JP2004282023A - 露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 投影光学系と基板との間に液体を満たして露光処理する際、液体中の気泡に起因するパターン像の劣化を抑えることができる露光装置を提供する。
【解決手段】 露光装置は、投影光学系と基板との間の少なくとも一部を液体50で満たすための液体供給装置1を備え、投影光学系を介してパターンの像を基板上に投影して、基板を露光する。液体供給装置1は、液体50中における気泡の発生を抑制する脱気装置21を備えている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、投影光学系と基板との間の少なくとも一部を液体で満たした状態で、投影光学系によって投影したパターン像で基板を露光する露光装置、及びこの露光装置を用いるデバイス製造方法に関するものである。
半導体デバイスや液晶表示デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写する、いわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。近年、デバイスパターンのより一層の高集積化に対応するために投影光学系の更なる高解像度化が望まれている。投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短くなる程、また投影光学系の開口数が大きい程高くなる。そのため、露光装置で使用される露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大している。そして、現在主流の露光波長は、KrFエキシマレーザの248nmであるが、更に短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化されつつある。また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k・λ/NA … (1)
δ=±k・λ/NA … (2)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k、kはプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。
焦点深度δが狭くなり過ぎると、投影光学系の像面に対して基板表面を合致させることが困難となり、露光動作時のフォーカスマージンが不足する恐れがある。そこで、実質的に露光波長を短くして、且つ焦点深度を広くする方法として、例えば国際公開第99/49504号公報に開示されている液浸法が提案されている。この液浸法は、投影光学系の下面と基板表面との間を水や有機溶媒等の液体で満たし、液体中での露光光の波長が、空気中の1/n(nは液体の屈折率で通常1.2〜1.6程度)になることを利用して解像度を向上するとともに、焦点深度を約n倍に拡大するというものである。
国際公開第99/49504号パンフレット
ところで、投影光学系の下面と基板表面との間に液体を満たした状態において、投影光学系の下面や基板表面に気泡が付着する等、露光中に投影光学系と基板との間の液体中に気泡が存在すると、基板上に像を形成するための光が基板上に到達しない、あるいは基板上に像を形成するための光が基板上の所望の位置に到達しないなどの現象が生じ、基板上に形成されるパターン像が劣化してしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、投影光学系と基板との間に液体を満たして露光処理する際、液体中の気泡に起因するパターン像の劣化を抑えることができる露光装置、及びこの露光装置を用いるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す図1〜図9に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の第1の態様に従えば、所定パターンの像で基板を露光する露光装置であって、
上記所定パターンの像を基板に投影する投影光学系(PL)と;
上記投影光学系と基板との間に液体を供給する液体供給装置(1)と;
上記投影光学系と基板との間に供給される液体中に含まれる気体成分を除去するための気体除去装置(21)と;を備える露光装置が提供される。
本発明の露光装置では、液体から気体成分を除去するための気体除去装置を備えるので、気体成分が充分に除去された液体が投影光学系と基板との間に供給されることが可能となる。さらに、投影光学系と基板との間(露光光の光路中)に存在する液体のみならず、気体除去装置から投影光学系と基板との間に至るまでの液体流路内において存在する液体中で気泡が発生することが抑制される。気体除去装置は、上記液体中の空気濃度が望ましくは0.016cm/cm以下になるように上記液体から気体成分を除去する。気体除去装置は、加熱装置、減圧装置若しくは脱気膜またはそれらの組合せを用い得る。気体除去装置は、液体供給装置内またはその外部に配置し得、露光装置のチャンバの外側に配置してもよい。
液体供給装置は、投影光学系と基板との間に液体を供給する複数の供給ノズルと、投影光学系と基板との間に供給された液体を回収する複数の回収ノズルとを有し得る。複数のノズルを用いることによって、投影領域に均一に液体を供給し得る。露光装置は、基板を載置して移動するステージを備え得る。ステージが投影光学系から投影される像に対して基板を移動している間に露光が行われ得る(スキャン露光)。この場合、供給ノズルは液体を基板の移動方向に噴射するのが、供給液体の流入抵抗を低下し、ステージの移動に影響を及ぼさない点で好ましい。
本発明の露光装置は、さらに、上記液体供給装置から供給される液体の温度を調整するための温度調整装置を備え得る。温度調整装置は液体の温度を露光装置内、例えば露光装置を収容するチャンバ内の雰囲気温度になるように調整するのが望ましい。こうすることで、温度調整された液体が投影光学系と基板との間に供給されることにより、基板の温度を制御し得る。
本発明の第2の態様に従えば、投影光学系(PL)によりパターンの像を基板(P)上に投影して、前記基板を露光する露光装置(EX)であって、
前記投影光学系(PL)と基板(P)との間の少なくとも一部を液体(50)で満たすための液体供給装置(1)と;
