JP2004286779A - 光増幅器 - Google Patents

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Koichi Taniguchi
浩一 谷口
Masahiro Koto
雅弘 湖東
Hiroaki Kinoshita
浩彰 木下
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Abstract

【課題】容易かつ高効率に被増幅光と励起光とをダブルクラッドファイバ(DCF)に伝搬することができる手段を備える光増幅器を提供すること。
【解決手段】DCF2に対して、被増幅光入射手段3と、励起光入射手段4とが、光カプラ1を介して接続された構成を有する光増幅器であって、光カプラ1は、被増幅光入射手段3から入射する被増幅光をコア21に伝播し得る被増幅光用導波路11と、励起光入射手段4から入射する励起光を第1クラッド22に伝播し得る励起光用導波路12とを備え、光カプラ1の入射側端面では、被増幅光用導波路11と励起光用導波路12とが互いに離れた入射口を有し、光カプラ1の内部で、被増幅光用導波路11が励起光用導波路12の内部に入り込み、光カプラ1の出射側端面では、励起光用導波路12の出射口の中央部に、被増幅光用導波路11の出射口が位置する構成となっている光増幅器。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はダブルクラッドファイバに対して、被増幅光入射手段と、励起光入射手段とが、光カプラを介して接続された構成を有する光増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダブルクラッドファイバ(以下、「DCF」ともいう。)は、コアとコアを二重に囲むクラッドとを有する光ファイバである。図12はDCFの模式図であり、図12(A)は軸心に垂直な断面図であり、図12(B)は軸心と平行な断面図である。DCF2は光増幅やレーザー発信器の手段として用いられ得る。通常、コア21には希土類元素がドープされていて、被増幅光(信号光)が入射される。二重のクラッドのうち、よりコアに近い方のクラッド(第1クラッド)22には励起光が入射される。第1クラッド22の外周に設けられたクラッド(第2クラッド)23は励起光を閉じ込めるためのものである。このようなDCF2に信号光と励起光とを同時に入射することで、信号光の増幅がなされる。なお、DCF2をレーザー発信器の手段として用いるときには、励起光によりコア21で発生した自然放出光自身が被増幅光となり、同コア21において増幅されて発振に至る。
【0003】
上述の光増幅を実現するためには、被増幅光および励起光それぞれの光源からの光をコア21、第1クラッド22に適切に入射させなければならない。従来技術として、DCFの両側で励起光を選択的に反射する反射手段と、上記両光源からの光を合波する合波手段(誘電体多層膜型合波器等)とを設けてなる増幅器が挙げられる(特許文献1)。しかし、このような増幅器は光学部品の使用点数が多いため、それらの位置調整が難しく、機械的な変動(位置ズレ)に弱く、組立てコストが高いという欠点を有する。図13は別の従来技術の模式図である。この従来技術においては、反射手段を必須とせず、信号光を入射するための光ファイバ3と励起光を入射するための光ファイバ4とDCF2とを合波器(誘電体多層膜等)6が結合している(特許文献2)。しかし、合波器6や光ファイバ3および4を用いると、被増幅光は伝播モードが変化してしまい、最適なモードでDCF2に伝え難く、結合効率が低くなってしまう。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−233863号公報
【特許文献2】
特開2001−196666号公報
【0005】
