JP2004289965A - 圧電アクチュエータ、これを備えた装置、および圧電アクチュエータの製造方法 - Google Patents

圧電アクチュエータ、これを備えた装置、および圧電アクチュエータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性、エネルギー効率、信頼性を向上させ、かつ薄型化を図れる圧電アクチュエータを提供する。
【解決手段】圧電アクチュエータ2では、箔状のオーバーハング部261,271,281と圧電素子24の電極241,242,243とを接触させて、振動板21と導通基板25との導通を取る。このため、接合時の熱が低い熱溶着等で導通部分を接合できるので、圧電素子24の劣化を防止できる。前記結合部には重みのある部材が設けられず、オーバーハング部261,271,281は抗力も有さないので、振動板21の振動減衰を抑制できる。オーバーハング部261,271,281は柔軟性を有しているので、振動板21の振動でオーバーハング部261,271,281の切断を防止できる。オーバーハング部261,271,281は、厚さが薄いので、圧電アクチュエータ2も薄型化できる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子の変位(振動)で被駆動体を駆動する圧電アクチュエータ、これを備えた装置、および圧電アクチュエータの製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、圧電素子の変位で被駆動体を駆動する圧電アクチュエータを備えた装置が知られている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献1および特許文献2の装置では、圧電アクチュエータの圧電素子に設けられた電極と、圧電アクチュエータを駆動させる駆動回路等とを導線(ウメレット線)により電気的に結合している。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−111991号公報([0065]〜[0067]、図6および図7)
【特許文献2】
特開2002−223576号公報([0033]〜[0054]、図6および図13)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1および特許文献2の圧電アクチュエータのように、圧電素子に設けられた電極と駆動回路等とを導線等により電気的に結合する際には、一般的には半田付けによる結合手段が用いられる。しかし、このような手段を用いると、溶融した半田が電極上に付着し、当該半田の熱により当該圧電素子が劣化するため、圧電アクチュエータの性能や生産性が低下する問題がある。また、圧電アクチュエータの振動が、半田の重みや当該振動に対する導線の抗力により減衰してしまい、圧電アクチュエータのエネルギー効率が低下する問題がある。また、圧電アクチュエータの振動により導線が振動することで、当該導線が断線してしまい、圧電アクチュエータの信頼性が低下する問題がある。
特許文献2の装置では、装置(圧電アクチュエータ)を薄型化できることが効果として挙げられているが、半田の盛り上がり、半田付けされた部分を保護するために設けられる硬化樹脂の厚み、さらには、導線の外径等により装置としての厚みが増してしまうため、薄型化するには限界があった。
【0005】
本発明は、生産性、エネルギー効率、信頼性を向上させることができ、かつ薄型化を図ることができる圧電アクチュエータ、これを備えた装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、前述の目的に加えて圧電素子の電極と駆動回路等とを接合する工程を省くことができ、かつ、製造コストの削減が図れる圧電アクチュエータの製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電極が形成された圧電素子を有する振動板と、前記電極に導通される箔状の導通パターンを有する導通基板とを備え、この導通基板には、前記導通パターンの一部を当該導通基板の端縁から突出させたオーバーハング部が設けられ、このオーバーハング部と前記電極とが接触していることを特徴とする圧電アクチュエータである。
この発明によれば、箔状の導通パターンのオーバーハング部と圧電素子の電極とを接触させることで、当該導通パターンと当該電極との導通を取るので、必要に応じて当該オーバーハング部と当該電極を結合させるときには、結合手段としては半田付けではなく、たとえば超音波溶着等を用いれば良い。そして、この超音波溶着の際に、前記オーバーハング部と前記電極との結合部に加わる熱は、半田付け時のそれに比べて低いので、当該電極が劣化することがなく、圧電アクチュエータの生産性が向上する。
さらに、前記結合部には半田のような重みがある部材が設けられず、さらに前記オーバーハング部(導通パターン)は箔状に形成されているため、導線のような抗力を有していない。したがって、前記オーバーハング部と前記電極との結合を行っても、振動板の振動が外的要因により減衰することがなく、圧電アクチュエータのエネルギー効率が向上する。
そして、前記オーバーハング部は箔状に形成されていることにより柔軟性を有しているので、振動板の振動により当該オーバーハング部が切断することがなく、圧電アクチュエータの信頼性が向上する。
前記オーバーハング部は箔状に形成されているため厚さが薄く、さらに圧電アクチュエータの厚みを増す要因の半田や導線を設けていないので、圧電アクチュエータの薄型化が図れる。
【0007】
本発明では、前記圧電素子は、前記振動板の両面に設けられ、一方の面に設けられた圧電素子の電極と、他方の面に設けられた圧電素子の電極との導通を、1つの前記導通基板で取ることが望ましい。
この発明によれば、振動板の一方の面に設けられた圧電素子の電極と、他方の面に設けられた圧電素子の電極との導通を、1つの導通パターンで取る構成とするので、部材コストの削減が図れる。
【0008】
本発明では、前記オーバーハング部の表面には、前記電極側に突出した突起部が設けられていることが望ましい。
この発明によれば、オーバーハング部の表面に、圧電素子の電極側に突出した突起部を設けるので、当該オーバーハング部がねじれたり撓んだりしても、当該突起部は常に当該電極に接触している。したがって、前記突起部を前記電極に必要に応じて圧着や溶着する際に、たとえば器機類の振動によって、当該両者が離れることがないので、圧着や溶着の作業が容易になる。
【0009】
本発明では、前記オーバーハング部の長手方向の途中には、前記圧電素子から離間するように湾曲した湾曲部が設けられていることが望ましい。
この発明によれば、オーバーハング部の長手方向の途中に、圧電素子から離間するように湾曲した湾曲部を設けるので、当該圧電素子の同一面内に設けられた複数の電極のうち、隣接しない電極同士を電気的に接合する際に、接合される電極間に配設された絶縁されるべき電極等を跨いで導通が取れるようになり、絶縁のために特別な手段や処理を施す必要がない。また、1つの導通パターンで同一面内に設けられた複数の電極の導通を取ることができ、部材コストの削減が図れる。
【0010】
本発明では、前記オーバーハング部の前記電極と接触する部分、および前記電極の前記オーバーハング部と接触する部分のうち、少なくとも一方に微小な凹凸部を設けることが望ましい。
この発明によれば、オーバーハング部における圧電素子の電極と接触する導通パターン接触部分、および、当該電極の当該オーバーハング部と接触される電極接触部分のうち、少なくとも一方に微小な凹凸部を設けるので、この両者を接触させると、当該凹凸部が当該導通パターン接触部分および/または当該電極接触部分に突き刺さるような構成となり、前記オーバーハング部と前記電極との導通が確実に取れる。
【0011】
本発明では、前記オーバーハング部と前記電極とは、前記振動板の振動の節近傍で接触していることが望ましい。
この発明によれば、オーバーハング部と圧電素子の電極とを、振動板の振動の節近傍で接触させるので、当該振動板が振動したときの当該オーバーハング部の振動が抑えられる。したがって、振動板の振動により前記オーバーハング部が切断することがないので、剛性を有さない箔状の導通パターンでも駆動制御回路と圧電素子との導通が確実に取れる。また、前記オーバーハング部が切断することがないので、圧電素子と導通基板とを密着させる必要がない。このため、振動板が振動しても、当該圧電素子と当該導通基板とが接触することがないから、振動板の振動の減衰が抑えられ、圧電アクチュエータのエネルギー効率が向上する。
【0012】
本発明では、前記電極は、前記オーバーハング部によって形成されていることが望ましい。
この発明によれば、圧電素子の電極を、オーバーハング部により形成するので、圧電素子の電極とオーバーハング部とを接合する工程が不要になる。
