JP2004285480A - R−Fe−B系焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 R-Fe-B系(RはYを含む希土類元素のうちの1種又は2種以上)焼結型永久磁石の耐蝕性を改善するのに好適なR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】 R-Fe-B系(RはYを含む希土類元素のうちの1種又は2種以上)急冷鋳造合金を不活性ガス雰囲気中又は実質的な真空中で800〜1100℃で熱処理し、得られた熱処理後のR-Fe-B系急冷鋳造合金に水素吸蔵処理および脱水素処理を施し、粉砕する。あるいはジェットミル内部をArガスとN2ガスとの混合ガス雰囲気(この混合ガス雰囲気中のN2ガス濃度は0.0001〜0.1vol%であり、酸素濃度は実質的に0%である)とした状態でR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金を該ジェットミルにより粉砕する。
【選択図】 図1
【解決手段】 R-Fe-B系(RはYを含む希土類元素のうちの1種又は2種以上)急冷鋳造合金を不活性ガス雰囲気中又は実質的な真空中で800〜1100℃で熱処理し、得られた熱処理後のR-Fe-B系急冷鋳造合金に水素吸蔵処理および脱水素処理を施し、粉砕する。あるいはジェットミル内部をArガスとN2ガスとの混合ガス雰囲気(この混合ガス雰囲気中のN2ガス濃度は0.0001〜0.1vol%であり、酸素濃度は実質的に0%である)とした状態でR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金を該ジェットミルにより粉砕する。
【選択図】 図1
Description
本発明はR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法に関するものである。
焼結型希土類永久磁石の中でR-Fe-B系(RはYを含む希土類元素のうちの1種又は2種以上)焼結型永久磁石は高性能磁石として注目され、広い分野で使用されている。
このR-Fe-B系焼結型永久磁石は、基本的にはR2Fe14B相(主相)、RFe7B6相(Brich相)、R85Fe15相(Rrich相)の3相から成る構造を有している。組成的に希土類元素に豊んだRrich相の存在と、このような3相構造に由来して、R-Fe-B系焼結型永久磁石はSm-Co系焼結型永久磁石に比べて耐蝕性が劣り、この永久磁石の開発当初から現在に至るまでの欠点の1つとなっている。
R-Fe-B系焼結型永久磁石の腐蝕のメカニズムについての定説は無いが、Rrich 相を起点とした腐蝕の形態が一般的であることから、Rrich相を陽極とした陽極腐蝕との見方もある。確かに、R-Fe-B系焼結型永久磁石の希土類元素の量を減少することによって、その焼結体内部のRrich相の量は減少し、かつ相の形態は微細化し、これに対応して永久磁石の耐蝕性は向上する。従って、希土類元素の量を減少することは、R-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性改善の一つの方法である。
このR-Fe-B系焼結型永久磁石は、基本的にはR2Fe14B相(主相)、RFe7B6相(Brich相)、R85Fe15相(Rrich相)の3相から成る構造を有している。組成的に希土類元素に豊んだRrich相の存在と、このような3相構造に由来して、R-Fe-B系焼結型永久磁石はSm-Co系焼結型永久磁石に比べて耐蝕性が劣り、この永久磁石の開発当初から現在に至るまでの欠点の1つとなっている。
R-Fe-B系焼結型永久磁石の腐蝕のメカニズムについての定説は無いが、Rrich 相を起点とした腐蝕の形態が一般的であることから、Rrich相を陽極とした陽極腐蝕との見方もある。確かに、R-Fe-B系焼結型永久磁石の希土類元素の量を減少することによって、その焼結体内部のRrich相の量は減少し、かつ相の形態は微細化し、これに対応して永久磁石の耐蝕性は向上する。従って、希土類元素の量を減少することは、R-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性改善の一つの方法である。
R-Fe-B系を含む焼結型の希土類永久磁石は、原料金属を溶解し鋳型に注湯して得られたインゴットを粉砕,成形,焼結,熱処理,加工するという粉末冶金的な工程によって製造されるのが一般的である。しかし、インゴットを粉砕して得られる合金粉末は、希土類元素を多量に含むため化学的に非常に活性であり、大気中において酸化して含有酸素量が増加する。これによって、焼結後の焼結体では希土類元素の一部が酸化物を形成し、磁気的に有効な希土類元素が減少する。このため、実用的な磁気特性の水準、例えばiHc≧13kOeを実現するためには、R-Fe-B系焼結型永久磁石の希土類元素の量を増やす必要があり、重量百分比率で31%を越える希土類元素の添加量が実用材料では採用されている。このため、これまでのR-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性は十分ではなかった。
特表平2−501101号公報
本発明の課題は、R-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性を改善するのに好適なR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法を提供することである。
本発明者らは、R-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性を改善するため種々検討した結果、特定範囲量の希土類量と特定量以下の酸素量と炭素量のR-Fe-B系焼結型永久磁石において、その含有窒素量を特定範囲量とすることによって、耐蝕性が改善されるとともに実用的な高い磁気特性が得られることを見い出した。そして、R-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性をさらに改善すべく研究を継続した結果、その磁石主相結晶粒径を特定値以下とすることによって、耐蝕性がさらに向上すること、および前記磁石主相結晶粒径を特定値以下とするために好適なR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法を見い出して本発明に至ったものである。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明のR-Fe-B系(RはYを含む希土類元素のうちの1種又は2種以上)焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法は、ストリップキャスト法により急冷鋳造して得られたR-Fe-B系急冷鋳造合金を不活性ガス雰囲気中又は実質的な真空中で800〜1100℃で熱処理し、得られた熱処理後のR-Fe-B系急冷鋳造合金に水素吸蔵処理および脱水素処理を施し、粉砕することを特徴とする。
また本発明のR-Fe-B系(RはYを含む希土類元素のうちの1種又は2種以上)焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法は、ジェットミル内部をArガスとN2ガスとの混合ガス雰囲気(この混合ガス雰囲気中のN2ガス濃度は0.0001〜0.1vol%であり、酸素濃度は実質的に0%である)とした状態でR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金を該ジェットミルにより粉砕することを特徴とする。
本発明のR-Fe-B系(RはYを含む希土類元素のうちの1種又は2種以上)焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法は、ストリップキャスト法により急冷鋳造して得られたR-Fe-B系急冷鋳造合金を不活性ガス雰囲気中又は実質的な真空中で800〜1100℃で熱処理し、得られた熱処理後のR-Fe-B系急冷鋳造合金に水素吸蔵処理および脱水素処理を施し、粉砕することを特徴とする。
また本発明のR-Fe-B系(RはYを含む希土類元素のうちの1種又は2種以上)焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法は、ジェットミル内部をArガスとN2ガスとの混合ガス雰囲気(この混合ガス雰囲気中のN2ガス濃度は0.0001〜0.1vol%であり、酸素濃度は実質的に0%である)とした状態でR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金を該ジェットミルにより粉砕することを特徴とする。
磁気特性を低下させずに、優れた耐食性を有するR-Fe-B系焼結型永久磁石を得るのに好適なR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法を提供することができる。
本発明者らは、上記組成を有するR-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性に結晶粒径依存性があり、磁石主相結晶粒径を特定値以下にすることによって、特に優れた耐蝕性が発現されることを見い出した。磁石結晶粒径の定義と測定には種々の方法があり得、一義的ではないが、発明者らは磁石主相の総面積に対する粒径が一定寸法以下の主相結晶粒の面積の和の割合と、同じく磁石主相の総面積に対する粒径が一定寸法以上の主相結晶粒の面積の和の割合によって、磁石結晶粒径の状態を示す尺度とした。以下この尺度を用いて本発明の効果を説明することとする。また、この割合を算出するに当たっての計測は、対象とするR-Fe-B系焼結型永久磁石の結晶組織を、OLYMPUS社製顕微鏡(商品名VANOX)で観察し、この画像をNIRECO社製画像処理装置(商品名LUZEX2)に直接投入して行った。
