JP2004284244A - 繊維強化プラスチック管の製造方法 - Google Patents

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Takaiku Yoshii
孝育 吉井
Akira Yamamoto
白 山本
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Abstract

【課題】光照射装置の照射面積よりも大きな製品、具体的には長尺の円筒体を、小さな光照射装置を用いても充分にかつ均一に硬化させることができる、繊維強化プラスチック管の製造方法を提供する。
【解決手段】光重合性樹脂組成物を含浸させた補強繊維束を、周方向に回転する芯型表面に積層して積層体とし、該積層体の外表面から光を照射して積層体を硬化させる繊維強化プラスチック管の製造方法において、光を照射する装置が、上記芯型の回転軸方向に複動可能とされ、芯型を回転させつつ光を照射する装置を複動させて積層体に光を照射し、上記光重合性樹脂組成物を硬化させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光硬化法によって、大型の繊維強化プラスチック管を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化プラスチック管の製造方法において、光重合開始剤を含む光重合性樹脂組成物を含浸した補強繊維束を芯型表面に積層し、この積層体に光を照射して光重合性樹脂組成物を硬化させ、繊維強化プラスチック管を製造する方法がある。
【0003】
この方法については、他の方法、例えば過酸化物硬化剤を配合した光重合性樹脂組成物を補強繊維束に含浸し、これを芯型上に積層し、加熱して硬化させて繊維強化プラスチック管を製造すると比較して、以下の利点がある。
【0004】
1.熱硬化では硬化反応の立ち上がりが遅いため成型に掛かる時間が長く掛かるが、光硬化では硬化反応の立ち上がりが非常に早く、成型サイクルをアップできる。
2.熱硬化では、補強繊維束に含浸させた光重合性樹脂組成物が落下し、徐々に硬化するため、落下した樹脂はこぼれ樹脂として捨てるしかなかったが、光硬化では光が当たらないと硬化は進行しないため、再利用ができる。
【0005】
このような利点があるため、光硬化方式は繊維強化プラスチック管の製造に広く適用されつつある。例えば、「光重合開始剤と高温反応型重合開始剤が配合された重合性樹脂組成物を含浸させた周方向長繊維補強材を、周方向に回転する芯型の周囲に連続的に巻回しつつパイプ状に賦形する工程と、光照射することにより重合反応を開始させるとともに、その反応熱によって上記高温反応型重合開始剤による重合反応を開始させて前記重合性樹脂組成物を硬化させる工程からなることを特徴とする繊維強化樹脂成形体の製造方法」が開発されつつある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、上記開発技術には、この技術を適用して製品を製造するに際しては、以下のような点に関して更に改善が望まれる余地が残されている。即ち、1.光源の有効な照射面積の大きさ以上の、例えば回転軸方向の長さの長い製品、例えば円筒状の発光体における発光の有効な長さより製品の幅が大きい製品(図1参照。)を製造する際には、光の照射量が不足する部分が発生し、硬化が不十分又は不均一にある可能性がある点、2.製品幅より大きな光源を設置する場合、或いは製品幅に相応の複数の光源を設置する場合、光源の設置費用が莫大となり、設備実現が困難となる可能性がある。また、漏れ出す光に対する防護措置が大きなものが必要となる点が挙げられる。
【0007】
【特許文献1】特願2002−273614号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の技術が有する課題を解決し、繊維強化プラスチック管を光硬化方式を用いて成形する際に、光照射装置の照射面積よりも大きな製品、具体的には長尺の円筒体を、小さな光照射装置を用いても充分にかつ均一に硬化させることができる、繊維強化プラスチック管の製造方法を提供するために行われたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光照射装置を芯型の回転軸方向に沿って移動させることで、芯型上に積層された光重合性樹脂組成物に照射される光の積算光エネルギー量を一定とし、円周方向及び回転軸方向に沿った強度バラツキが少ない繊維強化プラスチック管を得るものである。
