JP2004281512A - 電子機器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フレキシブルプリント配線板を始めとする薄板のプリント配線板表面に、電子部品等を実装する工程,及び前記プリント配線板を電子機器に搭載する工程を有する電子機器の製造方法において、製造上の不具合発生を抑制でき、高効率且つ低コスト生産を実現できる電子機器の製造方法を提供すること。
【解決手段】表面に導通部12と非導通部14とを備えるプリント配線板13の導通部12に、電子部品等を実装するリフロー工程を有する電子機器の製造方法であって、プリント配線板13をリフロー工程に供するに際し予め、プリント配線板13表面の少なくとも一部に弱粘着性粘着材層15を形成し、その後、プリント配線板13を弱粘着性粘着材層15を介してプレート状の治具21に保持し、この状態でプリント配線板13をリフロー工程へ供する。
【選択図】 図1
【解決手段】表面に導通部12と非導通部14とを備えるプリント配線板13の導通部12に、電子部品等を実装するリフロー工程を有する電子機器の製造方法であって、プリント配線板13をリフロー工程に供するに際し予め、プリント配線板13表面の少なくとも一部に弱粘着性粘着材層15を形成し、その後、プリント配線板13を弱粘着性粘着材層15を介してプレート状の治具21に保持し、この状態でプリント配線板13をリフロー工程へ供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルプリント配線板を始めとする薄板のプリント配線板表面に、電子部品等を実装する工程,及び前記プリント配線板を電子機器に搭載する工程を有する電子機器を製造する工程において好適な電子機器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、現在,プリント配線板はあらゆる電子機器に使用されている。一般に、このプリント配線板は、絶縁基板表面に導体パターンを備えた構成をなしているが、近年、電子機器の小型化,軽量化に対応すべく、フィルム状の絶縁基板表面に導体パターンを備えたフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」という)が提供されている。このFPCにおいては、前記導体パターン表面に電子部品を実装する,いわゆる表面実装方式が広く採用されている。
【0003】
この表面実装方式は、一般に次のようになされる。
まず、プレート状の治具表面にFPCを載置し、このFPCのそれぞれの周縁部に耐熱性を有する粘着テープを貼着し、FPCを治具表面に保持する。その後、この保持されたFPCの導体パターン表面のうち、搭載する電子部品の配設位置等に応じてクリームハンダを塗布した後、リフロー工程において、電子部品を前記クリームハンダ塗布部に載置した状態で、これらを加熱してクリームハンダを溶融,硬化させ前記電子部品をFPCに実装する。その後、このFPCを前記治具に保持した状態で、FPCを電子機器へ搭載する電子部品搭載工程へ供する。そして、この電子部品搭載工程において、前記耐熱性を有する粘着テープを治具から引き剥がしFPCを取外した後、このFPCを所定の大きさになるように丸め、この状態を粘着テープを貼着することにより保持し、その後、このFPCを電子機器へ搭載する。
【0004】
ところで、前記表面実装で供された治具では、リフロー工程後、この治具からFPCを取外す際に前記耐熱性を有する粘着テープを引き剥がす必要があり高効率生産を阻害するという問題があった。また、この耐熱性を有する粘着テープがリフロー工程において加熱されたことにより治具表面に密着しこのテープを引き剥がす工数の増大を招くという問題があった。
【0005】
この問題を解決する手段として、前記治具表面に、弱粘着性粘着材層,例えばシリコーン樹脂層を形成し、このシリコーン樹脂層表面にFPCを保持する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法を適用し治具表面にFPCを保持することにより、良好な耐熱性及びFPCの治具表面からの剥離性を実現することができるため、低コスト且つ高効率生産を実現できることが期待される。ここで、この方法を実現するための前記治具の構成は一般に、治具の製作コスト低減等の観点から、複数のFPCを保持できる程度の大形のプレート表面全体にシリコーン樹脂層を設けるのではなく、保持するFPCの外形より大形のシリコーン樹脂層を複数所定の間隙を有して形成したものとなる。
【0006】
しかしながら、前記従来の電子機器の製造方法によれば、この製造に際し供される治具が前述した構成をなしているので、前記治具表面にFPCを保持する際、FPCの前記治具表面に沿った方向に対する位置決めを高精度に行わないと、FPCをシリコーン樹脂層表面に適切に保持することができない場合があった。この場合、FPCのシリコーン樹脂層による保持が不十分になり、FPCに対する加工中にFPCの治具表面に沿った位置がずれ電子機器の製造不良を発生する場合があった。
【0007】
また、前記治具においては、シリコーン樹脂層を用いることで耐熱性を図った構成とされているが、電子機器を製造する都度,シリコーン樹脂層がリフロー工程を経る,すなわち熱負荷を繰り返し受けることになり、シリコーン樹脂層は徐々に劣化し粘着力が低下するため、所定回数使用した後この治具を交換する必要が生じ、生産効率の低下,生産コストの増大を招くという問題があった。
さらに、前記リフロー工程後、前記電子機器搭載工程において、FPCを所定の大きさとなるように丸めこの状態を保持する際に、FPC表面に粘着テープを貼着する必要があるので、生産効率の低下,生産コストの増大を招くという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平03−262194号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、フレキシブルプリント配線板を始めとする薄板のプリント配線板表面に、電子部品等を実装する工程,及び前記プリント配線板を電子機器に搭載する工程を有する電子機器の製造方法において、製造上の不具合発生を抑制でき、高効率且つ低コスト生産を実現できる電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、表面に導通部と非導通部とを備えるプリント配線板の前記導通部に、電子部品等を実装するリフロー工程を有する電子機器の製造方法であって、前記プリント配線板を前記リフロー工程に供するに際し予め、前記プリント配線板表面の少なくとも一部に弱粘着性粘着材層を形成し、その後、前記プリント配線板を前記弱粘着性粘着材層を介してプレート状の治具に保持し、この状態で前記プリント配線板を前記リフロー工程へ供することを特徴とする。
【0011】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、プリント配線板をリフロー工程に供するに際し予め、このプリント配線板表面に弱粘着性粘着材層を形成しておき、このプリント配線板を前記弱粘着性粘着材層を介して治具表面に保持するため、治具表面に沿った方向に対してプリント配線板を高精度に位置決めしなくても、このプリント配線板は治具表面に確実に保持されることになる。これにより、治具表面に保持されたプリント配線板に対して順次加工が施された場合でも、プリント配線板の位置ずれ発生が抑制され、製造上の不具合発生が抑制される。また、前記治具は、弱粘着性粘着材層を備えておらず、さらに、例えばアルミニウムAlやガラス繊維を含有したエポキシ系樹脂等で形成された構成においては、電子機器を製造する度に受けるリフロー工程時の熱負荷に対する劣化がほとんど生じないため、この治具の交換頻度を最小限に抑制することができるようになる。さらに、プリント配線板を前記治具に保持する際に、粘着テープ等をプリント配線板に貼付ける必要がないため、高効率生産を実現できるようになる。以上により、高効率且つ低コスト生産を実現できるようになる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の電子機器の製造方法において、前記リフロー工程後、前記プリント配線板を前記弱粘着性粘着材層とともに前記治具から取外した後,該プリント配線板を貯蔵する、又は前記プリント配線板を前記治具に保持した状態で前記プリント配線板を電子機器へ搭載する電子機器搭載工程へ供することを特徴とする。
