JP2004287716A - ユーザビリティ評価改善方法及びシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】操作者の操作履歴データを用いてシステムの操作性を評価することができるユーザビリティ評価改善システムを提供すること。
【解決手段】システムの操作性を評価改善するユーザビリティ評価改善システムであって、操作者による操作履歴データを取得する操作履歴データ取得手段32と、操作履歴データと正しい操作方法データとを比較するデータ比較手段82と、データ比較手段82による比較結果から操作性を悪くしている設計要素を特定するタスク特定手段84と、タスク特定手段84により特定された特定タスクの操作効率に与える影響の大きさによって、システムの操作性を評価する操作性評価手段86と、を具備するユーザビリティ評価改善システム。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、システムの操作性を評価改善するためのユーザビリティ評価改善方法及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ユーザビリティテストを実施するためのユーザインターフェース評価装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このユーザインターフェース評価装置によるユーザビリティテストにおいては、実験者側により設定された数個の作業課題や操作シナリオが数人の被験者に与えられ、被験者によりその操作が実際に行われ、この操作内容を観察して、機器やシステムの操作性が評価され、この評価結果に基づいて操作性の改善点などを見付けている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−101737号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなユーザビリティテストにおいては、被験者に課す作業課題(即ち、一連の操作タスク)が限定されるため、機能の多いシステムでは全体の操作内容について使いやすさを評価、改善することはできない。また、ユーザビリティテストにおいて被験者の操作時間を計測し、操作性の改善後に再びユーザビリティテストを行って操作時間が短縮されたことが確認されたとしても、ユーザビリティテストにおいて操作を行ったのはシステムの持つ操作内容の一部に過ぎず、被験者数も数名でしかないので多人数が使用するシステムにおいては実際の使いやすさ改善効果は定量的に得られない。更に、機器やシステムの操作の効率性は、実際の操作環境などに影響を受けることがあり、コントロールされた状況で用意された操作シナリオを被験者が操作したとしても、実際の操作場面における操作との乖離が起こる。また、ユーザビリティテストの実施によりシステムの改善を図る方法では、実際の改善が実施されるまでに時間がかかり、社内で膨大な人数が使用するシステムや、ユーザ数の多い家庭用リモコンについて、その使いやすさ改善による、業務・収益の効率化のニーズは高いにもかかわらず、充分に迅速に対応することができない。
【0005】
本発明の目的は、操作者の操作履歴データを用いてシステムの操作性を評価することができるユーザビリティ評価改善方法及びシステムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のユーザビリティ評価改善方法は、システムの操作性を評価改善するユーザビリティ評価改善方法であって、操作者による操作履歴データを取得し、この操作履歴データと正しい操作方法データとを比較し、これら両データの比較から操作性を悪くしている設計要素を特定し、その操作効率に与える影響の大きさによって、システムの操作性を評価することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項8に記載のユーザビリティ評価改善システムは、システムの操作性を評価改善するユーザビリティ評価改善システムであって、操作者による操作履歴データを取得する操作履歴データ取得手段と、前記操作履歴データと正しい操作方法データとを比較するデータ比較手段と、前記データ比較手段による比較結果から操作性を悪くしている設計要素を特定するタスク特定手段と、前記タスク特定手段により特定された特定タスクの操作効率に与える影響の大きさによってシステムの操作性を評価する操作性評価手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
このユーザビリティ評価改善方法及びシステムにおいては、操作者による操作履歴データが取得され、この操作履歴データと正しい操作方法との比較が行われ、この比較結果から操作性を悪くしているタスクが特定されるので、実際に操作する操作者を対象にし、その操作全体を通してその操作性を評価することができる。また、操作性を悪くしている特定タスクの操作効率に与える影響の大きさによってシステムの操作性を評価するので、その評価を客観的に行うことができる。尚、システムの操作性とは、電気機器、機械器具、リモコン装置などの各種装置の操作性、電気機器、マイコンなどに適用される各種ソフトウェアの操作性、及びネットワークなどで通信接続された各種システムの操作性などを含むものである。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載のユーザビリティ評価改善方法では、前記操作履歴データと前記操作方法データとを比較して問題となる操作タスクを特定し、前記操作タスクの問題点の内容から、操作者へ助言を行う第1レベル、画面上に操作の助けになる補助情報を追加する第2レベル及び操作画面の操作項目の配置を変更する第3レベルで改善レベルを示し、前記改善レベルに応じてシステムの操作性を改善することを特徴とする。
【0010】
このユーザビリティ評価改善方法においては、操作性を悪くしている操作タスクが特定されると、この特定操作タスクの問題点の内容から第1〜第3レベルの段階の改善レベル示されるので、操作性の改善レベルを客観的に知ることができる。また、示された改善レベルに応じてシステムの操作性を改善することによって、操作性の改善を効率的に行うことができる。第1レベルは操作者に助言を行うレベル(所謂、助言レベル)であり、この第1レベルでは操作者に例えば電子メール、郵便ハガキなどで個人的レベルで通知される。第2レベルは画面上に操作の助けとなる補助情報を追加するレベル(所謂、補助情報レベル)であり、この第2レベルでは、システムの操作を説明するための情報が補助的に追加され、その操作性の改善が全体的レベルで行われる。更に、第3レベルは操作画面の操作項目の配置を変更するレベル(所謂、レイアウトレベル)であり、システムの操作を行う操作項目の配置変更が行われ、その操作性の一層の改善が全体的レベルで行われる。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載のユーザビリティ評価改善方法では、前記操作履歴データと前記操作方法データとを比較して問題となる操作タスクを特定し、前記操作タスクの問題点の内容から、操作者の入力情報の質から変更する第4レベルを改善レベルとして加えたことを特徴とする。