前記液体中における気泡の発生を抑制する気泡抑制装置(21)とを有する露光装置(EX)が提供される。
本発明によれば、投影光学系と基板との間の液体中における気泡の発生を抑制する気泡抑制装置を設けたので、露光光の光路上の液体中に気泡を存在させない状態で露光処理できるので、気泡に起因するパターン像の劣化を防止し、高いパターン精度を有するデバイスを製造することができる。例えば、投影光学系と基板との間に液体を供給する液体供給装置に、液体中における気泡の発生を抑制する気泡抑制装置を設けた場合には、液体中の気泡の発生を十分に抑制してからこの液体を投影光学系と基板との間に供給することができる。したがって、投影光学系と基板との間に満たされた液体からは気泡が発生しない。また、投影光学系の下面や基板表面など液体が流れる流路中に仮に気泡が発生していても、気泡の発生を十分に抑制された液体が流路中を流れることにより、液体はこの流路中に発生した気泡を吸収し除去できる。このように、露光光の光路上の液体中に気泡を存在させない状態で露光処理できるので、気泡に起因するパターン像の劣化を防止し、高いパターン精度を有するデバイスを製造することができる。
本発明の露光装置では、前記気泡抑制装置は液体中の気体を除去する脱気装置を含むことが好ましい。また、前記脱気装置は液体を加熱する加熱装置を含むことが好ましい。前記加熱装置は液体の温度Tを30℃<T≦100℃に設定し得る。さらに、前記脱気装置は、液体が保持された装置内部を減圧する減圧装置を含んでもよい。前記減圧装置は液体の温度に応じて圧力を設定し得る。また、前記脱気装置は、前記投影光学系と前記基板との間の液体の少なくとも一部の温度変化によって気泡が発生しないように脱気レベルを決定することが好ましい。また、前記脱気装置は、前記投影光学系と前記基板との間の液体に対する圧力変化によって気泡が発生しないように脱気レベルを決定してもよい。
さらに、本発明では、前記脱気装置が膜脱気装置であることが好ましい。また、前記膜脱気装置は中空糸部材を有することが好ましい。前記中空糸部材は、気体透過性であり、且つ液体不透過性であればよい。さらに、前記液体供給装置は、前記膜脱気装置に供給する液体を加熱して、前記膜脱気装置に供給する液体中の気体の溶存濃度を低下させる加熱装置を含むことが好ましい。
本発明の露光装置では、前記気泡抑制装置によって気泡の発生を抑制された液体は、気体との接触なしに、前記投影光学系と前記基板との間に供給されることが好ましい。
本発明では、本発明の第1又第2の態様の露光装置を用いることを特徴とするデバイス製造方法が提供される。
本発明によれば、投影光学系と基板との間の液体中における気泡の発生を抑制する気泡抑制装置を設けたので、露光光の光路上の液体中に気泡を存在させない状態で露光処理できるので、気泡に起因するパターン像の劣化を防止し、高いパターン精度を有するデバイスを製造することができる。
以下、本発明の露光装置及びデバイス製造方法について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
第1実施形態
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。
ここで、本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びY軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわり方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上にレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態では、ArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージMSTは、マスクMを支持するものであって、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTは、リニアモータ等のマスクステージ駆動装置MSTDにより駆動される。マスクステージ駆動装置MSTDは、制御装置CONTにより制御される。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置決めを行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、複数の光学素子(レンズ)で構成されており、これら光学素子は金属部材としての鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、本実施形態の投影光学系PLの先端側(基板P側)には、光学素子(レンズ)60が鏡筒PKより露出している。この光学素子60は鏡筒PKに対して着脱(交換)可能に設けられている。
基板ステージPSTは、基板Pを支持するものであって、基板Pを基板ホルダを介して保持するZステージ51と、Zステージ51を支持するXYステージ52と、XYステージ52を支持するベース53とを備えている。基板ステージPSTは、リニアモータ等の基板ステージ駆動装置PSTDにより駆動される。基板ステージ駆動装置PSTDは、制御装置CONTにより制御される。Zステージ51を駆動することにより、Zステージ51に保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及びθX、θY方向における位置が制御される。また、XYステージ52を駆動することにより、基板PのXY方向における位置(投影光学系PLの像面と実質的に平行な方向の位置)が制御される。すなわち、Zステージ51は、基板Pのフォーカス位置及び傾斜角を制御して基板Pの表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込み、XYステージ52は基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。なお、ZステージとXYステージとを一体的に設けてよいことは言うまでもない。
基板ステージPST(Zステージ51)上には、基板ステージPSTとともに投影光学系PLに対して移動する移動鏡54が設けられている。また、移動鏡54に対向する位置にはレーザ干渉計55が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計55によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計55の計測結果に基づいて基板ステージ駆動装置PSTDを駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板Pの位置決めを行う。