【0013】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、リフロー工程後、プリント配線板を弱粘着性粘着材層とともに治具から取外した後,このプリント配線板を一旦貯蔵しておきその後これを開梱して,弱粘着性粘着材層を備えたプリント配線板を電子機器搭載工程へ供し電子機器へ搭載する、又はプリント配線板を治具に保持した状態でこのプリント配線板を電子機器搭載工程へ供し,そこでプリント配線板を弱粘着性粘着材層とともに治具から取外しこれを電子機器へ搭載することができるようになる。すなわち、リフロー工程後、プリント配線板を電子機器へ搭載する際、このプリント配線板表面には弱粘着性粘着材層が形成されていることになるため、このプリント配線板がFPCの場合、これを所定の大きさに丸めこの状態を保持して電子機器へ搭載する際に、FPC表面に粘着テープ等を新たに貼付けることを回避することができるようになり、高効率生産を実現できるようになる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法において、前記弱粘着性粘着材層がフッ素系樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、粘着性粘着材層がフッ素系樹脂で形成されているので、プリント配線板の治具からの良好な剥離性を実現することができるようになるとともに,リフロー工程での熱負荷による弱粘着性粘着材層の劣化及び治具表面への密着を確実に抑制できるようになる。
さらに,弱粘着性粘着材層をプリント配線板表面に形成するに際し、この配設位置についての制限を最小限に抑制することができるようになる。すなわち、フッ素系樹脂は組成物として低分子量成分を含有しないため、フッ素系樹脂により弱粘着性粘着材層を形成した際、高分子化されなかった低分子量成分が残存することがない。従って、リフロー工程において弱粘着性粘着材層が加熱されても、前記低分子量成分が弱粘着性粘着材層表面から露出することがない。ここで、この低分子量成分がプリント配線板の導通部に転写し、この導通部へ電子部品等を実装する場合、これらを良好に接合することができないため実装不良が発生する場合がある。しかしながら、フッ素系樹脂により形成された弱粘着性粘着材層においては、前記低分子量成分の露出がないため、プリント配線板表面において導通部表面,又はその近傍に弱粘着性粘着材層を形成しても、前記転写が発生することがない。従って、電子部品の導通部への実装不良を発生させることなく、弱粘着性粘着材層のプリント配線板表面に沿った配設位置についての制限を最小限に抑制できるようになる。
また、フッ素系樹脂は使用環境温度が約250℃以上約300℃以下と比較的高いため、近年,環境対策で多用されている鉛フリーハンダ(リフロー温度230℃以上280℃以下)にも確実に対応することができるようになる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法において、前記弱粘着性粘着材層がシリコーン樹脂で形成されるとともに、前記プリント配線板の前記非導通部の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、弱粘着性粘着材層がシリコーン樹脂で形成されているため、プリント配線板の治具からの良好な剥離性を実現することができるようになるとともに,リフロー工程での熱負荷による弱粘着性粘着材層の劣化及び治具表面への密着を確実に抑制できるようになる。ここで、シリコーン樹脂は一般に、高分子化(重合)しても高分子化されなかった低分子量シロキサンが残存するため、このシリコーン樹脂を加熱すると、この残存した低分子量シロキサンが弱粘着性粘着材層表面に露出する性質を有している。しかし、弱粘着性粘着材層がプリント配線板の非導通部に選択的に形成されている場合、リフロー工程における熱負荷により前記露出した低分子量シロキサンの導通部への転写発生を抑制することができるようになる。これにより、電子部品の導通部への実装不良発生を抑制することができるようになり、製造上の不具合を発生させることなく高効率生産を実現できるようになる。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法において、前記弱粘着性粘着材層がアクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,又はゴム系樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、弱粘着性粘着材層がアクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,又はゴム系樹脂で形成されているので、プリント配線板がリフロー工程を経た後、電子機器搭載工程において、プリント配線板を所定の大きさとなるように丸めこの状態を保持する際に、プリント配線板表面に新たに粘着テープを貼付ける必要がないので、高効率生産を実現できるようになる。
【0020】
請求項6に係る発明は、表面に導体パターン形成部と導体パターン非形成部とを備えた大形の絶縁基板の前記導体パターン表面に、電子部品等を実装するリフロー工程を有する電子機器の製造方法であって、前記大形の絶縁基板を前記リフロー工程に供するに際し予め、前記大形の絶縁基板表面のうち前記導体パターン非形成部の少なくとも一部に弱粘着性粘着材層を形成し、その後、前記大形の絶縁基板を前記弱粘着性粘着材層を介してプレート状の治具に保持し、この状態で前記大形の絶縁基板を前記リフロー工程へ供することを特徴とする。
【0021】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、前記絶縁基板をリフロー工程に供するに際し予め、この絶縁基板表面の導体パターン非形成部に弱粘着性粘着材層を形成しておき、この絶縁基板を前記弱粘着性粘着材層を介して治具表面に保持するため、治具表面に沿った方向に対して絶縁基板を高精度に位置決めしなくても、この絶縁基板は治具表面に確実に保持されることになる。これにより、治具表面に保持された絶縁基板において,例えば導体パターンに対して順次加工が施された場合でも、絶縁基板の位置ずれ発生が抑制され、製造上の不具合発生が抑制される。また、前記治具は、弱粘着性粘着材層を備えておらず、さらに、例えばアルミニウムAlやガラス繊維を含有したエポキシ系樹脂等で形成された構成においては、電子機器を製造する度に受けるリフロー工程時の熱負荷に対する劣化がほとんど生じないため、この治具の交換頻度を最小限に抑制することができるようになる。さらに、絶縁基板を前記治具に保持する際に、粘着テープ等をこの絶縁基板に新たに貼付ける必要がないため、高効率生産を実現できるようになる。以上により、高効率且つ低コスト生産を実現できるようになる。
【0022】
請求項7に係る発明は、請求項6記載の電子機器の製造方法において、前記弱粘着性粘着材層が、フッ素系樹脂,シリコーン樹脂,アクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,又はゴム系樹脂からなることを特徴する。
【0023】
この発明にかかる電子機器の製造方法によれば、前記絶縁基板を確実に前記治具に保持できるとともに、製造上の不具合発生を抑制できるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子機器の製造方法の第一実施形態を、図1,図2を参照しながら説明する。