【0012】
このユーザビリティ評価改善方法においては、改善レベルとして更に第4レベルが示されるように構成されている。第4レベルは操作者の入力情報の質から変更するレベル(所謂、インプットレベル)であり、システムの操作のインプット内容に関する変更を含めて行われ、その操作性の大幅な改善が全体的レベルで行われる。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載のユーザビリティ評価改善方法では、前記操作履歴データと前記操作方法データとを比較して問題となる操作タスクを特定する際に、前記操作履歴データにおける特定操作タスクの操作時間と操作方法データにおける特定操作タスクの操作基準時間とを対比し、前記特定操作タスクの前記操作時間と前記特定タスクの前記操作基準時間との時間差程度を算定し、その時間差程度から前記特定タスクの問題点の大きさを判定することを特徴とする。
【0014】
このユーザビリティ評価改善方法においては、問題となる操作タスクの特定は、操作履歴データにおける各操作タスクの操作時間と操作方法データにおける各操作タスクの操作基準時間とを対比することによって行われ、この操作時間と操作基準時間との時間差程度により特定タスクの問題点の大きさが判定され、この時間差程度が大きいということは、その操作タスクを操作するのに戸惑って時間を要したということであり、このようなときには問題点が大きいと判定される。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載のユーザビリティ評価改善方法では、前記改善レベルによる改善を実施した後、改善後の操作者による操作履歴データを更に取得し、改善後の操作履歴データ及び改善前の操作履歴データと前記操作方法データと比較し、これによって前記特定タスクに対する改善効果を定量的に評価することを特徴とする。
【0016】
このユーザビリティ評価改善方法によれば、操作性を改善した後に、操作者による操作履歴データを取得し、改善後の操作履歴データ及び改善前の操作履歴データと操作方法データとの比較が行われ、この比較結果によって、特定タスクの改善による効果を評価することができる。
【0017】
また、本発明の請求項6に記載のユーザビリティ評価改善方法では、前記改善レベルが前記第1レベルである場合、その改善情報が自動的に作成されてその操作者に通知され、前記改善レベルが前記第2レベルである場合、その改善情報が自動的に作成されて操作画面上に付加されることを特徴とする。
【0018】
このユーザビリティ評価改善方法によれば、第1レベルの場合、改善情報である助言情報が自動的に作成され、作成された助言情報が操作者に通知されるので、その操作者は助言情報の内容を見ることによって正しい操作方法などを知ることができ、その操作者に対して個人的レベルで操作性の向上を図ることができる。また、第2レベルの場合、改善情報である補助情報が自動的に作成され、作成された補助情報が操作画面上に付加されるので、操作者は操作時に画面上に付加された補助情報を見ることによって正しい操作方法などを知ることができ、操作者に対して全体的レベルで操作性の向上を図ることができる。また、助言情報の通知及び補助情報の付加が自動的に行われるので、システムを操作することによって、その操作性の改善が自動的に行われ、使い勝手のよいものとなる。
【0019】
更に、本発明の請求項7に記載のユーザビリティ評価改善方法では、前記改善レベルが前記第3レベル及び第4レベルである場合、前記特定タスクに関する改善に有用な情報を自動的に作成することを特徴とする。
【0020】
このユーザビリティ評価改善方法においては、改善レベルが第3及び第4レベルである場合、特定タスクに関する改善に有用な情報が自動的に作成されるので、この作成された情報を参考にすることによって、操作性の改善を効率的に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うユーザビリティ評価改善方法及びシステムの実施形態について説明する。
まず、図1〜図5を参照して、第1の実施形態のユーザビリティ評価改善システム(評価改善方法)について説明する。図1は、第1の実施形態のユーザビリティ評価改善システムを簡略的に示す概略図であり、図2は、図1のシステムにおける評価改善装置、操作者用操作装置及び管理者用操作装置を示すブロック図であり、図3は、図1のシステムにおける評価改善の流れを示すフローチャートであり、図4は、作業課題としての交通費の請求操作におけるデータ比較結果を示す図であり、図5は、図4の内容を折れ線グラフとして示した図である。
【0022】
図1において、このユーザビリティ評価改善システムは、操作者用操作装置2A,2B,2Cと、管理者用操作装置4A,4B,4Cと、評価改善装置6と、設計者側装置8と、から構成されている。操作者用操作装置2A,2B,2Cは、会社の総務、人事、経理などの各種部門に設置され、その部門の従業員が使用する。管理者用操作装置4A,4B,4Cは各種部門に設置され、その部門の管理職が使用する。評価改善装置6は、会社のシステム部門などに設置され、操作者用操作装置2A,2B,2C及び管理者用操作装置4A,4B,4Cを用いて入力操作する際の操作性を評価改善する。設計者側装置8は、会社のシステム部門又は設計部門などに設置され、システムの操作性を改善する際に用いられる。操作者用操作装置2A〜2C、管理者用操作装置4A〜4C及び設計者側装置8は、例えばパーソナルコンピュータなどから構成され、評価改善装置6は例えばシステムコンピュータなどから構成され、各種情報を処理するデータ処理装置10及び各種情報を登録するサーバ12を含んでいる。尚、図1においては、システムの理解を容易にするために、操作者用操作装置2A〜2C及び管理者用操作装置4A〜4Cをそれぞれ3台示し、設計者側装置8を1台示しているが、実際の評改善システムでは、操作者用操作装置、管理者用操作装置及び設計者側装置が多数存在しており、これらの装置が、例えばインターネット網の如きネットワーク網14を介して通信可能に接続されている。
【0023】
