JP2004284841A - 人工焼成骨材の製造方法および人工焼成骨材 - Google Patents
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Abstract
【課題】石炭灰を主原料とする人工焼成骨材の製造において、ごみ焼却飛灰を原料の一部として混合し、その有効活用を図りながら、造粒物の強度を確保し,製造した人工焼成骨材等からの重金属等の有害物質の溶出を抑制する人工焼成骨材の製造方法及び該製造方法にて製造された人工焼成骨材を提供すること。
【解決手段】石炭灰とごみ焼却飛灰を原料とする人工焼成骨材の製造において、さらにセメントを原料の一部として配合し、水を混合して造粒し、焼成することを特徴とする人工焼成骨材の製造方法及び該製造方法で製造された吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上であることを特徴とする人工焼成骨材である。
【選択図】 なし
【解決手段】石炭灰とごみ焼却飛灰を原料とする人工焼成骨材の製造において、さらにセメントを原料の一部として配合し、水を混合して造粒し、焼成することを特徴とする人工焼成骨材の製造方法及び該製造方法で製造された吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上であることを特徴とする人工焼成骨材である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、人工焼成骨材の製造方法および該製造方法により製造された人工焼成骨材に関し、詳しくは、石炭灰及びごみ焼却飛灰にさらにセメントを配合した混合原料を用いた人工焼成骨材の製造方法および該製造方法により製造された人工焼成骨材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、石炭を燃料とする火力発電所が増加し、ボイラー等から産業廃棄物として排出される石炭灰の処理が問題となって来ている。しかしながら、今後も石炭は発電用エネルギー源として重要であり続けることは間違いない。そこで石炭灰の有効活用が求められており、その一方法として、石炭灰に他の成分を加えた後、造粒、焼成し、人工焼成骨材とする技術が実用化されている。また、都市ごみの焼却飛灰も、最終処分場の確保難等により、その有効活用の途が求められていた。
【0003】
前記のような問題に対し、特許文献1では、石炭灰を用いて人工軽量骨材を製造する方法において、ごみ焼却飛灰を原料の一部として粘結剤等と共に混合し、融点降下剤として用いる技術が開示されている。この方法によれば、石炭灰、ごみ焼却飛灰双方を有効活用し、リサイクル使用することが実現できるばかりでなく、ごみ焼却飛灰を含む混合原料の焼成により、高融点の石炭灰の融点を降下させての焼成が可能となり、骨材の品質向上等にも効果のある方法であった。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−119050号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、石炭灰を主原料とする人工焼成骨材の製造において、ごみ焼却飛灰を原料の一部として混合する方法は融点降下剤として大きな効果をもたらすものであるが、一方では、ごみ焼却飛灰はその形状のばらつきが大きいことから、例え造粒補助のために粘結剤を配合しても、これらを含む造粒物の強度、例えばすりへり強度や圧壊強度が低下してしまうという欠点があった。造粒物の強度が低下すると、焼成工程において造粒物から剥離した粒子に由来するダストの発生量が増加し焼成物の収率が低下する。また個々の造粒物の一体性がそこなわれるため造粒物表面にクラックや空隙等の欠陥が生じ、焼成後の人工焼成骨材にもそれら欠陥が残存してしまう等の不都合が発生する。このような現象が発生した場合、そもそもごみ焼却飛灰には重金属等の有害物資を多く含有するケースが多いため、発生した該ダストや人工焼成骨材自体からの重金属等の溶出量が増加し,該ダストの処理法や、人工焼成骨材の使用法如何では、環境に悪影響を与える可能性があることが大きな問題であった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、石炭灰を主原料とする人工焼成骨材の製造において、ごみ焼却飛灰を原料の一部として混合し、その有効活用を図りながら、造粒物の強度を確保し,製造した人工焼成骨材等からの重金属等の有害物質の溶出を抑制する人工焼成骨材の製造方法及び該製造方法にて製造された人工焼成骨材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、人工焼成骨材の原料として、石炭灰、ごみ焼却飛灰とともに、さらにセメントを原料の一部として加えることにより、造粒物の強度を確保することが可能で、延いては焼成工程でのダスト発生を抑制すること及び製造した人工焼成骨材からの重金属等の有害物質の溶出を抑制することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、石炭灰、ごみ焼却飛灰、セメント及び水を混合して造粒し、焼成することを特徴とする人工焼成骨材の製造方法である。さらに、該製造方法で製造され、吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上であることを特徴とする人工焼成骨材である。