【0013】
本発明では、前記オーバーハング部は、前記電極に相当する電極部と、前記導通基板の端縁から突出して当該電極部にわたって設けられた基端部とで構成され、この基端部は、当該電極部よりも厚く形成されていることが望ましい。
この発明によれば、オーバーハング部を、電極に相当する電極部と、導通基板の端縁から突出して当該電極部にわたって設けられる基端部とで構成し、この基端部を当該電極部よりも厚く形成するので、当該基端部が切断しにくくなるとともに、当該導通パターンの電気抵抗が下がり、大きなエネルギーを入力できる。したがって、圧電アクチュエータの信頼性向上、大出力化、駆動効率向上が可能になる。また、圧電素子の振動を減衰させる電極の影響が低減するため、圧電アクチュエータのエネルギー効率が向上する。
【0014】
本発明では、前記電極部と前記基端部とは、前記振動板の振動の節近傍で結合していることが望ましい。
この発明によれば、電極部と基端部とを、振動板の振動の節近傍で結合させるので、当該振動板が振動したときの当該基端部の振動が抑えられる。したがって、振動板の振動により前記基端部が切断することがないので、剛性を有さない箔状の導通パターンでも駆動制御回路と圧電素子との導通を確実に取れる。また、前記基端部が切断することがなく、導通基板を圧電素子の近傍に設ける必要がないので、当該導通基板と当該圧電素子とが接触することがなく、振動板の振動の減衰が抑えられ、圧電アクチュエータのエネルギー効率が向上する。
【0015】
本発明では、前記圧電素子と前記導通基板の端縁とは、当該圧電素子の略面内方向に離間していることが望ましい。
この発明によれば、圧電素子(振動板)と導通基板とを、当該圧電素子の略面内方向に離間させるので、振動板の振動により当該圧電素子と当該導通基板とが接触することがなく、また、当該圧電素子と当該導通基板との間には、柔軟性を有する箔状の導通パターンのみが存在するので、当該振動により当該導通パターンに抗力が生じることがない。したがって、振動板の振動の減衰がより確実に抑えられるとともに、圧電アクチュエータのエネルギー効率が向上する。
【0016】
本発明では、前記導通基板は、前記圧電素子の近傍に固定されていることが望ましい。
この発明によれば、導通基板を、圧電素子の近傍に固定するので、振動板が振動しても、この振動が当該導通基板に伝わることがなく導通パターンが振動しないので、当該振動による導通パターンの切断を抑えられる。したがって、圧電アクチュエータの小型化が図れるとともに、圧電アクチュエータの信頼性が向上する。
【0017】
本発明では、前記導通パターンは、駆動制御回路の配線パターンと一体的に形成されていることが望ましい。
この発明によれば、導通パターンを、駆動制御回路の配線パターンと一体的に形成するので、圧電アクチュエータの製造が容易になり生産性が向上するとともに、当該導通パターンと当該配線パターンとを別々に設けた際に問題となる両者間の接触不良が生じにくくなり、圧電アクチュエータの信頼性が向上する。
【0018】
本発明の装置は、前述の圧電アクチュエータを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、前述の圧電アクチュエータを備えているので、前述のような効果を奏する装置の提供が可能になる。
【0019】
本発明の圧電アクチュエータの製造方法は、電極が形成された圧電素子を有する振動板と、前記電極に導通される箔状の導通パターンを有する導通基板とを備え、この導通基板には、前記導通パターンの一部を当該導通基板の端縁から突出させたオーバーハング部が設けられているとともに、前記電極が当該オーバーハング部によって形成されている圧電アクチュエータを製造するための圧電アクチュエータの製造方法であって、導体膜をシート上に形成しておき、この導体膜と前記圧電素子とが対向するように当該シートを当該圧電素子の表面に貼り付けた後、当該シートのみを当該圧電素子から取り除くことで当該表面に前記導体膜による前記電極を形成することを特徴とする。
この発明によれば、導通パターンの一部であるオーバーハング部により形成され圧電素子に設けられる電極をシート上に導体膜で形成し、この導体膜と当該圧電素子とが対向するように当該シートを当該圧電素子の表面に貼り付けた後、当該シートのみを当該圧電素子から取り除くことで当該表面に前記導体膜による前記電極を形成するので、前記オーバーハング部と前記電極とを、接合する工程が不要になる。さらに、圧電素子に電極を形成する際に、メッキやエッチング等の手段を用いる必要がなく、製造コストの削減が図れる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第2実施形態以降の実施形態において、第1実施形態の構成部品と同じ部品および同様の機能を有する部品については、同一符号または同一名称を付しその説明を省略もしくは簡略化する。
【0021】
[第1実施形態]
図1には、第1実施形態にかかる駆動装置10の平面図が示されている。この駆動装置10は、円盤状の基部11と、この基部11の外周に複数のボール12Aを介して回転可能に設けられた環状の被駆動体12と、電圧が印加されることで振動し、この振動で被駆動体12を駆動する圧電アクチュエータ2と、この圧電アクチュエータ2を支持する支持部材3とを備えている。これらの構成のうち、圧電アクチュエータ2は、図2(A)に示すように、振動板21と、導通基板25とを備えている。
【0022】
振動板21は、略矩形平板状に形成された補強板23と、この補強板23の片面にエポキシ系接着剤で接着された略矩形状の圧電素子24とを備えている。ここで、補強板23と圧電素子24に設けられた導電膜(後述)との間に図示しない接着層が形成されるが、当該両者の表面にはそれぞれ微視的に凹凸が形成されており、これらの凹凸部分がランダムに接触することにより補強板23と当該導電膜とが導通している。なお、接着剤はエポキシ系のものに限らず、硬度や耐久性の面を考慮して他の系の接着剤を用いることができる。
【0023】
補強板23は、ステンレス鋼、その他の材料から構成されている。補強板23の長手方向一端側の幅方向略中央には、当接部231が一体的に形成されている。補強板23の長手方向略中央には、当該長手方向に直交する方向に突出した腕部232が一体的に形成されており、この腕部232にはねじ34が挿通される図示しない孔が穿設されている。補強板23は、図1に示すように、当接部231の先端が被駆動体12の内周に当接されるように、かつ、前記内周の接線方向にほぼ直角に(つまり径方向に沿うように)配置されている。
【0024】
圧電素子24は、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT(登録商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種材料により形成されている。この圧電素子24の寸法や厚さは、振動板21に励振される縦振動の共振周波数に対する屈曲振動の共振周波数の比が、1.00よりも大きく1.03よりも小さくなるように設定されている。また、圧電素子24の長辺の長さを1としたときに短辺の長さが、0.274となるように形成されている。このような構成にすることにより、振動板21が振動したときの、当接部231が描く楕円軌道の振幅が大きくなるので、被駆動体12を高効率で駆動させることができる。
この圧電素子24の補強板23と対向する面の全域には、ニッケルおよび金などによる図示しない導電膜がめっき、スパッタ、蒸着等の方法で形成されている。また、この面と反対側の面つまり振動板21の表面にも、当該表面の全域に同様な導電膜が形成されている。そして、この導電膜を、幅方向にほぼ三等分するような二本の溝24A、および、三等分された導電膜のうちの両側の部分を長手方向にほぼ二等分するような二本の溝24Bを形成することにより、電気的に絶縁された5つの電極が形成されている。
これらの電極のうち、前記三等分された中央の部分は、振動板21を振動させる中央駆動電極241であり、前記二等分された両側のうちの図1における左上部分および右下部分は、振動板21を振動させる対称駆動電極242であり、左下部分および右上部分は、当該振動に伴う検出電圧を出力する変位検出電極243になっている。溝24A,24Bは、エッチング、ダイシングソー、レーザ加工等で形成されている。
なお、各電極241,242,243を個別にめっき、スパッタ、蒸着することで形成しても良い。
【0025】