本実施形態では、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに、焦点深度を実質的に広くするために、液浸法を適用する。そのため、少なくともマスクMのパターンの像を基板P上に転写(投影)している間は、基板Pの表面と投影光学系PLの基板P側の光学素子(レンズ)60の先端面(下面)7との間に所定の液体50が満たされる。上述したように、投影光学系PLの先端側にはレンズ60が露出しており、液体50はレンズ60のみに接触するように後述する供給ノズルにより供給される。これにより、金属からなる鏡筒PKの腐蝕等が防止されている。本実施形態において、液体50には純水が用いられる。純水は、ArFエキシマレーザ光のみならず、露光光ELを例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)とした場合、この露光光ELを透過可能である。
露光装置EXは、投影光学系PLの先端面(レンズ60の先端面)7と基板Pとの間の空間56に所定の液体50を供給する液体供給装置1と、空間56の液体50を回収する液体回収装置2とを備えている。液体供給装置1は、投影光学系PLと基板Pとの間の少なくとも一部を液体50で満たすためのものであって、液体50を収容するタンク、加圧ポンプなどを備えている。液体供給装置1には供給管3の一端部が接続され、供給管3の他端部には供給ノズル4が接続されている。液体供給装置1は、供給管3及び供給ノズル4を介して空間56に液体50を供給する。
液体回収装置2は、吸引ポンプ、回収した液体50を収容するタンクなどを備えている。液体回収装置2には回収管6の一端部が接続され、回収管6の他端部には回収ノズル5が接続されている。液体回収装置2は、回収ノズル5及び回収管6を介して空間56の液体50を回収する。空間56に液体50を満たす際、制御装置CONTは液体供給装置1を駆動し、供給管3及び供給ノズル4を介して空間56に対して単位時間当たり所定量の液体50を供給するとともに、液体回収装置2を駆動し、回収ノズル5及び回収管6を介して単位時間当たり所定量の液体50を空間56より回収する。これにより、投影光学系PLの先端面7と基板Pとの間の空間56に液体50が保持される。
図2は、露光装置EXの投影光学系PLの下部、液体供給装置1、及び液体回収装置2等を示す図1の部分拡大図である。図2において、投影光学系PLの最下端のレンズ60は、先端部60Aが走査方向に必要な部分だけを残してY軸方向(非走査方向)に細長い矩形状に形成されている。走査露光時には、先端部60Aの直下の矩形の投影領域にマスクMの一部のパターン像が投影され、投影光学系PLに対して、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、XYステージ52を介して基板Pが+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。そして、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピングによって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で各ショット領域に対する露光処理が順次行われる。本実施形態では、基板Pの移動方向と平行に、基板Pの移動方向と同一方向に液体50を流すように設定されている。
図3は、投影光学系PLのレンズ60の先端部60Aと、液体50をX軸方向に供給する供給ノズル4(4A〜4C)と、液体50を回収する回収ノズル5(5A、5B)との位置関係を示す図である。図3において、レンズ60の先端部60Aの形状はY軸方向に細長い矩形状となっており、投影光学系PLのレンズ60の先端部60AをX軸方向に挟むように、+X方向側に3つの供給ノズル4A〜4Cが配置され、−X方向側に2つの回収ノズル5A、5Bが配置されている。そして、供給ノズル4A〜4Cは供給管3を介して液体供給装置1に接続され、回収ノズル5A、5Bは回収管4を介して液体回収装置2に接続されている。また、供給ノズル4A〜4Cと回収ノズル5A、5Bとを先端部60Aの中心に対して略180°回転した位置に、供給ノズル8A〜8Cと、回収ノズル9A、9Bとが配置されてい。供給ノズル4A〜4Cと回収ノズル9A、9BとはY軸方向に交互に配列され、供給ノズル8A〜8Cと回収ノズル5A、5BとはY軸方向に交互に配列され、供給ノズル8A〜8Cは供給管10を介して液体供給装置1に接続され、回収ノズル9A、9Bは回収管11を介して液体回収装置2に接続されている。なおノズルからの液体の供給は、投影光学系PLと基板Pとの間に気体部分が生じないように行う必要がある。
図4は、液体供給装置1の構成図である。図4に示すように、液体供給装置1は、液体50中における気泡の発生を抑制する気泡抑制装置としての脱気装置21を備えている。図4に示す脱気装置21は液体50を加熱する加熱装置を備えている。ここで、本実施形態において、液体50は液体供給装置1と液体回収装置2との間で循環するようになっており、液体回収装置2からの液体50は循環管12を介して液体供給装置1に戻されるようになっている。液体供給装置1には、その上流側に液体を送り出す加圧ポンプ15が設けられている。
液体供給装置1は、基板Pや投影光学系PLの汚染を防止するために、あるいは基板P上に投影されるパターン像の劣化を防止するために、例えば液体回収装置2で回収された液体50をフィルタリングして、液体回収装置2で回収された液体50内の異物等を除去するためのフィルタ20と、フィルタ20を通過した液体50を所定の温度(例えば90℃)に加熱する加熱装置21と、加熱装置21により加熱された液体50の温度を所望の温度に調整する温度調整装置22とを備えている。また、図4には不図示であるが、液体供給装置1は液体50を所定量保持可能なタンク等の容器を備えている。ここで、液体供給装置1に設けられている温度調整装置22は、空間56に供給する液体50の温度を、例えば露光装置EXが収容されているチャンバ内の温度(例えば23℃)と同程度に設定する。温度調整装置22には供給管3、10が接続されており、温度調整装置22により温度調整された液体50は加圧ポンプ15により供給管3(10)を介して空間56に供給される。