【0009】
セメントを原料の一部として混合することにより、ごみ焼却飛灰配合の悪影響である造粒物の強度低下が解消され、焼成工程におけるダストの発生が抑制されるとともに、造粒物表面に欠陥が生じにくいため、製造された人工焼成骨材の性状をも改善することができ吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上の骨材を得ることができる。さらに、人工焼成骨材からの重金属等の有害物質の溶出も抑制することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明に使用される石炭灰は、石炭火力発電所から排出され電気集塵機等の集塵装置で回収されるフライアッシュや、加圧流動床ボイラ灰等を用いることができる。これらの石炭灰を、粉砕や分級等の粒度調整を行ってから用いる場合もあるが、通常は原粉のまま使用することができる。本発明ではこの石炭灰を人工焼成骨材の主原料とし、石炭灰、ごみ焼却飛灰及びセメントの合量の50質量%以上配合する。
【0011】
ごみ焼却飛灰は、都市ごみ焼却工場のストーカー式炉、流動床炉、ロータリーキルン等から発生し、電気集塵機、バグフィルタ等の集塵機で回収された都市ごみ焼却飛灰や、都市ごみ溶融炉で発生する溶融飛灰等を用いることができる。
ごみ焼却飛灰は、その処理という観点からは多く配合した方が望ましいが、製造する人工焼成骨材の性状を確保するためには、石炭灰、ごみ焼却飛灰及びセメントの合量の3〜30質量%の配合が好ましい。
【0012】
セメントは、原料の造粒時に固化材として作用し造粒物の強度を確保させるもので、種類は通常の強度発現性を持っているものであれば、使用することができる。例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメント、アルミナセメント等を用いることができるが、造粒後早期に強度を発現させるためには早強ポルトランドセメント、アルミナセメントの使用が好ましい。
【0013】
セメントの配合割合は、石炭灰、ごみ焼却飛灰及びセメントの合量の5〜30質量%が好ましい。5質量%以下では造粒物の強度確保が困難であり、ダスト発生抑制や造粒物表面の欠陥防止に寄与できない。また30質量%以上では、造粒物の性状の大幅な改善はもはや認められず、一方石炭灰、ごみ焼却飛灰の処理量が低下することになるので、これらの有効活用という観点から好ましくない。
【0014】
この他に、造粒性を上げるための粘結剤として、粘土質無機物質であるカオリンやベントナイト、パルプ製造時に廃液に含まれるリグニンなどを添加してもよい。配合割合は造粒の補助となる程度で良く、石炭灰、ごみ焼却飛灰及びセメントの合量の5質量%以下が好ましい。
【0015】
水の添加量は、造粒物の強度、成形性の良否等を勘案して決定するが、粉粒体原料全体に対し概ね10〜50質量%の範囲である。
【0016】
本発明に係る人工焼成骨材の製造方法の、一つの実施形態としては、上記の粉粒体原料を混合し、加水して造粒した後に焼成する。混合、造粒及び焼成方法は、汎用の技術を用いることができる。
【0017】
例えば混合方法としては、上記粉粒体原料をできるだけ均一に混合できる方法であれば、任意の方法を採用可能で、例示すれば、容器回転式混合機、機械撹拌式混合機又は気流式混合機等を用いて混合を行うことができる。
【0018】
造粒方法としては、焼成時に崩壊などを生じない強固な造粒体を効率的に形成可能な方法であれば、任意の方法を採用可能で、例示すれば、パン型ペレタイザを使用した転動造粒、加圧成形機を使用したプレス造粒又はヘンシェルミキサー等を使用した撹拌造粒などが挙げられる。
【0019】
焼成では、回転窯を使用すると大量製造が可能となるので好ましい。焼成温度は1,100乃至1,400℃、好ましくは1,200乃至1,350℃である。1,100以下では十分な焼結反応が進まないため高強度化がかなわず、1,400℃以上では高温で成形物が軟化して回転窯内に融着するなど、安定運転を妨げる恐れがある。
【0020】