導通基板25は、ポリイミド樹脂、その他の絶縁性材料から構成され、図1に示すように略コ字平板状に形成されている。この導通基板25は、略矩形状の回路形成部251と、この回路形成部251の長手方向両端から当該長手方向と直交する方向に延出した導通パターン形成部252とを備えている。この導通基板25は、支持部材3に固定されたときに、導通パターン形成部252の固定部252Aと圧電素子24とが、当該圧電素子24の略面内方向に離間するように、かつ、当該導通パターン形成部252が、当該圧電素子24の近傍に位置するように構成されている。
【0026】
回路形成部251には、駆動制御回路を構成する駆動回路および検出制御回路を備えたIC29が設けられている。このIC29は、基部11の裏面(圧電アクチュエータ2が設けられていない面)に設けられた図示しない電源に、電気的に接続されている。このような構成にすることにより、電源からの電圧を、IC29を介して圧電アクチュエータ2に印加することができる。
【0027】
各導通パターン形成部252には、銅等の導電性材料により箔状に形成された導通パターン26,27,28が、互いに接触しないように設けられている。各導通パターン形成部252の長手方向(突出方向)先端側には、支持部材3に固定される前記固定部252Aが設けられており、この固定部252Aが、ねじ34で固定されている。
【0028】
また、図2(A)には、圧電アクチュエータ2および支持部材3の斜視図が示されている。なお、前述したように、圧電素子24(振動板21)は、長辺の長さを1としたときに、短辺の長さが0.274となるように形成されているが、図2(A)およびこれ以降に示す圧電アクチュエータの斜視図については、全体を図示するために、圧電素子24の長手方向を作図上短く描いている。
図2(B)には、導通パターン26,28の拡大図が示されている。この図2(B)に示された導通パターン26,28は、これらの構造を理解しやすくするために誇張して描かれており、実際にこれらの部材は厚さ数ミクロンに形成されている。
【0029】
導通パターン26は、前記駆動回路と中央駆動電極241とを電気的に接続するものであり、図2(A)における右斜め下の導通パターン形成部252の長手方向に沿って、幅方向略中央に設けられている。この導通パターン26は、基端側が前記駆動回路の図示しない配線パターンと一体的に形成され、先端側が導通パターン形成部252の固定部252Aで振動板21側に屈曲している。導通パターン26の先端側は、固定部252Aの端縁252Bから突出し、中央駆動電極241側に延びるオーバーハング部261になっている。このオーバーハング部261の先端側は、基端側に比べて中央駆動電極241に近接するように曲げられている。このオーバーハング部261は、図2(A)に示すように、溝24Bの上方に配置されており、当該オーバーハング部261の幅は、溝24Bの幅よりも狭く形成されている。このような構成にすることにより、上方からの外力でオーバーハング部261が変形しても、この変形した部分は溝24Bに入り込むので、中央駆動電極241以外の対称駆動電極242や変位検出電極243との接触を防ぐことができる。
オーバーハング部261の先端側には、中央駆動電極241に接合される略半球状の突起部262が設けられている。この突起部262の球面部は、図2(A)に示すように、中央駆動電極241の略中央つまり振動板21の振動の節近傍に、熱溶着や超音波溶接等により接合されている。なお、ここでは図示しないが、突起部262の球面部および中央駆動電極241の表面には、微小な凹凸部が形成されている。このような凹凸部を形成することにより、突起部262と中央駆動電極241とを接触させたときに、この凹凸部が互いに突き刺さるようになり、導通が確実に得られるようになっている。
【0030】
導通パターン27(28)は、前記駆動回路(前記検出制御回路)と対称駆動電極242(変位検出電極243)とを電気的に接続するものであり、両方の導通パターン形成部252の長手方向に沿って、幅方向一端側(他端側)に設けられている。導通パターン27(28)は、基端側が前記駆動回路(前記検出制御回路)の図示しない配線パターンと一体的に形成され、先端側が導通パターン形成部252の固定部252Aで振動板21側に屈曲している。導通パターン27(28)の先端側は、当該導通パターン形成部252の端縁252Bから突出して対称駆動電極242(変位検出電極243)側に延びるオーバーハング部271(281)になっている。このオーバーハング部271(281)の先端側には、対称駆動電極242(変位検出電極243)の中央駆動電極241の中心近傍、つまり振動板21の振動の節近傍に接合される突起部272(273)が設けられている。
なお、オーバーハング部271(281)および突起部272(282)の形状、突起部272(282)と対称駆動電極242(変位検出電極243)との接合方法は、導通パターン26におけるそれらと同様なので、ここでは説明を省略する。
【0031】
駆動回路は、中央駆動電極241および対称駆動電極242に電圧を印加して振動板21を振動させるものである。ここで、中央駆動電極241および対称駆動電極242に印加される電圧の周波数は、振動板21の振動時に縦振動共振点の近くに屈曲共振点が現れて当接部231が良好な楕円軌道を描くように設定される。なお、電圧の波形は特に限定されず、例えばサイン波、矩形状波、台形波などが採用できる。
検出制御回路は、変位検出電極243に生じる検出電圧を検出することで振動板21の振動を検出するとともに、当該検出電圧の振幅が最大となるように駆動回路から発せられる電圧の周波数を制御するものである。
【0032】
支持部材3は、図2(A)に示すように、略矩形板状の支持体31と、4つのスペーサ32とを備えている。まず、スペーサ32は、支持体31に対する振動板21および導通基板25の高さ方向の位置決めをするものであり、絶縁性材料により略矩形ブロック状に形成されている。支持体31は、図1に示すように、基部11に取り付けられており、振動板21に設けられた当接部231の被駆動体12に対する当接力を調整する図示しない当接力調整手段により、振動板21の長手方向に沿ってスライド可能に設けられている。支持体31の長手方向両端側には、図2(A)に示すように、スペーサ32を介して補強板23の腕部232が載置されている。この腕部232にはさらに、スペーサ32を介して、導通パターン26,27,28が下側になるように導通パターン形成部252(導通基板25)が載置されている。これらの導通パターン形成部252、各スペーサ32、腕部232は、ねじ34により支持体31に固定されている。
【0033】
このような駆動装置10は、次のように動作する。
前記駆動回路により、圧電素子24の中央駆動電極241および対称駆動電極242に電圧を印加する。すると、振動板21は、主に中央駆動電極241によって長手方向に伸縮する、いわゆる縦振動を励振する。また、中央駆動電極241の両側では、対称駆動電極242に電圧が印加されるため、当該両側において圧電素子24が非対称に伸縮し、縦振動に直交する方向に、圧電素子24の平面中央に対して点対称に屈曲する、いわゆる屈曲振動も励振する。
これらの縦振動および屈曲振動が同時に現れることにより、振動板21の当接部231は図1に示されるように、楕円軌道を描いて振動することとなる。当接部231は、この楕円軌道の一部において被駆動体12の内周面を押圧することによって被駆動体12を図1に示す矢印R方向に回転させる。これを所定周波数で繰り返すことにより、被駆動体12は一方向に所定の回転速度で回転する。なお、対称駆動電極242と変位検出電極243との接続を切り替えることで、被駆動体12の回転方向を切り替えることが可能である。
【0034】
この被駆動体12の回転速度は、中央駆動電極241および対称駆動電極242に印加される電圧の周波数を調整することで調整されている。具体的には、振動板21が振動すると、この振動に伴い変位検出電極243が変形し、この変位検出電極243には、前記変形に伴う圧電効果により検出電圧が生じる。この検出電圧が前記検出制御回路に入力されると、当該検出制御回路は、入力された検出電圧の振幅が最大となるように前記駆動回路を制御し、中央駆動電極241および対称駆動電極242に印加される電圧の周波数を調整する。
【0035】
このような第1実施形態によれば、以下に示すような効果がある。
(1)駆動装置10の圧電アクチュエータ2に用いられている導通基板25では、箔状の導通パターン26,27,28によるオーバーハング部261,271,281と、圧電素子24の中央駆動電極241、対称駆動電極242、変位検出電極243とを接触させることで、導通パターン26,27,28と各電極241,242,243とが導通しているので、オーバーハング部261,271,281と各電極241,242,243とを接合させるときには、半田付けではなく熱溶着や超音波溶接等を用いることができる。そして、これらの作業の際に、オーバーハング部261,271,281と各電極241,242,243との結合部に加わる熱は、半田付け時のそれに比べて低いので、各電極241,242,243が劣化することがなく、圧電アクチュエータ2の生産性を向上させることができる。
