JP2004286241A - エンジン駆動ヒートポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン室の床部50を二重床構造に構成する。上板51の一部を凹陥させて液受けカップ55を形成する。この液受けカップ55の内部にフロートスイッチ56を設置する。エンジン31から漏れ出たオイルを、多重床構造を構成する各床板51,52同士の間の空間Aに貯留できるようにし、オイル漏れが発生した後、所定量以上のオイルが漏出するまでは、この空間Aでオイルを保持できるようにする。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとエンジン駆動される圧縮機を備えた冷媒回路とにより構成されるエンジン駆動ヒートポンプに係る。特に、本発明は、エンジンからのオイル漏れが発生した際に、その検知を迅速に行うと共にオイルの外部流出を抑制するための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、GHP(ガスヒートポンプ)に代表されるエンジン駆動ヒートポンプが知られている。このGHPは、例えば下記の特許文献1に示すように、ガスエンジンと、このガスエンジンの動力を受けるコンプレッサ(圧縮機)により冷媒循環を行う冷媒回路とを備えており、暖房運転時には、エンジン排熱を有効活用することにより、暖房能力の向上を図ったりデフロスト(霜取)運転を不要にするといった利点がある。
【0003】
また、GHPの室外機は、圧縮機や冷媒熱交換器等の冷媒回路構成部品、エンジンやラジエータや冷却水タンク等のエンジン部品等が一つのパッケージ内に収容された構成となっている。そして、冷媒熱交換器やラジエータ等を収容した熱交換室と、圧縮機やエンジン等を収容したエンジン室とを区画して設けるのが一般的であり、具体的には、下側にエンジン室を上側に熱交換室を設置したワンパッケージ構成となっている。
【0004】
更に、エンジン室に設置されるエンジンは、エンジン室の床面上に防振ゴムを介して据え付けられるのが一般であるが、エンジン自体が相当な重量を有するため、そのエンジンの重量に耐えるように床部を台床として構成して高い支持強度を確保するようにしている。そして、下記の特許文献2に示すように、エンジン室の台床を二重床構造としたものにおいては、その上板と下板との間に、水平方向に延びる補強リブを設けている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−179983号公報
【特許文献2】
特開平11−337131号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のGHPのエンジンは、大量のエンジンオイル(例えば50L)を蓄えているため、経時劣化に伴うシール不良などに起因するオイル漏れが懸念されている。特に、ビルの屋上に設置されるGHPの室外機においてエンジンから大量のオイルが漏れた場合には、屋上床面に張られた防水シートの防水性に悪影響を与えてしまうといった不具合を招いてしまうことになる。
【0007】
このため、オイル漏れが発生した際には、それをできるだけ早く検知して、オイルが室外機から流れ出てしまう前に処置が行えるようにしたり、可能な限りオイルの流出量を少なく抑えることが求められている。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パッケージの床面上にエンジンが設置されたエンジン駆動ヒートポンプに対し、エンジンからのオイル漏れが発生した際に、その検知を迅速に行い且つその検知後においてもオイルの外部流出(パッケージからの漏出)を抑制することができる構成を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、エンジン室の床面を多重床構造(例えば二重床構造)に構成し、オイル漏れ発生時にオイルが流れ込む凹陥部を上側の床板に備えさせる。そして、この凹陥部にオイルが流れ込んだことが検知できるようにする。また、エンジンから漏れ出たオイルを、多重床構造を構成する各床板同士の間の空間に貯留できるようにしておくことで、オイル漏れが発生した後、所定量以上のオイルが漏出するまでは、この空間でオイルを保持することでオイルの外部流出を阻止できるようにしている。
【0010】
−解決手段−