焼成中に回転窯内で発生するダストは電気集塵機などで回収される。このダストには重金属などの有害物質が含まれる可能性があるため、処理にあたって十分に注意を払う必要がある。しかし、本発明の製造方法では、セメントを原料に添加することで、造粒物のすりへり強度が格段に向上しているので、焼成中のダスト発生量はごく少量に留まる。結果として処理費用を大幅に削減可能で、製造コスト上非常に有利となる。
【0021】
このように製造された人工焼成骨材は、絶乾密度が1.5〜2.0g/cm3かつ吸水率が2%以下であって、圧壊強度が1.5kN以上のものが得られる。絶乾密度はJIS A5002に規定される構造用人工軽量骨材H品に相当するものであるが、吸水率は極めて低いレベルであり、天然骨材と同程度である。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
石炭火力発電所の電気集塵機で回収された石炭灰、都市ごみ焼却工場のストーカー式炉に併設されたバグフィルタで捕集されたごみ焼却飛灰及び普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)に、更に水準によっては造粒補助のための粘結剤としてベントナイト(豊順鉱業社製:商品名「榛名」)を内割りで5質量%添加し、エアーブレンダで混合して各実施例水準の混合原料とした。これに加水し、パンペレタイザーで粒径10〜20mmに造粒した後、ロータリーキルン(φ1.2m×20mL)を用いて1,250℃で1時間焼成し焼成物を得た。比較例においても、セメントを配合しない他は実施例と同様の方法で焼成物を得た。
【0024】
各試験例水準の原料配合割合、焼成物の物性を表1に示す。また、造粒物の圧壊強度及び有害物質の溶出試験結果を表2に示す。さらに表3にはロータリーキルンでの焼成による焼成物の収率及び焼成物からの有害物質の溶出試験結果を示す。
【0025】
各物性の試験方法は以下の通りである。
焼成物の物性
・絶乾密度:JIS A1135に順じた方法による。
・吸水率 :JIS A1135に順じた方法による。
・圧壊強度:JIS Z8841に順じた方法による。
【0026】
造粒物の物性:造粒物の物性の測定は、ロータリーキルンでの焼成途上の状況を想定しパンペレタイザーでの造粒後、常温で6時間養生し、さらに600℃で1時間加熱した試料について行った。
・すりへり強度:JIS Z8841に準じた以下の方法による。
造粒物をリフター(10×4×200mm)を内蔵したドラム(φ210×200mm)内に送入し、40rpmで10分間転動後、所定の網篩で篩い分け、篩上残分の質量を測定し、以下の算出式で求めた。
〔すりへり強度(%)〕=〔試験前の試料質量(g)〕÷〔試験終了後の篩上残分質量(g)〕×100
・圧壊強度 :JIS Z8841に準じた方法による。なお、圧壊強度は実測値を直径13mmに換算して記載している。換算式は以下のとおりである。
〔13mm換算値(N)〕=〔圧壊強度実測値(N)〕×[13(mm)÷〔実測した骨材径(mm)〕1.37
ここで骨材の粒径を13mmに換算するのは、同一粒径での数値比較を目的としたものであって、和泉等の報告*を参考にした(*和泉一志、南部正光、成島良輔、吉川知久、大神剛章 (1996.)”人工骨材の強度評価方法の検討”,秩父小野田研究報告 第47巻 第2冊 第131号)。
【0027】
造粒物及び焼成物の有害物質溶出量は、以下の方法で測定した。
・溶出特性:環境庁告示第46号(土壌の汚染に係る環境基準について)
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
表1に示された結果より、原料にセメントを配合した実施例1〜5では、吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上の焼成物が得られることがわかる。これに対し、セメントを配合しない比較例1〜5では、吸水率が2.0%以下、圧壊強度が1.5kN以上の2条件を両立することができなかった。
【0032】
表2に示された結果より、原料にセメントを配合した実施例3では、造粒物のすりへり強度、圧壊強度ともに良好な値を示すのに対し、セメントを配合しない比較例3では、これらの強度が大幅に低下することがわかる。
【0033】
表2及び表3に示された結果より、原料にセメントを配合した実施例3では、造粒物及び焼成物共に、有害物質の溶出量は全く問題がないのに対し、原料にセメントを配合しない比較例3では、6価クロムの溶出値が高く、有害物質の溶出が十分抑制されていないことがわかる。
【0034】
また、表3に示された結果より、原料にセメントを配合した実施例3では、焼成物収率が90%にも達したのに対し、原料にセメントを配合しない比較例3では55%にとどまった。
【0035】
【発明の効果】