加熱装置21は、例えばタンク等の収容装置内部に液体50を収容し、この収容装置を加熱することで液体50を加熱するものであって、この収容装置には排気装置の一部を構成する排気管13が接続されている。加熱装置21の動作は、制御装置CONTにより制御されるようになっている。加熱装置21は液体50を所定の温度に加熱することで、この液体50中に溶解している気体を液体50から除去(脱気)する。取り出された気体成分は、排気管13より装置外部に排出される。液体50は、加熱装置21で脱気されることにより気泡の発生が抑制される。加熱装置21は、例えば、液体50を保持可能なステンレススティールの容器の外側に電熱ヒーターを巻き付けて、その電熱ヒータの温度を制御する、あるいはステンレススティール製の螺旋管を温度制御された高温液体中に浸し、その螺旋管中に液体50を流すなどの手法を採用し得るのように構成し得る。
ここで、加熱装置21は、液体50の温度を30℃以上100℃以下に設定する。すなわち、液体50は温度調整装置22で設定される温度(チャンバ内の温度である例えば23℃)より高い温度、且つ液体の沸点以下の温度範囲で加熱される。加熱装置21は上記温度範囲で液体50を加熱することで脱気し、空間56に供給される液体50中における気泡の発生を抑制する。特に、加熱装置21は、液体50をその沸点まで加熱することにより十分に脱気することができる。
なお、液体50は加熱装置21においてチャンバ内(空間56)の温度より高く且つ沸点以下の温度に設定されることが好ましいため、液体50が水以外の液体である場合、加熱装置21はこの液体の沸点に応じた温度に加熱する。
次に、上述した露光装置EXを用いてマスクMのパターンを基板Pに露光する手順について説明する。
マスクMがマスクステージMSTにロードされるとともに、基板Pが基板ステージPSTにロードされた後、制御装置CONTは液体供給装置1を駆動し、空間56に対する液体供給動作を開始する。液体供給装置1において、液体50は、フィルタ20を通過することにより異物等を除去された状態で加熱装置21に供給される。加熱装置21に供給された液体50は、所定の温度に加熱される。液体50は、加熱装置21で所定の温度に加熱されることにより脱気される。除去された気体成分は、排気装置の一部を構成する排気管13を介して装置外部に排出される。脱気された液体50は温度調整装置22に供給され、例えばチャンバ内の温度とほぼ等しい温度に調整された後、供給管3及び供給ノズル4を介して空間56に供給される。ここで、加熱装置21と温度調整装置22とを接続する管14、温度調整装置22、及び供給管3等の液体50の流路は密閉されており、液体50はこの流路を十分に満たした状態で流れる。すなわち、この流路を流れる液体50は気体との接触なしに空間56に供給されるようになっている。また加熱装置21から空間56に供給されるまでの流路を形成する供給管3などの内壁面(液体との接触面)は親水性になっており、加熱装置21から空間56までの流路で液体中に気泡が発生することを抑制している。その場合、例えば供給管3として、電解研磨されたステンレスのパイプを用いるとよい。なお、脱気された状態の液体50を気体に接触させない貯蔵容器やパイプ中に保存しておき、所望のタイミングで空間56に供給するようにしてもよい。この場合、加熱装置21の他に前記流路や前記貯蔵容器、あるいは前記パイプも気泡抑制装置の一部として機能する。
そして、矢印Xa(図3参照)で示す走査方向(−X方向)に基板Pを移動させて走査露光を行う場合には、供給管3、供給ノズル4A〜4C、回収管4、及び回収ノズル5A、5Bを用いて、液体供給装置1及び液体回収装置2により液体50の供給及び回収が行われる。すなわち、基板Pが−X方向に移動する際には、供給管3及び供給ノズル4(4A〜4C)を介して液体供給装置1から気泡の発生を抑制された液体50が投影光学系PLと基板Pとの間に供給されるとともに、回収ノズル5(5A、5B)、及び回収管6を介して液体50が液体回収装置2に回収され、レンズ60と基板Pとの間を満たすように−X方向に液体50が流れる。一方、矢印Xbで示す走査方向(+X方向)に基板Pを移動させて走査露光を行う場合には、供給管10、供給ノズル8A〜8C、回収管11、及び回収ノズル9A、9Bを用いて、液体供給装置1及び液体回収装置2により液体50の供給及び回収が行われる。すなわち、基板Pが+X方向に移動する際には、供給管10及び供給ノズル8(8A〜8C)を介して液体供給装置1から脱気された液体50が投影光学系PLと基板Pとの間に供給されるとともに、回収ノズル9(9A、9B)、及び回収管11を介して液体50が液体回収装置2に回収され、レンズ60と基板Pとの間を満たすように+X方向に液体50が流れる。このように、制御装置CONTは、液体供給装置1及び液体回収装置2を用いて、基板Pの移動方向に沿って液体50を流す。この場合、例えば液体供給装置1から供給ノズル4を介して供給される液体50は基板Pの−X方向への移動に伴って空間56に引き込まれるようにして流れるので、液体供給装置1の供給エネルギーが小さくでも液体50を空間56に容易に供給できる。そして、走査方向に応じて液体50を流す方向を切り替えることにより、+X方向、又は−X方向のどちらの方向に基板Pを走査する場合にも、レンズ60の先端面7と基板Pとの間を液体50で満たすことができ、高い解像度及び広い焦点深度を得ることができる。
以上説明したように、露光装置に、特に、投影光学系PLと基板Pとの間に液体50を供給する液体供給装置1に、液体50を加熱する加熱装置21を設けたので、液体50を十分に脱気してからこの液体50を投影光学系PLと基板Pとの間に供給することができる。したがって、露光処理中、投影光学系PLと基板Pとの間に満たされた液体50中の気泡の発生を抑制できる。また、加熱装置(脱気装置)21と空間56との間の流路中や、投影光学系PLの先端面7、あるいは基板P表面などに何らかの原因で仮に気泡が発生していても、十分に脱気された液体50が流路や空間56を流れることにより、液体50はこの流路中に存在する気泡を吸収し除去できる。また投影光学系PLと基板Pとの間の空間56に供給された液体50は、その周囲の気体(空気)に触れることになるため、液体50中に周囲の気体(空気)が溶け込むおそれがあるが、液体50中への気体(空気)の溶解には数分程度かかるため、液体供給装置1から供給された液体50は、その脱気された性質を失う前に、液体回収装置2に回収される。したがって、空間56における液体50中への気体(空気)の溶解によって、投影光学系PLと基板Pとの間の液体50に気泡が生じることもない。このように、露光光ELの光路上の液体50中に気泡を存在させない状態で露光処理できるので、気泡に起因するパターン像の劣化を防止し、高いパターン精度を有するデバイスを製造することができる。なお、加熱装置21は、液体供給装置1内に設けずに、液体供給装置1から離れた場所に設けてもよく、露光装置チャンバ内部または外部に設けてもよい。