図1は、重量百分率でNd 27.5%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.1%,Al 0.1%,Co 2.0%,Ga 0.08%,N 0.06%,O 0.16%,C 0.06%,N 0.040%,残部Feの組成を有し、磁石主相の総面積に対する結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和が96%,結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和が1%の焼結型永久磁石の光学顕微鏡(1000倍で観察)による観察結果である。また図2は、同じ組成を有し、磁石主相の総面積に対する結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和が64%,結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和が17%の焼結型永久磁石の光学顕微鏡(1000倍で観察)による観察結果である。
これらの焼結型永久磁石の耐蝕性を評価するために、磁石を8mm×8mm×2mmの寸法に加工後、その表面に20μmのNiメッキを施した。次いで、試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置し、時間の経過に対するNiメッキのハク離程度を調べた。結晶粒径が小さな図1の永久磁石から作製した試料では、2500Hr経過でもNiメッキに異常が見られなかった。5000Hrの経過では、Niメッキのわずかなハク離が観察された。一方、比較的大きな結晶粒が存在する図2の永久磁石から作製した試料では、1000Hr経過でもNiメッキに異常が見られなかった。上記評価方法は加速試験であるため、この結果から、図2の永久磁石の耐蝕性は実用上全く問題ないと言える。しかし、2000Hrの経過においてはこの試料にNiメッキの大きなハク離が観察され、このことから図1の永久磁石と図2の永久磁石の間には厳密には耐蝕性に差があることが判った。即ち、磁石主相結晶粒径が小さいほど耐蝕性は良好である。図3は、図1の永久磁石から作製した試料の、上記評価試験を5000Hrおこなった後の断面のSEMによる観察結果である。Niメッキと下地である永久磁石焼結体との間に部分的なハク離はあるものの、両者の密着性は比較的良好である。また、5000Hrの加速試験によっても、下地である永久磁石焼結体はほとんど損傷を受けていないことがわかる。
図4は、図2の試料から作製した試料の、上記評価試験を2000Hrおこなった後の断面の、SEMによる観察結果である。加速試験によって、下地である永久磁石焼結体の結晶粒界自体が破壊され、これによってNiメッキの大きなハク離が生じていることがわかる。
図4は、図2の試料から作製した試料の、上記評価試験を2000Hrおこなった後の断面の、SEMによる観察結果である。加速試験によって、下地である永久磁石焼結体の結晶粒界自体が破壊され、これによってNiメッキの大きなハク離が生じていることがわかる。
以上の結果から、永久磁石焼結体の主相結晶粒径の大きさの違いによって、耐蝕性の加速試験に対する結晶粒界の破壊のされ方に差異があることがわかった。この原因を図4から推定すると、比較的大きな主相結晶粒が存在する図2のような永久磁石焼結体においては、相対的に主相結晶粒の間の空隙部、具体的には粒界3重点がその主たる部分であり、ここにはきわめて酸化されやすいNdrich相が存在しているが、このNd rich相で充填されている空隙部の体積が大きくなる。腐蝕破壊をもたらす因子、例えば本加速試験では水分であるが、この様な因子の浸透性が良く、結晶粒界の破壊が連鎖反応的に起こりやすい状態にあるものと考えられる。
以上は、本発明に係るR-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性に主相結晶粒径依存性があることを、本発明者らの研究結果の一例を示すことによって説明したものである。
以上は、本発明に係るR-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性に主相結晶粒径依存性があることを、本発明者らの研究結果の一例を示すことによって説明したものである。
本発明者らは、本発明に係るR-Fe-B系焼結型永久磁石の主相結晶粒径分布と、磁気特性、耐蝕性との相関について上記の様な評価を継続し、図5に示すような結果を得た。
図5は、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和の割合と、同じく磁石主相結晶の総面積に対する結晶粒径が13μm以上の主相の結晶粒の面積の和の割合と、耐蝕性の加速試験での、Niメッキのハク離開始が生じるまでの経過時間との関係を示したものである。○印は重量百分比率でNd 25.5%,Pr 2.5%,Dy 2.0%,B 1.0%,Nb 0.4%,Al 1.0%,Co 3.0%,Cu 0.1%,O 0.19%,C 0.08%,N 0.040%,残部Feの組成を有する焼結体、□印は重量百分比率でNd 28.0%,Dy 1.0%,B 1.05%,Al 0.05%,Co 2.0%,Ga 0.09%,O 0.20 %,C 0.07%,N 0.080%,残部Feの組成を有する焼結体、△印は重量百分比率でNd 24.5%,Pr 1.5%,Dy 4.5%,B 1.1%,Nb 1.0%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.1%,Cu 0.08%,O 0.18%,C 0.06%,N 0.050%,残部Feの組成を有する焼結体を示す。この場合の加速試験では、磁石を8mm×8mm×2mmの寸法に加工後、その表面に膜厚10μmのNiメッキを施し、次いで試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置した。図5から、磁石主相の結晶の総面積に対し、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和が80%以上で、かつ結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和が10%以下である場合において、本発明に係るR-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性が特に優れたものになることがわかる。従って、磁石主相結晶粒の大きさは、上記に規定される。
図5は、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和の割合と、同じく磁石主相結晶の総面積に対する結晶粒径が13μm以上の主相の結晶粒の面積の和の割合と、耐蝕性の加速試験での、Niメッキのハク離開始が生じるまでの経過時間との関係を示したものである。○印は重量百分比率でNd 25.5%,Pr 2.5%,Dy 2.0%,B 1.0%,Nb 0.4%,Al 1.0%,Co 3.0%,Cu 0.1%,O 0.19%,C 0.08%,N 0.040%,残部Feの組成を有する焼結体、□印は重量百分比率でNd 28.0%,Dy 1.0%,B 1.05%,Al 0.05%,Co 2.0%,Ga 0.09%,O 0.20 %,C 0.07%,N 0.080%,残部Feの組成を有する焼結体、△印は重量百分比率でNd 24.5%,Pr 1.5%,Dy 4.5%,B 1.1%,Nb 1.0%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.1%,Cu 0.08%,O 0.18%,C 0.06%,N 0.050%,残部Feの組成を有する焼結体を示す。この場合の加速試験では、磁石を8mm×8mm×2mmの寸法に加工後、その表面に膜厚10μmのNiメッキを施し、次いで試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置した。図5から、磁石主相の結晶の総面積に対し、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和が80%以上で、かつ結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和が10%以下である場合において、本発明に係るR-Fe-B系焼結型永久磁石の耐蝕性が特に優れたものになることがわかる。従って、磁石主相結晶粒の大きさは、上記に規定される。
本発明に係るR-Fe-B系焼結型永久磁石の主相の結晶粒径を上記の規定範囲のものに制御する方法は必ずしも一義的ではなく、種々の方法あるいはそれらの方法の組合せによって達成することができるが、本発明者らの研究では、通常の方法ではかなりの困難を伴う。一般に、R-Fe-B系焼結型永久磁石の製造においては、原料粗粉を微粉砕によって微粉化し、この微粉を磁界中で金型成形して成形体を得、これを焼結して焼結体とする方法が採られる。例えば、微粉砕をジェットミルを用いて行う場合には、粉砕時のガスの圧力や粗粉の供給速度等を制御することにより、所定の平均粒度や粒度分布を持つ微粉を得ることができる。また、必要に応じて、分級をおこなうことにより、微粉の粒度分布を制御することもできる。このようにして作製した微粉を成形し、焼結するにあたっては、さらに適切な焼結温度・時間・パターンを選択することによって、R-Fe-B系焼結型永久磁石の主相の結晶粒径を上記の規定範囲のものとすることは必ずしも不可能ではない。しかし、多くの条件を設定し、これを制御する必要があり、所定の結晶粒径を有する焼結体を再現性よく製造するのははなはだ困難であることが判った。
本発明者らは本発明に係るR-Fe-B系焼結型永久磁石の主相の結晶粒径を上記の規定範囲とするのに容易で量産上適した方法を探索した結果、いわゆるストリップキャスト法と呼ばれる方法で製造された所定の組成を有するR-Fe-B系急冷薄帯状合金を、所定の温度範囲で熱処理し、これを粉砕して原料粗粉とする方法を見い出した。また熱処理後の薄帯状合金を粉砕するにあたっては、水素吸蔵により自然崩壊させた後脱水素処理を施してから行うことが微粉砕性能を高めるうえで有効である。