石炭灰とごみ焼却飛灰を原料とする人工焼成骨材の製造において、さらにセメントを原料の一部として配合することにより、ごみ焼却飛灰配合の悪影響である造粒物の強度低下が解消され、焼成工程におけるダストの発生を抑制し収率が向上するとともに、製造された人工焼成骨材の性状をも改善することができ、吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上の骨材を得ることができる。さらに、人工焼成骨材からの重金属等の有害物質の溶出も抑制することが可能となる。
【発明の属する利用分野】
本発明は、人工焼成骨材の製造方法および該製造方法により製造された人工焼成骨材に関し、詳しくは、石炭灰及びごみ焼却飛灰にさらにセメントを配合した混合原料を用いた人工焼成骨材の製造方法および該製造方法により製造された人工焼成骨材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、石炭を燃料とする火力発電所が増加し、ボイラー等から産業廃棄物として排出される石炭灰の処理が問題となって来ている。しかしながら、今後も石炭は発電用エネルギー源として重要であり続けることは間違いない。そこで石炭灰の有効活用が求められており、その一方法として、石炭灰に他の成分を加えた後、造粒、焼成し、人工焼成骨材とする技術が実用化されている。また、都市ごみの焼却飛灰も、最終処分場の確保難等により、その有効活用の途が求められていた。
【0003】
前記のような問題に対し、特許文献1では、石炭灰を用いて人工軽量骨材を製造する方法において、ごみ焼却飛灰を原料の一部として粘結剤等と共に混合し、融点降下剤として用いる技術が開示されている。この方法によれば、石炭灰、ごみ焼却飛灰双方を有効活用し、リサイクル使用することが実現できるばかりでなく、ごみ焼却飛灰を含む混合原料の焼成により、高融点の石炭灰の融点を降下させての焼成が可能となり、骨材の品質向上等にも効果のある方法であった。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−119050号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、石炭灰を主原料とする人工焼成骨材の製造において、ごみ焼却飛灰を原料の一部として混合する方法は融点降下剤として大きな効果をもたらすものであるが、一方では、ごみ焼却飛灰はその形状のばらつきが大きいことから、例え造粒補助のために粘結剤を配合しても、これらを含む造粒物の強度、例えばすりへり強度や圧壊強度が低下してしまうという欠点があった。造粒物の強度が低下すると、焼成工程において造粒物から剥離した粒子に由来するダストの発生量が増加し焼成物の収率が低下する。また個々の造粒物の一体性がそこなわれるため造粒物表面にクラックや空隙等の欠陥が生じ、焼成後の人工焼成骨材にもそれら欠陥が残存してしまう等の不都合が発生する。このような現象が発生した場合、そもそもごみ焼却飛灰には重金属等の有害物資を多く含有するケースが多いため、発生した該ダストや人工焼成骨材自体からの重金属等の溶出量が増加し,該ダストの処理法や、人工焼成骨材の使用法如何では、環境に悪影響を与える可能性があることが大きな問題であった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、石炭灰を主原料とする人工焼成骨材の製造において、ごみ焼却飛灰を原料の一部として混合し、その有効活用を図りながら、造粒物の強度を確保し,製造した人工焼成骨材等からの重金属等の有害物質の溶出を抑制する人工焼成骨材の製造方法及び該製造方法にて製造された人工焼成骨材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、人工焼成骨材の原料として、石炭灰、ごみ焼却飛灰とともに、さらにセメントを原料の一部として加えることにより、造粒物の強度を確保することが可能で、延いては焼成工程でのダスト発生を抑制すること及び製造した人工焼成骨材からの重金属等の有害物質の溶出を抑制することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、石炭灰、ごみ焼却飛灰、セメント及び水を混合して造粒し、焼成することを特徴とする人工焼成骨材の製造方法である。さらに、該製造方法で製造され、吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上であることを特徴とする人工焼成骨材である。
【0009】