さらに、前記結合部には半田のような重みがある部材が設けられず、さらにオーバーハング部261,271,281は箔状に形成されているため、導線のような抗力を有していない。このため、オーバーハング部261,271,281と各電極241,242,243とを接合しても、振動板21の振動が外的要因により減衰することがなく、圧電アクチュエータ2のエネルギー効率を向上させることができる。
そして、オーバーハング部261,271,281は箔状に形成されていることにより柔軟性を有しているので、振動板21の振動によりオーバーハング部261,271,281が切断することがなく、圧電アクチュエータ2の信頼性を向上させることができる。
オーバーハング部261,271,281は箔状に形成されているため厚さが薄く、さらに圧電アクチュエータ2の厚みを増す要因の半田や導線を設けていないので、圧電アクチュエータ2を薄型化できる。
【0036】
(2)オーバーハング部261,271,281の圧電素子24と対向する面には、各電極241,242,243側に突出した突起部262,272,282が設けられているので、オーバーハング部261,271,281がねじれたり撓んだりしても、突起部262,272,282を常に各電極241,242,243に接触させることができる。したがって、突起部262,272,282を各電極241,242,243に熱溶着や超音波溶接する際に、たとえば器機類の振動によって、当該両者が離れることがなく、前記作業を容易にできる。
【0037】
(3)オーバーハング部261,271,281の各電極241,242,243に接触する部分、つまり突起部262,272,282の球面部、および、各電極241,242,243の表面には、微小な凹凸部が設けられているので、当該両者を接触させたときに、当該凹凸部同士が突き刺さるような構成にでき、オーバーハング部261,271,281と各電極241,242,243との導通を確実に取ることができる。また、突起部262,272,282と各電極241,242,243との接触部の面積は小さく、熱溶着や超音波溶接する際には、当該接触部は応力が集中したり高抵抗となって発熱量が大きくなるので、熱溶着や超音波溶接を容易にできる。
【0038】
(4)オーバーハング部261,271,281の突起部262,272,282と各電極241,242,243とが、振動板21の振動の節近傍で接合されているので、振動板21が振動したときのオーバーハング部261,271,281の振動を抑えることができる。このため、振動板21の振動によりオーバーハング部261,271,281が切断することがないので、剛性を有さない箔状の導通パターン26,27,28でも駆動制御回路と圧電素子24との導通を確実に取ることができる。また、オーバーハング部261,271,281が切断することがないので、圧電素子24と導通基板25とを密着させる必要がない。したがって、振動板21が振動しても圧電素子24と導通基板25とが接触することがないため、振動板21の振動の減衰を抑えることができ、圧電アクチュエータ2のエネルギー効率を向上させることができる。
【0039】
(5)導通パターン形成部252に設けられた固定部252Aの端縁252Bと圧電素子24(振動板21)とが、当該圧電素子24の略面内方向に離間しているため、振動板21の振動により当該圧電素子24と導通パターン形成部252(導通基板25)とが接触することがない。また、圧電素子24と導通パターン形成部252との間には、固定部252Aから突出した柔軟性を有する箔状の導通パターン26,27,28のみが存在するので、前記振動により導通パターン26,27,28に抗力が生じることがない。以上のことから、振動板21の振動の減衰をより確実に抑制できるとともに、圧電アクチュエータ2のエネルギー効率を向上させることができる。
【0040】
(6)導通パターン形成部252が圧電素子24の近傍に固定されているので、振動板21が振動しても、この振動が導通基板25に伝わることがないうえ、導通パターン26,27,28が振動しないことで、当該振動による導通パターン26,27,28の切断を抑えることができる。したがって、圧電アクチュエータ2の小型化が促進できるとともに、圧電アクチュエータ2の信頼性を向上させることができる。
【0041】
(7)導通パターン26,27,28は、駆動制御回路の配線パターンと一体的に形成されているので、圧電アクチュエータ2の製造が容易になり生産性を向上させることができるとともに、導通パターン26,27,28と当該配線パターンとを別々に設けた際に問題となる両者間の接触不良が生じることがなく、圧電アクチュエータ2の信頼性を向上させることができる。
【0042】
[第2実施形態]
図3(A)には、駆動装置10に用いられる第2実施形態の圧電アクチュエータ4および支持部材5の斜視図が示されている。図3(B)には、導通パターン46の拡大断面図が示されている。この図3(B)に示された導通パターン46は、その構造を理解しやすくするために誇張して描かれており、実際にこれらの部材は厚さ数ミクロンに形成されている。
【0043】
圧電アクチュエータ4は、図3(A)に示すように、振動板41と、2つの回路形成部材451と、導通基板としての2つの導通パターン形成部材452とを備えている。
【0044】
振動板41は、略矩形平板状に形成された補強板43と、この補強板43の両面にそれぞれ接着された圧電素子24とを備えている。ここで、圧電素子24と補強板43とは、第1実施形態と同様の構造で導通が取られている。
補強板43の長手方向一端側の幅方向略中央には、当接部431が一体的に形成されている。補強板43の長手方向略中央には、当該長手方向に直交する方向に突出した腕部432が一体的に形成されており、この腕部432の先端側には、前記長手方向と平行な方向に突出した被支持部433が一体的に形成されている。つまり、補強板43の長手方向略中央には、腕部432および被支持部433により構成される略T字状の部材が設けられている。また、腕部432の先端側には、図3(B)に示すように、ねじ34が挿通される孔432Aが穿設されている。
各圧電素子24は、図3(A)に示すように、中央駆動電極241と、対称駆動電極242と、変位検出電極243とをそれぞれ備えている。また、補強板43の表面に設けられた圧電素子24の各電極241,242,243と、裏面に設けられた圧電素子24の各電極241,242,243とは、補強板43を介してそれぞれ対応する位置に配設されている。
【0045】
回路形成部材451は、ポリイミド樹脂、その他の絶縁性材料から構成されている。この回路形成部材451の先端側には、支持部材5に固定される固定部451Aが設けられており、この固定部451Aには、ねじ34が挿通される孔451Bが穿設されている。この回路形成部材451の裏面には、駆動制御回路を構成する駆動回路および検出制御回路を備えた図示しないICと、前記駆動回路の配線パターン456および2本の配線パターン457と、前記検出制御回路の2本の配線パターン458とが設けられている。配線パターン456の孔451Bに対応する部分は、リング状に形成されている。このリング状部分は、孔451Bの外周に接しないように形成されており、これにより、図3(B)に示すように、ねじ34との接触を防ぐことができる。
【0046】
導通パターン形成部材452は、長手方向両端を対向させるように屈曲させた断面略U字状に形成されている。この導通パターン形成部材452の両端側には、支持部材5に固定される固定部452Aが設けられており、この固定部452Aには、ねじ34が挿通される孔452Bが穿設されている。この導通パターン形成部材452は、支持部材5に固定されたときに、固定部452Aの端縁452Cと圧電素子24とが、当該圧電素子24の略面内方向に離間するように、かつ、当該圧電素子24の近傍に位置するように構成されている。
【0047】
導通パターン46,47,48は、銅等の導電性材料により略矩形箔状に形成されており、互いに接触しないようにそれぞれ対応する導通パターン形成部材452の外周面に設けられている。
【0048】
導通パターン46は、振動板41の両面に設けられた中央駆動電極241同士を導通させ、これらと前記駆動回路とを電気的に接続するものである。この導通パターン46は、図3(A)における右斜め下の導通パターン形成部材452の外周面の長手方向に沿って、幅方向略中央に設けられている。この導通パターン46の両端側は、固定部452Aの端縁452Cから突出し中央駆動電極241側に延びるオーバーハング部461になっている。各オーバーハング部461の先端側には、中央駆動電極241の略中央つまり振動板41の振動の節近傍にそれぞれ接合される突起部462が設けられている。導通パターン46の孔451Bに対応する部分は、配線パターン456のリング状部分と同形状に形成されており、これにより、ねじ34との接触を防ぐことができる。