【0010】
請求項1記載の繊維強化プラスチック管の製造方法(発明1)は、光重合性樹脂組成物を含浸させた補強繊維束を、周方向に回転する芯型表面に積層して積層体とし、該積層体の外表面から光を照射して積層体を硬化させる繊維強化プラスチック管の製造方法において、光を照射する装置が、上記芯型の回転軸方向に複動可能とされ、芯型を回転させつつ光を照射する装置を複動させて積層体に光を照射し、上記光重合性樹脂組成物を硬化させることを特徴とする。
【0011】
従って、発明1においては、仮に光照射装置の光源器具の芯型の回転方向に沿った長さよりも、芯型上に積層された光重合性樹脂組成物の長さが長い場合でも、光の照射量が少ない部分を減らすことができる。それ故、得られる繊維強化プラスチック管の光硬化反応が管表面の全周に渡って均一にすることができ、製品の強度が周方向及び回転軸方向で共にばらつくことがなくなる。
【0012】
光重合性樹脂組成物に用いられる樹脂としては、通常の繊維強化プラスチック管に用いられる樹脂で良く、例えば一例として、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを混合して用いられても良い。
【0013】
光重合開始剤としては、上記樹脂類を硬化させて必要な管特性を発揮させるに適した一般的な光重合開始剤であれば良く、例えば一例として、可視光から紫外線領域の波長の光に対応する物として、ビスアシルフォスフィンオキサイド(市販品例:チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュアー819など)等が挙げられる。
【0014】
光重合性樹脂組成物には、そのほかの配合物として、硬化を補助させるために過酸化物系硬化剤が配合されても良い。過酸化物系硬化剤としては、配合済みの光重合性樹脂組成物の保存期間を長くするために、分解温度が比較的高いものが好適に適用される。例えば一例として、パーオキシエステルやそれらの溶媒希釈品(市販品例:日本油脂社製、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノネートの溶媒希釈品、商品名、パーキュアO。急速加熱試験における分解温度は92℃)などが挙げられる。
【0015】
更に、必要に応じて、炭酸カルシウム、珪砂等の無機系充填剤を配合したガラス等無機繊維や合成樹脂等有機繊維からなる不織布などを、製品の内面、外面或いは積層間に巻き回したりすることができる。なお、例えば一例として、炭酸カルシウムとしては、粒子径15μm以下のものが95重量%以上であるものが配合部数5重量%以下で使用され、珪砂としては粒子径が3mm以下のものが95重量%以上であるものが配合部数2重量%以下で使用されるものが一般的であるが、必ずしもこれに拘られないことはいうまでもない。
【0016】
光重合開始剤と樹脂類及びその他の材料類の配合は、目的の管の必要物性によって適宜決められる。
【0017】
補強繊維としては、繊維補強プラスチック管に適用される一般的な補強用繊維が適用可能である、例えば一例として、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維などが挙げられ、これらが混合してもちいられても良い。これらの内、光硬化法に適用する場合としては、ガラス繊維が一般的に使用される。また、繊維補強プラスチック管に適用する場合の補強用繊維の形態としては、いわゆるロービングと呼ばれる長繊維束やその合糸品、チョップドストランドマット、ガラスクロス等の編物や織物等、一般に市販品されているものが好適に使用出来る。
【0018】
光重合性樹脂組成物を補強繊維に含浸させる方法は、一般的な方法が用いられれば良い。例えば一例として、補強繊維(束)を芯型に巻き付ける前に光重合性樹脂組成物を入れた槽(含浸槽)に浸漬させて通過させ、補強繊維(束)に含浸させておく方法、補強繊維(束)を芯型に巻き付けつつ光重合性樹脂組成物を振り掛けて含浸させる方法、又は補強繊維に光重合性樹脂組成物を含浸させ予め半硬化させたマット状プリプレグを芯型に巻き付ける方法等が挙げられる。
【0019】
周方向に回転する芯型は、その外周面にガラス繊維等補強繊維に含浸された光重合性樹脂組成物が巻回されて硬化され、管が成型される。製品の管は、硬化後芯型から抜き取られる。従って、その表面が研磨されたステンレススチールやメッキ処理された鉄等が好適に採用される。