また、液体50は温度調整装置22により温度調整された状態で空間56に供給されるので、基板P表面の温度調整が行われ、露光の際に生じる熱による基板Pの熱膨張によるアライメント精度等の低下を防止することができる。
上述したように、本実施形態における液体50は純水を用いた。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44〜1.47程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約131〜134nm程度に短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44〜1.47倍程度に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
本実施形態では、投影光学系PLの先端にレンズ60が取り付けられているが、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。液体50と接触する光学素子を、レンズより安価な平行平面板とすることにより、露光装置EXの運搬、組立、調整時等において、投影光学系PLの透過率、基板P上での露光光ELの照度、及び照度分布の均一性を低下させる物質(例えばシリコン系有機物等)がその平行平面板に付着しても、液体50を供給する直前にその平行平面板を交換するだけでよく、液体50と接触する光学素子をレンズとする場合に比べてその交換コストが低くなるという利点がある。すなわち、露光光ELの照射によりレジストから発生する飛散粒子、または液体50中の不純物の付着などに起因して液体50に接触する光学素子の表面が汚れるため、その光学素子を定期的に交換する必要があるが、この光学素子を安価な平行平面板とすることにより、レンズに比べて交換部品のコストが低く、且つ交換に要する時間を短くすることができ、メンテナンスコスト(ランニングコスト)の上昇やスループットの低下を抑えることができる。
また、液体50の流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体50で満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体50を満たす構成であってもよい。
なお、本実施形態の液体50は水であるが、水以外の液体であってもよい。例えば、露光光ELの光源がFレーザである場合、このFレーザ光は水を透過しないので、液体50としては、Fレーザ光を透過可能な、例えばフッ素系オイル(フッ素系の液体)や過フッ化ポリエーテル(PFPE)であってもよい。また、液体50としては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。
第2実施形態
次に、本発明の露光装置EXの第2の実施形態について、図5を参照しながら説明する。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。本実施形態に係る特徴的な部分は、加熱装置21に代えて減圧装置23が設けられている点である。
図5に示すように、液体供給装置1は、基板Pや投影光学系PLの汚染を防止するために、あるいは基板P上に投影されるパターン像の劣化を防止するために、例えば液体回収装置2で回収された液体50をフィルタリングして、液体50中の異物を除去するフィルタ20と、フィルタ20で異物を除去された液体50を減圧することでこの液体50を脱気する減圧装置23と、減圧装置23で脱気処理された液体50をチャンバ内の温度とほぼ同じ温度に調整する温度調整装置22と加圧ポンプ25とを備えている。減圧装置23は、液体50を保持する容器を有し、この容器内部を減圧することで液体50を脱気する。このように、液体50を加熱する代わりに減圧することによっても液体50を脱気することができる。減圧装置50は、例えば、液体50を所定量保持可能な容器と、その容器に接続され、その容器内で液体50に接している気体の圧力を減圧する真空ポンプから構成し得る。
なお、液体50を脱気するために、液体50に対する加熱処理と減圧処理とを同時に行ってもよい。すなわち、液体50を保持可能な容器を有する減圧装置23に、この容器を加熱する加熱装置を設ける構成とすることができる。減圧装置23は容器に液体50を収容し、この容器を減圧しつつ前記加熱装置を用いて液体50を加熱することで液体50を脱気することができる。
このとき、減圧装置23は、液体50の温度に応じて圧力を設定する。すなわち、液体50は沸点まで加熱されることにより十分な脱気効果を得られるが、液体50の沸点は圧力に依存するため、液体50の温度に応じて圧力を設定することで液体50を効率良く且つ良好に脱気できる。例えば、液体50としての水の沸点が100℃となるときの圧力(沸騰圧力)は、大気圧(101325Pa)である。沸点が90℃となるときの沸騰圧力は、70121Paである。同様に、沸点80℃では沸騰圧力47377Pa、沸点50℃では沸騰圧力12345Pa、沸点30℃では沸騰圧力4244.9Pa、沸点20℃では沸騰圧力2338.1Paである。したがって、減圧装置23は、液体50の温度が例えば加熱装置により100℃に設定されている場合には、減圧処理を行わずに大気圧下で液体50を沸騰させて脱気できる。一方、液体50の温度が90℃である場合には、減圧装置23は圧力を大気圧〜温度90℃での沸騰圧力(70121Pa)の範囲に設定することで、液体50を沸騰させて脱気できる。同様に、例えば液体50の温度が30℃では、減圧装置23は圧力を大気圧〜沸騰圧力(4244.9Pa)に設定することで、液体50を沸騰させて脱気できる。このように、液体50の沸点は圧力により変動するので、減圧装置23は液体50の温度に応じて圧力を設定することで液体50を良好に脱気できる。