セメントを原料の一部として混合することにより、ごみ焼却飛灰配合の悪影響である造粒物の強度低下が解消され、焼成工程におけるダストの発生が抑制されるとともに、造粒物表面に欠陥が生じにくいため、製造された人工焼成骨材の性状をも改善することができ吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上の骨材を得ることができる。さらに、人工焼成骨材からの重金属等の有害物質の溶出も抑制することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明に使用される石炭灰は、石炭火力発電所から排出され電気集塵機等の集塵装置で回収されるフライアッシュや、加圧流動床ボイラ灰等を用いることができる。これらの石炭灰を、粉砕や分級等の粒度調整を行ってから用いる場合もあるが、通常は原粉のまま使用することができる。本発明ではこの石炭灰を人工焼成骨材の主原料とし、石炭灰、ごみ焼却飛灰及びセメントの合量の50質量%以上配合する。
【0011】
ごみ焼却飛灰は、都市ごみ焼却工場のストーカー式炉、流動床炉、ロータリーキルン等から発生し、電気集塵機、バグフィルタ等の集塵機で回収された都市ごみ焼却飛灰や、都市ごみ溶融炉で発生する溶融飛灰等を用いることができる。
ごみ焼却飛灰は、その処理という観点からは多く配合した方が望ましいが、製造する人工焼成骨材の性状を確保するためには、石炭灰、ごみ焼却飛灰及びセメントの合量の3〜30質量%の配合が好ましい。
【0012】
セメントは、原料の造粒時に固化材として作用し造粒物の強度を確保させるもので、種類は通常の強度発現性を持っているものであれば、使用することができる。例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメント、アルミナセメント等を用いることができるが、造粒後早期に強度を発現させるためには早強ポルトランドセメント、アルミナセメントの使用が好ましい。
【0013】
セメントの配合割合は、石炭灰、ごみ焼却飛灰及びセメントの合量の5〜30質量%が好ましい。5質量%以下では造粒物の強度確保が困難であり、ダスト発生抑制や造粒物表面の欠陥防止に寄与できない。また30質量%以上では、造粒物の性状の大幅な改善はもはや認められず、一方石炭灰、ごみ焼却飛灰の処理量が低下することになるので、これらの有効活用という観点から好ましくない。
【0014】
この他に、造粒性を上げるための粘結剤として、粘土質無機物質であるカオリンやベントナイト、パルプ製造時に廃液に含まれるリグニンなどを添加してもよい。配合割合は造粒の補助となる程度で良く、石炭灰、ごみ焼却飛灰及びセメントの合量の5質量%以下が好ましい。
【0015】
水の添加量は、造粒物の強度、成形性の良否等を勘案して決定するが、粉粒体原料全体に対し概ね10〜50質量%の範囲である。
【0016】
本発明に係る人工焼成骨材の製造方法の、一つの実施形態としては、上記の粉粒体原料を混合し、加水して造粒した後に焼成する。混合、造粒及び焼成方法は、汎用の技術を用いることができる。
【0017】
例えば混合方法としては、上記粉粒体原料をできるだけ均一に混合できる方法であれば、任意の方法を採用可能で、例示すれば、容器回転式混合機、機械撹拌式混合機又は気流式混合機等を用いて混合を行うことができる。
【0018】
造粒方法としては、焼成時に崩壊などを生じない強固な造粒体を効率的に形成可能な方法であれば、任意の方法を採用可能で、例示すれば、パン型ペレタイザを使用した転動造粒、加圧成形機を使用したプレス造粒又はヘンシェルミキサー等を使用した撹拌造粒などが挙げられる。
【0019】
焼成では、回転窯を使用すると大量製造が可能となるので好ましい。焼成温度は1,100乃至1,400℃、好ましくは1,200乃至1,350℃である。1,100以下では十分な焼結反応が進まないため高強度化がかなわず、1,400℃以上では高温で成形物が軟化して回転窯内に融着するなど、安定運転を妨げる恐れがある。
【0020】
焼成中に回転窯内で発生するダストは電気集塵機などで回収される。このダストには重金属などの有害物質が含まれる可能性があるため、処理にあたって十分に注意を払う必要がある。しかし、本発明の製造方法では、セメントを原料に添加することで、造粒物のすりへり強度が格段に向上しているので、焼成中のダスト発生量はごく少量に留まる。結果として処理費用を大幅に削減可能で、製造コスト上非常に有利となる。
【0021】
このように製造された人工焼成骨材は、絶乾密度が1.5〜2.0g/cm3かつ吸水率が2%以下であって、圧壊強度が1.5kN以上のものが得られる。絶乾密度はJIS A5002に規定される構造用人工軽量骨材H品に相当するものであるが、吸水率は極めて低いレベルであり、天然骨材と同程度である。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
