JP2004281293A - 燃料電池システム用ホース材料およびそれを用いてなる燃料電池システム用ホース - Google Patents

燃料電池システム用ホース材料およびそれを用いてなる燃料電池システム用ホース Download PDF

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Abstract

【課題】低抽出性および電気絶縁性の双方の特性に優れ、しかも機械的特性にも優れた燃料電池システム用ホース材料を提供する。
【解決手段】下記の(A)および(B)を必須成分とする燃料電池システム用ホース材料である。
(A)エチレン−プロピレン系共重合体。
(B)トルエン着色透過度が30〜50%の範囲内にあるカーボンブラック。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システム用ホース材料およびそれを用いてなる燃料電池システム用ホースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
次世代の発電方式として、燃料電池システム(特に、固体高分子型燃料電池)を用いた発電方式が有力視されている。この燃料電池システムにおける発電部位は、硫黄または金属イオン等の外的混入物により、著しく性能が低下すると言われている。したがって、これら燃料電池システムに用いられるホースまたは配管部材には、低抽出性(ホース内を流通する水等により抽出されにくい性質)で、クリーンであることが要求される。また、燃料電池システムを特に車両に用いた場合、大量に発生する熱をいかに冷却させるかが課題の一つとなっている。そのため、冷却システムの役割は極めて重要と言われているが、これら冷却水(LLC等)の導電性が上昇した場合、電気的な短絡を引き起こす懸念があり、内部流体(水やLLC)の絶縁性を保つこと、すなわちイオンの抽出を抑え、流体の導電性を上げないことが、燃料電池システム(特に冷却システム)に用いられるホースまたは配管部材に求められている。
【0003】
そのため、これまではイオンの溶出が少ないSUS配管を使用したり、燃料電池システム中に脱イオン器を設置する等の複雑な冷却システムが使われることが多かった。しかしながら、SUS配管を用いた場合、成形や組み付け性等が困難となり、レイアウトおよび作業に問題がある他、振動耐久性等の難点もある。さらに、配管部材がより低抽出(クリーン)であれば、燃料電池電気自動車(FCEV)等の燃料電池システムに必要な脱イオン器内にある樹脂、活性炭等の再生間隔も延ばすことが可能である。
【0004】
一方、迷走電流や漏電による感電防止の観点から、燃料電池本体や蓄電池(2次電池)等へつながる配管材料には、電気絶縁性(高電気抵抗性)も要求される。また、燃料電池システムは、内燃機関と比較して静粛であるため、これまでエンジン等の音で目立たなかった音が気になる等、周辺部品にも音や振動を吸収する材料が求められている。よって、燃料電池システムに用いられるホースまたは配管部材としては、低抽出性や電気絶縁性(高電気抵抗性)等の機能を併せ持ち、かつ音や振動を吸収する高い振動耐久性を持つエラストマー材料(ゴム弾性を持つ材料)の開発が待望されている。
【0005】
このような燃料電池システム用ホース材料としては、従来より、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)に、カーボンブラックを配合した材料が用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この燃料電池システム用ホース材料を用いて燃料電池システム用ホースを形成した場合、機械的特性が低く、また電気絶縁性にも劣るという難点がある。この場合、EPDMに配合するカーボンブラックを増量、すなわち、カーボンブラックを高充填にすることにより、補強性を高めることも考えられる。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−180941号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにカーボンブラックを高充填にして補強性を高めると、カーボンブラックの粒子どうしが接近するため、電気抵抗がより低下して導電性がより上昇し、電気絶縁性に著しく劣るという難点がある。また、ホースの伸び性が低下し、スコーチ性も悪化するという難点もある。そこで、カーボンブラックを高充填するのではなく、カーボンブラックを増量せずに、カーボンブラックと、シリカとを併用することが考えられる。しかし、この材料は、電気絶縁性には優れているものの、シリカ中のSi元素の溶出等により、低抽出性が著しく劣るという難点がある。このように、低抽出性と電気絶縁性の両立を図ることができ、しかも優れた機械的特性をもつ燃料電池システム用ホース材料は、未だ得られていないのが実情であり、このような材料の開発が待望されている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、低抽出性および電気絶縁性の双方の特性に優れ、しかも機械的特性にも優れた燃料電池システム用ホース材料およびそれを用いてなる燃料電池システム用ホースの提供をその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)および(B)を必須成分とすることを特徴とする燃料電池システム用ホース材料を第1の要旨とし、この燃料電池システム用ホース材料を用い、ホース形状に形成してなる燃料電池システム用ホースを第2の要旨とする。