なお、投影光学系PLと基板Pとの間に供給する液体50の脱気レベル、すなわち液体50の溶存気体濃度は、液体50の使用条件(露光条件など)に応じて決めるとよい。液浸露光の場合、露光光ELの照射により、あるいは露光光ELの照射により暖められた基板Pの熱によって、投影光学系PLと基板Pとの間の液体50の温度が露光中に全体的、あるいは部分的に上昇する。液体50の温度上昇は、露光光ELの強度などによっても異なり、数℃(1〜3℃)程度であるが、液体50の脱気レベルが低いと、液体50の温度上昇によって液体50中に溶け込んでいた気体が気泡となって発生してしまう可能性がある。したがって、投影光学系PLと基板Pとの間で液体50に温度上昇が生じても気泡が発生しないように、液体50の脱気レベルを設定する必要がある。例えば、上述したように、投影光学系PLと基板Pとの間に23℃程度に温度制御された液体を供給する場合には、安全を見越して、例えば液体の温度が30℃に上昇しても気泡が発生しないように脱気レベルを設定すればよい。具体的には、液体50、すなわち水の脱気レベルを、30℃における水の空気溶解飽和量0.016cm/cm以下(質量比で言えば、Nは13ppm以下、Oは7.8ppm以下)に設定すればよい。なお、「cm/cm」は水1cmに溶解する空気の体積cmを示すものである。
また液浸露光の場合、投影光学系PLと基板Pとの間の液体50に流れが生じると、液体50の圧力変化が生じる。その圧力変化は、液体の供給量、回収量、基板Pの移動速度などによっても異なり、数百Pa(100〜300Pa)程度であるが、液体50の脱気レベルが低いと液体50に対する圧力変化によって液体50中で気泡が発生してしまう可能性がある。したがって、液体50の脱気レベルは、液体50の数百Paの圧力変化によっても気泡が発生しないように設定しておけばよい。
また、脱気レベルを上げることが困難な場合には、投影光学系PLと基板Pとの間の液体に気泡を発生させる温度変化や圧力変化が起きないように露光条件を決めてもよい。露光条件としては、液体の供給量、回収量、基板Pの移動速度、露光光強度、露光パルス光の発射周期(パルス間隔)、露光パルス光のパルス幅のうちの少なくとも一つが含まれる。なお、液体の温度変化や圧力変化を考慮して露光条件を決定する場合には、気泡の発生防止ばかりでなく、液体の屈折率変化に起因するパターン像の結像劣化の防止も踏まえて決める必要があることは言うまでもない。
第3実施形態
本発明の露光装置EXの第3の実施形態について、図6及び7を参照しながら説明する。この実施形態の露光装置では、第1実施形態における液体供給装置における加熱装置に代えて、図6に示すような膜脱気装置24及び加熱装置25を備える。以下の説明において上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
図6は、液体供給装置1の構成図である。図6に示すように、液体供給装置1は、基板Pや投影光学系PLの汚染を防止するために、あるいは基板P上に投影されるパターン像の劣化を防止するために、例えば液体回収装置2で回収された液体50をフィルタリングして、液体回収装置2で回収された液体50内の異物等を除去するためのフィルタ20と、フィルタ20を通過した液体50を所定の温度に加熱する加熱装置25と、加熱装置25により加熱された液体50中の気体を除去する膜脱気装置24と、膜脱気装置24により脱気処理された液体50の温度を所望の温度に調整する温度調整装置22と、加圧ポンプ15とを備えている。加熱装置25によって溶存気体濃度を低下させた液体50は、管12を介して膜脱気装置24に供給される。さらに膜脱気装置24で脱気された液体50は、管14を介して温度調整装置22に供給される。また、膜脱気装置24は排気管13に接続されており、液体50から除去(脱気)された気体が排出される。また、温度調整装置22は、空間56に供給する液体50の温度を、例えば露光装置EXが収容されているチャンバ内の温度(例えば23℃)と同程度に設定する。温度調整装置22には供給管3、10が接続されており、温度調整装置22により温度調整された液体50は加圧ポンプ15により供給管3(10)を介して空間56に供給されるようになっている。なお、この膜脱気装置24の動作も制御装置CONTにより制御される。
図7は、膜脱気装置24の概略構成を示す断面図である。ハウジング71の内部に筒状の中空糸束72が所定空間73を介して収容されている。中空糸束72はストロー状の中空糸膜74の複数を平行に束ねたものであり、各中空糸膜74は、疎水性が高く気体透過性に優れた素材(例えば、ポリ4メチルペンテン1)で形成されている。ハウジング71の両端には真空キャップ部材75a,75bが固定されており、ハウジング71の両端外側に密閉空間76a,76bを形成している。真空キャップ部材75a,75bには不図示の真空ポンプに接続された脱気口77a,77bが設けられている。また、ハウジング71の両端には、中空糸束72の両端のみが密閉空間76a,76bに連結されるように封止部78a,78bが形成されており、脱気口77a,77bに接続された真空ポンプによりそれぞれの中空糸膜74の内側を減圧状態にすることができる。中空糸束72の内部には、管12に接続された管79が配置されている。管79には複数の液体供給穴80が設けられており、封止部78a,78b及び中空糸束72で囲まれた空間81に、液体供給穴80から液体50が供給される。液体供給穴80から空間81に液体50の供給を続けられると、液体50は平行に束ねた中空糸膜74の層を横切るように外側へ向かって流れ、液体50が中空糸膜74の外表面と接触する。前述したように中空糸膜74はそれぞれ、疎水性が高く気体透過性に優れた素材で形成されているので、液体50は中空糸膜74の内側に入ることなく、各中空糸膜74の間を通って中空糸束72の外側の空間73に移動する。一方、液体50中に溶解している気体(分子)は、中空糸膜74の内側が減圧状態(20Torr程度)になっているので、各中空糸膜74の内側へ移動する(吸収される)。このように、中空糸膜74の層を横切る間に液体50から除去(脱気)された気体成分は、矢印83で示すように、中空糸束72の両端から密閉空間76a,76b介して脱気口77a,77bから排出される。また、脱気処理された液体50は、ハウジング51に設けられた液体出口82から管14を介して温度調整装置22に供給される。
