JP2004282297A - 電話・lan共用ローゼット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】信号入力用の複数端子対と同数の出力用端子対と、両端子対間を電気的に接続する信号パスを擁する基板からなる通信用ローゼットにおいて、全対間の浮遊容量ブリッジバランスを、容量不足線間への容量付加25Bによって補正し、全対間結合容量を極小化する。
【選択図】図21
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話もしくはLANシステムなど、音声ないしデータを対象とした配線システムに共用可能な露出型及び埋込型の通信用ローゼットに関するものであり、より詳細には伝送対間の漏話対策を施した通信用ローゼットに関する。
【0002】
【従来の技術】
我国における電話対応のローゼットとしては、ケーブル芯線クランプに逆止作用を有する板バネを用いた図1及び図2に示すような露出型ローゼット(日本電信電話株式会社製の型番NMJ−8のローゼット。尚、参考文献としては実公平7− 43963公報。)と、図3及び図4に示すような埋込型ローゼット(日本電信電話株式会社製の型番WUK−8のローゼット。尚、参考文献としては実公平7− 9344公報。)が従来用いられてきた。
【0003】
図1及び図2の露出型ローゼットにおいて、図中符号1はカバー、2はローゼット本体、3はベース、4は基板、5はRJ45型のジャックを指す。図中符号7は逆止作用をもつS型の板バネであり、バネケース8内に嵌入保持されると共に、ケーブル芯線解除ボタン9が進退自在に挿入される。上記バネケース8はセパレータ6を用いて固定されると共にホルダー10内に収容される。
【0004】
図3及び図4の埋込型ローゼットにおいて、図中符号11はカバー、12はローゼット本体、19は基板、13はベース、18はRJ45型のジャック端子部、15はシャッターを指す。図中符号7は逆止作用をもつS型の板バネであり、バネケース17内に嵌入保持されると共に、ケーブル芯線解除ボタン14が進退自在に挿入される。上記のバネケース17はベース13の区画内に複数個が隣接して収容されることにより端子部材16を構成する。
【0005】
以上の従来技術のローゼットにおいては、ケーブル端子部に逆止作用をもつS型バネによるクランプ構造が採られていることによって、コネクタの成端作業が容易であり、繰返し挿抜が可能という大きな特長を有する。その結果電話用途としてはもっぱらこれらのローゼットが用いられ、使用実績も膨大なものとなっている。
【0006】
一方、近年インターネットの普及にともないデータトラフィックが急増し、従来からの音声トラフィックを凌駕するに至っていることから、宅内配線系もLANへの対応が求められ、電話・LAN共用化が急務になっている。LANでは1000BASE−Tが一般的な高速システムとして知られており、これをサポートする配線系としてはANSI/TIA/EIA−568−B.2(参考文献としてはANSI/TIA/EIA−568−B.2, May 2001 “Commercial Building Telecommunications Cabling Standard 。)のいわゆるエンハンストカテゴリー5(Cat.5e)が国際規格として最も普及している。
【0007】
さて、従来のローゼットにあっては、入力用RJ45型のジャック端子と出力用のSバネによるクランプ部が配線基板上に実装され、両端子が基板上に形成された信号パスによって結ばれている。図5は前記の図1及び図2に示す露出型ローゼット基板部品面の配線パタン、図6は同じく半田面の配線パタンである。図6(半田面)では表裏配線パタンの対向関係を見やすくする為、左右逆の透視図とした。図7は前記の図3及び図4に示す埋込型ローゼット基板部品面の配線パタン、図8は同じく半田面の配線パタンである。図に見られるように、電話用ローゼットの基板上パス引き回しについては、後記のキラー対の[36 /45] を見ると、パス長を短くするか対線間を極力離している。
【0008】
電話用途の場合、伝送対象である電気信号周波数帯域は1MHz 以下と低いため、信号パス間の漏話は問題とならず漏話補償はとくには必要でない。しかしLAN用途を考えた場合、信号帯域が数10MHz 以上にまで一気に拡大するため、信号パス間の漏話が大きなネックとなってくる。前述のCat. 5e規格では100MHz における各対間の近端漏話減衰量(NEXT)では、ディエンベデッド試験プラグのNEXT範囲34. 4〜37. 6dBに対して43dB以上であることが要求されている。