(A)エチレン−プロピレン系共重合体。
(B)トルエン着色透過度が30〜50%の範囲内にあるカーボンブラック。
【0010】
すなわち、本発明者らは、低抽出性および電気絶縁性の双方の特性に優れ、しかも優れた機械的特性をもった燃料電池システム用ホースを得るべく、燃料電池システム用ホース材料を中心に鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、カーボンブラックのトルエン着色透過度に着目した。カーボンブラックの着色透過度が低すぎると、高い電気抵抗性を発現するため、電気絶縁性には優れるが、カーボンブラック表面の未燃分が多いために、低抽出性に劣る。一方、カーボンブラックの着色透過度が高すぎると、低抽出性には優れるが、高い電気抵抗性を発現することができず、電気絶縁性に劣る。そこで、本発明者らは、トルエン着色透過度の最適範囲について実験研究を重ねた結果、トルエン着色透過度が30〜50%の範囲内にあるカーボンブラックを用い、これをエチレン−プロピレン系共重合体と併用すると、低抽出性および電気絶縁性の双方の特性に優れ、しかも優れた機械的特性をもった燃料電池システム用ホースが得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
本発明の燃料電池システム用ホース材料は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)と、トルエン着色透過度が30〜50%の範囲内にあるカーボンブラック(B成分)とを用いて得ることができる。
【0013】
上記エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)は、特に限定するものではないが、ヨウ素価が6〜30の範囲、エチレン比率が48〜70重量%の範囲のものが好ましく、特に好ましくはヨウ素価が10〜24の範囲、エチレン比率が50〜60重量%の範囲のものである。このようなものは、高温高圧下での安定性に優れている。
【0014】
このEPDMに含まれるジエン系モノマー(第3成分)としては、特に限定はないが、炭素数5〜20のジエン系モノマーが好ましく、具体的には、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCP)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン等があげられる。これらジエン系モノマー(第3成分)のなかでも、ジシクロペンタジエン(DCP)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)が好ましい。
【0015】
本発明では、上記エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)とともに、トルエン着色透過度が30〜50%の範囲内にあるカーボンブラック(B成分)を用いることが最大の特徴である。
【0016】
上記特定のカーボンブラック(B成分)は、そのトルエン着色透過度が30〜50%の範囲内になければならず、好ましくは35〜45%の範囲内である。すなわち、トルエン着色透過度が30%未満であると、未燃分が多く、カーボンブラック表面の汚れがひどくなるため、低抽出性が悪くなり、逆にトルエン着色透過度が50%を超えると、電気絶縁性が悪くなるからである。
【0017】
このトルエン着色透過度は、カーボンブラックの製造時に、その表面に付着した油,燃え残ったカス等の未燃分を、トルエンに溶解して、光の透過度を測定することにより算出される値であり、JIS K 6218に準じて測定することができ、この値が低いと上記未燃分等の付着量が多いことを示す。
【0018】
上記特定のカーボンブラック(B成分)としては、ホースに比較的高い補強性を持たせることができるため、DBP吸油量が50ml/100g以上のものが好ましい。このDBP吸油量は、カーボンブラックのストラクチャーの高さを示す指標であり、このDBP吸油量の値が高いほど、高ストラクチャーで補強性が高いことを示す。
【0019】
この特定のカーボンブラック(B成分)の配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して、20〜140部の範囲内が好ましく、特に好ましくは60〜120部の範囲内である。すなわち、B成分の配合割合が20部未満であると、補強性の効果が乏しく、高硬度化が困難となり、逆に140部を超えると、電気抵抗が低くなり、電気絶縁性が悪くなる傾向がみられるからである。
【0020】
本発明の燃料電池システム用ホース材料には、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)、および特定のカーボンブラック(B成分)とともに、過酸化物架橋剤、共架橋剤、プロセスオイル、老化防止剤等を、必要に応じて配合しても差し支えない。
【0021】