以上説明したように、投影光学系PLと基板Pとの間に液体50を供給する液体供給装置1に、液体50中の気体を除去(脱気)する膜脱気装置24を設けたので、液体50を十分に脱気してからこの液体50を投影光学系PLと基板Pとの間に供給することができる。したがって、露光処理中、投影光学系PLと基板Pとの間に満たされた液体50中の気泡の発生を抑制できる。また、膜脱気装置24と空間56との間の流路中や、投影光学系PLの先端面7、あるいは基板P表面などに何らかの原因で仮に気泡が発生していても、十分に脱気された液体50が流路や空間56を流れることにより、液体50はこの流路中に存在する気泡を吸収し除去できる。このように、露光光ELの光路上の液体50中に気泡を存在させない状態で露光処理できるので、気泡に起因するパターン像の劣化を防止し、高いパターン精度を有するデバイスを製造することができる。
本実施形態においては、加熱装置25で液体を加熱し、溶存気体濃度を下げてから膜脱気装置24に液体を供給することで、空間56に供給される液体の脱気レベルを向上させるようにしているが、加熱装置25の代わりに減圧装置を用いて溶存気体濃度を低下させてから膜脱気装置24に液体を供給するようにしてもよい。また、膜脱気装置24での脱気能力が十分に高い場合には、フィルタ20を通過した液体を加熱装置や減圧装置を介さずに膜脱気装置24に導くようにしてもよい。
上記各実施形態において、上述したノズルの形状は特に限定されるものでなく、例えば先端部60Aの長辺について2対のノズルで液体50の供給又は回収を行うようにしてもよい。なお、この場合には、+X方向、又は−X方向のどちらの方向からも液体50の供給及び回収を行うことができるようにするため、供給ノズルと回収ノズルと上下に並べて配置してもよい。
また、図8に示すように、先端部60Aを挟んでY軸方向両側のそれぞれに供給ノズル31、32及び回収ノズル33、34を設けることもできる。この供給ノズル及び回収ノズルにより、ステップ移動する際の基板Pの非走査方向(Y軸方向)への移動時においても、投影光学系PLと基板Pとの間に液体50を安定して供給することができる。
また上述の実施形態においては、気体除去装置(加熱装置21,減圧装置23,膜脱気装置24)で気体の除去が行われた液体を、気体に接触させることなく、投影光学系PLと基板Pとの間の空間56に供給するようになっているが、気体除去が十分に行われ、液体に溶け込む気体量が少ないことがわかっていれば、一部もしくはすべての流路で気体に触れるようにしてもよい。すなわち、気体除去装置と空間56との間で液体に触れないようにすることは、気泡抑制のために必須な構成ではない。
また、上述の実施形態においては、液体回収装置2で回収された液体を液体供給装置1へ戻す機構になっているが、必ずしもその必要はなく、液体供給装置1へは新しい純水を送り、液体回収装置2で回収された液体は廃棄するようにしてもよい。
また上述の実施形態においては、基板Pを露光するときに投影光学系PLの像面側に液浸領域を形成する場合について説明したが、基板Pを露光するときのみならず、基板ステージPST(Zステージ51)上に設けられている各種の計測部材や計測センサを用いる場合にも投影光学系PLの像面側に液体を配置して、その液体を介して各種の計測を行う場合がある。このような計測を行う場合にも、上述と同様に液体中の気泡の発生を抑制することによって気泡に起因する計測誤差などを防止することができる。
また、上述の実施形態における液体供給装置と液体回収装置は、投影光学系PLの投影領域の両側に供給ノズルと回収ノズルとを有し、基板Pの走査方向に応じて、投影領域の一方側から液体を供給し、他方側で液体を回収する構成であるが、液体供給装置と液体回収装置の構成は、これに限られず、投影光学系PLと基板Pとの間に液体を局所的に保持できればよい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間を局所的に液体で満たす露光装置を採用しているが、露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置や、ステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する液浸露光装置にも本発明を適用可能である。露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平6−124873号公報に詳細に記載されており、また、ステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する液浸露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平10−303114号公報に詳細に記載されており、それぞれ本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、本文の記載の一部とする。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明は基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、ツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平10−163099号及び特開平10−214783号(対応米国特許6,341,007号、6,400,441号、6,549,269号及び6,590,634号)、特表2000−505958号(対応米国特許5,969,441号)あるいは米国特許6,208,407号に開示されており、それぞれ本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、本文の記載の一部とする。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置等にも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。ステージにリニアモータを用いた例は、米国特許5,623,853及び5,528,118に開示されており、それぞれ本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、本文の記載の一部とする。