図6は、重量百分比率でNd 27.8%,Pr 0.45%,Dy 1.7%,B 1.05%,Al 0.05%,Co 2.05%,Ga 0.08%,Cu 0.09%,O 0.02%,N 0.004%,C 0.007%,残部Feの組成を有する、ストリップキャスト法で製造された薄帯状合金の断面組織である(as cast)。デンドライト状の微細な組織が存在している。写真の中で白色に観察される相は希土類量が少なく永久磁石焼結体の主相に相当する相、黒色に観察される相は希土類量が多い永久磁石焼結体のRrich相に相当する相である。このRrich相は微粉砕時に破壊の起点となるので、このRrich相が図6に示すように微細に分散している帯状合金を使用した場合、粒径が細かくて均一な微粉が確率的に生成しやすい。従って、微粉砕時や焼結時の多くの条件を厳密に管理することなく、比較的容易にしかも再現性よく本発明に係る磁石主相粒径分布を有する焼結体が製造可能となるのである。
しかしこの薄帯状合金(急冷鋳造のまま)をこのまま直接粉砕して原料粗粉とし、これを微粉砕しても、良好な微粉の粒度分布を得るには困難を伴い、これを成形・焼結した焼結体では望ましい主相結晶粒径分布のものを再現性よく得ることが困難である。この理由は、急冷鋳造によって薄帯状合金の表面が硬化し、微粉砕時の被粉砕性をいちじるしく悪化させるからである。
図6は、重量百分比率でNd 27.8%,Pr 0.45%,Dy 1.7%,B 1.05%,Al 0.05%,Co 2.05%,Ga 0.08%,Cu 0.09%,O 0.02%,N 0.004%,C 0.007%,残部Feの組成を有する、ストリップキャスト法で製造された薄帯状合金の断面組織である(as cast)。デンドライト状の微細な組織が存在している。写真の中で白色に観察される相は希土類量が少なく永久磁石焼結体の主相に相当する相、黒色に観察される相は希土類量が多い永久磁石焼結体のRrich相に相当する相である。このRrich相は微粉砕時に破壊の起点となるので、このRrich相が図6に示すように微細に分散している帯状合金を使用した場合、粒径が細かくて均一な微粉が確率的に生成しやすい。従って、微粉砕時や焼結時の多くの条件を厳密に管理することなく、比較的容易にしかも再現性よく本発明に係る磁石主相粒径分布を有する焼結体が製造可能となるのである。
しかしこの薄帯状合金(急冷鋳造のまま)をこのまま直接粉砕して原料粗粉とし、これを微粉砕しても、良好な微粉の粒度分布を得るには困難を伴い、これを成形・焼結した焼結体では望ましい主相結晶粒径分布のものを再現性よく得ることが困難である。この理由は、急冷鋳造によって薄帯状合金の表面が硬化し、微粉砕時の被粉砕性をいちじるしく悪化させるからである。
本発明者らは、この問題を解決する手段として、この薄帯状合金を特定温度範囲で熱処理して薄帯状合金表面の硬化を除去することが有効であることを見い出した。熱処理の温度は800℃〜1100℃とされる。これは、熱処理温度が800℃未満では硬化の除去が不十分だからである。また、1100℃より高い温度では、熱処理時に薄帯状合金間で反応が生じ、後工程での処理に困難が生じるからである。活性な希土類元素を多量に含有する薄帯状合金であるため、熱処理は不活性ガス雰囲気中又は実質的な真空中で行う必要がある。また、前記のように、熱処理後の薄帯状合金に水素を吸蔵させて自然崩壊させ、脱水素処理をおこなった後、これを粗粉化することは、微粉砕性を高めるうえでさらに有効である。これは、熱処理による薄帯状合金表面の硬化の除去効果に加え、水素による薄帯状合金内部の主にはRrich相のぜい化効果が加わることによる。
表1に、図6の薄帯状合金を各種条件で熱処理(1Hr)あるいは粉砕して粗粉とし、これを同一条件で微粉砕し、成形・焼結した場合の焼結体の主相結晶粒径の状態を示す。なお、微粉砕以降の焼結体の製造方法・条件については、詳しく後で説明する。
表1から、薄帯状合金を800℃以上の温度で熱処理し、これを用いることによって、本発明に係る主相粒径分布を有する焼結体が得られることがわかる。また、前述したように、水素処理の有効性も明らかである。同時に表1から、700℃で熱処理したものの主相粒径の状態は、急冷鋳造したままのものとほぼ同水準である。よって、700℃の熱処理温度では、薄帯状合金の表面硬化部の除去が不十分であることがわかる。同時に本発明者らは、薄帯状合金に対して800℃以上で熱処理をおこなうことにより、磁気特性のうち特にBrを向上できることを見い出した。結果を同じく表1に示す。表1から、急冷鋳造状態と700℃で熱処理した薄帯状合金による永久磁石焼結体 のBrは13.2〜13.3KGである。これに対し、800℃と900℃で熱処理した薄帯状合金を使用した場合には、Brは13.55KGと急激に増加する。熱処理温度が1000℃では、結果として得られるBrは微増し、13.6KGとなる。1100℃,1200℃の熱処理温度では、Brの増加は飽和に達し、13.6KGと変わらない。
表1に示した薄帯状合金のうち、熱処理温度が900℃,1000℃,1100℃のものの断面組織を、それぞれ図7、図8、図9に示す。急冷鋳造のままの状態(図6)をも含めこれらを対比すると、熱処理温度の上昇に従って、薄帯状合金内の主相に相当する白色組織、Rrich相に相当する黒色組織のいずれもが粗大化していることがわかる 。これらのことから本発明者らは、急冷鋳造のままの薄帯状合金では主相およびRrich相に相当する相から構成される組織が微細であるために、これを用いて微粉を製造した場合、微粉の内に多結晶状態のままのものが確率的に多く存在し、微粉を磁界中で金型成形する際の配向性の低下を招き、永久磁石焼結体のBr低下をもたらしているものと考える。700℃の熱処理温度では、上記組織の成長が不十分で、配向性の改善には至らない。上記図6〜図9に示すように、熱処理温度の上昇に従って薄帯状合金の内部組織が粗大化しているが、これによって多結晶状態の微粉の発生の確率が低下し、Brが改善されると考えられるが、表1の結果から判断する限り、800℃の熱処理温度でその効果はかなり出ているものと考えられる。薄帯状合金の熱処理温度のさらなる増加に従って、得られる焼結体のBrはやや向上するものの、1000℃以上の熱処理温度では飽和の傾向を示す。これは、薄帯状合金内部の組織がある程度粗大化し、多結晶状態の微粉が確率的にほとんど発生しない状態に達した段階では、熱処理温度をさらに上げて組織の粗大化を促進させても、それは得られる焼結体のBrの向上として反映しないということで理解できる。
以上詳細に説明したように、ストリップキャスト法による所定の組成の急冷鋳造薄帯状合金を、特定の温度範囲において熱処理し、あるいはこれに水素吸蔵処理を施して自然崩壊させ、これを粉砕して粗粉化することによって、微粉砕時の粉砕性が改善され、これを用いて製造された永久磁石焼結体は、耐蝕性にきわめて優れた主相結晶粒径を有するものとなるのであるが、同時に高い磁気特性を有するものにもなるのである。
なお、薄帯状合金の800〜1100℃での熱処理時間は、少なくとも15分間以上好ましくは30分間以上行う必要がある。
なお、薄帯状合金の800〜1100℃での熱処理時間は、少なくとも15分間以上好ましくは30分間以上行う必要がある。
以下では、本発明を用いて得られる好ましいR-Fe-B系焼結型永久磁石の組成の限定理由を述べる。
希土類元素の量は、重量百分率で27.0〜31.0%とされる。希土類元素の量が31.0%を越えると、焼結体内部のRrich相の量が多くなり、かつ形態も粗大化して耐蝕性が悪くなる。一方、希土類元素の量が27.0%未満であると、焼結体の緻密化に必要な液相量が不足して焼結体密度が低下し、同時に磁気特性のうち残留磁束密度Brと保磁力iHcが共に低下する。従って、希土類元素の量は27.0〜31.0% とされる。
Oの量は重量百分率で0.05〜0.25%とされる。Oの量が0.25%を越える場合には、希土類元素の一部が酸化物を形成し、磁気的に有効な希土類元素が減少して保磁力iHcが低下する。一方溶解によって作製するインゴットのO量の水準は最大0.04%であるため、最終焼結体のO量をこの値以下とすることは困難であり、O量は0.05〜0.25%とすることが好ましい。
Cの量は重量百分率で0.01〜0.15%とされる。Cの量が0.15%より多い場合には、希土類元素の一部が炭化物を形成し、磁気的に有効な希土類元素が減少して保磁力iHcが低下する。C量は、0.12%以下とすることがより好ましく、0.10%以下とすることがさらに好ましい。一方、溶解によって作製するインゴットのC量の水準は最大0.008%であり、最終焼結体のC量をこの値以下とすることは困難であり、焼結体のC量は0.01〜0.15%とすることが好ましい。なお、焼結体のO量とC 量を上記値にする具体的な方法は後述する。
希土類元素の量は、重量百分率で27.0〜31.0%とされる。希土類元素の量が31.0%を越えると、焼結体内部のRrich相の量が多くなり、かつ形態も粗大化して耐蝕性が悪くなる。一方、希土類元素の量が27.0%未満であると、焼結体の緻密化に必要な液相量が不足して焼結体密度が低下し、同時に磁気特性のうち残留磁束密度Brと保磁力iHcが共に低下する。従って、希土類元素の量は27.0〜31.0% とされる。
Oの量は重量百分率で0.05〜0.25%とされる。Oの量が0.25%を越える場合には、希土類元素の一部が酸化物を形成し、磁気的に有効な希土類元素が減少して保磁力iHcが低下する。一方溶解によって作製するインゴットのO量の水準は最大0.04%であるため、最終焼結体のO量をこの値以下とすることは困難であり、O量は0.05〜0.25%とすることが好ましい。
