JP2004286878A - 光学素子 - Google Patents

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宏至 股木
Shigeru Yamaki
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Abstract

【課題】光透過率が高く、かつ成形加工性、経済性にすぐれた光学素子を提供する。
【解決手段】光学素子は、有機重合体と無機微粒子とで構成された複合材料によって形成されている。光学素子は、波長150nm〜3000nmの範囲内の光の透過率が有機重合体単独で形成された材料における光透過率と比較して高い。無機微粒子は、反応性基、感光性基などの官能基を有していても良い。無機微粒子の平均粒子径は2〜1000nm程度である。無機微粒子の割合は、好ましくは固形分換算で、有機重合体および無機微粒子の総量の95重量%以下である。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー、平板光導波路などとして好適に用いられ、有機重合体を用い、かつ、該有機重合体固有の光透過率よりも高い光透過率が付与された光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー、平板光導波路などの光学素子は、透過、反射、屈折、回折など光の伝搬様態を制御する光学素子として、現代社会において不可欠の部品となっている。古くは、光学的に高い透明性と均質性を有する珪素系ガラス材料が、そのような光学素子用材料として用いられていたが、重くて壊れやすく、また高温プロセスによって製造されるためコストが高くなるという問題がある。
【0003】
近年、このような問題を解消する材料として、成形性や経済性に優れた透明な有機重合体を用いた光学素子が普及し、眼鏡用レンズ、光ディスク用対物レンズ、プラスチック光ファイバー、ポリマ平板光導波路などとして実用に供せられるようになってきた。(全般的なレビューとしては非特許文献1参照。)
しかしながら、一般的に有機重合体は、珪素系ガラスに代表される透明無機材料に比べて光透過率が低い。このため、有機重合体は、光の利用効率をより高くすることによって装置性能を高めようとするCD, DVDなどの光ディスク装置用レンズ、光の伝搬距離が長い光ファイバーや平板光導波路など光導波路として総称される光学素子に用いた場合、不都合を生じることが多い。特に、光通信分野で用いられる波長1.3〜1.7μmの赤外光波長帯においては、多くの有機重合体を構成する炭化水素系分子の伸縮振動に起因する光の吸収が生起し、光ファイバーや平板光導波路中での伝搬を著しく阻害することが知られている。
【0004】
このような有機重合体の光透過率にかかわる問題を解くため、有機重合体原材料中の不純物を除去する手段、有機重合体を構成する分子の一部をフッ素などで置換することによって炭化水素系分子の伸縮振動が生起する波長を大きくシフトさせる手段などが提案されてきた(非特許文献2参照)。しかしながら、これらの手段を講じることによって、経済性に優れた光学素子を提供できるという有機重合体の特徴が損なわれるという別の問題が発生し、広く実用化されていないのが実情である。
【0005】
一方、有機重合体と無機微粒子との複合化は、耐熱性、難燃性、耐候性、耐磨耗性、機械的強度の向上など、主に有機重合体の熱的、化学的、機械的安定性が不十分であることを補う方法として古くから知られている(特許文献1,2参照)。また、上記複合化は、有機重合体を溶解・エッチングする過程において、無機微粒子充填剤をエッチング促進助剤として用いる方法にも用いられる(特許文献3参照)。
【0006】
また、無機微粒子を有機重合体と複合化させることにより、光学的な特性を制御するものとしては、無機微粒子によって伝搬光の散乱中心を形成し、液晶ディスプレー用拡散板や光散乱シートなどに用いられることがある(特許文献4,5参照)。これらの場合は、比較的大きな微粒子と光との間で生起するミー散乱を利用している。あるいは、光の吸収中心として無機微粒子を用いる方法も古くから知られており、例えば、紫外線吸収化粧品として広く実用化されている(特許文献6参照)。
【0007】
なお、有機重合体と無機微粒子との複合体ではないが、有機材料と無機材料との複合化によって光透過率の高い光学素子を作製する方法としては、一般的にゾルーゲル法と呼ばれる方法が広く知られており、光学素子への応用も活発に研究されてきた(非特許文献3参照,特許文献7〜9)。
【0008】
ゾルーゲル法は、ゾル(液体)である金属アルコキシドを出発原料とし、これに、加水分解、縮重合などの化学反応を加えて固体状のゲル(ゼリー状の固体)を作製し、その後加熱熱処理によって溶媒を取り除き透明で強固な固体を得る方法である。低温で、ガラスやセラミックスを得る方法として実用化され、光学素子への応用も試みられているが、縮重合反応過程で著しい体積変化を示すことから、高い寸法安定性を得ることが難しく、形状変化によって特性が大きく変化する光学素子としてはほとんど実用化されるには至っていない。