石炭火力発電所の電気集塵機で回収された石炭灰、都市ごみ焼却工場のストーカー式炉に併設されたバグフィルタで捕集されたごみ焼却飛灰及び普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)に、更に水準によっては造粒補助のための粘結剤としてベントナイト(豊順鉱業社製:商品名「榛名」)を内割りで5質量%添加し、エアーブレンダで混合して各実施例水準の混合原料とした。これに加水し、パンペレタイザーで粒径10〜20mmに造粒した後、ロータリーキルン(φ1.2m×20mL)を用いて1,250℃で1時間焼成し焼成物を得た。比較例においても、セメントを配合しない他は実施例と同様の方法で焼成物を得た。
【0024】
各試験例水準の原料配合割合、焼成物の物性を表1に示す。また、造粒物の圧壊強度及び有害物質の溶出試験結果を表2に示す。さらに表3にはロータリーキルンでの焼成による焼成物の収率及び焼成物からの有害物質の溶出試験結果を示す。
【0025】
各物性の試験方法は以下の通りである。
焼成物の物性
・絶乾密度:JIS A1135に順じた方法による。
・吸水率 :JIS A1135に順じた方法による。
・圧壊強度:JIS Z8841に順じた方法による。
【0026】
造粒物の物性:造粒物の物性の測定は、ロータリーキルンでの焼成途上の状況を想定しパンペレタイザーでの造粒後、常温で6時間養生し、さらに600℃で1時間加熱した試料について行った。
・すりへり強度:JIS Z8841に準じた以下の方法による。
造粒物をリフター(10×4×200mm)を内蔵したドラム(φ210×200mm)内に送入し、40rpmで10分間転動後、所定の網篩で篩い分け、篩上残分の質量を測定し、以下の算出式で求めた。
〔すりへり強度(%)〕=〔試験前の試料質量(g)〕÷〔試験終了後の篩上残分質量(g)〕×100
・圧壊強度 :JIS Z8841に準じた方法による。なお、圧壊強度は実測値を直径13mmに換算して記載している。換算式は以下のとおりである。
〔13mm換算値(N)〕=〔圧壊強度実測値(N)〕×[13(mm)÷〔実測した骨材径(mm)〕1.37
ここで骨材の粒径を13mmに換算するのは、同一粒径での数値比較を目的としたものであって、和泉等の報告*を参考にした(*和泉一志、南部正光、成島良輔、吉川知久、大神剛章 (1996.)”人工骨材の強度評価方法の検討”,秩父小野田研究報告 第47巻 第2冊 第131号)。
【0027】
造粒物及び焼成物の有害物質溶出量は、以下の方法で測定した。
・溶出特性:環境庁告示第46号(土壌の汚染に係る環境基準について)
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
表1に示された結果より、原料にセメントを配合した実施例1〜5では、吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上の焼成物が得られることがわかる。これに対し、セメントを配合しない比較例1〜5では、吸水率が2.0%以下、圧壊強度が1.5kN以上の2条件を両立することができなかった。
【0032】
表2に示された結果より、原料にセメントを配合した実施例3では、造粒物のすりへり強度、圧壊強度ともに良好な値を示すのに対し、セメントを配合しない比較例3では、これらの強度が大幅に低下することがわかる。
【0033】
表2及び表3に示された結果より、原料にセメントを配合した実施例3では、造粒物及び焼成物共に、有害物質の溶出量は全く問題がないのに対し、原料にセメントを配合しない比較例3では、6価クロムの溶出値が高く、有害物質の溶出が十分抑制されていないことがわかる。
【0034】
また、表3に示された結果より、原料にセメントを配合した実施例3では、焼成物収率が90%にも達したのに対し、原料にセメントを配合しない比較例3では55%にとどまった。
【0035】
【発明の効果】
石炭灰とごみ焼却飛灰を原料とする人工焼成骨材の製造において、さらにセメントを原料の一部として配合することにより、ごみ焼却飛灰配合の悪影響である造粒物の強度低下が解消され、焼成工程におけるダストの発生を抑制し収率が向上するとともに、製造された人工焼成骨材の性状をも改善することができ、吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上の骨材を得ることができる。さらに、人工焼成骨材からの重金属等の有害物質の溶出も抑制することが可能となる。
Claims (2)
- 石炭灰、ごみ焼却飛灰、セメント及び水を混合して造粒し、焼成することを特徴とする人工焼成骨材の製造方法。
- 請求項1の製造方法で製造され、吸水率が2.0%以下でかつ圧壊強度が1.5kN以上であることを特徴とする人工焼成骨材。
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