【0020】
なお、内面にSBR(スチレンブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)等のゴム輪等を装着する製品の管を得る場合には、芯型の所定の位置に該ゴム輪等を配置し、ゴム輪等の光重合性樹脂組成物と接触する表面にプライマーを塗布しておいても良い。
【0021】
光重合性樹脂組成物を含浸したガラス繊維等補強材は、芯型の表面に積層して積層体とされる。巻き付け方法は、一般的な方法が用いられれば良く、例えば、補強繊維の巻き付け角度を芯型の回転軸に対して、所定の角度となるようにガラス繊維束を巻いたボビンを、芯型の回転軸に平行に移動させつつ巻き出していく方法等が挙げられる。更に、このようなボビンを複数個準備し、ガラス繊維等補強繊維を、クロスして芯型の表面に積層するようにしても良い。
【0022】
該積層体は、外表面から光を照射して光重合性樹脂組成物を硬化させる。照射する光の波長、強度及び照射時間は、用いられる光重合開始剤の種類と配合量及び、雰囲気酸素濃度によって変化する。光源としては、いわゆる紫外線や可視光を発生する光源が使用される。一般的には、200nm〜550nmに強度のピークを持つ光源が好適に適用される。そのような光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0023】
又、光重合反応の雰囲気中に酸素が存在すれば、重合開始剤が分解して発生するラジカルが酸素と反応して失活するために、光重合部の雰囲気酸素濃度はできる限り低い方が良い。また、光重合性樹脂組成物自体も窒素置換されている方が好ましく、光重合性樹脂組成物をガラス繊維等補強材にに含浸させる工程もイナート雰囲気とすることが望ましい。
【0024】
光を照射する装置(光照射装置)は、所定の長さと幅の面積で光を被照射物に照射するようにされている。即ち、光源が管状であれば、一般的な直管型蛍光ランプ用器具と同様に、光源の一方の側に光が照射されるように、光源の後ろ側に光反射材を置いた光源器具が用いられればよく、光源が略球状であれば、後ろ側に光反射材を設けた一般的な電球用器具と同様の器具の必要個数を直列に列設すれば良い。いずれの光源器具の反射材も、光が効率良く被照射物に照射されるように、なるだけ平行光で照射するように設計されることが望ましく、光源装置の照射部長さは、被照射物の軸方向の長さ以下とされる。
【0025】
光源器具は、芯型の回転軸方向に複動可能とされる。複動時の片道の移動可能距離は、少なくとも被照射物の一方の端部と他方の端部とが光照射範囲内に入る距離以上とされる。
【0026】
又、光照射装置として、複数の光源を用いても良い。この場合は、夫々の光源は、移動方向は回転軸の方向とされてかつ別個の複動動作(移動振幅、往復の周期など)とされたり、同じ動作とされたりしても良い。
【0027】
光照射装置を芯型の回転軸に沿って移動させる方法は、特に限定される方法はなく、適宜適当な方法が選択して用いられればよい。例えば一例として、光照射装置1基につき、芯型の回転軸方向に沿った光照射装置移動用レールを1本、回転軸から所定の距離を開けて配置し、そのレールに光照射装置を装着して行われる。光照射装置は、光照射装置をレールに装着させる治具に駆動用動力装置が取り付けられて光照射装置が自走するようにされる方法や、或いは上記治具が台車とされその台車が歯車やベルト等で移動するようにされる方法等が挙げられる。加えて、光源と積層体表面との距離を任意に変更できるように、芯型の回転軸から直角に放射する方向に移動可能なように、上記治具に取り付けられることが好ましい。
【0028】
請求項2記載の発明(発明2)は、光を照射する装置に取り付けられた光源と芯型表面に積層された積層体外表面との距離が、芯型が回転しても一定の距離を保つことを特徴とする発明1の繊維強化プラスチック管の製造方法である。
【0029】
請求項3記載の発明(発明3)は、光を照射する装置に取り付けられた光源と芯型表面に積層された積層体外表面との距離が大となれば、光を照射する装置の移動速度が遅くなることを特徴とする発明1の繊維強化プラスチック管の製造方法である。
【0030】
発明2及び発明3は、いずれも、例えば径違い継手(レデューサー)のように、両端部でその外径が異なる繊維強化プラスチック管や、断面が多角形の管等を成形する場合を対象としている。