【0009】
【非特許文献1】井出文雄著『オプトエレクトロニクスと高分子材料』共立出版(1995)
【非特許文献2】POFコンソーシアム編『プラスチック光ファイバー』共立出版(1997年)
【非特許文献3】M.P.Andrewら編、”Sol−Gel and Polymer Photonic Devices”, SPIEプレス(1997)
【特許文献1】特開平05−271487号公報
【特許文献2】特開平05−093802号公報
【特許文献3】特開2000−029221号公報
【特許文献4】特開平09−159837号公報
【特許文献5】特開平11−058495号公報
【特許文献6】特開2000−212029号公報
【特許文献7】特開平05−116931号公報
【特許文献8】特開平09−002822号公報
【特許文献9】特開平11−246661号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、無機微粒子がもつ機械的、化学的、熱的などの特徴を付加する方法は知られているが、有機重合体と無機微粒子との複合体を形成する方法は、主に光の散乱や吸収を制御する目的で用いられている。このことからわかるように、無機微粒子の有機重合体内での複合化は、散乱や吸収など、光透過率を阻害する方向にはたらく。
【0011】
したがって、上記従来の技術では、成形性、軽量性、経済性に優れた有機重合体を用い、かつ、光透過率の高い光学素子を提供することが困難であるという問題がある。
【0012】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、成形性、軽量性、経済性に優れた有機重合体を用い、かつ、光透過率の高い光学素子を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、有機重合体中に無機微粒子を分散させた複合体を形成することにより、有機重合体単独よりも光透過率を高くできることを見出した。
【0014】
すなわち、本発明の光学素子は、有機重合体と無機微粒子とを含む複合材料によって形成されている。
【0015】
すなわち、請求項1記載の光学素子は、上記の課題を解決するために、光の透過、反射、屈折、回折などの光の伝搬様態を制御する光学素子であって、有機重合体と無機微粒子とを含むことにより光透過性を向上させた複合材料によって形成されてなることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、有機重合体と無機微粒子とを含むことにより光透過性を向上させた複合材料であることで、有機重合体単独で形成された光学素子に比して、より光透過性に優れた光学材料を提供することができる。
【0017】
請求項2記載の光学素子は、上記の課題を解決するために、波長150nm〜3000nmの範囲内の光の透過率が有機重合体単独で形成された材料における光透過率と比較して高いことを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、成形性、軽量性、経済性に優れた有機重合体を用い、かつ、光透過率の高い光学素子を提供することができる。
【0019】
請求項3記載の光学素子は、上記の課題を解決するために、無機微粒子が、反応性基および感光性基から選択された少なくとも1種の官能基を有することを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、無機微粒子が上記官能基を有していることで有機重合体表面等に無機微粒子をより確実に固定化することができる。
【0021】
請求項4記載の光学素子は、上記の課題を解決するために、無機微粒子の平均粒子径が2〜1000nmであることを特徴としている。
上記の構成によれば、無機微粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、該粒子径が、伝搬を制御される光の波長と比較して相対的に小さくなるため、光透過性をより向上させることができる。上記平均粒子径は、好ましくは2〜100nmである。
【0022】
請求項5記載の光学素子は、上記の課題を解決するために、無機微粒子の割合が、固形分換算で、有機重合体および無機微粒子の総量の95重量%以下であることを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、無機微粒子間の2次凝集による光の散乱損失を来たすことなく光透過性を向上させることができる。
【0024】
請求項6記載の光学素子は、上記の課題を解決するために、有機重合体が感光性高分子であることを特徴としている。
【0025】
上記の構成によれば、フォトリソグラフィー法などよく知られた露光プロセス技術を用いることにより、切断、切削、研磨などといった機械的加工を経ることなく、さまざまな形状やパターンの光学素子を容易に成形することができる。
【0026】