【0049】
導通パターン47(48)は、振動板41の両面のそれぞれ対応する位置に設けられた対称駆動電極242(変位検出電極243)同士を導通させ、これらと前記駆動回路(前記検出制御回路)とを電気的に接続するものである。導通パターン47(48)は、両方の導通パターン形成部材452の外周面の長手方向に沿って、幅方向一端側(他端側)に設けられている。この導通パターン47(48)の両端側は、固定部452Aの端縁452Cから突出し対称駆動電極242(変位検出電極243)側に延びるオーバーハング部471(481)になっている。各オーバーハング部471(481)の先端側には、対称駆動電極242(変位検出電極243)の中央駆動電極241の中心に近接する部分、つまり振動板41の振動の節近傍に接合される突起部472(482)が設けられている。
【0050】
図3(A)における右斜め下の導通パターン形成部材452に設けられた導通パターン46(48)には、配線パターン457(456,457)との絶縁を取るための絶縁テープ463が貼り付けられている。また、左斜め上の導通パターン形成部材452に設けられた導通パターン47にも、配線パターン458との絶縁を取るための図示しない絶縁テープが貼り付けられている。
なお、オーバーハング部461,471,481および突起部462,472,482の形状、突起部462,472,482と各電極241,242,243との接合方法は、第1実施形態のそれらと同様なので、ここでは説明を省略する。
【0051】
支持部材5は、図3(A)に示すように、金属製材料により略矩形平板状に形成された支持体51と、この支持体51の各隅部表面から当該表面と直交する方向に突出された振動板支持部52,53,54,55と、略矩形ブロック状の2つのスペーサ56および4つのスペーサ57とを備えている。支持体51の長手方向両端側には、ねじ34が螺合されるねじ孔511が穿設されている。スペーサ56は、支持体51に対する導通パターン形成部材452の高さ方向の位置決めをするものであり、ばね性および絶縁性を有する材料により構成されている。スペーサ57は、導通パターン形成部材452に対する振動板41の高さ方向の位置決めをするものであり、絶縁性材料により構成されている。また、スペーサ56,57にも、ねじ34が挿通される孔56A,57Aが穿設されている。
【0052】
以下には、圧電アクチュエータ4の支持部材5への取付構造について説明する。なお、支持部材5は、ここでは図示しないが、第1実施形態と同様の構造により基部11に取り付けられている。
支持部材5の支持体51の振動板支持部52,53が形成する空間、および、振動板支持部54,55が形成する空間には、図3(B)に示すように、スペーサ56が載置されている。このスペーサ56には、当該スペーサ56と導通パターン46,47,48とが対向するように、導通パターン形成部材452が載置されている。この導通パターン形成部材452の内周面が形成する空間には、補強板43の腕部432が配置され、この腕部432の表裏面には、スペーサ57が配置されている。ここで、図3(A)に示すように、補強板43の被支持部433は、振動板支持部52,53,54,55に当接されている。これにより、補強板43は、被支持部433、振動板支持部52,53,54,55、および支持体51を介して接地している。導通パターン形成部材452の図3(B)における上側の外周面には、導通パターン46,47,48と配線パターン456,457,458とを接触させるように回路形成部材451が載置されている。これにより、各電極241,242,243と、これら各電極241,242,243に対応する前記駆動回路または前記検出制御回路とが電気的に接続される。この回路形成部材451には、固定部451Aに均等に圧力をかけるためのワッシャ58が載置されている。これらの回路形成部材451、導通パターン形成部材452、スペーサ56,57は、ねじ34により、支持体51に固定されている。ここで、スペーサ56はばね性を有しているので、ねじ34を螺合する際に、回路形成部材451を導通パターン形成部材452に押し付けることができ、導通パターン46,47,48と配線パターン456,457,458とを確実に接触させることができる。さらに、被支持部433と、振動板支持部52,53,54,55とを確実に接触させることができる。
【0053】
このような第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(6)の効果に加え、以下に示す効果がある。
(8)振動板41の両面の圧電素子24における、互いに対応する位置に設けられた各電極241,242,243間の導通を、1つの導通パターン形成部452に設けられた導通パターン46,47,48の両端側の突起部462,472,482と、当該各電極241,242,243とを接触させることで取ることができるので、部材コストを削減できる。
【0054】
[第3実施形態]
図4には、第3実施形態にかかる駆動装置13を有する時計の日付表示機構14の要部の拡大平面図が示されている。この駆動装置13は、円盤状(図4では、一部のみ図示)の基部15と、この基部15の外周に回転可能に設けられた環状平板状に形成された日車16と、電圧が印加されることで振動し日車16を駆動する圧電アクチュエータ6と、この圧電アクチュエータ6を支持する支持部材7とを備えている。日車16は、日付を表示するものであり、表面には日付が描かれている。
なお、図示はしないが、この日付表示機構14は、時計のケースに収納され、日車16の一部が文字板に形成された窓から視認可能となっている。
【0055】
図5(A)には、圧電アクチュエータ6および支持部材7の斜視図が示されている。図5(B)には、導通パターン66の拡大断面図が示されている。この図5(B)に示された導通パターン66は、これらの構造を理解しやすくするために誇張して描かれており、実際にこれらの部材は厚さ数ミクロンに形成されている。
【0056】
圧電アクチュエータ6は、図5(A)に示すように、振動板61と、2つの導通基板65とを備えている。
【0057】
振動板61は、略矩形平板状に形成された補強板63と、2つの略矩形状の圧電素子64とを備えている。
補強板63の長手方向一端側の幅方向略中央には、当接部631が一体的に形成されている。補強板63の長手方向略中央には、当該長手方向に直交する方向に突出した腕部632が設けられ、この腕部632の先端側には、環状の取付部633が設けられている。取付部633には、図5(B)に示すように、ねじ34が挿通される孔633Aが設けられている。補強板63は、図4に示すように、当接部631の先端が日車16の内周に接するように、かつ、前記内周の接線方向にほぼ直角に(つまり径方向に沿うように)配置されている。
【0058】
圧電素子64は、第1実施形態の圧電素子24と同じ材料により形成されている。圧電素子64の寸法や厚さは、振動板61に励振される縦振動の共振周波数に対する屈曲振動の共振周波数の比が、1.00よりも大きく1.03よりも小さくなるように設定されている。また、圧電素子64の長辺の長さを1としたときに短辺の長さが、0.274となるように形成されている。圧電素子64は、分極処理のみが施されており、補強板63の両面に接着されている。ここで、補強板63と圧電素子64との接着面には、図示しない接着層が形成されるが、当該両者の表面にはそれぞれ微視的に凹凸が形成されており、この凹凸部分がランダムに接触することにより補強板63と圧電素子64とが導通している。なお、接着剤は、硬度や耐久性の面を考慮して様々な系の接着剤を用いることができる。
【0059】
導通基板65は、ポリイミド樹脂、その他の絶縁性材料から構成され、図示しない時計制御回路に接続されている。導通基板65は、略矩形状の回路形成部651と、この回路形成部651の長手方向両端から当該長手方向と直交する方向に延出した導通パターン形成部652とを備えている。導通基板65は、支持部材7に固定されたときに、導通パターン形成部652の固定部652Aと圧電素子64とが、当該圧電素子64の略面内方向に離間するように、かつ、当該導通パターン形成部652が当該圧電素子64の近傍に位置するように構成されている。
【0060】
各導通パターン形成部652には、銅等の導電性材料により箔状に形成された導通パターン66,67,68が、互いに接触しないようにそれぞれ対応する導通パターン形成部652の振動板61に対向する面に設けられている。各導通パターン形成部652の長手方向(突出方向)先端側には、支持部材7に固定される固定部652Aが設けられており、この固定部652Aには、図5(B)に示すように、ねじ34が挿通される孔652Cが穿設されている。