図2を参照して操作者用操作装置2A(2B,2C)について説明すると、図示の操作者用操作装置2A(2B、2C)は、操作入力手段20、データ処理手段22、記憶手段24、表示手段26、印刷手段28及び通信手段30を備えている。操作入力手段20はキーボード、マウスなどから構成され、情報などを入力操作する際に用いる。データ処理手段22はマイクロプロセッサなどから構成され、操作入力手段20により入力操作した操作履歴のデータを取得する操作履歴データ取得手段32と、時刻を計時する計時手段34とを含んでいる。表示手段26は液晶表示装置、CRTなどから構成され、各種情報の内容を表示する。印刷手段30はレーザプリンタなどから構成され、各種情報の内容を印刷物として出力する。通信手段30は送受信装置などから構成され、ネットワーク網14を介して評価改善装置6との間で各種データのやり取りを行う。また、記憶手段24はHDDの如き磁気記録装置から構成され、操作履歴情報を登録する操作履歴データベース36と、表示手段26の画面上に表示する各種操作情報を登録する画面設計仕様データベース38とを含んでおり、操作履歴データベース36に登録される操作履歴情報は、入力操作するタスク情報と、そのタスクを入力操作するのに要した作業時間情報などを含んでいる。
【0024】
また、管理者用操作装置4A(4B,4C)は、操作入力手段40、データ処理手段42、表示手段46、印刷手段48及び通信手段50を備え、データ処理手段42は操作履歴データ取得手段52及び計時手段54を含み、記憶手段44は、操作履歴データベース56、画面設計仕様データベース58及び助言メールを登録して管理する助言メール管理データベース60を含み、助言管理データベース60を除くその他の構成は、上述した操作者用操作装置2A(2B,2C)と実質上同一である。尚、この管理者用操作装置4A(4B,4C)は、管理者が交通量の請求操作を行うときには、操作者用操作装置として機能する。
【0025】
次に、評価改善装置6について説明すると、評価改善装置6のサーバ12は、操作履歴データベース62、操作方法データベース64、誤操作タスクデータベース66、超過操作タスク・時間データベース68、操作性評価データベース70、助言メールデータベース72、補助情報データベース74、操作者データベース76、管理者データベース78及びメール送付履歴データベース80を含んでいる。操作履歴データベース62には、操作者用装置2A〜2C及び管理者用操作装置4A〜4Cにて入力操作された操作履歴情報が登録され、操作者用操作装置2A(2B,2C)の操作履歴データベース36に登録された操作履歴情報及び管理者用操作装置4A(4B,4C)の操作履歴データベース56に登録された操作履歴情報がネットワーク網14を介してこの操作履歴データベース62に登録される。操作方法データベース64には、正しい操作方法がその操作を行うに要する操作基準時間とともに登録されている。誤操作タスクデータベース66には、操作履歴データベース66に登録された操作履歴情報のうち、入力操作を誤った操作タスクが登録される。超過操作タスク・時間データベース68には、操作履歴データベース66に登録された操作履歴情報のうち、入力操作に要する時間が上記操作基準時間に比して非常に長かったタスク、例えば上記基準時間に比して8〜10倍以上要した操作タスクが登録される。誤操作タスクデータベース66に登録された誤操作タスク及び超過操作タスク・時間データベース68に登録された時間超過操作タスクが、操作性に問題があり、操作性を改善すべき操作タスクの対象となる。
【0026】
また、操作性評価データベース70には、システムの操作性を評価する基準となる評価情報が登録されている。助言メールデータベース72には、操作性の改善が個人レベルで、助言レベルである場合に、その操作者に助言メールを後述するように通知するようになるが、この助言メールを自動的に作成する際に用いる各種助言メールに関する情報が登録されている。補助情報データベース74には、操作性の改善が全体レベルで、且つ補助情報レベルである場合に、操作者用操作装置2A(2B,2C)及び管理者用操作装置4A(4B,4C)の画面設計仕様データベース38,58に補助情報を後述するように付加するようになるが、その補助情報を自動的に作成する際に用いる各種補助情報に関する情報が登録されている。操作者データベース76には操作者に関する情報、例えば氏名、部門、社員番号、Eメールアドレスなどが登録されている。管理者データベース78には管理者に関する情報、例えば氏名、部門、社員番号、Eメールアドレスなどが登録されている。また、メール送付履歴データベース80には、助言レベルで操作者に送付された助言メールに関する情報が、その回数とともに登録される。
【0027】
また、評価改善装置6のデータ処理装置10は、データ比較手段82、タスク特定手段84、操作性評価手段86、助言メール作成手段88、補助情報作成手段90、管理者向けメール作成手段92、誤操作データ作成手段94及び通信手段96を備えている。データ比較手段82は、操作履歴データベース62の操作履歴情報と操作方法データベース64の正しい操作方法情報とを比較し、タスク特定手段84はデータ比較手段82による比較結果を基に誤操作タスク、時間超過操作タスクを特定する。また、操作性評価手段86は操作性評価データベース70に登録された操作性評価情報に基づいてシステムの操作性を後述する如く評価する。この実施形態では、操作性評価手段86は、誤操作などが個人的レベルである場合に第1レベル、即ち「助言」レベルと判定し、誤操作などが全体的レベルで、且つその誤操作などが例えば1〜2の操作タスクに集中しているが、その誤操作などの頻度が比較的少ない場合に第2レベル、即ち「補助情報」レベルと判定し、誤操作などが全体的レベルで、且つその誤操作などが例えば1〜2の操作タスクに集中しているが、その誤操作などの頻度が比較的多い場合に第3レベル、即ち「レイアウト」レベルと判定し、また誤操作などが全体的レベルで、且つその誤操作などが例えば3以上の操作タスクで起こり、その誤操作などの頻度が比較的多い場合に第4レベル、即ち「インプット」レベルと判定する。
【0028】
また、助言メール作成手段88は、助言メールデータベース72に登録された助言メールに関する情報及び操作者データベース76に登録された操作者に関する情報を用いて助言メールを作成し、補助情報作成手段90は、補助情報データベース74に登録された補助情報に関する情報を用いて補助情報を作成する。また、管理者向けメール作成手段92は、助言メールデータベース72に登録された助言メールに関する情報(又は助言メール作成手段88が作成した助言メール)及び管理者データベース78に登録された管理者に関する情報を用いて管理者向けメールを作成する。更に、誤操作データ作成手段74は、誤操作タスクデータベース66に登録された誤操作タスク情報及び超過操作タスク・時間データベース68に登録された超過時間操作タスク情報を用いて誤操作データを作成する。更に、通信手段96は例えば送受信装置から構成され、操作者用操作装置2A〜2C、管理者用操作装置4A〜4C及び設計者側装置8との間で各種情報のやり取りが行われる。
