JP2004284252A - ノズルプレートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線波長レーザによりノズルプレート原板にインク吐出ノズルを十分な寸法精度で形成し、かつインク吐出ノズル形成時におけるノズルプレート原板への溶融異物の付着を防止する。
【解決手段】ノズルプレート原板36に、撥油・撥水層42とは反対側の表面からエキシマレーザLを照射し、エキシマレーザLにより樹脂基板40及びドライフィルム38をそれぞれアブレーション加工して、ノズルプレート原板36にインク吐出ノズル46を形成してノズルプレート34を製造する。これにより、樹脂基板40には、インク吐出ノズル46の形状に対応する穴部44を、エキシマレーザLにより精度良く形成できると共に、撥油・撥水層42には、インク吐出ノズル46の形状に対応する穴部44を、エキシマレーザLによりアブレーション加工された樹脂基板40及びドライフィルム38から分解、飛散する分子及び原子により精度良く形成できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録ヘッドに用いられるノズルプレートの製造方法の係り、特に、樹脂基板上に撥油・撥水層が形成されたノズルプレート原板に紫外線波長レーザを用いてインク吐出ノズルを形成するノズルプレートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録ヘッドに用いられるノズルプレートは、プレート状とされたポリイミド基板の片側の表面に撥水層を形成したノズルプレート原板にエキシマレーザによりインク吐出ノズルを形成する工程(ノズル加工工程)を経て製造される。このようなインク吐出ノズルの加工方法としては、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。
【0003】
上記特許文献1に示されたインク吐出ノズルの加工方法は、片側の面に撥油・撥水膜が塗布されたノズル用シートを、撥油・撥水膜を下にして支持用シート上に載置した後、この支持用シートに穿設された穴を通して供給される負圧により撥油・撥水膜を支持用シート上に吸着(真空吸着)しつつ、エキシマレーザビームをノズル用シートに撥油・撥水膜とは反対側から照射することで、エキシマレーザによりノズル用シートにインク吐出ノズルを形成する。ここで、ノズル用シートの基板及び支持用シートは、エキシマレーザを吸収するポリイミドの素材として成形され、撥油・撥水膜は、エキシマレーザを透過するフッ素系ポリマー又はシリコン系ポリマーがノズル用シートの基板上に塗布されて形成されている。
【0004】
従って、特許文献1のインク吐出ノズルの加工方法によれば、撥油・撥水膜がエキシマレーザの透過性材料で形成されていても、エキシマレーザによりノズル用プレート及び支持用プレートをアブレーション加工する際に、ノズル用プレートの基板と支持用シートとの間に挟まれた撥水・撥油性膜を基板及び支持用シートから分解、飛散する分子、原子により精度良く撥油・撥水膜にインク吐出ノズルの形状に対応する開口を形成できる。
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載されたインク吐出ノズルの形成方法では、ノズル用シートを負圧により支持用シート上に吸着しているに過ぎないので、ノズル用シートの撥油・撥水膜と支持用シートとの密着が不完全になって微小な隙間が生じ易い。このように、撥油・撥水膜とノズル用シートとの間に隙間が生じたまま、エキシマレーザによりノズル用シート及び支持用シートをアブレーション加工すると、ノズル用シートの撥油・撥水膜側の端部を十分な精度で所要の形状に加工することができなくなり、インク吐出ノズルからのインク噴射量、方向等の精度が低下する原因になる。
【0006】
また、支持用シートの片側の面に粘着層を形成しておき、支持用シートを粘着層によりノズル用シートに貼り付けた後、エキシマレーザによりノズル用シート及び支持用シートをアブレーション加工してノズル用シートにインク吐出ノズルを形成する方法も知られており、支持用シートに形成される粘着層の素材しては、一般的に、アクリル系、シリコン系、ゴム系粘着剤が用いられる。しかし、ノズル用シートと支持用シートとの間に粘着剤が介在すると、通常、粘着剤がエキシマレーザによっては効率良くアブレーションされないため、粘着剤の一部が溶融異物となってインク吐出ノズル開口端の周縁部に付着する現象が生じ易くなる。
【0007】
上記のような溶融異物は、例えば、特許文献2に記載されているように、インク吐出ノズル形成時には支持用シートとして機能する副生成物除去シートを、インク吐出ノズル形成完了後にノズル用シートから剥離することで、副生成物除去シートによりノズルプレートにおけるインク吐出ノズル開口端の周縁部から除去可能であるが、この方法では、ノズルプレートにおける片側(インク噴射側)の面に付着した溶融異物のみしか除去できない。
【0008】