【0031】
異形物を成形する場合には、芯型が回転しかつ光照射装置が芯型の回転軸方向に沿って移動することで、光照射装置の光源と芯型表面に積層された光重合性樹脂組成物の表面との距離が変化する。従って、光重合における積算光エネルギー量を一定にするためには、発明2のように、光源と光重合物との距離を一定に保つか、又は発明3のように距離が離れた部位では光源の移動速度を遅くし、積算エネルギー量を距離が近い部位と同じとすれば良い。
【0032】
発明2においては、光照射装置と積層体表面との距離は、一般の非接触型距離測定器により測定される。測定器としては、赤外線、レーザー等光学的測定器、超音波測定器、パルス測定器等が挙げられ、いずれも測定した距離の値を信号として発信できるものが好ましい。
【0033】
光照射装置は、光照射装置と積層体表面との距離を自由に変更しつつ、芯型の回転軸方向に沿った方向に移動する。光照射装置と積層体表面との距離を変更する方法は、例えば、光照射装置をレールに装着するためのステーを歯車を介して治具に組み込み、その相方の歯車をモーター等で回転させてその距離を変更する方法等が挙げられる。勿論、歯車でなく、ベルト等でも構わない。
【0034】
光照射装置と積層体表面との距離は、測定器によって連続して測定されて信号が発信され、その信号値の変化によって上記モーター等が回転し、距離が変化する。所定の距離になればモーター等の回転が止まり、距離が一定となる。従って、積算光エネルギー量は、積層体の外表面全周に渡って、ほぼ平均化される。
【0035】
発明3においては、光照射装置と積層体表面との距離の測定は、発明2と同じであるから再述しない。発明3の場合は、光照射装置がレール上を移動する速度が変化する。その移動速度を遅くする方法は、測定器から発信される信号によって、駆動用動力装置の駆動速度を変更して行われる方法が好ましく用いられ、その方法は特に限定されるものではない。
【0036】
測定された距離が大きい時は移動速度が遅く、小さい時は早くする。従って、積算光エネルギー量は、積層体の外表面全周に渡って、ほぼ平均化される。
【0037】
請求項4記載の発明(発明4)は、光を照射する装置の有効な照射部分の製品長さ方向の距離をlとし、芯型が一回転した時に、光を照射する装置が芯型の回転軸方向に移動する距離をxとした時、nを、0又は正の整数とした場合に、(式)x≠n×lを満足するようにxを設定することを特徴とする発明1乃至3の繊維強化プラスチック管の製造方法である。
【0038】
発明4では、例えば、芯型が1回転する間に、光照射装置がちょうど1往復移動すると、芯型に積層された光重合性樹脂組成物の両端部近傍は、中央部と比較して、光の照射量が不足する恐れが生じる。従って、上記式を満足するxを設定することが望ましく、特に好ましくは、n=0、1、2又は3のいずれかの場合である。
【0039】
照射に要する時間内に芯型が回転する総回転数が大きい場合は、nが奇数か偶数かにより被照射面全面を照射できる場合とできない場合がある。光が当たっている積層体の両端部は、中央部に比べて光照射量が少なくなることもあるため、なるべく、芯型が1回転する間に光照射装置の位置が少しずつ芯型の回転軸方向に沿ってずらせるようにし、ほぼ全面光が当たるようにする。即ち、光照射装置が、積層体のある一定の箇所を多く照射しないように、芯型が1回転した時に、光照射装置の回転軸の沿った位置がずれていくようにするのである。
【0040】
請求項5記載の発明(発明5)は、光を照射する装置が一回複動する間に、芯型が回転する回転角をαラジアンとし、光を照射してから積層体の硬化が完了するまでに要する時間内に、芯型が回転する総回転数をNとする場合、正の整数n’が存在して、(式)|N×(2π−α)|=2π×n’とすることができるようにαを設定することを特徴とする発明1乃至4の繊維強化プラスチック管の製造方法である。
【0041】
発明5では、所定の成形時間内に、積層体表面が、ほぼ全面的に1回以上光照射されるようにする。その前提として、総回転数Nは可能な限り大きくされることが望ましい。Nが小さいと、やはり積算光エネルギー量のバラツキが、積層体外表面の一部で発生する恐れが強くなる。実際には、Nは5以上にされる。例えば一例として、呼び径1000mm以上の管を製造する場合では、Nは15以上とされる。
【0042】
