JP2004286688A - アンテナ内蔵式の時計及びこの時計の製造方法 - Google Patents

アンテナ内蔵式の時計及びこの時計の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外装部品に金属材を用いても、内蔵アンテナの受信感度を高くすることができるアンテナ内蔵式の時計及びこの時計の製造方法を提供する。
【解決手段】裏蓋15を、電波が通過してアンテナ12で受信できる程度に薄い薄肉部17dが形成された金属体17と、この金属体17のケース13側に設けられ、この薄肉部17dを補強する水熱合成セラミックス製の補強体18とから構成させた。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナ内蔵式の時計及びこの時計の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ケース内にアンテナを内蔵した電波時計が提供されている。この種のアンテナ内蔵式の時計にあっては、電波がアンテナに到達し得るように、ケースや裏蓋といった外装部品をプラスチック等の非導電性材料で製作している。
近年では、外装部品をプラスチック等の非導電性材料にすると、ステンレス鋼、真鍮あるいはチタンなどの導電性材料のものに比べて質感に高級感がないため、ケースは金属体とし、裏蓋の少なくとも一部をプラスチック又はガラスにしていわゆるスケルトンタイプにし、電波が裏蓋を通過し得るようにしたものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−33571(図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、裏蓋の一部にでもプラスチック又はガラス等の非導電性材料を用いると、その部分がケースの金属の質感とは異なる質感になってしまうため、高級感が損なわれる場合があった。また、ケースに金属材を用いる場合は、電波がケースで遮断されるため、内蔵アンテナの受信感度が低くなってしまうといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、外装部品に金属材を用いても、内蔵アンテナの受信感度を高くすることができるアンテナ内蔵式の時計及びこの時計の製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1記載の発明は、時計モジュール及び所定の電波を受信するアンテナを収納するケースと、このケースの裏蓋とを備えるアンテナ内蔵式の時計において、前記裏蓋又は前記ケースの少なくとも一方は、前記電波が通過して前記アンテナで受信できる厚さに少なくとも一部が形成された金属部材からなる金属体と、この金属体の内側に設けられ、前記金属体を補強する非導電性部材からなる補強体とを有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、電波が裏蓋又はケースの少なくとも一方を通過してアンテナで受信できるようにすることができ、かつ、補強体により裏蓋又はケースに充分な強度を持たせることができる。また、補強体が金属体の内側に設けられているので、裏蓋及びケースの外観を金属に統一することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記補強体は、前記金属体の前記電波が通過して前記アンテナで受信できる厚さの部分に設けられていることを特徴とする。この構成によれば、補強体により、金属体の電波が通過してアンテナで受信できる厚さの部分を補強することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記補強体は、前記金属体の溶融温度以下の温度で成形可能な水熱合成セラミックス製であることを特徴とする。この構成によれば、補強体の成形を金属体に配置した状態で行うことができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成において、前記補強体は、樹脂が配合されていることを特徴とする。この構成によれば、補強体の引っ張り強度と圧縮強度の両方を高くすることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、時計モジュール及び所定の電波を受信するアンテナを収納するケースと、このケースの裏蓋とを備えるアンテナ内蔵式の時計の製造方法において、前記裏蓋又は前記ケースの少なくとも一方は、前記電波が通過して前記アンテナで受信できる厚さに少なくとも一部が形成された金属部材からなる金属体に、この金属体の補強体として、前記金属体の内側に、該金属体の溶融温度以下の温度で成形可能な水熱合成セラミックを成形して製造されることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、補強体の成形を金属体に配置した状態で行うことができる。