Cの量は重量百分率で0.01〜0.15%とされる。Cの量が0.15%より多い場合には、希土類元素の一部が炭化物を形成し、磁気的に有効な希土類元素が減少して保磁力iHcが低下する。C量は、0.12%以下とすることがより好ましく、0.10%以下とすることがさらに好ましい。一方、溶解によって作製するインゴットのC量の水準は最大0.008%であり、最終焼結体のC量をこの値以下とすることは困難であり、焼結体のC量は0.01〜0.15%とすることが好ましい。なお、焼結体のO量とC 量を上記値にする具体的な方法は後述する。
本発明者らの研究成果によると、R-Fe-B系焼結型希土類磁石の耐蝕性の大幅な改善に対しては、希土類元素の量を31.0%以下とすることと先に述べた焼結体主相結晶粒径の大きさを前記特定範囲とすることは、必要条件ではあるが十分条件ではない。これはさらに、焼結体中のN量を厳密に制御する必要がある。前記特定範囲の焼結体主相結晶粒径を有し、上記の組成範囲の希土類量、O量、C量を有するR-Fe-B系焼結型希土類磁石において、焼結体中のN量を所定範囲とすることによって、優れた耐蝕性と高い磁気特性を両立させることができる。焼結体中のN量は重量百分率で0.02〜0.15%とする必要がある。Nの含有による耐蝕性の改善効果のメカニズムは必ずしも明確ではないが焼結体中のNは主にはRrich相に存在し、希土類元素の一部と結合して窒化物を形成していることから、この窒化物の形成がRrich相の陽極酸化を抑制しているものと考えられる。Nの量が0.02%より少ない場合には、窒化物の形成量が少ないためか、焼結体の耐蝕性の改善効果は見られない。Nの量が0.02%以上では、Nの量の増加に従って焼結体の耐蝕性も向上するが、Nの量が0.15%を越えると保磁力iHcが急激に低下する。これは、窒化物の形成による磁気的に有効な希土類元素の減少によるためと考えられる。以上の理由から、N量は0.02〜0.15%とされる。N量は0.03〜0.13%とすることがさらに好ましい。
本発明に係るR-Fe-B系焼結型永久磁石においては、Feの一部をNb,Al,Co,Ga,Cuのうちの1種又は2種以上で置換することができ以下に各元素の置換量(ここでは置換後の永久磁石の全組成に対する重量百分率)の限定の理由を説明する。
Nbの置換量は0.1〜2.0%とされる。Nbの添加によって、焼結過程でNbのほう化物が生成し、これが結晶粒の異常粒成長を抑制する。Nbの置換量が0.1%より少ない場合には、結晶粒の異常粒成長の抑制効果が十分ではなくなる。一方、Nbの置換量が2.0%を越えると、Nbのほう化物の生成量が多くなるため残留磁束密度Brが低下する。
Alの置換量は0.02〜2.0%とされる。Alの添加は保磁力iHcを高める効果がある。Alの置換量が0.02%より少ない場合には、保磁力の向上効果が少ない。置換量が2.0%を越えると、残留磁束密度Brが急激に低下する。
Coの置換量は0.3〜5.0%とされる。Coの添加はキュリー点の向上即ち飽和磁化の温度係数の改善をもたらす。Coの置換量が0.3%より少ない場合には、温度係数の改善効果は小さい。Coの置換量が5.0%を越えると、残留磁束密度Br、保磁力iHcが共に急激に低下する。
Gaの置換量は0.01〜0.5%とされる。Gaの微量添加は保磁力iHcの向上をもたらすが、置換量が0.01%より少ない場合には、添加効果は小さい。一方、Gaの置換量が0.5%を越えると、残留磁束密度Brの低下が顕著になるとともに保磁力iHcも低下する。
Cuの置換量は0.01〜1.0%とされる。Cuの微量添加は保磁力iHcの向上をもたらすが、置換量が1.0%を越えるとその添加効果は飽和する。添加量が0.01%より少ない場合には、保磁力iHcの向上効果は小さい。
Nbの置換量は0.1〜2.0%とされる。Nbの添加によって、焼結過程でNbのほう化物が生成し、これが結晶粒の異常粒成長を抑制する。Nbの置換量が0.1%より少ない場合には、結晶粒の異常粒成長の抑制効果が十分ではなくなる。一方、Nbの置換量が2.0%を越えると、Nbのほう化物の生成量が多くなるため残留磁束密度Brが低下する。
Alの置換量は0.02〜2.0%とされる。Alの添加は保磁力iHcを高める効果がある。Alの置換量が0.02%より少ない場合には、保磁力の向上効果が少ない。置換量が2.0%を越えると、残留磁束密度Brが急激に低下する。
Coの置換量は0.3〜5.0%とされる。Coの添加はキュリー点の向上即ち飽和磁化の温度係数の改善をもたらす。Coの置換量が0.3%より少ない場合には、温度係数の改善効果は小さい。Coの置換量が5.0%を越えると、残留磁束密度Br、保磁力iHcが共に急激に低下する。
Gaの置換量は0.01〜0.5%とされる。Gaの微量添加は保磁力iHcの向上をもたらすが、置換量が0.01%より少ない場合には、添加効果は小さい。一方、Gaの置換量が0.5%を越えると、残留磁束密度Brの低下が顕著になるとともに保磁力iHcも低下する。
Cuの置換量は0.01〜1.0%とされる。Cuの微量添加は保磁力iHcの向上をもたらすが、置換量が1.0%を越えるとその添加効果は飽和する。添加量が0.01%より少ない場合には、保磁力iHcの向上効果は小さい。
次に、本発明を用いてR-Fe-B系焼結型永久磁石のN量を制御する方法について説明する。
R-Fe-B系焼結型永久磁石のN量の制御のために、まずジェットミル粉砕機にR-Fe-B系焼結型永久磁石用の原料粗粉を装入し、次いでジェットミル内部をArガスで置換してそのArガス中の酸素濃度が実質的に0%になるようにし、次にN2ガスを微量導入してArガス中のN2ガスの濃度を調整する(通常0.0001〜0.1vol%の範囲)。このN2ガスを微量に含んだArガス雰囲気中で原料粗粉を微粉砕する過程で、原料中の主には希土類元素とNが結合し、回収された微粉中のN量が増加する。微粉の回収にあたっては、ジェットミルの微粉回収口に鉱物油、植物油、合成油等の溶媒を満たした容器を直接設置し、Arガス雰囲気中で溶媒中に直接微粉を回収する。こうして得たスラリー状の原料を磁界中で湿式成形し、成形体とする。成形体を真空炉中で、5×10-2torr程度の真空度下で200℃前後の温度に加熱し、成形体内の含有溶媒を除去する。次いで引き続き、真空炉の温度を1100℃前後の焼結温度にまで上げ、5×10-4torr程度の真空度下で焼結して焼結体を得る。こうしてO量が0.25%以下でC量が0.15%以下のR-Fe-B系焼結型永久磁石を得ることができる。この場合、焼結体中のN量の制御は、上記粉砕時のArガス中の導入N2ガスの濃度制御によっておこなう。原料へのNの混入度は、ジェットミルの容量、装入原料粗粉の組成と装入量、ジェットミル粉砕時の原料粗粉の送り量などによって変化する。
従って、目標とする焼結体N量を得るためには、粉砕時の条件毎に条件出しをし、最適なArガス中のN2ガス濃度を決めて粉砕する必要がある。この様な方法によって、焼結体中のN量を0.02〜0.15%に制御することができる。
R-Fe-B系焼結型永久磁石のN量の制御のために、まずジェットミル粉砕機にR-Fe-B系焼結型永久磁石用の原料粗粉を装入し、次いでジェットミル内部をArガスで置換してそのArガス中の酸素濃度が実質的に0%になるようにし、次にN2ガスを微量導入してArガス中のN2ガスの濃度を調整する(通常0.0001〜0.1vol%の範囲)。このN2ガスを微量に含んだArガス雰囲気中で原料粗粉を微粉砕する過程で、原料中の主には希土類元素とNが結合し、回収された微粉中のN量が増加する。微粉の回収にあたっては、ジェットミルの微粉回収口に鉱物油、植物油、合成油等の溶媒を満たした容器を直接設置し、Arガス雰囲気中で溶媒中に直接微粉を回収する。こうして得たスラリー状の原料を磁界中で湿式成形し、成形体とする。成形体を真空炉中で、5×10-2torr程度の真空度下で200℃前後の温度に加熱し、成形体内の含有溶媒を除去する。次いで引き続き、真空炉の温度を1100℃前後の焼結温度にまで上げ、5×10-4torr程度の真空度下で焼結して焼結体を得る。こうしてO量が0.25%以下でC量が0.15%以下のR-Fe-B系焼結型永久磁石を得ることができる。この場合、焼結体中のN量の制御は、上記粉砕時のArガス中の導入N2ガスの濃度制御によっておこなう。原料へのNの混入度は、ジェットミルの容量、装入原料粗粉の組成と装入量、ジェットミル粉砕時の原料粗粉の送り量などによって変化する。
従って、目標とする焼結体N量を得るためには、粉砕時の条件毎に条件出しをし、最適なArガス中のN2ガス濃度を決めて粉砕する必要がある。この様な方法によって、焼結体中のN量を0.02〜0.15%に制御することができる。
また、ジェットミル内部をN2ガスで置換してそのN2ガス中の酸素濃度が実質的に0%になるようにし、このN2ガス雰囲気中で原料粗粉を微粉砕することで、O量が0.25%以下、C量が0.15%以下、N量が0.02〜0.15%のR-Fe-B系焼結型永久磁石を得ることもできる。この場合は、原料粗粉の装入量と粉砕時の原料粗粉の送り量によって原料へのNの混入度を制御し、目標とするN量の焼結体を得る。ジェットミルの型式や容量によって原料へのNの混入度は変化するため、あらかじめ条件出しを行って、原料粗粉の装入量と粉砕時の送り量を設定する。粉砕後の微粉の回収方法は鉱物油、植物油、合成油のうちの1種または2種以上からなる溶媒中へであり、湿式成形以降の工程も前記のArガス雰囲気中での粉砕の場合と同じである。
なお、以上に述べた酸素濃度が実質的に0%である雰囲気とは、例えばR-Fe-B系原料粗粉を10kg/Hr程度微粉砕できる能力を有する生産型のジットミル粉砕機の場合では、雰囲気中の酸素濃度が百分比率で0.01vol%以下、より好ましくは0.005vol%以下、さらに好ましくは0.002vol%以下の雰囲気を言う。
以上のような方法によってO量が0.25%以下、C量が0.15%以下、N量が0.02〜0.15%のR-Fe-B系焼結体をつくることができるが、同時に、先に説明した800〜1100℃の温度範囲で熱処理を施した所定の組成を有する急冷薄帯状合金を原料として用いることによって、前記特定範囲の主相結晶粒径のものが容易にかつ再現性よく得られる。こうして得られた焼結体を熱処理、加工することによって、耐蝕性に優れかつ高い磁気特性を有するR-Fe-B系焼結型永久磁石の製造が可能である。