即ち、照射時間を長くするか、若しくは芯型の回転速度を大きくしてこのバラツキを平均化するのである。積層体に照射される積算光エネルギー量は適用される光重合系毎に決まっているから、照射時間を長くする場合は光強度を下げる必要があり、生産性を重視する場合は、通常、芯型の回転速度を実害の及ばない範囲で上げることが行われる。
【0043】
(作用)
以上の通り、本発明は、光照射装置を芯型の回転軸方向に沿って移動させるので、芯型上に積層された光重合性樹脂組成物に照射される光の積算光エネルギー量が一定となり、円周方向及び回転軸方向に沿った強度バラツキが少ない繊維強化プラスチック管を得ることができるのである。
【0044】
更に、光照射装置と積層体との距離を一定にする、又は光照射装置の移動速度を遅速させるので、積層体の外周面全面に渡って光照射強度が一定となるのである。
【0045】
更に、光照射装置の移動距離を被照射長さとずらせることにより、或いは、硬化が完了する迄の時間に芯型が回転する総回転数を芯型の回転角度で制御することで、積層体に照射される積算光エネルギー量を、積層体の外周面全体でほぼ平均化できるのである。
【0046】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して本発明を説明する。図1は本発明の光照射装置を用いて繊維強化プラスチック管を製造する装置の一例の、光照射装置部分の説明図、図2は積層体の外形に沿って曲げられたレールの一例の説明図である。本事例では、口径1,000mmφのガラス繊維強化プラスチック管を製造した場合を引例するが、これに限ったものではないことは、いうまでもない。
【0047】
光重合性樹脂組成物を含浸させた補強用繊維束が、管成形用マンドレル(芯型)2表面上に巻回され積層体3とされる。マンドレル2は周方向に回転し、その回転はが得られる管の管軸と一致するようにされている。マンドレル2は、少なくとも回転軸の周りを周方向に回転することが必要である。しかしながら、光重合性樹脂組成物を含浸させた補強繊維束をマンドレル2表面上に巻回積層する際、その作業がし易いように、マンドレル2自体が軸方向に複動移動可能とされていても良い。勿論マンドレルの回転と軸方向の移動とが同時に行われても良い。
【0048】
光照射装置1は、マンドレル2の回転軸方向に沿って設けられたレール11に、レールに沿って移動可能に取り付けられた取り付け台13に、光照射装置1に取り付けられたステー12を介して取り付けられて構成される。取り付け台13には、光学式、電波式、又は音波式等の距離計15が固定され、取り付け台13と積層体3との距離を連続して測定する。又、本事例においては、取り付け台13に動力装置14が取り付けられ、光照射装置1がレール11上を自走可能とされている。勿論、別に設けられた動力装置から動力を伝達して、取り付け台13を動かすようにされていても良いことはいうまでもない。
【0049】
光照射装置1の移動速度は、積層体3ヘの光の照射強度を一定に保つために、任意に可変とされていることが望ましい。即ち、距離計15により連続的に測定された、光照射装置1と積層体3との距離により、適宜変更される。その距離が大となる場合は進行速度を遅くし小となる場合は早くする。こうすることで、積層体3ヘの光の照射強度が一定に保たれる。
【0050】
光照射装置1は決められた場所の間を往復移動する。そのために往復の両方の折り返し点に、例えば一例として、リミットスイッチ等をおき(図示せず)、光照射装置1がその地点に到達したら、光照射装置1自身がそのスイッチを押すなどして作動させ、光照射装置1を逆方向に進行させるようにされても良い。
【0051】
光照射装置1と積層体3との距離は、用いる光重合反応が要求する光強度となるように、適宜その距離を変更する必要がある。従って、ステー12は、必要な所定の距離に自在に調節可能なように取り付けけ台13に接続される。例えば、取り付け台13に貫通孔を設け、これにステー12を挿通して、ステーを上下方向に移動可能な状態とし、これをボルト等(図示せず)で固定する方法や、適当な位置固定用治具を用いる方法などが挙げられるが、これに限ったことではないことはいうまでもない。
【0052】
ステー12は、取り付け台13に、上下方向に移動可能な方法で取り付けられるが、モーター等を用いて、自動的に上下動を行うようにされても良い(図示せず)。即ち、距離計15によって計測された光照射装置1と積層体3との距離は、例えば径違い継手(レデューサー)のように両端部でその外径が異なる繊維強化プラスチック管や、断面が多角形の管等を成形する場合には、マンドレルの回転と光照射装置の移動とに伴って刻々変化するので、その時々に対応して、距離を連続的に変化させなければならないが、これに対応することが可能となるのである。