これにより、電波が裏蓋又はケースの少なくとも一方を通過してアンテナで受信できるようにすることができ、かつ、補強体により裏蓋又はケースに充分な強度を持たせることができる。また、補強体が金属体の内側に設けられているので、裏蓋及びケースの外観を金属に統一することができる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の構成において、前記補強体は、前記金属体の前記電波が通過して前記アンテナで受信できる厚さの部分に設けられることを特徴とする。この構成によれば、補強体により、金属体の電波が通過してアンテナで受信できる厚さの部分を補強することができる。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の構成において、前記水熱合成セラミックは、樹脂が配合されていることを特徴とする。この構成によれば、補強体の引っ張り強度と圧縮強度の両方を高くすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。以下の各実施形態では、アンテナ内蔵式の時計として、長波標準電波(日本JJY:40kHz/60kHz、アメリカWWVB:60kHz、ドイツDCF77:77.5kHz)を受信し、受信信号に基づいて時刻を修正する電波時計について例示する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る電波時計1の外観構成を示す図であり、図2は、この電波時計1の断面図であり、図3は、時計本体10の裏蓋15を外した状態の底面図である。この電波時計1は、時刻表示を行う時計本体10と、この時計本体10に連結されたバンド20とから構成されている。なお、本実施形態では、電波時計1の例示として、時針により時刻を表示するアナログ時計を例示するが、LED(Light Emitting Diode)あるいは有機EL(Electro Luminescent)によって時刻をデジタル表示するデジタル時計であっても良い。
【0017】
図2に示すように、時計本体10は、計時機能を実現する時計モジュール11と、長波標準電波を受信するためのアンテナ12と、時計モジュール11及びアンテナ12を収納するケース(「胴」とも称される。)13と、ケース13の上面を覆うカバーガラス14と、ケース13の底面を覆う裏蓋15とを備えている。さらに、電波時計1は、時計モジュール11とカバーガラス14との間には、時刻表示のための文字板16が配置される構成となっている。なお、図2は、図3におけるI−I断面を示している。
【0018】
上記アンテナ12は、図2及び図3に示すように、金属箔を数十枚積層してなるアモルファス材、あるいは、フェライトといった強磁性体材からなるコア(バー)12aの周りに銅線などのリード線12bをコイル状に巻き回してなるバーアンテナである。このアンテナ12は、コア12aの両端面12c、12dの各々を貫く長波標準電波(詳細には、長波標準電波の磁界成分)の時間変動に応じて、電磁誘導により、コイル状のリード線12bに誘導起電力(誘導起電圧)が発生する。そして、誘導起電力によるコイル両端の電位の変動が受信信号として検出される。なお、アンテナ12は、バーアンテナ以外のアンテナであってもよい。
【0019】
ここで、アンテナ12は、時計の外装部品を構成するケース13及び裏蓋15で囲まれているため、ケース13及び裏蓋15を導電性材料である金属材にすると、外部からの電波がケース13及び裏蓋15で遮断されてしまい、ケース13及び裏蓋15側の電波を受信できなくなってしまう。この場合、ケース13及び裏蓋15をプラスチック等の非導電性材料にすれば、電波がケース13及び裏蓋15を通過してアンテナ12に到達し得るが、導電性材料である金属材料のものに比して高級感が損なわれてしまう。
【0020】
そこで、本実施形態では、ケース13については、ステンレス鋼、真鍮あるいはチタンなどの導電性材料である金属製にする一方、裏蓋15は次のように構成している。ここで、図4は、裏蓋15の斜視図であり、図5は、裏蓋15の断面図である。
【0021】