【0009】
図9はLANコネクタの一般的な構成を示したものである。接続されるべき4対8芯のUTP(Unshielded Twisted Pair 、対撚り線) ケーブルがそれぞれプラグとローゼットのクランプ部において成端され、プラグがジャックに嵌合されることによって挿抜可能な接続がなされる。ジャックとクランプ部は共通基板上に実装され、8端子ずつのジャックピンとクランプピンは基板上の電気的パスによって繋がっている。ここでケーブルの撚り対とプラグジャック部の端子対の関係をピン番号1〜8で示した。図のように、ケーブルの撚り対は[12]、[36]、[45]、[78]となっている。一方、プラグジャック部の端子配列は1〜8まで順番であるから[36]対が[45]対を跨ぐ形(図中符号20箇所)となり、これによって両対間の漏話が大きくなる。前記のように[36 /45] が漏話対策上キラー対となる所以である。したがってLANコネクタにおいては[36 /45] 対間の漏話補償が最大の課題となる。
【0010】
図10はとくには漏話対策を施さない従来の露出型及び埋込型ローゼットの100MHzにおける[12 /36] 、[12 /45] 、[12 /78] 、[36 /45] 、[36 /78] 及び[45 /78] 端子対間の近端漏話減衰量(NEXT)の測定結果である。図において21は前記の図1及び図2に示す露出型、22は前記の図3及び図4に示す埋込型に対応している。同図のように埋込型では全端子対間で、また露出型では[12 /36] 及び[45 /78] 以外の端子対間で規格を大きく割りこみ、このままではまったくCat.5eの使用に耐えないことがわかる。この結果は前記したケーブルの撚り対とプラグジャックの端子配列の事情からも了解されるところである。
【0011】
近端漏話減衰量(NEXT)以外にも遠端漏話減衰量(FEXT)や反射減衰量(RL)などの規格があるが、実際上最大の課題となるのは近端漏話減衰量(NEXT)であって、他の項目はNEXTのクリアにともなって比較的容易に解決されるものであるから以下NEXTを中心に記述する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
LAN業界ではCat.5eのコネクタが以前から市場に流通している。これらは概ねケーブルコネクタにIDC(Insulation Displacement Connection)端子を用いたもので、本発明が対象とするSバネクランプ端子の場合に比べ特性出しが比較的容易である。ただしCat.5e準拠であることを謳っている市場流通品を評価してみると、規格を割っているものが少なからず存在する。これはコネクタ設計が供給者それぞれの試行錯誤的手法に委ねられ、漏話補償の設計手法が確立していないことが大きな原因をなしている。
【0013】
従って本発明の目的は漏話補償の新たな手法を確立し、最小限の設計変更により従来型の露出型及び埋込型の電話用ローゼットをLAN用途のCat.5eにも対応可能ならしめる手段を提供することにある。
【0014】
漏話補償の概念は図11のような2対の平行線伝送モデルであらわすことができる。信号周波数が100MHzオーダまでの場合には線間浮遊アドミタンスは容量のみとみなして差し支えない。線路(伝送媒体)の特性インピーダンスZ0はCat.5eの場合100Ωである。
【0015】
図において2対の線路ii’とjj’が隣接しており、各線間の浮遊容量がそれぞれCij、Cij’、Ci’j及び Ci’j’であるとすると、線路系は図12のようなホイートストンのブリッジ回路であらわすことができる(丸林著“通信伝送工学”コロナ社、p.63〜66参照)。
【0016】
線路ii’に入力された信号は線間浮遊容量を介して線路jj’に漏洩する。等価回路でいえばブリッジのAB間に電位差が生じ次式であたえられる漏話電流が流れる。このときの漏話減衰量XTは次の数式1であたえられる(丸林著“通信伝送工学”コロナ社、p.63 〜66参照)。
(数式1)
I 2 = jωCkE1 / 4
ここに jは虚数単位、ωは信号角周波数、E1は信号電圧、Ck は容量ブリッジのアンバランスを表す結合容量で次の数式2であたえられる。
(数式2)
Ck =Cij+Ci’j’−Cij’−Ci’j
これより漏話減衰量XTを求めると次の数式3のようになる。
(数式3)
XT=10log10(8/ωCkZ0)2 (dB)