まず、サブトラクティブ法,又はアディティブ法等を適用し、エポキシ樹脂等の絶縁材料からなる大形の絶縁フィルム表裏面に銅等からなる複数の導体パターン12を形成する。その後、前記絶縁フィルムの一方の表面において、複数の所定個所にスクリーン印刷によりフッ素系樹脂,又はシリコーン樹脂からなる弱粘着性の粘着材層15(以下、「粘着材層15」という)を形成する。その後、前記大形の絶縁フィルムの所定個所で切断し、複数のフレキシブルプリント配線板13(以下、「FPC13」という)を形成する。
【0025】
この際、各FPC13は、図1,図2に示すように、絶縁フィルム11表裏面に導体パターン12が設けられ、このフィルム11の一方の表面には導体パターン12の非形成部14(以下、「非導通部14」という)に選択的に複数の粘着材層15が設けられている。この構成において、絶縁フィルム11の一方の表面,すなわち粘着材層15形成面は電子部品非実装面となっている。尚、粘着材層15は、厚さが導体パターン12より薄く形成され,且つFPC13の平面視において、FPC13の外形形状の領域内に位置するように形成されている。
ここで、粘着材層15を構成するフッ素系樹脂は例えば、下記の化学式(I)
【0026】
【化1】
【0027】
又は下記の化学式(II)
【0028】
【化2】
【0029】
又は下記の化学式(III)
【化3】
【0030】
からなり、高分子化(重合)する際、低分子量成分が残存しないものになっている。また、フッ素系樹脂は、硬度(JIS−A)が10度以上100度以下で形成されている。この硬度範囲により、フッ素系樹脂の粘着材層15は、粘着力が10g/cm2以上2000g/cm2以下となり、FPC13を良好に保持,搬送できる,すなわち製造上の不具合が発生しない前記粘着力が10g/cm2以上2000g/cm2以下であることが知られていることから、フッ素系樹脂で形成された粘着材層15は良好な粘着力を備えることになる。
【0031】
次に、前記形成された複数のFPC13を粘着材層15を介してプレート状の保持搬送治具21表面に、それぞれが所定の間隙を有するようにして保持する。ここで、保持搬送治具21は、ガラス繊維を含有したエポキシ系樹脂等により大形のプレート状に形成されるとともに,帯電防止加工が施され、さらに、FPC13を,導体パターン12表面が保持搬送治具21表面と略平行になるように前記治具21表面に保持した構成において、複数個保持できるようになっている。ここで、粘着材層15は前記治具21表面にではなく、FPC13表面に形成されているので、FPC13を前記治具21表面に保持する際、複数のFPC13が互いに重複しない程度の位置決めをすれば足り、この状態であってもFPC13を前記治具21に十分に保持できることになる。
【0032】
次に、保持搬送治具21表面に保持されたFPC13は、クリームはんだ塗布工程へ供される。そしてまず、前記治具21表面に保持されたFPC13の他方の面,すなわち粘着材層15非形成面に図示しないメタルマスクが載置され、この状態でFPC13の他方の面における電子部品実装予定部に選択的にクリームはんだを塗布し、その後、前記メタルマスクをFPC13表面から引き離す。
【0033】
そして、前記治具21表面に保持されたFPC13は、リフロー工程へ供される。そしてまず、FPC13の他方の面におけるクリームはんだ塗布部に図示しない電子部品を載置した後、これらを前記治具21ごと加熱し、クリームはんだを溶融,硬化し、FPC13の他方の面に電子部品を実装する。その後、所定の工程を経た後、FPC13は治具21ごと電子機器搭載工程へ供され、ここで治具21からFPC13を粘着材層15とともに取外した後、このFPC13を所定の大きさになるように丸める。そして、FPC13表面に形成されている粘着材層15をFPC13の非導通部14等の所定個所に貼着し、前記丸めた状態を保持した後、このFPC13を電子機器に搭載する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態による電子機器の製造方法によれば、FPC13をリフロー工程に供するに際し予め、このFPC13表面に粘着材層15を形成しておき、このFPC13を粘着材層15を介して治具21表面に保持するため、治具21表面に沿った方向に対するFPC13の位置決めを高精度になさなくても、このFPC13を治具21表面に確実に保持することができる。これにより、治具21表面に保持されたFPC13は、各加工を施されても位置ずれが生ずることがないため、良好に各所定の加工を経ることができ、製造上の不具合発生を抑制することができる。また、治具21は、粘着材層15を備えておらず、さらに、Alやガラス繊維を含有したエポキシ系樹脂等で形成された構成においては、電子機器を製造する度に受けるリフロー工程時の熱負荷に対する劣化がほとんど生じないため、この治具21の交換頻度を最小限に抑制することができる。従って、高効率且つ低コスト生産を実現することができる。
【0035】
また、リフロー工程後、FPC13を治具21に保持した状態でこのFPC13を電子機器搭載工程へ供し、そこでFPC13を粘着材層15とともに治具21から取外すので、FPC13を所定の大きさに丸めこの状態を保持して電子機器へ搭載する際に、FPC13表面に粘着テープ等を新たに貼付けることを回避することができ、高効率生産を実現することができる。
【0036】
さらに、粘着材層15がフッ素系樹脂で形成されている場合においては、FPC13の治具21からの良好な剥離性を実現することができるとともに,リフロー工程での熱負荷による粘着材層15の劣化及び治具21表面への密着を確実に抑制することができる。
また、粘着材層15をFPC13表面に形成するに際し、この配設位置についての制限を最小限に抑制することができる。すなわち、フッ素系樹脂は組成物として低分子量成分を含有しないため、フッ素系樹脂により粘着材層15を形成した際、高分子化されなかった低分子量成分が残存することがない。従って、リフロー工程において粘着材層15が加熱されても、前記低分子量成分が粘着材層15表面から露出することがない。ここで、この低分子量成分がFPC13の導体パターン12に転写し、該部へ電子部品等を実装する場合、これらを良好に接合することができないため実装不良が発生する場合がある。しかしながら、フッ素系樹脂により形成された粘着材層15においては、前記低分子量成分の露出がないため、FPC13表面において導体パターン12表面,又はその近傍に粘着材層15を形成しても、前記転写が発生することがない。従って、電子部品の導体パターン12への実装不良を発生させることなく、粘着材層15のFPC13表面に沿った配設位置についての制限を最小限に抑制することができる。
【0037】
また、フッ素系樹脂は使用環境温度が約250℃以上約300℃以下と比較的高いため、近年,環境対策で多用されている鉛フリーハンダ(リフロー温度230℃以上280℃以下)にも確実に対応することができる。さらに、粘着材層15がフッ素系樹脂により形成された場合において、粘着材層15が硬度(JIS−A)10度以上100度以下で形成されているので、FPC13を良好に保持できる粘着力である10g/cm2以上2000g/cm2以下を実現できるとともに、FPC13との当接面同士の間に間隙を形成することなく全面に渡って一様に粘着させる構成を実現することができ、FPC13を確実に保持することができる。
【0038】
一方、粘着材層15がシリコーン樹脂で形成されている場合においては、FPC13の治具21からの良好な剥離性を実現することができるとともに,リフロー工程での熱負荷による粘着材層15の劣化及び治具21表面への密着を確実に抑制できるようになる。ここで、シリコーン樹脂は一般に、前述した低分子量成分が残存することになるが、粘着材層15がFPC13の非導通部14に選択的に形成されているため、リフロー工程における熱負荷により前記露出した低分子量成分の導体パターン12への転写発生を抑制することができる。これにより、電子部品の導体パターン12への実装不良発生を抑制することができ、製造上の不具合を発生させることなく高効率生産を実現することができる。
【0039】