また、粘着剤を用いて支持用シートをノズル用シートに貼り付けると、支持用シートをノズル用シートから剥離する際に粘着剤の一部がノズルシート上に転移、残留するおそれがあり、ノズル用シート上から粘着剤を除去する作業が必要となる場合がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−52392号公報
【特許文献2】
特開2000−229142号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、紫外線波長レーザによりノズルプレート原板にインク吐出ノズルを十分な寸法精度で形成でき、かつインク吐出ノズル形成時におけるノズルプレート原板への溶融異物の付着を防止できるノズルプレートの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るノズルプレートの製造方法は、紫外線波長レーザを吸収してアブレーション加工が可能とされた樹脂基板と、前記樹脂基板の片側の表面に形成され、紫外線波長レーザに対する透過性を有すると共に、撥油性及び撥水性を有する撥油・撥水層と、が設けられたノズルプレート原板に、紫外線波長レーザによりインク噴射用のインク吐出ノズルを形成する工程を含むノズルプレートの製造方法であって、前記撥油・撥水層の表面に、紫外線波長レーザを吸収してアブレーション加工が可能とされた樹脂製のシート部材を熱圧着によりラミネート接着した後、前記ノズルプレート原板に、前記撥油・撥水層とは反対側の表面から紫外線波長レーザを照射し、該紫外線波長レーザにより前記樹脂基板及び前記シート部材をアブレーション加工することにより、前記ノズルプレート原板に前記インク吐出ノズルを形成することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るノズルプレートの製造方法によれば、ノズルプレート原板に、撥油・撥水層とは反対側の表面から紫外線波長レーザを照射し、紫外線波長レーザにより樹脂基板及びシート部材をアブレーション加工して、ノズルプレート原板にインク吐出ノズルを形成してノズルプレートを製造することにより、ノズルプレート原板における樹脂基板には、インク吐出ノズルの形状に対応する穴部を、紫外線波長レーザにより精度良く形成できると共に、ノズルプレート原板における撥油・撥水層には、インク吐出ノズルの形状に対応する穴部を、紫外線波長レーザによりアブレーション加工された樹脂基板及びシート部材から分解、飛散する分子及び原子により精度良く形成できるので、紫外線波長レーザに対する透過性を有する撥油・撥水層が形成されたノズルプレート原板にも、紫外線波長レーザによりインク吐出ノズルを十分に高い寸法精度で形成できる。
【0013】
また、アブレーション加工が可能とされたシート部材がノズルプレート原板の撥油・撥水層に熱圧着によりラミネート接着されており、シート部材とノズルプレート原板との間には粘着剤、接着剤等が介在しないので、ノズルプレート原板に紫外線波長レーザによりインク吐出ノズルを形成する際に、粘着剤、接着剤等が溶融異物となってインク吐出ノズル開口端の周縁部に付着することを防止できる。
【0014】
ここで、シート部材は、紫外線波長レーザを吸収し、かつノズルプレート原板の撥油・撥水層への熱圧着によるラミネート接着が可能な樹脂材料により成形されている。具体的には、シート部材はウレタン系樹脂材料をフィルム状又はシート状に成形したものである。またシート部材の接着面には、接着性を高めるために、必要に応じてコロナ放電処理、プラズマ処理等の表面処理が施される。
【0015】
また、シート部材のノズルプレート原板との接着強度(JIS□Z0237準拠の剥離試験法により評価)としては、インク吐出ノズル加工時にシート部材とノズルプレート原板との間に微小な隙間が生じて加工精度を低下させないため、0.01N/cm以上とする必要がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るノズルプレートの製造方法について図面を参照して説明する。
【0017】
図1には、本発明の実施形態に係るノズルプレートの製造方法に用いられるノズルプレート原板及びドライフィルムが示され、図2には本発明の実施形態に係るノズルプレートの製造方法に用いられるレーザ加工装置の概略構成が示されている。
【0018】
図2に示されるように、レーザ加工装置10には、エキシマレーザビーム(以下、単に「エキシマレーザ」という。)Lを出射するレーザ発振器12及び被加工物が装填される加工テーブル14が設けられている。ここで、エキシマレーザとしては、248nmの波長をもつKrFエキシマレーザを用いている。
【0019】
またレーザ加工装置10には、レーザ発振器12から出射されたエキシマレーザLを折返して加工テーブル14へ至る光路を形成する折返しミラー16,18,20が配置されている。折返しミラー16,18間には、レーザ発振器12から出射されたエキシマレーザLの断面を所望のサイズに拡大するビームエキスパンダー22が配置され、折返しミラー18,20間には、エキシマレーザLの断面を形成しようとするインク吐出ノズル46(図1(C)参照)対応する形状に整形するためのマスク24が設けられると共に、このマスク24の下流側にマスク24の開口部を通過した光源像を、レンズユニット28に導くためのフィールドレンズ26が設けられている。