【0053】
又、断面が略円形の径違い継手等を製造する場合には、マンドレル2が回転しても、光照射装置1が移動しなければ、光照射装置1と積層体表面3との距離は変わらない。従って、このような場合には、例えば、図2に示すように、レール11を、積層体3の外形形状に合わせて、その距離が一定となるように予め配置しておき、光照射装置を移動させれば、積層体に照射される光強度を一定にすることができるので、そのようにされても良い。
【0054】
光照射装置1は、その光源ランプが管状であっても略球状であっても良い。管状の場合は、通常の直管型蛍光灯器具と同じ構造の器具を用いることができ、略球状であれば、個々の光源を一直線上に並べて配列して、見かけ上、管状の光源と同様に見なせるようにすれば良い。また、通常、いずれの光源形状の場合であっても、光を有効に利用するために、光源の積層体3に対向する側の反対側に反射材を設けることが行われる。更に、光被照射体(積層体3)が引火性物質であるので、光源の点灯や消灯時のスパークによる引火を防止するために、光源は防爆構造とされていることが望ましい。
【0055】
光照射装置1の光照射部は、対象とされる積層体3の外形と略同じで大きくされる。光照射部は、必ずしも積層体3の全幅を覆っていなくても、マンドレル2が回転するので、積層体3の全外表面に確実に光が照射される。
【0056】
光照射装置1の照射部の軸方向の長さが積層体3の長さより長い場合は、マンドレル2を回転させるだけで、光照射装置1を移動させる必要はない。短い場合は、前述の通り、照射部の長さ(l)とマンドレル2が1回転する間に光照射装置1が移動する距離(x)との間に、nを、0又は正の整数とした場合に、
(式) x≠n×lを満足するようにxを設定すれば最も良い。
【0057】
また、光照射装置1が一回往復動する間に、マンドレル2が回転する回転角をαラジアンとし、光を照射してから積層体3の硬化が完了するまでに要する時間内に、マンドレル2が回転する総回転数をNとする場合、正の整数n’が存在して、(式)|N×(2π−α)|=2π×n’とすることができるように、αを設定すれば良い。
【0058】
(実施例1)
光重合開始剤(商品名:イルガキュアー819、チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.15重量部、過酸化物系硬化剤(商品名:パーキュアーO、日本油脂社製)1.5重量部を配合したイソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂(以降、光重合性樹脂組成物という。)を含浸槽に満たし、#3460番手のガラスロービング束(日東紡績社製)を含浸槽内の光重合性樹脂組成物に浸して通過させ、それを外径1,000mm、長さ2,000mmの外面クロムメッキされた鉄製マンドレルの外周面に、厚さ10mmとなるようにフープ巻回した。巻回時には、含浸下上記繊維束上に軸方向強化繊維として、#1200番手のガラス繊維を追加巻回した。光重合性樹脂組成物とガラス繊維との混合比率(重量比)は、樹脂組成物/ガラス繊維=32/68とした。
【0059】
巻回、積層後、光照射装置の光源を発光照射させ、積層体の硬化を開始した。光源に円筒形状でランプ全長850mm、発光部長さ750mmの空冷式メタルハライドランプ(出力波長範囲200nm〜450nm、ランプ出力9kW、アイグラフィックス社製)2本を内蔵した光照射装置を光照射装置として用いた。マンドレル回転軸方向に沿った有効な照射部の長さは、光照射装置から120mm〜150mm離れた箇所で、予め別に測定した上記配合の光重合性樹脂組成物の硬化テストから、600mmであった。なお、「有効な照射部」とは、光強度がほぼ一定であると判断される範囲に入る部分のことをいう。
【0060】
光照射装置にステーを取り付け、そのステーをマンドレルの回転軸方向と平行に配置されたレールに配置された取り付け台に装着し、光照射装置とマンドレルに積層された積層体との距離が、所定の距離となるようにした。取り付け台には、動力装置と距離計とを備え、光照射装置が自走可能なようにした。
【0061】