なお、以上に述べた酸素濃度が実質的に0%である雰囲気とは、例えばR-Fe-B系原料粗粉を10kg/Hr程度微粉砕できる能力を有する生産型のジットミル粉砕機の場合では、雰囲気中の酸素濃度が百分比率で0.01vol%以下、より好ましくは0.005vol%以下、さらに好ましくは0.002vol%以下の雰囲気を言う。
以上のような方法によってO量が0.25%以下、C量が0.15%以下、N量が0.02〜0.15%のR-Fe-B系焼結体をつくることができるが、同時に、先に説明した800〜1100℃の温度範囲で熱処理を施した所定の組成を有する急冷薄帯状合金を原料として用いることによって、前記特定範囲の主相結晶粒径のものが容易にかつ再現性よく得られる。こうして得られた焼結体を熱処理、加工することによって、耐蝕性に優れかつ高い磁気特性を有するR-Fe-B系焼結型永久磁石の製造が可能である。
以下、本発明を実施例をもって具体的に説明するが、本発明の内容はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
重量百分率でNd 27.0%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.05%,Nb 0.35%,Al 0.08%,Co 2.5%,Ga 0.09%,Cu 0.08%,O 0.03%,C 0.005%,N 0.004%,残部Feの組成を有する、厚さが0.2〜0.5mmの薄帯状合金を、ストリップキャスト法で作製した。この薄帯状の合金を、Arガス雰囲気中で1000℃で2時間加熱した。次に水素炉を使用し、この薄帯状の合金を常温で水素ガス雰囲気中で水素吸蔵させ、自然崩壊させた。次いで炉内を真空排気しつつ550℃まで薄帯状の合金を加熱し、その温度で1時間保持して脱水素処理を行った。崩壊した合金を窒素ガス雰囲気中で機械的に破砕して、32mesh以下の原料粗粉とした。
この原料粗粉の組成を分析したところ、Nd 27.0%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.05%,Nb 0.35%,Al 0.08%,Co 2.5%,Ga 0.09%,Cu 0.08%,O 0.12%,C 0.02%,N 0.008%,残部Feという分析値を得た。
この原料粗粉80kgをジェットミル内に装入した後、ジェットミル内部をN2ガスで置換し、N2ガス中の酸素濃度を実質的に0%(酸素分析計値で0.001vol%)とした。次いで、粉砕圧力7.0kg/cm2、原料粗粉の供給量10kg/Hrの条件で粉砕した。微粉の平均粒度は3.9μmであった。
ジェットミルの微粉回収口には鉱物油(商品名出光スーパーゾルPA-30,出光興産製)を満たした容器を直接設置し、N2ガス雰囲気中で微粉を直接鉱物油中へ回収した。回収後の原料は、鉱物油の量を加減することで微粉の純分が80重量%の原料スラリーとした。この原料スラリーを、金型キャビティ内で12kOeの配向磁界を印加しながら0.8ton/cm2の成形圧で湿式成形した。配向磁界の印加方向は、成形方向と垂直である。また、金型の上パンチには溶媒排出孔を多数設け、成形時には1mmの厚さの布製のフィルタを上パンチ面にあてて使用した。
成形体は、5.0×10-2torrの真空中で200℃×1時間加熱して含有鉱物油を除去し、次いで4.0×10-4torrの条件下で15℃/分の昇温速度で1070℃まで昇温し、その温度で3時間保持して焼結した。
焼結体の組成を分析したところ、Nd 27.0%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.05%,Nb 0.35%,Al 0.08%,Co 2.5%,Ga 0.09%,Cu 0.08%,O 0.16%,C 0.07%,N 0.055 %,残部Feという分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は93%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は4%であった。
この焼結体にArガス雰囲気中で900℃×2時間と480℃×1時間の熱処理を各1回施した。機械加工後磁気特性を測定したところ、表2に示すような良好な値を得た。
この永久磁石の耐蝕性を評価するために、磁石を8mm×8mm×2mmの一定寸法に加工後、その表面に膜厚10μmのNiメッキを施した。次いでこの試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置し、時間の経過に対するNiメッキのハク離程度を調べた。表2に示すように、2500時間を経過してもNiメッキに異常が認められず、良好な耐蝕性を示した。
(実施例1)
重量百分率でNd 27.0%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.05%,Nb 0.35%,Al 0.08%,Co 2.5%,Ga 0.09%,Cu 0.08%,O 0.03%,C 0.005%,N 0.004%,残部Feの組成を有する、厚さが0.2〜0.5mmの薄帯状合金を、ストリップキャスト法で作製した。この薄帯状の合金を、Arガス雰囲気中で1000℃で2時間加熱した。次に水素炉を使用し、この薄帯状の合金を常温で水素ガス雰囲気中で水素吸蔵させ、自然崩壊させた。次いで炉内を真空排気しつつ550℃まで薄帯状の合金を加熱し、その温度で1時間保持して脱水素処理を行った。崩壊した合金を窒素ガス雰囲気中で機械的に破砕して、32mesh以下の原料粗粉とした。
この原料粗粉の組成を分析したところ、Nd 27.0%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.05%,Nb 0.35%,Al 0.08%,Co 2.5%,Ga 0.09%,Cu 0.08%,O 0.12%,C 0.02%,N 0.008%,残部Feという分析値を得た。
この原料粗粉80kgをジェットミル内に装入した後、ジェットミル内部をN2ガスで置換し、N2ガス中の酸素濃度を実質的に0%(酸素分析計値で0.001vol%)とした。次いで、粉砕圧力7.0kg/cm2、原料粗粉の供給量10kg/Hrの条件で粉砕した。微粉の平均粒度は3.9μmであった。
ジェットミルの微粉回収口には鉱物油(商品名出光スーパーゾルPA-30,出光興産製)を満たした容器を直接設置し、N2ガス雰囲気中で微粉を直接鉱物油中へ回収した。回収後の原料は、鉱物油の量を加減することで微粉の純分が80重量%の原料スラリーとした。この原料スラリーを、金型キャビティ内で12kOeの配向磁界を印加しながら0.8ton/cm2の成形圧で湿式成形した。配向磁界の印加方向は、成形方向と垂直である。また、金型の上パンチには溶媒排出孔を多数設け、成形時には1mmの厚さの布製のフィルタを上パンチ面にあてて使用した。
成形体は、5.0×10-2torrの真空中で200℃×1時間加熱して含有鉱物油を除去し、次いで4.0×10-4torrの条件下で15℃/分の昇温速度で1070℃まで昇温し、その温度で3時間保持して焼結した。
焼結体の組成を分析したところ、Nd 27.0%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.05%,Nb 0.35%,Al 0.08%,Co 2.5%,Ga 0.09%,Cu 0.08%,O 0.16%,C 0.07%,N 0.055 %,残部Feという分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は93%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は4%であった。
この焼結体にArガス雰囲気中で900℃×2時間と480℃×1時間の熱処理を各1回施した。機械加工後磁気特性を測定したところ、表2に示すような良好な値を得た。
この永久磁石の耐蝕性を評価するために、磁石を8mm×8mm×2mmの一定寸法に加工後、その表面に膜厚10μmのNiメッキを施した。次いでこの試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置し、時間の経過に対するNiメッキのハク離程度を調べた。表2に示すように、2500時間を経過してもNiメッキに異常が認められず、良好な耐蝕性を示した。
(実施例2)
重量百分率でNd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0%,Nb 0.5%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.02%,C 0.005%,N 0.003%,残部Feの組成を有する、厚さが0.2〜0.4mmの薄帯状合金を、ストリップキャスト法で作製した。この薄帯状の合金を、Arガス雰囲気中で1100℃で1時間加熱した。次に水素炉を使用し、この薄帯状の合金を常温で水素ガス雰囲気中で水素吸蔵させ、自然崩壊させた。次いで炉内を真空排気しつつ550℃まで薄帯状の合金を加熱し、その温度で1時間保持して脱水素処理を行った。崩壊した合金を窒素ガス雰囲気中で機械的に破砕して、32mesh以下の原料粗粉とした。
この原料粗粉の組成を分析したところ、Nd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0 %,Nb 0.5%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.11%,C 0.02%,N 0.006%,残部Feという分析値を得た。
この原料粗粉100kgをジェットミル内に装入した後、ジェットミル内部をN2ガスで置換し、N2ガス中の酸素濃度を実質的に0%(酸素分析計値で0.002%)とした。次いで、粉砕圧力8.0kg/cm2、原料粗粉の供給量12kg/Hrの条件で粉砕した。微粉の平均粒度は3.8μmであった。