具体的には、床部が多重床構造とされたエンジン室を備え、その床部上にエンジンが設置されたエンジン駆動ヒートポンプを前提とする。このエンジン駆動ヒートポンプに対し、上記床部を構成する床板のうち最上部の床板に開口を形成する。また、この最上部の床板に、下方に凹陥する液受け部を設けると共に、その液受け部の内部に漏出オイルが流入した際にそのオイル流入を検知する検出器を設ける。
【0011】
この特定事項により、エンジンからのオイル漏れが発生した際には、先ず、オイルは床部を構成する床板のうち最上部の床板上に広がる。そして、この最上部の床板に設けられた液受け部に流れ込む。このとき、検出器がオイル漏れを検知する。これにより、メンテナンス業者等への警報や通報を行うことでオイル漏れに対する処置を要求することになる。この検出器としては例えば液受け部内に備えられたフロートスイッチが採用可能である。
【0012】
そして、検出器がオイル漏れを検知した後、メンテナンス者が現地に到着するまでの間に、更に、オイル漏れが継続する場合、オイルは、最上部の床板に形成されている開口から流れ落ち、この最上部の床板とその下側の床板との間に形成されている空間に流れ込み、この空間に貯留されていくことになる。つまり、オイルの漏れ量が、この空間の容量よりも多くならない限り、オイルが外部流出することはない。また、この空間の側壁に換気口等が形成されている場合には、オイルの液面がこの換気口の下端位置に達するまではオイルが外部流出することはない。従って、この外部流出が発生する前にメンテナンス処置(漏出したオイルの回収やオイル漏れを止める作業)を行うことにより、オイルの外部流出を未然に防ぐことができる。
【0013】
また、好ましい構成として、上記最上部の床板に形成されている開口の開口縁部にリブ(堰)を立設させておくことが掲げられる。これによれば、最上部の床板上に広がったオイルが液受け部に流れ込む前に開口から流下してしまうことが阻止できる。つまり、検出器がオイル漏れを検知する前に、最上部の床板とその下側の床板との間に形成されている空間にオイルが流れ込んでしまい、検出器がオイル漏れを検知した時点では既にその空間がオイルで満たされてしまっているといった状況を回避できる。
【0014】
更に、最上部の床板の形状として、液受け部が設けられている位置に向かって次第に下方に傾斜するように加工しておくことが好ましい。これによれば、最上部の床板上のオイルが液受け部に向かって強制的に流れ込むことになるので、オイル漏れ発生から極めて短時間のうちにそれを検知することができる。
【0015】
また、検出器によるオイル漏れ検知の信頼性の向上を図るための対策としては以下のものが掲げられる。つまり、エンジン室の側面部に開閉自在な壁板を取り付け、この壁板を取り外した際に開放される開口部の上縁を構成する枠体に、エンジン室内に向けて流入する水を受け止める樋部を設けている。
【0016】
これによれば、壁板とエンジン室本体側のケーシングとの間のシール性が劣化している状況であっても、降雨時などにエンジン室内に向けて流入する水は枠体の樋部によって受け止められる。このため、雨水等がエンジン室内に流入することが防止でき、液受け部に雨水等が流れ込んで検出器が誤検知してしまうといった状況を回避することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、エンジン駆動ヒートポンプとして、ガスエンジンにより冷媒圧縮機を駆動するGHPに本発明を適用した場合について説明する。
【0018】
−GHP室外機の全体構成−
図1は本形態に係るGHP室外機の内部構成を示す斜視図、図2はその正面図、図3はその平面図である。また、図4はGHPの冷媒回路20及びエンジン冷却水回路30を示す回路図である。
【0019】
これら図に示すように、GHP室外機のパッケージ4は上下に分割された2つの装置室1,2で構成されており、上側が熱交換室1であり、下側がエンジンルーム2となっている。ここで、熱交換室1は、後述する熱交換のために外気が通風できる室であり、エンジンルーム2は吸気管や排気管を通じてのみ外部とつながる略密閉状態である。
【0020】
エンジンルーム2内には、エンジン31、冷媒圧縮機21及びアキュムレータ27等が設置され、エンジン31には吸気サイレンサ8や排気サイレンサ9等が付設されている。また、エンジン31の底部付近には、エンジン31の潤滑油を貯留するオイルパン5及びこのオイルパン5に連通する補助オイルパン6が配置されている。また、このエンジンルーム2内には、制御装置等の電装部材が収納された電装ボックス11及び後述する冷媒回路20を構成する配管等が設置されるとともに、オイルパン5とは別個に設けられ潤滑油を貯留しているオイルタンク10が配置されている。
【0021】