裏蓋15は、ステンレス鋼、真鍮あるいはチタンなどの金属材料からなる金属体17と、この金属体17を補強する非導電性材料からなる補強体18とを備えている。金属体17は、鍛造によって形成され、ケース13の開口を覆う略円板形状を有し、その周縁部17aに、この金属体17をケース13の開口13aに嵌めるための(又はねじ込むための)円環部17bが形成される。
【0022】
ここで、金属材料は、一般に電波を通さない部材として認識されているが、薄くすれば電波を通すことが可能である。この金属体17においては、円環部17bによって囲まれる領域のほぼ全体を、電波が通過してアンテナ12で受信できる厚さに形成している。より具体的には、円環部17bによって囲まれる領域の円環部17bに近接する位置の高さを一段低くし、全体として凹部17c(図5参照)を形成することによって、電波が通過してアンテナ12で受信できる程度に薄い薄肉部17d(図5中、実線で囲む箇所)を形成している。また、この金属体17の周縁部17aは、この金属体17が安易にねじれたり、変形しないように比較的厚肉に形成され、この金属体17をケース13に嵌め込んだ(ねじ込んだ)場合に、ケース13と隙間無く密着できるようになっている。
【0023】
補強体18は、金属体17の薄肉部17dのケース13側に相当する上記凹部17cに配置されるものであり、非導電性部材である水熱合成セラミックスにより形成される。より具体的には、補強体18は、樹脂が配合された水熱合成セラミックにより形成される。樹脂が配合されることにより、補強体18の引っ張り強度と圧縮強度の両方を高くすることができる。ここで、水熱合成セラミックスは、水との化学反応によって固化するセラミックスであり、焼成、焼結で固化させるセラミックスと比較して低い温度で固化することができるという特徴を有する。本実施形態では、少なくとも、上記金属体17の金属材料の溶融温度以下で固化可能な水熱合成セラミックスが用いられる。
【0024】
従って、この裏蓋15を製造する場合は、上記金属体17を製造し、この金属体17の凹部17cに射出又は押し出しによって水熱合成セラミックを流し込んで凹部17cに隙間無く充填し、この状態で加圧成形し、加圧成形したものを、金属体17の溶融温度以下の温度である固化温度で水熱合成することによって製造される。このように、金属体17に水熱合成セラミックを流し込んで固化させるので、補強体18の成形を金属体17に配置した状態で行うことができ、金属体17と補強体18との一体度を高めることができる。従って、補強体18によって金属体17の薄肉部17d全体の強度を確実に補強でき、裏蓋15として充分な強度を持たせることができる。
【0025】
これにより、この裏蓋15をケース13に固定した場合、水熱合成セラミックは非導電性材料であるため、裏蓋15の金属体17の薄肉部17dを通過した電波をアンテナ12に到達させることができる。また、この裏蓋15をケース13に固定した場合は、金属体17だけが外観に表れるので、裏蓋15とケース13の外観を金属に統一することができ、高級感を持たせることができる。
【0026】
次いで、本実施形態に係る電波時計1の時計モジュール11の構成について説明する。図6は、時計モジュール11の一構成要素である運針機構を示す図である。
【0027】
図6に示すように、運針機構は、秒針71、分針72および時針73の各針を駆動する機構であり、同図に示すように、秒車74、2番車75、および筒車76が互いに連動するように構成された輪列を有している。秒車74の回転軸には、秒針71の一端が取り付けられており、また、2番車75の回転軸には、分針72の一端が取り付けられている。さらにまた、筒車76の回転軸には、時針73の一端が取り付けられている。秒車74は、後述する秒モータ25によって回転駆動され、この回転が2番車75および筒車76に伝達されることにより、秒針71、分針72および時針73の各々が駆動され各々が時刻を指し示す。
【0028】
また、秒車74の表面には、秒車74の回転軸を中心とする円状の軌道に沿って特定の磁気情報パターンで帯磁された磁性体が貼付されている。また、秒針71の位置(回転角度)を求めるべく、この磁気情報パターンを読み取る秒針用検出素子741が秒車74の表面の磁性体と検出面が対向するように固定されている。同様に、2番車75、筒車76にも磁性体が貼付されており、2番車75に貼付られた磁性体と対向するように分針用検出素子751が固定され、筒車76に貼付られた磁性体と対向するように時針用検出素子761が固定されている。秒針用検出素子741、分針用検出素子751および時針用検出素子761の各々は、読み取った磁気情報パターンに応じた検出信号を時計モジュール11のICチップ(不図示)に出力する。ICチップは、秒針用検出素子741、分針用検出素子751および時針用検出素子761の各々からの検出信号に基づいて秒針71、分針72、および時針73の現在の指針位置を求める回路と、運針機構の駆動制御および長波標準電波に基づく時刻修正といった各種処理を行う回路とを備えている。