図14はさらに別の従来技術を示す図である。ここでは、DCF2の側面をV字状に削ってその加工部からレンズなどの光学部品(図示せず)を介して励起光(レーザー光)を第1クラッド22に入射して、端面からコア21に入射された信号光(被増幅光)を増幅して出力している。しかし、この技術を実施するためにはDCF2に特殊な加工を施すため、加工後のDCF2の強度が劣化するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、容易かつ高効率に被増幅光と励起光とをDCFに伝播することができる手段を備える光増幅器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、被増幅光と励起光とを結合してDCFの適切な部分に伝播する手段として光導波路を備えたカプラ(光導波路型カプラ)を用いることに着目して本発明を完成した。
【0008】
ところで、光導波路とは電気回路中を電子が流れるように、屈折率の違いを利用して、基板に形成した回路に光を導くことができるようにしたものであり、それ自体は公知である。しかし、光導波路は、小さな面積の基板上で、比較的小さなエネルギーの信号光の光路変更や変調等(所謂、光信号処理)が容易にできるという理由により、従来は、光通信、光計測などの分野に用いられるのみであって、DCFへの結合手段としての利用は全く考慮されていなかった。光導波路をDCFへ結合する光カプラとして用いた場合には、従来の用途において奏する作用に加えて、該光導波路は、簡単な構造でエネルギーの小さな信号光(被増幅光)とエネルギーの大きな光(励起光)の双方を同時に、且つ相互に悪影響を与えることなく、高効率にDCFに結合することができるという作用を奏する。
【0009】
本発明は以下の特徴を有する。
(1)コアとその外周の第1クラッドとさらにその外周の第2クラッドとを備えるダブルクラッドファイバに対して、被増幅光入射手段と、励起光入射手段とが、光カプラを介して接続された構成を有する光増幅器であって、
光カプラは、被増幅光入射手段から入射する被増幅光を上記コアに伝播し得る被増幅光用導波路と、励起光入射手段から入射する励起光を上記第1クラッドに伝播し得る励起光用導波路とを備え、
光カプラの入射側端面において、被増幅光用導波路と励起光用導波路とが互いに離れた入射口を有し、光カプラの内部において、被増幅光用導波路が励起光用導波路の内部に入り込み、光カプラの出射側端面において、励起光用導波路の出射口の中央部に、被増幅光用導波路の出射口が位置する構成となっている光増幅器。
(2)光カプラが基板からなり、被増幅光用導波路が前記基板中に基板材料よりも屈折率の高い材料で形成されてなり、励起光用導波路が基板に励起光の閉じ込め構造を設けることで形成されてなる、上記(1)に記載の光増幅器。
(3)励起光の閉じ込め構造が、励起光用導波路とすべき部分に沿うように基板の少なくとも一つの板面に設けた溝部で実現される、上記(2)に記載の光増幅器。
(4)上記基板のうち被増幅光用導波路以外の部分が異なる屈折率の材料からなる複数の領域からなり、励起光の閉じ込め構造が、励起光用導波路とすべき部分を含む領域の基板材料を該領域に隣接する領域の基板材料よりも高屈折率にすることで実現される、上記(2)または(3)に記載の光増幅器。
(5)励起光用導波路とすべき部分の基板表面の少なくとも一部に誘電体膜、金属膜、半導体膜または有機膜からなる被覆が施されてなる、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光増幅器。
(6)励起光用導波路の少なくとも一部において、その長手方向に垂直な断面の外形が、ダブルクラッドファイバに近づくにつれて小さくなることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光増幅器。
(7)励起光を励起光用導波路内に集光し得る集光具をさらに有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光増幅器。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の光増幅器を模式的に示す透視図である。本発明の光増幅器は、DCF2と、被増幅光入射手段3と、励起光入射手段4と、光カプラ1とを有する。光カプラ1は、被増幅光入射手段3から入射する被増幅光をDCF2のコア21に伝播し得る被増幅光用導波路11と、励起光入射手段4から入射する励起光をDCF2の第1クラッド22に伝播し得る励起光用導波路12とを備えている。より具体的には、光カプラ1の入射側端面において、被増幅光用導波路11と励起光用導波路12とが互いに離れた入射口を有し、光カプラ1の内部において、被増幅光用導波路11が励起光用導波路12の内部に入り込み、光カプラ1の出射側端面において、励起光用導波路12の出射口の中央部に、被増幅光用導波路11の出射口が位置する構成となっている。