上記過酸化物架橋剤としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類や、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類や、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類や、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類や、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、臭気の問題がない点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンが好適に用いられる。
【0022】
この過酸化物架橋剤の配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100部に対して、1.5〜20部の範囲内が好ましい。すなわち、過酸化物架橋剤が1.5部未満であると、架橋が不充分となって、ホースの強度に劣り、逆に過酸化物架橋剤が20部を超えると、硬くなりすぎ、ホースの柔軟性に劣る傾向がみられるからである。
【0023】
また、共架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好適に用いられ、これらとともに、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、p−キノンジオキシム、p,p−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0024】
この共架橋剤の配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100部に対して、0.1〜10部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜7.0部の範囲内である。
【0025】
上記プロセスオイルの配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100部に対して、5〜100部の範囲内が好ましく、特に好ましくは20〜80部の範囲内である。
【0026】
また、老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ワックス類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0027】
この老化防止剤の配合割合は、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)100部に対して、0.2〜2部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜1.0部の範囲内である。
【0028】
本発明の燃料電池システム用ホース材料は、例えば、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)に、特定のカーボンブラック(B成分)を配合するとともに、必要に応じて、過酸化物架橋剤、共架橋剤、プロセスオイル、老化防止剤等を配合し、これらをニーダー,バンバリーミキサー,ロール等の混練機を用いて混練することにより、調製することができる。
【0029】
本発明の燃料電池システム用ホースは、例えば、前記のようにして調製した本発明の燃料電池システム用ホース材料を、ホース状に押し出し成形した後、全体を所定の条件で加硫することにより作製することができる。なお、この成形に際し、必要に応じて、マンドレルを用いても差し支えない。
【0030】
このようにして得られる本発明の燃料電池システム用ホースは、厚みが、通常、1.5〜12mmの範囲内であり、内径が、通常、5〜50mmの範囲内である。
【0031】
なお、本発明の燃料電池システム用ホースは、先に述べたような単層構造に限定されるものではなく、2層以上の多層構造であっても差し支えない。この場合、本発明の燃料電池システム用ホースの最内層は、低抽出性および電気絶縁性の観点から、本発明の燃料電池システム用ホース材料を用いて形成することが好ましい。
【0032】
なお、本発明の燃料電池システム用ホース材料は、燃料電池車両用ホース材料に限定されるものではなく、例えば、定置式燃料電池システム用ホース、コンピューター冷却用ホース等に用いることができ、またこれらシステムを構成する部品(パッキン、セパレーター等)等にも用いることが可能である。
【0033】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0034】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
【0035】
〔EPDM〕
住友化学工業社製、エスプレン501A〔ヨウ素価:12、エチレン比率:50重量%、ムーニー粘度(ML1+4 100℃):43〕
【0036】
〔カーボンブラック▲1▼〕
SRF級カーボンブラック(旭カーボン社製、旭♯52、トルエン着色透過度:40%、DBP吸油量:130ml/100g)
【0037】
〔カーボンブラック▲2▼〕
SRF級カーボンブラック(旭カーボン社製の試作品、トルエン着色透過度:30%、DBP吸油量:130ml/100g)
【0038】
〔カーボンブラック▲3▼〕
SRF級カーボンブラック(旭カーボン社製の試作品、トルエン着色透過度:50%、DBP吸油量:130ml/100g)