請求項7記載の光学素子は、上記の課題を解決するために、複合材料が、少なくとも2値の異なる屈折率が分布する複数の部位を有し、相対的に屈折率の高い一方の部位(前記複数の部位のうち一つの部位)に光を閉じ込めて伝搬させる光導波路を形成してなることを特徴としている。
【0027】
上記の構成によれば、上記複合材料を用いることで、光伝搬に必要となる光透過性を保持した光導波路を提供できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の光学素子を構成する複合材料としては、光学的に透明な有機重合体と無機微粒子とを含む複合材料であれば、どのような組合せであってもよい。有機重合体と無機微粒子の複合材料は、慣用の方法、例えば、有機重合体と無機微粒子とを混合・分散することにより調整できる。
[有機重合体]
光学的に透明な(光透過性を有する)有機重合体としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリオレフィンなどが例示できるが、目的とする光の波長に対して実質的に透明な有機重合体であれば本発明の光学素子に用いることができる。また、これらの有機重合体は、単独で用いてもよく2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0029】
さらには、これらの有機重合体は、その主鎖や側鎖に、光や熱によって付加、架橋、重合などの反応を促す官能基を有していてもよい。このような官能基としては、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、ジアゾ基、ニトロ基、シンナモイル基、アクリロイル基、イミド基、エポキシ基などが例示できる。
【0030】
有機重合体は、可塑剤、酸化防止剤などの安定剤、界面活性剤、溶解促進剤、重合禁止剤、染料や顔料などの着色剤などの添加物を含んでいても良い。さらに、有機重合体は、塗布性などの作業性を高めるために、溶媒(水、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、炭化水素類などの有機溶媒)を含んでいてもよい。
【0031】
有機重合体は、感光性高分子であってもよい。感光性高分子としては、露光部が硬化して不溶となるネガ型感光性高分子、または露光部が可溶となるネガ型感光性高分子のいずれであっても良い。また、感光性高分子は、高分子自体が感光性を有していてもよく、あるいは高分子と、感光性化合物とを混合してなる樹脂組成物であってもよい。高分子自体に感光性を有するものとしては、ジアゾニウム塩基含有高分子、アジド基含有構高分子、ポリケイ皮酸ビニルエステルなどのシンナモイル基を有する高分子などが挙げられる。また、高分子と混合して感光性の樹脂組成物を形成する感光性化合物としては、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、アミド基またはN−置換アミド基、ニトリル基、グリシジル基、ハロゲン原子を含有している化合物などが挙げられる。有機重合体が感光性高分子であることで、フォトリソグラフィー法などよく知られた露光プロセス技術を用いることにより、切断、切削、研磨などといった機械的加工を経ることなく、さまざまな形状やパターンの光学素子を容易に成形することができる。
【0032】
[無機微粒子]
無機微粒子としては、個々の光学素子の用途に応じて、例えば金属単体、金属酸化物、無機炭酸塩、無機硫酸塩、リン酸塩などを用いることができる。好ましい無機微粒子は無機酸化物であり、このような無機酸化物としては、シリカ(コロイダルシリカ、アエロジル、ガラスなど)、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化イットリウム、酸化錫、酸化インジウム、チタン酸ジルコニウム、酸化マグネシウム、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブなどを例示できる。また、無機微粒子として、ゾル−ゲル法などによって調整されたゾルやゲルなども含まれる。
これらの無機微粒子も、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
無機微粒子の形状は、球状、楕円状、扁平状、ロッド状などいずれの形状であっても良いが、特に球状のときに、本発明によって得られる効果を有効に発現できる。
無機微粒子の平均粒子径は、光学素子を透過する、または光学素子によって屈折、回折など伝搬を制御される光の波長よりも小さいことが望ましい。具体的には光の波長によって異なるが、好ましくは2〜1000nm(特に、2〜100nm)程度である。無機微粒子としては、BET法による平均粒子径2〜100nm程度の単分散した無機微粒子(特にコロイダルシリカ)を用いても良い。単分散した無機微粒子(特にコロイダルシリカ)は、オルガノゾル(商品名)(シリカゾル)として市販されている。
【0034】