こうした浮遊容量のアンバランスは、伝送媒体である4対UTP(Unshielded Twisted Pair Cable、対撚り線)間で確保されていた容量バランスがプラグジャック部において芯線が一平面上に成端されることによって生ずるものである。
【0017】
さて上式から結合容量Ckがゼロ、すなわち容量ブリッジをバランスさせられれば漏話をゼロとすることができるが、このような容量バランスを実現するには、ブリッジ回路における容量不足アーム対のいずれかの線間に容量を付加すればよいことが了解される。他の対間も同様である。
【0018】
このように漏話補償の原理そのものは単純なものであるが、現実の設計現場ではそれぞれ秘中の試行錯誤によって容量の付加調整を行っているのが現状である。しかしこれらの作業を試行錯誤のみで行うには膨大なトライヤルを要するのみならず、場合によっては最適条件に収斂しないことがあるから注意を要する。
【0019】
【課題を解決するための手段】
以上の問題点を解消するために、本願においては次の発明を開示する。
【0020】
その1は、信号入力用の複数端子対と同数の出力用端子対と、両端子対間を電気的に接続する信号パスを擁する基板からなる通信用ローゼットにおいて、全対間の浮遊容量ブリッジバランスを、容量不足線間への容量付加によって補正し、全対間結合容量を極小化、望ましくは0.1 pF以下に抑制することを特徴とする発明であり、その場合の漏話減衰量の最大化を実現させるための容量バランス取得の具体的な設計手法として、まず信号パスのみの素線パタン時の全対容量ブリッジバランスを測定し、容量不足のアームに大小関係を逆転させるに十分以上の過剰な容量を付加し、次いでブリッジバランスが得られるまで該容量をトリミングすることによって容量バランスを得る。
【0021】
その2は、前記の発明において、出力用端子部に逆止作用を有する板バネによるクランプ機構を用い、このクランプ機構において、板バネを収容したバネケースの金属部分が狭い間隔で隣接し合う構成を採用し、その結果隣接するバネケース間に所定数値以上の浮遊容量が生じる場合に、この浮遊容量を利用してプラグジャック部における端子間のアンバランスな浮遊容量を相殺すべく、プラグジャック部における端子に対するバネケースにおける端子の対応関係を調整する発明である。
【0022】
以上の発明の詳細を記述する。従来の試行錯誤的手法に代わる設計手法として、本発明では基板設計を三段階に分ける方法を考える。
【0023】
第一段階は基板上にジャックとコネクタ間の信号パスのみを形成することである。これを素線パタンと名づける。ここでローゼットのタイプによっては、素線パタンの形成に先立って端子配列の選定が大きなポイントとなる。すなわち図3及び4に示すような埋込型のローゼットには露出型やIDC端子を用いた従来型のLANコネクタにはない特有の技術的課題がある。それは図4の16、17にあるように、コネクタ部の金属製バネケースが1mm程度の狭い間隔でしかも10平方mm以上の広い面積同士で隣接しあう構造であるために、バネケース間の浮遊容量が1pF以上の値をもつ。このためコネクタ端子の配列によっては各対間の容量バランスがうまくいかず、所定のCat.5e性能が出ないことが少なくない。そのため本発明においては、隣接するバネケース間の浮遊容量がプラグジャック部のピン間容量アンバランスを補償する方向に働くような端子配列を選ぶ。以下詳細に説明する。
【0024】
図13は、図3及び図4に示す埋込型のローゼットにおける基板上のジャックピン23とコネクタ端子部のバネケース24の関係を表す図である。ここで埋込型基板上の、▲1▼番から▲8▼番のジャックピン間浮遊容量が右からC12〜C78であったとし、a番からh番のバネケース間の浮遊容量が左からCab〜Cghであったとする。実測によれば双方の容量値は概ね1〜3pFのオーダである。隣接以遠の端子間の浮遊容量はこれらにくらべて小さいのでこのさい無視する。
【0025】
ジャックピン間とバネケース間に同じオーダの浮遊容量が存在することから、これらを容量ブリッジバランス上互いに相殺させることができれば都合がよい。
【0026】
