による切削をするよりも電極により放電加工する方が効率的であるため、いったん切削可能部位と判断した面を電極対象部位に戻した方が好ましい場合がある。
【0055】
本実施形態は、電極対象部位に戻すために加工面の合計面積の比較を行って、電極対象部位を最終決定する方法を示したものである。
【0056】
図9は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。なお、この例においても、成形品モデル入力ステップ1および電極形状生成ステップ3は図1の例と同じ動作であるため、説明を割愛する。
【0057】
この実施形態では、電極対象部位抽出ステップ2において、加工条件データにもとづいて、垂直、水平面でないと判断した部位を工具類で加工することが可能かどうかを判断した後、切削加工変更部位解除処理ステップを実行し、電極対象部位を最終的に決定する。
【0058】
図10には、切削加工変更部位解除処理ステップのみの詳細動作フローチャートを示している。
【0059】
まず、(1−1)の方法でいったん電極対象部位と切削可能部位が決定したあとに、それぞれの部位の面積を合計する(301、302)。次に、両者の合計面積を比較し(303)、電極対象部位の面積が大きければ、切削可能部位に変更したものでも電極対象部位に戻す(304)。
【0060】
この方法によれば、法線方向が水平または垂直のもののみが切削加工の対象となるので、切削可能部位を加工するために金型を傾ける必要がまったくなく、加工の非効率を回避することができる。また、この方法を実行することにより、連続し異なる加工面が電極対象部位と判断されることもあるため、その連続面に対応した1つの電極を作製することもでき、電極作製効率や金型放電加工効率を上げることができる。
【0061】
(1−3)隣接する電極対象候補面と切削対象候補面の面積比較により最終的な電極対象部位を決定する方法
図11は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0062】
矢印左側の図は、上記(1−1)の方法により決定された電極対象部位(図中、1、2、3)と切削可能部位(図中、A、B、C)を各々複数含んだ成形品を示している。この場合(1−2)と異なり、切削可能部位3箇所はいずれも水平であるため、切削可能部位について金型を何度も傾けて切削作業する必要はない。ところが、効率面、精度面で判断すれば、このように隣接する面の加工方法が異なるのは好ましくない。
【0063】
本実施形態は、加工の効率面、精度面から電極対象部位を連続させるように電極対象部位を決定するものであって、そのために、隣接する面の面積を比較するようにしたものである。
【0064】
図12は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。なお、この例においても、成形品モデル入力ステップ1および電極形状生成ステップ3は図1の例と同じ動作であるため、説明を割愛する。
【0065】
この実施形態では、電極対象部位抽出ステップ2において、加工条件データにもとづいて、垂直、水平面でないと判断した部位を工具類で加工することが可能かどうかを判断した後、電極部位統合判断ステップを実行し、最終的な電極対象部位を決定する。
【0066】
図13には、電極部位統合判断ステップのみの詳細動作フローチャートを示している。
【0067】
この決定方法は、(1−1)の方法でいったん電極対象部位と切削可能部位が決定したあとに、すべての面について以下の処理(401〜405)を繰り返すことによって、最終的な電極対象部位を抽出するものである。
【0068】
まず、1つの電極対象部位を取り出し、その面の一方の隣接面が切削可能部位であればこれを取り出す(401、402)。次に、両者の面積を比較し(403)、電極対象部位の面積が大きければ、切削可能部位であるこの隣接面を電極対象部位に変更して(404)、電極対象部位を連続させる。他方の隣接面についても、402〜404の処理を繰り返す(405)。さらに、すべての面について上記の処理を繰り返す(406)。
【0069】
この方法によれば、連続する電極対象部位を統合させることができるので、連続面に対応した1つの電極を作製すればよく、その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0070】
(1−4)(1−3)の方法に(1−2)の方法を適用させた、電極対象部位の決定方法
図14(a)、(b)は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。なお、(b)については後述する。
【0071】
