JP2004290040A - アワビの立体型高密度飼育装置 - Google Patents

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Toru Tachiyama
透 太刀山
Shigenori Yamaguchi
茂則 山口
Toshiji Shibata
利治 柴田
Takayuki Nagashima
孝之 永島
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Abstract

【課題】水槽内のカゴに付着器を収容し、その付着器を暗く保ちながら垂直方向に広げ、アワビの生育環境を整え、単位面積当たりの飼育密度を向上させる。
【解決手段】アワビ飼育用の水槽1と、その水槽1内に配置されて、アワビを分別して収容するカゴ2と、そのカゴ2内に設置される付着器4とを備えたアワビの立体型高密度飼育装置であって、前記付着器4は合成樹脂製の板を垂直方向に所定間隔で並立させ、その板面にアワビの徘徊孔7を備え、付着器4上面に蓋を備えている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アワビの立体型高密度飼育装置に関し、特に、水槽内のカゴに付着器を収容し、その付着器を暗く保ちながらアワビの生育環境を整え、単位面積当たりの飼育密度を向上させるアワビの立体型高密度飼育装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アワビの飼育方法の一つとして、海洋に設置した生簀で殻長10mmの種苗を天然生海藻を飼料として1年程度育成し、殻長30mm程度まで飼育し、その後、海へ放流する体制をとっている。
しかし、近年の天然の磯漁場では藻場の減少、餌料の海藻類の不足、防疫の困難さなどから、その継続が困難になってきている。
これらの課題を解決するため、陸上水槽を用いた飼育体制への転換が求められている。
そこで、アワビの飼育には、図8に示すような波型の凹凸部を有する付着器20を水槽へ沈めてアワビを増殖させる方法が採用されている。
また、このようなアワビの立体型高密度飼育装置に関する技術として特開平10−146138号公報記載の技術が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−146138号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記図8の付着器20を使用する方法では、アワビは波型の凹凸部の内側と水槽のコーナー部に付着が集中することから、飼育密度を低くしないと十分な成長が得られないという問題があった。
特に、クロアワビは環境やストレスに敏感で、波型の漁礁では大量に飼育することが非常に困難であった。
本発明は係る従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、水槽内のカゴに付着器を収容し、その付着器を暗く保ちながら垂直方向に広げ、アワビの生育環境を整え、単位面積当たりの飼育密度を向上させるアワビの立体型高密度飼育装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための手段として本発明請求項1記載のアワビの立体型高密度飼育装置では、アワビ飼育用の水槽と、その水槽内に配置されて、アワビを分別して収容するカゴと、そのカゴ内に設置される付着器とを備えたアワビの立体型高密度飼育装置であって、前記付着器は合成樹脂製の板を垂直方向に所定間隔で並立させ、その板面にアワビの徘徊孔を備えている。
【0006】
請求項2記載のアワビの立体型高密度飼育装置では、請求項1記載のアワビの立体型高密度飼育装置において、アワビの生育環境を暗くするために付着器上面に蓋を配置した。
【0007】
請求項3記載のアワビの立体型高密度飼育装置では、請求項1記載のアワビの立体型高密度飼育装置において、前記垂直方向に並立させた板間に、板面から壁を突設して凹凸を形成した。
【0008】
請求項4記載のアワビの立体型高密度飼育装置では、請求項3記載のアワビの立体型高密度飼育装置において、前記壁の先端と、対面する板面との間にアワビの徘徊隙間を形成した。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
本発明の一実施の形態に係るアワビの立体型高密度飼育装置Aは図1に示すように、海水を貯留する水槽1と、水槽1内に吊り下げた状態で設置する複数のカゴ2と、カゴ2内に収容してアワビ3を付着させる付着器4を主要な構成としている。