また、粘着材層15は、FPC13を,導体パターン12表面を治具21表面と略平行にするように保持するため、前記治具21とこの治具21に保持されたFPC13との積層構造において、電子部品等を実装するFPC13の他方の表面を最外層とする構成を実現することができる。これにより、前記治具21上で導体パターン12に対する加工,例えばクリームはんだ塗布,電子部品実装等を容易且つ確実に行うことができ、高効率生産を実現することができる。
【0040】
さらに、粘着材層15は、FPC13表面のうち,FPC13の外形領域内に形成されているため、前記治具21表面にFPC13を保持した状態で、メタルマスクを用いてクリームハンダを塗布した後、このメタルマスクを良好に引き離すことができる。すなわち、前記治具21及びFPC13のメタルマスクとの当接面を全面非粘着力領域とすることができ、前記メタルマスクを引き離す際、密着させることなく良好に引き離すことができ、製造上の不具合発生を抑制することができる。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、導体パターン12表面に電子部品を実装した後、FPC13を治具21ごと電子機器搭載工程へ供したが、この構成に限らず、電子部品を実装した後、FPC13を粘着材層15ごと治具21から取外し、この粘着材層15と前記電子部品とを備えたFPC13を一旦貯蔵しておき、その後、電子機器搭載工程においてこれを開梱し、粘着材層15と電子部品とを備えたFPC13を電子機器に搭載するようにしてもよい。
【0042】
また、粘着材層15を、FPC13表面のうち,FPC13の非導通部14に選択的に形成したが、粘着材層15をフッ素系樹脂により形成する場合は非導通部14に限らず、FPC13表面のうち、電子部品を実装する部分,及び電子機器との接続部等の製造上不都合を生じさせる部分以外であれば、いずれの部分であってもよい。また、粘着材層15をシリコーン樹脂により形成する場合には、粘着材層15を、導体パターン12からなるべく遠ざけて形成するとともに、FPC13周縁部からできる限り内方に形成するようにすると、シリコーン樹脂層を組成する低分子量成分のFPC13表面への乗り上げを抑制することになり、低分子量成分の導体パターン12表面への転写をより確実に抑制することができる。さらに、このシリコーン樹脂に替えて、アクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,又はゴム系樹脂であってもよい。この場合も、FPC13を電子機器に搭載する前に予め所定の大きさになるようにFPC13を丸めた後、この状態を保持する際に、新たに粘着テープをFPC13に貼付ける必要がないので、生産効率の高効率化を図ることができる。
【0043】
次に、本発明の第二実施形態について図3,図4を参照して説明するが、前述の第一実施形態と同様の部位には、同一符号を付し、その説明を省略する。
まず、前述の第一実施形態と同様にして、エポキシ樹脂等の絶縁材料からなる大形の絶縁フィルム31表裏面のうち導体パターン形成部31aに銅等からなる導体パターン12を形成する。ここで、導体パターン形成部31aは絶縁フィルム31表裏面において所定の間隙を有し複数設けられている。その後、絶縁フィルム31の一方の表面のうち、導体パターン非形成部31b,すなわち導体パターン形成部31a同士の間にスクリーン印刷によりフッ素系樹脂,又はシリコーン樹脂からなる弱粘着性の粘着材層32を形成する。
【0044】
その後、絶縁フィルム31を粘着材層32を介してプレート状の治具21に保持し、この状態で絶縁フィルム31をリフロー工程に供し、導体パターン12表面に電子部品を実装する。そして、絶縁フィルム31表面の導体パターン非形成部31bの領域内で絶縁フィルム31を切断し、これにより、小形の絶縁フィルム表裏面に導体パターン12が設けられ、この導体パターン12表面に電子部品が実装された複数のFPCを形成する。その後、このFPCは電子機器搭載工程へ供されこの工程で電子機器へ搭載される。
以上説明した第二実施形態においても、前記第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明によれば、治具表面に沿った方向に対してプリント配線板を高精度に位置決めしなくても、このプリント配線板を治具表面に確実に保持することができるとともに、治具の交換頻度を最小限に抑制することができる。従って、高効率且つ低コスト生産を実現することができる。
【0046】
請求項2に係る発明によれば、リフロー工程後、プリント配線板を電子機器へ搭載する際、このプリント配線板表面には弱粘着性粘着材層が形成されていることになるため、このプリント配線板がFPCの場合、これを所定の大きさに丸めこの状態を保持して電子機器へ搭載する際に、FPC表面に粘着テープ等を新たに貼付けることを回避することができ、高効率生産を実現することができる。
【0047】
請求項3に係る発明によれば、プリント配線板の治具からの良好な剥離性を実現することができるとともに,リフロー工程での熱負荷による弱粘着性粘着材層の劣化及び治具表面への密着を確実に抑制することができる。また、弱粘着性粘着材層をプリント配線板表面に形成するに際し、この配設位置についての制限を最小限に抑制することができる。さらに、フッ素系樹脂は使用環境温度が約250℃以上約300℃以下と比較的高いため、近年,環境対策で多用されている鉛フリーハンダ(リフロー温度230℃以上280℃以下)にも確実に対応することができる。
【0048】
請求項4に係る発明によれば、プリント配線板の治具からの良好な剥離性を実現することができるとともに,リフロー工程での熱負荷による弱粘着性粘着材層の劣化及び治具表面への密着を確実に抑制することができる。また、電子部品の導通部への実装不良発生を抑制することができ、製造上の不具合を発生させることなく高効率生産を実現することができる。
【0049】
請求項5に係る発明によれば、プリント配線板がリフロー工程を経た後、電子機器搭載工程において、プリント配線板を所定の大きさとなるように丸めこの状態を保持する際に、プリント配線板表面に新たに粘着テープを貼着する必要がないので、高効率生産を実現することができる。
【0050】
請求項6に係る発明によれば、治具表面に沿った方向に対して絶縁基板を高精度に位置決めしなくても、この絶縁基板を治具表面に確実に保持することができるとともに、治具の交換頻度を最小限に抑制することができる。従って、高効率且つ低コスト生産を実現することができる。
【0051】
請求項7に係る発明によれば、絶縁基板を確実に前記治具に保持できるとともに、製造上の不具合発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態として示した電子部品の製造方法を説明するために示した、プリント配線板(FPC)を治具上に保持した状態を示す平面図である。
【図2】図1のX−X線矢視断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態として示した電子部品の製造方法を説明するために示した、大形の絶縁基板を治具上に保持した状態を示す平面図である。
【図4】図3のY−Y線矢視断面図である。
【符号の説明】
12 導体パターン(導通部)
13 FPC(プリント配線板)
14 非導通部
15,32 粘着材層(弱粘着性粘着材層)
21 保持搬送治具(治具)
31 絶縁フィルム(絶縁基板)
31a 導体パターン形成部
31b 導体パターン非形成部
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルプリント配線板を始めとする薄板のプリント配線板表面に、電子部品等を実装する工程,及び前記プリント配線板を電子機器に搭載する工程を有する電子機器を製造する工程において好適な電子機器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、現在,プリント配線板はあらゆる電子機器に使用されている。一般に、このプリント配線板は、絶縁基板表面に導体パターンを備えた構成をなしているが、近年、電子機器の小型化,軽量化に対応すべく、フィルム状の絶縁基板表面に導体パターンを備えたフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」という)が提供されている。このFPCにおいては、前記導体パターン表面に電子部品を実装する,いわゆる表面実装方式が広く採用されている。