ジェットミルの微粉回収口には鉱物油(商品名出光スーパーゾルPA-30,出光興産製)を満たした容器を直接設置し、N2ガス雰囲気中で微粉を直接鉱物油中へ回収した。回収後の原料は、鉱物油の量を加減することで微粉の純分が77重量%の原料スラリーとした。この原料スラリーを、金型キャビティ内で10kOeの配向磁界を印加しながら1.5ton/cm2の成形圧で湿式成形した。配向磁界の印加方向は、成形方向と垂直である。また、金型の上パンチには溶媒排出孔を多数設け、成形時には1mmの厚さの布製のフィルタを上パンチ面にあてて使用した。
成形体は、5.0×10-2torrの真空中で200℃×2時間加熱して含有鉱物油を除去し、次いで5.0×10-4torrの条件下で15℃/分の昇温速度で1090℃まで昇温し、その温度で3時間保持して焼結した。
焼結体の組成を分析したところ、Nd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0%,Nb 0.5%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.14%,C 0.06%,N 0.040%,残部Feという分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は95%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は3% であった。この焼結体の粒径と面積率との関係を図10に示す。
この焼結体にArガス雰囲気中で900℃×2時間と460℃×1時間の熱処理を各1回施した。機械加工後磁気特性を測定したところ、表2に示すような良好な値を得た。
この永久磁石の耐蝕性を評価するために、磁石を8mm×8mm×2mmの一定寸法に加工後、その表面に膜厚10μmのNiメッキを施した。次いでこの試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置し、時間の経過に対するNiメッキのハク離程度を調べた。表2に示すように、2500時間を経過してもNiメッキに異常が認められず、良好な耐蝕性を示した。
また、図10より、本発明にかかる焼結体は結晶粒径5μmを中心にシャープな粒径分布となっていることがわかる。
重量百分率でNd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0%,Nb 0.5%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.02%,C 0.005%,N 0.003%,残部Feの組成を有する、厚さが0.2〜0.4mmの薄帯状合金を、ストリップキャスト法で作製した。この薄帯状の合金を、Arガス雰囲気中で1100℃で1時間加熱した。次に水素炉を使用し、この薄帯状の合金を常温で水素ガス雰囲気中で水素吸蔵させ、自然崩壊させた。次いで炉内を真空排気しつつ550℃まで薄帯状の合金を加熱し、その温度で1時間保持して脱水素処理を行った。崩壊した合金を窒素ガス雰囲気中で機械的に破砕して、32mesh以下の原料粗粉とした。
この原料粗粉の組成を分析したところ、Nd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0 %,Nb 0.5%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.11%,C 0.02%,N 0.006%,残部Feという分析値を得た。
この原料粗粉100kgをジェットミル内に装入した後、ジェットミル内部をN2ガスで置換し、N2ガス中の酸素濃度を実質的に0%(酸素分析計値で0.002%)とした。次いで、粉砕圧力8.0kg/cm2、原料粗粉の供給量12kg/Hrの条件で粉砕した。微粉の平均粒度は3.8μmであった。
ジェットミルの微粉回収口には鉱物油(商品名出光スーパーゾルPA-30,出光興産製)を満たした容器を直接設置し、N2ガス雰囲気中で微粉を直接鉱物油中へ回収した。回収後の原料は、鉱物油の量を加減することで微粉の純分が77重量%の原料スラリーとした。この原料スラリーを、金型キャビティ内で10kOeの配向磁界を印加しながら1.5ton/cm2の成形圧で湿式成形した。配向磁界の印加方向は、成形方向と垂直である。また、金型の上パンチには溶媒排出孔を多数設け、成形時には1mmの厚さの布製のフィルタを上パンチ面にあてて使用した。
成形体は、5.0×10-2torrの真空中で200℃×2時間加熱して含有鉱物油を除去し、次いで5.0×10-4torrの条件下で15℃/分の昇温速度で1090℃まで昇温し、その温度で3時間保持して焼結した。
焼結体の組成を分析したところ、Nd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0%,Nb 0.5%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.14%,C 0.06%,N 0.040%,残部Feという分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は95%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は3% であった。この焼結体の粒径と面積率との関係を図10に示す。
この焼結体にArガス雰囲気中で900℃×2時間と460℃×1時間の熱処理を各1回施した。機械加工後磁気特性を測定したところ、表2に示すような良好な値を得た。
この永久磁石の耐蝕性を評価するために、磁石を8mm×8mm×2mmの一定寸法に加工後、その表面に膜厚10μmのNiメッキを施した。次いでこの試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置し、時間の経過に対するNiメッキのハク離程度を調べた。表2に示すように、2500時間を経過してもNiメッキに異常が認められず、良好な耐蝕性を示した。
また、図10より、本発明にかかる焼結体は結晶粒径5μmを中心にシャープな粒径分布となっていることがわかる。
(実施例3)
重量百分率でNd 20.7%,Pr 8.6%,Dy 1.2%,B 1.05%,Al 0.08%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.03%,C 0.006%,N 0.004%,残部Feの組成を有する、厚さが0.1〜0.5mmの薄帯状合金を、ストリップキャスト法で作製した。この薄帯状の合金を、Arガス雰囲気中で900℃で3時間加熱した。次に水素炉を使用し、この薄帯状の合金を常温で水素ガス雰囲気中で水素吸蔵させ、自然崩壊させた。次いで炉内を真空排気しつつ550℃まで薄帯状の合金を加熱し、その温度で1時間保持して脱水素処理を行った。崩壊した合金を窒素ガス雰囲気中で機械的に破砕して、32mesh以下の原料粗粉とした。
この原料粗粉の組成を分析したところ、Nd 20.7%,Pr 8.6%,Dy 1.5%,B 1.05%,Al 0.08%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.13%,C 0.03%,N 0.009%,残 部Feという分析値を得た。
この原料粗粉50kgをジェットミル内に装入した後、ジェットミル内部をArガスで置換し、Arガス中の酸素濃度を実質的に0%(酸素分析計値で0.002vol%)とした。次にArガス中のN2ガスの濃度を0.005vol%とした。次いで、粉砕圧力7.5kg/cm2、原料粗粉の供給量8kg/Hrの条件で粉砕した。
ジェットミルの微粉回収口には鉱物油(商品名出光スーパーゾルPA-30,出光興産製)を満たした容器を直接設置し、Arガス雰囲気中で微粉を直接鉱物油中へ回収した。回収後の原料は、鉱物油の量を加減することで微粉の純分が75重量%の原料スラリーとした。なお、微粉の平均粒度は4.0μmであった。この原料スラリーを、金型キャビティ内で13kOeの配向磁界を印加しながら0.6ton/cm2の成形圧で湿式成形した。配向磁界の印加方向は、成形方向と垂直である。また、金型の上パンチには溶媒排出孔を多数設け、成形時には1mmの厚さの布製のフィルタを上パンチ面にあてて使用した。
成形体は、6.0×10-2torrの真空中で180℃×4時間加熱して含有鉱物油を除去し、次いで3.0×10-4torrの条件下で15℃/分の昇温速度で1070℃まで昇温し、その温度で2時間保持して焼結した。
焼結体の組成を分析したところ、Nd 20.7%,Pr 8.6%,Dy 1.2%,B 1.05%,Al 0.08%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.18%,C 0.07%,N 0.075%,残部Feという分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は90%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は5%であった。
この焼結体にArガス雰囲気中で900℃×2時間と510℃×1時間の熱処理を各1回施した。機械加工後磁気特性を測定したところ、表2に示すような良好な値を得た。
この永久磁石の耐蝕性を評価するために、磁石を8mm×8mm×2mmの一定寸法に加工後、その表面に膜厚10μmのNiメッキを施した。次いでこの試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置し、時間の経過に対するNiメッキのハク離程度を調べた。表2に示すように、2500時間を経過してもNiメッキに異常が認められず、良好な耐蝕性を示した。