図14は図12の等価回路にもとづいて対間の容量ブリッジの構成を示した表である。各対間の容量ブリッジバランスにおいて、線間容量欄の上欄の二つは同極性にはたらく容量、下欄の二つは逆極性にはたらく容量である。漏話対策上キラー対となる[36/45] でいえば、C34とC56は同極性に、C35とC46は逆極性にはたらく。プラグジャックにおいて、隣接ピン間容量にはC34とC56が存在するから、それらに対応して、バネケースにおいて▲3▼番と▲5▼番及び▲4▼番と▲6▼番を隣接させればよいことがわかる。すなわち、C34とC56に対して相殺方向にはたらくC35とC46のバネハウジングを隣接させることによって形成すればよい。他対間においても同様の考えが成立する。その結果、バネハウジングの端子配列として無理なく適当なものとしては、図15に示すようにa番からh番の端子配列として、▲7▼番,▲8▼番,▲6▼番,▲4▼番,▲5▼番,▲3▼番,▲1▼番,▲2▼番の[1]と、▲8▼番,▲7▼番,▲3▼番,▲5▼番,▲4▼番,▲6▼番,▲2▼番,▲1▼番の[2]の二通り存在することがわかる。端子のペアリングは[12]、[36]、[45]及び[78]であるので、▲1▼番から▲8▼番が千鳥状に順番に並ぶジャックピン配列との対応性を考えると、▲3▼番と▲6▼番が交叉しない前者のほうがより好ましい。
【0027】
以上のような端子配列の選定によって、プラグジャック間とバネケース間の浮遊容量を相互に相殺しあう方向にはたらかせることができる結果、素線パタン以降の容量補償を容易化することができるのである。
【0028】
信号線パタンの引き回しで注意すべきもうひとつの事項はジャックピン直下におけるパスの在り方である。間隔の狭いジャックピン直下には信号パスをもってこないのが望ましいが、必要な場合でも、少なくとも基板両面でパスが交差しないよう配慮すべきである。そうでないと容量補償が困難になることが多い。図16及び図17に図3及び図4に示す露出型ローゼットを対象とした素線パタンの例を示す。図16は基板の部品面、図17は半田面(透視図)を表している。
【0029】
この段階で基板にジャックとコネクタを実装してコネクタユニットとなし、全端子開放状態で各端子間の容量を測定する。図18のA欄に前記の露出型ローゼットの素線パタン時の[36/45] の容量ブリッジバランスの様子を示す。同図からわかるように、線間容量C35とC46の和がC34とC56の和より0.32pF少なくなっている。すなわち[36/45] 間の結合容量が0.32pFであることが知れる。この状態でのNEXT値は36.9dBであった。Cat.5eの規格値43dBを大きく割っている。
【0030】
第二段階は前記素線パタンにおいて容量バランス上不足のアーム、すなわち[35]ないしは[46]の線間に過剰な容量を形成付加して容量バランスを逆転させる。すなわち容量付加によって、C35とC46の和をC34とC56の和よりも逆に大きくするわけである。図19及び図20にこの状態の基板パタン例を示す。図19は基板の部品面、図20は半田面(透視図)を表している。図中符号25A、26Aは付加容量箇所を指す。この状態をフルCパタンと呼ぶことにする。付加容量の方式は、基板を表裏の電極板で挟むプレート型であっても、同一面内で形成するインターディジタル(櫛歯)型であってもよい。ただし後記するトリミングのしやすさや、容量形成の所要面積が少なくてすむことから、インターディジタル(櫛歯)型のほうが好ましい。図18のB欄にフルC状態での容量バランスとNEXT値を示す。同図からC35とC46の和がC34とC56の和よりも逆に1.84pF大きくなったことがわかる。ちなみにこのときの36/45のNEXT値は34.8dBであった。
【0031】
第三段階では過剰に付加した容量をトリミングすることによってブリッジバランスを実現する。すなわち第二段階におけるC35ないしはC46を少しずつ削除して、NEXT値を観測しながら上記の容量和が等しくなるように調整する。図21及び図22はこの状態の基板パタン例である。図21は基板の部品面、図22は半田面(透視図)を表す。図中符号25B、26Bはトリム後の付加容量箇所を指す。この状態をトリム後パタンと呼ぶ。図18のC欄にトリム後の容量バランスとNEXT値の結果を示す。トリミングによって結合容量が0.09pFに抑制され、NEXT値も53.2dBと大幅に改善されていることがわかる。
【0032】
以上のように基板パタンを三段階に分けて線間容量をバランスさせれば、パタン形成のカットアンドトライを膨大に繰り返さなくても、容易にNEXT値を最大化させることができる。ただし結合容量をゼロにしても、NEXT値が僅かなところで最大にならない場合がたまにあるが、それは容量以外の相互インダクタンスなどによるアドミタンス成分が残留するためであって、通常結合容量を0.1pF以下に抑えればCat.5e規格を満足させることができる。
【0033】
以上最難関である端子[36/45] 間の漏話対策について詳細を述べたが、他の対間に対しても必要に応じて同様の手法を踏襲すればよい。
【0034】
【実施例】