一例として、前記水槽1は1.2t型FRP角型水槽で、縦横数m、深さ数十cmの構成である。底部分の両隅辺には図示しないエアー供給パイプが挿通され、パイプには所定間隔で孔が形成されて、ポンプによって加圧されたエアーがこの孔から噴出するようになっている。
このエアレーション装置によって、水槽1内に緩やかな対流が生じ、カゴ内の水の交換が行われ、残餌は下に落ち、カゴ内はきれいな状態に保たれる。
【0010】
前記カゴ2は縦45cm、横90cm、深さ45cmの形状であり、金網、樹脂網等によって構成されている。一例として、目合い4mmのネトロンネットで作成したものを使用する。このカゴ2は付着器及びアワビ3を収容するものであるが、網目の大きさは収容するアワビの大きさによって設定し、カゴ内のアワビが外に移動しない構成のものを使用する。
各カゴにはアワビの成長段階のほぼ同一のものを収容する。
前記カゴ2は水槽1の上端に掛止されて、上から吊り下げられ、水層の底から一定の高さが保たれている。
【0011】
前記付着器4は図2に示すように、多数の平板5を垂直に配置し、所定間隔で重ね合わせたものであり、四隅に挿通された固定軸6と、その固定軸6にスペーサー8を介して所定間隔で保持された板5によって構成されている。
前記板5は固定軸6に挿通配置されたスペーサー8によって、板5同士の間が15mmに保持されている。
前記板5は金属、セラミック、合成樹脂等によって構成されるが、軽量性、防腐食性の観点から、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン製を使用するのが好ましい。また、色については、クロアワビは暗所を好むことから黒色板が好ましい。
前記付着器4の板5はアワビが付着して成長する部分であり、板5の間隔(スペーサーの幅)はアワビの成長段階によって設定し、間隔は15mm〜30mmとする。
この板5同士の間隔は両側の板のアワビが互いに離合できる間隔とし、収容したアワビの殻高の2倍とする。例えば、殻高10mmのアワビを収容する場合には、板の間隔を20mmとすれば、アワビが自由に離合できる。
また、板5の中央部分には円形の開口が形成され、アワビの徘徊孔7となっている。
【0012】
前記アワビの立体型高密度飼育装置Aのカゴ2にクロアワビを入れると、クロアワビは暗所を好むため板の隙間に入って成長する。このような状態で殻長30mm〜40mm程度に達するまで、給餌しながら飼育を行い、成長後は放流、または別装置に移送して飼育を行う。最終的には70mm〜80mmの出荷可能な大きさまで成長させても良い。
本実施の形態では、カゴ2ごとに成長の異なるアクロワビを収容して分別して飼育することができ、成長段階に応じて効率的に飼育を行うことができる。
残餌、配設物等はカゴ2から下へ落ちるためクロアワビの生育環境も常にきれいに保たれる。
また、クロアワビの徘徊孔7が形成されているので、板5間を自由に行き来して餌の摂取を行うことができる。
【0013】
尚、付着器4内部を暗くするために、上部に1mm厚の塩化ビニル板を配置することにより、遮光されて付着器が暗い状態に保たれて、クロアワビに好適な生育環境が保たれる。
また、水槽1の底には数匹のアワビを入れておくことにより、カゴからこぼれ落ちて水槽の底に堆積した餌の処理がなされる。
【0014】
次に、図3〜図7は実施の形態2に係るアワビの立体型高密度飼育装置である。
実施の形態2に係るアワビの立体型高密度飼育装置は、前記実施の形態で説明した付着器4において、その板5の形状を変化させたものである。そして、その構成は、垂直に配置する板10に複数の徘徊孔11を形成すると共に、垂直板10面から横に壁12,13を突設し、それらの板10を複数枚重ねて並立させている。
前記板10面には、正方形の開口の一角を円弧状に陥入させた徘徊孔11が多数形成され、それらの徘徊孔11が4個集まって、その中心に円筒14が配置されている。
そして、それらの円筒14が8箇所に渡って形成されている。
また、板10面には2本の横壁12と、4本の縦壁13が突設され、それらが板10面を交差して通過し、横壁12・縦壁13によって囲いが形成されている。
【0015】
また、板10の両端の2個の円筒には固定軸15が挿通され、この軸が板を貫通し、板10同士が連結されて並立するようになっている。
前記円筒14の先端は隣接する板10に当接して板10同士の間隔が保持されるのであるが、壁12,13の先はその円筒よりもやや低く形成されている。これは、板10を重ねあわせた時に、対面する板10との間に徘徊隙間が生じ、その隙間をアワビが通過できるようにするためである。
【0016】