図14(a)の矢印左側の図は、上記(1−3)の方法により決定された電極対象部位(図中、1、A、2、3、C)と切削可能部位(図中、B)を各々含んだ成形品を示している。この例のように、切削可能部位がBのみとなってしまうと、加工効率面では好ましくない。
【0072】
本実施形態は、加工の効率面、精度面から、(1−3)の方法よりもさらに電極対象部位を連続させ全体を統合させるように決定するものであって、そのために、(1−2)の方法と同様の合計面積比較により、すべての面を電極対象部位とするようにしたものである。
【0073】
図15は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。なお、この例においても、成形品モデル入力ステップ1および電極形状生成ステップ3は図1の例と同じ動作であるため、説明を割愛する。
【0074】
この実施形態では、電極部位統合判断ステップを実行した後、電極対象部位を統合するための電極部位統合拡張処理判断ステップを実行して、最終的な電極対象部位を決定する。
【0075】
図16には、電極部位統合拡張処理判断ステップのみの詳細動作フローチャートを示している。
【0076】
この決定方法は、(1−3)の方法でいったん電極対象部位統合が行われたあとに、まず、電極対象部位と切削可能部位のそれぞれの部位の面積を合計する(501、502)。次に、両者の合計面積を比較し(503)、電極対象部位の面積が大きければ、すべての面を電極対象部位とする(504)。
【0077】
この方法によれば、1つの成形品に含まれるすべての面を電極対象部位に統合することができるので、成形品に対して1つの電極を作製すればよく、その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0078】
また、すべての面を電極対象とする方法として、次のものもある。図14(b)は、その例を示した図である。図中の符号Dは上記(1−1)の方法で切削可能部位に変更された面、符号Eは法線が垂直のため最初から切削可能と判断された面、符号4は電極対象部位を示している。
【0079】
この例を図16のフローチャートにあてはめると、
電極対象部位の合計面積(4)<切削可能部位の合計面積(D+E)
(図16の503のNO側)となり、すべての面が電極対象部位とはならない。
【0080】
ところが、もともと電極対象であった符号Dで示した切削可能面を、電極対象部位の合計面積に含めて比較すれば、すなわち、
(電極対象部位合計面積+切削可能部位に変更された面の面積)と、(切削可能部位合計面積−切削可能部位に変更された面の面積)とを比較すれば、
電極対象部位の合計面積(4+D)>切削可能部位の合計面積(E)
となり、すべての面が電極対象となる。
【0081】
すなわち、図16の動作を実行した結果、すべての面が電極部位とならなかった場合でも、上記の計算方法で合計面積を再計算して図16と同様のロジックを実行すれば、より高い確率で、すべての面を電極対象部位にすることができる。
【0082】
(1−5)(1−3)の変形方法
上記(1−1)の方法によれば、その加工面の法線方向が水平・垂直以外であっても切削可能部位と判断される場合がある。そうすると、(1−3)を採用すれば、まず(1−1)の方法が実行され、その後、隣接面との面積比較が行われるため、最終的には、図17の矢印左側の図のように、水平・垂直以外の面aのみが切削可能部位となってしまう場合がある。このようなケースも加工効率は決してよくない。
【0083】
本実施形態は、加工の効率面、精度面から、電極対象部位を統合させるように電極対象部位を決定するものであって、そのために、水平・垂直以外の面が切削可能部位と判断された場合は、隣接面との面積比較を行わないようにしたものである。
【0084】
図18は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。なお、この例においても、成形品モデル入力ステップ1および電極形状生成ステップ3は図1の例と同じ動作であるため、説明を割愛する。
【0085】
この実施形態では、電極対象部位抽出ステップ2において、加工条件データにもとづいて、垂直、水平面でないと判断した部位を工具類で加工することが可能かどうかを判断した後、電極部位統合判断ステップと電極部位統合拡張処理判断ステップを実行し、最終的な電極対象部位を決定する。
【0086】
図19には、電極部位統合判断ステップと電極部位統合拡張処理判断ステップの詳細動作フローチャートを示している。
【0087】
この決定方法は、(1−1)の方法でいったん電極対象部位と切削可能部位が決定したあとに、すべての面について以下の処理(601〜606)を繰り返すことによって、最終的な電極対象部位を抽出するものである。
【0088】