無機微粒子は、官能基(例えば、前記有機重合体との親和性を高める基、熱、機械的応力、水または水蒸気の添加などの外的負荷を加えることによって反応性を有する基(反応性基)、感光性基など)を有していてもよい。このような官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミド基、ビニル基、エステル基、エーテル基、アミド基またはN−置換アミド基、ニトリル基、グリシジル基、ジアゾ基、ハロゲン化アルキル基、エポキシ基、イソシアネート基;が挙げられる。
【0035】
特に、有機重合体と複合化された無機微粒子を、有機重合体内で移動し、あるいは凝集することなく均一に分散させて保持する上で、無機微粒子に官能基を導入し、この官能基と有機重合体とを反応させることによって無機微粒子を固定化させることにより、優れた光透過性をより安定して得ることができる。官能基を有する無機微粒子は、無機微粒子と、この無機微粒子に導入された官能基とで構成できる。この官能基は、反応性基または感光性基(特に重合性感光基)であることが好ましい。また、この官能基は、無機微粒子と加水分解重合性基および/または感光性基を有する有機金属化合物(特に、シランカップリング剤やチタンカップリング剤など)有機金属化合物または縮合物との反応、表面グラフト反応、CVD法などにより無機微粒子に導入できる。
【0036】
官能基が導入された無機微粒子において、無機微粒子に対する官能基の導入量は、官能基を有する化合物換算で、無機微粒子100重量部に対して0.5〜50重量部、好ましくは1〜20重量部程度の範囲から選択できる。
【0037】
有機重合体と無機微粒子との混合割合は特に限定されないが、より優れた透過性を得るためには、無機微粒子の割合が、固形分換算で有機重合体および無機微粒子の総量の95重量%以下であることがより好ましい。
【0038】
[光学素子]
本発明の光学素子は、レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー、平板光導波路などに例示され、透過、反射、屈折、回折などを通して光の伝搬様態を制御するものである。ここに例示した光学素子における動作様態を図1(a)〜(d)に示した。(図中矢線は光の進行方向を表す。)同図のように、透過、反射、屈折、回折などを通して光の伝搬様態を制御する光学素子であればどのようなものであっても、成形性と経済性に優れた有機重合体を用い、かつ、本発明によって、有機重合体の欠点である光透過性の低さを改善できる。
【0039】
本発明は、特に、光ファイバ、平板光導波路など光導波路と総称され、光の伝搬距離が長い光学素子において、特にその効果を発揮する。すなわち、有機重合体単体では実用上満足できる光透過性を得られないが、無機微粒子との複合化によって光透過性が改善される。
【0040】
本発明の光学素子の光透過率は、光学素子の用途、該用途に応じて決定される有機重合体及び無機微粒子の種類、混合割合等により異なるが、例えば、有機重合体としてアクリル樹脂を用い、無機微粒子としてシリカゾルを用いて光導波路を形成した場合、上記有機重合体単独で光導波路を形成した場合と比較して、相対的に光透過率を向上させることができる。
【0041】
すなわち、上記本発明に係る光導波路の場合、波長190nm〜2000nmの光を、光導波路に形成した光学素子の端面から結合させたのち伝搬させた場合、その光透過率は、少なくともアクリル樹脂単体の光透過率以上に向上させることが可能である。
【0042】
このように本発明の構成によれば、有機重合体単独で構成された複合材料に比較して、より優れた光透過性を有する光学素子を得ることができる。
【0043】
[光学素子の作製]
有機重合体と無機微粒子の複合体を用いた光学素子は、有機重合体の成形加工法として一般的に知られている慣用の方法によって作製することができる。
【0044】
例えば、有機重合体と無機微粒子とを混合したのち、所望の光学素子に適した鋳型(金型)に同混合体を流し込み、固化して成形体を得るキャスト成形法を用い得る。キャスト成形法においては、加熱、光照射など補助的な手段を用いて固化することもできる。
【0045】
あるいは、有機重合体と無機微粒子とを混合した液を、適当な基板上に塗布したのち、固化して薄膜を得る方法もある。基板上に有機重合体と無機微粒子との混合液を塗布する方法としては、スピンコーティング法、バーコーティング法、ロールコーティング法などが知られている。
【0046】
本発明によって作製される光学素子が光ファイバーの場合、珪素ガラス系光ファイバーやプラスチック光ファイバーで用いられている紡糸法が適用できる。すなわち、有機重合体と無機微粒子とを混合した液を、ギヤーポンプなどを用いて吐出口から射出した後、ドラムやボビンで巻き取る。あるいは、有機重合体と無機微粒子の混合体を固化したのち、オーブン内で加熱して端部を溶かし、溶融状の有機重合体と無機微粒子の複合体をドラムやボビンに巻き取ることもできる。光ファイバーの作製方法としては、たとえば J.P.Harmon and G.K.Noren編、”Optical Polymers”, 第5頁、アメリカ化学会(2001年)に詳しい。