このような構成を有する導通基板65は、振動板61の表面側および裏面側に1つずつ設けられている。
【0061】
導通パターン66は、図5(A)における右斜め下の導通パターン形成部652の長手方向に沿って、幅方向略中央に設けられている。導通パターン66は、一端側が前記駆動回路の図示しない配線パターンと一体的に形成され、先端側が導通パターン形成部652の固定部652Aで振動板61方向に屈曲している。導通パターン66の先端側には、当該導通パターン形成部652の端縁652Bから突出し圧電素子64側に延びる基端部661と、電極部としての中央駆動電極部662とが設けられている。基端部661および中央駆動電極部662は、図5(B)に示すように、略等しい厚さに形成されている。中央駆動電極部662は、図4に示すように、圧電素子64の表面を幅方向にほぼ三等分したうちの中央の部分に、後述する方法により接着されている。この中央駆動電極部662と基端部661との結合部は、中央駆動電極部662の幅方向一端側の長手方向略中央、つまり振動板61の振動の節近傍に設けられている。導通パターン66の孔652Cに対応する部分は、リング状に形成されている。このリング状部分は、孔652Cの外周に接しないように形成されており、これにより、図5(B)に示すように、ねじ34との接触を防ぐことができる。
【0062】
導通パターン67(68)は、両方の導通パターン形成部652の長手方向に沿って、幅方向一端側(他端側)に設けられている。導通パターン67(68)は、一端側が前記駆動回路(前記検出制御回路)の図示しない配線パターンと一体的に形成され、先端側が導通パターン形成部652の固定部652Aで振動板61方向に屈曲している。導通パターン67(68)の先端側には、当該導通パターン形成部652の端縁652Bから突出し圧電素子64側に延びる基端部671(681)と、電極部としての対称駆動電極部672(変位検出電極部682)とが設けられている。基端部671(681)および対称駆動電極部672(変位検出電極部682)は、略等しい厚さに形成されている。対称駆動電極部672(変位検出電極部682)は、圧電素子64の表面を幅方向にほぼ三等分したうちの両側の部分を、さらに長手方向にほぼ二等分したうちの、図4における左上部分(左下部分)および右下部分(右上部分)に、後述する方法により接着されている。対称駆動電極部672(変位検出電極部682)と基端部671(681)との結合部は、当該対称駆動電極部672(変位検出電極部682)における圧電素子64の長手方向略中央に位置する部分、つまり振動板61の振動の節近傍に設けられている。
なお、振動板61の表面側に設けられた圧電素子64の各電極部662,672,682と、裏面側に設けられた圧電素子64の各電極部662,672,682とは、補強板63を介してそれぞれ対応する位置に配設されている。
また、基端部661,671,681および各電極部662,672,682により、本発明のオーバーハング部が構成されている。
【0063】
支持部材7は、図5(A)に示すように、断面凹形状に形成された支持体71と4つのスペーサ72とを備えている。支持体71の凹形状の突出部分は、固定部711であり、この固定部711の略中央には、図5(B)に示すように、ねじ34が螺合されるねじ孔711Aが穿設されている。スペーサ72は、支持体71に対する振動板61および導通基板65の高さ方向の位置決めをするものであり、絶縁性材料により圧電素子64と略等しい厚さに形成されている。スペーサ72は、補強板63の腕部632および取付部633と略同一形状を有する凸部721および環状部722を備えている。凸部721は、スペーサ72が固定部711に固定されたときに、圧電素子64と離間するように、かつ、腕部632に接する面の一部が切り欠かれた形状に形成されている。環状部722には、ねじ34が挿通される孔722Aが設けられている。
【0064】
以下には、圧電アクチュエータ6および支持部材7の、基部15への取付構造について説明する。
支持部材7の支持体71は、図4に示すように基部15に取り付けられている。ここで支持体71は、図示しないねじにより基部15に取り付けられている。支持体71の固定部711には、図5(B)に示すように、導通パターン66,67,68が上側になるように導通パターン形成部652が載置され、この導通パターン形成部652には、スペーサ72を介して補強板63の取付部633が載置されている。この取付部633には、スペーサ72を介して導通パターン66,67,68が下側になるように導通パターン形成部652が載置されている。これらの各導通パターン形成部652、各スペーサ72、取付部633は、ねじ34により、支持体71に固定されている。
【0065】
このような日付表示機構14は、以下のように動作する。
日付表示機構14には、指針の位置を検出する図示しないセンサが設けられており、このセンサが24時間毎に中央駆動電極部662、対称駆動電極部672に電圧を印加する。各電極部662,663に電圧が印加されると、振動板61は、第1実施形態と同様に楕円軌道を描いて振動し、日付表示が一日分送られるように日車16を駆動する。これにより、時計の外部からは日付が変更されて表示されることとなる。
【0066】
各電極部662,672,682を、圧電素子64に形成する方法を図6(A)〜(D)を用いて説明する。
図6(A)に示すように、導体膜としての銅箔で形成した各電極部662,672,682(導通パターン66,67,68)を、シートとしてのポリイミドシート80に接着剤で仮接着する。このポリイミドシート80におけるスペーサ72の孔722A(補強板63の孔633A)に対応する位置には、各電極部662,672,682を圧電素子64に対して位置決めするための位置決め孔81が設けられている。図示しない治具に、圧電素子64が接着された補強板63を載置した後、圧電素子64の表面に、前記仮接着に用いた接着剤よりも接着強度が強いエポキシ系接着剤を塗布し、スキージ等で薄く伸ばすことにより接着層82を形成する。このように接着層82を形成する接着剤の接着強度を、前記仮接着に用いた接着剤のそれよりも強くすることにより、接着層82が硬化した後ポリイミドシート80のみを容易に取り除くことができる。なお、ここではエポキシ系接着剤を用いたが、これに限らず硬化後の硬度、振動板61の振動に与える影響、硬化の際に加える熱量、接着剤を薄く伸ばす作業性等を考慮して、他の接着剤を用いても良い。
図6(B)に示すように、ポリイミドシート80を、接着層82と各電極部662,672,682とを密着させるように、かつ、孔722Aと位置決め孔81とを対応させるように、圧電素子64の表面に貼り付ける。
接着層82が硬化した後、図6(C),(D)に示すように、ポリイミドシート80を圧電素子64の表面から全て取り除くことで、圧電素子64の表面に各電極部662,672,682が形成される。
なお、ここでは、ポリイミドシート80を機械的に取り除いたが、たとえばポリイミドシート80のみをレーザで焼き飛ばす手段や、圧電素子64や各電極部662,672,682を破壊したり劣化させないような他の方法を用いても良い。
【0067】
このような第3実施形態によれば、第1実施形態の(5)〜(7)の効果に加え、以下に示す効果がある。
(9)圧電素子64の中央駆動電極部662、対称駆動電極部672、変位検出電極部682を、導通パターン66,67,68のオーバーハング部により形成するので、第1,2実施形態のように圧電素子64の各電極部662,672,682とオーバーハング部とを接合する工程を省くことができ、製造コストを削減できる。
【0068】
(10)基端部661,671,681と各電極部662,672,682との結合部を、振動板61の振動の節近傍に設けているので、振動板61が振動したときの基端部661,671,681の振動を抑えることができる。したがって、振動板61の振動により基端部661,671,681が切断することがなく、剛性を有さない箔状の基端部661,671,681でも駆動制御回路と圧電素子64との導通を確実に取ることができる。また、基端部661,671,681が切断することがないので、圧電素子64と導通基板65とを密着させる必要がない。したがって、振動板61が振動しても、圧電素子64と導通基板65とが接触することがないため、振動板61の振動の減衰を抑えることができ、圧電アクチュエータ6のエネルギー効率を向上させることができる。
【0069】