まず、1つの電極対象部位を取り出し、その面の一方の隣接面が切削可能部位であればこれを取り出す(601、602)。次に、隣接面の法線方向が水平・垂直を判定し(603)、水平・垂直以外であれば(603のNO側)、(1−1)により切削可能部位に変更された面であると判断できるため、この加工面を電極対象部位に戻す(605)。また、水平または垂直であれば(603のYES側)、両者を面積比較し(604)、電極対象部位の面積が大きければ、切削可能部位であるこの隣接面を電極対象部位に変更する(605)。他方の隣接面についても、602〜605の処理を繰り返す(606)。さらに、すべての面について上記の処理を繰り返す(607)。
【0089】
この方法によれば、連続する電極対象部位を統合させることができるので、連続面に対応した1つの電極を作製すればよく、その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0090】
以上の(1−1)〜(1−5)の方法は、オペレータ操作により、いずれかの方法を選択して実行できるようにしておいてもよいが、すべての方法をまたは選択された一部の方法を連続的に実行し、その結果である電極対象部位を方法ごとに画面に表示させ、オペレータにいずれかの結果を選択、決定させるようにしてもよい。
【0091】
以上に示した(1−1)〜(1−5)は、電極対象部位を最終的に決定する方法の各種態様であるが、次に説明するものは、電極/切削を相互に変更するものではなく、いったん電極対象部位と判断され統合された電極対象部位の集合が1つの成形品に複数存在する場合に、作業効率や材料効率を向上させるための電極を自動設計する方法である。
【0092】
(2−1)電極対象部位集合を同一土台に配置する方法
図20は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0093】
(a)の矢印左側の図は、電極対象部位抽出ステップにより統合された電極対象部位集合が、1つの成形品モデルの中に2つ以上存在し、しかも両者の各々に含まれる全面の法線方向と合計面積の両方ともが一致する場合を示している。このような場合には、右側の図のように2つの電極を1つの土台に配置して、加工時の効率化を図ることが可能である。また(b)は、同一土台に配置できるものであっても、両方の電極対象部位集合の高さに差がありすぎる場合には同一土台に配置しないようにして、加工精度が悪くならないようにしたものである。ここで、高さの差は投影長とZ座標位置の差の比により判断する。
【0094】
図21は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【0095】
この実施形態においては、電極対象部位を抽出したのちに、図20(a)を実現するために同一土台配置判断ステップ21を実行し、引き続いて、(b)を実現するために同一土台配置解除判断ステップ22を実行する。なお、後述する同一土台配置解除判断ステップ22で使用するしきい値は、電極加工条件マスタDに格納したものを採用する。
【0096】
図22には、同一土台配置判断ステップ21と同一土台配置解除判断ステップ22の詳細動作フローチャートを示している。
【0097】
まず、電極対象部位抽出ステップ2で決定された部位より統合された電極対象部位集合を取り出し(701)、その集合ごとの合計面積を算出し(702)、全法線方向と合計面積の両方ともが一致する場合は同一土台に配置する電極設計する(703〜705)。(以上、同一土台配置判断ステップ21)
次に、電極対象部位集合ごとに、X、Y面への投影長を取り出し(706)、電極部位のZ軸位置の差を算出し(707)、位置の差/投影長≧しきい値のときには同一土台に配置したものを解除する(709)。(以上、同一土台配置解除判断ステップ22)
これらの方法によれば、同一土台とすることで放電加工の効率化および電極加工の効率化が図れ、高さの差がありすぎるときに別土台とすることで、高い側の剛性不足による加工精度が落ちないようにすることができる。
【0098】
(2−2)複合電極を設計する方法
図23は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0099】
(a)は成形品モデルのXY平面図である。本実施形態は、この図で示すような、電極対象部位集合が複数存在し、かつ、各々が正対し各々のすべての法線方向が一致する場合に、これら2つの集合をまとめて加工できるようにした電極を設計するようにしたものである。(a)の例では、(b)に示すように電極部位の輪郭線を延長し、その輪郭線にもとづいて(c)に示すような2つの電極1、2を設計する。
【0100】
このように、複数の電極対象部位集合をまとめて加工できる複合電極とすることで、加工経路を短縮化することができ、加工の合理化が図れる。
【0101】