【0029】
図7は、時計モジュール11の電気的構成を示すブロック図である。この図において、発振部21と、受信処理部22と、制御部23と、駆動部24とは、上述のICチップに形成された回路である。発振部21は、水晶振動子211が接続され、所定周波数の基準パルスを生成すると共に、この基準パルスを分周して分周パルスを生成し、分周パルスと基準パルスとを合成することで、パルス幅やエッジの発生タイミングが互いに異なるパルス信号を発生し、制御部23へ供給する。
【0030】
受信処理部22は、アンテナ12からのアナログ受信信号から、長波標準電波に含まれる現在時刻情報を得る。より具体的には、受信処理部22は、アンテナ12からのアナログ受信信号から、現在時刻情報を示すタイムコードを得て、タイムコードに含まれる、現在分を示す分情報と、現在時を示す時情報と、現在日を表す日情報(その年の1月1日からの通算日)とを制御部23に通知する。また、この受信処理部22は、制御部23からの切替え制御信号に基づきアナログスイッチなどによりアンテナ12と接続される同調コンデンサが切替えられ、受信周波数が切り替わることで、複数局(例えば、JJY福島局40kHz、JJY九州局60kHzなど)の中から受信する局を選択することが可能となっている。
【0031】
制御部23は、時計モジュール11の各部を中枢的に制御するものである。この制御部23は、受信制御回路部41と、駆動制御回路部42と、秒カウンタ回路43と、時分カウンタ回路44とを備えている。更に、秒カウンタ回路43は、秒位置カウンタ431、秒時刻カウンタ432および秒一致検出回路433を備えており、時分カウンタ回路44は、時分位置カウンタ441、時分時刻カウンタ442および時分一致検出回路443を備えている。駆動制御回路部42は、発振部21から出力される各種のパルス信号に基づいて、秒針、分針、および時針を運針するための信号である駆動パルス信号を生成する回路である。通常、駆動制御回路部42は、1秒周期で秒針を進めるためのパルス信号を出力し、1分周期で分針を進めるためのパルス信号を出力する。一方、表示時刻を修正する場合、駆動制御回路部42は、通常よりも短い周期で各指針表示位置を早送りするためのパルス信号を出力する。
【0032】
駆動部24は、秒駆動回路31と、時分駆動回路32とを備えている。秒駆動回路31は、制御部23内の駆動制御回路部42より供給されるさまざまな駆動パルスに基づき、秒針を駆動するモータである秒モータ25を動作させる回路である。時分駆動回路32は、駆動制御回路部42より供給されるさまざまな駆動パルスに基づき、分針を駆動させるモータである時分モータ26を動作させる回路である。なお図6を用いた説明では秒モータ25のみを図示したが、ここでは秒モータ25と時分モータ26との2つのモータを持つ構成で説明を行っている。2モータ構成であれば、秒針と分針とを互いに独立に駆動することができるため、時刻修正のための針位置移動に要する時間を短くできるという利点がある。秒モータ25および時分モータ26は、いわゆるステッピングモータである。電池27は、時計モジュール11に電力を供給するものである。電池27には、リチウム電池や銀電池などのコイン型の1次電池である。なお、ソーラーパネルなどにより発電を行う場合には、電池27(図3参照)としてリチウムイオン電池などの2次電池が用いられる。
【0033】
ここで、タイムコードに基づく表示時刻の修正動作は、駆動制御回路部42による制御の下、受信制御回路部41、秒カウンタ回路43および時分カウンタ回路44によって行われる。詳述すると、受信制御回路部41は、タイムコードが供給されると、タイムコードに基づいて秒に相当するデータと、時分に相当するデータとの、二つのデータを生成し、秒を示すデータを秒カウンタ回路43内の秒時刻カウンタ432の初期値として、時分を示すデータを時分カウンタ回路44の時分時刻カウンタ442の初期値として、それぞれをセットする。
【0034】
そして、秒時刻カウンタ432は、発振部21からの1秒周期パルスと同期して初期値としてセットされた値を1秒周期でインクリメントし、そのカウント結果を現在の秒を示す現在秒データとして、秒一致検出回路433へと出力する。同様に、時分時刻カウンタ442は、発振部21からの1分周期パルスと同期して初期値としてセットされた値を1分周期でインクリメントし、カウント結果を現在の時分を示す現在時分データとして、時分一致検出回路443へと出力する。