重量百分率でNd 20.7%,Pr 8.6%,Dy 1.2%,B 1.05%,Al 0.08%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.03%,C 0.006%,N 0.004%,残部Feの組成を有する、厚さが0.1〜0.5mmの薄帯状合金を、ストリップキャスト法で作製した。この薄帯状の合金を、Arガス雰囲気中で900℃で3時間加熱した。次に水素炉を使用し、この薄帯状の合金を常温で水素ガス雰囲気中で水素吸蔵させ、自然崩壊させた。次いで炉内を真空排気しつつ550℃まで薄帯状の合金を加熱し、その温度で1時間保持して脱水素処理を行った。崩壊した合金を窒素ガス雰囲気中で機械的に破砕して、32mesh以下の原料粗粉とした。
この原料粗粉の組成を分析したところ、Nd 20.7%,Pr 8.6%,Dy 1.5%,B 1.05%,Al 0.08%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.13%,C 0.03%,N 0.009%,残 部Feという分析値を得た。
この原料粗粉50kgをジェットミル内に装入した後、ジェットミル内部をArガスで置換し、Arガス中の酸素濃度を実質的に0%(酸素分析計値で0.002vol%)とした。次にArガス中のN2ガスの濃度を0.005vol%とした。次いで、粉砕圧力7.5kg/cm2、原料粗粉の供給量8kg/Hrの条件で粉砕した。
ジェットミルの微粉回収口には鉱物油(商品名出光スーパーゾルPA-30,出光興産製)を満たした容器を直接設置し、Arガス雰囲気中で微粉を直接鉱物油中へ回収した。回収後の原料は、鉱物油の量を加減することで微粉の純分が75重量%の原料スラリーとした。なお、微粉の平均粒度は4.0μmであった。この原料スラリーを、金型キャビティ内で13kOeの配向磁界を印加しながら0.6ton/cm2の成形圧で湿式成形した。配向磁界の印加方向は、成形方向と垂直である。また、金型の上パンチには溶媒排出孔を多数設け、成形時には1mmの厚さの布製のフィルタを上パンチ面にあてて使用した。
成形体は、6.0×10-2torrの真空中で180℃×4時間加熱して含有鉱物油を除去し、次いで3.0×10-4torrの条件下で15℃/分の昇温速度で1070℃まで昇温し、その温度で2時間保持して焼結した。
焼結体の組成を分析したところ、Nd 20.7%,Pr 8.6%,Dy 1.2%,B 1.05%,Al 0.08%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.18%,C 0.07%,N 0.075%,残部Feという分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は90%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は5%であった。
この焼結体にArガス雰囲気中で900℃×2時間と510℃×1時間の熱処理を各1回施した。機械加工後磁気特性を測定したところ、表2に示すような良好な値を得た。
この永久磁石の耐蝕性を評価するために、磁石を8mm×8mm×2mmの一定寸法に加工後、その表面に膜厚10μmのNiメッキを施した。次いでこの試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置し、時間の経過に対するNiメッキのハク離程度を調べた。表2に示すように、2500時間を経過してもNiメッキに異常が認められず、良好な耐蝕性を示した。
(実施例4)
重量百分率でNd 22.0%,Pr 5.0%,Dy 1.5%,B 1.1%,Al 1.0%,Co 2.5%,O 0.02%,C 0.005%,N 0.005%,残部Feの組成を有する、厚さが0.1〜0.4mmの薄帯状合金を、ストリップキャスト法で作製した。この薄帯状の合金を、Arガス雰囲気中で1000℃で2時間加熱した。熱処理後の薄帯状合金を窒素ガス雰囲気中で機械的に破砕して、32mesh以下の原料粗粉とした。
この原料粗粉の組成を分析したところ、Nd 22.0%,Pr 5.0%,Dy 1.5%,B 1.1 %,Al 1.0%,Co 2.5%,O 0.14%,C 0.01%,N 0.009%,残部Feという分析値を得た。この原料粗粉50kgをジェットミル内に装入した後、ジェットミル内部をN2ガスで置換し、N2ガス中の酸素濃度を実質的に0%(酸素分析計値で0.002vol%)とした。次いで、粉砕圧力7.0kg/cm2、原料粗粉の供給量10kg/Hrの条件で粉砕した。微粉の平均粒度は4.2μmであった。
ジェットミルの微粉回収口には鉱物油(商品名出光スーパーゾルPA-30,出光興産製)を満たした容器を直接設置し、N2ガス雰囲気中で微粉を直接鉱物油中へ回収した。回収後の原料は、鉱物油の量を加減することで微粉の純分が78重量%の原料スラリーとした。この原料スラリーを、金型キャビティ内で11kOeの配向磁界を印加しながら0.5ton/cm2の成形圧で湿式成形した。配向磁界の印加方向は、成形方向と垂直である。また金型の上パンチには溶媒排出孔を多数設け、成形時には1mmの厚さの布製のフィルタを上パンチ面にあてて使用した。
成形体は、5.0×10-2torrの真空中で200℃×2時間加熱して含有鉱物油を除去し、次いで2.0×10-4torrの条件下で15℃/分の昇温速度で1080℃まで昇温し、その温度で3時間保持して焼結した。
焼結体の組成を分析したところ、Nd 22.0%,Pr 5.0%,Dy 1.5%,B 1.1%,Al 1.0%,Co 2.5%,O 0.17%,C 0.07%,N 0.060%,残部Feという分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は88%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は7% であった。
この焼結体にArガス雰囲気中で900℃×2時間と600℃×1時間の熱処理を各1回施した。機械加工後磁気特性を測定したところ、表2に示すような良好な値を得た。
この永久磁石の耐蝕性を評価するために、磁石を8mm×8mm×2mmの一定寸法に加工後、その表面に膜厚10μmのNiメッキを施した。次いでこの試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置し、時間の経過に対するNiメッキのハク離程度を調べた。表2に示すように、2000時間を経過してもNiメッキに異常が認められず、良好な耐蝕性を示した。
重量百分率でNd 22.0%,Pr 5.0%,Dy 1.5%,B 1.1%,Al 1.0%,Co 2.5%,O 0.02%,C 0.005%,N 0.005%,残部Feの組成を有する、厚さが0.1〜0.4mmの薄帯状合金を、ストリップキャスト法で作製した。この薄帯状の合金を、Arガス雰囲気中で1000℃で2時間加熱した。熱処理後の薄帯状合金を窒素ガス雰囲気中で機械的に破砕して、32mesh以下の原料粗粉とした。
この原料粗粉の組成を分析したところ、Nd 22.0%,Pr 5.0%,Dy 1.5%,B 1.1 %,Al 1.0%,Co 2.5%,O 0.14%,C 0.01%,N 0.009%,残部Feという分析値を得た。この原料粗粉50kgをジェットミル内に装入した後、ジェットミル内部をN2ガスで置換し、N2ガス中の酸素濃度を実質的に0%(酸素分析計値で0.002vol%)とした。次いで、粉砕圧力7.0kg/cm2、原料粗粉の供給量10kg/Hrの条件で粉砕した。微粉の平均粒度は4.2μmであった。
ジェットミルの微粉回収口には鉱物油(商品名出光スーパーゾルPA-30,出光興産製)を満たした容器を直接設置し、N2ガス雰囲気中で微粉を直接鉱物油中へ回収した。回収後の原料は、鉱物油の量を加減することで微粉の純分が78重量%の原料スラリーとした。この原料スラリーを、金型キャビティ内で11kOeの配向磁界を印加しながら0.5ton/cm2の成形圧で湿式成形した。配向磁界の印加方向は、成形方向と垂直である。また金型の上パンチには溶媒排出孔を多数設け、成形時には1mmの厚さの布製のフィルタを上パンチ面にあてて使用した。
成形体は、5.0×10-2torrの真空中で200℃×2時間加熱して含有鉱物油を除去し、次いで2.0×10-4torrの条件下で15℃/分の昇温速度で1080℃まで昇温し、その温度で3時間保持して焼結した。
焼結体の組成を分析したところ、Nd 22.0%,Pr 5.0%,Dy 1.5%,B 1.1%,Al 1.0%,Co 2.5%,O 0.17%,C 0.07%,N 0.060%,残部Feという分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は88%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は7% であった。
この焼結体にArガス雰囲気中で900℃×2時間と600℃×1時間の熱処理を各1回施した。機械加工後磁気特性を測定したところ、表2に示すような良好な値を得た。
この永久磁石の耐蝕性を評価するために、磁石を8mm×8mm×2mmの一定寸法に加工後、その表面に膜厚10μmのNiメッキを施した。次いでこの試料を2気圧,120℃,湿度100%の条件に放置し、時間の経過に対するNiメッキのハク離程度を調べた。表2に示すように、2000時間を経過してもNiメッキに異常が認められず、良好な耐蝕性を示した。
(比較例1)
実施例1で作製した薄帯状の合金を、熱処理をおこなわずに直接水素炉に入れ、常温で水素ガス雰囲気中で水素吸蔵させ、自然崩壊させた。その後、実施例1と同じ条件で脱水素処理と機械的破砕をおこない、32mesh以下の原料粗粉とした。この原料粗粉の組成を分析したところ、重量百分率でNd 27.0%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.05%,Nb 0.35%,Al 0.08%,Co 2.5%,Ga 0.09%,Cu 0.08%,O 0.10%,C 0.02%,N 0.007%,残部Feという分析値を得た。
この原料粗粉を、実施例1と同一の条件で微粉砕した。得られた微粉の平均粒度は4.4μmと、実施例1の場合に比べて粗かった。