図24は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【0102】
この実施形態においては、電極対象部位を抽出したのちに、複合電極を設計するために電極加工効率化電極モデル生成ステップ23を実行する。
【0103】
図25には、電極加工効率化電極モデル生成ステップ23の詳細動作フローチャートを示している。
【0104】
まず、電極対象部位抽出ステップで決定された部位より統合された電極対象部位集合を取り出し(801)、すべての電極対象部位集合をXY平面に投影する(802)。それらの集合それぞれが四角形で、複数個あり、かつ相互の集合の全面の法線方向が一致し、中心位置が一直線で、正対している場合は複合電極を設計する(803〜807)。
【0105】
図26には複合電極の他の例を示している。電極対象部位集合aとcが上記条件(図25の803〜806)を満たしていれば、2つの電極1、2を生成することができ、これら2つの複合電極により3つの部位集合を加工することができる。
【0106】
(2−3)統合電極を設計する方法
図27は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0107】
(a)は成形品モデルのYZ断面図である。本実施形態は、この図で示すような、電極対象部位集合が複数存在し、各々のすべて面の法線のZ座標位置と合計面積が一致し、法線方向がZ面対称で、かつ干渉しない方向で結合が可能な場合に、これら2つの集合を加工できるようにした電極を結合し、1つの電極に統合設計するようにしたものである。(a)の例では、法線A、Bと法線C、Dは位置が同じで、方向がZ面対称で、A−B面積とC−D面積は等しく、かつ干渉しない方向で結合可能なので、(b)のような形状の電極に統合することができる。
【0108】
このように、複数の電極対象部位集合を個別に加工できるようにした統合電極とすることで、電極自体の加工の合理化が図れる。
【0109】
図28は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【0110】
この実施形態においては、電極対象部位を抽出したのちに、統合電極を設計するためにZ面対称加工部位統合判断ステップ24を実行する。
【0111】
図29には、電極加工効率化電極モデル生成ステップ24の詳細動作フローチャートを示している。
【0112】
まず、電極対象部位抽出ステップ2で決定された部位より統合された電極対象部位集合を取り出し(901)、すべての電極対象部位集合の各面の合計面積を算出する(902)。相互に、合計面積が等しく、すべての面の法線のZ位置が一致し、法線方向がZ面対称で、かつ干渉しない方向で結合可能である場合は1つの電極として統合する(903〜907)。
【0113】
図30には複合電極の他の例を示している。電極対象部位集合aとbが上記条件(図29の903〜906)を満たしていれば、これら2つの集合に対して1つの統合電極で加工できるような電極を設計する。
【0114】
(2−4)電極を分割設計する方法
図31は、本実施形態の概念を説明するための例図を示したものである。
【0115】
いったん設計された電極が(a)のような形状の場合、これを電極素材から加工する場合、(b)に示すような電極を内包する最小直方体の素材を必要とする。しかし、図示するような電極形状の場合、切り取った残りの電極素材((b)の斜線で示した部分)が、形状や量によっては再利用できない場合がある。
【0116】
本実施形態は、このような余った材料が使用できなくなることを回避するために、電極体積と残余体積を比較して残余の方が大きい場合には電極を分割し、残余の素材をできる限り少なくしようとしたものである。そして、分割すべきと判断した場合には、(c)、(d)に示すように、Z位置の差の最大箇所で分割する。
【0117】
最終的に(d)のように電極分割すると、それぞれの分割された電極を内包する素材の残余部分は少量のものとなるため、無駄がきわめて少なく、電極材料の合理化が図れる。
【0118】
上記の例の場合、分割する方向はZY平面であるが、XY平面で分割することも可能である。分割方向によっては残余の体積が異なるため、残余体積がより少ない方を選択した方が材料の無駄は少なくなる。
【0119】
図32、33は、分割方向の判断方法の概念を説明するための例図を示したものである。なお、この例では分割する位置が複数存在する場合を示している。
【0120】
図32(a)で示すような電極モデルの場合、Z位置の差が最大となる位置は(b)で示す候補1、候補2の2つが存在する。そして、この2つの位置のそれぞれには、分割する方向がZY平面、XY平面の2つ考えられる。したがって、候補1、2で分割後の3つの電極の組合せは、少なくとも(c)〜(f)の4通りが考えられる。ここでは、(c)と(d)について、図33を参照しながら説明する。