以下、具体的な実施例を挙げる。図23〜図27に本発明の手法によって得られた図21及び図22に示す基板による露出型ローゼットの特性を示す。尚、同基板においては、電話用途を考慮して、[36]及び[45]にISDN配線終端用あるいはシステム試験用外部素子挿入のためのパッドP1〜P4を設けている。ISDN配線終端用途には[36]及び[45]に終端抵抗を、システム試験用途には[45]に抵抗コンデンサ複合素子を取りつける。埋込型の場合も同様の措置が可能である。図23は試験プラグNEXT値に対する[36/45] 間の100MHzにおける嵌合NEXT特性である。これをチューニングカーブと称する。Cat.5e規格範囲を十分なマージンをもって満足している。図24はそのときの全対間の嵌合NEXT周波数特性である。100MHzまでの全周波数域において良好なマージンが得られている。図25〜図27は100MHzにおける総合的な特性を示したもので、図25は全対間の嵌合NEXT、図26は全対間の嵌合FEXT、図27は全対の反射減衰量である。いずれも規格を十分満足していることがわかる。
【0035】
露出型ローゼットのCat.5e化において、留意すべき構造上の設計事項を一点追加しておく。すなわち、従来の電話用ロ−ゼットでは、図28の断面図が示すように、基板半田面27とベース表面28が直接接触する構造になっている。ベース材であるABS樹脂もしくはmPPE樹脂は3弱の比誘電率値もつことから、この状態では間隙長に応じて基板半田面内の信号パス乃至インターディジタル要素の容量値が変化するため基板内の容量バランスに影響が出る。その結果、ローゼットの漏話特性が劣化する。この様子を図29に示す。同図において横軸は基板半田面とベース面間の間隙長、縦軸は嵌合NEXTの測定値である。この結果より、基板とベース面を0.3mm以上離すとNEXT値の劣化がほとんど無視できることがわかる。このことから、図30に示すように、ベース表面28において基板半田面27の配線パタンと対向する範囲以上の面積部分を0.3mm以上切削することによって間隙を確保し、以って特性の劣化を防ぐことが可能となる。
【0036】
以下は埋込型ローゼットの基板パタンの実施例である。図31及び図32に素線パタンの例を示す。図31は基板の部品面、図32は半田面(透視図)を表している。図33のA欄に素線状態での容量バランスとNEXT値を示す。次いで容量不足アームを対象にインターディジタルの容量を過剰に形成挿入することによってフルCパタンを形成する。フルC状態の基板パタンを図34及び図35に示す。図34は基板の部品面、図35は半田面(透視図)を表している。図中符号29A、30Aは付加容量箇所を指す。図33のB欄にフルC状態での容量バランスとNEXT値を示す。最後に嵌合NEXT値をモニタしながら過剰挿入の容量をトリミングし容量バランスを実現、以ってNEXT値の最大化を図る。図36及び図37はトリム後の基板パタン例である。図36は基板の部品面、図37は半田面(透視図)を表している。図中符号29B、30Bはトリム後の付加容量箇所を指す。図33のC欄にトリム後の容量バランスとNEXT値を示す。
【0037】
図38は試験プラグNEXT値に対する36/45間の100MHzにおける嵌合NEXT特性(チューニングカーブ)である。Cat.5e規格に対して対象に優れたNEXTマージンが得られていることがわかる。図39は全対間にわたる嵌合NEXTの周波数特性である。どの対間も十分なNEXTマージンが得られている。図40に全対間の嵌合NEXT、図41に全対間の嵌合FEXT、図42に全対の反射減衰量を示す。いずれもCat.5e規格をよく満足していることがわかる。
【0038】
【発明の効果】
以上の本発明によるときは、従来の電話用ローゼットの構成をほとんどそのまま活かし、基板のみを変更することによってANSI/TIA/EIA−568−B.2のCat.5e規格を満足する電話・LAN共用ローゼットを実現することができる。基板のみの変更で共用化が可能であることは、機構部分の大幅な改変を必要とせず、開発費用を最小限に抑えうることを意味する。
【0039】
また本発明による容量ブリッジバランスに着目した三段階の基板設計方式を採るときは、配線パタン決定のための膨大なトライヤルを必要とせず、容易に特性出しが可能となるため、開発工数が大幅に削減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が実施される電話用露出型ローゼットの被蓋状態の斜視図。
【図2】同上、分解斜視図。