【0020】
レンズユニット28は、折返しミラー20と加工テーブル14との間に設けられ、マスク24を透過したエキシマレーザLの光源像を所要の大きさに変倍すると共に、この光源像を被加工物上に結像する。またレーザ加工装置10には、加工テーブル14の下部側にX−Y駆動機構30が設けられており、このX−Y駆動機構30は、加工テーブル14をエキシマレーザLに対して直交する座標軸方向(X軸方向及びY軸方向)に沿ってスライド可能に支持すると共に、装置の制御部(図示省略)からの制御信号を受けて加工テーブル14をX軸方向及びY軸方向に沿って位置調整する。
【0021】
上記のレーザ加工装置10では、図1に示される積層体32を被加工物としてインクジェット記録ヘッド用のノズルプレート34が製造される。積層体32は、図1に示されるように、ノズルプレート原板36にドライフィルム38を貼り付けて構成されており、例えば、インクジェット記録ヘッドの機種等に応じて規格された面形状に切断加工された後、レーザ加工装置10の加工テーブル14上に装填される。
【0022】
このとき、積層体32は、ドライフィルム38が加工テーブル14に接するような向きで加工テーブル14に載置され、X−Y軸方向に沿って所定の基準位置に位置位置合せされる。また加工テーブル14の載置面には、負圧供給用の吸引溝(図示省略)が開口しており、レーザ加工装置10は、積層体32が加工テーブル14上に載置されると、積層体32のドライフィルム38に吸引溝を通して負圧を作用させることで、積層体32を加工テーブル14上の基準位置に吸着固定する。
【0023】
ノズルプレート原板36は、ポリイミドを素材として成形された樹脂基板40及び、この樹脂基板40の裏面に形成された撥油・撥水層42からなり、全体の厚さが10μm〜100μmの範囲内とされる。また撥油・撥水層42は、樹脂基板40の裏面にフッ素系ポリマー又はシリコン系ポリマーの撥水剤を均一に塗布し、樹脂基板40と共に所定の乾燥温度に一定時間保持することにより形成される。この撥油・撥水層42の厚さは、0.1μm〜5μmの範囲内とされる。
【0024】
一方、撥油・撥水層42に貼り付けられるドライフィルム38としては、感光性を有する厚さ50μmのドライフィルムレジストであるORDYL BF45(商品名:東京応化学工業株式会社製)を用いた。積層体32は、ノズルプレート原板36の撥油・撥水層42にドライフィルム38を熱圧着によりラミネート接着することにより構成されている。このラミネート接着は、1m/minのラミネート速度にて、ドライフィルム38を80℃〜100℃の高温に保ちつつ、2.5kg/cmの圧力で撥油・撥水層42に加圧することにより行った。
【0025】
なお、本実施形態では、ノズルプレート原板36に本来、異なる用途(サンドブラスト用)に用いられるドライフィルム38を貼り付けることにより積層体32を構成したが、これは、撥油・撥水層42との親和性、ラミネート接着性、エキシマレーザLによるアブレーション加工性を考慮して選択したに過ぎず、これらの撥油・撥水層42との親和性、ラミネート接着性、エキシマレーザLによるアブレーション加工性を満たすものであれば、他の樹脂製シート部材をノズルプレート原板36にラミネート接着して積層体32を構成するようにしても良い。
【0026】
次に、上記のように構成された積層体32からノズルプレート34を製造する方法について説明する。先ず、図2に示されるように、積層体32を加工テーブル14上に載置し、この積層体32を負圧の作用により加工テーブル14上に吸着固定する。この状態で、マスク24を通りレンズユニット28によって集光されたエキシマレーザLを積層体32の表面(ドライフィルム38とは反対側の面)に照射する。これにより、ノズルプレート原板36の樹脂基板40はエキシマレーザLによりアブレーション加工され、エキシマレーザLの照射領域にはエキシマレーザLのビーム断面と略相似形状の穴部44(図1(B)参照)が形成され、この穴部44がエキシマレーザLの照射時間の増加に従って深く掘り下げられて行く。
【0027】
レーザ加工装置10では、図1(B)に示されるように、穴部44がノズルプレート原板36を貫通し、更にドライフィルム38の途中に達するまで、積層体32に対するエキシマレーザLの照射を継続する。エキシマレーザLの照射完了により、積層体32におけるノズルプレート原板36には所要形状のインク吐出ノズル46が形成される。インク吐出ノズル46の形成完了後、積層体32は加工テーブル14から取り外され、図1(C)に示されるように、ドライフィルム38が剥離、除去される。これにより、所要形状のインク吐出ノズル46が形成されたノズルプレート34の製造が完了する。ここで、インク吐出ノズル46は、インクの吐出方向へ向って縮径するテーパ状の貫通穴として形成される。