【0121】
図33(a)は、候補1、2をZY平面で分割する場合を示している。3つに分割して、それぞれの電極を内包する直方体の体積を合計する。この合計値を体積1とする。候補1のみをXY平面で分割する(b)の場合も同様に、体積合計し、この合計値を体積2とする。
【0122】
このように、すべての場合について体積を求め、体積1、体積2、・・・、体積nを比較して最小の体積となる分割方向を決定する。
【0123】
図34は、この実施形態を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【0124】
この実施形態においては、電極対象部位を抽出したのちに、分割の可否を判断するために電極分割処理判断ステップ25を実行し、引き続いて、分割方向を特定するために複数分割候補評価ステップ26を実行する。ここでは、複数分割候補が存在する場合を示したが、分割位置が1箇所のときにも、同様の評価を行ってもよい。
【0125】
図35には、電極分割処理判断ステップ25と複数分割候補評価ステップ26の詳細動作フローチャートを示している。
【0126】
まず、電極モデルを内包する最小の直方体素材を特定し、その直方体体積から電極体積を引いた差分、すなわち電極部を除いた残余体積を算出する(1001、1002)。その差分が電極体積より大きければ、この電極は分割すべきであると判断する(1003、1004)。(以上、電極分割処理判断ステップ25)
次に、分割する個数を取得し、Z位置の差分の大きい方から候補を抽出し、その候補位置で分割する方向を種々変えて、電極を内包する直方体を特定し、直方体の合計体積が最小となる組合せを決定し、採用された分割方向で分割可能なように電極設計を行う(1005〜1009)。(以上、分割候補評価ステップ26)
以上に示した(1−1)〜(1−5)および(2−1)〜(2−4)には、作業効率の観点から電極対象部位を抽出し、電極形状を決定する方法も示しているが、その作業効率の定量的な評価は特にされていない。次に説明するものは、実際に電極と金型のそれぞれの予想加工時間と、それらの合計時間の算出をシミュレーションするものである。
【0127】
具体的には、次式にもとづいて所要時間を算出する。
【0128】
電極加工時間 = 切削時間 + ワークセット時間
ここで、切削時間は=f(切削量、工具形状、加工条件)
(fは関数、以下同じ))
ワークセット時間は=ワーク置換え回数×セット時間
金型加工時間 = 切削時間 + 放電時間
ここで、切削時間=f(切削量、工具形状、加工条件)+金型セット時間
放電時間=Σ(f(放電加工量、加工条件))
所要時間は、電極加工時間と金型加工時間を合算して求められる。
【0129】
なお、この式で使用される切削量、工具形状、加工条件、セット時間、放電加工量は、電極加工条件マスタDに登録されたデータ、あるいは他のファイルに設定されたデータにもとづいて算出され、あるいはそのまま使用される。
【0130】
このシミュレーションは、上記の(1−1)〜(1−5)、(2−1)〜(2−4)で示したステップの実行後に行えばよい。したがって、たとえば上記のすべての方法をまたは選択された一部を連続的に実行し、その結果である電極対象部位や電極形状を画面に表示させるとともに、上記各加工時間も対応表示させて、その所要時間もオペレータに考慮させた上で、いずれかの結果を選択、決定させるようにしてもよい。
【0131】
このように、このシミュレーションによれば、想定する加工時間を算出しているので、オペレータに対して、作業効率化のための定量的な判断材料を提供することができる。
【0132】
図36は、上記加工時間シミュレーションを実行するコンピュータの動作を示す概略フローチャートである。なお、この図例では、上記(1−1)の方法に適用させたものを示している。
【0133】
【発明の効果】
以上の説明からも理解できるように、請求項1に記載の成形金型用放電加工電極の自動設計方法は、コンピュータに格納した座標や法線方向データを含む3次元成形品モデルデータにもとづいて、電極加工の対象となる部位を自動的に抽出して電極設計しているので、成形品金型モデルデータをまったく必要としない。すなわち、金型設計の着手と同時に電極の設計を行うことができるので、全体として設計期間を短縮化することができる。また、オペレータが指示を与えさえすれば、コンピュータ上で自動で実行されるので、電極設計自体も迅速に行うことができる。
【0134】
請求項2では、各種加工条件データにもとづいて電極対象部位を抽出しているので、工具や加工機での切削が可能な部位を容易に見つけ出すことができ、その結果、電極対象部位をより少なくすることができる。このように電極対象部位を少なくすることで、電極作製にかかる時間を短縮することができ、作業の効率化が図れる。