【0029】
次に、主として図2及び図3を参照して、上述した評価改善システムの評価改善の流れについて説明する。操作者が例えば交通費請求の申請(給与明細などの確認にも適用でいる)を行う場合について説明する。操作者は、操作者用操作装置2A(2B,2C)を入力操作して一連の交通費請求の操作タスクを遂行して交通費請求の申請手続きを遂行する(ステップS1)。かくすると、操作者が行った一連の交通費請求の操作情報が操作履歴データ取得手段32にて取得され、操作履歴データベース36に登録されるとともに、この操作履歴データベース36に登録された操作履歴情報がネットワーク網14を介して評価改善装置6に送られ、その操作履歴データベース62に登録され、入力操作した操作履歴データがこのようにして操作履歴データベース62に蓄積される。
【0030】
操作履歴情報を分析する際には、まず、例えば交通費請求の申請手続きの操作履歴データとその申請手続きの正しい操作方法データとが対比され、操作性に問題がある操作タスクの特定が行われる。即ち、データ比較手段82は、操作履歴データベース62に登録された交通費請求の申請手続きの操作履歴情報を読み出し(ステップS2)、また操作方法データベース64に登録された正しい操作方法情報を読み出し(ステップS3)、各操作者の交通費請求の申請手続きの各操作毎に操作タスクの分析を行う(ステップS4)。このデータ比較手段82による対比は、操作履歴情報の各操作タスク及びその操作タスクを行うに要した時間と正しい操作方法情報の対応する操作タスク及びその操作タスクの操作基準時間(その操作タスクを行うに要する標準的時間)とを対比することにより行われ、その対比結果は、例えば図4に示すように示される。図4において、この対比結果の表は、作業課題の一例としての交通費申請についてのものであり、交通費申請手続きの一連の操作タスクの内容と、それに対する操作者Aの行った操作履歴内容を示しており、操作者Aの欄における「○」印は正しく入力操作されたことを示し、「×」印は誤って入力操作されたことを示している。また、経過時間とは入力操作開始からその操作が行われるまでの経過時間を示し、時間はその入力操作を行うに要した時間を示し、基準時間(操作基準時間)とは正しく入力するに要する標準的時間を示し、基準時間との比とは、基準時間に対する入力に要した時間の比であり、備考には誤操作した内容などが示される。
【0031】
この対比結果の内容に基づいて、タスク特定手段84は誤操作した操作タスク、即ち図4の操作タスクにおいて「×」印が付された操作タスクを検索する(ステップS5)。また、タスク特定手段84は、入力操作するのに基準時間に比して長時間、例えば10倍以上の時間を要した操作タスクを検索する(ステップS6)。
【0032】
操作タスクの操作入力時間に関しては、更に、図5に示すように示される。図5では、交通費申請手続きの一連の操作タスクの内容と、各操作タスクの入力操作を行うに要した時間と、正しく入力するに要する標準的時間(即ち、基準時間)と、基準時間に対する入力に要した時間の比とが示されており、この図5において、基準時間に対する比が10倍以上である操作タスクが超過時間操作タスクとして選択される。理解を容易にするために図5に示すようにまとめたが、図4に示す対比結果における基準時間との比を用いるようにしてもよい。その後、この対象となる操作者についての誤操作タスクのデータと超過時間操作タスクのデータとの統合が行われ(ステップS7)、対象操作者の誤操作タスクのデータについては、誤操作タスクデータベース66に登録され、対象操作者の超過時間操作タスクのデータについては、超過操作・時間データベース68に登録される。
【0033】
そして、作業課題としての交通費申請手続きについての操作性評価の判定が行われる(ステップS8)。この判定は操作性評価手段86により行われ、操作性評価手段86は、各操作タスクで同じ誤操作を行った、又は超過時間操作を行った操作者の全体に対する割合を演算し、誤操作などをした操作者の割合が例えば10%未満である場合、誤操作又は超過時間操作が操作者個人に起因しているとして個人レベルで、第1レベル、即ち助言レベルと判定し、ステップS9からステップS10に進む。
【0034】
これに対して、各操作タスクで同じ誤操作、又は超過時間操作を行った操作者の全体に対する割合が例えば10%以上である場合、誤操作などが操作者個人に起因してなく、全体な問題であるとして全体レベルと判定する。そして、誤操作、超過時間操作が操作タスクの例えば1〜2つに集中し、且つ誤操作などの操作者の割合が例えば50%未満であると、集中した操作タスクを補助的に改善すればよく、このようなときには、操作性評価手段86は第2レベル、即ち補助情報レベルと判定し、ステップS9からステップS11、ステップS12及びステップS13を経てステップS16に進む。また、誤操作、超過時間操作が操作タスクの例えば1〜2つに集中し、且つ誤操作などの操作者の割合が例えば50%以上であると、集中した操作タスクの一部のレイアウトを修正して操作性を改善した方がよく、このようなときには、操作性評価手段86は第3レベル、即ちレイアウトレベルと判定し、ステップS9からステップS11、ステップS12、ステップS13及びステップ14を経てステップS17に進む。更に、誤操作、超過時間操作が操作タスクの例えば3つ以上に起こり、且つこれらの誤操作などの操作者の割合が例えば50%以上であると、誤操作などの操作タスクのインプットの仕方を修正して操作性を改善した方がよく、このようなときには、操作性評価手段86は第4レベル、即ちインプットレベルと判定し、ステップS9からステップS11、ステップS12、ステップS13、ステップS14及びステップS15を経てステップS18に進む。操作性評価手段86による上述した評価は、操作性評価データベース70に登録された評価情報に基づいて行われる。
【0035】
操作性評価手段86が第1レベルと判定した場合、操作履歴データベース62の登録情報から誤操作、超過時間操作をした特定操作者が特定され(ステップS10)、この特定操作者に対する助言メールが作成される(ステップS19)。助言メールの作成は、助言メール作成手段88により自動的に行われ、助言メールデータベース72に登録された助言メール情報を用いて作成される。この助言メールの例としては、「あなたは〔a:交通費請求〕作業において〔b:異なる交通機関の入力をする〕とき、〔c:とても時間がかかっています〕。正しい操作方法は〔d:スクロールさせて次の明細の部分に入力を行う〕、です。」などがあるが、この括弧内の文言〔a〕〜〔d〕は、誤操作内容によって自動的に又は手動で適切な内容に置き換えられる。最初の括弧、即ち〔a〕の中身は「操作目的」で、第2番目の括弧、即ち〔b〕の中身は「誤操作タスク又は超過時間操作タスク」で、第3番目の括弧、即ち〔c〕の中身は「誤操作内容又は超過の指摘」で、第4番目の括弧、即ち〔d〕の中身は「正しい操作方法」である。このように助言メールを定型文書化することによって、そのメール文章を比較的容易に自動的に作成することができる。