【0028】
上記のように、エキシマレーザLにより積層体32に穴部44を形成する際には、樹脂基板40及びドライフィルム38については、それぞれエキシマレーザLによるアブレーション加工が可能であり、エキシマレーザLの照射によりエキシマレーザLのビーム断面に正確に対応する断面形状の穴部44が形成される。ここで、アブレーションとは、高分子材料がエキシマレーザLを吸収することにより、高分子材料の分子結合が切られ、結合が切られた分子、原子が分解、飛散する現象であり、アブレーション加工とは、アブレーションを利用して高分子材料に所望の形状を形成するための加工法である。
【0029】
一方、樹脂基板40に形成された撥油・撥水層42は、エキシマレーザLに対して透過性を有しており、エキシマレーザLによって直接的には加工(アブレーション加工)できない。このため、本実施形態のノズルプレートの製造方法では、エキシマレーザLにより樹脂基板40をアブレーション加工すると共に、撥油・撥水層42を介してドライフィルム38をアブレーション加工することにより、樹脂基板40及びドライフィルム38からそれぞれ分解、飛散する分子及び原子によって撥油・撥水層42に穴部44を加工している。これにより、撥油・撥水層42にも、エキシマレーザLの断面形状に正確に対応する穴部44を形成できる。
【0030】
(ノズルプレート原板の変形例)
図3には、本発明に実施形態に係るノズルプレートの製造方法に用いられるノズルプレート原板の変形例が示されている。
【0031】
図3に示されるノズルプレート原板50では、樹脂基板51両面の表層部にそれぞれダイヤモンドライクカーボンを素材とするコーティング層52,54が設けられると共に、一方のコーティング層52の表面上にポリイミド系接着剤からなる接着層56が形成されている。従って、ノズルプレート原板50では、撥油・撥水層42が他方のコーティング層54の表面上に形成されている。積層体58は、ノズルプレート原板50の撥油・撥水層42にドライフィルム38を熱圧着によりラミネート接着して構成されている。このドライフィルム38は、基本的には図2に示される積層体32と共通のものが使用され、ラミネート接着条件も共通のものになる。ここで、図1に示される積層体32に対して追加されたコーティング層52,54及び接着層56は、何れもアブレーション加工が可能である。また接着層56は、ノズルプレート60をインクジェット記録ヘッドの本体側へ接着固定するためのものである。
【0032】
次に、上記のように構成された積層体58からノズルプレート60を製造する方法について説明する。先ず、積層体58を加工テーブル14上に装填し、マスク24を通りレンズユニット28によって集光されたエキシマレーザLを積層体58の表面(ドライフィルム38とは反対側の面)に照射する。これにより、ノズルプレート原板50のコーティング層52、樹脂基板51及びコーティング層54は、エキシマレーザLにより順次アブレーション加工され、エキシマレーザLの照射領域にはエキシマレーザLのビーム断面と略相似形状の穴部62(図3(B)参照)が形成され、この穴部62がエキシマレーザLの照射時間の増加に従って深く掘り下げられて行く。
【0033】
レーザ加工装置10では、図3(B)に示されるように、穴部62がノズルプレート原板50を貫通し、更にドライフィルム38の途中に達するまで、積層体58に対するエキシマレーザLの照射を継続する。エキシマレーザLの照射完了により、積層体58におけるノズルプレート原板50には所要形状のインク吐出ノズル64が形成される。インク吐出ノズル64の形成完了後、積層体58は加工テーブル14から取り外され、図3(C)に示されるように、ドライフィルム38が剥離、除去される。これにより、所要形状のインク吐出ノズル64が形成されたノズルプレート60の製造が完了する。ここで、インク吐出ノズル64は、インクの吐出方向へ向って縮径するテーパ状の貫通穴として形成される。
【0034】
上記したインク吐出ノズル64の形成過程で、図1に示されるインク吐出ノズル46と異なる点は、コーティング層54及びドライフィルム38からそれぞれ分解、飛散する分子及び原子によって撥油・撥水層32に穴部62が加工される点であり、この点以外では、図2に示されるノズルプレート原板36及び図3に示されるノズルプレート原板50は、共通の製造工程を経てノズルプレート34,60へ加工される。
【0035】