【0135】
請求項3では、算出した電極対象部位の合計面積が切削可能部位の合計面積より大きい場合に、切削可能部位に変更された面を電極対象部位に戻しているので、法線方向が水平、垂直以外の面は電極加工対象とする設計が行える。その結果、切削加工するために金型を傾ける必要がなく、加工の非効率を回避することができる。また、この方法を実行することにより、連続し異なる加工面が電極対象部位と判断される場合も発生するため、その連続面に対応した1つの電極を作製することもでき、電極作製効率や金型放電加工効率を上げることができる。
【0136】
請求項4では、隣接する電極対象部位の面積が切削可能部位の面積より大きい場合に、その隣接する切削可能部位を電極加工部位に変更しているので、連続する電極対象部位を統合することができる。これにより、連続面に対応した1つの電極を作製すればよく、その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0137】
請求項5では、請求項4の方法で抽出した電極対象部位の合計面積が切削可能部位の合計面積より大きい場合に、全体面を電極対象部位としているので、1つの成形品についてすべての加工面が電極加工対象となる。そのため、1つの成形品に対して1つの電極を作製すればよく、その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0138】
請求項6では、電極対象部位の合計面積よりも切削可能部位の合計面積が大きい場合でも、法線方向が水平、垂直以外であれば電極対象部位としているので、連続する電極対象部位を統合することができ、その連続面に対応した1つの電極を作製すればよい。その結果、放電加工の効率化と高精度化を実現することができる。
【0139】
請求項7では、全法線方向、合計面積が一致すれば、同一土台の電極としているので、放電加工の効率化および電極加工の効率化が図れる。
【0140】
請求項8では、請求項7おいて、Z座標位置の差とXY平面への投影長との比が予め設定されたしきい値を超える程度に高さの差がある場合に別土台としているので、高い側の剛性不足による加工精度の低減を防止することができる。
【0141】
請求項9では、電極を複合モデル化しているので、加工経路を短縮化することができ、その結果、加工の合理化が図れる。
【0142】
請求項10では、所定の条件で複数の電極対象部位の集合を1つの電極モデルに統合しているので、電極そのものの加工の合理化が図れる。
【0143】
請求項11では、電極モデルを内包する直方体素材のうち電極を除く残余の体積が大きい場合には、電極モデルを分割しているので、電極素材の効率的な使用が行える。
【0144】
請求項12では、請求項11において、残余体積が少なくなるような最適分割方向で分割するようにしているので、さらに電極素材を効率的に使用することができる。また、複数の位置で分割する場合でも、すべての分割位置の分割方向の組合せを評価して無駄の少ない分割方法が自動選択されるので、時間を要することなく最適な電極設計が行える。
【0145】
請求項13では、電極を加工するのに要する時間と、金型を加工するのに要する時間を所定の計算式でシミュレーションしているので、オペレータに対して、作業効率化のための定量的な判断材料を提供することができる。
【0146】
請求項14〜16に記載のシステム、プログラム、記録媒体によっても、上記請求項1〜13と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明方法、システムを実現するためのコンピュータの要部構成の一例を示す図で、(b)は、実行すべき各ステップを説明するために成形品形状を示す図である。
【図2】本発明の詳細動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態(1−1)の概念を説明するための例図である。
【図4】(a)は、(1−1)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図で、(b)は、工具の形状例を示す概略図である。
【図5】(a)、(b)は、電極加工条件マスタに登録されている加工条件データの一例を示す図である。
【図6】実施形態(1−1)の詳細動作フローチャートである。
【図7】加工条件データにもとづく電極対象部位抽出の他の例を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態(1−2)の概念を説明するための例図である。
【図9】(1−2)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図10】実施形態(1−2)の詳細動作フローチャートである。