【0003】
この表面実装方式は、一般に次のようになされる。
まず、プレート状の治具表面にFPCを載置し、このFPCのそれぞれの周縁部に耐熱性を有する粘着テープを貼着し、FPCを治具表面に保持する。その後、この保持されたFPCの導体パターン表面のうち、搭載する電子部品の配設位置等に応じてクリームハンダを塗布した後、リフロー工程において、電子部品を前記クリームハンダ塗布部に載置した状態で、これらを加熱してクリームハンダを溶融,硬化させ前記電子部品をFPCに実装する。その後、このFPCを前記治具に保持した状態で、FPCを電子機器へ搭載する電子部品搭載工程へ供する。そして、この電子部品搭載工程において、前記耐熱性を有する粘着テープを治具から引き剥がしFPCを取外した後、このFPCを所定の大きさになるように丸め、この状態を粘着テープを貼着することにより保持し、その後、このFPCを電子機器へ搭載する。
【0004】
ところで、前記表面実装で供された治具では、リフロー工程後、この治具からFPCを取外す際に前記耐熱性を有する粘着テープを引き剥がす必要があり高効率生産を阻害するという問題があった。また、この耐熱性を有する粘着テープがリフロー工程において加熱されたことにより治具表面に密着しこのテープを引き剥がす工数の増大を招くという問題があった。
【0005】
この問題を解決する手段として、前記治具表面に、弱粘着性粘着材層,例えばシリコーン樹脂層を形成し、このシリコーン樹脂層表面にFPCを保持する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法を適用し治具表面にFPCを保持することにより、良好な耐熱性及びFPCの治具表面からの剥離性を実現することができるため、低コスト且つ高効率生産を実現できることが期待される。ここで、この方法を実現するための前記治具の構成は一般に、治具の製作コスト低減等の観点から、複数のFPCを保持できる程度の大形のプレート表面全体にシリコーン樹脂層を設けるのではなく、保持するFPCの外形より大形のシリコーン樹脂層を複数所定の間隙を有して形成したものとなる。
【0006】
しかしながら、前記従来の電子機器の製造方法によれば、この製造に際し供される治具が前述した構成をなしているので、前記治具表面にFPCを保持する際、FPCの前記治具表面に沿った方向に対する位置決めを高精度に行わないと、FPCをシリコーン樹脂層表面に適切に保持することができない場合があった。この場合、FPCのシリコーン樹脂層による保持が不十分になり、FPCに対する加工中にFPCの治具表面に沿った位置がずれ電子機器の製造不良を発生する場合があった。
【0007】
また、前記治具においては、シリコーン樹脂層を用いることで耐熱性を図った構成とされているが、電子機器を製造する都度,シリコーン樹脂層がリフロー工程を経る,すなわち熱負荷を繰り返し受けることになり、シリコーン樹脂層は徐々に劣化し粘着力が低下するため、所定回数使用した後この治具を交換する必要が生じ、生産効率の低下,生産コストの増大を招くという問題があった。
さらに、前記リフロー工程後、前記電子機器搭載工程において、FPCを所定の大きさとなるように丸めこの状態を保持する際に、FPC表面に粘着テープを貼着する必要があるので、生産効率の低下,生産コストの増大を招くという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平03−262194号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、フレキシブルプリント配線板を始めとする薄板のプリント配線板表面に、電子部品等を実装する工程,及び前記プリント配線板を電子機器に搭載する工程を有する電子機器の製造方法において、製造上の不具合発生を抑制でき、高効率且つ低コスト生産を実現できる電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、表面に導通部と非導通部とを備えるプリント配線板の前記導通部に、電子部品等を実装するリフロー工程を有する電子機器の製造方法であって、前記プリント配線板を前記リフロー工程に供するに際し予め、前記プリント配線板表面の少なくとも一部に弱粘着性粘着材層を形成し、その後、前記プリント配線板を前記弱粘着性粘着材層を介してプレート状の治具に保持し、この状態で前記プリント配線板を前記リフロー工程へ供することを特徴とする。
【0011】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、プリント配線板をリフロー工程に供するに際し予め、このプリント配線板表面に弱粘着性粘着材層を形成しておき、このプリント配線板を前記弱粘着性粘着材層を介して治具表面に保持するため、治具表面に沿った方向に対してプリント配線板を高精度に位置決めしなくても、このプリント配線板は治具表面に確実に保持されることになる。これにより、治具表面に保持されたプリント配線板に対して順次加工が施された場合でも、プリント配線板の位置ずれ発生が抑制され、製造上の不具合発生が抑制される。また、前記治具は、弱粘着性粘着材層を備えておらず、さらに、例えばアルミニウムAlやガラス繊維を含有したエポキシ系樹脂等で形成された構成においては、電子機器を製造する度に受けるリフロー工程時の熱負荷に対する劣化がほとんど生じないため、この治具の交換頻度を最小限に抑制することができるようになる。さらに、プリント配線板を前記治具に保持する際に、粘着テープ等をプリント配線板に貼付ける必要がないため、高効率生産を実現できるようになる。以上により、高効率且つ低コスト生産を実現できるようになる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の電子機器の製造方法において、前記リフロー工程後、前記プリント配線板を前記弱粘着性粘着材層とともに前記治具から取外した後,該プリント配線板を貯蔵する、又は前記プリント配線板を前記治具に保持した状態で前記プリント配線板を電子機器へ搭載する電子機器搭載工程へ供することを特徴とする。
【0013】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、リフロー工程後、プリント配線板を弱粘着性粘着材層とともに治具から取外した後,このプリント配線板を一旦貯蔵しておきその後これを開梱して,弱粘着性粘着材層を備えたプリント配線板を電子機器搭載工程へ供し電子機器へ搭載する、又はプリント配線板を治具に保持した状態でこのプリント配線板を電子機器搭載工程へ供し,そこでプリント配線板を弱粘着性粘着材層とともに治具から取外しこれを電子機器へ搭載することができるようになる。すなわち、リフロー工程後、プリント配線板を電子機器へ搭載する際、このプリント配線板表面には弱粘着性粘着材層が形成されていることになるため、このプリント配線板がFPCの場合、これを所定の大きさに丸めこの状態を保持して電子機器へ搭載する際に、FPC表面に粘着テープ等を新たに貼付けることを回避することができるようになり、高効率生産を実現できるようになる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法において、前記弱粘着性粘着材層がフッ素系樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、粘着性粘着材層がフッ素系樹脂で形成されているので、プリント配線板の治具からの良好な剥離性を実現することができるようになるとともに,リフロー工程での熱負荷による弱粘着性粘着材層の劣化及び治具表面への密着を確実に抑制できるようになる。