【0047】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0048】
〔実施例1〕
<無機微粒子への官能基の導入>
無機微粒子として、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)に分散された、粒径10〜15nmのシリカゾル「PMA−ST」(日産化学工業株式会社製)を用いた。また、官能基として感光基を導入するため、シランカップリング剤「サイラエースS710」(チッソ株式会社製)を用いた。まず、シランカップリング剤を、シリカゾル表面の水酸基の等モル量だけPGMEA分散シリカゾルに加え、混合した溶液を室温で3時間攪拌し、シランカップリング剤のメトキシ基(−OCH)とシリカナノ粒子表面の水酸基の反応を通じてシリカゾル表面にシランカップリング剤を付加した。
【0049】
<有機重合体と無機微粒子との混合液の作製>
有機重合体として、光重合性アクリル樹脂「サイクロマー」(ダイセル化学工業株式会社製)を用いた。この有機重合体と、前記の方法にてシランカップリング剤を無機微粒子表面に導入したシリカゾル、および光ラジカル発生剤「Irgacure369」(商品名,チバガイギー社製)をPGMEA中で混合し、室温にて2時間攪拌させ混合液を得た。混合比はシリカゾル重量分率として、各々下記のように設定した。
【0050】
<光学素子の作製>
光学素子として、平板光導波路を作製した。作製にあたっては、前記の方法にしたがって光重合性アクリル樹脂とシリカゾルの混合液を作製した。
【0051】
まず、シリカゾル重量分率50%の光重合性アクリル樹脂とシリカゾルとの複合体膜を、スピンコーティング法を用いて厚さ9μm塗布し、90℃で30秒間乾燥させた後、全面に超高圧水銀灯を露光して硬化し、平板光導波路のアンダークラッド層として形成した。このアンダークラッド層の波長633nmにおける屈折率は、前記分光反射率法測定結果から1.484であった。
【0052】
次に、光導波層としてシリカゾル重量分率が40%の光重合性アクリル樹脂とシリカゾルの複合体膜を、スピンコーティング法を用いて厚さ2.8μm塗布し、90℃で30秒間乾燥させた後、光導波路パターンを描いたフォトマスクを介して超高圧水銀灯を露光した。さらに、アルカリ水(TMAH2.38%水溶液)中で10秒間現像して未露光部を除去した後、水洗および90℃、2分間の乾燥を行い、図3に示すような、シリコンウエハ11及び、該シリコンウエハ11上に順次積層されたアンダークラッド層12、光導波層13からなる平板光導波路を得た。光導波層の屈折率は、前記分光反射率測定結果から1.494であった。
【0053】
〔実施例2〕
実施例1と同様にして混合液を調製し、導波層としてシリカゾル重量分率が20%の光重合性アクリル樹脂とシリカゾルの複合体膜を、スピンコーティング法を用いて厚さ2.4μm塗布し、90℃で30秒間乾燥させた後、光導波路パターンを描いたフォトマスクを介して超高圧水銀灯を露光した。さらに、アルカリ水(TMAH2.38%水溶液)中で10秒間現像して未露光部を除去した後、水洗および90℃、2分間の乾燥を行い平板光導波路を得た。このときの光導波層の屈折率は、前記分光反射率測定結果から1.504であった。
【0054】
〔比較例1〕
さらに、比較用の導波層として、シリカゾルを含まない光重合性アクリル樹脂100%の薄膜を、スピンコーティング法を用いて厚さ0.7μm塗布し、90℃で30秒間乾燥させた後、光導波路パターンを描いたフォトマスクを介して超高圧水銀灯を露光した。さらに、アルカリ水(TMAH2.38%水溶液)中で10秒間現像して未露光部を除去した後、水洗および90℃、2分間の乾燥を行い比較用の平板光導波路を得た。このときの光導波層の屈折率は、前記分光反射率測定結果から1.514であった。
【0055】
最後に、以上のようにして作製した実施例1、実施例2および比較例1の平板光導波路を、基板であるシリコンウエハのへき開を利用して切断し、光導波路端面を形成した。
【0056】
<光導波性能の測定>
以上の方法で得た、導波層として感光性アクリル樹脂とシリカゾルの複合体薄膜を用いた実施例1、実施例2の平板光導波路と、導波層として感光性アクリル樹脂100%の薄膜を用いた比較例1の平板光導波路に関して、光導波性能の中でも最も重要な光伝搬損失を測定した。測定にあたっては、波長633nmのヘリウム・ネオンレーザ光を倍率20倍の対物レンズで集光し、前記3水準の平板光導波路の端面から結合し、光導波層内にレーザ光を導いて伝搬させた。そして、光導波層を伝搬するレーザ光が、散乱によって放出する光を散乱光検出法(西原ら『光集積回路』第252頁、オーム社(1985年))によって測定し、伝搬損失を評価した。
【0057】