【図11】本発明の実施形態(1−3)の概念を説明するための例図である。
【図12】(1−3)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図13】実施形態(1−3)の詳細動作フローチャートである。
【図14】(a)、(b)は、本発明の実施形態(1−4)の概念を説明するための例図である。
【図15】(1−4)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図16】実施形態(1−4)の詳細動作フローチャートである。
【図17】本発明の実施形態(1−5)の概念を説明するための例図である。
【図18】(1−5)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図19】実施形態(1−5)の詳細動作フローチャートである。
【図20】(a)、(b)は、本発明の実施形態(2−1)の概念を説明するための例図である。
【図21】(2−1)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図22】実施形態(2−1)の詳細動作フローチャートである。
【図23】本発明の実施形態(2−2)の概念を説明するための例図である。
【図24】(2−2)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図25】実施形態(2−2)の詳細動作フローチャートである。
【図26】実施形態(2−2)の他の例を説明するための図である。
【図27】本発明の実施形態(2−3)の概念を説明するための例図である。
【図28】(2−3)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図29】実施形態(2−3)の詳細動作フローチャートである。
【図30】実施形態(2−3)の他の具体例を示す図である。
【図31】本発明の実施形態(2−4)の概念を説明するための例図である。
【図32】本発明の実施形態(2−4)の概念を説明するためのさらに他の例図である。
【図33】本発明の実施形態(2−4)の概念を説明するための例図(図32の続き)である。
【図34】(2−4)を実現するためのコンピュータの実行ステップの一例を示す図である。
【図35】実施形態(2−4)の他の具体例を示す図である。
【図36】加工時間の算出シミュレーションの概略フローチャートである。
【符号の説明】
1・・・成形品モデル入力ステップ
2・・・電極対象部位抽出ステップ
3・・・電極形状生成ステップ
M・・・成形品モデルデータ
D・・・加工条件データ(電極加工条件マスタ)
a、b・・・加工面(電極対象部位、切削可能部位)
Claims (16)
- プログラムされたコンピュータを用いて、コンピュータに格納された座標や法線方向データを含む3次元成形品モデルデータにもとづいて、成形金型用放電加工電極の自動設計を行う方法であって、
3次元成形品モデルデータを読み込む成形品モデル入力ステップと、
読み込まれたモデルデータに含まれているすべての面の法線方向データを分析して、水平、垂直以外の面を電極加工対象と判断し抽出する電極対象部位抽出ステップと、
抽出された電極対象部位を特定したデータを含むモデルデータを、電極対象部位の形状を保持しながらZ軸方向へ掃引加工し、対象の成形品を加工するための放電加工電極を自動的にデータ生成する電極形状生成ステップとを実行することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項1において、
上記コンピュータには、金型を加工するための工具や加工機の加工条件データを保存した電極加工条件マスタがさらに備えられており、
上記電極対象部位抽出ステップでは、上記抽出された電極対象部位の面の法線が側面と交差しない場合は、上記加工条件データを検索して、各部位と合致する工具、加工機が存在すれば、その面は切削加工が可能な面と判断して切削可能部位に変更し、合致するものがなければ電極対象部位と決定することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項2において、
上記電極対象部位抽出ステップでは、
上記成形品モデルデータにもとづいて、上記決定された電極対象部位、切削可能部位の面積をそれぞれ合計し、
電極対象部位の合計面積の方が切削加工可能部位の合計面積よりも大きい場合は、上記変更された切削可能部位を電極対象部位に再変更することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項2において、
上記電極対象部位抽出ステップでは、