【0011】
DCF(ダブルクラッドファイバ)2は、従来技術の欄で説明したように、コア21とコア21を二重に囲むクラッドとを有する光ファイバであり、一般的には長尺状である。二重のクラッドのうちコア21に近いクラッドを第1クラッド22といい、第1クラッド22の外側のクラッドを第2クラッド23という。本発明では従来公知のDCFを適宜用いればよい。
【0012】
被増幅光とは、増幅させるためにDCF2のコア21に入射させる、増幅される前の光であり、励起光を第1クラッド22に同時に入射させることで増幅される。例えば、光通信用にDCF2を用いる場合には被増幅光は信号光である。レーザー発信用にDCF2を用いるに際して、発振の為にシーディング光(種光)をDCF2のコア21に導く場合には、被増幅光は前記シーディング光である。
被増幅光入射手段3とは、被増幅光を光カプラ1に入射せしめる手段であり、通常は被増幅光の光源(図示せず)と光カプラ1とを結ぶ光ファイバ(信号光結合ファイバ)であるが他の手段(光源の信号をレンズを介して、光カプラ1の被増幅光用導波路11に空間結合する方法や、半導体レーザーなどの光源を直接被増幅光用導波路11に直接結合する方法等)であってもよい。
【0013】
励起光とは、DCF2の第1クラッド22に入射させるべき光である。上述のように被増幅光をDCF2のコア21に、励起光をDCF2の第1クラッド22に同時に入射させることで被増幅光を増幅し得る。励起光入射手段4とは、励起光を光カプラ1に入射せしめる手段であり、通常は被増幅光の光源(図示せず)と光カプラ1とを結ぶ光ファイバ(励起光結合ファイバ)であるが他の手段(光源の信号をレンズを介して、光カプラ1の励起光用導波路12に空間結合する方法や、半導体レーザーなどの光源を直接励起光用導波路12に直接結合する方法等)であってもよい。
【0014】
光カプラ1には、被増幅光入射手段3および励起光入射手段4からそれぞれ被増幅光および励起光が入射され、それらの光はDCF2に伝播される。前記光の伝播が実現できるのであれば、上述の各構成要素間の接続は特に制限はなく、例えば、単に接触させるだけであってもよいし、融着等により一体化させてもよい。後述するように励起光入射手段4と光カプラ1との間に集光具が介在するなどといった場合には励起光入射手段4が光カプラ1に接触すらしない場合もある。
【0015】
導波路(光導波路)とは、2種類以上の屈折率の異なる媒質(材料)を用いて光が通る道を形成したものである。一般的には、低屈折率の媒質中に高屈折率材料の回路を形成することで、光を当該高屈折率材料の回路中に閉じ込めることができるので、導波路として用いることができる。ここで、光を「閉じ込める」とは、所定の導波路にて光を伝播させるために光を導波路以外の部分に拡散するのを抑制することをいう。
【0016】
本発明の特徴は、DCF2に被増幅光と励起光とを入射する手段を光導波路11、12で構成したことである。従来のように誘電体多層膜型合波器等の光学部品を用いる場合には合波器等の厳密な位置調整が必要であるのに対して、光導波路を用いる場合は位置調整は容易であり、位置ズレ等による悪影響も少ない。また、従来のカプラで使用されていた誘電体多層膜型合波器等のように、光が大きくモード変換されることが無いので、光導波路を用いたカプラ1とDCF2のコア21との結合効率は高い。さらなる利点として、通常、光導波路の量産化は容易であることが挙げられる。加えて、光導波路の形状(モードサイズ、モード形態など)を結合すべきDCF2の形状(モードサイズ、モード形態など)に適合するように設計することができるので、DCF2自体に特殊な加工が要らなくなり、DCF2の強度の低下を招かないので、信頼性の高い結合が実現できる。