さらに,弱粘着性粘着材層をプリント配線板表面に形成するに際し、この配設位置についての制限を最小限に抑制することができるようになる。すなわち、フッ素系樹脂は組成物として低分子量成分を含有しないため、フッ素系樹脂により弱粘着性粘着材層を形成した際、高分子化されなかった低分子量成分が残存することがない。従って、リフロー工程において弱粘着性粘着材層が加熱されても、前記低分子量成分が弱粘着性粘着材層表面から露出することがない。ここで、この低分子量成分がプリント配線板の導通部に転写し、この導通部へ電子部品等を実装する場合、これらを良好に接合することができないため実装不良が発生する場合がある。しかしながら、フッ素系樹脂により形成された弱粘着性粘着材層においては、前記低分子量成分の露出がないため、プリント配線板表面において導通部表面,又はその近傍に弱粘着性粘着材層を形成しても、前記転写が発生することがない。従って、電子部品の導通部への実装不良を発生させることなく、弱粘着性粘着材層のプリント配線板表面に沿った配設位置についての制限を最小限に抑制できるようになる。
また、フッ素系樹脂は使用環境温度が約250℃以上約300℃以下と比較的高いため、近年,環境対策で多用されている鉛フリーハンダ(リフロー温度230℃以上280℃以下)にも確実に対応することができるようになる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法において、前記弱粘着性粘着材層がシリコーン樹脂で形成されるとともに、前記プリント配線板の前記非導通部の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、弱粘着性粘着材層がシリコーン樹脂で形成されているため、プリント配線板の治具からの良好な剥離性を実現することができるようになるとともに,リフロー工程での熱負荷による弱粘着性粘着材層の劣化及び治具表面への密着を確実に抑制できるようになる。ここで、シリコーン樹脂は一般に、高分子化(重合)しても高分子化されなかった低分子量シロキサンが残存するため、このシリコーン樹脂を加熱すると、この残存した低分子量シロキサンが弱粘着性粘着材層表面に露出する性質を有している。しかし、弱粘着性粘着材層がプリント配線板の非導通部に選択的に形成されている場合、リフロー工程における熱負荷により前記露出した低分子量シロキサンの導通部への転写発生を抑制することができるようになる。これにより、電子部品の導通部への実装不良発生を抑制することができるようになり、製造上の不具合を発生させることなく高効率生産を実現できるようになる。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法において、前記弱粘着性粘着材層がアクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,又はゴム系樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、弱粘着性粘着材層がアクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,又はゴム系樹脂で形成されているので、プリント配線板がリフロー工程を経た後、電子機器搭載工程において、プリント配線板を所定の大きさとなるように丸めこの状態を保持する際に、プリント配線板表面に新たに粘着テープを貼付ける必要がないので、高効率生産を実現できるようになる。
【0020】
請求項6に係る発明は、表面に導体パターン形成部と導体パターン非形成部とを備えた大形の絶縁基板の前記導体パターン表面に、電子部品等を実装するリフロー工程を有する電子機器の製造方法であって、前記大形の絶縁基板を前記リフロー工程に供するに際し予め、前記大形の絶縁基板表面のうち前記導体パターン非形成部の少なくとも一部に弱粘着性粘着材層を形成し、その後、前記大形の絶縁基板を前記弱粘着性粘着材層を介してプレート状の治具に保持し、この状態で前記大形の絶縁基板を前記リフロー工程へ供することを特徴とする。
【0021】
この発明に係る電子機器の製造方法によれば、前記絶縁基板をリフロー工程に供するに際し予め、この絶縁基板表面の導体パターン非形成部に弱粘着性粘着材層を形成しておき、この絶縁基板を前記弱粘着性粘着材層を介して治具表面に保持するため、治具表面に沿った方向に対して絶縁基板を高精度に位置決めしなくても、この絶縁基板は治具表面に確実に保持されることになる。これにより、治具表面に保持された絶縁基板において,例えば導体パターンに対して順次加工が施された場合でも、絶縁基板の位置ずれ発生が抑制され、製造上の不具合発生が抑制される。また、前記治具は、弱粘着性粘着材層を備えておらず、さらに、例えばアルミニウムAlやガラス繊維を含有したエポキシ系樹脂等で形成された構成においては、電子機器を製造する度に受けるリフロー工程時の熱負荷に対する劣化がほとんど生じないため、この治具の交換頻度を最小限に抑制することができるようになる。さらに、絶縁基板を前記治具に保持する際に、粘着テープ等をこの絶縁基板に新たに貼付ける必要がないため、高効率生産を実現できるようになる。以上により、高効率且つ低コスト生産を実現できるようになる。
【0022】
請求項7に係る発明は、請求項6記載の電子機器の製造方法において、前記弱粘着性粘着材層が、フッ素系樹脂,シリコーン樹脂,アクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,又はゴム系樹脂からなることを特徴する。
【0023】
この発明にかかる電子機器の製造方法によれば、前記絶縁基板を確実に前記治具に保持できるとともに、製造上の不具合発生を抑制できるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子機器の製造方法の第一実施形態を、図1,図2を参照しながら説明する。
まず、サブトラクティブ法,又はアディティブ法等を適用し、エポキシ樹脂等の絶縁材料からなる大形の絶縁フィルム表裏面に銅等からなる複数の導体パターン12を形成する。その後、前記絶縁フィルムの一方の表面において、複数の所定個所にスクリーン印刷によりフッ素系樹脂,又はシリコーン樹脂からなる弱粘着性の粘着材層15(以下、「粘着材層15」という)を形成する。その後、前記大形の絶縁フィルムの所定個所で切断し、複数のフレキシブルプリント配線板13(以下、「FPC13」という)を形成する。
【0025】
この際、各FPC13は、図1,図2に示すように、絶縁フィルム11表裏面に導体パターン12が設けられ、このフィルム11の一方の表面には導体パターン12の非形成部14(以下、「非導通部14」という)に選択的に複数の粘着材層15が設けられている。この構成において、絶縁フィルム11の一方の表面,すなわち粘着材層15形成面は電子部品非実装面となっている。尚、粘着材層15は、厚さが導体パターン12より薄く形成され,且つFPC13の平面視において、FPC13の外形形状の領域内に位置するように形成されている。
ここで、粘着材層15を構成するフッ素系樹脂は例えば、下記の化学式(I)
【0026】
【化1】
【0027】
又は下記の化学式(II)
【0028】
【化2】
【0029】
又は下記の化学式(III)
【化3】
【0030】
からなり、高分子化(重合)する際、低分子量成分が残存しないものになっている。また、フッ素系樹脂は、硬度(JIS−A)が10度以上100度以下で形成されている。この硬度範囲により、フッ素系樹脂の粘着材層15は、粘着力が10g/cm2以上2000g/cm2以下となり、FPC13を良好に保持,搬送できる,すなわち製造上の不具合が発生しない前記粘着力が10g/cm2以上2000g/cm2以下であることが知られていることから、フッ素系樹脂で形成された粘着材層15は良好な粘着力を備えることになる。
【0031】