電極対象部位と切削可能部位が隣接する場合、両者の面積を比較し、切削可能部位の面積が小さい場合は、その切削可能部位を電極対象部位に変更することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項4において、
上記電極対象部位抽出ステップでは、
上記成形品モデルデータにもとづいて、上記決定された電極対象部位、切削可能部位の面積をそれぞれ合計し、
電極対象部位の合計面積の方が切削加工可能部位の合計面積よりも大きい場合は、すべての面を電極対象部位に変更することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項4において、
上記電極対象部位抽出ステップでは、
上記電極対象部位と切削可能部位の面積比較において、隣接する切削可能部位の面積の方が大きい場合であっても、その切削可能部位の法線方向が水平、垂直以外であれば、その面を電極対象部位に決定することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項4において、
上記電極対象部位抽出ステップを実行した結果、統合された、まとまりのある電極対象部位集合を構成する各面の全法線方向、合計面積がともに一致する集合が複数存在する場合には、その複数の電極対象部位集合について同一土台に配置した電極として生成することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項7において、
上記電極対象部位集合のZ座標位置の差とXY平面への投影長との比が、予め設定されたしきい値を超えている場合は、同一土台に配置しないことを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動生成方法。 - 請求項4において、
上記電極対象部位抽出ステップを実行した結果、統合された、まとまりのある電極対象部位集合が、成形品モデルの中に、複数存在すると判断された場合に、各々の電極対象部位集合をXY平面に投影した形状がともに四角形で、各々の電極対象部位集合を構成する各面の法線の方向が一致し、かつ各々の中心位置が一直線上に存在し正対している場合に、投影した輪郭形状を掃引して生成した複数の電極ブロックの複合モデルにより成形品を加工するようにした電極モデルを生成することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項4において、
上記電極対象部位抽出ステップを実行した結果、統合された、まとまりのある電極対象部位集合が、成形品モデルの中に、複数存在すると判断された場合に、各々の電極対象部位集合を構成する各面の合計面積と各面の法線の位置がともに一致し、法線方向が相互にZ面対称で、かつ成形品モデルデータに干渉しない方向で結合可能な場合に、1つの電極モデルに統合することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項4において、
上記決定された電極対象部位をすべて含む電極モデルの体積と、これを内包する直方体から電極モデル部分を切り取った残余の体積とを比較し、残余体積の方が大きい場合には、上記電極モデルを、Z位置の差が最大となる位置で分割することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動生成方法。 - 請求項11において、
上記分割位置のXYまたはZY平面で分割した場合の個々の電極モデルを内包する最小の直方体の合計体積を算出し、
その合計体積が最小となる分割方向を最適分割方向として決定することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項4〜12のいずれかにおいて、
電極を加工するのに要する時間と、金型を加工するのに要する時間を所定の計算式で算出することを特徴とする、成形金型用放電加工電極の自動設計方法。 - 請求項1〜13のいずれかの成形金型用放電加工電極の自動生成方法を、コンピュータで実行可能にした、成形金型用放電加工電極の自動設計システム。
- 請求項1〜13のいずれかの成形金型用放電加工電極の自動設計方法を、コンピュータで実行できるようにした成形金型用放電加工電極の自動設計プログラム。
- 請求項15に記載の成形金型用放電加工電極の自動設計プログラムを格納した記録媒体。
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JP2003083679A JP2004291097A (ja) | 2003-03-25 | 2003-03-25 | 成形金型用放電加工電極の自動設計方法、システム、プログラムおよび記憶媒体 |
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