【0017】
本発明に用いる光カプラ1の第1義的な特徴は光導波路を有する点にある。その具体的な形状は上述のとおりである。本発明において、「光カプラの入射側端面」とは、光カプラ1における被増幅光入射手段3および励起光入射手段4との接続端面であり、図1においては、光カプラ1の左側の端面である。被増幅光用導波路11と励起光用導波路12とが「互いに離れた入射口を有する」とは、光カプラ1に入射する前の被増幅光と励起光とは各々被増幅光入射手段3および励起光入射手段4という別々の入射手段にて伝播されて光カプラ1に入射することを意味する。被増幅光用導波路11が励起光用導波路12の「内部に入り込む」、および、「励起光用導波路12の出射口の中央部に、被増幅光用導波路11の出射口が位置する」とは、いずれも、被増幅光用導波路11の外周を励起光用導波路12が囲むような構成をとることを意味し、例えば、励起光用導波路12の断面の(厳密な)中心に被増幅光用導波路11が存在することを要するものではない。「光カプラの出射側端面」とは、光カプラ1におけるDCF2との接続端面であり、図1においては、光カプラ1の右側の端面である。
【0018】
本発明の光カプラ1の光導波路の具体的な態様は特に限定はない。例えば、結晶基板中に当該基板材料よりも高屈折率の材料で被増幅光用導波路と励起光用導波路とをそれぞれ形成してもよい。しかし、以下に説明する、本発明の好適な実施態様にて使用する光カプラ1の導波路は、DCF2への結合という用途を巧みに利用した構成となっている。
【0019】
図2は、本発明の好適な実施態様にて使用する光カプラ1の模式図である。図2に示すように、当該光カプラ1は基板10からなり、被増幅光用導波路11は基板10中に基板材料よりも屈折率の高い材料で形成されていて、励起光用導波路12は基板10に励起光の閉じ込め構造13を設けることで形成されている。
この光カプラ1の特徴は、励起光用導波路12が基板10に励起光の閉じ込め構造13を設けることで形成される点にある。「基板に励起光の閉じ込め構造を設ける」とは、励起光用導波路12として基板材料とは異なる材料(即ち、基板材料よりも高屈折率の材料)で導波路を形成するのではなく、閉じ込め構造13を設けることで基板材料そのものを励起光用導波路12として利用するということである。基板材料そのものを励起光用導波路12とする場合、閉じ込め構造13の存在により励起光はDCF2の第1クラッド22へ効率よく伝播する。閉じ込め構造13の実現手段は後述する。
【0020】
上記の態様の光カプラ1が好適であるのは、DCF2への結合という目的と深い関係がある。DCF2のコア21、第1クラッド22の構造に適合した2つの光導波路を、それぞれ高屈折率材料で形成するのは加工が困難である。それは、光カプラ1の出射側端面において、励起光用導波路12はその長手方向(上述の光カプラの入射側端面から出射側端面に向かう方向)に垂直な断面がドーナツ状を呈する必要があるからである。上述した本発明の好ましい実施態様にて用いる光カプラ1においてはドーナツ状の励起光用導波路を敢えて加工しなくても、被増幅光用導波路11および閉じ込め構造13を設ければ励起光はドーナツ状の断面形状を呈しながらDCF2に入射する。よって、励起光用導波路12の形成が極めて容易になるのである。なお、本段落にて、「ドーナツ状」なる語を用いたのは、被増幅光用導波路11の外周を囲むように励起光用導波路12が形成されることを示すためであって、DCFのコア21やクラッドの断面形状を限定(例えば円形に限定)するためではない。
【0021】
本態様で用いる光カプラ1を形成する基板10は、光学基板として通常用いられる基板であれば特に限定はなく使用でき、ガラス基板、結晶基板(誘電体、半導体等)、高分子基板等が例示される。
【0022】