【0036】
このように助言メールが作成されると、その操作者に対して同じ内容の助言メールを通知したかの助言メール送付履歴の確認が行われる(ステップS20)。メール送付履歴データベース80に登録されたメール送付履歴情報に基づいて確認が行われ、同一操作者に対する同じ内容の助言メールの送付が所定回数、例えば3回未満である場合、再度その操作者に送付するとしてステップS21からステップS22に進み、その操作者個人宛に作成した助言メールを送付する。このとき、助言メール作成手段88は、操作者データベース76に登録された操作者情報からその操作者のメールアドレスを取得して助言メールの送付先として追加し、ネットワーク網14を介して操作者用操作装置2A(2B,2C)に送付する。従って、この操作者は受け取った助言メールの内容を見ることによって、誤操作、超過時間操作した操作タスクの正しい操作タスクを知ることができ、次に同様の入力操作する際の参考となり、個人的な問題による誤操作などを解消してシステムの操作性の向上を図ることができる。
【0037】
また、同一操作者に対する同じ内容の助言メールの送付が所定回数、例えば3回以上になる場合、ステップS21からステップS23に移り、その操作者個人宛に作成した助言メールを、その操作者の管理者に送付する。このとき、管理者向けメール作成手段92は、助言メール作成手段88が作成した助言メールを利用し、この助言メールに操作者の情報を付加して管理者向けメールを作成し、管理者データベース78に登録された管理者情報からその管理者のメールアドレスを取得して管理者向けメールの送付先として追加し、ネットワーク網14を介して管理者用操作装置4A(4B,4C)に送付する。従って、この管理者は受け取った管理者向けメールの内容を見ることによって、誤操作、超過時間操作した操作者及び誤操作などの操作タスクの内容を知ることができ、操作者に対して操作タスクのフォローを行って、システムの操作性の向上を図ることができる。
【0038】
これに対して、操作性評価手段86が全体レベルで、第2レベルと判定した場合、誤操作、超過時間操作が集中している例えば1〜2の操作タスクについて、操作性向上のための補助情報が自動的に作成される(ステップS16)。この補助情報の作成は、補助情報作成手段90により補助情報データベース74に登録された補助情報に関する情報を用いて行われる。この補助情報の一例としては、「ここでは〔e:スクロールさせて次の明細の部分に入力〕を行います。」があるが、この括弧内、即ち〔e〕の文言は誤操作内容によって自動的に又は手動で適切な内容に置き換えられる。ここでの括弧、即ち〔e〕の中身は「正しい操作方法」である。作成された補助情報は、ネットワーク網14を介して操作者用操作装置2A(2B,2C)及び管理者用操作装置4A(4B,4C)に送られ、それらの画面設計仕様データベース38,58に変更登録され、誤操作が多い操作タスクについて補助情報が追加される(ステップ25)。従って、次から操作する操作者(管理者)は、追加登録された補助情報を見ることによって、誤操作なく、或いは長い時間を要することなく正しく入力操作することができ、システムの操作性の改善を図ることができる。
【0039】
また、操作性評価手段86が全体レベルで、第3レベルと判定した場合、誤操作、超過時間操作が集中している例えば1〜2の操作タスクについてのレイアウト変更を行うための、誤操作データが自動的に作成される(ステップS17)。この誤操作データの作成は、誤操作タスクデータベース66の登録情報及び超過操作タスク・時間データベース68の登録情報を用いて作成され、この誤操作データが印刷物として、或いはネットワーク網14を介して設計側装置8に送られる。かくすると、この誤操作データをもとに、システム管理者が画面設計仕様の一部について新しいレイアウトを作成し(ステップS26)、新しい画面設計仕様がインターネット網14を介して操作者用操作装置2A(2B,2C)及び管理者用操作装置4A(4B,4C)の画面設計仕様データベース38,58に変更登録され、画面上の操作項目の配置変更が行われる(ステップS27)。従って、次から操作する操作者(管理者)は、仕様変更された画面を見るようになり、誤操作なく、或いは長い時間を要することなく正しく入力操作することが可能となり、システムの操作性の改善を図ることができる。例えば、入力項目の配置を変更することにより、項目ごとの関係をわかりやすく表現し、流れの分かりやすい入力順序にするように変更される。
【0040】
更に、操作性評価手段86が全体レベルで、第4レベルと判定した場合、誤操作、超過時間操作が集中している例えば3つ以上の操作タスクについてのインプット変更を行うための、誤操作データが自動的に作成される(ステップS18)。この誤操作データの作成は、第3レベルと同様に、誤操作タスクデータベース66の登録情報及び超過操作タスク・時間データベース68の登録情報を用いて作成され、この誤操作データが印刷物として、或いはネットワーク網14を介して設計側装置8に送られる。かくすると、この誤操作データをもとに、システム管理者が画面設計仕様についてのインプット内容を変更した新しい表示画面を作成し(ステップS28)、新しい画面設計仕様がインターネット網14を介して操作者用操作装置2A(2B,2C)及び管理者用操作装置4A(4B,4C)の画面設計仕様データベース38,58に変更登録され、変更した入力表示が新たに導入される(ステップS29)。従って、次から操作する操作者(管理者)は、新しい入力表示を用いて入力操作するようになり、誤操作なく、或いは長い時間を要することなく正しく入力操作することが可能となり、システムの操作性の改善を図ることができる。例えば、交通費請求の申請手続きにおいて、操作者に乗った路線や駅名、料金をすべて入力させるのではなく、本社や支社などの行き先ランドマークのみを入力させるだけでよい画面設計に変更するような場合であり、このようにインプット内容を変更することによって、操作がごく簡単になるとともに、そ操作者の誤操作が減り、操作時間も短縮される。
【0041】
上述したシステムにては、操作者全員の操作情報をリアルタイムで収集しているので、誤操作頻度の減少割合、操作時間の短縮割合など、ユーザビリティの改善効果が定量的に得られ、操作性の改善に非常に有用なものとなる。また、上述した説明では、作業課題を行うための一連の操作タスクの評価改善について説明したが、改善された操作タスクは、再度、上述したと同様にして評価改善され、その評価改善が繰り返し遂行されるので、システムの操作性は、実際の使用によって改善され、使い勝手のよいシステムを提供することができる。