【0035】
その後、駆動制御回路部42は、秒針、分針、および時針により表示されている時刻を運針機構の磁気情報パターン(図示せず)を読み取ることにより求め、秒を表すデータを秒カウンタ回路43内の秒位置カウンタ431の初期値として、時分を表すデータを時分カウンタ回路44内の時分位置カウンタ441の初期値としてそれぞれセットする。初期値をセットされた秒位置カウンタ431は、1秒周期で値をインクリメントし、その値を秒を示す表示秒データとして、秒一致検出回路433へと出力する。同様に、時分位置カウンタ441は、1分周期で値をインクリメントし、その値を時分を示す表示時分データとして時分一致検出回路443へと出力する。
【0036】
そして、駆動制御回路部42は、表示時刻を現在時刻に合わせるための現在時刻復帰動作を開始する。まず、駆動制御回路部42は、秒駆動用の早送りパルスを駆動部24の秒駆動回路31および秒位置カウンタ431に送る動作と、時分駆動用の早送りパルスを駆動部24の時分駆動回路32および時分位置カウンタ441に送る動作を開始する。これにより、秒位置カウンタ431は、秒駆動用の早送りパルスのカウントを開始し、時分位置カウンタ441は、時分駆動用の早送りパルスのカウントを開始する。
【0037】
この結果、秒針、分針、時針の早送りが進められ、次第に、表示秒データが現在秒データの値に近付き、表示時分データが現在時分データに近付く。そして、表示秒データの値と現在秒データの値との一致が秒一致検出回路433によって検出され、表示時分データの値と現在時分データの値との一致が時分一致検出回路443によって検出され、駆動制御回路部42は、秒駆動用および時分駆動用の早送りパルスの出力を停止し、通常の駆動用パルスを出力し、タイムコードに基づく時刻修正動作が完了する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の電波時計1によれば、裏蓋15を、電波が通過してアンテナ12で受信できる程度に薄い薄肉部17dが形成された金属体17と、この金属体17の内側に設けられ、この薄肉部17dを補強する水熱合成セラミックス製の補強体18とから構成したことにより、電波がこの裏蓋15を通過してアンテナ12で受信できるようにすることができ、かつ、裏蓋15に充分な強度を持たせることができる。また、この裏蓋15の補強体18が、この裏蓋15の内側に設けられているので、裏蓋15をケース13に取り付けた場合、裏蓋15の金属体17だけが外部に露出する。従って、裏蓋15とケース13の外観を金属に統一することができ、電波時計1に高級感を付与することができる。言い換えれば、裏蓋15の外観材が限定されなくなるので、電波時計1の外観デザインの自由度を向上させることができる。
【0039】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形可能である。そこで以下に各種の変形例について説明する。
【0040】
上記実施形態においては、裏蓋15を電波が通過するように構成する場合について述べたが、ケース13を電波が通過するように構成してもよい。この場合のケース13は、例えば、図8に電波時計1Aの断面図を示すように、側壁部13Sの一部の厚さが、電波が通過してアンテナ12で受信できるように薄く形成された金属部材からなる金属体13Aと、この金属体13Aの内側に設けられ、金属体13Aの上記薄く形成された部分を補強する水熱合成セラミックからなる補強体13B(図8中、格子斜線で示す)とから構成すればよい。すなわち、このケース13を製造する場合は、電波時計1の側壁を構成する側壁部13Sの少なくとも一部の厚さが、電波が通過してアンテナ12で受信できる厚さに形成された金属体13Aを製造し、この金属体13Aの内側に水熱合成セラミックを流し込んで加圧成形し、加圧成形したものを、この金属体13Aの溶融温度以下の温度である固化温度で水熱合成して上記補強体13Bを設けるようにすればよい。この構成によれば、電波が裏蓋15及びケース13を通過してアンテナ12に到達し得るのでアンテナ12の受信感度をより向上させることができ、かつ、裏蓋15とケース13の外観が金属で統一されるので、電波時計1Aに高級感を付与することができる。なお、ケース13だけを電波が通過する上記構成にしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、裏蓋15の金属体17は、周縁部17aを除くほとんどの部分が、電波が通過してアンテナ12で受信できる厚さに形成される場合について述べたが、該厚さに形成される部分(薄肉部17dに対応する部分)は、アンテナ12が受信可能な範囲で、金属体17の少なくとも一部にあればよい。上記したように、ケース13を電波が通過する構成にする場合でも、電波が通過してアンテナ12で受信できる厚さの部分は、アンテナ12が受信可能な範囲で少なくとも一部にあればよい。