このオイルタンク10と上記補助オイルパン6とは連結されており、連結途中に介装された潤滑油ポンプ18により、オイルタンク10内に貯留された潤滑油を補助オイルパン6へ補充するように構成されている。
【0022】
また、エンジンルーム2の上側に設けられている上記熱交換室1には、後述する各回路20,30に備えられた室外熱交換器22,ラジエータ35が設置されている。また、この熱交換室1の天井面には、放熱用のファン15,15が設けられており、また、排気口14を開口して、排気サイレンサ9を通過した後のエンジン31からの排気をこの排気口14から外部へ排出するように構成している。
【0023】
−床部の構造説明−
次に、本形態の特徴とする部分であるエンジンルーム2の床部50の構成について図5を用いて説明する。図5(a)は床部50の一部を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)におけるB−B線に沿った断面図である。
【0024】
これら図に示すように、エンジンルーム2の床部50は、上板51、下板52、底板53から成る所謂二重床構造で構成されている。
【0025】
下板52は、その中央部分が平板状であって、図中の左右両側部は屈曲されて床板フレーム52a,52aを構成している。つまり、この下板52の左右両側部は断面が略コ字状となるように屈曲されており、その下部が底板53に溶接等の手段によって固定されていることにより、エンジンルーム2の床部50の剛性を高く確保するようになっている。
【0026】
一方、上板51は、上記床板フレーム52a,52a同士の間に架け渡されるように設置されており、この床板フレーム52a,52aの上面に対して溶接等の手段によって接合されている。このため、下板52の中央部分(平板状の部分)と、上板51とによって中空空間Aが形成される。この空間Aは、後述するようにエンジン31からのオイル漏れが発生した際にオイル溜め空間として機能することになる。
【0027】
そして、この下板52の中央部分と上板51とによって形成される空間Aを閉鎖するように、図5(a)における上下両側端縁には閉鎖板54が取り付けられている。この閉鎖板に54には側方に開放する外気導入孔54a,54aが形成されている。
【0028】
また、上板51の複数箇所には換気口51a,51a,…が形成されており、これら換気口51aの開口縁には高さが10mm程度の堰51bがそれぞれ形成されている。
【0029】
このように上記閉鎖板54には外気導入孔54aが形成され、上板51には換気口51aが形成されていることにより、外気導入孔54a及び換気口51aを経て外気がエンジンルーム2内に導入され、エンジンルーム2の換気が行えるようになっている。
【0030】
そして、上記上板51には部分的に下方に凹陥されてなる液受け部としての液受けカップ55が形成されている。つまり、エンジン31からのオイル漏れが発生し、上板51上にオイルが広がった場合には、この液受けカップ55の内部にオイルが溜まる構成となっている。そして、この液受けカップ55の内部には検出器としてのフロートスイッチ56が設置されている。この構成により、エンジン31からのオイル漏れが発生して液受けカップ55の内部にオイルが溜まった場合に、その液面の上昇に伴ってフロートスイッチ56のフロートの位置が上方へ移動し、このフロートが所定位置まで移動した際にフロートスイッチ56がオイル検知信号を発信するようになっている。
【0031】
その信号は上記電装ボックス11に送られ、この電装ボックス11内に配置された図示しない発信器からオイル漏れ情報が発信され、システム管理者(メンテナンス業者)にオイル漏れを報知するようになっている。
【0032】
−雨水浸入防止構造の説明−
次に、本形態のもう一つの特徴部分である雨水浸入防止のための構成について図6を用いて説明する。この図6は、エンジンルーム2の天井板61(熱交換室1の床板と兼用されている)の一側端部周辺を示す断面図である。
【0033】
この図6に示すように、エンジンルーム2の天井板61は、室外熱交換器22やラジエータ35が設置される水平部61aと、この水平部61aの両端から鉛直下方に折り曲げられた垂下部61bとを備えている。また、上記水平部61aには、上記排気サイレンサ9から上方に延びる排気管9aが挿通される挿通孔61cが形成されており、この挿通孔61cの内縁部には止水用のパッキン64が装着されてエンジンルーム2への雨水の浸入が防止されている。また、排気管9aにおける上記パッキン64の上側位置には傘状の排水ガイド65が取り付けられており、排気管9aに沿って流下する雨水が排水ガイド65に案内されて天井板61上に流れ落ちることで挿通孔61cの周辺に雨水が流れ込まないようになっている。