以上説明した本発明の実施形態に係るノズルプレートの製造方法によれば、ノズルプレート原板36,50に、撥油・撥水層42とは反対側の表面からエキシマレーザLを照射し、エキシマレーザLにより樹脂基板40,51及びドライフィルム38をそれぞれアブレーション加工して、ノズルプレート原板36,50にインク吐出ノズル46,64を形成してノズルプレート34,60を製造することにより、ノズルプレート原板36,50における樹脂基板40,51には、インク吐出ノズル46,64の形状に対応する穴部44,62を、エキシマレーザLにより精度良く形成できると共に、ノズルプレート原板36,50における撥油・撥水層42には、インク吐出ノズル46,64の形状に対応する穴部44,62を、エキシマレーザLによりアブレーション加工された樹脂基板40,51及びドライフィルム38から分解、飛散する分子及び原子により精度良く形成できるので、エキシマレーザLに対する透過性を有する撥油・撥水層32が形成されたノズルプレート原板36,51にも、エキシマレーザLによりインク吐出ノズル46,64を十分に高い寸法精度で形成できる。
【0036】
また、アブレーション加工が可能とされたドライフィルム38がノズルプレート原板36,50の撥油・撥水層42に熱圧着によりラミネート接着されており、ドライフィルム38とノズルプレート原板36,50との間には粘着剤、接着剤等が介在しないので、ノズルプレート原板36,50にエキシマレーザLによりインク吐出ノズル46,64を形成する際に、粘着剤、接着剤等が溶融異物となってインク吐出ノズル46,64の開口端の周縁部に付着することを防止できる。
【0037】
ここで、ドライフィルム38のノズルプレート原板との接着強度(JIS□Z0237準拠の剥離試験法により評価)としては、インク吐出ノズル形成時にドライフィルム38とノズルプレート原板36,50との間に微小な隙間が生じて加工精度を低下させないため、0.01N/cm以上とする必要がある。この接着強度は、無論、ドライフィルム38以外のシート部材をノズルプレート原板36,50に貼り付けて積層体32,58を構成した場合にも確保する必要がある。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のノズルプレートの製造方法によれば、紫外線波長レーザによりノズルプレート原板にインク吐出ノズルを十分な寸法精度で形成でき、かつインク吐出ノズル形成時におけるノズルプレート原板への溶融異物の付着を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るノズルプレートの製造方法に用いられるノズルプレート原板及びドライフィルムの一例を示すと共に、インク吐出ノズルの形成手順を示す側面断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るノズルプレートの製造方法に用いられるレーザ加工装置の概略構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るノズルプレートの製造方法に用いられるノズルプレート原板及びドライフィルムの変形例を示すと共に、インク吐出ノズルの形成手順を示す側面断面図である。
【符号の説明】
10 レーザ加工装置
32 積層体
34 ノズルプレート
36 ノズルプレート原板
38 ドライフィルム(シート部材)
40 樹脂基板
42 撥油・撥水層
44 穴部
46 インク吐出ノズル
50 ノズルプレート
51 樹脂基板
52 コーティング層
54 コーティング層
56 接着層
58 積層体
60 ノズルプレート
62 穴部
64 インク吐出ノズル

Claims (3)

  1. 紫外線波長レーザを吸収してアブレーション加工が可能とされた樹脂基板と、前記樹脂基板の片側の表面に形成され、紫外線波長レーザに対する透過性を有すると共に、撥油性及び撥水性を有する撥油・撥水層と、が設けられたノズルプレート原板に、紫外線波長レーザによりインク噴射用のインク吐出ノズルを形成する工程を含むノズルプレートの製造方法であって、
    前記撥油・撥水層の表面に、紫外線波長レーザを吸収してアブレーション加工が可能とされた樹脂製のシート部材を熱圧着によりラミネート接着した後、
    前記ノズルプレート原板に、前記撥油・撥水層とは反対側の表面から紫外線波長レーザを照射し、該紫外線波長レーザにより前記樹脂基板及び前記シート部材をアブレーション加工して、前記ノズルプレート原板に前記インク吐出ノズルを形成することを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  2. 前記シート部材として、感光性を有するドライフィルムを用いることを特徴とする請求項1記載のノズルプレートの製造方法。
  3. 前記シート部材の前記撥油・撥水層との接着強度(JIS□Z0237準拠の剥離試験法により評価)を、0.01N/cm以上とすることを特徴とする請求項1又は2記載のノズルプレートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006297688A (ja) * 2005-04-19 2006-11-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd ノズル板の製造方法、そのノズル板の製造方法を用いたノズル板およびそのノズル板を用いたインクジェットヘッド

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