【図3】本発明が実施される電話用埋込型ローゼットの被蓋状態の斜視図。
【図4】同上、分解斜視図。
【図5】本発明が実施される電話用露出型ローゼットの基板部品面の平面図。
【図6】同上、基板半田面の透視図。
【図7】本発明が実施される電話用埋込型ローゼットの基板部品面の平面図。
【図8】同上、基板半田面の透視図。
【図9】LANコネクタのピン配置を示す模式図。
【図10】電話用露出型及び埋込型ローゼットの近端漏話減衰量を表すグラフ。
【図11】2対の平行線による漏話モデルを示す回路図。
【図12】漏話モデルの等価ブリッジ回路を示す回路図。
【図13】埋込型のローゼットにおける基板上のジャックピンとコネクタ端子部のバネケースの関係を表す平面図。
【図14】埋込型基板における対間容量所在を示す表。
【図15】埋込型基板におけるクランプ端子の好ましい配列を示す表。
【図16】本発明の電話・LAN共用露出型ローゼットの基板部品面の素線パタンを示す基板の平面図。
【図17】同上、基板半田面素線パタンを示す透視図。
【図18】同上、[36/45] 容量ブリッジバランスを示す表。
【図19】同上、基板部品面のフルCパタンを示す平面図。
【図20】同上、基板半田面のフルCパタンを示す透視図。
【図21】同上、基板部品面のトリム後パタンを示す平面図。
【図22】同上、基板半田面のトリム後パタンを示す透視図。
【図23】同上、[36/45] 嵌合NEXTチューニングカーブを示すグラフ。
【図24】同上、嵌合NEXT周波数特性を示すグラフ。
【図25】同上、嵌合NEXT全対特性を示すグラフ。
【図26】同上、嵌合FEXT全対特性を示すグラフ。
【図27】同上、嵌合RL全対特性を示すグラフ。
【図28】同上、基板半田面とベース表面間を示す一部切り欠き側面図。
【図29】同上、基板半田面とベース表面間の空隙に対する[36/45] 嵌合NEXTのグラフ。
【図30】同上、基板半田面とベース表面間を示す一部切り欠き側面図。
【図31】本発明の電話・LAN共用埋込型ローゼットの基板部品面の素線パタンを示す基板の平面図。
【図32】同上、基板半田面素線パタンを示す透視図。
【図33】同上、[36/45] 容量ブリッジバランスを示す表。
【図34】同上、基板部品面のフルCパタンを示す平面図。
【図35】同上、基板半田面のフルCパタンを示す透視図。
【図36】同上、基板部品面のトリム後パタンを示す平面図。
【図37】同上、基板半田面のトリム後パタンを示す透視図。
【図38】同上、[36/45] 嵌合NEXTチューニングカーブを示すグラフ。
【図39】同上、嵌合NEXT周波数特性を示すグラフ。
【図40】同上、嵌合NEXT全対特性を示すグラフ。
【図41】同上、嵌合FEXT全対特性を示すグラフ。
【図42】同上、嵌合RL全対特性を示すグラフ。
【符号の説明】
2 ローゼット本体
4 基板
5 ジャック
7 板バネ
8 バネケース
12 ローゼット本体
18 ジャック端子部
7 板バネ
17 バネケース
19 基板
Claims (4)
- 信号入力用の複数端子対と同数の出力用端子対と、両端子対間を電気的に接続する信号パスを擁する基板からなる通信用ローゼットにおいて、全対間の浮遊容量ブリッジバランスを、容量不足線間への容量付加によって補正し、全対間結合容量を極小化したことを特徴とする通信用ローゼット。
- 極小化した全対間結合容量は0.1 pF以下である請求項1記載の通信用ローゼット。
- 通信用ローゼットは、出力用端子部に逆止作用を有する板バネによるクランプ機構を採用した電話・LAN共用ローゼットである請求項1又は2記載の通信用ローゼット。
- 信号入力用の複数端子と同数の出力用端子と、両端子間を電気的に接続する信号パスを擁する漏話補償型通信用ロ−ゼットを設計するにさいし、まず信号パスのみの素線パタン時の全対容量ブリッジバランスを測定し、容量不足のアームに大小関係を逆転させるに十分以上の過剰な容量を付加し、次いでブリッジバランスが得られるまで該容量をトリミングすることによって容量バランスを得、もって漏話減衰量の最大化を実現させることを特徴とする通信用ローゼットにおける容量バランス取得方法。
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- 2003-03-14 JP JP2003069398A patent/JP4037779B2/ja not_active Expired - Lifetime
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