【0034】
そして、エンジンルーム2の側面部には、このエンジンルーム2の内部空間を開放自在とする壁板62が着脱自在に取り付けられている。この壁板62の内側面における上記垂下部61bに対向する部分にはゴム等で成るパッキン66が水平方向に延長して取り付けられており、この壁板62が垂下部61bにボルト止めされた状態では、このパッキン66が弾性変形して止水機能を発揮することによって、エンジンルーム2内に雨水等が流れ込まないようになっている。
【0035】
そして、本形態では、この壁板62を取り外した際に開放される開口部の上縁を構成する枠体としてのフレーム材67が備えられている。このフレーム材67は、エンジンルーム2の天井板61に一体的に固定されていると共に、その長手方向の両端は、上記床部50の各コーナ部に立設されている図示しない支柱の上端部間に架け渡されている。つまり、このフレーム材67が、支柱同士を連結することにより、エンジンルーム2全体の剛性を高く確保している。
【0036】
そして、本形態の特徴の一つは、上記フレーム材67の断面形状にある。このフレーム材67の断面形状としては、エンジンルーム2の天井板61の垂下部61bの内側面に固定される鉛直部67aと、この鉛直部67aの下端から水平方向外側に延びる水平部67bと、この水平部67bの外側端から僅かに上方に折り曲げられた雨水ガイド部67cとを備えている。つまり、このフレーム材67は上方に開放する断面略コ字状に形成されており、ボルトの緩みやパッキン66のシール不良などによって天井板61の垂下部61bの外面に沿って雨水が流下する際には、この雨水を受ける雨樋としての機能をフレーム材67が果たすようになっている(図6における矢印参照)。
【0037】
これにより、壁板62の周縁部のシール性が劣化している状況であっても、降雨時などにエンジンルーム2内に向けて流入する水はフレーム材67上に受け止められ、雨水等がエンジンルーム2内に流入することが防止でき、上記液受けカップ55に雨水等が流れ込んでフロートスイッチ56が誤検知してしまうといった状況を回避することができるようになっている。
【0038】
−回路説明−
次に、上記冷媒回路20及びエンジン冷却水回路30について図4を用いて説明する。
【0039】
(冷媒回路20)
冷媒回路20はベルト伝動装置によりエンジン31に連動連結された冷媒圧縮機21を備えている。つまり、この冷媒圧縮機21はエンジン31の駆動力を受けて運転するようになっている。
【0040】
そして、この冷媒回路20は、上記冷媒圧縮機21、室外熱交換器22、複数の室内熱交換器23,23,…を備え、両熱交換器22,23は、冷媒圧縮機21の吐出部21aに接続する吐出ライン41と、吸込み部21bに接続する吸入ライン42とに、四方弁24により切り換え自在に接続するようになっている。すなわち、四方弁24を切り換えることにより、室外熱交換器22を吐出ライン41に、室内熱交換器23を吸入ライン42に接続する冷房運転仕様と、室内熱交換器23を吐出ライン41に、室外熱交換器22を吸入ライン42に接続する暖房運転仕様とに切り換えることができるようになっている。
【0041】
両熱交換器22,23の液側の配管には膨張弁25,26が設けられており、冷房運転時には、図中実線の矢印で示すように冷媒が流れて、室外熱交換器22で凝縮した液冷媒が室内膨張弁26で膨張して室内熱交換器23に至る。一方、暖房運転時には、図中破線の矢印で示すように冷媒が流れて、室内熱交換器23で凝縮した液冷媒が室外膨張弁25で膨張して室外熱交換器22に至るようになっている。具体的な冷媒循環動作については後述する。
【0042】
また、上記吸入ライン42にはアキュムレータ27が設けられており、このアキュムレータ27によって冷媒を気液分離してガス冷媒のみが冷媒圧縮機21に吸入されるようになっている。
【0043】
そして、吸入ライン42におけるアキュムレータ27の上流側には冷媒補助蒸発器28が設けられている。この冷媒補助蒸発器28は、暖房運転時に、吸入ライン42を流れる冷媒とエンジン冷却水との間で熱交換を行うものであって、エンジン冷却水の熱量(エンジン排熱)を冷媒に与えることで、吸入冷媒に過熱度(スーパヒート)を与え、それによって暖房能力の向上を図るようにしている。また、この冷媒補助蒸発器28は、吸入ライン42を流れる冷媒が気液混合状態となっている際には、その液冷媒の気化にも寄与する。これにより、冷媒圧縮機21への液バック現象を確実に阻止できる。