(11)各電極部662,672,682(導通パターン66,67,68)をポリイミドシート80上に導体膜で形成し、当該各電極部662,672,682と当該圧電素子64とが対向するように当該ポリイミドシート80を当該圧電素子64の表面に貼り付けた後、当該ポリイミドシート80のみを当該圧電素子64から取り除くことで当該表面に当該各電極部662,672,682を形成するので、圧電素子64に各電極部662,672,682を形成する際に、メッキやエッチング等の手段を用いる必要がなく、製造コストを削減できる。
【0070】
なお、本発明は前記各実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できるものであれば、次に示すような変形例も適用されるものである。
たとえば、第1実施形態では、両方の導通パターン形成部252の端縁252Bから突出したオーバーハング部271(281)を用いて、圧電素子24に設けられた2つの対称駆動電極242(変位検出電極243)と前記駆動回路(前記検出制御回路)との導通を取っていたが、オーバーハング部271(281)を、図7に示すような構成にしても良い。このオーバーハング部271(281)は、略L字状に形成されその長手方向に沿って、それぞれの対称駆動電極242(変位検出電極243)に接合される2つの突起部272(282)が設けられている。そして、両突起部272(282)の間には、圧電素子24から離間するように湾曲した湾曲部273(283)が設けられている。
このような構成にすれば、圧電素子24の同一面内に設けられた隣接しない対称駆動電極242(変位検出電極243)同士を電気的に接合する際に、当該対称駆動電極242(変位検出電極243)間に配設された絶縁されるべき電極等を跨いで導通が取ることができるので、絶縁のための特別な手段や処理を施す必要がなくなる。また、隣接しない対称駆動電極242(変位検出電極243)との導通を、1つのオーバーハング部271(281)で取ることができるので、部材コストを削減できる。
【0071】
第1実施形態では、オーバーハング部261の幅を、溝24B幅よりも狭く形成することで、導通パターン26と、対称駆動電極242および変位検出電極243との接触を防いだが、図8に示すように、導通パターン26,27,28とスペーサ32の表面との間に導通基板25を設け、当該導通基板25の固定部252Aを中央駆動電極241の上方まで延設させるような構成としても良い。
このような構成にすれば、オーバーハング部261と対称駆動電極242および変位検出電極243との間に絶縁体である固定部252Aが設けられるので、導通パターン26と当該電極242,243との接触をより確実に防ぐことができる。
【0072】
第1実施形態では、圧電素子24の表面に、2つの対称駆動電極242(変位検出電極243)を互いに電気的に絶縁されるように形成したが、図9に示すように、2つの対称駆動電極242(変位検出電極243)を電気的に接続する接続部242A(243A)を、一体的に形成しても良い。
このような構成にすれば、隣接しない対称駆動電極242(変位検出電極243)との導通を、1つのオーバーハング部271(281)で取ることができるので、部材コストを削減できる。
また、このような構成の圧電素子24を用いれば、図10に示すように、当該圧電素子24を補強板23の両面に設けたときにも、圧電素子24の幅方向両端側から1つずつのオーバーハング部261(271,281)を突出させることで対応できる。
【0073】
第2実施形態では、振動板41の両面に設けられた圧電素子24の、互いに対応する位置の各電極241,242,243間の導通を、断面略U字状の導通パターン形成部材452の外周面に導通パターン46,47,48を設けることで取っていたが、たとえば図11,12に示すような構成としても良い。
図11には、振動板41の取付部分の分解斜視図が、図12には、当該取付部分の断面図が示されている。
この構成では、図11に示すように、補強板43の腕部432の先端側には、環状の取付部434が設けられており、この取付部434には、ねじ34が挿通される孔434Aが設けられている。
支持体51は、ここでは図示しないが断面凹形状に形成されており、この凹形状の突出部分には固定部512が設けられている。この固定部512には、ねじ34が螺合されるねじ孔512Aと、支持体51に対する導通パターン形成部材455(後述)の高さ方向の位置決めをする凸部512Bとが設けられている。導通パターン46,47,48は、ねじ34が挿通される孔454Aを有する略方形板状の導通パターン形成部材454と、固定部512が係合される係合孔455Aを有する略方形板状の導通パターン形成部材455とを、所定間隔離して連続的に保持するように設けられている。この所定間隔は、図12に示すように、導通パターン形成部材454,455を支持体51に固定したときに、導通パターン形成部材454,455間の導通パターン46,47,48が、略U字に曲げられるように設定されている。導通パターン46,47,48の両端側は、導通パターン形成部材454の端縁454Bおよび導通パターン形成部材455の端縁455Bからそれぞれ突出したオーバーハング部461,471,481になっている。導通パターン形成部材454に設けられた導通パターン46(48)には、配線パターン457(456,457)との絶縁を取るための絶縁テープ463が貼り付けられている。
【0074】
以下には、振動板41の支持部材5への取付構造について説明する。
固定部512には、導通パターン46,47,48が下側になるように、導通パターン形成部材455が係合されている。このとき、固定部512の凸部512Bにより、導通パターン形成部材455の高さ方向の位置決めがされている。固定部512には、取付部434が載置され、さらにスペーサ57を介して、導通パターン46,47,48が上側になるように導通パターン形成部材454が載置されている。導通パターン形成部材454には、導通パターン46,47,48と配線パターン456,457,458とが接触するように回路形成部材451が載置されている。これらの回路形成部材451、導通パターン形成部材454,455、スペーサ57、取付部434は、ねじ34により支持体51に固定されている。さらに、上側の中央駆動電極241および突起部462の接合点P1と、下側の中央駆動電極241および突起部462の接合点P2とが、図12における断面視でずれるように構成されている。
このような構成にすれば、固定部512と補強板43の取付部434が当接しているので、ばね性および絶縁性を有するスペーサ56を用いたり、補強板43に腕部432および被支持部433により構成される略T字状の部材を設けたりしなくても、補強板43と支持体51との導通、導通パターン46,47,48と配線パターン456,457,458との導通、および、導通パターン46,47,48と支持体との絶縁を確保しながら、振動板41を支持部材5に固定できる。さらに、接合点P1と接合点P2とが断面視でずれているので、たとえば上側の中央駆動電極241と突起部462とを接合点P1において圧着や超音波ボンディングで接合する際に、断面視でこの接合点P1の裏側を治具等で受けることができるので、突起部462を中央駆動電極241に押し付けることができ、接合の接着強度を出すことができる。
【0075】
第3実施形態では、基端部661,671,681の、圧電素子64とスペーサ72とが形成する隙間に対応する部分を直線状に形成したが、図13(A)に示すように、S状に形成しても良い。このようにすれば、基端部661,671,681の前記部分に、ばね性を持たせることができるので振動板61の振動による切断を抑えることができる。なお、前記部分の形状はS状に限定されず、ばね性を有する他の形状に形成しても良い。さらに、ばね性を持たせるためのS字形状部と、電極部662,672,682や導通パターン66,67,68とのつなぎ目を、平面視でフィレットを備えた形状にすると、応力集中による切断が防げ、圧電アクチュエータ6の信頼性を向上させることができる。
また、第3実施形態では、基端部661,671,681と、各電極部662,672,682とを略等しい厚さに形成したが、図13(B)に示すように、基端部661,671,681を、各電極部662,672,682よりも厚く形成しても良い。このような構成にすれば、基端部661,671,681が切断しにくくなるので、各電極部662,672,682と前記駆動制御回路との導通を確実に取ることができる。また、当該基端部661,671,681の電気抵抗が下がるので、大きなエネルギーを入力でき、圧電アクチュエータ6の大出力化、駆動効率向上が可能となる。また、振動板61の振動を減衰させる各電極部662,672,682の影響を低減できるので、圧電アクチュエータ6のエネルギー効率が向上する。
なお、図13(A),(B)に示された、基端部661,671,681および各電極部662,672,682は、構造を理解しやすくするために誇張して記載したものであり、実際にこれらの部材は各電極部662,672,682が厚さ数ミクロンに、基端部661,671,681が各電極部662,672,682の厚さよりも数〜数十ミクロン厚く形成されている。