次に、前記形成された複数のFPC13を粘着材層15を介してプレート状の保持搬送治具21表面に、それぞれが所定の間隙を有するようにして保持する。ここで、保持搬送治具21は、ガラス繊維を含有したエポキシ系樹脂等により大形のプレート状に形成されるとともに,帯電防止加工が施され、さらに、FPC13を,導体パターン12表面が保持搬送治具21表面と略平行になるように前記治具21表面に保持した構成において、複数個保持できるようになっている。ここで、粘着材層15は前記治具21表面にではなく、FPC13表面に形成されているので、FPC13を前記治具21表面に保持する際、複数のFPC13が互いに重複しない程度の位置決めをすれば足り、この状態であってもFPC13を前記治具21に十分に保持できることになる。
【0032】
次に、保持搬送治具21表面に保持されたFPC13は、クリームはんだ塗布工程へ供される。そしてまず、前記治具21表面に保持されたFPC13の他方の面,すなわち粘着材層15非形成面に図示しないメタルマスクが載置され、この状態でFPC13の他方の面における電子部品実装予定部に選択的にクリームはんだを塗布し、その後、前記メタルマスクをFPC13表面から引き離す。
【0033】
そして、前記治具21表面に保持されたFPC13は、リフロー工程へ供される。そしてまず、FPC13の他方の面におけるクリームはんだ塗布部に図示しない電子部品を載置した後、これらを前記治具21ごと加熱し、クリームはんだを溶融,硬化し、FPC13の他方の面に電子部品を実装する。その後、所定の工程を経た後、FPC13は治具21ごと電子機器搭載工程へ供され、ここで治具21からFPC13を粘着材層15とともに取外した後、このFPC13を所定の大きさになるように丸める。そして、FPC13表面に形成されている粘着材層15をFPC13の非導通部14等の所定個所に貼着し、前記丸めた状態を保持した後、このFPC13を電子機器に搭載する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態による電子機器の製造方法によれば、FPC13をリフロー工程に供するに際し予め、このFPC13表面に粘着材層15を形成しておき、このFPC13を粘着材層15を介して治具21表面に保持するため、治具21表面に沿った方向に対するFPC13の位置決めを高精度になさなくても、このFPC13を治具21表面に確実に保持することができる。これにより、治具21表面に保持されたFPC13は、各加工を施されても位置ずれが生ずることがないため、良好に各所定の加工を経ることができ、製造上の不具合発生を抑制することができる。また、治具21は、粘着材層15を備えておらず、さらに、Alやガラス繊維を含有したエポキシ系樹脂等で形成された構成においては、電子機器を製造する度に受けるリフロー工程時の熱負荷に対する劣化がほとんど生じないため、この治具21の交換頻度を最小限に抑制することができる。従って、高効率且つ低コスト生産を実現することができる。
【0035】
また、リフロー工程後、FPC13を治具21に保持した状態でこのFPC13を電子機器搭載工程へ供し、そこでFPC13を粘着材層15とともに治具21から取外すので、FPC13を所定の大きさに丸めこの状態を保持して電子機器へ搭載する際に、FPC13表面に粘着テープ等を新たに貼付けることを回避することができ、高効率生産を実現することができる。
【0036】
さらに、粘着材層15がフッ素系樹脂で形成されている場合においては、FPC13の治具21からの良好な剥離性を実現することができるとともに,リフロー工程での熱負荷による粘着材層15の劣化及び治具21表面への密着を確実に抑制することができる。
また、粘着材層15をFPC13表面に形成するに際し、この配設位置についての制限を最小限に抑制することができる。すなわち、フッ素系樹脂は組成物として低分子量成分を含有しないため、フッ素系樹脂により粘着材層15を形成した際、高分子化されなかった低分子量成分が残存することがない。従って、リフロー工程において粘着材層15が加熱されても、前記低分子量成分が粘着材層15表面から露出することがない。ここで、この低分子量成分がFPC13の導体パターン12に転写し、該部へ電子部品等を実装する場合、これらを良好に接合することができないため実装不良が発生する場合がある。しかしながら、フッ素系樹脂により形成された粘着材層15においては、前記低分子量成分の露出がないため、FPC13表面において導体パターン12表面,又はその近傍に粘着材層15を形成しても、前記転写が発生することがない。従って、電子部品の導体パターン12への実装不良を発生させることなく、粘着材層15のFPC13表面に沿った配設位置についての制限を最小限に抑制することができる。
【0037】
また、フッ素系樹脂は使用環境温度が約250℃以上約300℃以下と比較的高いため、近年,環境対策で多用されている鉛フリーハンダ(リフロー温度230℃以上280℃以下)にも確実に対応することができる。さらに、粘着材層15がフッ素系樹脂により形成された場合において、粘着材層15が硬度(JIS−A)10度以上100度以下で形成されているので、FPC13を良好に保持できる粘着力である10g/cm2以上2000g/cm2以下を実現できるとともに、FPC13との当接面同士の間に間隙を形成することなく全面に渡って一様に粘着させる構成を実現することができ、FPC13を確実に保持することができる。
【0038】
一方、粘着材層15がシリコーン樹脂で形成されている場合においては、FPC13の治具21からの良好な剥離性を実現することができるとともに,リフロー工程での熱負荷による粘着材層15の劣化及び治具21表面への密着を確実に抑制できるようになる。ここで、シリコーン樹脂は一般に、前述した低分子量成分が残存することになるが、粘着材層15がFPC13の非導通部14に選択的に形成されているため、リフロー工程における熱負荷により前記露出した低分子量成分の導体パターン12への転写発生を抑制することができる。これにより、電子部品の導体パターン12への実装不良発生を抑制することができ、製造上の不具合を発生させることなく高効率生産を実現することができる。
【0039】
また、粘着材層15は、FPC13を,導体パターン12表面を治具21表面と略平行にするように保持するため、前記治具21とこの治具21に保持されたFPC13との積層構造において、電子部品等を実装するFPC13の他方の表面を最外層とする構成を実現することができる。これにより、前記治具21上で導体パターン12に対する加工,例えばクリームはんだ塗布,電子部品実装等を容易且つ確実に行うことができ、高効率生産を実現することができる。
【0040】
さらに、粘着材層15は、FPC13表面のうち,FPC13の外形領域内に形成されているため、前記治具21表面にFPC13を保持した状態で、メタルマスクを用いてクリームハンダを塗布した後、このメタルマスクを良好に引き離すことができる。すなわち、前記治具21及びFPC13のメタルマスクとの当接面を全面非粘着力領域とすることができ、前記メタルマスクを引き離す際、密着させることなく良好に引き離すことができ、製造上の不具合発生を抑制することができる。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、導体パターン12表面に電子部品を実装した後、FPC13を治具21ごと電子機器搭載工程へ供したが、この構成に限らず、電子部品を実装した後、FPC13を粘着材層15ごと治具21から取外し、この粘着材層15と前記電子部品とを備えたFPC13を一旦貯蔵しておき、その後、電子機器搭載工程においてこれを開梱し、粘着材層15と電子部品とを備えたFPC13を電子機器に搭載するようにしてもよい。
【0042】
また、粘着材層15を、FPC13表面のうち,FPC13の非導通部14に選択的に形成したが、粘着材層15をフッ素系樹脂により形成する場合は非導通部14に限らず、FPC13表面のうち、電子部品を実装する部分,及び電子機器との接続部等の製造上不都合を生じさせる部分以外であれば、いずれの部分であってもよい。また、粘着材層15をシリコーン樹脂により形成する場合には、粘着材層15を、導体パターン12からなるべく遠ざけて形成するとともに、FPC13周縁部からできる限り内方に形成するようにすると、シリコーン樹脂層を組成する低分子量成分のFPC13表面への乗り上げを抑制することになり、低分子量成分の導体パターン12表面への転写をより確実に抑制することができる。さらに、このシリコーン樹脂に替えて、アクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,又はゴム系樹脂であってもよい。この場合も、FPC13を電子機器に搭載する前に予め所定の大きさになるようにFPC13を丸めた後、この状態を保持する際に、新たに粘着テープをFPC13に貼付ける必要がないので、生産効率の高効率化を図ることができる。