こうして得られた各平板光導波路における伝搬損失を図4に示す(実施例1;1.32,実施例2;1.9,比較例1;3.39)。シリカゾル重量分率が増加するにしたがって伝搬損失が低下し、光透過率が向上していることがわかる。これは、比較例1の感光性アクリル樹脂100%の有機重合体単独膜に比べて、無機微粒子を添加することによって光透過率が向上したことを意味する。
【0058】
〔実施例3〜9〕
<有機重合体と無機微粒子との混合液の作製>
有機重合体の割合として、以下に述べる屈折率の測定に応じて種々の混合比を選定した以外は、実施例1に用いる混合液の作成と同様の操作を行い混合液を作成した。
【0059】
<有機重合体と無機微粒子の複合体の屈折率測定>
前記の方法にしたがって作製した混合液に関して、有機重合体である光重合性アクリル樹脂と無機微粒子であるシリカゾル、および光ラジカル発生剤の合計を総固形分重量とし、この総固形分重量に対して、シリカゾル重量分率をそれぞれ10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%として調整した混合液を、シリコン基板上にスピンコーティング法によって塗布し、90℃で30秒間乾燥した。さらに、このようにして形成した薄膜全面を超高圧水銀灯で露光し、完全に固化させた。このようにして得られた薄膜は透明で、シリカゾルが均一に分散し、良好な光学薄膜が得られていることがわかった。
【0060】
また、上記で得られた光重合性アクリル樹脂とシリカゾルとの複合体薄膜の波長633nmにおける屈折率を、分光反射率法を用いて測定した。この結果を図2に示す。
【0061】
〔比較例2〕
シリカゾル重量分率を0%とする以外は、実施例3と同様の操作を行い比較用の薄膜を得た。波長633nmにおける屈折率を測定し図2に示した。
【0062】
得られた光重合性アクリル樹脂とシリカゾルとの複合体薄膜の屈折率が、シリカゾル重量分率の増加に比例して減少していることがわかる。また、シリカゾルの重量分率を変えることにより、1.52から1.48程度と広範囲で屈折率を制御できることがわかる。
【0063】
【発明の効果】
本発明の光学素子は、以上のように、光の透過、反射、屈折、回折などの光の伝搬様態を制御する光学素子であって、有機重合体と無機微粒子とを含むことにより光透過性を向上させた複合材料によって形成されてなる構成である。
【0064】
上記構成により、
(1)有機重合体単体で形成した光学素子と比べて、光透過率を向上できる。
(2)有機重合体をベースにした光学素子において、広範囲で屈折率を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係る光学素子のうちレンズを示す説明図である。
(b)は、本発明に係る光学素子のうちグレーティングを示す説明図である。
(c)は、本発明に係る光学素子のうち光ファイバーを示す説明図である。
(d)は、本発明に係る光学素子のうち平板光導波路を示す説明図である。
【図2】有機重合体と無機微粒子の複合体薄膜において、屈折率の無機微粒子重量分率依存性を示すグラフである。
【図3】実施例および比較例において作製された平板光導波路の構造を示す説明図である。
【図4】実施例および比較例において作製された平板光導波路の伝搬損失の無機微粒子重量分率依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 レンズ
2 グレーティング
3 光ファイバー
4 平板光導波路

Claims (7)

  1. 光の透過、反射、屈折、回折などの光の伝搬様態を制御する光学素子であって、有機重合体と無機微粒子とを含むことにより光透過性を向上させた複合材料によって形成されてなることを特徴とする光学素子。
  2. 波長150nm〜3000nmの範囲内の光の透過率が有機重合体単独で形成された材料における光透過率と比較して高いことを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 無機微粒子が、反応性基および感光性基から選択された少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする請求項1または2記載の光学素子。
  4. 無機微粒子の平均粒子径が2〜1000nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 無機微粒子の割合が、固形分換算で、有機重合体および無機微粒子の総量の95重量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子。
  6. 有機重合体が感光性高分子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 複合材料が、少なくとも2値の異なる屈折率が分布する複数の部位を有し、相対的に屈折率の高い一方の部位に光を閉じ込めて伝搬させる光導波路を形成してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学素子。
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