【0044】
そして、本冷媒回路20は、冷媒補助蒸発器28をバイパスするように冷媒を流すためのバイパス流路を構成するバイパス管29を備えている。このバイパス管29は、一端(上流端)が室内熱交換器23と四方弁24との間に接続し、他端(下流端)がアキュムレータ27の上部に直接的に接続している。また、このバイパス管29には電磁弁29aが備えられており、暖房運転時には、この電磁弁29aを閉鎖して上記冷媒補助蒸発器28での熱交換(吸入ライン42を流れる冷媒とエンジン冷却水との熱交換)を行わせてエンジン排熱を冷媒に回収する一方、冷房運転時には、エンジン排熱を回収する必要がないため、この電磁弁29aを開放して冷媒の一部または全部が冷媒補助蒸発器28をバイパスするようにしている。
【0045】
(エンジン冷却水回路30)
次に、エンジン冷却水回路30について説明する。このエンジン冷却水回路30は、エンジン冷却水を循環させるための駆動源となる冷却水ポンプ32を備えており、この冷却水ポンプ32の吐出部32aから下流側に向けて順に、エンジン31内の冷却水通路(ウォータジャケット)、サーモスタット33、三方弁34、ラジエータ35、排気ガス熱交換器36が接続している。
【0046】
また、サーモスタット33には逃がし管33aが接続されており、この逃がし管33aの下流端は、排気ガス熱交換器36の上流側に接続している。このサーモスタット33は、エンジン冷却水の温度が例えば60℃未満のとき(例えばエンジン始動初期時)には逃がし管路33aへ冷却水を流し、エンジン冷却水の温度が60℃以上に達すると三方弁34に向けてエンジン冷却水を流すようになっている。
【0047】
三方弁34は、冷却水入口34a、第1冷却水出口34b、第2冷却水出口34cの三つのポートを有している。冷却水入口34aはサーモスタット33に、第1冷却水出口34bはラジエータ35にそれぞれ連通しており、第2冷却水出口34cは冷却水供給管28aを介して冷媒補助蒸発器28に連通している。また、この三方弁34は、第1冷却水出口34bと第2冷却水出口34cとの開度比率を変更可能な調整弁により構成されている。
【0048】
また、上記冷媒補助蒸発器28と排気ガス熱交換器36の上流側とは冷却水戻し管28bによって接続されており、冷媒補助蒸発器28において冷媒に熱を与えた冷却水がこの冷却水戻し管28bによって冷却水ポンプ32の吸入側に戻されるようになっている。
【0049】
尚、上記エンジン31は都市ガス等を燃料とするガスエンジンであり、その排気系は上記排気ガス熱交換器36及び排気サイレンサ9(図1参照)を備えている。そして、上記エンジン冷却水回路30の回路構成により、本エンジン31は冷却水通路(ウォータジャケット)及び排気ガス熱交換器36においてエンジン冷却水により熱(燃焼熱、排気熱)が奪われることになる。
【0050】
−運転動作−
次に、上述の如く構成された冷媒回路20及び冷却水回路30における循環動作について説明する。
【0051】
(冷房運転)
先ず、冷房運転時の動作について説明する。この冷房運転時には、冷媒回路20の四方弁24は図4に実線で示す切り換え状態となり、吐出ライン41を室外熱交換器22に、吸入ライン42を室内熱交換器23にそれぞれ接続する。また、三方弁34は、エンジン31の運転初期時には逃がし管路33aへ冷却水を流し、エンジン冷却水の温度が所定温度(例えば60℃)に達するとラジエータ35に向けて冷却水を流す。そして、この冷房運転中は三方弁34の第2冷却水出口34cを閉じており、原則的には冷媒補助蒸発器28へは冷却水を供給しない状態となる。
【0052】
また、この冷房運転時にあっては、バイパス管29の電磁弁29aは常時開放状態であり、室内熱交換器23を経た冷媒の大部分が冷媒補助蒸発器28をバイパスするようにしている。
【0053】
そして、冷媒圧縮機21から吐出された高圧の冷媒ガスは、先ず、図示しないオイルセパレータにより潤滑油成分が分離され、この潤滑油成分は吸入ライン42からアキュムレータ27へ戻される。潤滑油成分が除去された冷媒ガスは、四方弁24を通って室外熱交換器22へと供給される。この室外熱交換器22内では、冷媒ガスから熱を奪って凝縮させ、冷媒液とする。その後、この冷媒液は室内膨張弁26(各室内熱交換器23毎に設けられた膨張弁)から放出されることにより、急激に圧力が低下すると共に噴霧状となり、各室内熱交換器23へと供給される。
【0054】
この室内熱交換器23内において、冷媒液が蒸発することにより冷媒ガスへと変化(気化)し、この蒸発作用により、室内を冷房する。室内熱交換器23から排出された冷媒ガスは、大部分がバイパス管29を流れてアキュムレータ27に入り、液相部分が除去された後、冷媒圧縮機21の吸込み部21bに吸込まれる。