本態様で用いる光カプラ1においては被増幅光用導波路11は基板材料よりも高屈折率の材料によって形成される。被増幅光用導波路11は、被増幅光を被増幅光入射手段3からDCF2のコア21へと伝播し得るように形成される。被増幅光用導波路11は、基板10にイオン交換法、プロトン交換法、堆積法、エピタキシャル成長法、レーザー描画(多光子吸収を利用したものや光造形法なども含む)、電子ビーム描画などといった一般的な方法で形成し得る。被増幅光用導波路11の形成は、ドライエッチングやウェットエッチングなどの技術をさらに組合わせた方法によってもよい。被増幅光用導波路11を基板の表面に形成した後に、その上から、基板10と同じ材料の基板を接着、融着、接合などによって重ねたり、基板10と同じ材料を堆積することによって、被増幅光用導波路11を内部に有する基板10を形成してもよいし、はじめから基板10の内部に被増幅光用導波路11が形成されるような加工を施してもよい。
【0023】
上述のとおり、本態様で用いる光カプラ1においては励起光用導波路12は基板10に励起光の閉じ込め構造13を設けることで形成される。以下、励起光の閉じ込め構造13について複数の態様を例示しつつ説明する。
【0024】
図2には、励起光の閉じ込め構造が、励起光用導波路とすべき部分に沿うように基板10の少なくとも一つの板面に設けた溝部13で実現された光カプラ1が示されている。この図の光カプラ1において、略直方体の基板10には、その1辺に平行な溝部13が2つの板面に形成されている。符号12の部分が励起光用導波路とすべき部分であり、励起光を図面中の白抜き矢印の方向に伝播させることを意図している。被増幅光用導波路11は基板10中に基板材料よりも高屈折率の材料で形成されている。溝部13の存在に起因して、励起光は基板10の励起光用導波路12以外の部分には伝播せずに、励起光用導波路12に閉じ込められながら光カプラ1中を伝播し、光カプラの出射側端面では、被増幅光用導波路11の存在によって励起光はドーナツ状の分布を呈してDCFに伝播される。
【0025】
閉じ込め構造を溝部13で実現する場合、溝部13の形状は図2に示すようなV字状の断面のものに限られず、U字状、半円状の断面の溝部等であってもよい。
【0026】
図3はより好ましい形状の溝部を有する光カプラの模式図である。励起光用導波路の図示は省略してある。この図に記載の光カプラ1は、光カプラ1とDCFとの結合効率の向上の観点から、溝幅はDCFに近づくにつれて大きくなるように形成されている(図中、w2>w1)。溝幅が変化することの技術的意義は後述する。
【0027】
図4は本発明で用いる光カプラの一態様を示す図である。励起光用導波路の図示は省略してある。この態様では、基板のうち被増幅光用導波路11以外の部分は異なる屈折率の材料からなる2つの領域(領域101および領域102)からなる。本明細書にて「領域」というときは被増幅光用導波路11が占める部分を除くものとする。励起光用導波路とすべき部分は領域102に含まれる。この態様においては、領域102の基板材料を領域102に隣接する領域101の基板材料よりも高屈折率の材料とすることで、励起光の閉じ込め構造が実現している。この場合、領域102と領域101を形成する手段は特に限定なく、公知の手段を取り入れてもよい。当該手段としては、異なる材料からなる基板を接合させたり、紫外線などといった光でその屈折率を変化させ得る有機材料やガラスなどからなる基板を製造した後に光を照射して領域を形成させたりする手段などが例示される。この場合、励起光の入射手段やDCF2の形状、DCF2への入射角度、励起効率などにも依存するが、領域101および領域102を構成する材料の屈折率の差は、通常、1×10−3以上であることが好ましい。このようにして励起光の閉じ込め構造を実現する場合に、基板に形成する領域は図示されたように2つには限られず、3つ以上であってもよい。
【0028】
図5は本発明で用いる光カプラの一態様を示す図である。この光カプラ1は上述の2つの態様の組合わせ、すなわち屈折率の異なる2つの領域101、102からなる基板を用い、かつ、溝部13を形成してなる態様である。このとき、領域102の基板材料の方が、隣接する領域101の基板材料よりも高屈折率である。このように励起光の閉じ込め構造の実現手段を複数組合わせることで、励起光の閉じ込めの効果が増強され得る。
【0029】