なお、光照射装置を移動させる方法は、自走式以外にも、レール側に駆動装置をおき、その動力をギアやベルトを用いて伝達して光照射装置を移動させる方法や他にも多くの手段があるが、その全てを記載し説明することはできないので、個々には記載しない。光照射装置と積層体表面の距離を一定にする方法についても、同様であるので説明しない。
【0062】
マンドレルを3回転/分で回転した。その間、光照射装置を図1に記載の通り、1往復/分の早さで複動させた。光照射装置の所期位置は、光照射装置の一端部が、マンドレルに積層された積層体の一端部から100mmはみ出す位置とし、複動の折り返し位置は、光照射装置の他端部が、マンドレルに積層された積層体の他端部から100mmはみ出す位置とした。この位置にリミットスイッチを設け、光照射装置が複動するようにした。なお、この位置で複動させると、光照射装置の振幅距離は1,600mmとなる。
【0063】
この場合、マンドレルが1回転する毎に、光照射装置は、約533mm(=1,600mm×1/3)ずつマンドレルの回転軸方向に沿ってずれる。このように光照射装置を複動移動させながら、15分間光を照射し、光重合性樹脂組成物を硬化させて円筒形状のガラス繊維強化プラスチック管を得た。
【0064】
(比較例)
光照射装置を、マンドレルの中央位置に固定した以外は、実施例と同様にして光を照射した。
【0065】
得られたガラス繊維強化プラスチック管の特性を表1に示す。曲げ試験は、JIS K 7055によった。なお、曲げ試験に供した試験片は、得られたプラスチック管の両端部及び中央部から、各5サンプルづつ採取し、周方向に対する曲げ試験片とした。
【0066】
【表1】
Figure 2004284244
【0067】
実施例においては、管の各部において曲げ強度のバラツキが見られなかったが、比較例においては、中央部のみが硬化し両端部が硬化せず、管が得られなかった。
【0068】
【発明の効果】
以上の通りであるから、本発明は、光照射装置の照射面積よりも大きな製品、具体的には長尺の円筒体を、小さな光照射装置を用いても充分にかつ均一に硬化させることができる、繊維強化プラスチック管の製造方法となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光照射装置を用いて繊維強化プラスチック管を製造する装置の一例の、光照射装置部分の説明図である。
【図2】積層体の外形に沿って曲げられたレールの一例の説明図。
【符号の説明】
1 光照射装置
11 レール
12 ステー
13 取り付け台
14 動力装置
15 距離計
2 芯型(マンドレル)
3 光重合性樹脂組成物(積層体)

Claims (5)

  1. 光重合性樹脂組成物を含浸させた補強繊維束を、周方向に回転する芯型表面に積層して積層体とし、該積層体の外表面から光を照射して積層体を硬化させる繊維強化プラスチック管の製造方法において、光を照射する装置が、上記芯型の回転軸方向に複動可能とされ、芯型を回転させつつ光を照射する装置を複動させて積層体に光を照射し、上記光重合性樹脂組成物を硬化させることを特徴とする繊維強化プラスチック管の製造方法。
  2. 光を照射する装置に取り付けられた光源と芯型表面に積層された積層体外表面との距離が、芯型が回転しても一定の距離を保つことを特徴とする請求項1記載の繊維強化プラスチック管の製造方法。
  3. 光を照射する装置に取り付けられた光源と芯型表面に積層された積層体外表面との距離が大となれば、光を照射する装置の移動速度が遅くなることを特徴とする請求項1記載の繊維強化プラスチック管の製造方法。
  4. 光を照射する装置の有効な照射部分の製品長さ方向の距離をlとし、芯型が一回転した時に、光を照射する装置が芯型の回転軸方向に移動する距離をxとした時、nを、0又は正の整数とした場合に、(式)x≠n×lを満足するようにxを設定することを特徴とする請求項1乃至3記載の繊維強化プラスチック管の製造方法。
  5. 光を照射する装置が一回複動する間に、芯型が回転する回転角をαラジアンとし、光を照射してから積層体の硬化が完了するまでに要する時間内に、芯型が回転する総回転数をNとする場合、正の整数n’が存在して、(式)|N×(2π−α)|=2π×n’とすることができるようにαを設定することを特徴とする請求項1乃至4記載の繊維強化プラスチック管の製造方法。
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