【0055】
一方、冷却水回路30では、冷却水ポンプ32から吐出される冷却水が、エンジン31に供給され、エンジン31内の冷却水通路を通過する間にシリンダ等各所を冷却することにより温度が上昇し、サーモスタット33から三方弁34に至る。サーモスタット33では、冷却水温度が60°未満の時には逃がし管路33aから排気ガス熱交換器36へと送る。そして、この冷却水は、排気ガス熱交換器36において排気ガスを冷却した後、冷却水ポンプ26へ戻る。
【0056】
そして、冷却水温度が60°以上になったときには、サーモスタット33の逃がし管路33aが閉鎖されて、冷却水は、三方弁34を介してラジエータ35へ送られ、ラジエータ35にて冷却水温度を下げ、冷却水ポンプ32に向けて戻される。
【0057】
(暖房運転)
次に、暖房運転時の動作について説明する。この暖房運転時には、冷媒回路20の四方弁24は図4に破線で示す切り換え状態となり、吐出ライン41を室内熱交換器23に、吸入ライン42を室外熱交換器22にそれぞれ接続する。また、三方弁34は、エンジン31の運転初期時には逃がし管路33aへ冷却水を流し、エンジン冷却水の温度が所定温度(例えば60℃)に達すると、第1冷却水出口34bを閉鎖状態に維持すると共に、第2冷却水出口34cを開放して冷媒補助蒸発器28へ冷却水を供給し、エンジン排熱を冷媒に与えることで、吸入冷媒に過熱度を与えて暖房能力の向上が図れるようにする。
【0058】
また、この暖房運転時にあっては、バイパス管29の電磁弁29aは常時閉鎖状態であり、室外熱交換器22を経た冷媒の全てが冷媒補助蒸発器28を通過するようになっている。
【0059】
そして、冷媒圧縮機21から吐出された高圧の冷媒ガスは、先ず、図示しないオイルセパレータにより潤滑油成分が分離され、この潤滑油成分は吸入ライン42からアキュムレータ27へ戻される。潤滑油成分が除去された冷媒ガスは、四方弁24を通って各室内熱交換器23へと供給される。この室内熱交換器23内では、冷媒ガスは凝縮して液体となり、室内を暖房する。その後、この冷媒液は室外膨張弁25から放出されることにより、急激に圧力が低下すると共に噴霧状となり、室外熱交換器22へと供給される。
【0060】
この室外熱交換器22内において、冷媒液が蒸発することにより冷媒ガスへと変化(気化)し、この室外熱交換器22から排出される。室外熱交換器22から排出された冷媒ガスは、冷媒補助蒸発器28を流れ、この冷媒補助蒸発器28においてエンジン排熱を受けて過熱状態になった後、アキュムレータ27に入り、冷媒圧縮機21の吸込み部21bに吸込まれる。
【0061】
(オイル漏れ発生時)
次に、エンジン31からのオイル漏れが発生した際の動作(オイル漏れ検知動作及びオイルの外部流出阻止動作)について説明する。
【0062】
上記エンジン31からのオイル漏れが発生すると、先ず、オイルは、上記上板51上に広がり、その後、液受けカップ55に流れ込む。このとき、上述した如く上板51の各換気口51aの開口縁には堰51bがそれぞれ形成されているので、この換気口51aにオイルが流れ込むことはない。
【0063】
そして、この液受けカップ55内に所定量のオイルが流れ込むと、フロートスイッチ56がオイル漏れを検知する。これにより、メンテナンス業者等への警報や通報を行うことでオイル漏れに対する処置を要求することになる。
【0064】
そして、フロートスイッチ56がオイル漏れを検知した後、メンテナンス者が到着するまでの間に、更に、オイル漏れが継続する場合、オイルは、上記堰51bを乗り越えて上板51に形成されている換気口51a,51a,…から流れ落ち、この上板51と下板52との間に形成されている空間Aに流れ込み、この空間Aに貯留されていくことになる。つまり、オイルの液面が閉鎖板54の外気導入孔54aの下端位置に達するまではオイルが空間Aから外部流出することはない。従って、この外部流出が発生する前にメンテナンス処置(漏出したオイルの回収やオイル漏れを止める作業)を行うことにより、オイルの外部流出を未然に防ぐことができる。このため、このGHP室外機がビルの屋上に設置されている場合、大量のオイルが流出して屋上床面に張られた防水シートの防水性に悪影響を与えてしまうといった不具合を回避することが可能となる。
【0065】