【0043】
次に、本発明の第二実施形態について図3,図4を参照して説明するが、前述の第一実施形態と同様の部位には、同一符号を付し、その説明を省略する。
まず、前述の第一実施形態と同様にして、エポキシ樹脂等の絶縁材料からなる大形の絶縁フィルム31表裏面のうち導体パターン形成部31aに銅等からなる導体パターン12を形成する。ここで、導体パターン形成部31aは絶縁フィルム31表裏面において所定の間隙を有し複数設けられている。その後、絶縁フィルム31の一方の表面のうち、導体パターン非形成部31b,すなわち導体パターン形成部31a同士の間にスクリーン印刷によりフッ素系樹脂,又はシリコーン樹脂からなる弱粘着性の粘着材層32を形成する。
【0044】
その後、絶縁フィルム31を粘着材層32を介してプレート状の治具21に保持し、この状態で絶縁フィルム31をリフロー工程に供し、導体パターン12表面に電子部品を実装する。そして、絶縁フィルム31表面の導体パターン非形成部31bの領域内で絶縁フィルム31を切断し、これにより、小形の絶縁フィルム表裏面に導体パターン12が設けられ、この導体パターン12表面に電子部品が実装された複数のFPCを形成する。その後、このFPCは電子機器搭載工程へ供されこの工程で電子機器へ搭載される。
以上説明した第二実施形態においても、前記第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明によれば、治具表面に沿った方向に対してプリント配線板を高精度に位置決めしなくても、このプリント配線板を治具表面に確実に保持することができるとともに、治具の交換頻度を最小限に抑制することができる。従って、高効率且つ低コスト生産を実現することができる。
【0046】
請求項2に係る発明によれば、リフロー工程後、プリント配線板を電子機器へ搭載する際、このプリント配線板表面には弱粘着性粘着材層が形成されていることになるため、このプリント配線板がFPCの場合、これを所定の大きさに丸めこの状態を保持して電子機器へ搭載する際に、FPC表面に粘着テープ等を新たに貼付けることを回避することができ、高効率生産を実現することができる。
【0047】
請求項3に係る発明によれば、プリント配線板の治具からの良好な剥離性を実現することができるとともに,リフロー工程での熱負荷による弱粘着性粘着材層の劣化及び治具表面への密着を確実に抑制することができる。また、弱粘着性粘着材層をプリント配線板表面に形成するに際し、この配設位置についての制限を最小限に抑制することができる。さらに、フッ素系樹脂は使用環境温度が約250℃以上約300℃以下と比較的高いため、近年,環境対策で多用されている鉛フリーハンダ(リフロー温度230℃以上280℃以下)にも確実に対応することができる。
【0048】
請求項4に係る発明によれば、プリント配線板の治具からの良好な剥離性を実現することができるとともに,リフロー工程での熱負荷による弱粘着性粘着材層の劣化及び治具表面への密着を確実に抑制することができる。また、電子部品の導通部への実装不良発生を抑制することができ、製造上の不具合を発生させることなく高効率生産を実現することができる。
【0049】
請求項5に係る発明によれば、プリント配線板がリフロー工程を経た後、電子機器搭載工程において、プリント配線板を所定の大きさとなるように丸めこの状態を保持する際に、プリント配線板表面に新たに粘着テープを貼着する必要がないので、高効率生産を実現することができる。
【0050】
請求項6に係る発明によれば、治具表面に沿った方向に対して絶縁基板を高精度に位置決めしなくても、この絶縁基板を治具表面に確実に保持することができるとともに、治具の交換頻度を最小限に抑制することができる。従って、高効率且つ低コスト生産を実現することができる。
【0051】
請求項7に係る発明によれば、絶縁基板を確実に前記治具に保持できるとともに、製造上の不具合発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態として示した電子部品の製造方法を説明するために示した、プリント配線板(FPC)を治具上に保持した状態を示す平面図である。
【図2】図1のX−X線矢視断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態として示した電子部品の製造方法を説明するために示した、大形の絶縁基板を治具上に保持した状態を示す平面図である。
【図4】図3のY−Y線矢視断面図である。
【符号の説明】
12 導体パターン(導通部)
13 FPC(プリント配線板)
14 非導通部
15,32 粘着材層(弱粘着性粘着材層)
21 保持搬送治具(治具)
31 絶縁フィルム(絶縁基板)
31a 導体パターン形成部
31b 導体パターン非形成部
Claims (7)
- 表面に導通部と非導通部とを備えるプリント配線板の前記導通部に、電子部品等を実装するリフロー工程を有する電子機器の製造方法であって、
前記プリント配線板を前記リフロー工程に供するに際し予め、前記プリント配線板表面の少なくとも一部に弱粘着性粘着材層を形成し、その後、前記プリント配線板を前記弱粘着性粘着材層を介してプレート状の治具に保持し、この状態で前記プリント配線板を前記リフロー工程へ供することを特徴とする電子機器の製造方法。 - 請求項1記載の電子機器の製造方法において、
前記リフロー工程後、前記プリント配線板を前記弱粘着性粘着材層とともに前記治具から取外した後,該プリント配線板を貯蔵する、又は前記プリント配線板を前記治具に保持した状態で,前記プリント配線板を電子機器へ搭載する電子機器搭載工程へ供することを特徴とする電子機器の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法において、
前記弱粘着性粘着材層がフッ素系樹脂で形成されていることを特徴とする電子機器の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法において、
前記弱粘着性粘着材層がシリコーン樹脂で形成されるとともに、前記プリント配線板の前記非導通部の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする電子機器の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法において、
前記弱粘着性粘着材層がアクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,又はゴム系樹脂で形成されていることを特徴とする電子機器の製造方法。 - 表面に導体パターン形成部と導体パターン非形成部とを備えた大形の絶縁基板の前記導体パターン表面に、電子部品等を実装するリフロー工程を有する電子機器の製造方法であって、
前記大形の絶縁基板を前記リフロー工程に供するに際し予め、前記大形の絶縁基板表面のうち前記導体パターン非形成部の少なくとも一部に弱粘着性粘着材層を形成し、その後、前記大形の絶縁基板を前記弱粘着性粘着材層を介してプレート状の治具に保持し、この状態で前記大形の絶縁基板を前記リフロー工程へ供することを特徴とする電子機器の製造方法。 - 請求項6記載の電子機器の製造方法において、
前記弱粘着性粘着材層が、フッ素系樹脂,シリコーン樹脂,アクリル系樹脂,ウレタン系樹脂,又はゴム系樹脂からなることを特徴する電子機器の製造方法。
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