図6は本発明で用いる光カプラの一態様を示す図である。励起光用導波路の図示は省略してある。この光カプラ1では、励起光の閉じ込め構造が、励起光用導波路とすべき部分を含む領域103とそれ以外の領域とを隔てるように設けた境界層104で実現されている。境界層104の材料は領域103の基板材料よりも低屈折率である。基板中に境界層104を設ける手段としては、異なる材料からなる基板を接合する手段や、有機材料やガラスなどからなる基板を製造した後に光を照射して屈折率を変化させる手段などが例示される。ここで、境界層104は上述した「励起光用導波路とすべき部分を含む領域」に隣接する領域であるとみなすことができるので、図6に記載の態様もまた図4記載の態様の変形例の一つということができる。よって、領域103の基板材料と境界層104の材料の屈折率の好ましい差もまた上述のとおりである。
【0030】
次に、上述の励起光の閉じ込めの効果を増す手段について説明する。図7は本発明で用いる光カプラの一態様を示す図である。図7記載の光カプラには、励起光用導波路12とすべき部分の基板表面の少なくとも一部に誘電体膜、金属膜、半導体膜または有機膜からなる被覆110が施されている。被覆110の存在に起因して、励起光は外部に漏れることなく、反射して伝播するので、閉じ込めの効果が増すのである。上記の被覆110の材料のより具体的な例としては、金属膜(例;金、銀、アルミニウム、クロム等)、誘電体膜(例;SiO、TiO、Taなどの多層膜等)、有機膜(例;ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等)が挙げられる。
【0031】
被増幅光の励起効率を向上させるためには、励起光用導波路の少なくとも一部において、その長手方向(定義は上記参照)に垂直な断面の外形を、DCFに近づくにつれて小さくすることが好ましい。図8は当該手段の構成と効果を模式的に示す図である。図8(A)および(B)は当該手段を施した光増幅器を示し、同図(C)は当該手段が施されていない光増幅を示す。図8には、光カプラ1の厚み方向が紙面上下方向となるように(即ち、図1の紙面上下方向が図8の紙面奥行き方向となるように)光カプラ1とDCF2が表現されている。図面におけるジグザグ状の矢印は励起光の伝播を模式的に表す。
【0032】
図8(A)の態様は、DCF2の軸心に垂直な上記基板10の断面積が、DCF2に近づくにつれて小さくなっている基板(所謂テーパー構造を有する基板)を用いる態様である。この態様では、励起光用導波路12のうち図面に表現されている部分全てについて、長手方向に垂直な断面の外形が、DCF2に近づくにつれて小さくなっている。既に参照した図3記載の光カプラ1もまた、励起光用導波路について、その長手方向に垂直な断面の外形が、DCF2に近づくにつれて小さくなっている態様である。
図8(B)の態様は、DCF2の軸心に垂直な上記基板の断面積が、DCF2に近づくにつれて大きくなったり小さくなったりしている態様である。この態様は、励起光用導波路の長手方向と平行な基板の対向する2つの板面に複数の溝部(該溝部(の延在方向)は、励起光用導波路の長手方向と交差する方向にある。
)を設けた態様と表現することもできる。この態様では、次段落に記載する作用により、DCFへの入射前に励起光の折り返し回数を増やすことで、DCF入射後の励起光の励起効率が向上する。
【0033】
励起光用導波路の少なくとも一部において、その長手方向に垂直な断面の外形を、DCF2に近づくにつれて小さくすることにより励起効率が向上するのは以下の作用による。DCF2において被増幅光が増幅されるのは、図8の矢印に示すように、励起光がDCF2のコアと交差する(励起光がコアに吸収される)からである。図8(C)の態様は、上記交差の回数が少なく、励起効率が高い状態とはいえない。一方、図8(A)および(B)の態様では、DCF2内での励起光の光路の折り返し回数が増えて、励起効率が高くなるのである。励起光用導波路の長手方向に垂直な断面の外形が、DCF2に近づくにつれて小さくなる部分(例えば、図8(B)の符号Xの部分)において、励起光の光路の折り返しが急峻になり、すなわち、折り返し回数が増えるので、上記励起効率の向上が図れるのである。励起光用導波路の少なくとも一部において、その長手方向に垂直な断面の外形を、DCF2に近づくにつれて小さくする程度は、上述した励起光の折り返し回数が増えるのであれば特に限定はない。