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、エンジン駆動ヒートポンプとして、ガスエンジン31により冷媒圧縮機21を駆動するGHPに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、その他のガス燃料を使用するエンジン駆動ヒートポンプや、灯油等の液体燃料を使用するエンジン駆動ヒートポンプにも適用することができる。
【0066】
また、上記実施形態では床部50の上板51を平板状としたが、液受けカップ55が設けられている位置に向かって次第に下方に傾斜するように加工しておいてもよい。具体的には、3〜4°程度の傾斜角度を有するように加工しておく。これによれば、上板51に滴下したオイルが液受けカップ55に向かって流れることになるので、オイル漏れ発生から短時間のうちにフロートスイッチ56によってオイル漏れを検知することができる。
【0067】
また、上記液受けカップ55は、床部50の上板51を絞り加工することにより一体的に形成するようにしたが、この液受けカップ55を、床部50の上板51とは個別の部材として予め形成しておき、この液受けカップ55を上板51に取り付けるようにしてもよい。
【0068】
更に、上記フレーム材67は、エンジンルーム2の天井板61とは別部材で構成したが、このフレーム材67と同等の形状を天井板61の端縁部に形成して雨樋機能を発揮させるようにしてもよい。
【0069】
加えて、上記実施形態では、漏出オイルの貯留空間を閉塞している閉鎖板54に外気導入孔54aを形成していたが、この外気導入孔を他の部材に形成し、閉鎖板54に開口を形成しないようにすれば、漏出オイルの貯留空間を大型化することが可能である。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、エンジン室の床面を多重床構造に構成し、オイル漏れ発生時にオイルが流れ込む凹陥部を上側の床板に備えさせる。そして、この凹陥部にオイルが流れ込んだことを検出器によって検知できるようにしている。また、エンジンから漏れ出たオイルを、多重床構造を構成する各床板同士の間の空間に貯留できるようにしている。このため、エンジンからのオイル漏れが発生した際に、その検知を迅速に行い且つその検知後においてもオイルの外部流出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るGHP室外機の内部構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係るGHP室外機の内部構成を示す正面図である。
【図3】実施形態に係るGHP室外機の内部構成を示す平面図である。
【図4】GHPの冷媒回路及びエンジン冷却水回路を示す回路図である。
【図5】(a)は床部の一部を示す平面図であり、(b)は図5(a)におけるB−B線に沿った断面図である。
【図6】エンジンルームの天井板の一側端部周辺を示す断面図である。
【符号の説明】
31 エンジン
50 床部
51 上板
51a 換気口
55 液受けカップ(液受け部)
56 フロートスイッチ(検出器)
62 壁板
67 フレーム材(枠体)
Claims (2)
- 床部が多重床構造とされたエンジン室を備え、その床部上にエンジンが設置されたエンジン駆動ヒートポンプにおいて、
上記床部を構成する床板のうち最上部の床板には開口が形成されている一方、
この最上部の床板には、下方に凹陥する液受け部が設けられていると共に、その液受け部の内部に漏出オイルが流入した際にそのオイル流入を検知する検出器が設けられていることを特徴とするエンジン駆動ヒートポンプ。 - 請求項1記載のエンジン駆動ヒートポンプにおいて、
エンジン室の側面部には開閉自在な壁板が取り付けられており、この壁板を取り外した際に開放される開口部の上縁を構成する枠体には、エンジン室内に向けて流入する水を受け止める樋部が設けられていることを特徴とするエンジン駆動ヒートポンプ。
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JP2008096075A (ja) * | 2006-10-16 | 2008-04-24 | Sanyo Electric Co Ltd | エンジン駆動式空気調和機 |
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-
2003
- 2003-03-19 JP JP2003075459A patent/JP2004286241A/ja active Pending
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