【0042】
上述したユーザビリティ評価改善システムは、情報ソフトウェアの分野だけでなく、床暖房装置のリモコン装置やテレビ、ステレオのリモコンなど各種家庭用機器に用いられるリモコン装置などにおいても適用することができる。
【0043】
次に、図6及び図7を参照して、第2の実施形態のユーザビリティ評価改善システム(評価改善方法)について説明する。図6は、第2の実施形態のユーザビリティ評価改善システムの一部を簡略的に示すブロックであり、図7は、図6のシステムにおける評価改善の流れを示すフローチャートである。尚、この第2の実施形態では、床暖房装置のリモコン装置の評価改善に適用されており、上記第1の実施形態と実質上同一の部材には、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0044】
図6において、この第2の実施形態においては、操作者用操作装置に代えて床暖房用リモコン装置102Aが用いられ、このリモコン装置102Aの操作性が評価改善される。床暖房用リモコン装置102Aは、操作入力手段20、データ処理装置22、記憶手段24及び表示手段26を備え、これらの構成は、上述した操作者用操作装置のものと実質上同一の機能及び作用を有する。
【0045】
また、管理者用操作装置に代えて販売店側装置104Aが用いられ、この販売店側装置104Aは、操作入力手段40、データ処理手段42、記憶手段44、表示手段46、印刷手段48及び通信手段50を備え、記憶手段44Aは、操作履歴データベース56及び画面設計仕様データベース58を有し、これらの構成は、上述した管理者用操作装置と実質上同一の機能及び作用を有する。この第2の実施形態では、評価改善装置6Aと販売店側装置104Aとがネットワーク網を介して各種データのやり取りが行われるように構成され、床暖房用リモコン装置102Aの操作履歴データが販売店側装置104Aから評価改善装置6Aに送られ、また評価改善装置6Aからの各種情報が販売店側装置104Aに送られるように構成され、このことに関連して、その記憶手段44Aは、評価改善装置6Aからの助言情報を登録管理する助言情報管理データベース106と、評価改善装置6Aからの補助情報を登録管理する補助情報管理データベース108を更に含んでいる。
【0046】
更に、評価改善装置6Aのサーバ12Aは、操作者データベースに代えて顧客の氏名、住所などを登録管理する顧客管理データベース76Aを、管理者データベースに代えて顧客を管理する販売店の氏名、住所、メールアドレスなどを登録管理する販売店管理データベース78Aを、またメール送付履歴データベースに代えて助言情報を記載したハガキの送付履歴を登録管理するハガキ送付履歴データベース80Aを有し、このサーバ12Aのその他の構成は、上述したサーバと実質上同一である。
【0047】
更にまた、評価改善装置6Aのデータ処理装置10Aは、助言メール作成手段に代えて助言情報データベース72に登録された情報を用いて助言情報を作成する助言情報作成手段88Aを、管理者向けメール作成手段に代えて販売店向けメールを作成する販売店向けメール作成手段92Aを備え、このデータ処理装置10Aのその他の構成は、上述したデータ処理装置と実質上同一である。
【0048】
次に、図6とともに図7を参照して、第2の実施形態のシステムにおける評価改善の流れを説明する。床暖房装置を操作する操作者(リモコン装置102Aの購入者)が床暖房用リモコン装置102Aを用いて床暖房装置の運転/運転停止やタイマー予約運転などの操作を行う(ステップS31)。かくすると、操作履歴データ取得手段32によって、操作者が行った一連の入力操作データが取得され、取得された操作履歴情報が操作履歴データベース36に登録される。このように登録された操作履歴情報は、この操作者を顧客として管理する販売店の販売員が定期的に操作者宅を訪問して吸い上げられ、例えば販売店側装置104Aを用いてネットワーク網を介して評価改善装置6Aの操作履歴データベース62に登録される(或いは、その操作履歴情報を外部記録メディアに記録して評価改善装置6A側に送付し、この評価改善装置6A側で入力して操作履歴データベース62に登録する)。
【0049】
操作履歴情報を分析する際には、まず、リモコン装置102Aの操作履歴データと正しい操作方法データとが対比され、操作性に問題がある操作タスクの特定が行われる。即ち、データ比較手段82は、操作履歴データベース62に登録された操作履歴情報を読み出し(ステップS32)、また操作方法データベース64に登録された正しい操作方法情報を読み出し(ステップS33)、各操作者の各操作毎に操作タスクの分析を行う(ステップS34)。そして、タスク特定手段84は誤操作した操作タスクを検索し(ステップS35)、また入力操作するのに基準時間に比して長時間、例えば10倍以上の時間を要した操作タスクを検索する(ステップS36)。その後、この操作者についての誤操作タスクのデータと超過時間操作タスクのデータとの統合が行われ(ステップS37)、誤操作タスクのデータについては、誤操作タスクデータベース66に登録され、超過時間操作タスクのデータについては、超過操作・時間データベース68に登録される。
【0050】
そして、床暖房用リモコン装置102Aの操作性についての操作性評価の判定が行われる(ステップS38)。この判定は、第1の実施形態と同様に、操作性評価手段86により行われ、操作性評価手段86は、各操作タスクで同じ誤操作を行った、又は超過時間操作を行った操作者の全体に対する割合を演算し、誤操作などをした操作者の割合が例えば10%未満である場合、誤操作又は超過時間操作が操作者個人に起因しているとして個人レベルで、第1レベル、即ち助言レベルと判定し、ステップS39からステップS40に進む。
【0051】
これに対して、各操作タスクで同じ誤操作、又は超過時間操作を行った操作者の全体に対する割合が例えば10%以上である場合、誤操作などが全体な問題であるとして全体レベルと判定する。そして、誤操作、超過時間操作が操作タスクの例えば1〜2つに集中し、且つ誤操作などの操作者の割合が例えば50%未満であると、操作性評価手段86は第2レベル、即ち補助情報レベルと判定し、ステップS39からステップS41、ステップS42及びステップS43を経てステップS46に進む。また、誤操作、超過時間操作が操作タスクの例えば1〜2つに集中し、且つ誤操作などの操作者の割合が例えば50%以上であると、操作性評価手段86は第3レベル、即ちレイアウトレベルと判定し、ステップS39からステップS41、ステップS42、ステップS43及びステップ44を経てステップS47に進む。更に、誤操作、超過時間操作が操作タスクの例えば3つ以上に起こり、且つこれらの誤操作などの操作者の割合が例えば50%以上であると、操作性評価手段86は第4レベル、即ちインプットレベルと判定し、ステップS39からステップS41、ステップS42、ステップS43、ステップS44及びステップS45を経てステップS48に進む。