【0034】
図9は本発明の光増幅器の一態様を示す図である。この光増幅器には、励起光を励起光用導波路12内に集光し得る集光具5が備えられている。同図(A)には、光カプラ1と励起光入射手段4との間に集光具としてのレンズ5が設けられている。集光具5は、光カプラ1の入口にあっても、励起光入射手段4の出口にあってもよい。同図(B)には光カプラ1内の励起光用導波路12の内部にイオン交換法などの拡散手段や、導波路12の端面にレンズを貼り付けて形成した集積型レンズが集光具5として設けられている。集光具5の存在により、光カプラ1とDCF2との結合効率が向上する。
【0035】
図10は本発明の光増幅器の一態様を示す図である。この態様においては、上述した溝部を有する光カプラ1を、前記溝部に嵌め込まれるような長尺の凸構造を有するファイバ整列用基板6に嵌め込んでいる。ファイバ整列用基板6が存在することによって、光カプラ1に結合すべきDCF(図示せず)、被増幅光入射手段3および励起光入射手段4の位置決めが極めて容易になる。すなわち、この態様においては、光カプラ1の溝部は励起光の閉じ込め構造の実現手段としてのみならず、位置決め手段としても作用しているのである。
【0036】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0037】
[実施例]
図11は本実施例における光カプラの製造方法を模式的に示す図である。厚さ50μmのガラス基板10上にイオン交換法によって、1.55μmでシングルモード伝播し得る光導波路(曲がり導波路)11を形成する(図11(A))。
この導波路11を被増幅光用導波路として用いる。被増幅光用導波路11を形成した上記基板10の上に、上記ガラス基板と同じ材料の厚さ50μmのガラス基板を重ねて接着剤を用いて接着した(図11(B))。被増幅光用導波路11の入射端から65μmおよび130μm離れた位置にV字状の溝を機械加工により形成した(図11(C))。前記溝は基板10の上下両方に形成した。基板10の表面に、励起光用導波路とすべき部分を囲むように、金の被覆110を施した(図11(D))。次いで、基板10の入出射端面を研磨することで光カプラ1を製造した。この光カプラを上述したファイバ整列用基板に嵌め込んだ後に、励起光入射手段としてのファイバ(コア径:50μm)、被増幅光(信号光)入射手段としてのファイバ(コア径:10μm)およびDCF(コア径:2μm、第1クラッド径:100μm、第2クラッド径:250μm)を光カプラに接続して光増幅器を完成した。この光増幅器に実際に励起光と信号光を入射したところ、励起光、信号光ともに結合損失約1.5dB(DCFに結合される光パワーが約70%)の高い結合が得られた。
【0038】
[比較例]
上記の光カプラのかわりに、従来の誘電体多層膜型合波器(光カプラー)を用いたことの他は実施例と同様にして光増幅器を得た。この場合には、励起光、信号光ともに、結合損失が約3dB以上(DCFに結合される光パワーが約50%以下)になってしまうことが避けられない状況であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の光増幅器は、被増幅光と励起光とをDCFに伝播する光カプラが光導波路を備えるので、光の増幅を容易かつ高い効率で行うことが可能である。本発明の好ましい実施態様においては、基板材料自体を励起光用導波路として用いる光カプラを利用するので、当該光カプラの製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光増幅器を模式的に示す透視図である。
【図2】本発明の好適な実施態様にて使用する光カプラの模式図である。
【図3】より好ましい形状の溝部を有する光カプラの模式図である。
【図4】本発明で用いる光カプラの一態様を示す図である。
【図5】本発明で用いる光カプラの一態様を示す図である。
【図6】本発明で用いる光カプラの一態様を示す図である。
【図7】本発明で用いる光カプラの一態様を示す図である。
【図8】本発明の光増幅器の一態様を示す図である。