【0076】
第3実施形態では、各電極部662,672,682を圧電素子64に形成する際に、ポリイミドシート80に接着された各電極部662,672,682を圧電素子64に接着した後、ポリイミドシート80を全て取り除いたが、ポリイミドシート80に導通基板65としての機能を持たせ、基端部661,671,681および各電極部662,672,682に対応する部分のポリイミドシート80のみを取り除く方法を用いても良い。このような方法を用いれば、圧電アクチュエータ6の製造工程を減らすことができる。また、このような方法を用いた場合、更にポリイミドシート80のスペーサ72に対応する部分を帯状に形成すれば、この部分のばね性で振動板61の当接部631を日車16に押し付けることができ、部材コストおよび製造コストを削減できる。また、このような電極形成方法で、図92のような電極パターンを形成しても良い。
【0077】
本発明を実施するための最良の構成、方法等は、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動装置の圧電アクチュエータに用いられている箔状の導通パターンのオーバーハング部と、圧電素子の各電極とを接触させることで、導通パターンと各電極との導通が取られているので、オーバーハング部と各電極とを接合させるときには、半田付けではなく熱溶着や超音波溶接等を用いることができる。そして、これらの作業の際に、オーバーハング部と各電極との結合部に加わる熱は、半田付け時のそれに比べて低いので、各圧電素子を劣化させることがなく、圧電アクチュエータの生産性を向上させることができる。
さらに、前記結合部には半田のような重みがある部材が設けられず、さらにオーバーハング部は箔状に形成されているので、導線のような抗力を有していない。したがって、オーバーハング部と各電極とを接合しても、振動板の振動が外的要因により減衰することがなく、圧電アクチュエータのエネルギー効率を向上させることができる。
そして、オーバーハング部は箔状に形成されていることにより柔軟性を有しているので、振動板の振動によりオーバーハング部が切断することがなく、圧電アクチュエータの信頼性を向上させることができる。
オーバーハング部は箔状に形成されているため厚さが薄く、さらに圧電アクチュエータの厚みを増す要因の半田や導線を設けていないので、圧電アクチュエータを薄型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る駆動装置の平面図。
【図2】第1実施形態に係る駆動装置の圧電アクチュエータを示す図。
【図3】第2実施形態に係る駆動装置の圧電アクチュエータを示す図。
【図4】第3実施形態に係る時計の日付表示機構の要部の平面図。
【図5】第3実施形態に係る圧電アクチュエータを示す図。
【図6】第3実施形態に係る圧電アクチュエータの製造方法を示す図。
【図7】本発明の圧電アクチュエータの変形例を示す図。
【図8】本発明の圧電アクチュエータの変形例を示す図。
【図9】本発明の圧電アクチュエータの変形例を示す図。
【図10】本発明の圧電アクチュエータの変形例を示す図。
【図11】本発明の圧電アクチュエータの変形例を示す図。
【図12】本発明の圧電アクチュエータの変形例を示す図。
【図13】本発明の圧電アクチュエータの変形例を示す図。
【符号の説明】
10,13…駆動装置(装置)、21,41,61…振動板、24,64…圧電素子、25,65…導通基板、26,27,28,46,47,48,66,67,68…導通パターン、80…ポリイミドシート(シート)、241…中央駆動電極(電極)、242…対称駆動電極(電極)、243…変位検出電極(電極)、252B,452C,454B,455B,652B…端縁、261,271,281,461,471,481…オーバーハング部、262,272,282,462,472,482…突起部、273…湾曲部、452…導通パターン形成部材(導通基板)、456,457,458…配線パターン、662…中央駆動電極部(電極部、オーバーハング部)、672…対称駆動電極部(電極部、オーバーハング部)、682…変位検出電極部(電極部、オーバーハング部)、661,671,681…基端部(オーバーハング部)。

Claims (14)

  1. 電極が形成された圧電素子を有する振動板と、前記電極に導通される箔状の導通パターンを有する導通基板とを備え、この導通基板には、前記導通パターンの一部を当該導通基板の端縁から突出させたオーバーハング部が設けられ、このオーバーハング部と前記電極とが接触していることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記圧電素子は、前記振動板の両面に設けられ、一方の面に設けられた圧電素子の電極と、他方の面に設けられた圧電素子の電極との導通を、1つの前記導通基板で取ることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記オーバーハング部の表面には、前記電極側に突出した突起部が設けられていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、前記オーバーハング部の長手方向の途中には、前記圧電素子から離間するように湾曲した湾曲部が設けられていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、前記オーバーハング部の前記電極と接触する部分、および前記電極の前記オーバーハング部と接触する部分のうち、少なくとも一方に微小な凹凸部を設けることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、前記オーバーハング部と前記電極とは、前記振動板の振動の節近傍で接触していることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  7. 請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記電極は、前記オーバーハング部によって形成されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  8. 請求項7に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記オーバーハング部は、前記電極に相当する電極部と、前記導通基板の端縁から突出して当該電極部にわたって設けられた基端部とで構成され、この基端部は、当該電極部よりも厚く形成されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  9. 請求項8に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記電極部と前記基端部とは、前記振動板の振動の節近傍で結合していることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、前記圧電素子と前記導通基板の端縁とは、当該圧電素子の略面内方向に離間していることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  11. 請求項10に記載の圧電アクチュエータにおいて、前記導通基板は、前記圧電素子の近傍に固定されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、前記導通パターンは、駆動制御回路の配線パターンと一体的に形成されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の圧電アクチュエータを備えたことを特徴とする装置。
  14. 電極が形成された圧電素子を有する振動板と、前記電極に導通される箔状の導通パターンを有する導通基板とを備え、この導通基板には、前記導通パターンの一部を当該導通基板の端縁から突出させたオーバーハング部が設けられているとともに、前記電極が当該オーバーハング部によって形成されている圧電アクチュエータを製造するための圧電アクチュエータの製造方法であって、導体膜をシート上に形成しておき、この導体膜と前記圧電素子とが対向するように当該シートを当該圧電素子の表面に貼り付けた後、当該シートのみを当該圧電素子から取り除くことで当該表面に前記導体膜による前記電極を形成することを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
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