微粉の回収、原料スラリーの作製、湿式成形、脱鉱物油と焼結、熱処理、耐蝕性の評価などの以降の工程も、実施例1と同一の条件でおこなった。焼結体の組成を分析したところ、Nd 27.0%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.05%,Nb 0.35%,Al 0.08%,Co 2.5%,Ga 0.09%,Cu 0.08%,O 0.14%,C 0.06%,N 0.045%,残部Feという分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は78%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は12%であった。
この永久磁石の磁気特性を評価したところ、表2に示すように、実施例1の値に比べてBr,iHc共若干低い値であった。また、この永久磁石の耐蝕性は、表2に示すように1200時間を経過してもNiメッキに異常が認められず実用上全く問題ない水準にあることがわかったが、2000時間の経過でNiメッキのわずかなハク離が発生し、実施例1で製造した焼結体との比較では耐蝕性に劣ることが判明した。
実施例1で作製した薄帯状の合金を、熱処理をおこなわずに直接水素炉に入れ、常温で水素ガス雰囲気中で水素吸蔵させ、自然崩壊させた。その後、実施例1と同じ条件で脱水素処理と機械的破砕をおこない、32mesh以下の原料粗粉とした。この原料粗粉の組成を分析したところ、重量百分率でNd 27.0%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.05%,Nb 0.35%,Al 0.08%,Co 2.5%,Ga 0.09%,Cu 0.08%,O 0.10%,C 0.02%,N 0.007%,残部Feという分析値を得た。
この原料粗粉を、実施例1と同一の条件で微粉砕した。得られた微粉の平均粒度は4.4μmと、実施例1の場合に比べて粗かった。
微粉の回収、原料スラリーの作製、湿式成形、脱鉱物油と焼結、熱処理、耐蝕性の評価などの以降の工程も、実施例1と同一の条件でおこなった。焼結体の組成を分析したところ、Nd 27.0%,Pr 0.5%,Dy 1.5%,B 1.05%,Nb 0.35%,Al 0.08%,Co 2.5%,Ga 0.09%,Cu 0.08%,O 0.14%,C 0.06%,N 0.045%,残部Feという分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は78%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は12%であった。
この永久磁石の磁気特性を評価したところ、表2に示すように、実施例1の値に比べてBr,iHc共若干低い値であった。また、この永久磁石の耐蝕性は、表2に示すように1200時間を経過してもNiメッキに異常が認められず実用上全く問題ない水準にあることがわかったが、2000時間の経過でNiメッキのわずかなハク離が発生し、実施例1で製造した焼結体との比較では耐蝕性に劣ることが判明した。
(比較例2)
実施例2と同一の組成を有するR-Fe-B系合金インゴットを作製した。この合金の組成分析値は重量百分比率でNd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0%,Nb 0.5%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.01%,C 0.004%,N 0.002%,残部Feであった。合金の組織中にα-Feの析出が認められたため、これを消去するため、合金インゴットにアルゴンガス雰囲気中で1100℃×6時間の液体化処理を施した。次に合金インゴットを水素炉中に入れ、常温で水素吸蔵させて自然崩壊させた。自然崩壊後の合金に、実施例2と同一の条件で脱水素処理と機械的破砕とを行い、32mesh以下の原料粗粉とした。
この原料粗粉の組成を分析したところ、重量百分率でNd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0%,Nb 0.5%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.10%,C 0.02%,N 0.005%,残部Feという分析値を得た。
この原料粗粉を、実施例2と同一の条件で微粉砕した。得られた微粉の平均粒度は4.7μmと、実施例1の場合に比べて粗かった。
微粉の回収、原料スラリーの作製、湿式成形、脱鉱物油と焼結、熱処理、耐蝕性の評価などの以降の工程も、実施例2と同一の条件でおこなった。焼結体の組成を分析したところ、Nd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0%,Nb 0.5%,Al 0.2 %,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.12%,C 0.06%,N 0.030%,残部Feという 分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は61%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は22%であった。この焼結体の粒径と面積率との関係を図11に示す。
この永久磁石の磁気特性を評価したところ、表2に示すように、実施例2の値とほぼ同等の良好な値であった。また、この永久磁石の耐蝕性は、表2に示すように1000時間を経過してもNiメッキに異常が認められず実用上全く問題ない水準にあることがわかったが、1900時間の経過でNiメッキの一部にわずかなハク離が発生し、実施例2で製造した永久磁石との比較では耐蝕性に劣ることが判明した。また、図11より、比較例2の焼結体は結晶粒径8μmを中心にブロードな粒径分布となっており、実施例2の焼結体の粒径分布である図10と比較すると13μm以上の結晶粒径の面積率が多いことがわかる。
実施例2と同一の組成を有するR-Fe-B系合金インゴットを作製した。この合金の組成分析値は重量百分比率でNd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0%,Nb 0.5%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.01%,C 0.004%,N 0.002%,残部Feであった。合金の組織中にα-Feの析出が認められたため、これを消去するため、合金インゴットにアルゴンガス雰囲気中で1100℃×6時間の液体化処理を施した。次に合金インゴットを水素炉中に入れ、常温で水素吸蔵させて自然崩壊させた。自然崩壊後の合金に、実施例2と同一の条件で脱水素処理と機械的破砕とを行い、32mesh以下の原料粗粉とした。
この原料粗粉の組成を分析したところ、重量百分率でNd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0%,Nb 0.5%,Al 0.2%,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.10%,C 0.02%,N 0.005%,残部Feという分析値を得た。
この原料粗粉を、実施例2と同一の条件で微粉砕した。得られた微粉の平均粒度は4.7μmと、実施例1の場合に比べて粗かった。
微粉の回収、原料スラリーの作製、湿式成形、脱鉱物油と焼結、熱処理、耐蝕性の評価などの以降の工程も、実施例2と同一の条件でおこなった。焼結体の組成を分析したところ、Nd 22.3%,Pr 2.0%,Dy 5.5%,B 1.0%,Nb 0.5%,Al 0.2 %,Co 2.0%,Ga 0.09%,Cu 0.1%,O 0.12%,C 0.06%,N 0.030%,残部Feという 分析値を得た。
この焼結体の、磁石主相結晶の総面積に対する、結晶粒径が10μm以下の主相結晶粒の面積の和は61%、結晶粒径が13μm以上の主相結晶粒の面積の和は22%であった。この焼結体の粒径と面積率との関係を図11に示す。
この永久磁石の磁気特性を評価したところ、表2に示すように、実施例2の値とほぼ同等の良好な値であった。また、この永久磁石の耐蝕性は、表2に示すように1000時間を経過してもNiメッキに異常が認められず実用上全く問題ない水準にあることがわかったが、1900時間の経過でNiメッキの一部にわずかなハク離が発生し、実施例2で製造した永久磁石との比較では耐蝕性に劣ることが判明した。また、図11より、比較例2の焼結体は結晶粒径8μmを中心にブロードな粒径分布となっており、実施例2の焼結体の粒径分布である図10と比較すると13μm以上の結晶粒径の面積率が多いことがわかる。
Claims (2)
- ストリップキャスト法により急冷鋳造して得られたR-Fe-B系(RはYを含む希土類元素のうちの1種又は2種以上)急冷鋳造合金を不活性ガス雰囲気中又は実質的な真空中で800〜1100℃で熱処理し、得られた熱処理後のR-Fe-B系急冷鋳造合金に水素吸蔵処理および脱水素処理を施し、粉砕することを特徴とするR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法。
- ジェットミル内部をArガスとN2ガスとの混合ガス雰囲気(この混合ガス雰囲気中のN2ガス濃度は0.0001〜0.1vol%であり、酸素濃度は実質的に0%である)とした状態でR-Fe-B系(RはYを含む希土類元素のうちの1種又は2種以上)焼結型永久磁石用合金を該ジェットミルにより粉砕することを特徴とするR-Fe-B系焼結型永久磁石用合金粉末の製造方法。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060713 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061124 |