【0052】
操作性評価手段86が第1レベルと判定した場合、操作履歴データベース62の登録情報から誤操作、超過時間操作をした特定操作者が特定され(ステップS40)、助言情報データベース72に登録された情報を用いて助言情報作成手段88Aが助言情報を自動的に作成して助言用ハガキにその助言情報を印刷出力する(ステップS49)。助言情報の例としては、「あなたは〔a:タイマー予約〕作業において〔b:開始時刻を入力設定する〕とき、〔c:「時計」スイッチを押しています〕。正しい操作方法は〔d:「設定」スイッチを押す〕、です。」などがあるが、この括弧内の文言は誤操作内容によって自動的に又は手動で適切な内容に置き換えられる。最初の括弧、即ち〔a〕の中身は「操作目的」、第2番目の括弧、即ち〔b〕の中身は「誤操作タスク又は超過時間操作タスク」、第3番目の括弧、即ち〔c〕の中身は「誤操作内容又は超過の指摘」、第4番目の括弧、即ち〔d〕の中身は「正しい操作方法」である。
【0053】
このように助言用ハガキが作成されると、その操作者に対して同じ内容の助言用ハガキを通知したかの助言用ハガキ送付履歴の確認が行われる(ステップS50)。同一操作者に対する同じ内容の助言用ハガキの送付が所定回数、例えば3回未満である場合、再度その操作者に送付するとしてステップS51からステップS52に進み、その操作者個人宛に作成した助言用ハガキを送付する。このとき、助言情報作成手段88Aは、顧客管理データベース76Aに登録された顧客情報からその顧客の氏名、住所を取得して助言用ハガキの送付先として記載して郵送される。従って、この顧客は受け取った助言用ハガキの内容を見ることによって、誤操作、超過時間操作した操作タスクの正しい操作タスクを知ることができる。
【0054】
また、同一操作者に対する同じ内容の助言用ハガキの送付が所定回数、例えば3回以上になる場合、ステップS51からステップS53に移り、その操作者個人宛に作成した助言情報が、その顧客を管理する販売店の販売員にメールで送られる。このとき、販売店向けメール作成手段92Aは、助言情報作成手段88Aが作成した助言情報を利用し、この助言情報に顧客の情報を付加して販売店向けメールを作成し、販売店管理データベース78Aに登録された販売店情報からその販売店のメールアドレスを取得して販売店向けメールの送付先として追加し、ネットワーク網14を介して販売店側装置104Aに送付し、送付されたメールは販売店側装置104Aの助言情報管理データベース106に登録される。従って、この販売店の販売員は受け取った販売店向けメールの内容を見ることによって、誤操作、超過時間操作した顧客及び誤操作などの操作タスクの内容を知ることができ、その顧客に対して操作タスクのフォローを行うようになる。
【0055】
これに対して、操作性評価手段86が全体レベルで、第2レベルと判定した場合、誤操作、超過時間操作が集中している例えば1〜2の操作タスクについて、操作性向上のための補助情報が自動的に作成される(ステップS46)。補助情報の例としては、「このスイッチでは〔e:運転開始時間の入力〕を行います。」があるが、この括弧内、即ち〔e〕の文言は誤操作内容によって自動的に又は手動で適切な内容に置き換えられる。ここで括弧、即ち〔e〕の中身は「正しい操作方法」である。作成された補助情報は、ネットワーク網を介して販売店側装置104Aに送られ、その補助情報管理データベース108に登録管理される。そして、販売店の販売者を通じて床暖房用リモコン装置102Aに添付され、その画面設計仕様データベース38に変更登録され、誤操作が多い部分に作成された補助情報が追加される(ステップS55)。
【0056】
また、操作性評価手段86が全体レベルで、第3レベルと判定した場合、誤操作、超過時間操作が集中している例えば1〜2の操作タスクについてのレイアウト変更を行うための、誤操作データが自動的に作成される(ステップS47)。そして、この誤操作データをもとにシステム設計者が新しいレイアウトを作成し(ステップS56)、リモコン装置102Aの画面設計仕様データベース36を変更してレイアウトの変更を行う(ステップS57)。例えば、スイッチの配置を変更することにより、操作手順をわかりやすく表現するとか、流れの分かりやすい入力順序にするとかである。
【0057】
更に、操作性評価手段86が全体レベルで、第4レベルと判定した場合、誤操作、超過時間操作が集中している例えば3つ以上の操作タスクについてのインプット変更を行うための、誤操作データが自動的に作成される(ステップS48)。そして、この誤操作データをもとにシステム設計者がインプット内容を変更した入力表示を作成し(ステップS58)、リモコン装置102Aの画面設計仕様データベース38を変更してインプット情報の変更を行う(ステップS59)。例えば、タイマー運転予約において、操作者に運転開始時刻、運転停止時刻をすべて入力させるのではなく、何時間後に運転開始するか、のみを入力させるだけでよい画面設計に変更するとかであり、このように変更することによって、入力操作はごく簡単になる。
【0058】
以上、本発明のユーザビリティ評価改善方法及びシステムの実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0059】
例えば、図示の実施形態では、操作性評価手段86は第1〜第4レベルの4段階(「助言」、「補助情報」、「レイアウト」及び「インプット」のレベル)に評価するように構成されているが、このような構成に限定されず、第1〜第3レベルの3段階(「助言」、「補助情報」及び「レイアウト」のレベル)に評価するように構成してもよく、このように構成しても上述したと同様の作用効果を達成することができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のユーザビリティ評価改善方法及び請求項8に記載のユーザビリティ評価改善システムによれば、操作者による操作履歴データが取得され、この操作履歴データと正しい操作方法との比較が行われ、この比較結果から操作性を悪くしているタスクが特定されるので、実際に操作する操作者を対象にし、その操作全体を通してその操作性を評価することができる。また、操作性を悪くしている特定タスクの操作効率に与える影響の大きさによってシステムの操作性を評価するので、その評価を客観的に行うことができる。
【0061】
また、本発明の請求項2に記載のユーザビリティ評価改善方法によれば、操作性を悪くしている操作タスクが特定されると、この特定操作タスクの問題点の内容から第1〜第3レベルの段階の改善レベル示されるので、操作性の改善レベルを客観的に知ることができる。また、示された改善レベルに応じてシステムの操作性を改善することによって、操作性の改善を効率的に行うことができる。