本実施の形態の付着器4aでは縦・横に通過する壁12,13によって、板間にアワビの隠れるスペースが形成され、夜行性であるアワビにとって良好な生育環境が形成される。
特に、クロアワビは負の走光性が極めて強いため、形状が複雑で陰影が十分確保できる実施の形態2の付着器では、その効果が大きい。
また、水平方向に伸びる壁は散布した餌を滞留させる棚の役割も有し、アワビが餌を摂取しやすい環境が形成される。
尚、付着器4a内部を暗くするために、その上部に1mm厚の塩化ビニル板を配置することにより、遮光されて付着器が暗い状態に保たれて、クロアワビに好適な生育環境が保たれる。
【0017】
以上本発明を説明したが、本発明の具体的構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、本実施の形態ではクロアワビについて説明したが、エゾアワビ、マダカアワビ、メガイアワビ等に適用することも可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載のアワビの立体型高密度飼育装置においては、水槽内のカゴにアワビを分別収容して飼育を行うので、カゴ単位でアワビの成長段階を分けて、それに応じて飼育を行うことができる。
また、水中のカゴに入れるので、残餌、配設物等はカゴから下へ落ちるためクロアワビの生育環境も常にきれいに保たれる。
そして、付着器を使用するので、アワビの付着面積を広く確保することができ、大量飼育を行うことができる。
水槽の壁面にアワビが付着しないので、水槽の掃除も定期的に容易に行うことができる。
【0019】
請求項2記載のアワビの立体型高密度飼育装置においては、付着器上面に蓋を配置するので、アワビの生育環境が暗く保たれ、負の走光性を有するクロアワビにとって、良好な生育環境が形成される。
【0020】
請求項3記載のアワビの立体型高密度飼育装置においては、垂直方向に並立させた板間に、板面から壁を突設して凹凸を形成したので、アワビにとって隠れるスペースが形成され、アワビにストレスを与えない生育環境が形成される。
【0021】
請求項4記載のアワビの立体型高密度飼育装置においては、壁の先端と、対面する板面との間にアワビの徘徊隙間を形成したので、アワビの移動用の通路が確保され、自由に移動して餌を摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水槽の側面図である。
【図2】実施の形態1に係る付着器の斜視図である。
【図3】実施の形態2に係る付着器の斜視図である。
【図4】実施の形態2に係る付着器の板の平面図である。
【図5】実施の形態2に係る付着器の板の正面図である。
【図6】実施の形態2に係る付着器の板の側面図である。
【図7】実施の形態2に係る付着器の構成を示す説明図である。
【図8】従来例に係るアワビの立体型高密度飼育装置の説明図である。
【符号の説明】
A アワビの立体型高密度飼育装置
1 水槽
2 カゴ
3 アワビ
4 付着器
4a 付着器
5 板
6 固定軸
7 徘徊孔
8 スペーサー
10 板
11 徘徊孔
12 壁
13 壁
14 円筒
15 固定軸
20 付着器

Claims (4)

  1. アワビ飼育用の水槽と、その水槽内に配置されて、アワビを分別して収容するカゴと、そのカゴ内に設置される付着器とを備えたアワビの立体型高密度飼育装置であって、
    前記付着器は合成樹脂製の板を垂直方向に所定間隔で並立させ、その板面にアワビの徘徊孔を備えたことを特徴とするアワビの立体型高密度飼育装置。
  2. アワビの生育環境を暗くするために付着器上面に蓋を配置したことを特徴とする請求項1記載のアワビの立体型高密度飼育装置。
  3. 前記垂直方向に並立させた板間に、板面から壁を突設して凹凸を形成したことを特徴とする請求項1記載のアワビの立体型高密度飼育装置。
  4. 前記壁の先端と、対面する板面との間にアワビの徘徊隙間を形成したことを特徴とする請求項3記載のアワビの立体型高密度飼育装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101378932B1 (ko) * 2012-06-23 2014-03-28 이용철 전복 양식용 배양판조립체
KR20160018440A (ko) * 2015-10-26 2016-02-17 박근우 어패류 성장판
CN107873614A (zh) * 2017-12-19 2018-04-06 泉州市联控自动化科技有限公司 一种可调节角度的多层养殖螃蟹池塘
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