また、上記実施形態においては、ケース13と裏蓋15とが別体のもので説明したが、ケースと裏蓋とが一体となった、いわゆるワンピース構造の外装ケースであってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、アンテナ内蔵式の時計の例示として、長波標準電波を受信する電波時計について例示したが、アンテナが内蔵された時計であれば任意の時計などに本発明を適用することができる。例えば、125kHz帯の電波を受信してRF−ID(Radio Frequency Identification)機能を実現する時計、457kHz帯の電波を受信してビーコン機能を実現する時計、AMラジオ機能を実現する時計、あるいは、これら時計を内蔵した電子機器といったものに本発明を広く適用することができる。
【0043】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、外装部品に金属材を用いても、内蔵アンテナの受信感度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電波時計の外観構成を示す図である。
【図2】同電波時計の断面図である。
【図3】同電波時計の時計本体を裏蓋を外した状態を示す図である。
【図4】同電波時計の裏蓋の斜視図である。
【図5】同電波時計の裏蓋の断面図である。
【図6】同電波時計の時計モジュールの一構成要素である運針機構を示す図である。
【図7】同電波時計の時計モジュールの電気的構成を示すブロック図である。
【図8】変形例に係る電波時計の断面図である。
【符号の説明】
1、1A…電波時計、10…時計本体、11…時計モジュール、12…アンテナ、13…ケース、14…カバーガラス、15…裏蓋、16…文字板、17、13A…金属体、18、13B…補強体、20…バンド、23…制御部

Claims (7)

  1. 時計モジュール及び所定の電波を受信するアンテナを収納するケースと、このケースの裏蓋とを備えるアンテナ内蔵式の時計において、
    前記裏蓋又は前記ケースの少なくとも一方は、前記電波が通過して前記アンテナで受信できる厚さに少なくとも一部が形成された金属部材からなる金属体と、この金属体の内側に設けられ、前記金属体を補強する非導電性部材からなる補強体とを有することを特徴とするアンテナ内蔵式の時計。
  2. 前記補強体は、前記金属体の前記電波が通過して前記アンテナで受信できる厚さの部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ内蔵式の時計。
  3. 前記補強体は、前記金属体の溶融温度以下の温度で成形可能な水熱合成セラミックス製であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ内蔵式の時計。
  4. 前記補強体は、樹脂が配合されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアンテナ内蔵式の時計。
  5. 時計モジュール及び所定の電波を受信するアンテナを収納するケースと、このケースの裏蓋とを備えるアンテナ内蔵式の時計の製造方法において、
    前記裏蓋又は前記ケースの少なくとも一方は、前記電波が通過して前記アンテナで受信できる厚さに少なくとも一部が形成された金属部材からなる金属体に、この金属体の補強体として、前記金属体の内側に、該金属体の溶融温度以下の温度で成形可能な水熱合成セラミックを成形して製造されることを特徴とするアンテナ内蔵式の時計の製造方法。
  6. 前記補強体は、前記金属体の前記電波が通過して前記アンテナで受信できる厚さの部分に設けられることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ内蔵式の時計の製造方法。
  7. 前記水熱合成セラミックは、樹脂が配合されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のアンテナ内蔵式の時計の製造方法。
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