【0062】
また、本発明の請求項3に記載のユーザビリティ評価改善方法によれば、操作者の入力情報の質から変更するレベル第4レベルが設けられているので、システムの操作のインプット内容に関する変更を含め、その操作性の大幅な改善が行われる。
【0063】
また、本発明の請求項4に記載のユーザビリティ評価改善方法によれば、問題となる操作タスクの特定は、操作履歴データにおける各操作タスクの操作時間と操作方法データにおける各操作タスクの効率的操作時間とを対比することによって行われるので、特定操作タスクの問題点の大きさを客観的に判定することができる。
【0064】
また、本発明の請求項5に記載のユーザビリティ評価改善方法によれば、操作性を改善した後に、操作者による操作履歴データを取得し、改善後の操作履歴データ及び改善前の操作履歴データと操作方法データとの比較が行われるので、特定タスクの改善による効果を評価することができる。
【0065】
また、本発明の請求項6に記載のユーザビリティ評価改善方法によれば、第1レベルの場合、改善情報である助言情報が自動的に作成され、作成された助言情報が操作者に通知されるので、その通知を見ることによって、正しい操作方法などを知ることができる。また、第2レベルの場合、改善情報である補助情報が自動的に作成され、作成された補助情報が操作画面上に付加されるので、画面上に付加された補助情報を見ることによって正しい操作方法などを知ることができる。
【0066】
更に、本発明の請求項7に記載のユーザビリティ評価改善方法によれば、改善レベルが第3及び第4レベルである場合、特定タスクに関する改善に有用な情報が自動的に作成されるので、この作成された情報を参考にすることによって、操作性の改善を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うユーザビリティ評価改善システムの第1の実施形態を簡略的に示す概略図である。
【図2】図1のシステムにおける評価改善装置、操作者用操作装置及び管理者用操作装置を示すブロック図である。
【図3】図1のシステムにおける評価改善の流れを示すフローチャートである。
【図4】作業課題としての交通費の請求操作におけるデータ比較結果を示す図である。
【図5】図4の内容を折れ線グラフとして示した図である。
【図6】本発明に従うユーザビリティ評価改善システムの第2の実施形態の一部を示すブロック図である。
【図7】図6のシステムにおける評価改善の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
2A,2B,2C 操作者用操作装置
4A,4B,4C 管理者用操作装置
6,6A 評価改善装置
8 設計者側装置
10,10A データ処理装置
12,12A サーバ
14 ネットワーク網
20,40 操作入力手段
32,52 操作履歴データ取得手段
36,56,62 操作履歴データベース
38,58 画面設計仕様データベース
64 操作方法データベース
66 誤操作タスクデータベース
68 超過操作タスク・時間データベース
70 操作性評価データベース
72 助言メールデータベース
72A 助言情報データベース
74 補助情報データベース
82 データ比較手段
86 操作性評価手段
88 助言メール作成手段
88A 助言情報作成手段
90 補助情報作成手段
92 管理者向けメール作成手段
92A 販売店向けメール作成手段
102A 床暖房用リモコン装置
104A 販売店側装置
106 助言情報管理データベース
108 補助情報管理データベース

Claims (8)

  1. システムの操作性を評価改善するユーザビリティ評価改善方法であって、操作者による操作履歴データを取得し、この操作履歴データと正しい操作方法データとを比較し、これら両データの比較から操作性を悪くしている設計要素を特定し、その操作効率に与える影響の大きさによって、システムの操作性を評価することを特徴とするユーザビリティ評価改善方法。
  2. 前記操作履歴データと前記操作方法データとを比較して問題となる操作タスクを特定し、前記操作タスクの問題点の内容から、操作者へ助言を行う第1レベル、画面上に操作の助けになる補助情報を追加する第2レベル及び操作画面の操作項目の配置を変更する第3レベルで改善レベルを示し、前記改善レベルに応じてシステムの操作性を改善する請求項1に記載のユーザビリティ評価改善方法。
  3. 前記操作履歴データと前記操作方法データとを比較して問題となる操作タスクを特定し、前記操作タスクの問題点の内容から、操作者の入力情報の質から変更する第4レベルを改善レベルとして加えた請求項2に記載のユーザビリティ評価改善方法。
  4. 前記操作履歴データと前記操作方法データとを比較して問題となる操作タスクを特定する際に、前記操作履歴データにおける特定操作タスクの操作時間と操作方法データにおける特定操作タスクの操作基準時間とを対比し、前記特定操作タスクの前記操作時間と前記特定タスクの前記操作基準時間との時間差程度を算定し、その時間差程度から前記特定タスクの問題点の大きさを判定する請求項2又は3に記載のユーザビリティ評価改善方法。
  5. 前記改善レベルによる改善を実施した後、改善後の操作者による操作履歴データを更に取得し、改善後の操作履歴データ及び改善前の操作履歴データと前記操作方法データと比較し、これによって前記特定タスクに対する改善効果を定量的に評価する請求項2又は3に記載のユーザビリティは評価改善方法。
  6. 前記改善レベルが前記第1レベルである場合、その改善情報が自動的に作成されてその操作者に通知され、前記改善レベルが前記第2レベルである場合、その改善情報が自動的に作成されて操作画面上に付加される請求項2に記載のユーザビリティ評価改善方法。
  7. 前記改善レベルが前記第3レベル及び第4レベルである場合、前記特定タスクに関する改善に有用な情報を自動的に作成する請求項3に記載のユーザビリティ評価改善方法。
  8. システムの操作性を評価改善するユーザビリティ評価改善システムであって、操作者による操作履歴データを取得する操作履歴データ取得手段と、前記操作履歴データと正しい操作方法データとを比較するデータ比較手段と、前記データ比較手段による比較結果から操作性を悪くしている設計要素を特定するタスク特定手段と、前記タスク特定手段により特定された特定タスクの操作効率に与える影響の大きさによってシステムの操作性を評価する操作性評価手段と、を具備することを特徴とするユーザビリティ評価改善システム。
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