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。この反力の処理方法は、例えば特開平8−166475号公報(米国特許5,528,118)に詳細に開示されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、本文の記載の一部とする。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。この反力の処理方法は、例えば特開平8−330224号公報(米国特許5,874,820)に詳細に開示されており、本国際出願で指定または選択された国の法令で許容される限りにおいて、本文の記載の一部とする。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図9に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。 投影光学系の先端部と液体供給装置及び液体回収装置との位置関係を示す図である。 供給ノズル及び回収ノズルの配置例を示す図である。 液体供給装置の一実施形態を示す概略構成図である。 液体供給装置の他の実施形態を示す概略構成図である。 液体供給装置の更に異なる実施形態を示す概略構成図である。 膜脱気装置の概略構成を示す断面図である。 供給ノズル及び回収ノズルの配置例を示す図である。 半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
符号の説明
1…液体供給装置、2…液体回収装置、21…加熱装置(気泡抑制装置、脱気装置)、
23…減圧装置(気泡抑制装置、脱気装置)、50…液体、EX…露光装置、
PL…投影光学系、P…基板

Claims (27)

  1. 所定パターンの像で基板を露光する露光装置であって、
    上記所定パターンの像を基板に投影する投影光学系と;
    上記投影光学系と基板との間に液体を供給する液体供給装置と;
    上記投影光学系と基板との間に供給される液体中に含まれる気体成分を除去するための気体除去装置と;を備える露光装置。
  2. 上記気体除去装置は、上記液体中の空気濃度が0.016cm/cm以下になるように上記液体から気体成分を除去する請求項1に記載の露光装置。
  3. 上記気体除去装置が、加熱装置、減圧装置及び脱気膜の少なくとも一種である請求項1に記載の露光装置。
  4. 上記液体供給装置が、投影光学系と基板との間に液体を供給する複数の供給ノズルと、投影光学系と基板との間に供給された液体を回収する複数の回収ノズルとを含む請求項1に記載の露光装置。
  5. 露光装置が基板を載置して移動するステージを備え、該ステージが投影光学系から投影される像に対して基板を移動している間に露光が行われ、上記供給ノズルは液体を基板の移動方向に噴射する請求項4に記載の露光装置。
  6. 上記供給ノズルと回収ノズルが交互に配列されている請求項4に記載の露光装置。
  7. 上記交互に配列された供給ノズルと回収ノズルの組合せが、投影光学系の投影領域を挟んで対向している請求項6に記載の露光装置。
  8. さらに、上記液体供給装置から供給される液体の温度を調整するための温度調整装置を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光装置。
  9. 上記温度調整装置が液体の温度を露光装置内の温度になるように調整する請求項8に記載の露光装置。
  10. 上記温度調整された液体が投影光学系と基板との間に供給されることにより、基板の温度が制御される請求項9に記載の露光装置。
  11. 投影光学系によりパターンの像を基板上に投影して、前記基板を露光する露光装置であって、
    前記投影光学系と基板との間の少なくとも一部を液体で満たすための液体供給装置と;
    前記液体中における気泡の発生を抑制する気泡抑制装置とを有する露光装置。
  12. 前記気泡抑制装置は液体中の気体を除去する脱気装置を含む請求項11に記載の露光装置。
  13. 前記脱気装置は液体を加熱する加熱装置を含む請求項12に記載の露光装置。
  14. 前記加熱装置は液体の温度Tを30℃<T≦100℃に設定する請求項13に記載の露光装置。
  15. 前記脱気装置は、液体が保持された装置内部を減圧する減圧装置を含む請求項12に記載の露光装置。
  16. 前記減圧装置は液体の温度に応じて圧力を設定する請求項15に記載の露光装置。
  17. 前記脱気装置は、前記投影光学系と前記基板との間の液体の少なくとも一部の温度変化によって気泡が発生しないように脱気レベルを決定する請求項12〜16に記載の露光装置。
  18. 前記脱気装置は、前記投影光学系と前記基板との間の液体に対する圧力変化によって気泡が発生しないように脱気レベルを決定する請求項12〜16に記載の露光装置。
  19. 前記脱気装置が膜脱気装置である請求項12に記載の露光装置。
  20. 前記膜脱気装置は中空糸部材を有する請求項19に記載の露光装置。
  21. 前記中空糸部材は、気体透過性であり、且つ液体不透過性である請求項20に記載の露光装置。
  22. 前記膜脱気装置に供給する液体を加熱して、前記膜脱気装置に供給する液体中の気体の溶存濃度を低下させる加熱装置を含む請求項19に記載の露光装置。
  23. 前記気泡抑制装置によって気泡の発生を抑制された液体は、気体との接触なしに、前記投影光学系と前記基板との間に供給される請求項11〜22に記載の露光装置。
  24. 前記液体供給装置は、前記投影光学系と前記基板との間に供給される液体をフィルタリングするフィルタ装置を備えたことを特徴とする請求項12記載の露光装置。
  25. 前記液体供給装置は、前記脱気装置によって脱気された液体の温度を調整する温度調整装置をさらに備えたことを特徴とする請求項24記載の露光装置。
  26. 前記液体供給装置は、前記脱気装置によって脱気された液体の温度を調整する温度調整装置をさらに備えたことを特徴とする請求項12記載の露光装置。
  27. 請求項1〜26のいずれか一項に記載の露光装置を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法。
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