【図9】本発明の光増幅器の一態様を示す図である。
【図10】本発明の光増幅器の一態様を示す図である。
【図11(A)】本発明の実施例における光増幅器の製造方法を模式的に説明する図である。
【図11(B)】本発明の実施例における光増幅器の製造方法を模式的に説明する図である。
【図11(C)】本発明の実施例における光増幅器の製造方法を模式的に説明する図である。
【図11(D)】本発明の実施例における光増幅器の製造方法を模式的に説明する図である。
【図12】DCFの模式図であり、同図(A)は軸心に垂直な断面図であり、同図(B)は軸心と平行な断面図である。
【図13】従来技術の模式図である。
【図14】従来技術の模式図である。
【符号の説明】
1 光カプラ
10 基板
11 被増幅光用導波路
12 励起光用導波路
13 溝部
2 ダブルクラッドファイバ(DCF)
21 コア
22 第1クラッド
23 第2クラッド
3 被増幅光入射手段
4 励起光入射手段
5 集光具
6 ファイバ整列用基板

Claims (7)

  1. コアとその外周の第1クラッドとさらにその外周の第2クラッドとを備えるダブルクラッドファイバに対して、被増幅光入射手段と、励起光入射手段とが、光カプラを介して接続された構成を有する光増幅器であって、
    光カプラは、被増幅光入射手段から入射する被増幅光を上記コアに伝播し得る被増幅光用導波路と、励起光入射手段から入射する励起光を上記第1クラッドに伝播し得る励起光用導波路とを備え、
    光カプラの入射側端面において、被増幅光用導波路と励起光用導波路とが互いに離れた入射口を有し、光カプラの内部において、被増幅光用導波路が励起光用導波路の内部に入り込み、光カプラの出射側端面において、励起光用導波路の出射口の中央部に、被増幅光用導波路の出射口が位置する構成となっている光増幅器。
  2. 光カプラが基板からなり、被増幅光用導波路が前記基板中に基板材料よりも屈折率の高い材料で形成されてなり、励起光用導波路が基板に励起光の閉じ込め構造を設けることで形成されてなる、請求項1に記載の光増幅器。
  3. 励起光の閉じ込め構造が、励起光用導波路とすべき部分に沿うように基板の少なくとも一つの板面に設けた溝部で実現される、請求項2に記載の光増幅器。
  4. 上記基板のうち被増幅光用導波路以外の部分が異なる屈折率の材料からなる複数の領域からなり、励起光の閉じ込め構造が、励起光用導波路とすべき部分を含む領域の基板材料を該領域に隣接する領域の基板材料よりも高屈折率にすることで実現される、請求項2または3に記載の光増幅器。
  5. 励起光用導波路とすべき部分の基板表面の少なくとも一部に誘電体膜、金属膜、半導体膜または有機膜からなる被覆が施されてなる、請求項1〜4のいずれかに記載の光増幅器。
  6. 励起光用導波路の少なくとも一部において、その長手方向に垂直な断面の外形が、ダブルクラッドファイバに近づくにつれて小さくなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の光増幅器。
  7. 励起光を励起光用導波路内に集光し得る集光具をさらに有する請求項1〜6のいずれかに記載の光増幅器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005033076A (ja) * 2003-07-09 2005-02-03 Mitsubishi Cable Ind Ltd ダブルクラッドファイバ及びそれを用いた光増幅方法
JP2013235139A (ja) * 2012-05-09 2013-11-21 Furukawa Electric Co Ltd:The 光ファイバ接続構造、光増幅器の励起光制御方法
US10056730B2 (en) 2016-09-07 2018-08-21 Inter-University Research Institute Corporation National Institutes Of Natural Sciences Selective amplifier

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