【0039】
〔カーボンブラック▲4▼〕
SRF級カーボンブラック(昭和キャボット社製、ショウブラック IP−200、トルエン着色透過度:20%、DBP吸油量:130ml/100g)
【0040】
〔カーボンブラック▲5▼〕
SRF級カーボンブラック(東海カーボン社製、GG042、トルエン着色透過度:60%、DBP吸油量:130ml/100g)
【0041】
〔カーボンブラック▲6▼〕
SRF級カーボンブラック(旭カーボン社製の試作品、トルエン着色透過度:40%、DBP吸油量:50ml/100g)
【0042】
〔プロセスオイル〕
出光興産社製、ダイアナプロセスPW−380
【0043】
〔過酸化物架橋剤〕
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日本油脂社製、パーヘキサ25B)
【0044】
〔共架橋剤〕
エチレングリコールジメタクリレート(精工化学社製、ハイクロスED)
【0045】
〔フェニルアミン系老化防止剤〕
N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(精工化学社製、オゾノン3C)
【0046】
【実施例1〜4、比較例1〜3】
後記の表1および表2に示す各成分を同表に示す割合で配合し、バンバリーミキサーおよびロールを用いて混練して、燃料電池システム用ホース材料を調製した。
【0047】
このようにして得られた実施例品および比較例品の燃料電池システム用ホース材料を用い、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1および表2に併せて示した。
【0048】
〔引張強さ(TB)、伸び(EB)〕
各燃料電池システム用ホース材料を160℃で45分間プレス加硫して、厚み2mmの加硫ゴムシートを作製した。ついで、JIS 5号ダンベルを打ち抜き、JIS K 6251に準じて、引張強さ(TB)および伸び(EB)を評価した。なお、引張強さ(TB)および伸び(EB)については、値が大きい程良好といえる。
【0049】
〔体積抵抗率〕
各燃料電池システム用ホース材料を用いて、JIS K 6911に準じて、体積抵抗率を測定した。体積抵抗率については、値が高い程、電気絶縁性に優れているといえる。
【0050】
〔抽出溶液の導電率〕
上記のようにして作成した加硫ゴムシートを、28mm×28mm×2mmの大きさに打ち抜いた。これを、プロピレン製容器に50mlの純水(1.0μS/cm)とともに封入し、100℃で168時間熱処理した後、得られた抽出溶液の25℃における導電率を、導電率計(堀場製作所社製、CONDUCTIVITYMETER D−24)を用いて測定した。低抽出性の評価は、導電率が3μS/cm未満の場合を◎、導電率が3μS/cm以上、4μS/cm未満の場合を○、導電率が4μS/cm以上の場合を×とした。
【0051】
【表1】
Figure 2004281293
【0052】
【表2】
Figure 2004281293
【0053】
上記結果より、実施例品は、いずれも、電気絶縁性、低抽出性の全ての特性に優れていた。なお、本発明者らは、実施例のEPDMに代えて、EPMを用いた場合も、他の実施例と同様の優れた特性(電気絶縁性、低抽出性等)が得られることを実験により確認している。
【0054】
これに対して、比較例1品は、カーボンブラックのトルエン着色透過度が低く、カーボンブラック表面の未燃分が多いため、低抽出性が悪化した。比較例2品は、カーボンブラックのトルエン着色透過度が高すぎるため、電気絶縁性が悪かった。比較例3品は、カーボンブラックを高充填しているため、伸びが小さく、電気絶縁性に劣っていた。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明の燃料電池システム用ホース材料は、トルエン着色透過度が30〜50%の範囲内にあるカーボンブラック(B成分)と、エチレン−プロピレン系共重合体(A成分)とを必須成分とするものであるため、低抽出性および電気絶縁性の双方の特性に優れ、しかも優れた機械的特性を備えている。
【0056】
また、特定のカーボンブラック(B成分)のDBP吸油量を特定の範囲内に設定すると、ホースの補強性が向上するようになる。
【0057】
また、特定のカーボンブラック(B成分)の配合割合を、特定の範囲に設定すると、低抽出性および電気絶縁性がさらに向上するようになる。

Claims (4)

  1. 下記の(A)および(B)を必須成分とすることを特徴とする燃料電池システム用ホース材料。
    (A)エチレン−プロピレン系共重合体。
    (B)トルエン着色透過度が30〜50%の範囲内にあるカーボンブラック。
  2. 上記(B)のカーボンブラックのDBP吸油量が50ml/100g以上である請求項1記載の燃料電池システム用ホース材料。
  3. 上記(B)のカーボンブラックの配合割合が、(A)100重量部に対して、20〜140重量部の範囲内である請求項1または2記載の燃料電池システム用ホース材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池システム用ホース材料を用い、ホース形状に形成してなる燃料電池システム用ホース。
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